IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-トイレ用キャビネット 図1
  • 特開-トイレ用キャビネット 図2
  • 特開-トイレ用キャビネット 図3
  • 特開-トイレ用キャビネット 図4
  • 特開-トイレ用キャビネット 図5
  • 特開-トイレ用キャビネット 図6
  • 特開-トイレ用キャビネット 図7
  • 特開-トイレ用キャビネット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036838
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】トイレ用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
E03D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141349
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直樹
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CC06
2D039CC07
2D039CC08
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】設置面から略垂直に設置しやすいトイレ用キャビネットを提供すること。
【解決手段】トイレルーム100の内部に配置されるトイレ用キャビネット1は、トイレ用キャビネット1の奥行方向に沿って延びるように配置され、奥側の端部がトイレルーム100の奥側の壁面101に対向する側板2と、壁面101に対する側板2の姿勢を調節可能な調節機構3と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレルームの内部に配置されるトイレ用キャビネットであって、
前記トイレ用キャビネットの奥行方向に沿って延びるように配置され、奥側の端部が前記トイレルームの奥側の壁面に対向する側板と、
前記壁面に対する前記側板の姿勢を調節可能な調節機構と、を備える、トイレ用キャビネット。
【請求項2】
前記調節機構は、前記壁面に沿う背板を含み、前記側板の姿勢は背板に対して調節される、請求項1に記載のトイレ用キャビネット。
【請求項3】
前記調節機構は、前記側板を接続する接続部材を含み、前記接続部材を介して前記側板の姿勢が調節される、請求項1又は2に記載のトイレ用キャビネット。
【請求項4】
前記側板及び前記接続部材の少なくとも一方に長孔が設けられ、
前記長孔を介して前記側板を固定することにより、前記壁面に対する前記側板の姿勢を調節可能な、請求項3に記載のトイレ用キャビネット。
【請求項5】
前記壁面に対向する位置に配置され、便器が取り付けられるフレーム部をさらに備え、
前記フレーム部と、前記側板とは、接続されている、請求項1又は2に記載のトイレ用キャビネット。
【請求項6】
前記奥行方向に沿って延びるように配置され、設置面に接して固定される補強支持部をさらに備え、
前記補強支持部は、前記壁面に対して調節可能に配置される、請求項1又は2に記載のトイレ用キャビネット。
【請求項7】
トイレルームの内部に配置されるトイレ用キャビネットの施工方法であって、
前記トイレ用キャビネットは、前記トイレ用キャビネットの奥行方向に沿って延びるように配置され、前記トイレルームの奥側の壁面に対向する一対の側板を有し、
前記壁面に対する前記側板の姿勢を調節機構により調節する調節工程を備える、トイレ用キャビネットの施工方法。
【請求項8】
前記調節機構は、前記壁面に沿う背板を含み、
前記側板の前記背板に対する姿勢を調節する調節工程と、
前記背板及び前記側板を固定した後で、前記背板を前記壁面に固定する背板壁面固定工程と、を有する請求項7に記載のトイレ用キャビネットの施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ用キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレルームの内部に、便器装置の洗浄タンクや給水ホース等を収納するトイレ用キャビネットを配置することが知られている。トイレ用キャビネットは、トイレルームの壁面に当接させて、固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-183509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレルームの壁面に、施工上の傾きがあった場合、トイレ用キャビネットの壁面に取り付ける部分が不陸となったり、トイレ用キャビネットが傾いたりする場合がある。壁面の不陸や傾斜にかかわらず、設置面から略垂直に設置可能なトイレ用キャビネットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、トイレルームの内部に配置されるトイレ用キャビネットであって、前記トイレ用キャビネットの奥行方向に沿って延びるように配置され、奥側の端部が前記トイレルームの奥側の壁面に対向する側板と、前記壁面に対する前記側板の姿勢を調節可能な調節機構と、を備える、トイレ用キャビネットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態のトイレ用キャビネットを示す斜視図である。
図2】本実施形態のトイレ用キャビネットの背面図である。
図3】本実施形態のトイレ用キャビネットの上面図である。
図4】本実施形態のトイレ用キャビネットの側面図である。
図5】本実施形態のトイレ用キャビネットの背面側の部分拡大斜視図である。
図6】本実施形態の側板の姿勢の調節について説明する模式図である。
図7】本実施形態のキャップを後ろ側から視た斜視図である。
図8】本実施形態の給水ホース貫通孔及びキャップの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。トイレルーム100は、略直方形の空間で、長手方向がトイレルーム100の手前側の入口(図示省略)と入口に対向する奥側の壁面としての背面壁101とを結ぶ奥行方向D1に沿っている。本明細書において、前とは入り口側、すなわち背面壁101に対向する側を言い、後ろとは、背面壁101側を言う。上下方向D3は天地方向であり、幅方向D2はトイレルーム100の左右の側面壁102を結ぶ横方向を意味する。
【0008】
トイレルーム100は、図1に示すように、奥側の背面壁101と、背面壁101における幅方向D2の一方と他方の一対の側面壁102と、出入口用の扉が設けられた前壁(図示省略)と、設置面としての床面103とを備えて構成されている。
【0009】
トイレルーム100の内部には、トイレ用キャビネット1と、壁掛け式の便器110が配置されている。便器110は、トイレ用キャビネット1の前側に配置され、便器本体111と、便座112と、便蓋113と、タンク114と、排水管115と、給水管116と、を有する。
【0010】
便器本体111は、上部が開口した凹状の容器であり、床面103から離れた位置に浮いた状態で設置される。便器本体111は、底部に汚物等を排出する排水口を備えて形成され、排水口が排水トラップを通じて便器本体111の背面側の下水管に接続されている(図示省略)。
【0011】
便座112は、便器本体111の上面に配置され、使用者が着座する部材である。便蓋113は、便器本体111の上部開口を覆う蓋材である。便座112及び便蓋113は、それぞれ便器本体111の後方側に配されたヒンジ部で回転可能に接続され、開閉可能に設けられている。
【0012】
タンク114は、便器本体111の後方に配置され、内部に洗浄水が貯水される。タンク114には外部の給水源から水が供給される。タンク114に貯水された洗浄水は、タンク114と便器本体111とを接続する管(図示省略)を通じて便器本体111へ供給される。
【0013】
排水管115は、便器本体111の背面側に設けられる排水口に接続される。排水管115は、床面103の下方内部の下水管に接続される。
【0014】
給水管116は、外部の給水源からタンク114へ水を給水する管である、また、給水管116から、シャワートイレ給水ホース116aが分岐する。シャワートイレ給水ホース116aは、後述する給水ホース貫通孔44を挿通して便器本体111へ接続される。シャワートイレ給水ホース116aは、便器本体111及び使用者を洗浄する洗浄装置(図示省略)へ水を給水するホースである。
【0015】
トイレ用キャビネット1は、トイレルーム100の内部に配置され、便器110の背面に配置される。トイレ用キャビネット1は、便器110と背面壁101の間にタンク114や排水管115、そのほか掃除用具や衛生用品等を内部に収納可能な棚である。トイレ用キャビネット1は、フレーム部120と、支持部材130と、を有し、便器110を背面壁101に固定する。さらに、トイレ用キャビネット1は、側板2と、調節機構3と、前板部4と、補強支持部5と、収納部6と、天板7と、を有する。
【0016】
フレーム部120は、図1及び図4に示すように、背面壁101に対向する位置に配置され、便器本体111が取り付けられる。フレーム部120は、便器本体111の後端側を接続して便器本体111を片持ち状態で支持し、同時にタンク114を支持する。フレーム部120は、床面103及び背面壁101に固定される。図2に示すように、フレーム部120は、縦桟121と、上桟122と、下桟123と、中桟124と、タンク支持部材125と、を有する。フレーム部120は、後述するトイレ用キャビネット1の内部に配置される。
【0017】
図2に示すように、縦桟121は、便器本体111の幅方向D2に一方及び他方に所定の間隔をあけて一対、床面103から立設される。上桟122は、一対の縦桟121の上端に、幅方向D2に延びるように配置され、後述する天板7を支持する。下桟123は、上桟122から間をあけて下方に配置され、一端を一方の縦桟121に、他端を他方の縦桟121に接続される。中桟124は、上桟122と下桟123の間に配置され、一端を一方の縦桟121に、他端を他方の縦桟121に接続される。中桟124は、上桟122及び下桟123よりも上下方向の寸法が大きく、幅方向D2の略中央に排水管115を挿通させる貫通孔が形成されている。タンク支持部材125は、上桟122と中桟124の間で一対の縦桟121の間に幅方向D2に延びるように取り付けられる板材である。タンク支持部材125は、図3に示すように、縦桟121の背面から後方へ突出する。タンク支持部材125の上に、タンク114が取り付けられる。図3では、天板7を省略して示している。
【0018】
支持部材130は、フレーム部120の背面に配置される。支持部材130は、背面壁101の室内側面に配置され、フレーム部120と背面壁101とを接続する部材の一つである。支持部材130は、幅方向D2に延びる横長の板で構成される。支持部材130は、フレーム部120の上桟122に連結部131を介して接続される。支持部材130は、連結部131を通じてフレーム部120及びフレーム部120にかかる便器本体111の荷重を受け、便器本体111を支持する。支持部材130の材質は、木材や、スチール等の金属を例示できる。
【0019】
側板2は、トイレ用キャビネット1の奥行方向D1に沿って延びるように配置される一対の板材である。側板2は一方が一方の縦桟121の後方に、他方が他方の縦桟121の後方にされ、それぞれの奥側の端部が背面壁101に対向するように配置される。側板2は、図4に示すように、長手方向が上下方向D3に沿い、短手方向が奥行方向D1に沿う略長方形の板材により構成され、側板本体20と、奥側突出部21と、脚部22と、長孔23と、を有する。なお、図4では、説明の便宜のため、図中手前側に配置される後述する補強支持部5及び棚板24を省略して示している。
【0020】
側板本体20は、側板2の長手方向における上部から中央部にわたる略長方形の部分である。奥側突出部21は、側板本体20の奥側の長縁から、背面壁101側へ向かって突出するように形成される。奥側突出部21は、上奥側突出部21aと、下奥側突出部21bとを有し、上奥側突出部21a及び下奥側突出部21bの間は切り欠かれている。上奥側突出部21a及び下奥側突出部21bの奥側の端部は、背面壁101に当接しておらず、背面壁101からわずかに離れた位置に配置される。上奥側突出部21aは、側板本体20の上端から下方に離れた位置に形成され、上奥側突出部21aの上端部と、側板本体20の奥側の長縁の上部との間には、支持部材130が配置される。上奥側突出部21aは、後述する背板31と接続される。脚部22は、下奥側突出部21bの下端から側板本体20の手前側へ向かって側板本体20が切り欠かれて形成され、側板本体20の手前側で上下方向に延びる脚のような部分である。側板本体20、奥側突出部21及び脚部22は、一枚の板材で構成されており、側板本体20及び脚部22の手前側の長縁は、後述する前板部4に接続される。
【0021】
長孔23は、図4及び図5に示すように、側板2の上奥側突出部21aにおける奥側の端部近傍に、奥行方向D1に沿う方向が長手方向となるように設けられる。長孔23は、貫通孔であり、後述する調節機構3を取り付けるために形成される。
【0022】
調節機構3は、背板31と、接続部材32と、側板2の長孔23と、を有する。調節機構3は、背面壁101に対する側板2の姿勢を調節する。背面壁101が施工上の誤差等でわずかに傾いている場合、側板2を直接背面壁101に固定すると、側板2は背面壁101の傾きの影響を受けてしまう。そこで、調節機構3は、背板31を背面壁101に直接固定し、背板31を介して背面壁101と側板2の奥側の端部との奥行方向D1の距離と、側板2の傾きを調することで、側板2を背面壁101の傾きに左右されずに設置できるように構成されている。
【0023】
背板31は、支持部材130の下で背面壁101に沿って配置される。背板31は、背面壁101と側板2との間に配置され、背面壁101に固定される。図3及び4に示すように、背板31は、略長方形の板材であり、支持部材130の下方に長手方向が幅方向D2に沿うように固定される。背板31には、側板2の上奥側突出部21aの奥側の端部が接するため、側板2の下奥側突出部21bと背面壁101との間には、背板31の分の隙間G1が存在する。
【0024】
接続部材32は、背板31及び側板2を接続する略L字状の金具である。図5に示すように、接続部材32は、平面状の第1面321と、平面状の第2面322と、を有し、第1面321と第2面322とが略直交する方向に延びるよう一方の端部が接続されている。第1面321は、背板31に2つのねじで固定される。第2面322は、側板2に1つのねじで固定される。
【0025】
調節機構3では、側板2は、長孔23を介して接続部材32にねじ留めして固定される。図6は、説明に不要な部材を省略した模式図である。背面壁101は、設計上は鉛直方向に起立しているが、実際には、わずかな傾斜が形成されて、背面壁101に設ける部材に不陸が生じる場合がある。図6に示すように、側板2の接続部材32にねじを留める位置を長孔23の奥行方向D1に調節することで、接続部材32が接続されている背板31と側板2との距離が調節される。一本のねじで接続部材32に固定するので、側板2がねじを中心に回転し、側板2の傾きが調節される。このように、背板31と側板2との間の距離と、側板2の傾きが調節されることで、背板31及び背板31が設けられる背面壁101に対する側板2の姿勢が、接続部材32を介して長手方向が略垂直方向に延びるように調節される。背面壁101に背板31を当接させて固定したときに、背板31が傾いた場合でも、側板2を床面103に対して略垂直方向に配置しやすくなる。
【0026】
前板部4は、トイレ用キャビネット1の前面に配置される板状の部材である。前板部4は、第1前パネル41と、第2前パネル42と、一対の扉43と、を有する。前板部4は、トイレ用キャビネット1の内部と外部とを仕切る板状の部材である。
【0027】
第1前パネル41は、図1に示すように、前板部4の幅方向D2における略中央の下部に配置される。第1前パネル41は、一対の側板2の前面側の端部に当接して固定される。第1前パネル41は、フレーム部120の下桟123と中桟124の前面に、スペーサー41aを介して固定されている。第1前パネル41がフレーム部120の下桟123、中桟124と、側板2との両方に接続されることにより、側板2とフレーム部120が間接的に接続されている。第1前パネル41は、給水ホース貫通孔44と、キャップ45と、を有する。
【0028】
給水ホース貫通孔44は、便器本体111へ洗浄水を供給するためのシャワートイレ給水ホース116aを挿通させるための孔であり、上下方向D3が長手方向となる長円形をしている。給水ホース貫通孔44は、第1前パネル41の厚さ方向に延びる内壁面441を有する。図8に示すように、内壁面441は、給水ホース貫通孔44の下方に段差441cを有して形成されている。段差441cは、第1前パネル41の表側で、上部に位置する表側内壁面441aと、裏側で下部に位置する裏側内壁面441bの間に形成されている。表側内壁面441aと、給水ホース貫通孔44の上端側の内壁面441dとの間に、キャップ45が配置される。
【0029】
キャップ45は、給水ホース貫通孔44に取り付けられる樹脂製の部材であり、給水ホース貫通孔44の周縁を保護する。キャップ45は、カバー縁451と、側面部452と、係合爪453と、係止突起454と、を有する。
【0030】
カバー縁451は、第1前パネル41の表面に露出し、給水ホース貫通孔44の外周縁を囲う環状の部分である。
【0031】
側面部452は、第1前パネル41の厚さ方向に挿入され、給水ホース貫通孔44の内壁面441を覆う。側面部452は、図7に示すように、カバー縁451の裏側で、カバー縁451の最も外側から内周側に離れた位置から内壁面441の厚さ方向に沿って延びる。側面部452は、以下に説明する係合爪453が形成される上部側を除いて、概ね筒状に形成される。
【0032】
係合爪453は、延出部453aと、凸部453bと、を有する。延出部453aは、
側面部452の上部に形成され、カバー縁451の上部側から、側面部452と離れて奥側へ向かって延出する。凸部453bは、延出部451aの先端に設けられ、上方に向かって突出する。係合爪453は、弾性変形可能である。キャップ45を第1前パネル41の表側から給水ホース貫通孔44に挿通させる間、延出部453aは給水ホース貫通孔44の上端側の内壁面441dを擦って内側へ変形し、キャップ45が給水ホース貫通孔44に嵌め込まれた状態で、凸部453bが給水ホース貫通孔44の裏側の上部に係止するように復帰する。
【0033】
係止突起454は、側面部452の下部で、側面部452の奥行方向D1の中間に形成される。係止突起454は、図7に示すように、カバー縁451の下側に対向するように突出する第1突起454aと、第1突起454aの幅方向の略中央から奥側へ延びる第2突起454bと、を有する。係止突起454の第1突起454aと、カバー縁451の下側とで、給水ホース貫通孔44の表側内壁面441aを挟み、第1突起454aが段差441cに係止する。
【0034】
第2前パネル42は、前板部4の幅方向D2における略中央の上部に配置される。第2前パネル42は、第1前パネル41の上方に配置され、第1前パネル41と、側板2の前面側の端部に当接して固定される。
【0035】
一対の扉43は、第1前パネル41及び第2前パネル42の幅方向D2の外側に配置される板状の部材である。扉43には、側板2に取り付けられた座金431に接続される蝶番(不図示)が取り付けられ、蝶番を回動の支点として幅方向D2外側が開閉可能に取り付けられる。
【0036】
補強支持部5は、長手方向が上下方向に沿う概ね長方形の板材である。図2及び図3に示すように、補強支持部5は、トイレ用キャビネット1の一対の側面壁102に沿って、短手方向が奥行方向D1に沿って延びるように配置される。補強支持部5は、側板2から幅方向D2に間を空けて配置され、側板2と略平行に配置される。図4に示すように、補強支持部5の下端は、床面103に接して固定される。補強支持部5は、切り欠き部51と、奥側端縁52と、を有する。切り欠き部51は、背面壁101に対向する端縁の上部が切り欠かれて形成される。図5に示すように、切り欠き部51は、支持部材130の幅方向D2の端部と組み合わされ、支持部材130に固定される。奥側端縁52は、補強支持部5の背面壁101に対向する端縁のうち、切り欠き部51の下方で上下方向に延びる。奥側端縁52は、切り欠き部51よりも奥側に位置している。奥側端縁52は、図4に示すように、背面壁101には当接せず背面壁101との間に隙間G2を有して配置される。これにより、背面壁101に対する補強支持部5の姿勢が調節可能となっている。
【0037】
収納部6は、トイレ用キャビネット1の内部に配置され、特に側板2と補強支持部5、背面壁101で囲まれる空間を言う。側板2には、幅方向D2外側に向かって突出するように棚板24が固定される。扉43を開けると、収納部6に、掃除用品や衛生用品等を収納可能に配置されている。
【0038】
天板7は、所謂カウンターであり、第2前パネル42の上端と背面壁101との間に配置される略長方形の板である。天板7は、略水平方向に配置され、前板部4と背面壁101との間の空間を塞ぐ。天板7は、背面壁101に取付けられた支持部材130にヒンジ接続され、後端側を回転させることで開閉可能に取り付けられている。
【0039】
以上のトイレ用キャビネット1の施工方法について説明する。まず、トイレルーム100の背面壁101に、所定の位置に支持部材130を固定する(支持部材固定工程S1)。次に、支持部材130の幅方向D2の両端に、補強支持部5の切り欠き部51を当接させて、固定する(補強支持部固定工程S2)。このとき、背面壁101にもし傾きがあっても、奥側端縁52が背面壁101との間に隙間G2を有しているので、補強支持部5を床面103に対して略垂直に配置しやすい。補強支持部5は、背面壁101の傾斜を逃げながら、下端を床面103の全面に接するように配置される。次に、支持部材130に連結部131を取付ける。連結部131を介してフレーム部120を支持部材130に支持させつつ、フレーム部120を床面103に固定する(フレーム部固定工程S3)。詳細には、フレーム部120の上桟122を連結部131に固定し、上桟122から下方に延びている一対の縦桟121の下端を床面103に固定する。縦桟121、上桟122、下桟123、中桟124は、あらかじめ接続されて一体のフレーム部120を構成している。
【0040】
次に、背板31と接続部材32の第1面321を、2本のねじで固定する(接続部材背板固定工程S4)。そして、背板31が固定された接続部材32に、長孔23を介して側板2を固定する際、背板31を背面壁101に合わせ、背面壁101及び背板31の面が鉛直であるか否かに関わらず、側板2が床面103に対して略垂直に配置されるように、背板31に対する側板2の姿勢を調節する(調節工程S5)。長孔23内で固定するねじの位置を移動させることで、背板31からの側板2の距離を調節することができる。側板2を接続部材32の第2面322に1本のねじで固定することで、側板2が接続部材32に対して回転可能なので、側板2の傾きを調節することができる。側板2の傾きを調節しながら、背板31及び側板2を接続部材32により固定した後で、背板31を背面壁101に固定する(背板壁面固定工程S6)。背板31と側板2とが接続部材32により接続されることで、一対の側板2が安定して設置される。このため、トイレ用キャビネット1の扉43を開閉したり収納部6に物品を収納する際に側板2や棚板24が衝撃を受けても、側板2のふらつきが防止される。
【0041】
側板2の前面側の端部には、第1前パネル41が接続されて固定されている。第1前パネル41を、スペーサー41aを介して中桟124及び下桟123に固定する(第1前パネル固定工程S7)。縦桟121は、床面103に対して略垂直となるように固定されている。調節工程S5を経た側板2は、背板31及び背面壁101の傾き関わらず略垂直に配置されているので、縦桟121と位置を合わせやすくなっている。
【0042】
その後、第1前パネル41を介してフレーム部120に便器110を取り付ける(便器取付工程S8)。第1前パネル41の上部に第2前パネル42を固定する(第2パネル取付工程)。第1前パネル41及び第2前パネル42の幅方向D2の外側に一対の扉43を取り付ける(扉取付工程S9)。第2前パネル42及び扉43の上端と、支持部材130とに支持されるように天板7を支持部材130に取り付ける(天板取付工程S10)。
【0043】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。トイレルーム100の内部に配置されるトイレ用キャビネット1を、トイレ用キャビネット1の奥行方向D1に沿って延びるように配置され、奥側の端部がトイレルーム100の奥側の背面壁101に対向する側板2と、背面壁101に対する側板2の姿勢を調節可能な調節機構3と、を含んで構成した。側板2の姿勢を調節可能であるため、背面壁101に施工上の傾き等があった場合でも、側板2を背面壁101の傾きに関わらずに略垂直に設置することが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、調節機構3を、背面壁101に沿う背板31を含んで構成し、側板2の姿勢を背板31に対して調節させた。調節機構3が背面壁101に沿う背板31を含んでいるので、背面壁101の傾きが直接側板2に影響することを防止することができる。
【0045】
本実施形態によれば、調節機構3を、側板2を接続する接続部材32を含んで構成し、接続部材32を介して側板2の姿勢を調節させた。接続部材32を介することで、側板2自体を加工せずに側板2の姿勢を調節可能となり、側板2の施工性が向上する。
【0046】
本実施形態によれば、側板2に長孔23を設け、長孔23を介して側板2を固定することにより、背面壁101に対する側板2の姿勢を調節可能に構成した。これにより、背板31が設けられる背面壁101からの側板2の距離を調節することができる。よって、背面壁101が傾いていたり、背面壁101に設けた背板31に背面壁101に対する不陸があった場合でも、側板2を背面壁101から離して背板31の傾きに関わらずに略垂直に設置することが可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、背面壁101に対向する位置に配置され、便器110が取り付けられるフレーム部120をさらに含んで構成し、フレーム部120と、側板2とを、接続させた。フレーム部120と側板2が接続されているときに、側板2を背面壁101の傾きや背板31の不陸の影響を受けずに設置することが可能になる。よって、側板2とフレーム部120を床面103等の設置面に略垂直に設置することが容易になり、施工性が向上する。
【0048】
本実施形態によれば、奥行方向D1に沿って延びるように配置され、床面103に接して固定される補強支持部5をさらに含んで構成した。補強支持部5を、背面壁101に対して調節可能に配置させた。これにより、背面壁101に施工上の傾きがあっても、床面103から略垂直に補強支持部5を設置することが可能となる。補強支持部5が床面103に全面で接し、床面103から支持されるので、しっかりした補強効果を得られる。
【0049】
本実施形態によれば、トイレルーム100の内部に配置されるトイレ用キャビネット1の施工方法において、トイレ用キャビネット1を、トイレ用キャビネット1の奥行方向D1に沿って延びるように配置され、トイレルーム100の奥側の背面壁101に対向する一対の側板2を含んで構成し、背面壁101に対する側板2の姿勢を調節機構3により調節する調節工程S5を含んで構成した。側板2の姿勢を調節可能であるため、背面壁101に施工上の傾き等があった場合でも、側板2を背面壁101の傾きに関わらずに略垂直に設置することが可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、調節機構3を、背面壁101に沿う背板31を含んで構成し、側板2の背板31に対する姿勢を調節する調節工程S5と、背板31及び側板2を固定した後で、背板31を背面壁101に固定する背板壁面固定工程S6とを含んで構成した。
【0051】
調節機構3が背面壁101に沿う背板31を含んでいるので、背面壁101の傾きが直接側板2に影響することを防止することができる。そして、背板31に対する側板2の姿勢を調節した後で、背板31を背面壁101に固定することで、背板31に背面壁101に対する不陸があった場合でも、側板2を背板31の傾きに関わらずに略垂直に設置することが可能となる。
【0052】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、上記実施形態では、調節機構3を、背板31を含んで構成したが、これに限られない。L字状の接続部材の第1面を直接背面壁に接続し、側板の長孔を介して側板の姿勢を調節してもよい。
【0053】
上記実施形態では、調節機構3により、側板2の背板31からの距離及び背板31に対する側板2の傾きの両方を調節することで、側板2の姿勢を調節している。しかし、背板31や背面壁101の傾きによって、距離又は傾きのいずれかを調節してもよく、両方を調節してもよい。
【0054】
上記実施形態では、長孔23を側板2に設けた例について説明した。しかし、長孔を接続部材の方に設けて、側板の姿勢を調節するように構成してもよい。
【0055】
上記実施形態では、補強支持部5について、背面壁101との間に隙間G2を設けることで、背面壁101に対する補強支持部5の姿勢を調節し、床面103から垂直に配置しやすくしていることを説明した。しかし、補強支持部は、背面壁との間に背板や接続部材のような調節のための部材を配置することで、背面壁に対する姿勢を調節されてもよい。
【0056】
上記実施形態では、便器110は壁掛け式で取り付けられているが、これに限定されない。床置き式の便器であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 トイレ用キャビネット、 2 側板、 5 補強支持部、 23 長孔、 3 調節機構、 31 背板、 32 接続部材、 100 トイレルーム、 101 背面壁(奥側の壁面)、 120 フレーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8