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特開2024-36816手術支援システムおよび操作装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036816
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】手術支援システムおよび操作装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240311BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141304
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 裕介
(57)【要約】
【課題】内視鏡の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制することが可能な手術支援システムを提供する。
【解決手段】遠隔操作装置200は、手術器具1に対する操作を受け付けるように構成され、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを含む右手用の操作部110R、および、手術器具1に対する操作を受け付けるように構成され、サーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを含む左手用の操作部110Lを含む。第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。
【選択図】図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、
前記第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部、および、前記第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、手術支援システム。
【請求項2】
前記操作装置は、操作者によって操作されている期間中、前記第1操作部と前記第2操作部とによる前記内視鏡を移動させる操作を受け付け可能とする入力装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記入力装置が操作された時点での前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1操作部と、前記第2操作部とを結ぶ線分の中点を設定し、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記中点と前記第1操作部との間の距離が維持され、かつ、前記中点と前記第2操作部との間の距離が維持されるように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項4】
前記中点は、前記第1操作部の第1ジンバル点と、前記第2操作部の第2ジンバル点とを結ぶ線分の中点である、請求項3に記載の手術支援システム。
【請求項5】
前記第1操作部および前記第2操作部の基準座標系は、
前記操作装置が配置される床面に垂直な方向を第1軸とし、
前記第1軸に直交し、前記操作装置を操作する操作者の前後方向を第2軸とし、
前記第1軸および前記第2軸に直交する方向を第3軸とし、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1軸および前記第3軸を含む平面上において、前記中点と前記第1操作部との間の距離が維持され、かつ、前記中点と前記第2操作部との間の距離が維持されるように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、請求項3に記載の手術支援システム。
【請求項6】
前記第1操作部および前記第2操作部の基準座標系は、
前記操作装置が配置される床面に垂直な方向を第1軸とし、
前記第1軸に直交し、前記操作装置を操作する操作者の前後方向を第2軸とし、
前記第1軸および前記第2軸に直交する方向を第3軸とし、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記第2軸方向への移動を含む前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第2軸方向に移動した前記第1軸および前記第3軸を含む平面上において、前記第1操作部と前記中点との間の距離を維持するように、かつ、前記第2操作部と前記中点との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、請求項3に記載の手術支援システム。
【請求項7】
前記操作装置は、
前記内視鏡により撮影された画像が表示され、水平面に対して傾斜するように回動する表示部と、
前記表示部の水平面に対する傾きを検出する傾き検出センサと、を含み、
前記制御装置は、前記傾き検出センサに検出された傾きに基づいて、前記第1軸および前記第3軸を含む平面を傾けるように構成されている、請求項5に記載の手術支援システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部との両方を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項9】
前記第1操作部は、第1アーム部と、第1リスト部と、をさらに有し、
前記第2操作部は、第2アーム部と、第2リスト部と、をさらに有し、
前記第1駆動部は、前記第1アーム部に配置され、
前記第2駆動部は、前記第2アーム部に配置されている、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項10】
内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、前記第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部および前記第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、制御装置と、を備える手術支援システムにおける前記操作装置の制御方法であって、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けることと、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記制御装置が、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御することと、を備える、操作装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、手術支援システムおよび操作装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術器具が取り付けられるロボットアームを備える手術支援システムが知られている。特許文献1には、マニピュレータアームと、マニピュレータアームを操作するマスターコントロールコンソールと、を備えるロボット手術システムが開示されている。マスターコントロールコンソールには、操作者の右手および左手によって各々操作される一対のマスターコントローラが配置されている。マニピュレータアームは、複数配置されている。マニピュレータアームには、外科手術器具、または、内視鏡が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0283876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のような従来のロボット手術システムでは、内視鏡が取り付けられているマニピュレータアームの操作は、内視鏡の移動を可能にするフットペダルが操作者により踏み込まれた状態で、操作者が一対のマスターコントローラの両方を同時に操作することにより実行される。一方、外科手術器具が取り付けられているマニピュレータアームの操作は、操作者によるフットペダルの踏み込みが解除された状態で、操作者が一対のマスターコントローラのいずれかを操作させることにより実行される。ここで、操作者によってフットペダルが踏み込まれた状態で、操作者が一対のマスターコントローラの両方を同時に操作した際に、一対のマスターコントローラの相対的な位置が変化して一対のマスターコントローラの相対的な距離が変化すると、外科手術器具が取り付けられているマニピュレータアームの操作を再開する際に、操作者が違和感を覚える。この場合、操作者は、一対の操作部としてのマスターコントローラの相対的な位置関係を元に戻す動作を行う。このため、操作者の不要な動作が生じるという問題点がある。
【0005】
この開示は、内視鏡の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制することが可能な手術支援システムおよび操作装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面による手術支援システムは、内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部、および、第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、制御装置と、を備え、制御装置は、第1操作部と第2操作部とによって、内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、第1操作部と第2操作部との間の距離を維持するように、第1駆動部と第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する。
【0007】
本開示の第1の局面による手術支援システムでは、制御装置は、第1操作部と第2操作部とによって、内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、第1操作部と第2操作部との間の距離を維持するように、第1駆動部と第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、内視鏡の移動後の第1操作部と第2操作部との間の距離が、内視鏡の移動前と同じになる。このため、操作者は、第1操作部と第2操作部との相対的な位置関係を元に戻す動作を行う必要がない。その結果、内視鏡の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制できる。
【0008】
本開示の第2の局面による操作装置の制御方法は、内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部および第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、制御装置と、を備える手術支援システムにおける操作装置の制御方法であって、第1操作部と第2操作部とによって、内視鏡を移動させる操作を受け付けることと、第1操作部と第2操作部とによって、内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、制御装置が、第1操作部と第2操作部との間の距離を維持するように、第1駆動部と第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御することと、を備える。
【0009】
本開示の第2の局面による操作装置の制御方法は、上記のように、第1操作部と第2操作部とによって、内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、制御装置が、第1操作部と第2操作部との間の距離を維持するように、第1駆動部と第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御すること、を備える。これにより、内視鏡の移動後の第1操作部と第2操作部との間の距離が、内視鏡の移動前と同じになる。このため、操作者は、第1操作部と第2操作部との相対的な位置関係を元に戻す動作を行う必要がない。その結果、内視鏡の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制することが可能な手術支援システムの制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、内視鏡の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による手術支援システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による医療用台車の表示部を示す図である。
図3】一実施形態による医療用台車の構成を示す図である。
図4】一実施形態によるロボットアームの構成を示す図である。
図5】鉗子を示す図である。
図6】一実施形態によるアーム操作部の構成を示す斜視図である。
図7】ロボットアームの並進移動を説明するための図である。
図8】ロボットアームの回転移動を説明するための図である。
図9】内視鏡を示す図である。
図10】ピボット位置設定器具を示す図である。
図11】一実施形態による操作部を示す図である。
図12】一実施形態による右手用のリスト部を示す図である。
図13】一実施形態による左手用のリスト部を示す図である。
図14】リスト部のA25軸線およびA26軸線を含む平面で切断した断面図である。
図15】リスト部のA26軸線およびA27軸線を含む平面で切断した断面図である。
図16】一実施形態によるフットペダルを示す斜視図である。
図17】一実施形態による手術支援ロボットの制御ブロック図である。
図18】一実施形態によるロボットアームの制御ブロック図である。
図19】一実施形態によるポジショナおよび医療用台車の制御ブロック図である。
図20】一実施形態による操作部の制御ブロック図である。
図21】一実施形態による遠隔操作装置の側面図である。
図22】モニタが傾斜した状態を示す図である。
図23】操作者とHC座標系とを示す図である。
図24】手術器具と内視鏡と内視鏡座標系とを示す図である。
図25】仮想平面の設定を説明するための図である。
図26】内視鏡の移動を説明するための図である。
図27】操作部に対する指令値の生成方法を説明するための図である。
図28】一対の操作部がYb方向にずれた状態を示す図である。
図29】一対の操作部がXb方向にずれた状態を示す図である。
図30】一対の操作部がZb方向にずれた状態を示す図である。
図31】一実施形態による手術支援システムの制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(手術支援システムの構成)
本実施形態による手術支援システム500の構成について説明する。手術支援システム500は、手術支援ロボット100と、遠隔操作装置200と、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400と、を備えている。手術支援ロボット100および遠隔操作装置200は、それぞれ、手術装置および操作装置の一例である。
【0013】
なお、本願明細書において、手術器具1の長手方向をZ方向とする。手術器具1の先端側をZ1側とし、手術器具1の基端側をZ2側とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。なお、手術器具1は、第1手術器具および第2手術器具の一例である。
【0014】
また、本願明細書において、入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た左右方向をXa方向とする。右方向を、Xa1方向とし、左方向を、Xa2方向とする。入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た前後方向をYa方向とする。前方向をYa1方向とし、後方向をYa2方向とする。手術支援ロボット100が配置される床面に対して垂直な方向をZa方向とする。上方向をZa1方向とし、下方向をZa2方向とする。
【0015】
また、本願明細書において、遠隔操作装置200が配置される床面に垂直な方向をZb方向とし、Zb方向に直交し、操作部110を操作する操作者の前後方向をYb方向とし、Zb方向およびYb方向に直交する方向をXb方向とする。Zb方向において、上方向をZb1方向とし、下方向をZb2方向とする。Yb方向において、一方側をYb1方向とし、他方側をYb2方向とする。Xb方向において、一方側をXb1方向とし、他方側をXb2方向とする。また、Xb方向、Yb方向およびZb方向を、それぞれ、Xb軸、Yb軸およびZb軸を呼ぶ場合がある。Xb軸、Yb軸およびZb軸は、それぞれ、第3軸、第2軸、および、第1軸の一例である。
【0016】
図1に示すように、手術支援ロボット100は、手術室内に配置されている。遠隔操作装置200は、手術支援ロボット100から離間した位置に配置されている。遠隔操作装置200は、手術器具1に対する操作を受け付ける。具体的には、医師などの操作者は、手術支援ロボット100に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置200に入力する。遠隔操作装置200は、入力された指令を手術支援ロボット100に送信する。手術支援ロボット100は、受信した指令に基づいて動作する。手術支援ロボット100は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。
【0017】
(手術支援ロボットの構成)
図1に示すように、手術支援ロボット100は、医療用台車10と、台車ポジショナ操作部20と、ポジショナ30と、アームベース40と、複数のロボットアーム50と、各ロボットアーム50に設けられたアーム操作部60と、を備えている。アーム操作部60は、操作部の一例である。
【0018】
図3に示すように、台車ポジショナ操作部20が、医療用台車10の後方に台車ポジショナ操作支持部21により支持されており、台車ポジショナ操作部20が操作されることで、医療用台車10またはポジショナ30が移動される。台車ポジショナ操作部20は、入力装置22と、操作ハンドル23を含む。入力装置22は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ30、アームベース40、および、複数のロボットアーム50の移動や姿勢の変更の操作を受け付ける。医療用台車10は、操作ハンドル23、図10に示されるスタビライザ24および電動シリンダ25を含む。
【0019】
図3に示すように、医療用台車10の入力装置22は、表示部22aと、ジョイスティック22bと、イネーブルスイッチ22cと、エラーリセットボタン22dと、スピーカ22eと、を含む。表示部22aは、たとえば、液晶パネルである。図2に示すように、表示部22aには、複数のロボットアーム50に対応する番号が表示されている。また、表示部22aには、複数のロボットアーム50の各々に取り付けられている手術器具1の種類が表示される。表示部22aには、後述するピボット位置PPが設定されたことを示すチェックマークCMが表示される。
【0020】
図3に示すように、ジョイスティック22bは、医療用台車10の入力装置22の表示部22aの近傍に配置されている。表示部22aに表示される動作モードを選択し、ジョイスティック22bを操作することによりポジショナ30が3次元的に移動される。
【0021】
イネーブルスイッチ22cは、医療用台車10のジョイスティック22bの近傍に配置されている。イネーブルスイッチ22cは、ポジショナ30の移動を許可または不許可とする。そして、イネーブルスイッチ22cが押下されポジショナ30の移動が許可された状態でジョイスティック22bが操作されることにより、ポジショナ30が移動される。
【0022】
エラーリセットボタン22dは、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。スピーカ22eは、一対配置されている。一対のスピーカ22eは、医療用台車10のうちのポジショナ30が配置される場所の近傍に配置されている。
【0023】
また、操作ハンドル23は、医療用台車10の表示部22aの近傍に配置されている。そして、操作ハンドル23は、看護師、技師などの操作者が把持するとともに回動されることにより医療用台車10の移動を操作するスロットル23aを有する。具体的には、操作ハンドル23は、入力装置22の下方に配置されている。そして、スロットル23aが、手前側から奥側に回動されることにより、医療用台車10が前進する。また、スロットル23aが、奥側から手前側に回動されることにより、医療用台車10が後進する。また、スロットル23aの回動量に応じて医療用台車10の速度が変更される。また、操作ハンドル23は、R方向で示される左右に回動可能に構成されており、操作ハンドル23の回動とともに医療用台車10が回動する。
【0024】
また、医療用台車10の操作ハンドル23に、医療用台車10の移動を許可または不許可とするイネーブルスイッチ23bが配置されている。そして、イネーブルスイッチ23bが押下され医療用台車10の移動が許可された状態で操作ハンドル23のスロットル23aが操作されることにより、医療用台車10が移動される。
【0025】
図1に示すように、ポジショナ30は、たとえば、7軸多関節ロボットからなる。ポジショナ30は、医療用台車10上に配置されている。ポジショナ30は、アームベース40の位置を調整する。ポジショナ30は、アームベース40の位置を3次元的に移動させる。
【0026】
ポジショナ30は、ベース部31と、ベース部31に連結された複数のリンク部32とを含む。複数のリンク部32同士は、関節33により連結されている。
【0027】
アームベース40は、ポジショナ30の先端に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、各々のロボットアーム50の基端が、アームベース40に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、折り畳まれた収納姿勢をとることが可能である。アームベース40と、複数のロボットアーム50とは、滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、ロボットアーム50は、手術器具1を支持する。
【0028】
アームベース40には、図17に示される、ステータスインジケータ41およびアームステータスインジケータ42が配置されている。ステータスインジケータ41は、手術支援システム500の状態を表示する。アームステータスインジケータ42は、ロボットアーム50の状態を表示する。
【0029】
ロボットアーム50は、複数配置されている。具体的には、4つのロボットアーム50a、50b、50cおよび50dが配置されている。ロボットアーム50a、50b、50cおよび50dは、互いに同様の構成を有する。
【0030】
図4に示すように、ロボットアーム50は、アーム部51と、第1リンク部52と、第2リンク部53と、並進移動機構部54とを含む。ロボットアーム50は、関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6、JT7およびJT8を有する。関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7は、各々、の回転軸線としての、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7軸線を有する。JT8は、直動軸線としてのA8軸線を有する。A1からA7までの軸線は、各々、アーム部51の関節JT1から関節JT7までの回転軸線である。また、A7軸線は、第1リンク部52の回転軸線である。A8軸線は、並進移動機構部54が、第2リンク部53を第1リンク部52に対してZ方向に沿って相対的に移動させる直動軸線である。アーム部51は、ベース部51a、および、リンク部51bを含む。
【0031】
アーム部51は、7軸多関節ロボットアームからなる。第1リンク部52は、アーム部51の先端に配置されている。第2リンク部53には、後述するアーム操作部60が取り付けられる。並進移動機構部54は、第1リンク部52と第2リンク部53との間に配置されている。第2リンク部53には、手術器具1を保持するホルダ55が配置されている。並進移動機構部54は、手術器具1が取り付けられたホルダ55を第1の位置と第2の位置の間で並進させる。第1の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ2方向側の端部の位置である。第2の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ1方向側の端部の位置である。
【0032】
複数のロボットアーム50の各々の先端には、手術器具1が取り付けられている。手術器具1は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント2、手術部位の画像を取り込むための図9に示される内視鏡3、および、ピボット位置PPを設定するための図10に示されるピボット位置設定器具4などを含む。インストゥルメント2は、被駆動ユニット2aと鉗子2bとシャフト2cとを含む。
【0033】
図1に示すように、複数のロボットアーム50のうちの一つの、たとえば、ロボットアーム50cの先端には内視鏡3が取り付けられ、残りの、たとえば、ロボットアーム50a、50bおよび50dの先端には、インストゥルメント2が取り付けられる。内視鏡3は、互いに隣り合うように配置されている4つのロボットアーム50のうちの、中央に配置される2つのロボットアーム50bおよび50cのうちのいずれかに取り付けられることが望ましい。
【0034】
(インストゥルメントの構成)
図5に示すように、インストゥルメント2の先端には、たとえば、鉗子2bが設けられている。インストゥルメント2の先端には、鉗子2b以外に、関節を有する器具として、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダ、マイクロジセクター、ステーブルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄ツール、スネアワイヤ、および、クリップアプライヤーなどが配置される。インストゥルメント2の先端には、関節を有しない器具として、切断刃、焼灼プローブ、洗浄器、カテーテル、および、吸引オリフィスなどが配置される。
【0035】
鉗子2bは、第1支持体2dと、第2支持体2eとを含む。第1支持体2dは、ジョー部材2fおよびジョー部材2gの基端側をA11軸線周りに回転可能に支持する。第2支持体2eは、第1支持体2dの基端側をA10軸線周りに回転可能に支持する。シャフト2cは、A9軸線周りに回動する。ジョー部材2gおよびジョー部材2gは、A12軸線周りに開閉する。
【0036】
(アーム操作部の構成)
図6に示すように、アーム操作部60は、ロボットアーム50に取り付けられており、ロボットアーム50を操作する。具体的には、アーム操作部60は、第2リンク部53に取り付けられている。
【0037】
アーム操作部60は、イネーブルスイッチ61と、ジョイスティック62と、リニアスイッチ63と、モード切替ボタン64と、モードインジケータ65と、ピボットボタン66と、アジャストメントボタン67と、を含む。
【0038】
イネーブルスイッチ61は、押下されることにより、ジョイスティック62およびリニアスイッチ63によるロボットアーム50の移動を許可または不許可とする。看護師、助手などの操作者によりアーム操作部60が把持された状態で、イネーブルスイッチ61が押下されることにより、ロボットアーム50による手術器具1の移動が許可される。
【0039】
ジョイスティック62は、ロボットアーム50による手術器具1の移動を操作するための操作具である。ジョイスティック62は、ロボットアーム50の移動方向および移動速度を操作する。ジョイスティック62が倒された方向および倒された角度に応じて、ロボットアーム50が移動される。
【0040】
リニアスイッチ63は、手術器具1の長手方向であるZ方向に手術器具1を移動させるためのスイッチである。リニアスイッチ63は、手術器具1を患者Pに挿入する方向に移動させるリニアスイッチ63aと、手術器具1を患者Pから離間するに方向に移動させるリニアスイッチ63bとを含む。リニアスイッチ63aとリニアスイッチ63bとは、共に、押しボタンスイッチからなる。
【0041】
モード切替ボタン64は、手術器具1を並進移動させるモードと回転移動させるモードとを切り替えるための押しボタンスイッチである。図7に示すように、ロボットアーム50を並進移動させるモードでは、手術器具1の先端1aが、X-Y平面上において移動するように、ロボットアーム50が移動される。図8に示すように、ロボットアーム50を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されていない時は、手術器具1としてのインストゥルメント2の鉗子2bを中心に回転移動し、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されている時は、ピボット位置PPを支点として手術器具1が回転移動するように、ロボットアーム50が移動される。なお、手術器具1のシャフト1cがトロカールTに挿入された状態で、手術器具1が回転移動される。モード切替ボタン64は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0042】
モードインジケータ65は、切り替えられたモードを表示する。モードインジケータ65の点灯は、回転移動モードを表し、消灯は、並進移動モードを表す。また、モードインジケータ65は、ピボット位置PPが設定されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。モードインジケータ65は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0043】
ピボットボタン66は、ロボットアーム50に取り付けられた手術器具1の移動の支点となるピボット位置PPを設定するための押しボタンスイッチである。
【0044】
アジャストメントボタン67は、ロボットアーム50の位置を最適化するためのボタンである。内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50に対するピボット位置PPの設定後、アジャストメントボタン67が押下されることにより、他のロボットアーム50およびアームベース40の位置が最適化される。アジャストメントボタン67は、イネーブルスイッチ61とは異なるボタンである。
【0045】
(遠隔操作装置)
図1に示すように、遠隔操作装置200は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置200は、操作部110と、フットペダル120と、タッチパネル130と、モニタ140と、支持アーム150と、支持バー160と、エラーリセットボタン161と、を含む。操作部110は、医師などの操作者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。モニタ140は、表示部の一例である。
【0046】
(操作部)
図11に示すように、操作部110は、手術器具1を操作するためのハンドルである。また、操作部110は、手術器具1に対する操作を受け付ける。操作部110は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作部110Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作部110Rと、を含んでいる。操作部110は、アーム部111とリスト部112とを含む。また、操作部110Rは、アーム部111Rとリスト部112Rとを含む。また、操作部110Lは、アーム部111Lとリスト部112Lとを含む。操作部110Rおよび操作部110Lは、第1操作部および第2操作部の一例である。
【0047】
図11図12および図13に示すように、操作部110は、関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27を有する。関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27の回転軸線は、各々、A21、A22、A23、A24、A25、A26およびA27軸線である。
【0048】
(アーム部)
アーム部111は、リンク部111aと、リンク部111bと、リンク部111cとを有する。リンク部111aの上端側は、鉛直方向に沿ったA21軸線回りに回動可能に遠隔操作装置200に取り付けられている。リンク部111bの上端側は、水平方向に沿ったA22軸線回りに回動可能にリンク部111aの下端側に取り付けられている。リンク部111cの一方端側は、水平方向に沿ったA23軸線回りに回動可能にリンク部111bの下端側に取り付けられている。リンク部111cの他方端側には、A24軸線回りに回動可能にリスト部112が取り付けられている。リンク部111aは、関節JT21により遠隔操作装置200に接続されている。リンク部111aとリンク部111bとは、関節JT22により接続されている。リンク部111bとリンク部111cとは、関節JT23により接続されている。アーム部111は、リスト部112を支持する。
【0049】
リスト部112は、図12に示す操作者の右手によって操作されるリスト部112Rと、図13に示す操作者の左手によって操作されるリスト部112Lとを含む。図12は操作部110Rの基準姿勢を表し、図13は操作部110Lの基準姿勢を表している。リスト部112Rの構成と、リスト部112Lの構成とは同様である。
【0050】
リスト部112は、リンク部112a、リンク部112b、リンク部112c、医師などの操作者が操作するグリップ部112dと、を含む。リンク部112aは、A24軸線周りに回動する。リンク部112bは、リンク部112aに対して、A25軸線周りに回動可能に取り付けられている。リンク部112cは、リンク部112bに対して、A26軸線周りに回動可能に取り付けられている。グリップ部112dは、リンク部112cに対して、A27軸線周りに回動可能に取り付けられている。リンク部112a、リンク部112bおよびリンク部112cは、各々、L字形状を有する。
【0051】
リスト部112は、操作者によって開閉される一対のグリップ部材112eを含む。グリップ部材112eは、細長いプレート状のレバー部材からなり、一対のグリップ部材112eは、それぞれの近位端がグリップ部112dの近位端に回転可能に接続されている。グリップ部材112eには、円筒状の指挿入部112fが配置されている。操作者は、一対の指挿入部112fに指を挿入してリスト部112を操作する。一対のグリップ部材112eは、それぞれの基端がグリップ部112dに接続されており、一対のグリップ部材112e間の角度を大きくしたり小さくしたりすることにより、ジョー部材2fとジョー部材2gとの開き角度が変更される。グリップ部材112eの一方に磁石が配置され、グリップ部112dにホールセンサが配置されている。操作者がグリップ部材112eを開閉すると、磁石とホールセンサとが角度検知センサとして機能し、ホールセンサは開き角度を出力する。なお、角度検知センサとして、グリップ部材112eにホールセンサを、グリップ部112dに磁石を配置しても良い。また、グリップ部材112eの両方に、角度検知センサとして磁石またはホールセンサを配置しても良い。
【0052】
操作部110の複数の回転軸線の交点は、ジンバル点GPと呼ばれる。具体的には、ジンバル点GPは、A24軸線と、A25軸線と、A26軸線と、A27軸線とが交差する点である。ジンバル点GPは、一対のグリップ部材112eが取り付けられるグリップ部112dに位置している。ジンバル点GPは、操作部110Lと操作部110Rとの各々に個別に存在する。操作部110Rのジンバル点をGPRとする。操作部110Lのジンバル点をGPLとする。ジンバル点をGPRおよびジンバル点をGPLは、それぞれ、第1ジンバル点および第2ジンバル点の一例である。
【0053】
基準姿勢において、操作部110のA24軸線とA26軸線とは、Zb方向に沿っている。A25軸線は、Xb方向に沿っている。A27軸線は、Yb方向に沿っている。図12に示すように、基準姿勢において、リスト部112Rのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb1側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。
【0054】
図13に示すように、基準姿勢において、リスト部112Lのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb2側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。
【0055】
図14に示すように、リンク部112aは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112aの主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112aの一方の端部には、回転軸R24が配置させている。回転軸R24が、軸受B24を介して、リンク部111cの他方の端部に、A24軸線の周りに回動可能に取り付けられている。回転軸R24および軸受B24によって、関節JT24が形成されている。これにより、リンク部112aが、リンク部111cに対し、A24軸線の周り回動することが可能である。
【0056】
また、リンク部111cの内部には、サーボモータSM7dが、主軸S24の中心軸がA24軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7dには、サーボモータSM7dの回転角を検知するエンコーダEN7dが配置されている。エンコーダEN7dは、回転角を検知できるものであればよく、エンコーダEN7dの代わりに回転計等が用いられてもよい。エンコーダEN7dは、サーボモータSM7dの主軸S24に直結されている。サーボモータSM7dの主軸S24は、ベベルギア機構G24を介して回転軸R24に接続されている。これにより、リンク部112aの回動によるサーボモータSM7dの回転角をエンコーダEN7dによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7dによって回転軸R24を回転駆動することが可能である。
【0057】
リンク部112bは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112b主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112bの一方の端部には、回転軸R25が配置されている。この回転軸R25が、軸受B25を介して、リンク部112aの他方の端部に、A25軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R25および軸受B25によって、関節JT25が形成されている。これにより、リンク部112bが、リンク部112aに対し、A25軸線の周りに回動することが可能である。
【0058】
また、リンク部112aの内部には、サーボモータSM7eが、主軸S25の中心軸がA25軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7eには、サーボモータSM7eの回転角を検知するエンコーダEN7eが配置されている。エンコーダEN7eの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7eは、サーボモータSM7eの主軸S25に直結されている。サーボモータSM7eの主軸S25は、ベベルギア機構G25を介して回転軸R25に接続されている。これにより、リンク部112bの回動によるサーボモータSM7eの回転角をエンコーダEN7eによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7eによって回転軸R25を回転駆動することが可能である。
【0059】
リンク部112aの所定の箇所と回転軸R25との間に圧縮コイルバネSP25が配置されている。所定の箇所は、たとえば、リスト部112の基準姿勢におけるリンク部112aの後端部の下端部である。この圧縮コイルバネSP25は、中心軸がA24軸線に平行で且つA25軸線に直交するように配置されている。また、圧縮コイルバネSP25は、リンク部112bがリスト部112の基準姿勢から回動すると、回動方向に所定のトルクをリンク部112bに対して作用させるように設計されている。所定のトルクは、リスト部112のリンク部112bから先の部分の自重によって回転軸R25に発生する重力トルクの一部を打ち消すようなトルクに設定されている。これにより、回転軸R25に発生する重力トルクの一部が圧縮コイルバネSP25によって打ち消される。
【0060】
図14および図15に示すように、リンク部112cは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112cの主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112cの一方の端部には、回転軸R26が配置されている。この回転軸R26が、軸受B26を介して、リンク部112bの他方の端部に、A26軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R26および軸受B26によって、関節JT26が形成されている。これにより、リンク部112cが、リンク部112bに対し、A26軸線の周りに回動することが可能である。
【0061】
また、リンク部112bの内部には、サーボモータSM7fが、主軸S26の中心軸がA26軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7fには、サーボモータSM7fの回転角を検知するエンコーダEN7fが配置されている。エンコーダEN7fの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7fは、サーボモータSM7fの主軸S26に直結されている。サーボモータSM7fの主軸S26は、ベベルギア機構G26を介して回転軸R26に接続されている。これにより、リンク部112cの回動によるサーボモータSM7fの回転角をエンコーダEN7fによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7fによって回転軸R26を回転駆動することが可能である。
【0062】
図15に示すように、グリップ部112dの一方の端部には、回転軸R27が配置されている。この回転軸R27が、軸受B27を介して、リンク部112cの他方の端部に、A27軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R27および軸受B27によって、関節JT27が形成されている。これにより、グリップ部112dが、リンク部112cに対し、A27軸線の周りに回動することが可能である。
【0063】
また、リンク部112cの内部には、サーボモータSM7gが、主軸S27の中心軸がA27軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7gには、サーボモータSM7gの回転角を検知するエンコーダEN7gが配置されている。エンコーダEN7gの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7gは、サーボモータSM7gの主軸S27に直結されている。サーボモータSM7gの主軸S27は、ベベルギア機構G27を介して回転軸R27に接続されている。これにより、グリップ部112dの回動によるサーボモータSM7gの回転角をエンコーダEN7gによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7gによって回転軸R27を回転駆動することが可能である。
【0064】
モニタ140は、内視鏡3によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。また、モニタ140には、報知部141が配置されている。報知部141は、エラー音を報知する。支持アーム150は、モニタ140の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ140を支持する。タッチパネル130は、支持バー160に配置されている。モニタ140近傍に設けられたセンサにより操作者の頭部を検知することにより手術支援ロボット100は遠隔操作装置200による操作が可能になる。操作者は、モニタ140により患部を視認しながら、操作部110およびフットペダル120を操作する。これにより、遠隔操作装置200に指令が入力される。遠隔操作装置200に入力された指令は、手術支援ロボット100に送信される。
【0065】
エラーリセットボタン161は、支持バー160に配置されている。エラーリセットボタン161は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。
【0066】
(フットペダル)
図16に示すように、フットペダル120は、手術器具1に関する機能を実行するように複数設けられている。また、複数のフットペダル120は、基台部121に配置されている。フットペダル120は、切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126と、足検知部127と、を含んでいる。切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126とは、操作者の足により操作される。また、切開ペダル125は、右側のロボットアーム50用の切開ペダル125Rと、左側のロボットアーム50用の切開ペダル125Lとを含む。また、凝固ペダル126は、右側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Rと、左側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Lとを含む。カメラペダル124は、入力装置の一例である。
【0067】
切替ペダル122は、操作部110で動作させるロボットアーム50を切り替える。クラッチペダル123は、ロボットアーム50と操作部110との操作接続を一時切断するクラッチ操作を実行する。クラッチペダル123が操作者によって踏み込まれている間、操作部110による操作が、ロボットアーム50に伝達されなくなる。また、カメラペダル124が操作者によって踏み込まれている間、操作部110によって、内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50を操作することが可能になる。切開ペダル125または凝固ペダル126が操作者によって踏み込まれている間、電気手術装置が起動する。
【0068】
足検知部127は、フットペダル120を操作する操作者の足を検知する。足検知部127は、切替ペダル122、クラッチペダル123、カメラペダル124、切開ペダル125Lと凝固ペダル126Lおよび切開ペダル125Rと凝固ペダル126Rの各々について設けられ、各フットペダル120の上方に位置するホバー状態の足を検知する。足検知部127は、基台部121に配置されている。なお、カメラペダル124を含む、フットペダル120の機能は、本実施形態のような操作者が足で踏み込むペダルによるものに限定されず、たとえば、操作部110にハンドスイッチ等の入力装置を設けることにより、操作者の手での操作によるものとしてもよい。
【0069】
(ビジョンユニットおよび画像処理ユニット)
図1に示すように、ビジョンユニット300および画像処理ユニット400は、カート210に載置されている。画像処理ユニット400は、内視鏡3により撮影された画像を処理する。カート210には、表示部220が配置されている。表示部220には、内視鏡3により撮影された画像が表示される。ビジョンユニット300には、エラーリセットボタン230および報知部240が配置されている。エラーリセットボタン230は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。報知部240は、エラー音を報知する。
【0070】
(制御系の構成)
図17に示すように、手術支援システム500は、第1制御装置310と、アーム制御部320と、ポジショナ制御部330と、操作制御部340と、第2制御装置350と、を備えている。また、手術支援システム500は、第1制御装置310に接続される記憶部311と、第2制御装置350に接続される記憶部351と、を備えている。第1制御装置310は、制御装置の一例である。
【0071】
第1制御装置310は、医療用台車10の内部においてアーム制御部320およびポジショナ制御部330と通信するように配置され、手術支援システム500の全体を制御する。具体的には、第1制御装置310は、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340の各々と通信し、制御する。第1制御装置310と、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340とは、LANなどによって接続されている。第1制御装置310は、医療用台車10の内部に配置されている。
【0072】
アーム制御部320は、複数のロボットアーム50ごとに配置されている。すなわち、医療用台車10の内部には、複数のロボットアーム50の数に対応した複数のアーム制御部320が配置されている。
【0073】
図17に示すように、入力装置22は、第1制御装置310にLANなどによって接続されている。ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25と、ポジショナ制御部330とは、配線360によって、互いの情報を共有可能な通信ネットワークによりシリアル通信接続されている。なお、図17では、1つの配線360に、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42などの全てが接続されているように記載されているが、実際には、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25ごとに、配線360が配置されている。
【0074】
図18に示すように、アーム部51には、関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7の各々に対応するように、複数のサーボモータSM1と、エンコーダEN1と、減速機とが設けられている。エンコーダEN1は、サーボモータSM1の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM1の回転を減速させてトルクを増大させる。医療用台車10の内部には、サーボモータSM1を制御するためのサーボ制御部SC1がアーム制御部320に隣接して配置されている。また、サーボ制御部SC1には、サーボモータSM1の回転角を検出するためのエンコーダEN1が電気的に接続されている。
【0075】
第2リンク部53には、手術器具1の被駆動ユニット2aに配置された被駆動部材を回転させるためのサーボモータSM2と、エンコーダEN2と、減速機とが配置されている。エンコーダEN2は、サーボモータSM2の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM2の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を駆動するサーボモータSM2を制御するためのサーボ制御部SC2が配置されている。サーボ制御部SC2には、サーボモータSM2の回転角を検出するためのエンコーダEN2が電気的に接続されている。なお、サーボモータSM2、エンコーダEN2およびサーボ制御部SC2は、各々複数配置されている。
【0076】
並進移動機構部54には、手術器具1を並進移動させるためのサーボモータSM3と、エンコーダEN3と、減速機とが設けられている。エンコーダEN3は、サーボモータSM3の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM3の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を並進移動するサーボモータSM3を制御するためのサーボ制御部SC3が配置されている。サーボ制御部SC3には、サーボモータSM3の回転角を検出するためのエンコーダEN3が電気的に接続されている。
【0077】
第1制御装置310は、遠隔操作装置200が受け付けた操作に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置を指令する指令値を生成し、指令値に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3を駆動する。そして、第1制御装置310は、指令値とセンサにより検出されたサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置との差が許容範囲を超えた場合に偏差異常のエラーを検出する。
【0078】
図19に示すように、ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、複数のサーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが設けられている。エンコーダEN4は、サーボモータSM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータSM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0079】
医療用台車10は、車輪を備えており、駆動輪としての前輪と、操作ハンドル23によって操舵される後輪とを有する。なお、後輪は、前輪よりも操作ハンドル23に近い側に配置されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5と、エンコーダEN5と、減速機と、ブレーキBRKとが配置されている。減速機は、サーボモータSM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP1が配置されており、スロットル23aの捻りに応じてポテンショメータP1で検出した回転角に基づき、前輪のサーボモータSM5は駆動される。また、医療用台車10の後輪は、双輪形式であり、操作ハンドル23の左右の回動に基づき、後輪は操舵される。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP2が回動軸に配置されており、医療用台車10の後輪には、サーボモータSM6とエンコーダEN6と減速機が配置されている。減速機は、サーボモータSM6の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。操作ハンドル23の左右の回動に応じてポテンショメータP2で検出した回転角に基づき、サーボモータSM6は駆動される。すなわち、操作ハンドル23の左右の回動による後輪の操舵は、サーボモータSM6によりパワーアシストされるように構成されている。
【0080】
医療用台車10は、前輪が駆動されることにより、前後方向に移動する。また、医療用台車10の操作ハンドル23が回動されることにより、後輪が操舵されて、医療用台車10が左右方向に回動する。
【0081】
図19に示すように、医療用台車10には、ポジショナ30を移動するサーボモータSM4を制御するためのサーボ制御部SC4が配置されている。また、サーボ制御部SC4には、サーボモータSM4の回転角を検出するためのエンコーダEN4が電気的に接続されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の前輪を駆動するサーボモータSM5を制御するためのサーボ制御部SC5が配置されている。サーボ制御部SC5には、サーボモータSM5の回転角を検出するためのエンコーダEN5が電気的に接続されている。医療用台車10には、医療用台車10の後輪の操舵をパワーアシストするサーボモータSM6を制御するためのサーボ制御部SC6が配置されている。サーボ制御部SC6には、サーボモータSM6の回転角を検出するためのエンコーダEN6が電気的に接続されている。
【0082】
図18および図19に示すように、アーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と、ポジショナ30の関節33の各々には、ブレーキBRKが搭載されている。また、医療用台車10の前輪と、アームベース40および並進移動機構部54にもブレーキBRKが搭載されている。アーム制御部320からアーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と並進移動機構部54とに搭載された各ブレーキBRKへ制御信号が各々一方通行で送信される。制御信号は、ブレーキBRKをオンオフする信号である。ブレーキBRKをオンする信号は、ブレーキBRKが効いている状態を保持する信号を含む。ポジショナ制御部330から、ポジショナ30の関節33とアームベース40とに搭載された各ブレーキBRKへの制御信号についても同様である。アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とは、起動時に全てのブレーキBRKが解除され、重力に抗するようにサーボモータSMが駆動されることにより、ロボットアーム50の姿勢とアームベース40の姿勢とが維持される。手術支援システム500にエラーが発生した際には、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKがオンされる。手術支援システム500のエラーが解除されると、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオフされる。手術支援システム500のシャットダウン操作によって、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオンされる。また、医療用台車10の前輪は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ23bが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。また、ポジショナ30の各関節33は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ22cが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。
【0083】
図20に示すように、操作部110の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27には、各々、サーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gが配置されている。各サーボモータを制御するためのサーボ制御部SC7a、SC7b、SC7c、SC7d、SC7e、SC7fおよびSC7gが配置されている。各サーボ制御部には、各サーボモータの回転角を検出するためのエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gが電気的に接続されている。なお、各サーボモータ、各サーボ制御部、および、各エンコーダは、操作部110Lと、操作部110Rとに各々設けられている。なお、操作部110Rのアーム部111Rに配置されるサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cは、第1駆動部の一例である。また、操作部110Lのアーム部111Lに配置されるサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cは、第2駆動部の一例である。
【0084】
第1制御装置310は、操作制御部340を介して、操作部110の姿勢に応じて、各サーボモータの回転軸線に発生する重力トルクを打ち消すようなトルクを発生するように、各サーボモータを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部110を操作することが可能になる。
【0085】
第1制御装置310は、操作制御部340を介して、操作部110の操作に応じて、各サーボモータの各回転軸線にトルクを発生させ、操作者の操作をアシストするように各サーボモータを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部110を操作することが可能になる。
【0086】
図17に示すように、第1制御装置310は、アーム操作部60に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。たとえば、第1制御装置310は、アーム操作部60のジョイスティック62に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、ジョイスティック62から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は受け取った入力信号と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1に出力する。サーボ制御部SC1は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1に出力する。これにより、ジョイスティック62に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0087】
第1制御装置310は、アーム操作部60のリニアスイッチ63からの入力信号に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、リニアスイッチ63から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は受け取った入力信号と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1またはSC3に出力する。サーボ制御部SC1またはSC3は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1またはSM3に出力する。これにより、リニアスイッチ63に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0088】
ポジショナ制御部330は、医療用台車10に配置されている。ポジショナ制御部330は、ポジショナ30および医療用台車10を制御する。ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、サーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが配置されている。ポジショナ30のサーボモータSM4を制御するサーボ制御部SC4は、医療用台車10に配置されている。医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5およびSM6と、エンコーダEN5およびEN6と、減速機と、サーボ制御部SC5およびSC6と、ブレーキBRKとが配置されている。
【0089】
操作制御部340は、遠隔操作装置200の本体に配置されている。操作制御部340は、操作部110を制御する。操作制御部340は、図17に示すように、左手用の操作部110Lと右手用の操作部110Rとの各々に対応するように配置されている。操作部110には、操作部110の複数の関節JT21からJT27までに対応するように、サーボモータSMと、エンコーダENと、減速機とが配置されている。操作部110のサーボモータSMを制御するサーボ制御部SCは、操作制御部340に隣接して遠隔操作装置200の本体に配置されている。
【0090】
図17に示すように、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400とは、LANなどにより、第1制御装置310に接続されている。表示部220は、ビジョンユニット300に接続されている。
【0091】
本実施形態では、図21に示すように、モニタ140は、内視鏡3によって撮影された画像を表示するためのスコープ型表示装置である。図22に示すように、モニタ140は、水平面に対して傾斜するように回動する。具体的には、モニタ140は、Xb方向に沿ったD1軸線周りに回動する。
【0092】
図21に示すように、支持アーム150は、モニタ140の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ140を支持する。支持アーム150は、第1リンク部分150aと、第2リンク部分150bと、第3リンク部分150cと、把持部150dと、を含む。第1リンク部分150aの一方端は、遠隔操作装置200の本体部200aに取り付けられている。第1リンク部分150aの一方端には、関節JT31が配置されている。第1リンク部分150aの他方端と、第2リンク部分150bの一方端とが関節JT32により接続されている。第2リンク部分150bの他方端と、第3リンク部分150cの一方端とが関節JT33により接続されている。モニタ140は、第3リンク部分150cに回動可能に取り付けられている。把持部150dは、第3リンク部分150cに配置されている。把持部150dは、第3リンク部分150cのXb1側とXb2側との両方に配置されている。
【0093】
第1リンク部分150aの基端には、バネSP1が配置されている。バネSP1により、第1リンク部分150aが持ち上げられる。また、第1リンク部分150aには、バネSP2が配置されている。バネSP2により、第2リンク部分150bが持ち上げられる。第2リンク部分150bは、バネSP3が配置されている。バネSP3により、第3リンク部分150cが持ち上げられる。第1リンク部分150aの基端側には、ブレーキBRK1が配置されている。ブレーキBRK1は、関節JT31が回転しないように固定する。第2リンク部分150bと第3リンク部分150cとが接続される関節JT33には、ブレーキBRK2が配置されている。ブレーキBRK2は、関節JT33が回転しないように固定する。バネSP1、バネSP2およびバネSP3は、支持アーム150およびモニタ140の自重を支えるように配置されている。ブレーキBRK1およびブレーキBRK2は、無励磁作動型の電磁ブレーキであり、外力が加わっても関節JT31および関節JT33が動かないように構成されている。なお、バネSP1、バネSP2およびバネSP3のうちの1つまたは2つのみが配置されていてもよい。また、ブレーキBRK1またはブレーキBRK2のみが配置されていてもよい。また、関節JT32にもブレーキが配置されていてもよい。
【0094】
スイッチ部150eは、支持アーム150の姿勢変更を許可する状態と許可しない状態とに切り替える。スイッチ部150eは、把持部150dに配置されている。操作者がスイッチ部150eを押下することにより、ブレーキBRK1およびブレーキBRK2が解除され、操作者が把持部150dを把持して移動させることにより、支持アーム150の姿勢を変更することができる。モニタ140の水平面に対する傾斜角度の変更は、操作者が把持部150dを把持し傾けることにより可能である。なお、モニタ140と第3リンク部分150cとの回動を固定するようにブレーキBRK3を配置しても良い。操作者がスイッチ部150eを押下することにより、支持アーム150の姿勢変更に加えて、ブレーキBRK3が解除されることにより、モニタ140の水平面に対する傾斜角度の変更も可能となるように構成しても良い。
【0095】
モニタ140は、第3リンク部分150cに対してD1軸線周りに回動する。遠隔操作装置200は、モニタ140の水平面に対する傾きを検出するための角度センサ150fを含む。角度センサ150fは、水平面に沿ったD1軸線周りのモニタ140の回動角度θを検出する。本実施形態においては、支持アーム150の姿勢を制御する制御部(図示せず)は、操作者の操作に応じて支持アーム150の姿勢を変更するように各関節を制御するが、第3リンク部分150cは水平となるように制御を行う。角度センサ150fは、第3リンク部分150cに対するモニタ140の回動角度θを検出することにより、モニタ140の水平面に対する傾きを検出する。角度センサ150fは、例えば、モニタ140の回動角度θを検出するエンコーダである。角度センサ150fは、傾き検出センサの一例である。
【0096】
図23に示すように、操作部110には、操作部110の座標系が設定されている。以下、操作部110の座標系をHC座標系と呼ぶ。図24に示すように、内視鏡3には、内視鏡3の座標系が設定されている。以下、内視鏡3の座標系を内視鏡座標系と呼ぶ。たとえば、操作者によって操作部110がHC座標系のYb方向に沿って移動された場合、手術器具1は、内視鏡3が延びる方向である内視鏡座標系のYc方向に沿って移動する。
【0097】
ここで、モニタ140を視認する操作者の目線の方向が変化することに起因して、操作者による操作部110の操作方向が変化することを見出された。たとえば、モニタ140が斜め下方に傾斜している場合において、操作者が内視鏡座標系のYc方向に沿って手術器具1を並進移動させようとしたとする。この際、操作者がHC座標系のYb方向ではなく、図23に示される並進ベクトルuhのように、Yb方向に交差する斜め下方に操作部110を移動させてしまうことが見出された。このため、操作者の意図とは異なる方向に手術器具1が並進移動されてしまう。なお、図23のuhは、HC座標系から見た操作部110が移動される方向を表す並進ベクトルである。
【0098】
そこで、第1制御装置310は、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて、手術器具1の並進移動を補正する。手術器具1は、たとえば、インストゥルメント2である。具体的には、第1制御装置310は、手術器具1に対する並進移動の操作が受け付けられた場合、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて、内視鏡3が延びる方向に沿って手術器具1が並進移動するように、手術器具1の並進移動の方向を補正する。すなわち、第1制御装置310は、操作部110の並進ベクトルuhが斜め上方に向いている場合でも、内視鏡座標系のYc方向に沿うように並進ベクトルufを補正する。なお、ufは、ロボット基準座標系から見た鉗子3bの移動方向を表す並進ベクトルである。
【0099】
モニタ140が水平面に沿って配置されている場合において、第1制御装置310は、手術器具1に対して、操作者から見た前後方向に沿った並進移動の操作が受け付けられた場合、手術器具1の並進移動の方向は補正されない。すなわち、第1制御装置310は、モニタ140が水平面に沿って配置されている場合において、HC座標系のYb方向に沿った並進移動の操作が受け付けられた場合、内視鏡座標系のYc方向に沿って手術器具1が並進移動するように、手術器具1を並進移動させる。
【0100】
下記の数式1に示すように、第1制御装置310は、手術器具1に対する並進移動の操作が受け付けられた場合、内視鏡3の座標系に基づく内視鏡3の姿勢を表す姿勢項と、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて姿勢項を補正する補正項と、に基づいて、手術器具1の並進移動の方向を補正する。具体的には、第1制御装置310は、手術器具1に対する並進移動の操作が受け付けられた場合、操作部110の座標系に基づく手術器具1の並進ベクトルuhに、内視鏡3の座標系に基づく内視鏡3の姿勢行列Hcamと、角度センサ150fに検出された傾きに基づく姿勢補正行列Rxと、を乗算することより、手術器具1の並進ベクトルufを補正する。
【数1】
Hcamは、ロボット基準座標系から見たカメラ座標系の姿勢行列である。Rxは、モニタ140のD1軸線周りの回動角度θに応じた姿勢補正行列である。Rxは、回動角度θに応じて変更される。また、Rxは、モニタ140の水平面に対する傾きに対応する。すなわち、第1制御装置310は、角度センサ150fに検出されたD1軸線周りの回動角度θに基づいて、手術器具1の並進移動を補正する。
【0101】
第1制御装置310は、遠隔操作装置200によって手術器具1に対する操作が受け付けられる手術中に、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて、手術器具1の並進移動を補正する。具体的には、第1制御装置310は、手術器具1を移動させる動作であるフォローイングが行われている最中に、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて、手術器具1の並進移動を補正する。また、手術中に、操作者がスイッチ部150eを押下することにより、モニタ140の水平面に対する傾斜角度の変更がされた場合、変更後のモニタ140の傾斜角度に対応するように、上記の数式1のRxが変更される。そして、変更後のRxに基づいて、手術器具1の並進移動が補正される。
【0102】
(内視鏡の移動)
操作者によってカメラペダル124が操作されている期間中、操作部110Rと操作部110Lとによる内視鏡3を移動させる操作が受け付けられる。具体的には、操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれている期間中、操作部110Rと操作部110Lとによる内視鏡3を移動させる操作が受け付けられる。具体的には、図25に示すように、第1制御装置310は、操作部110の座標系に基づいて、仮想平面SFを定義する。仮想平面SFの設定方法は、以下の通りである。操作部110Rのジンバル点GPRと、操作部110Lのジンバル点GPLとを結ぶ線分の中点をCPとする。Yb座標は中点CPのYb座標と同じであり、Xb座標およびZb座標は、中点CPとジンバル点GPRとの中点のXb座標およびZb座標と同じである点を、CP1とする。中点CPと点CP1とを通る直線を直径とし、中点CPと点CP1と同一のYb座標上の円CLと、中点CPと点CP1とを結んだ直線に垂直な線と、の交点を点CP2とする。仮想平面SFは、CP、CP1およびCP2を含む平面である。図26に示すように、第1制御装置310は、前回の制御周期と、今回の制御周期とにおける、仮想平面SFの移動量を内視鏡3の先端の移動量とする。具体的には、前回の制御周期の内視鏡3の位置についての目標値同時変換行列に、仮想平面SFの移動量を乗算した値に基づいて、今回の制御周期の内視鏡3の位置についての目標値を演算する。なお、上記の仮想平面SFの設定においては、中点CP、点CP1および点CP2を含む平面を、角度センサ150fにより検知したモニタ140の水平面に対する傾きに応じた角度だけ、モニタ140が傾いた方向に、Xb軸周りに傾けたものを仮想平面SFとしてもよい。また、中点CP、点CP1および点CP2を含む平面を、モニタ140の水平面に対する傾きに応じて、所定の固定角度だけXb軸周りに傾けることとしてもよい。所定の固定角度は、たとえば-15度である。
【0103】
ここで、本実施形態では、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。具体的には、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとの両方を制御する。
【0104】
また、本実施形態では、第1制御装置310は、操作部110Rと、操作部110Lとを結ぶ線分の中点CPを設定する。具体的には、第1制御装置310は、操作部110Rのジンバル点GPRと、操作部110Lのジンバル点GPLとを結ぶ線分の中点CPを設定する。そして、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、中点CPとジンバル点GPRとの間の距離L1が維持され、かつ、中点CPとジンバル点GPLとの間の距離L2が維持されるように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。以下、第1制御装置310による、距離Lを維持するための操作部110に対する指令値の生成方法について説明する。
【0105】
(指令値の生成方法)
本実施形態では、図27に示すように、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、仮想平面SFの基準座標系におけるXb軸およびZb軸を含むXb-Zb平面上において、中点CPとジンバル点GPRとの間の距離L1が維持され、かつ、中点CPとジンバル点GPLとの間の距離L2が維持されるように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。すなわち、第1制御装置310は、仮想平面SF上に位置している、操作部110Rのジンバル点GPRの座標および操作部110Lのジンバル点GPLの座標を、Xb-Zb平面に投影する。そして、第1制御装置310は、Xb-Zb平面上に投影された、距離L1が維持され、かつ、距離L2が維持されるように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。以下、具体的に説明する。
【0106】
操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、Xb-Zb平面上に投影された操作部110Rのジンバル点GPRの座標を(xrs,yrs,zrs)とする。操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、Xb-Zb平面上に投影された操作部110Lのジンバル点GPLの座標を(xls,yls,zls)とする。Xb-Zb平面上の中点Pcsの座標(xcs,ycs,zcs)は、下記の数式2により算出される。なお、以下に登場する座標は、Xb-Zb平面上の座標を意味している。
【数2】
【0107】
また、カメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、Xb-Zb平面上に投影された、距離L1を、rrsとし、距離L2を、rlsとする。また、カメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、ジンバル点GPRとジンバル点GPLとの結ぶ線分をXb-Zb平面上に投影した線分と、Zb軸とがなす角をθとする。θは、下記の数式3により表される。
【数3】
【0108】
次に、内視鏡3の移動の最中のある時点の、操作部110Rのジンバル点GPRの座標を(xrp,yrp,zrp)とし、操作部110Lのジンバル点GPLの座標を(xlp,ylp,zlp)とする。Xb-Zb平面上の中点Pcpの座標(xcp,ycp,zcp)は、下記の数式4により算出される。
【数4】
【0109】
また、内視鏡3の移動の最中のある時点の、ジンバル点GPRとジンバル点GPLとの結ぶ線分をXb-Zb平面上に投影した線分と、Zb軸とがなす角をθとする。θは、下記の数式5により表される。
【数5】
【0110】
また、内視鏡3の移動の最中のある時点の、Xb-Zb平面上に投影された、距離L1を、rrs2とし、距離L2を、rls2とする。rrs2およびrls2は、それぞれ、下記の数式6よび数式7により表される。
【数6】
【数7】
なお、数式6よび数式7のRは、Yb軸周りの回転行列である。
【0111】
内視鏡3の移動の最中のある時点の、rrs2をrrsと等しくするための座標を、prp2(xrp2,yrp2,zrp2)とする。また、rls2をrlsに等しくするための座標を、plp2(xlp2,ylp2,zlp2)とする。prp2は、下記の数式8で表され、plp2は、下記の数式9で表される。
【数8】
【数9】
【0112】
第1制御装置310は、サンプリング周期毎にprp2およびplp2を演算して、演算した値を逆運動学計算に用いて、関節JT21、関節JT22および関節JT23の各々の軸値を演算する。軸値は、指令値として、サーボ制御部SC7a、SC7b、および、SC7cに伝達される。
【0113】
(指令値の演算例)
以下に、距離Lを維持するための操作部110に対する指令値の演算例について説明する。
【0114】
操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、操作部110Rのジンバル点GPRの座標を(-10,10,0)とする。操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、操作部110Lのジンバル点GPLの座標を(10,0,0)とする。内視鏡3の移動の最中のある時点の、操作部110Rのジンバル点GPRの座標を(-20,20,-5)とする。内視鏡3の移動の最中のある時点の、操作部110Lのジンバル点GPLの座標を(10,0,5)とする。
【0115】
操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の中点CPの座標は、(0,5,0)である。カメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、rrsは、(-10,5,0)である。カメラペダル124が踏み込まれた瞬間の、rlsは、(10,-5,0)である。カメラペダル124が踏み込まれた瞬間のθは、90度である。
【0116】
内視鏡3の移動の最中のある時点の中点CPの座標は、(-5,10,0)である。内視鏡3の移動の最中のある時点のθは、71.56度である。θとθとの差分値は、18.44度である。これにより、rrs2は、(-9.49,5,-3.16)となる。また、rls2は、(9.49,-5,3.16)となる。その結果、prp2は、(-14.49,15,-3.16)となる。また、plp2は、(4.49,5,3.16)となる。
【0117】
上記のように、本実施形態では、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、Yb軸方向への移動を含む内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、基準座標系におけるYb軸方向に移動したZb軸およびXb軸を含むXb-Zb平面上において、操作部110Rと中点CPとの間の距離を維持するように、かつ、操作部110Lと中点CPとの間の距離を維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。すなわち、上記の数式6よび数式7のRがYb軸周りの回転行列であるので、rrs(-10,5,0)のYb軸の値5と、rrs2(-9.49,5,-3.16)のYb軸の値5とは同じである。同様に、rls(10,-5,0)のYb軸の値-5と、rls2(9.49,-5,3.16)のYb軸の値-5とは同じである。これにより、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、Yb方向については、操作者の足によってカメラペダル124が踏み込まれた瞬間の中点CPからの距離5または-5が維持されている。このため、図28に示すように、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとが、Yb方向にずれた際には、ずれを縮小するようにYb方向に沿うような力が、操作部110Rと操作部110Rとに対して働く。
【0118】
一方、rrs(-10,5,0)のXb軸の値-10と、rrs2(-9.49,5,-3.16)のXb軸の値-9.49とは異なっている。また、rrs(-10,5,0)のZb軸の値0と、rrs2(-9.49,5,-3.16)のZb軸の値-3.16とは異なっている。
【0119】
たとえば、図29に示すように、操作部110Rと操作部110Lとが、Xb方向に沿って離間するように移動された場合には、操作部110Rと操作部110Lとが、互いに近づくような力が働く。また、図30に示すように、操作部110Rと操作部110Lとが、Zb方向に沿ってずれるように移動された場合には、上記のような、Xb-Zb平面内で、操作部110Rのジンバル点GPRと操作部110Rのジンバル点GPLとを結ぶ線分が回転するような力が、操作部110Rと操作部110Rとに対して働く。
【0120】
(手術支援システムの制御方法)
次に、手術支援システム500の制御方法について説明する。図31に示すように、ステップS1において、第1制御装置310は、操作者の足によるカメラペダル124が踏み込まれていることに基づいて、操作部110Rと操作部110Lとによる内視鏡3を移動させる操作を受け付け可能な状態に移行する。
【0121】
ステップS2において、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによる、内視鏡3を移動させる操作を受け付ける。
【0122】
ステップS3において、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。本実施形態では、第1制御装置310は、上記の数式2から数式9までを用いて、距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとの両方を制御する。
【0123】
[本実施形態の効果]
第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、内視鏡3の移動後の操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lが、内視鏡3の移動前と同じになる。このため、操作者は、操作部110Rと操作部110Lとの相対的な位置関係を元に戻す動作を行う必要がない。その結果、内視鏡3の移動後の操作者の不要な動作が生じることを抑制できる。
【0124】
第1制御装置310は、カメラペダル124が押下された時点での操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、カメラペダル124の押下が解除されるまで、カメラペダル124が押下された時点での操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持することができる。その結果、操作者がインストゥルメント2を移動させる操作を再開する際の操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを、操作者がインストゥルメント2を移動させる操作を停止した状態と同じにすることができる。その結果、操作者は、一対の操作部110Rと操作部110Lとの相対的な位置関係を元に戻す動作を行う必要がなくなる。
【0125】
第1制御装置310は、操作部110Rのジンバル点GPRと、操作部110Lのジンバル点GPLとを結ぶ線分の中点CPを設定し、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、中点CPとジンバル点GPRとの間の距離L1が維持され、かつ、中点CPとジンバル点GPLとの間の距離L2が維持されるように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、中点CPを基準として、容易に、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持することができる。
【0126】
第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、Xb軸およびZb軸を含むXb-Zb平面上において、中点CPとジンバル点GPRとの間の距離rrsが維持され、かつ、中点CPとジンバル点GPLとの間の距離rlsが維持されるように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、Xb軸およびZb軸を含むXb-Zb平面上において、容易に、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離を維持することができる。
【0127】
第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、Yb軸方向に移動したXb-Zb平面上において、操作部110Rと中点CPとの間の距離を維持するように、かつ、操作部110Lと中点CPとの間の距離を維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御する。これにより、Yb軸上において、容易に、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離を維持することができる。
【0128】
第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとの両方を制御する。これにより、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとの一方のみが駆動される場合と比べて、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持する制御を高速に行うことができる。
【0129】
操作部110Rは、アーム部111Rと、リスト部112Rと、をさらに有し、操作部110Lは、アーム部111Lと、リスト部112Lと、をさらに有し、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cは、アーム部111Rに配置され、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cは、アーム部111Lに配置されている。ここで、アーム部111Rおよびアーム部111Lは、内視鏡3の位置の移動に寄与する。そこで、第1制御装置310が、アーム部111Rに配置されているサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7c、および、アーム部111Lに配置されているサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cを制御することにより、効果的に、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持することができる。
【0130】
第1制御装置310は、角度センサ150fに検出された傾きに基づいて、仮想平面SFを傾けるように構成されている。これにより、モニタ140の傾きに応じて、適切に、仮想平面SFを設定することができる。
【0131】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更または変形例が含まれる。
【0132】
上記実施形態では、第1制御装置310は、操作部110Rと操作部110Lとによって、内視鏡3を移動させる操作を受け付けた場合、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとの両方を制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110Rと操作部110Lとの間の距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとのうちの少なくとも一方を制御してもよい。
【0133】
上記実施形態では、第1制御装置310は、上記の数式2から数式9までを用いて、距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとを制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。上記の数式2から数式9までは一例であり、第1制御装置310は、他の数式を用いて、距離Lを維持するように、操作部110RのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cと、操作部110LのサーボモータSM7a、SM7bおよびSM7cとを制御してもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、ロボットアーム50が4つ設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットアーム50の数は、少なくとも1つ以上設けられていれば他の任意の数であってもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボット以外の軸構成の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。7軸多関節ロボット以外の軸構成とは、例えば、6軸や8軸である。
【0136】
また、上記実施形態では、手術支援ロボット100が、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40とを備えている例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40は必ずしも必要なく、手術支援ロボット100が、ロボットアーム50だけで構成されてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、操作部110Rのジンバル点GPRと、操作部110Lのジンバル点GPLとを結ぶ線分の中点を中点CPとして設定する例を示したが、本開示はこれに限らない。本開示では、操作部110Rのジンバル点GPR以外の点と、操作部110Lのジンバル点GPL以外の点とを結ぶ線分の中点を中点CPとして設定してもよい。
【0138】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0139】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0140】
(項目1)
内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、
前記第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部、および、前記第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、手術支援システム。
【0141】
(項目2)
前記操作装置は、操作者によって操作されている期間中、前記第1操作部と前記第2操作部とによる前記内視鏡を移動させる操作を受け付け可能とする入力装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記入力装置が操作された時点での前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、項目1に記載の手術支援システム。
【0142】
(項目3)
前記制御装置は、
前記第1操作部と、前記第2操作部とを結ぶ線分の中点を設定し、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記中点と前記第1操作部との間の距離が維持され、かつ、前記中点と前記第2操作部との間の距離が維持されるように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、項目1または項目2に記載の手術支援システム。
【0143】
(項目4)
前記中点は、前記第1操作部の第1ジンバル点と、前記第2操作部の第2ジンバル点とを結ぶ線分の中点である、項目3に記載の手術支援システム。
【0144】
(項目5)
前記第1操作部および前記第2操作部の基準座標系は、
前記操作装置が配置される床面に垂直な方向を第1軸とし、
前記第1軸に直交し、前記操作装置を操作する操作者の前後方向を第2軸とし、
前記第1軸および前記第2軸に直交する方向を第3軸とし、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1軸および前記第3軸を含む平面上において、前記中点と前記第1操作部との間の距離が維持され、かつ、前記中点と前記第2操作部との間の距離が維持されるように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、項目3または項目4に記載の手術支援システム。
【0145】
(項目6)
前記第1操作部および前記第2操作部の基準座標系は、
前記操作装置が配置される床面に垂直な方向を第1軸とし、
前記第1軸に直交し、前記操作装置を操作する操作者の前後方向を第2軸とし、
前記第1軸および前記第2軸に直交する方向を第3軸とし、
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記第2軸方向への移動を含む前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第2軸方向に移動した前記第1軸および前記第3軸を含む平面上において、前記第1操作部と前記中点との間の距離を維持するように、かつ、前記第2操作部と前記中点との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御する、項目3から項目5までのいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0146】
(項目7)
前記操作装置は、
前記内視鏡により撮影された画像が表示され、水平面に対して傾斜するように回動する表示部と、
前記表示部の水平面に対する傾きを検出する傾き検出センサと、を含み、
前記制御装置は、前記傾き検出センサに検出された傾きに基づいて、前記第1軸および前記第3軸を含む平面を傾けるように構成されている、項目5または項目6に記載の手術支援システム。
【0147】
(項目8)
前記制御装置は、前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部との両方を制御する、項目1から項目7までのいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0148】
(項目9)
前記第1操作部は、第1アーム部と、第1リスト部と、をさらに有し、
前記第2操作部は、第2アーム部と、第2リスト部と、をさらに有し、
前記第1駆動部は、前記第1アーム部に配置され、
前記第2駆動部は、前記第2アーム部に配置されている、項目1から項目7までのいずれか1項に記載の手術支援システム。
【0149】
(項目10)
内視鏡、第1手術器具および第2手術器具を各々支持するための複数のロボットアームを含む手術装置と、前記第1手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第1駆動部を含む右手用の第1操作部および前記第2手術器具に対する操作を受け付けるように構成され、第2駆動部を含む左手用の第2操作部を含む操作装置と、制御装置と、を備える手術支援システムにおける前記操作装置の制御方法であって、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けることと、
前記第1操作部と前記第2操作部とによって、前記内視鏡を移動させる操作を受け付けた場合、前記制御装置が、前記第1操作部と前記第2操作部との間の距離を維持するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とのうちの少なくとも一方を制御することと、を備える、操作装置の制御方法。
【符号の説明】
【0150】
1 手術器具(第1手術器具、第2手術器具)
2 内視鏡
50c ロボットアーム
100 手術支援ロボット(手術装置)
110 操作部
110L 操作部(第2操作部)
110R 操作部(第1操作部)
111L アーム部(第2アーム部)
111R アーム部(第1アーム部)
112L リスト部(第2リスト部)
112R リスト部(第1リスト部)
124 カメラペダル(入力装置)
140 モニタ140(表示部)
150f 角度センサ(傾き検出センサ)
200 遠隔操作装置(操作装置)
310 第1制御装置(制御装置)
500 手術支援システム
CP 中点
GPL ジンバル点(第2ジンバル点)
GPR ジンバル点(第1ジンバル点)
L、L1、L2 距離
SM7a、SM7b、SM7c サーボモータ(第1駆動部、第2駆動部)
Xb 第3軸
Yb 第2軸
Zb 第1軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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