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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036813
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】機能性食品組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/22 20160101AFI20240311BHJP
   A23L 25/00 20160101ALI20240311BHJP
【FI】
A23L33/22
A23L25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141301
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】591188170
【氏名又は名称】太田油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121784
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 稔
(72)【発明者】
【氏名】長坂 泉紀
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆平
(72)【発明者】
【氏名】江戸 健太
【テーマコード(参考)】
4B018
4B036
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB10
4B018MD57
4B018ME11
4B018ME12
4B018MF07
4B036LC06
4B036LH13
4B036LH28
4B036LH35
4B036LP02
4B036LP05
4B036LP07
(57)【要約】
【課題】アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後のアーモンドミールを有効に利用して、ヒトが食することにより健康維持の効果を有し、特にヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物は、アーモンド種子を焙煎・搾油した後の脱脂粕を有効成分として含有することを特徴とする。また、その製造方法は、アーモンド種子を焙煎する焙煎工程と、焙煎工程後のアーモンド種子からアーモンド油を分離する搾油工程とからなり、搾油工程後の脱脂粕を有効成分とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物であって、アーモンド種子を焙煎・搾油した後の脱脂粕を有効成分として含有することを特徴とする機能性食品組成物。
【請求項2】
毎日継続して所定量を経口摂取することにより、腸内環境を強化することを特徴とする請求項1に記載の機能性食品組成物。
【請求項3】
前経口摂取する所定量とは、常温乾燥状態で20g/日以上であることを特徴とする請求項2に記載の機能性食品組成物。
【請求項4】
尿中インドキシル硫酸の減少を1つの要因として腸内環境を強化することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物。
【請求項5】
尿中尿素窒素の増加を1つの要因として腸内環境を強化することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物。
【請求項6】
唾液中IgAの増加を1つの要因として免疫機能を強化することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物。
【請求項7】
アーモンド種子を焙煎する焙煎工程と、焙煎工程後のアーモンド種子からアーモンド油を分離する搾油工程とからなり、搾油工程後の脱脂粕を有効成分としてヒトの腸内環境を強化することを特徴とする機能性食品組成物の製造方法。
【請求項8】
前記搾油工程後の脱脂粕を粉砕する粉砕工程を有することを特徴とする請求項7に記載の機能性食品組成物の製造方法。
【請求項9】
前記搾油工後の脱脂粕に含まれる油分は、10重量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の機能性食品組成物の製造方法。
【請求項10】
前記焙煎工程において、焙煎温度は、140℃~180℃の範囲内にあることを特徴とする請求項7~9のいずれか1つに記載の機能性食品組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーモンド種子は、タンパク質に加えて、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸、食物繊維などを豊富に含む、栄養価の高いナッツの一種である。また、アーモンド種子は、油脂を多量に含む油糧種子として、植物油脂原料にも使用されている。
【0003】
近年、世界共通の目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)における廃棄物の削減・再利用の観点から、未活用資源に注目が集まっている。アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後の脱脂粕(以下「アーモンドミール」ともいう)は、タンパク質源としても有効であり、既に家畜飼料に供されている大豆の搾り粕(大豆ミール)に代わり得ると研究が進められている。
【0004】
一方、アーモンド種子は、ナッツとしての嗜好品やアーモンド油として利用されるだけでなく、栄養成分が豊富なことからヒトへの健康効果が期待もされている。例えば、下記特許文献1には、アーモンド種皮またはその抽出物を配合した飲食物が提案されている。これは、アーモンド種子に多く含まれている抗酸化物であるトコフェロールを有効に利用した健康食品の提案である。これに対して、アーモンドミールは、タンパク質の他にも搾油後であっても食物繊維やトコフェロールなどの栄養成分が豊富に保持されている。しかし、これまでアーモンドミールを取り入れたヒト用の健康食品の開発は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-032953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後のアーモンドミールを有効に利用して、ヒトが食することにより健康維持の効果を有し、特にヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、アーモンド種子を焙煎すると共に、その後に搾油してアーモンドミールに残留する油分の量を所定量より少なくすることにより、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明に係る機能性食品組成物は、請求項1の記載によれば、
ヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物であって、アーモンド種子を焙煎・搾油した後の脱脂粕を有効成分として含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の機能性食品組成物であって、
毎日継続して所定量を経口摂取することにより、腸内環境を強化することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載の機能性食品組成物であって、
前経口摂取する所定量とは、常温乾燥状態で20g/日以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物であって、
尿中インドキシル硫酸の減少を1つの要因として腸内環境を強化することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物であって、
尿中尿素窒素の増加を1つの要因として腸内環境を強化することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載の機能性食品組成物であって、
唾液中IgAの増加を1つの要因として免疫機能を強化することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る機能性食品組成物の製造方法は、請求項7の記載によれば、
アーモンド種子を焙煎する焙煎工程と、焙煎工程後のアーモンド種子からアーモンド油を分離する搾油工程とからなり、搾油工程後の脱脂粕を有効成分としてヒトの腸内環境を強化することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載の機能性食品組成物の製造方法であって、
前記搾油工程後の脱脂粕を粉砕する粉砕工程を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項7に記載の機能性食品組成物の製造方法であって、
前記搾油工後の脱脂粕に含まれる油分は、10重量%以下であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項7~9のいずれか1つに記載の機能性食品組成物の製造方法であって、
前記焙煎工程において、焙煎温度は、140℃~180℃の範囲内にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、本発明に係る機能性食品組成物は、ヒトの腸内環境を強化するための食品組成物であって、アーモンド種子を焙煎・搾油した後の脱脂粕を有効成分として含有する。また、機能性食品組成物は、毎日継続して所定量を経口摂取するようにしてもよい。また、この所定量とは、常温乾燥状態で20g/日以上であってもよい。
【0019】
よって、上記構成によれば、アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後のアーモンドミールを有効に利用して、ヒトが食することにより健康維持の効果を有し、特にヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物を提供することができる。
【0020】
また、この機能性食品組成物は、尿中インドキシル硫酸の減少を1つの要因として腸内環境を強化するものであってもよい。また、この機能性食品組成物は、尿中尿素窒素の増加を1つの要因として腸内環境を強化するものであってもよい。また、この機能性食品組成物は、唾液中IgAの増加を1つの要因として免疫機能を強化するものであってもよい。これらのことにより、上記作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0021】
また、上記構成によれば、本発明に係る機能性食品組成物の製造方法は、アーモンド種子を焙煎する焙煎工程と、焙煎工程後のアーモンド種子からアーモンド油を分離する搾油工程とからなり、搾油工程後の脱脂粕を有効成分とする。また、この製造方法は、搾油工程後の脱脂粕を粉砕する粉砕工程を有していてもよい。また、この製造方法は、搾油工程後の脱脂粕に含まれる油分を10重量%以下とするものであってもよい。また、この製造方法は、焙煎工程における焙煎温度を140℃~180℃の範囲内としてもよい。
【0022】
よって、上記構成によれば、アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後のアーモンドミールを有効に利用して、ヒトが食することにより健康維持の効果を有し、特にヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る機能性食品組成物の製造方法を示す工程フロー図である。
図2】機能性食品の機能評価(全体解析)の結果であって、(A)尿中インドキシル硫酸、(B)尿中尿素窒素、(C)唾液中IgAの値を示すグラフである。
図3】機能性食品の機能評価(性別によるサブグループ解析)の結果であって、男性群における唾液中IgAの値を示すグラフである。
図4】機能性食品の機能評価(年齢別によるサブグループ解析)の結果であって、(A)低年齢群における唾液中IgA、(B)高年齢群における尿中インドキシル硫酸、(C)高年齢群における尿中尿素窒素の値を示すグラフである。
図5】機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、尿中インドキシル硫酸高値群における尿中インドキシル硫酸の値を示すグラフである。
図6】機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、尿中尿素窒素低値群における尿中尿素窒素の値を示すグラフである。
図7】機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、唾液中IgA低値群における唾液中IgAの値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明に係る機能性食品組成物を製造方法により説明する。ここで、本発明に係る機能性食品組成物とは、ヒトが摂取することにより、主としてヒトの腸内環境を強化する食品組成物であって、アーモンド種子を焙煎・搾油した後の脱脂粕を有効成分として含有するものをいう。ここで、脱脂粕とは、焙煎したアーモンド種子を搾油してアーモンド油を分離したものであって、アーモンドミールともいう。アーモンドミールに関しては、一般用食品としてアーモンド種子を搾油せずに粉砕したものをいうこともあるが、本発明においては搾油後のものに限定する。
【0025】
また、本発明に係る機能性食品組成物は、脱脂粕(アーモンドミール)を有効成分として含有するものであるが、当該有効成分以外の含有物について特に限定するものではない。また、本発明においては、有効成分である脱脂粕(アーモンドミール)のみからなる機能性食品組成物を含むものとする。
【0026】
≪機能性食品組成物の製造方法≫
図1は、本発明に係る機能性食品組成物の製造方法を示す工程フロー図である。以下、アーモンド種子を原料として、アーモンドミールが製品となる工程を説明する。
【0027】
1.焙煎工程
図1において、選別済みアーモンド種子を原料として、これを焙煎する。焙煎装置は、特に限定するものではなく、一般的に豆類の焙煎に使用される装置を使用すればよい。例えば、スクリュー式の直下焙煎装置などを使用してもよい。また、焙煎温度と時間は、焙煎するアーモンド種子の量と状態により適宜選定する。焙煎温度としては、例えば、140℃~180℃の範囲内にあることが好ましい。この範囲内の温度で焙煎することにより、最終製品のアーモンドミールの感応価値(風味)を高め、理化学的効果(菌数削減)を発揮することができる。
【0028】
2.搾油工程
次に、焙煎後のアーモンド種子からアーモンド油を搾油する。搾油装置は、特に限定するものではなく、一般的なエクスペラー圧搾式の搾油装置などを使用してもよい。また、圧搾条件は、焙煎されたアーモンド種子の量と状態により適宜選定する。なお、本発明においては、搾油後の脱脂ミール(中間品)に残留する油分の量を適宜調整することが好ましい。最終製品のアーモンドミール中に残留する油分の量は、10重量%以下とすることが好ましく、7重量%以下とすることがより好ましい。残留する油分の量を10重量%以下とすることにより、アーモンドミールのカロリー低減となり、健康維持の効果を有して腸内環境を強化することができる。
【0029】
なお、図1の破線矢印で示すように、搾油後の脱脂ミールを次工程で粉砕することなく、この状態のままアーモンドミール(製品)としてもよい。一方、搾油して得られたアーモンド油は、焙煎の効果で風味豊かなロースト・アーモンドオイルとして食品などに活用される。
【0030】
3.粉砕工程
次に、搾油後の脱脂ミール(中間品)を所定の粒度に粉砕する。粉砕装置は、特に限定するものではなく、一般的な粉砕装置を使用すればよい。また、粉砕条件は、アーモンドミール(製品)に要求される粒度により、粗粉砕から微粉砕まで複数段階で粉砕するようにしてもよい。
【0031】
4.篩分工程
次に、粉砕したアーモンドミールを篩分機により篩分して、アーモンドミール(製品)に要求される粒度に均質化する。篩分装置は、特に限定するものではなく、一般的な篩分装置を使用すればよい。また、篩分に使用するメッシュのサイズは、適宜選定すればよい。例えば、粗粉砕後には3mmスクリーンで篩分し、微粉砕後には30メッシュで篩分するなど、粉砕工程と篩分工程とを組み合わせて複数段階としてもよい。
【0032】
5.アーモンドミール(製品)
上記のようにして製造されたアーモンドミールは、所定の粒度をもつ粒体又は粉体である。このアーモンドミールは、焙煎工程を経ることにより風味が豊かで、搾油工程を経ることにより油分が10重量%以下となりカロリーが低い。また、搾油工程を経ることにより、アーモンド種子の有する栄養価値が凝縮されることになる。このように、本発明に係るアーモンドミールは、栄養価値が高く、低カロリーで、風味豊かな機能性食品組成物を構成する。
【0033】
本発明者らの分析結果の一例によれば、タンパク質が45.7g/100g、脂分6.4g/100g、炭水化物37.1g/100g、糖質16.7g/100g、食物繊維20.4g/100g、エネルギー348kcal/100gなどの値が得られている。また、各種アミノ酸も豊富に含んでおり、更に、リボフラビン(ビタミンB)やトコフェロール(ビタミンE)などが豊富で抗酸化作用が期待される。
【0034】
6.機能性食品の作製
次に、得られたアーモンドミール(粉体)を使用した機能性食品として、アーモンドミール・バーを作製した。具体的には、アーモンドミール20gを含有するスティック状の機能性食品30g/1本を作製した。このアーモンドミール・バーは、アーモンドミール、マーガリン、砂糖、発酵バター、卵黄、小麦デンプンなどを含有する。
【0035】
次に、本発明に係る機能性食品の機能評価について説明する。ここでは、上述のようにして作製した機能性食品(アーモンドミール・バー)を使用して行った摂取試験を説明し、ヒトの腸内環境を強化する効果を確認した。なお、ヒトの腸内環境を強化する効果については、1つの要因として尿中インドキシル硫酸の減少を確認した。また、1つの要因として尿中尿素窒素の増加を確認した。更に、1つの要因として唾液中IgAの増加から免疫機能の強化を確認した。
【0036】
≪機能性食品の機能評価(摂取試験)≫
試験デザイン:単群前後比較試験
試験食品:アーモンドミール・バー
被検対象者:20歳以上65歳未満の健常な日本人男女20名
有効性解析対象者:19名(男性9名、女性10名)
摂取方法:試験食品を2週間毎日、1日20gを時間指定せず摂取
評価項目:
主要評価項目:腸内環境(尿中インドキシル硫酸)
副次評価項目:タンパク質充足検査(尿中尿素窒素)
免疫検査(唾液中IgA)
本発明に係る機能性食品の機能評価の解析結果を以下に示す。
【0037】
全体解析:
有効性解析対象者の全員を対象として、腸内環境を評価する尿中インドキシル硫酸、タンパク質充足状態を評価する尿中尿素窒素、及び、免疫状態を評価する唾液中IgAを解析した。図2は、機能性食品の機能評価(全体解析:n=19)の結果であって、(A)尿中インドキシル硫酸、(B)尿中尿素窒素、(C)唾液中IgAの値を示すグラフである。図2(A)において、尿中インドキシル硫酸の値は、2週間の摂取後において減少していた(摂取前:40.37mg/gCr、摂取後:35.06mg/gCr)。一方、図2(B)において、尿中尿素窒素の値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:5748.95mg/gCr、摂取後:6327.12mg/gCr)。また、図2(C)において、唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:216.20μg/min、摂取後:225.32μg/min)。
【0038】
次に、各評価項目について詳細な解析を行うために、有効性解析対象者を階層別に分けてサブグループ解析を行った。具体的には、まず、性別(男性群と女性群)と年齢別(高年齢群と低年齢群)とに分けて解析した。更に、各項目で特異な値を示す群(高値群と低値群)に分けて解析した。
【0039】
性別によるサブグループ解析:
尿中インドキシル硫酸、尿中尿素窒素、唾液中IgAについて性別によるサブグループ解析を行ったところ、男性群における唾液中IgAに関して有意な増加を確認した。図3は、機能性食品の機能評価(性別によるサブグループ解析)の結果であって、男性群(n=9)における唾液中IgAの値を示すグラフである。図3において、男性被験者の唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:81.60μg/min、摂取後:252.76μg/min)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.008であり、唾液中IgAの有意な増加と判断された。
【0040】
年齢別によるサブグループ解析:
尿中インドキシル硫酸、尿中尿素窒素、唾液中IgAについて年齢別によるサブグループ解析を行ったところ、低年齢群における唾液中IgAに関して有意な増加を確認した。また、高年齢群における尿中インドキシル硫酸に関して有意な減少を確認した、更に、高年齢群における尿中尿素窒素に関して増加の有意傾向を確認した。
【0041】
図4は、機能性食品の機能評価(年齢別によるサブグループ解析)の結果であって、(A)低年齢群(n=9)における唾液中IgA、(B)高年齢群(n=10)における尿中インドキシル硫酸、(C)高年齢群(n=10)における尿中尿素窒素の値を示すグラフである。図4(A)において、低年齢被験者の唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:46.86μg/min、摂取後:105.14μg/min)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.046であり、低年齢群における唾液中IgAの有意な増加と判断された。
【0042】
一方、図4(B)において、高年齢被験者の尿中インドキシル硫酸の値は、2週間の摂取後において減少していた(摂取前:55.15mg/gCr、摂取後:36.63mg/gCr)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.037であり、高年齢群における尿中インドキシル硫酸の有意な減少と判断された。また、図4(C)において、高年齢被験者の尿中尿素窒素の値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:6202.52mg/gCr、摂取後:7146.93mg/gCr)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.071であり、高年齢群における尿中尿素窒素の増加の有意傾向があると判断された。
【0043】
尿中インドキシル硫酸高値群のサブグループ解析:
腸内環境を評価する指標である尿中インドキシル硫酸の値が高いサブグループについて解析を行ったところ、尿中インドキシル硫酸高値群における尿中インドキシル硫酸に関して有意な減少を確認した。図5は、機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、尿中インドキシル硫酸高値群(n=10)における尿中インドキシル硫酸の値を示すグラフである。図5において、尿中インドキシル硫酸高値被験者の唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:63.40mg/gCr、摂取後:41.10mg/gCr)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.022であり、尿中インドキシル硫酸高値群における尿中インドキシル硫酸の有意な減少と判断された。
【0044】
尿中尿素窒素低値群のサブグループ解析:
タンパク質充足状態を評価する指標である尿中尿素窒素の値が低いサブグループについて解析を行ったところ、尿中尿素窒素低値群における尿中尿素窒素に関して増加の有意傾向を確認した。図6は、機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、尿中尿素窒素低値群(n=10)における尿中尿素窒素の値を示すグラフである。図6において、尿中尿素窒素低値被験者の唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:4452.73mg/gCr、摂取後:5589.50mg/gCr)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.071であり、尿中尿素窒素低値群における尿中尿素窒素の増加の有意傾向があると判断された。
【0045】
唾液中IgA低値群のサブグループ解析:
まず、免疫状態を評価する指標である唾液中IgAの値が低いサブグループについて解析を行ったところ、唾液中IgA低値群における唾液中IgAに関して有意な増加を確認した。図7は、機能性食品の機能評価(サブグループ解析)の結果であって、唾液中IgA低値群(n=10)における唾液中IgAの値を示すグラフである。図7において、唾液中IgA低値被験者の唾液中IgAの値は、2週間の摂取後において増加していた(摂取前:38.80μg/min、摂取後:147.95μg/min)。なお、このデータでは、統計的仮説検定におけるP値が0.022であり、唾液中IgA低値群における唾液中IgAの有意な増加と判断された。
【0046】
まとめ:
アーモンドミールを含有する機能性食品(アーモンドミール・バー)を2週間毎日摂取(アーモンドミールとして1日20g)したところ、上記摂取試験において下記の結果を得た。
(1)高齢者群及び尿中インドキシル硫酸高値群において、尿中インドキシル硫酸の有意な減少が認められた。よって、腸内環境が悪いヒトが摂取することにより腸内環境を改善する効果があると考えられる。
(2)高齢者群及び尿中尿素窒素低値群において、尿中尿素窒素の増加の有意傾向が認められた。よって、タンパク質摂取量が少ないヒトが摂取することによりタンパク質摂取量を改善する効果があると考えられる。
(3)唾液中IgAについて、全被験者での解析で増加の有意傾向が認められ、男性群、低年齢群及び唾液中IgA低値群において、唾液中IgAの有意な増加が認められた。よって、唾液中IgAが増加する効果があると考えられる。特に、男性、低年齢、唾液中IgAが少ないヒトが摂取することにより顕著な効果があると考えられる。
【0047】
以上説明したように、本発明によれば、アーモンド種子からアーモンド油を搾油した後のアーモンドミールを有効に利用して、ヒトが食することにより健康維持の効果を有し、特にヒトの腸内環境を強化するための機能性食品組成物及びその製造方法を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7