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特開2024-36797現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036797
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20240311BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141272
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】井上 重夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴之
(72)【発明者】
【氏名】福原 仁
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金融機関店舗の営業終了後、現金処理装置に入金された現金の口座処理を実行する。
【解決手段】現金処理システム1は、金融機関の営業店舗に設けられ、受付けた現金を計数し、入金額を出力すると共に収納する処理を行う現金処理装置と、営業店舗の現金を確定する締め処理後に処理され金融機関口座に預入される現金を現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合、締め後入金処理で入金された締め後入金額と、口座に現金を預入するために必要な口座情報を取得し、複数の締め後入金処理の締め後入金額及び口座情報を含む口座処理端末用リエンタデータを出力すると共に、リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について口座処理端末により実行された口座処理の結果の入力を受け付けて管理し、締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める外部装置に対して口座処理の結果情報を出力する管理サーバと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の営業店舗に設けられ、受け付けた現金を計数して入金金額を出力すると共に前記現金を装置内に収納する入金処理を実行する現金処理装置と、
前記営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得して、複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力すると共に、前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付けて管理し、前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める外部装置に対して前記口座処理の結果を示す情報を出力する管理サーバと
を備えることを特徴とする現金処理システム。
【請求項2】
複数の営業店舗を管理する本部に設けられ、前記リエンタデータの所定媒体への書き込みと、前記口座処理端末が前記所定媒体に書き込んだ前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理の口座処理の処理結果の読み込みとを実行する本部端末
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の現金処理システム。
【請求項3】
営業店舗に設けられ、前記管理サーバで管理される、前記営業店舗で行われた締め後入金処理の締め後入金金額及び口座情報を表示して、確認及び修正の操作を受け付ける営業店端末
をさらに備え、
前記管理サーバは、前記締め後入金金額及び前記口座情報が口座処理を実行可能な状態にあるか否かを判定し、実行不能と判定した場合には前記営業店端末で判定結果を報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の現金処理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記営業店舗で行われた締め後入金処理における締め後入金金額及び口座情報が、所定の承認者によって承認されていない場合に、口座処理を実行不能と判定し、承認済みの締め後入金金額及び口座情報から前記リエンタデータを作成することを特徴とする請求項3に記載の現金処理システム。
【請求項5】
前記営業店端末は、前記管理サーバで管理される、各締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かを示す情報を表示することを特徴とする請求項3に記載の現金処理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、処理を要する締め後入金処理のデータがあることを利用者に報知することを特徴とする請求項1に記載の現金処理システム。
【請求項7】
管理サーバと入金処理を実行する現金処理装置とを含む現金処理システムで前記管理サーバが実行する現金処理方法であって、
金融機関の営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得する工程と、
複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力する工程と、
前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付ける工程と、
前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める要求を外部装置から受け付けて、前記口座処理の結果を示す情報を前記外部装置に出力する工程と
を含むことを特徴とする現金処理方法。
【請求項8】
管理サーバと入金処理を実行する現金処理装置とを含む現金処理システムで前記管理サーバが実行する現金処理プログラムであって、
金融機関の営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得するステップと、
複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力するステップと、
前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付けるステップと、
前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める要求を外部装置から受け付けて、前記口座処理の結果を示す情報を前記外部装置に出力するステップと
を含むことを特徴とする現金処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金融機関で利用される現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関の店舗では、顧客の求める現金の入出金に対応するために現金処理装置が利用されている。現金処理装置は、入金された現金を識別計数して計数結果を出力したり、指定された金額の現金を出金したりすることができる。例えば、金融機関の口座を利用して入出金が行われる場合、口座番号と、現金処理装置で入出金された現金の金額とが、店舗にある口座処理用の端末と、口座処理を実行する所定の口座処理サーバとの間で送受信されて口座の残高が更新される。店舗の営業終了後に渉外担当者が店舗に戻り、顧客の口座に入金する現金を現金処理装置に入金した場合は、翌日に口座処理が実行される。翌日、前日分の複数の口座処理を一括して実行するために、複数の口座番号及び各口座に入金される金額等が登録されたリエンタデータと呼ばれるデータが作成される。口座処理用の端末にリエンタデータを読み込ませると、リエンタデータに登録されている情報が口座処理サーバへ送信されて、各口座の口座処理が実行される。例えば特許文献1及び2に、リエンタデータ及びリエンタデータを利用する処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4-19586号公報
【特許文献2】特許第2918358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、店舗の営業終了後に現金処理装置に入金された現金の口座処理を、翌日に実行する必要があった。前日に現金処理装置に入金された現金の処理は、当日の業務に影響しないように、店舗の営業開始前に終える必要があり、店舗にとっての負担となっていた。このため、店舗の営業終了後に現金処理装置に入金された現金の口座処理を、その日のうちに終えることが望まれていた。
【0005】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、金融機関店舗の営業終了後に、現金処理装置に入金された現金の口座処理を容易に行うことができる現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る現金処理システムは、金融機関の営業店舗に設けられ、受け付けた現金を計数して入金金額を出力すると共に前記現金を装置内に収納する入金処理を実行する現金処理装置と、前記営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得して、複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力すると共に、前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付けて管理し、前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める外部装置に対して前記口座処理の結果を示す情報を出力する管理サーバとを備える。
【0007】
上記構成において、複数の営業店舗を管理する本部に設けられ、前記リエンタデータの所定媒体への書き込みと、前記口座処理端末が前記所定媒体に書き込んだ前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理の口座処理の処理結果の読み込みとを実行する本部端末をさらに備えていてもよい。
【0008】
上記構成において、営業店舗に設けられ、前記管理サーバで管理される、前記営業店舗で行われた締め後入金処理の締め後入金金額及び口座情報を表示して、確認及び修正の操作を受け付ける営業店端末をさらに備え、前記管理サーバは、前記締め後入金金額及び前記口座情報が口座処理を実行可能な状態にあるか否かを判定し、実行不能と判定した場合には前記営業店端末で判定結果を報知してもよい。
【0009】
上記構成において、前記管理サーバは、前記営業店舗で行われた締め後入金処理における締め後入金金額及び口座情報が、所定の承認者によって承認されていない場合に、口座処理を実行不能と判定し、承認済みの締め後入金金額及び口座情報から前記リエンタデータを作成してもよい。
【0010】
上記構成において、前記営業店端末は、前記管理サーバで管理される、各締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かを示す情報を表示してもよい。
【0011】
上記構成において、前記管理サーバは、処理を要する締め後入金処理のデータがあることを利用者に報知してもよい。
【0012】
本開示に係る現金処理方法は、管理サーバと入金処理を実行する現金処理装置とを含む現金処理システムで前記管理サーバが実行する現金処理方法であって、金融機関の営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得する工程と、複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力する工程と、前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付ける工程と、前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める要求を外部装置から受け付けて、前記口座処理の結果を示す情報を前記外部装置に出力する工程とを含む。
【0013】
本開示に係る現金処理プログラムは、管理サーバと入金処理を実行する現金処理装置とを含む現金処理システムで前記管理サーバが実行する現金処理プログラムであって、金融機関の営業店舗にある現金を確定する締め処理の後に処理されて前記金融機関の口座に預け入れられる現金を前記現金処理装置に入金する締め後入金処理が行われた場合に、前記締め後入金処理で入金された現金の入金金額である締め後入金金額と、前記口座に前記現金を預け入れるために必要な口座情報とを取得するステップと、複数の締め後入金処理それぞれの締め後入金金額及び口座情報を含む口座処理端末用のリエンタデータを出力するステップと、前記リエンタデータに含まれる各締め後入金処理について前記口座処理端末を利用して実行された口座処理の処理結果の入力を受け付けるステップと、前記締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める要求を外部装置から受け付けて、前記口座処理の結果を示す情報を前記外部装置に出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラムによれば、金融機関店舗の営業終了後に締め後入金処理を実行して現金処理装置に入金された現金の口座処理を、入金された当日に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る現金処理システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、管理サーバの記憶部で管理されるデータと該データに関して行われる処理とを説明するための図である。
図3図3は、現金処理装置を利用する際に表示されるログイン画面の画面例を示す図である。
図4図4は、渉外担当者及び承認者が営業店端末を利用する際に表示されるログイン画面の画面例を示す図である。
図5図5は、渉外担当者のログイン後に営業店端末に表示される画面例を示す図である。
図6図6は、データ修正画面の画面例を示す図である。
図7図7は、承認者のログイン後に営業店端末に表示される画面例を示す図である。
図8図8は、本部担当者のログイン後に本部端末に表示される画面例を示す図である。
図9図9は、リエンタデータの処理結果を登録する際に本部端末に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラムの実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る現金処理システム1の概要を説明するための図である。現金処理システム1を利用する金融機関の種類及び営業店舗数は特に限定されないが、以下、本部と複数の営業店舗から成る銀行が現金処理システム1を利用する場合を例に説明を続ける。
【0017】
現金処理システム1は、管理サーバ10と、営業店舗に設けられた現金処理装置20及び営業店端末30(30a、30b)と、本部に設けられた本部端末40とを含む。現金処理システム1が、本部で使用される口座処理端末60をさらに備えていてもよい。管理サーバ10と、現金処理装置20と、営業店端末30と、本部端末40との間は、ネットワーク2を介して、有線又は無線で通信可能に接続されている。口座処理端末60は、銀行全体の資金を管理する勘定系システムで口座処理を実行する口座処理サーバに、口座処理に関する情報を送信するための専用端末である。口座処理端末60は、口座処理サーバと通信可能に接続される一方で、ネットワーク2からは切り離されている。ネットワーク2の種類は特に限定されず、例えば、公衆回線を利用したインターネットであってもよいし、銀行の営業店舗及び本部のみが利用可能な専用回線を利用した行内ネットワークであってもよい。
【0018】
なお、複数の営業店舗それぞれにおいて同様の処理が行われるため、図1には1つの営業店舗を示している。各営業店舗で使用される現金処理装置20の数も特に限定されないが、複数の現金処理装置20が使用される場合も各装置で同様の処理が行われるため、図1には1つの現金処理装置20を示している。図1には2つの営業店端末30を示しているが、営業店端末30の数も特に限定されず、1つの営業店端末30が使用される態様であってもよいし、3つ以上の営業店端末30が使用される態様であってもよい。同様に、本部端末40の数も特に限定されず、2つ以上の本部端末40が使用される態様であってもよい。
【0019】
管理サーバ10は、営業店端末30及び本部端末40からの要求を受けてデータを処理するサーバ装置である。例えば、制御部及び記憶部を備えるコンピュータ装置が管理サーバ10として利用される。管理サーバ10がクラウドサーバ(仮想サーバ)であってもよい。
【0020】
現金処理装置20は、現金の入金処理を実行可能な貨幣処理装置である。入金処理時、現金処理装置20は、入金口から入金された現金を識別計数して装置内の収納部に収納する。現金処理装置20が、出金処理を実行可能であってもよい。出金処理時、現金処理装置20は、出金する金額の指示を受け付けて、指示された金額分の現金を装置内の収納部から繰り出して出金口から出金する。現金処理装置20が、他に両替等の現金処理を実行可能であってもよい。現金処理装置20は、例えばタッチパネル式の操作表示部を備え、操作表示部を操作して現金処理が実行される。現金処理装置20に操作端末が接続されて、操作端末を操作して現金処理が実行される態様であってもよい。銀行の営業店舗で入金処理等の現金処理に利用される現金処理装置は従来知られているため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態で言う現金には紙幣と硬貨の少なくともいずれか一方が含まれる。
【0021】
営業店端末30は、銀行の営業店舗で行員が使用する通信端末である。例えば、制御部、操作部、表示部及び記憶部を備えるコンピュータ装置が営業店端末30として使用される。また、例えば、操作部と表示部を兼ねるタッチパネル式の液晶表示装置を備えるスマートフォンやタブレット端末が営業店端末30として使用される。
【0022】
本部端末40は、銀行の本部で行員が使用する通信端末である。図1では、営業店で使用される通信端末を営業店端末30、本部で使用される通信端末を本部端末40として区別しているが、営業店端末30と同様の機能及び構成を有する通信端末を、本部端末40として使用することができる。
【0023】
営業店舗の営業中は、顧客の口座に預け入れる現金が現金処理装置20で識別計数されて入金金額が確定されると、営業店舗にある口座処理端末から口座処理サーバへ、口座番号及び入金金額を含む情報が送信される。口座処理サーバが営業店舗の口座処理端末から受信した情報に基づいて口座処理を実行するオンライン処理が実行されて、顧客の口座の残高がリアルタイムに更新される。口座からの出金処理も同様にオンライン処理で行われて、口座の残高がリアルタイムに更新されると共に現金処理装置20から現金が出金される。
【0024】
営業店舗の営業が終了すると、営業中に店舗で行われた処理内容と、店舗内にある現金とを確認して、店舗内にある現金の金額を確定する締め処理が行われる。管理サーバ10が、締め処理が行われて確定された現金処理装置20内にある現金の情報を取得して管理してもよい。例えば、管理サーバ10が、各営業店舗の各現金処理装置20内にある現金の金種と各金種の金額とを管理してもよい。
【0025】
図1に示す現金処理システム1は、締め処理が行われた後に利用することができる。例えば、営業店舗の営業が終了して締め処理が完了した後、営業店舗に戻った渉外担当者100が、図1に示すように、顧客を訪問して顧客口座への入金を依頼された現金を現金処理装置20に入金する締め後入金処理を実行する(A1)。締め後入金処理では、現金処理装置20に入金された現金の預入先である顧客の銀行口座の口座番号等、入金された現金の口座処理に必要な口座情報が、現金処理装置20に入力される。例えば、渉外担当者100が、口座情報が予め記入された入金伝票を、現金処理装置20が備える読取装置に読み取らせると、口座情報が現金処理装置20に入力される。渉外担当者100は、複数の顧客から預かった現金それぞれについて、現金処理装置20で締め後入金処理を実行して、装置に現金を入金すると共に入金伝票の口座情報を入力する。一又は複数の渉外担当者100による締め後入金処理が各営業店舗で行われる。
【0026】
締め後入金処理が実行されると、現金処理装置20は、入金された現金の金額と口座情報とを含む締め後入金処理の関連情報を、管理サーバ10へ送信する。なお、入金伝票の情報が、現金処理装置20を介して管理サーバ10へ送信される態様に限定されず、営業店端末30aが備える読取装置によって読み取られて、営業店端末30aから管理サーバ10へ送信される態様であってもよい。
【0027】
管理サーバ10は、締め後入金処理に関するデータを管理する(B1)。管理サーバ10が管理するデータには、各締め後入金処理の入金金額及び口座情報が含まれる。管理サーバ10が、締め処理で確定された現金処理装置20内の現金の金額と、締め後入金処理によって新たに現金処理装置20に入金された現金の金額とを区別して管理してもよい。
【0028】
現金処理装置20で締め後入金処理を終えた渉外担当者100は、営業店端末30aを操作して、締め後入金処理の入金金額及び口座情報を含むデータを、管理サーバ10が管理する締め後入金データに登録する(A2)。管理サーバ10は、渉外担当者100が締め後入金処理で入金した現金の金額と、渉外担当者100が現金処理装置20に入力した口座情報とを営業店端末30aの画面上に表示して、渉外担当者100による修正及び登録の操作を受け付ける。例えば、渉外担当者100は、営業店端末30aを操作して、入金伝票の口座情報が、現金処理装置20の読取装置によって正しく読み取られたことを確認し、誤りがあれば修正してから登録する。
【0029】
営業店舗で締め後入金処理の承認権限を有する承認者101は、営業店端末30bを操作して、渉外担当者100が締め後入金データに登録した締め後入金処理のデータを承認する(A3)。なお、承認者101が、渉外担当者100が使用する営業店端末30aを操作して承認操作を行ってもよい。また、承認者101が、携帯型の営業店端末30bを使用して、営業店舗の外で承認操作を行う態様であってもよい。例えば、営業店舗の営業が終了して、承認者101が営業店舗から出た後であっても、承認者101は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型通信端末を営業店端末30bとして利用して、営業店舗の外から承認操作を行うことができる。管理サーバ10は、承認者101の承認操作を受け付けて、渉外担当者100が締め後入金データに登録した締め後入金処理のデータを未承認から承認済みへと更新する。
【0030】
本部で口座処理を担当する本部担当者200は、本部端末40を操作して、管理サーバ10が管理する締め後入金データに登録されている複数のデータから成るリエンタデータを出力する(C1)。リエンタデータは、承認者101による承認済みのデータから作成される、口座処理端末60に入力可能な形式のデータである。本部担当者200は、口座処理端末60にリエンタデータを処理させる。これにより、口座処理サーバで、リエンタデータに含まれる各データの口座処理が実行されるようになっている。リエンタデータには、1つの営業店舗における複数の締め後入金データが含まれる場合があるし、複数の営業店舗の締め後入金データが含まれる場合もある。
【0031】
本部端末40は、可搬型の記憶媒体50のデータを読み書きする読取装置を備え、読取装置を利用してリエンタデータを記憶媒体50に書き込む。記憶媒体50の種類は特に限定されず、例えば、USBフラッシュメモリ、メモリカード、光ディスク等を利用すればよい。図1に示すように、本部担当者200は、リエンタデータが記録された記憶媒体50を利用して口座処理端末60にリエンタデータを入力し、口座処理端末60にリエンタデータの処理を実行させる(D1)。口座処理端末60は、リエンタデータに含まれる各締め後入金処理の入金金額と顧客の口座情報とを、勘定系システムの口座処理サーバへ送信する。口座処理サーバが、口座処理端末60から受信した情報に基づいて口座処理を実行して顧客口座の残高が更新される。
【0032】
口座処理端末60は、記憶媒体50のデータを読み書きする読取装置を備える。リエンタデータの口座処理端末60への入力は、読取装置を利用して行われる。口座処理が実行された後、口座処理端末60は、読取装置を利用して、リエンタデータの処理結果を記憶媒体50に書き込む。処理結果には、リエンタデータに含まれる各締め後入金処理の口座処理が正常に行われたか否かを示す情報が含まれる。本部担当者200が、リエンタデータの処理結果が書き込まれた記憶媒体50を本部端末40の読取装置に読み取らせて本部端末40で所定の操作を行うと、各締め後入金処理の口座処理の処理結果が管理サーバ10に登録される(C2)。
【0033】
管理サーバ10は、本部端末40から受信した処理結果に基づいて、締め後入金データに登録されているデータを、各締め後入金の口座処理が完了したか否かを確認できるように更新する。
【0034】
このとき、管理サーバ10が、締め後入金処理が行われた各営業店舗の各現金処理装置20のデータを更新してもよい。具体的には、管理サーバ10が、締め処理で確定されていた現金処理装置20内の現金の金額に、口座処理を正常に終了した締め後入金処理の入金金額を加算してもよい。例えば、締め処理時に装置内の現金金額が100万円と確定された現金処理装置20で、渉外担当者100が締め後入金処理を実行して10万円を入金したものとする。この場合、締め後入金処理の完了後、管理サーバ10は、現金処理装置20内の現金を、確定金額100万円、締め後入金金額10万円、装置内にある現金の合計金額110万円というように、締め処理による確定金額と締め後入金処理の入金金額とを区別して管理する。締め後入金データへのデータの登録及び承認とリエンタデータの処理とが行われて、締め後入金処理で入金された現金の口座処理が正常に終了すると、管理サーバ10は、現金処理装置20の確定金額を、締め処理時の確定金額100万円に締め後入金金額の10万円を加えた110万円に更新する。このような更新処理が、各口座処理の結果に基づいて行われることになる。
【0035】
すなわち、管理サーバ10は、締め後入金処理で現金処理装置20に入金された現金が顧客の口座に入金されるまでの間は、この現金を、締め処理で金額が確定した現金と区別して管理し、顧客の口座へ入金されると、確定済みの現金と同様に管理することができる。確定済みの現金は、営業店舗で必要な処理を終えた現金で、翌日の営業時には追加の作業を行うことなく営業に利用することができる。
【0036】
このように、現金処理システム1を利用すれば、各営業店舗で実行された各締め後入金処理で各現金処理装置20に入金された現金のデータを、管理サーバ10に集約して一括管理することができる。複数の営業店舗で行われた複数の締め後入金処理のデータをまとめたリエンタデータを、管理サーバ10から記憶媒体50に出力させることができるため、リエンタデータを利用して、複数の締め後入金処理の口座処理を一括処理することができる。これにより、締め後入金処理で現金処理装置20に入金された現金の口座処理を、入金当日に容易に終えることが可能となり、翌日に処理する必要がなくなるため、営業店舗の行員の作業負担が軽減される。
【0037】
また、現金処理システム1を利用すれば、リエンタデータの処理完了後、管理サーバ10が管理する締め後入金データに、口座処理端末60を利用して実行された口座処理の処理結果を反映させることができる。この結果、現金処理装置20内にある、締め後入金処理で入金された現金が、確定済みの現金、すなわち必要な処理を終えて翌日の営業店舗の営業に利用可能な現金となる。このため、締め後入金処理が行われた日の翌日、営業店舗の行員は、現金処理装置20内にある全ての現金を利用して現金処理を開始することができる。
【0038】
次に、現金処理システム1を構成する各装置で行われる処理について、図2図8を参照しながら説明する。図2は、管理サーバ10が記憶部110で管理するデータと、各データに関して行われる処理とを説明するための図である。営業店舗の営業を終えて締め処理が行われた後、管理サーバ10は、各営業店舗にある現金の金額を現金データ111として記憶部110で管理することができる。現金データ111には、各営業店舗の各現金処理装置20内にある現金の金種、金種別金額及び合計金額を示す情報が含まれる。
【0039】
締め処理の完了後、営業店舗に戻った渉外担当者100は、現金処理装置20で締め後入金処理を実行する。図3は、現金処理装置20を利用する際に、現金処理装置20の操作表示部に表示されるログイン画面21の画面例を示す図である。
【0040】
例えば、図3に示すように、ログイン画面21には、締め処理が完了して現金処理装置20内にある現金の金額が確定済みであることを示す情報、現金処理装置20で実行可能な現金処理が締め後入金処理であることを示す情報等が表示される。
【0041】
渉外担当者100は、ログイン画面21で、各行員を識別するための利用者ID(識別情報)及び暗証番号を操作表示部に入力してログインした後、締め後入金処理を実行する。現金処理装置20は、ログイン処理によって、締め後入金処理の実行権限を有する利用者にのみ処理の実行を認める。また、現金処理装置20は、ログイン処理によって、締め後入金処理を実行する渉外担当者100を特定する。渉外担当者100は、締め後入金処理を実行して、顧客から預かった現金を現金処理装置20に入金する。また、渉外担当者100が現金処理装置20に入金伝票を読み取らせると、入金した現金の預入先である銀行口座の口座番号等の口座情報が現金処理装置20に入力される。
【0042】
現金処理装置20は、入金された現金を識別計数する(図2ステップS1)。現金処理装置20は、締め後入金処理を実行した渉外担当者100の利用者IDと、入金された現金の金額を含む識別計数結果と、現金の預入先である口座番号を含む口座情報と、処理日時とを、管理サーバ10へ送信する。このとき、現金処理装置20は、各営業店舗を識別するための店舗ID、各現金処理装置20を識別するための装置ID、各締め後入金処理を識別するための処理ID等の識別情報を管理サーバ10へ送信する。
【0043】
管理サーバ10は、現金処理装置20から受信した各情報を締め後入金データ112で管理する(ステップS2)。管理サーバ10は、営業店舗の店舗IDと、渉外担当者100の利用者IDと、締め後処理を実行した現金処理装置20の装置IDと、締め後入金処理の処理ID、入金金額及び口座情報とを関連付けて、締め後入金データ112で未登録データとして管理する。管理サーバ10は、締め後入金データ112を、現金データ111と分けて管理する。
【0044】
締め後入金データ112で管理される未登録データについて、営業店端末30(30a、30b)を操作して、渉外担当者100による登録と、承認者101による承認とが行われる(ステップS3)。図4は、渉外担当者100及び承認者101が営業店端末30の使用を開始する際に表示されるログイン画面31である。
【0045】
例えば、図4に示すように、ログイン画面31には、締め処理が完了済みであることを示す情報、現金処理装置20で締め後入金処理が実行されたことを示す情報、締め後入金処理のデータの登録及び承認が必要であることを示す情報等が表示される。また、ログイン画面31には、営業店舗が属する銀行を識別するための銀行ID(識別情報)と、各営業店舗を識別するための営業店ID(識別情報)とが表示される。
【0046】
渉外担当者100は、ログイン画面31で利用者ID及び暗証番号を入力してログインした後、締め後入金データを確認する。図5は、渉外担当者100がログインした際に営業店端末30の画面上に表示される画面例を示す図である。利用者IDから渉外担当者100がログインしたことを認識した管理サーバ10は、図5(a)に示すように、営業店端末30の表示部に、渉外担当者用のメニュー画面32を表示する。渉外担当者100は、メニュー画面32のデータ登録ボタンを押して、現金処理装置20で実行した締め後入金処理のデータを登録する処理を開始する。
【0047】
データ登録ボタンが押されると、管理サーバ10は、営業店端末30の画面上に、図5(b)に示す登録画面33を表示する。登録画面33には、渉外担当者100の利用者IDが表示される。管理サーバ10は、渉外担当者100の利用者IDに基づいて、締め後入金データ112の中から、この渉外担当者100が現金処理装置20で実行した締め後入金処理のデータを探索して登録画面33に表示する。すなわち、登録画面33には、ログイン中の渉外担当者100に関連するデータが自動的に表示される。また、登録画面33には、渉外担当者100が実行した締め後入金処理のデータ件数が「全件」として表示され、このうち確認を要する締め後入金処理のデータ件数が「要確認」として表示される。
【0048】
図5(b)に示すように、登録画面33には、ログイン中の渉外担当者100が実行した締め後入金処理で現金処理装置20が取得した各情報が表示される。例えば、登録画面33には、登録、処理ID、科目名、口座番号、登録金額、装置ID、入金金額、承認者ID、処理結果、詳細の項目が表示される。装置IDは、渉外担当者100が締め後入金処理を実行した現金処理装置20の識別情報で、この現金処理装置20で行われた締め後入金処理の識別情報が処理IDである。科目名、口座番号及び登録金額は、締め後入金処理が行われた際に現金処理装置20が入金伝票から読み取った情報で、それぞれ渉外担当者100が顧客から依頼された入金の種類、入金先の口座番号及び入金金額を示している。登録画面33の入金金額の項目は、締め後入金処理で現金処理装置20が現金を識別計数して得られた金額である。承認者IDは、登録画面33に表示されている締め後入金処理の承認権限を有する承認者101の利用者IDである。管理サーバ10の記憶部110には、渉外担当者100と承認者101との対応を示すデータが予め準備されており、このデータに基づいて、承認者101の利用者IDが登録画面33に表示されるようになっている。なお、図5(b)に示す画面例では、画面上部に渉外担当者100の利用者IDが表示されているが、利用者IDが、承認者IDと同様に、締め後入金データの項目の1つとして表示される態様であってもよい。
【0049】
登録画面33の登録の項目には、締め後入金データ112に登録可能なデータのチェックボックスが表示される。渉外担当者100は、チェックボックスにチェックを入れてデータを個別に選択したり、登録画面33の全選択ボタンを押して、登録可能な全てのデータを選択したりした後、登録ボタンを押してデータを登録することができる。渉外担当者100が登録を終えたデータは、登録画面33で他のデータと区別可能に表示される。例えば、登録されたデータの登録の項目に「登録済」と表示される。
【0050】
登録画面33では、口座処理に必要な情報全てを現金処理装置20で取得できなかった締め後入金処理のデータが、全ての情報を取得して登録可能な状態にあるデータと区別可能に表示される。例えば、図5(b)に示すように、登録の項目に「×」と表示されて、登録できない状態にあることが渉外担当者100に報知される。処理結果の項目には、登録できない原因を示す情報が表示される。例えば、現金処理装置20が入金伝票から読み取れなかった情報がある場合、処理結果の項目に「入力データ不足」と表示される。また、例えば、現金処理装置20が入金伝票から読み取った登録金額と識別計数した現金の入金金額とが異なる場合、処理結果の項目に「金額不一致」と表示される。なお、処理結果の項目に表示された「○」は、データが登録可能な状態にあることを示している。
【0051】
渉外担当者100は、登録画面33の詳細の項目に表示された詳細ボタンを押して各データの詳細を表示し、データの内容を修正することができる。図6は、データの修正画面34の画面例を示す図である。修正画面34には、図5の登録画面33に表示されている各項目と同じ項目の情報が表示される。渉外担当者100は、図6に示す修正画面34を確認して、データの誤りを修正する。入金伝票から情報を読み取れなかった項目や、入金伝票から情報を誤って読み取られた項目がある場合、渉外担当者100は、入金伝票を確認し、営業店端末30を操作して正しい情報を入力する。渉外担当者100が修正画面34でデータを修正して入力ボタンを押すと、図5(b)に示す登録画面33に戻る。データが修正されて登録可能な状態になると、このデータの処理結果の項目が「○」に更新されて、登録の項目にチェックボックスが表示される。渉外担当者100は、チェックボックスにチェックを入れて登録ボタンを押してデータを登録することができる。
【0052】
登録操作を終えた渉外担当者100は、登録画面33の戻るボタンを押してメニュー画面32に戻り、メニュー画面32のログアウトボタンを押してログアウトする。なお、メニュー画面32のデータ確認ボタンを押した場合は、図5(b)の登録画面33と同様の確認画面が表示される。確認画面は、データ確認用の画面であるため、登録画面33の全選択ボタン及び登録ボタンは表示されず、登録の項目には、登録済みであることを示す「登録済」又は未登録であることを示す「未登録」が表示される。また、口座処理を終えている場合には「口座処理済」と表示されるが、これについては後述する。
【0053】
承認者101は、営業店端末30を操作して、図4に示すログイン画面31で利用者ID及び暗証番号を入力してログインした後、承認操作を行う。図7は、承認者101がログインした際に営業店端末30に表示される画面例を示す図である。利用者IDから承認者101がログインしたことを認識した管理サーバ10は、営業店端末30の画面上に、図7(a)に示す承認者用のメニュー画面35を表示する。承認者用のメニュー画面35には、渉外担当者用のメニュー画面32に表示されるデータ登録ボタン及びデータ確認ボタンに加えて、データ承認ボタンが表示される。承認者101は、データ登録ボタン及びデータ確認ボタンを押して、渉外担当者100と同様にデータの修正、登録及び確認を行うことができる。
【0054】
承認者101は、メニュー画面35のデータ承認ボタンを押して、渉外担当者100が締め後入金データ112に登録した締め後入金処理のデータを承認する処理を開始する。データ承認ボタンが押されると、管理サーバ10は、営業店端末30の画面上に、図7(b)に示す承認画面36を表示する。承認画面36には、承認者101の利用者IDが表示される。管理サーバ10は、承認者101の利用者IDに基づいて、締め後入金データ112の中から、この承認者101と関連付けられた渉外担当者100が登録したデータを探索して承認画面36に表示する。すなわち、承認画面36には、ログイン中の承認者101に関連するデータが自動的に表示される。承認画面36には、承認者101による承認を要する締め後入金処理のデータ件数が「全件」として表示され、このうち承認者101がまだ承認していない締め後入金処理のデータ件数が「要承認」として表示される。
【0055】
例えば、承認画面36には、図7(b)に示すように、承認、処理ID、科目名、口座番号、登録金額、装置ID、入金金額、登録者ID、処理結果、詳細、編集、削除の項目が表示される。処理ID、科目名、口座番号、登録金額、装置ID、入金金額及び処理結果の項目は、図5に示した登録画面33の項目と同じである。登録者IDは、各データを登録した渉外担当者100の利用者IDである。図7(b)に示す承認画面36の例では、1人の渉外担当者100の登録者IDが表示されているが、承認画面36には、複数の渉外担当者100の登録者IDが、各渉外担当者100が登録したデータと共に表示される。なお、図7(b)に示す画面例では、画面上部に承認者101の利用者IDが表示されているが、利用者IDが、登録者IDと同様に、締め後入金データの項目の1つとして表示される態様であってもよい。
【0056】
承認の項目には、承認可能なデータのチェックボックスが表示される。承認者101は、チェックボックスにチェックを入れてデータを個別に選択したり、承認画面36の全選択ボタンを押して、承認可能な全てのデータを選択したりした後、承認ボタンを押してデータを承認することができる。承認者101が承認を終えたデータは、承認画面36で他のデータと区別可能に表示される。例えば、承認されたデータの承認の項目には「承認済」と表示される。
【0057】
なお、渉外担当者100が登録を終えていないデータがある場合は、このデータの承認の項目に「×」と表示されて、データを承認できない状態にあることが承認者101に報知される。報知を受けた承認者101は、例えば渉外担当者100に連絡して登録処理を行うよう指示することができる。また、承認者101は、承認画面36の詳細ボタンを押して、図5(b)に示す登録画面33を呼び出して修正画面34で必要に応じてデータを修正した後、渉外担当者100の代わりに自らデータを登録することもできる。
【0058】
承認者101は、図7(b)に示す承認画面36の編集の項目に表示された編集ボタンを押して、渉外担当者100による登録済みのデータの内容を変更することもできる。また、削除の項目に表示された削除ボタンを押して、渉外担当者100による登録済みのデータを削除することもできる。承認操作を終えた承認者101は、承認画面36の戻るボタンを押してメニュー画面35に戻り、メニュー画面35のログアウトボタンを押してログアウトする。
【0059】
図2に示すように、管理サーバ10は、締め後入金データ112からリエンタデータ113を作成して管理する(ステップS4)。本部端末40では、本部担当者200による、リエンタデータ113の出力と、リエンタデータ113に基づいて行われた口座処理の処理結果の登録とが行われる(ステップS5)。
【0060】
図8は、本部担当者200がログインした際に本部端末40に表示される画面例を示す図である。本部担当者200は、本部端末40を操作して、図4と同様のログイン画面で利用者ID及び暗証番号を入力してログインする。本部担当者200がログインしたことを認識した管理サーバ10は、本部端末40の画面上に、図8(a)に示す本部担当者用のメニュー画面41を表示する。
【0061】
本部担当者200が、メニュー画面41のデータ取得ボタンを押すと、管理サーバ10は、本部端末40の画面上に、図8(b)に示すデータ取得画面42を表示する。データ取得画面42は、ログイン当日の日付を選択した状態で表示されるが、本部担当者200は、データ取得画面42で日付を変更することもできる。本部担当者200が、ログイン当日の日付が選択された状態で、データ取得画面42の取得ボタンを押すと、管理サーバ10は、本部端末40の画面上に、図8(c)に示すリエンタデータ作成画面43を表示する。リエンタデータ作成画面43には、締め後入金データ112に登録されている、データ取得画面42で選択された日付のデータが表示される。本部担当者200が、メニュー画面41のリエンタデータ作成ボタンを押した場合も、図8(c)に示すリエンタデータ作成画面43が本部端末40に表示されて、締め後入金データ112に登録されているログイン当日のデータが一覧表示される。
【0062】
リエンタデータ作成画面43には、各営業店舗の承認者101が承認したデータ、すなわち締め後入金データ112で承認済みの状態にあるデータが表示される。例えば、リエンタデータ作成画面43には、選択、処理ID、店舗ID、科目名、口座番号、登録金額、装置ID、入金金額の項目が表示される。処理ID、科目名、口座番号、登録金額、入金金額及び処理結果の項目は、図5(b)に示した登録画面33及び図7(b)に示した承認画面36の項目と同じである。店舗IDの項目には、データの登録及び承認が行われた各営業店舗の店舗IDが表示される。図8(c)に示すリエンタデータ作成画面43の例では、1つの営業店舗の店舗IDが表示されているが、リエンタデータ作成画面43には、各営業店舗で登録、承認されたデータと共に、複数の営業店舗の店舗IDが表示される。
【0063】
リエンタデータ作成画面43の選択の項目には、選択可能なデータのチェックボックスが表示される。本部担当者200は、チェックボックスにチェックを入れてデータを個別に選択したり、リエンタデータ作成画面43の全選択ボタンを押して、選択可能な全てのデータを選択したりした後、リエンタファイル作成ボタンを押してリエンタデータのファイルを作成することができる。図2に示すように、締め後入金データ112に登録されて承認されたデータから、リエンタデータ113が作成される。図8(c)に示すリエンタデータ作成画面43の下部には、本部担当者200が選択したデータ件数が「件数」として表示され、選択したデータ含むリエンタデータが口座処理端末60で処理された場合に口座処理で処理される金額が「金額」として表示される。
【0064】
リエンタデータ作成画面43でリエンタファイル作成ボタンが押されると、本部端末40は、本部担当者200が選択した締め後入金処理のデータを含むリエンタデータのファイルを作成して記憶媒体50に書き込む。リエンタデータの作成を終えた本部担当者200は、リエンタデータ作成画面43の戻るボタンを押してメニュー画面41に戻り、メニュー画面41のログアウトボタンを押してログアウトする。
【0065】
本部担当者200は、記憶媒体50のリエンタデータのファイルを口座処理端末60に読み取らせて、口座処理端末60に口座処理を実行させる。具体的には、本部担当者200は、口座処理端末60を介して、口座処理サーバに口座処理を実行させる。口座処理の実行後、口座処理端末60は、リエンタデータに含まれる各締め後入金処理のデータの口座処理の処理結果を記憶媒体50に書き込む。
【0066】
口座処理端末60でリエンタデータの処理を終えた本部担当者200は、本部端末40に戻って、リエンタデータの処理結果を管理サーバ10に登録する処理を行う。図9は、リエンタデータの処理結果を登録する際に本部端末40に表示される画面例を示す図である。本部担当者200が本部端末40でログイン操作を行うと、図8(a)に示すメニュー画面41が表示される。本部担当者200がメニュー画面41のリエンタ結果登録ボタンを押して、記憶媒体50のリエンタデータに含まれている各締め後入金処理の口座処理結果を本部端末40に読み取らせると、図9に示す口座処理結果登録画面44が表示される。
【0067】
口座処理結果登録画面44には、図8(c)に示すリエンタデータ作成画面43で選択された各データについて、口座処理端末60を利用して実行された口座処理の処理結果が表示される。口座処理結果登録画面44の上部には、リエンタデータを利用して処理された、締め後入金処理の日付が対象日付として表示される。また、リエンタデータを利用して処理された締め後入金処理のデータ件数が「全件」として表示され、このうち口座処理を正常に終了した締め後入金処理のデータ件数が「処理済」として表示され、口座処理を正常に処理できなかったデータ件数が「処理失敗」として表示される。口座処理結果登録画面44の下部には、正常に終了した締め後入金処理の口座処理で、各顧客口座に入金された金額の合計金額が「リエンタ金額」として表示される。
【0068】
例えば、口座処理結果登録画面44には、処理ID、店舗ID、科目名、口座番号、登録金額、装置ID、入金金額、リエンタ結果の項目が表示される。リエンタ結果以外の項目は、図8(c)に示したリエンタデータ作成画面43の項目と同じである。リエンタ結果の項目には、口座処理端末60で処理された際に口座処理が正常に終了したか否かを示す情報が表示される。図9に示すように、口座処理端末60を利用して口座処理を正常に終了したデータのリエンタ結果の項目には「○」と表示される。
【0069】
本部担当者200が口座処理結果登録画面44の結果登録ボタンを押すと、管理サーバ10は、図2に示すように、口座処理結果を含むリエンタデータ113に基づいて、現金データ111を更新することができる(ステップS6)。例えば、締め後入金データ112への登録と承認、リエンタデータ113への登録を経て、口座処理を正常に終えたデータの入金金額が確定済み現金の金額となって、現金データ111に登録されている、現金処理装置20の装置内にある確定済み現金の金額に加算される。すなわち、締め処理時に確定していた現金処理装置20の装置内にある現金の情報が、締め後入金処理で現金処理装置20に入金された現金の情報に基づいて更新される。この結果、各営業店舗の現金処理装置20内に収納された後、装置内の他の確定済み現金と区別して管理されていた現金が、確定済み現金に変更され、翌日の営業店舗の営業で利用できるようになる。
【0070】
図9の口座処理結果登録画面44には示していないが、口座処理端末60でリエンタデータの処理を実行した際に正常に処理されなかったデータは、正常に処理されたデータと区別可能に表示される。例えば、リエンタ結果の項目に「×」と表示されて、口座処理に失敗したことが本部担当者200に報知される。また、例えば、口座処理端末60を利用して口座処理が実行された際に記録された、失敗の原因を示す情報がリエンタ結果の項目に表示される。報知を受けた本部担当者200は、管理サーバ10で管理されている締め後入金データ112を確認し、口座処理が失敗した原因を調査して適宜対応をとることができる。例えば、締め後入金データ112に登録された口座番号に誤りがあり、実在しない口座番号となっていたために口座処理が失敗していた場合、リエンタ結果の項目に「×(口座番号の異常)」と表示される。これを確認した本部担当者200は、締め後入金データ112の口座番号を確認したり、営業店舗の渉外担当者100又は承認者101に修正を指示したりすることができる。
【0071】
口座処理結果登録画面44で結果登録ボタンが押された際、管理サーバ10は、締め後入金データ112に登録されているデータを更新する。このデータ更新後に、渉外担当者100が図5(a)に示すメニュー画面32でデータ登録ボタン又はデータ確認ボタンを押すと、図5(b)の登録画面33又はこれと同様の確認画面で、口座処理を正常終了したデータの登録の項目に「口座処理済」と表示される。同様に、承認者101が図7(a)に示すメニュー画面35のデータ登録ボタン又はデータ確認ボタンを押すと、図7(b)に示す承認画面36又は確認画面で、口座処理を正常終了したデータの承認の項目に「口座処理済」と表示される。すなわち、管理サーバ10は、締め後入金処理に係る口座処理が完了したか否かの確認を求める外部装置に対して、口座処理の結果を示す情報を出力することができる。これにより、各営業店舗の渉外担当者100及び承認者101は、締め後入金処理の口座処理が正常に終了したことを確認できるようになっている。
【0072】
本実施形態では、営業店端末30及び本部端末40で行われた操作を受けて登録画面33、承認画面36、口座処理結果登録画面44等の画面を表示する際に、対応が必要なデータや処理できないデータを操作者に報知する例を示したが、現金処理システム1は、この他にも報知処理を実行することができる。
【0073】
例えば、渉外担当者100が現金処理装置20で締め後入金処理を実行して、現金処理装置20から管理サーバ10へ締め後入金処理に関する情報が送信されると、管理サーバ10は、営業店端末30及び本部端末40にこれを報知することができる。具体的には、管理サーバ10は、営業店端末30及び本部端末40の画面上に、締め後入金処理に関する処理が必要となったことを示す情報を表示する。このとき、営業店端末30の画面上に、締め後入金処理を実行した渉外担当者100の利用者IDを表示させることもできる。また、本部端末40の画面上に、締め後入金処理を実行した営業店舗の店舗IDを表示させることもできる。報知処理は、営業店端末30及び本部端末40が使用されていないときにも実行されるため、報知時に、営業店端末30及び本部端末40で報知音を再生することも可能となっている。これにより、報知を受けた承認者101及び本部担当者200は、締め後入金処理の処理が必要になったことを認識して、必要な作業を開始することができる。
【0074】
本実施形態では、店舗内にある現金の金額を確定する締め処理が行われた後に締め後入金処理が行われる例を説明したが、現金処理システム1が処理対象とする締め後入金処理が、締め処理の前に行われる態様であってもよい。締め後入金処理は、締め処理が行われた後にリエンタデータを利用して口座に入金される現金を現金処理装置20へ入金する入金処理である。よって、現金処理システム1では、締め処理の前に行われた締め後入金処理がある場合でも、このとき入金された現金を上述したようにリエンタデータを利用して口座に入金することができる。
【0075】
上述したように、現金処理システムでは、金融機関の営業店舗の営業終了後、締め処理を行って店舗内にある現金の金額が確定された後に、店舗の現金処理装置で締め後入金処理によって入金された現金の金額と口座情報とを、管理サーバで一括管理することができる。本部にある本部端末を利用して、各営業店舗で行われた締め後入金処理の入金金額と口座情報からリエンタデータを作成して、口座処理用の所定端末で口座処理を実行させることにより、締め後入金処理が実行された当日中に口座処理を完了することができる。また、口座処理の完了後に、管理サーバがデータを更新することにより、締め後入金処理で現金処理装置に入金された現金の所有権を顧客から銀行へ変更することができる。これにより、翌日の営業店舗の営業を開始する際、前日の締め処理完了後に現金処理装置に入金された現金の処理を行う必要がなくなり、営業店舗における営業開始前の作業負担が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本開示に係る現金処理システム、現金処理方法及び現金処理プログラムは、金融機関店舗の営業終了後に、現金処理装置に入金された現金の口座処理を容易に実行するために有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 現金処理システム
2 ネットワーク
10 管理サーバ
20 現金処理装置
30(30a、30b) 営業店端末
40 本部端末
50 記憶媒体
60 口座処理端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9