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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036839
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/156 20220101AFI20240311BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240311BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240311BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240311BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240311BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240311BHJP
【FI】
F24H15/156
F24H4/02 F
F24H15/269
F24H15/375
F24H15/37
F24H1/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141351
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 靖仁
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA63
3L122AA77
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA36
3L122BA44
3L122DA02
3L122DA21
3L122EA09
3L122EA22
3L122EA43
3L122FA09
(57)【要約】
【課題】給湯システムの消費電力が過大になることを抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する給湯システムは、ヒートポンプと、ヒートポンプで加熱される水を貯留するタンクと、燃料を燃焼させて水を加熱する燃焼加熱装置と、水が流れる配管を加熱する電気ヒータと、制御装置を備える。制御装置は、ヒートポンプによって加熱した水をタンクに貯留する沸き上げ運転と、タンクに貯留された水を浴槽に供給するとともに燃焼加熱装置によって加熱した水を浴槽に供給する湯はり運転と、電気ヒータによって配管を加熱する凍結防止運転を実行可能である。制御装置は、湯はり運転に付随して沸き上げ運転を実行し、湯はり運転に付随する沸き上げ運転を実行すべき状況と凍結防止運転を実行すべき状況が重なる場合には沸き上げ運転の実行を優先することで、沸き上げ運転と凍結防止運転が同時に実行されることを禁止する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に接続される給湯システムであって、
水を加熱するヒートポンプと、
前記ヒートポンプで加熱される前記水を貯留するタンクと、
燃料を燃焼させて前記水を加熱する燃焼加熱装置と、
前記水が流れる配管を加熱する電気ヒータと、
前記ヒートポンプと、前記燃焼加熱装置と、前記電気ヒータの動作を制御する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記ヒートポンプによって前記水を加熱し、加熱した前記水を前記タンクに貯留する沸き上げ運転と、
前記タンクに貯留された前記水を前記浴槽に供給するとともに、前記燃焼加熱装置によって加熱した前記水を前記浴槽に供給する湯はり運転と、
前記電気ヒータによって前記配管を加熱する凍結防止運転と、を実行可能であり、
前記制御装置は、
前記湯はり運転に付随して、前記沸き上げ運転を実行し、
前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転を実行すべき状況と前記凍結防止運転を実行すべき状況が重なる場合には前記沸き上げ運転の実行を優先することで、前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止する、給湯システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記湯はり運転が開始される予定の時刻を湯はり開始時刻として特定し、
前記湯はり開始時刻において前記凍結防止運転が実行中とならないように、前記湯はり開始時刻に先立って前記凍結防止運転の開始を禁止する、請求項1の給湯システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記湯はり運転の過去の運転実績に基づいて、前記湯はり開始時刻を特定する、請求項2の給湯システム。
【請求項4】
前記沸き上げ運転は、前記ヒートポンプの出力が第1出力に設定される通常沸き上げ運転と、前記ヒートポンプの出力が前記第1出力よりも高い第2出力に設定される高出力沸き上げ運転と、を含んでおり、
前記湯はり運転に付随することなく実行される前記沸き上げ運転は、前記通常沸き上げ運転であり、
前記湯はり運転に付随して実行される前記沸き上げ運転は、前記高出力沸き上げ運転であり、
前記制御装置は、
前記通常沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを許容し、
前記高出力沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止する、請求項1の給湯システム。
【請求項5】
前記給湯システムは、通常モードと、前記通常モード時の最大消費電力より低い抑制電力以下で動作する電力抑制モードを有しており、
前記制御装置は、
前記通常モードにおいて、前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを許容し、
前記電力抑制モードにおいて、前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止する、請求項1から4の何れか一項の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽に接続される給湯システムであって、水を加熱するヒートポンプと、前記ヒートポンプで加熱される前記水を貯留するタンクと、燃料を燃焼させて前記水を加熱する燃焼加熱装置と、前記水が流れる配管を加熱する電気ヒータと、前記ヒートポンプと、前記燃焼加熱装置と、前記電気ヒータの動作を制御する制御装置と、を備える給湯システムが開示されている。前記制御装置は、前記ヒートポンプによって前記水を加熱し、加熱した前記水を前記タンクに貯留する沸き上げ運転と、前記タンクに貯留された前記水を前記浴槽に供給するとともに、前記燃焼加熱装置によって加熱した前記水を前記浴槽に供給する湯はり運転と、前記電気ヒータによって前記配管を加熱する凍結防止運転と、を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-134101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、給湯システムが設置される家屋では、電力会社との間で契約電力が設定される。家屋全体の消費電力が契約電力を上回ると、電気料金が高くなるなどの不具合が生じる。このため、家屋全体の消費電力を契約電力以下とするべく、給湯システムの消費電力が過大になることを抑制したい場合がある。本明細書では、給湯システムの消費電力が過大になることを抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、給湯システムは、水を加熱するヒートポンプと、前記ヒートポンプで加熱される前記水を貯留するタンクと、燃料を燃焼させて前記水を加熱する燃焼加熱装置と、前記水が流れる配管を加熱する電気ヒータと、前記ヒートポンプと、前記燃焼加熱装置と、前記電気ヒータの動作を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記ヒートポンプによって前記水を加熱し、加熱した前記水を前記タンクに貯留する沸き上げ運転と、前記タンクに貯留された前記水を前記浴槽に供給するとともに、前記燃焼加熱装置によって加熱した前記水を前記浴槽に供給する湯はり運転と、前記電気ヒータによって前記配管を加熱する凍結防止運転と、を実行可能である。前記制御装置は、前記湯はり運転に付随して、前記沸き上げ運転を実行し、前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転を実行すべき状況と前記凍結防止運転を実行すべき状況が重なる場合には前記沸き上げ運転の実行を優先することで、前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止する。
【0006】
一般的に、ヒートポンプのエネルギー消費効率の方が燃焼加熱装置のエネルギー消費効率よりも優れている。このため、湯はり運転では、タンクに貯留された水が優先的に浴槽に供給される。ただし、タンクの容量が比較的小容量(例えば、70L)である場合、比較的大量(例えば、200L)の湯を必要とする湯はり運転では、タンクの湯切れが生じるおそれがある。タンクの湯切れが生じると、これを補うべく、燃焼加熱装置によって加熱された水が浴槽に供給される。上記の構成によれば、湯はり運転に付随して沸き上げ運転を実行することで、タンクの湯切れを抑制でき、燃焼加熱装置での燃料消費を抑制できる。結果として、湯はり運転における給湯システムのエネルギー消費効率を向上することができる。しかしながら、このような構成とする場合、湯はり運転に付随する沸き上げ運転と凍結防止運転が同時に実行されると、ヒートポンプと電気ヒータが同時に動作することになり、給湯システムの消費電力が過大になるおそれがある。上記の構成によれば、湯はり運転に付随する沸き上げ運転を優先し、当該沸き上げ運転と凍結防止運転を同時に実行することが禁止されるので、ヒートポンプと電気ヒータが同時に動作することが禁止される。これにより、湯はり運転における給湯システムのエネルギー消費効率を向上できるとともに、給湯システムの消費電力が過大になることを抑制できる。
【0007】
本技術の第2の態様では、上記第1の態様において、前記制御装置は、前記湯はり運転が開始される予定の時刻を湯はり開始時刻として特定し、前記湯はり開始時刻において前記凍結防止運転が実行中とならないように、前記湯はり開始時刻に先立って前記凍結防止運転の開始を禁止してもよい。
【0008】
仮に湯はり運転が開始される時点において凍結防止運転が実行中である場合、湯はり運転に付随する沸き上げ運転の実行を優先するために、実行中の凍結防止運転を中断する必要がある。実行中の凍結防止運転を中断すると、当該凍結防止運転に掛かった消費電力量を無駄にすることになる。上記の構成によれば、湯はり運転が開始される時点において凍結防止運転が実行中となることを回避できる。これにより、実行中の凍結防止運転が中断されることを回避でき、消費電力量を無駄にすることを回避できる。
【0009】
本技術の第3の態様では、上記第2の態様において、前記制御装置は、前記湯はり運転の過去の運転実績に基づいて、前記湯はり開始時刻を特定してもよい。
【0010】
湯はり開始時刻を特定する構成として、例えば、ユーザに湯はり開始時刻を入力させる方法がある。しかしながら、この方法では、ユーザが湯はり開始時刻を入力することを要するので、ユーザの利便性に劣る。上記の構成によれば、制御装置は、湯はり運転の過去の運転実績に基づいて、湯はり開始時刻を特定する。このため、ユーザが湯はり開始時刻を入力することを要さないので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0011】
本技術の第4の態様では、上記第1から第3の態様の何れか一つにおいて、前記沸き上げ運転は、前記ヒートポンプの出力が第1出力に設定される通常沸き上げ運転と、前記ヒートポンプの出力が前記第1出力よりも高い第2出力に設定される高出力沸き上げ運転と、を含んでもよい。前記湯はり運転に付随することなく実行される前記沸き上げ運転は、前記通常沸き上げ運転であってもよい。前記湯はり運転に付随して実行される前記沸き上げ運転は、前記高出力沸き上げ運転であってもよい。前記制御装置は、前記通常沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを許容し、前記高出力沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止してもよい。
【0012】
上記の構成では、湯はり運転における給湯システムのエネルギー消費効率をさらに向上するべく、湯はり運転に付随する高出力沸き上げ運転が設けられている。高出力沸き上げ運転では、ヒートポンプの消費電力は比較的大きい。このため、高出力沸き上げ運転の実行中に電気ヒータが動作されると、給湯システムの消費電力が過大になるおそれがある。一方で、湯はり運転に付随しない通常沸き上げ運転では、ヒートポンプの消費電力は比較的小さい。このため、通常沸き上げ運転の実行中に電気ヒータが動作されたとしても、給湯システムの消費電力が過大になる可能性は低い。仮に、高出力沸き上げ運転の実行中だけでなく通常沸き上げ運転の実行中にも凍結防止運転が禁止されると、凍結防止運転を実行可能な時間帯が過剰に制限されて、配管の凍結を適切に防止することができない。上記の構成によれば、高出力沸き上げ運転の実行中は凍結防止運転の実行が禁止され、通常沸き上げ運転の実行中は凍結防止運転の実行が許容される。このため、給湯システムの消費電力が過大になることを抑制しつつ、配管の凍結を適切に防止することができる。
【0013】
本技術の第5の態様では、上記第1から第4の態様の何れか一つにおいて、前記給湯システムは、通常モードと、前記通常モード時の最大消費電力より低い抑制電力以下で動作する電力抑制モードを有してもよい。前記制御装置は、前記通常モードにおいて、前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを許容し、前記電力抑制モードにおいて、前記湯はり運転に付随する前記沸き上げ運転と前記凍結防止運転が同時に実行されることを禁止してもよい。
【0014】
電力抑制モードでは、抑制電力が設定される都合上、湯はり運転に付随する沸き上げ運転と凍結防止運転が同時に実行されると、給湯システムの消費電力が抑制電力を上回る可能性が大きい。上記の構成によれば、電力抑制モードでは、湯はり運転に付随する沸き上げ運転が優先されて、当該沸き上げ運転と凍結防止運転が同時に実行されることが禁止される。このため、電力抑制モードであっても、湯はり運転に付随する沸き上げ運転を実行することができる。これにより、給湯システムの消費電力が抑制電力を上回ることを防止しながら、タンクの湯切れを抑制でき、燃焼加熱装置での燃料消費を抑制できる。結果として、湯はり運転における給湯システムのエネルギー消費効率を向上することができる。
【0015】
本明細書では、電気機器において単位時間当たりに消費される電力を「消費電力」と呼ぶ。消費電力は、例えばVA(ボルトアンペア)を用いて表される。また、電気機器が電力を消費することで生み出す単位時間当たりのエネルギーを「出力」と呼ぶ。例えば、ヒートポンプの加熱能力をヒートポンプの出力と呼ぶ。出力は、例えばW(ワット)を用いて表される。また、消費電力に電気機器の動作時間を乗じたものを「消費電力量」と呼ぶ。消費電力量は、例えばWh(ワットアワー)を用いて表される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例に係る給湯システム2の構成を模式的に示す図である。
図2】実施例に係る給湯システム2の不揮発性メモリ75に記憶された、特定の世帯の過去7日分の運転履歴(湯はり運転が開始された時刻)の例を模式的に示す図である。
図3】実施例に係る給湯システム2のコントローラが実行する、第1湯はり適応処理のフローチャートである。
図4】実施例に係る給湯システム2のコントローラが実行する、第2湯はり適応処理のフローチャートの一部である。
図5】実施例に係る給湯システム2のコントローラが実行する、第2湯はり適応処理のフローチャートの一部である。
図6】実施例に係る給湯システム2のコントローラが実行する、第2湯はり適応処理のフローチャートの一部である。
図7】実施例に係る給湯システム2のコントローラが実行する、凍結防止運転開始受付処理のフローチャートである。
図8】実施例に係る給湯システム2が通常モードである場合の、給湯システム2の消費電力の時間推移の例を示す図である。
図9】実施例に係る給湯システム2が電力抑制モードである場合の、給湯システム2の消費電力の時間推移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
【0018】
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16を備えている。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。凝縮器12の水流路の両端部には、それぞれ、HP往き経路19とHP戻り経路21が接続されている。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出するHP往きサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出するHP戻りサーミスタ22と、外気温度を検出するHP外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
【0019】
タンクユニット6は、タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34と、外気温度を検出するタンク外気温度サーミスタ39を備えている。タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例のタンク30の容量は、例えば70Lである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動されると、タンク30の底部の水が、タンク往き経路31およびHP往き経路19を介して、凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、HP戻り経路21およびタンク戻り経路33を介して、タンク30の頂部からタンク30内に戻される。タンク往き経路31とタンク戻り経路33には、電力を消費してタンク往き経路31とタンク戻り経路33を加熱する第1電気ヒータ35が取付けられている。HPユニット4によって加熱された水がタンク30に流れ込むと、タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク30には、上部の水の温度を検出する上部サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間部サーミスタ37と、下部の水の温度を検出する下部サーミスタ38が取り付けられている。本実施例では、上部サーミスタ36はタンク30の頂部から12Lの位置に配置されており、中間部サーミスタ37はタンク30の頂部から18Lの位置に配置されており、下部サーミスタ38はタンク30の頂部から40Lの位置に配置されている。
【0020】
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44と、電力を消費して給水経路40を加熱する第1電気ヒータ35が取り付けられている。給水経路40は、タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50、52が取り付けられている。また、タンク給水経路46には、電力を消費してタンク給水経路46を加熱する第1電気ヒータ35が取付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54と、電力を消費してタンクバイパス経路48を加熱する第1電気ヒータ35が取り付けられている。タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、電力を消費してタンク出湯経路56を加熱する第1電気ヒータ35と、混合弁32に流入するタンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
【0021】
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込むタンク30からの水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。また、第1給湯経路62において、第1給湯経路62と給湯バイパス経路72の接続部の上流側と下流側には、それぞれ電力を消費して第1給湯経路62を加熱する第1電気ヒータ35が取付けられている。
【0022】
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。また、第2給湯経路66において、第2給湯経路66と給湯バイパス経路72の接続部の上流側と下流側には、それぞれ電力を消費して第2給湯経路66を加熱する第1電気ヒータ35が取付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34と、電力を消費して給湯バイパス経路72を加熱する第1電気ヒータ35が取り付けられている。
【0023】
タンクユニット6はさらに、タンクコントローラ74と、タンクコントローラ74と通信可能なリモコン76を備えている。タンクコントローラ74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。タンクコントローラ74は、不揮発性メモリ75を備えている。リモコン76は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン76は、表示や音声によってユーザに給湯システム2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
【0024】
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88と、外気温度を検出するバーナ外気温度サーミスタ85を備えている。バーナ80は、燃料ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する燃焼加熱装置である。バーナ80には、ガス供給管81を介して燃料ガスが供給される。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、電力を消費してバーナ往路90を加熱する第2電気ヒータ83と、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナバイパス経路94には、電力を消費してバーナバイパス経路94を加熱する第2電気ヒータ83が取付けられている。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。バーナ復路92において、湯はり経路98の分岐部の下流側には、電力を消費してバーナ復路92を加熱する第2電気ヒータ83が取付けられている。また、バーナ復路92において、湯はり経路98には、湯はり弁88と、電力を消費して湯はり経路98を加熱する第2電気ヒータ83と、が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラ100を備えている。
【0025】
給湯システム2のHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8には、電力供給ユニット9から電力が供給される。電力供給ユニット9は、分電盤102と、蓄電池104と、切替器106を備えている。分電盤102は、商用電源108に接続されており、商用電源108から供給される電力を切替器106と蓄電池104に分配して供給する。蓄電池104は、例えばリチウムイオン二次電池などの二次電池である。蓄電池104は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力を充電することもできるし、充電した電力を切替器106に放電することもできる。蓄電池104には、図示しない保護回路が内蔵されており、放電する電力が上限放電電力(例えば、850VA)以上になると、切替器106への放電が遮断される。切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態と、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態の間で切り替わる。商用電源108からの電力供給が正常に行われている状況では、切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。商用電源108からの電力供給が正常に行われていない状況では、切替器106は、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。本実施例では、電力の供給元が商用電源108である場合の給湯システム2の状態を「通常モード」といい、電力の供給元が蓄電池104である場合の給湯システム2の状態を「電力抑制モード」という。電力抑制モードにおいて、給湯システム2は、通常モード時の最大消費電力よりも低い抑制電力(例えば、650VA)以下で動作する。給湯システム2への電力の供給元は、例えば、給湯システム2とは別個に設けられたエネルギー管理システム(図示せず)によって特定される。エネルギー管理システムは、特定した電力の供給元を示す情報をタンクコントローラ74に送信する。タンクコントローラ74は、エネルギー管理システムから受信した情報に基づいて、給湯システム2のモード切り替えを行う。
【0026】
HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ100は、互いに通信可能である。したがって、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100が協調して制御を行うことで、給湯システム2は沸き上げ運転、給湯運転、湯はり運転、凍結防止運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100を総称して、単に「コントローラ」とも呼ぶ。
【0027】
次いで、給湯システム2の各種運転について説明する。給湯システム2は、沸き上げ運転と、給湯運転と、湯はり運転と、凍結防止運転を実行することができる。
【0028】
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転では、給湯システム2は、HPユニット4を駆動して、タンク30内の水を沸き上げる。沸き上げ運転では、HPコントローラ24は、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において目標沸き上げ温度まで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。
【0029】
沸き上げ運転は、HPユニット4の出力が第1出力(例えば、2.3kW)に設定される通常沸き上げ運転と、HPユニット4の出力が第2出力(例えば、3.9kW)に設定される高出力沸き上げ運転を含む。なお、本実施例における第1出力は、HPユニット4の定格出力である。第2出力は、定格出力よりも高出力となっている。
【0030】
通常沸き上げ運転における目標沸き上げ温度と、高出力沸き上げ運転における目標沸き上げ温度は、いずれも給湯に適した温度(例えば、45℃)に設定されている。沸き上げ運転では、HPユニット4の出力に応じて、HPユニット4による沸き上げ流量が変化する。通常沸き上げ運転における沸き上げ流量は、例えば0.9L/分であり、高出力沸き上げ運転における沸き上げ流量は、例えば1.6L/分である。
【0031】
高出力沸き上げ運転は、後述の通り、湯はり運転に付随して実行される。一方、通常沸き上げ運転は、湯はり運転に付随することなく実行される。例えば、通常沸き上げ運転は、リモコン76を介して設定される沸き上げ設定時刻が到来するタイミングで自動的に実行される。
【0032】
(給湯運転)
給湯運転では、給湯設定温度の水が給湯箇所に供給される。コントローラは、水側水量センサ54で検出される流量と、湯側水量センサ60で検出される流量を合算した流量(給湯流量ともいう)が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となると、カラン等の給湯箇所が開栓されたものと判断する。そして、コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度に応じて、下記する非燃焼給湯運転および燃焼給湯運転のいずれか一方を実行する。
【0033】
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度以上である場合、コントローラは、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。これによって、給湯箇所に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
【0034】
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度未満の場合(タンク30の湯切れが生じる場合)、コントローラは、燃焼給湯運転を実行する。燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部からタンク出湯経路56に供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
【0035】
上記の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行中に、給湯流量が最低動作流量を下回ると、コントローラは、給湯箇所が閉栓されたものと判断して、給湯運転を終了する。
【0036】
(湯はり運転)
コントローラは、リモコン76を介して湯はり運転の開始が指示されると、湯はり運転を開始する。湯はり運転では、コントローラは、湯はり弁88を開き、湯はり設定温度の水を浴槽へ供給する。湯はり運転は、下記する非燃焼湯はり運転および燃焼湯はり運転によって構成される。コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度に応じて、非燃焼湯はり運転および燃焼湯はり運転のいずれか一方を実行する。
【0037】
上部サーミスタ36で検出される温度が湯はり設定温度以上である場合、コントローラは、非燃焼湯はり運転を実行する。非燃焼湯はり運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が湯はり設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部からタンク出湯経路56に供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合される。これにより、浴槽に湯はり設定温度に温度調整された水が供給される。また、コントローラは、非燃焼湯はり運転に付随して沸き上げ運転(具体的には、高出力沸き上げ運転)を実行する。これにより、HPユニット4からタンク30の上部に高温の水を供給することができるので、タンク30の湯切れを抑制できる。
【0038】
上部サーミスタ36で検出される温度が湯はり設定温度未満の場合(すなわち、タンク30の湯切れが生じる場合)、コントローラは、燃焼湯はり運転を実行する。燃焼湯はり運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、湯はり設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部からタンク出湯経路56に供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって湯はり設定温度まで加熱されて、浴槽へ供給される。また、コントローラは、燃焼湯はり運転に付随して沸き上げ運転(具体的には、高出力沸き上げ運転)を実行する。これにより、HPユニット4からタンク30の上部に高温の水を供給することができるので、タンク30の湯切れが進行することを抑制できる。
【0039】
上記の非燃焼湯はり運転または燃焼湯はり運転を実行中に、浴槽への給湯量が所定の湯はり量(例えば、200L)に達すると、コントローラは、湯はり運転を終了する。浴槽への給湯量は、例えば、水量センサ91の検出結果に基づいて算出される。
【0040】
(凍結防止運転)
外気温度が低い状態で、沸き上げ運転、給湯運転、湯はり運転を行わないまま長時間が経過すると、給湯システム2の各経路(すなわち、給湯システム2の配管)に滞留した水が凍結してしまうことがある。水が凍結してしまうと、凍結した水が溶融するまで、沸き上げ運転、給湯運転、湯はり運転が実行できない。このため、本実施例の給湯システム2は、各経路内の水が凍結しないように凍結防止運転を実行する。
【0041】
本実施例の凍結防止運転は、「HP外気温度サーミスタ23、タンク外気温度サーミスタ39、およびバーナ外気温度サーミスタ85で検出される外気温度のうち、いずれか一つの温度が所定温度以下となる」という条件が充足されることに応じて実施される。本明細書では、この条件を「凍結防止運転の実施条件」と呼ぶ。
【0042】
凍結防止運転が開始されると、コントローラは、複数の第1電気ヒータ35および複数の第2電気ヒータ83(以下では、単に「電気ヒータ35、83」と呼ぶ。)を一斉に駆動する。凍結防止運転の実行中、コントローラは、電気ヒータ35、83を駆動し続ける。これにより、給湯システム2の各経路が加熱され、これらの経路の内部で水が凍結することが防止される。なお、コントローラは、凍結防止運転を開始する際の外気温度に応じて、凍結防止運転の運転時間を決定する。例えば、コントローラは、凍結防止運転を開始する際の外気温度が低いほど、凍結防止運転の運転時間を長い時間に決定する。コントローラは、当該運転時間が経過すると、電気ヒータ35、83を停止して、凍結防止運転を終了する。
【0043】
(湯はり開始時刻の学習制御)
図2に示すように、コントローラは、特定の世帯の過去7日分の運転履歴を不揮発性メモリ75に記憶している。本実施例では、コントローラは、過去7日間において湯はり運転が開始された時刻を不揮発性メモリ75に記憶している。コントローラは、過去7日間において湯はり運転が開始された時刻のうち、最も早い時刻を「湯はり開始時刻B1」として特定する。図2に示す例では、コントローラは、18:00を湯はり開始時刻B1として特定する。
【0044】
(湯はり適応処理)
給湯システム2に電力が供給されている間、コントローラは、湯はり適応処理を繰り返し実行する。湯はり適応処理は、図3に示す第1湯はり適応処理と、図4から図6に示す第2湯はり適応処理から構成される。給湯システム2が通常モードである場合、コントローラは、第1湯はり適応処理を実行する。給湯システム2が電力抑制モードである場合、コントローラは、第2湯はり適応処理を実行する。
【0045】
図3:第1湯はり適応処理)
S2では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。凍結防止運転開始受付処理では、凍結防止運転の実施条件が充足されているか否かが判断される。そして、凍結防止運転の実施条件が充足されている場合には凍結防止運転が開始される。S2の後、処理はS4へ進む。
【0046】
S4では、コントローラは、リモコン76を介して湯はり運転の開始が指示されたか否かを判断する。湯はり運転の開始が指示されていない場合(NOの場合)、処理はS2に戻る。湯はり運転の開始が指示されている場合(YESの場合)、処理はS6へ進む。
【0047】
S6では、コントローラは、湯はり運転の開始と同時に、高出力沸き上げ運転を開始する。S6の後、処理はS8へ進む。
【0048】
S8では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。S8の後、処理はS10へ進む。
【0049】
S10では、コントローラは、第1出力移行条件が充足されたか否かを判断する。本実施例の「第1出力移行条件」は、「下部サーミスタ38で検出される温度が、沸き上げ運転の目標沸き上げ温度から所定温度(例えば、5℃)を減じて得られる温度を上回る」という条件である。湯はり運転の実行中は、高出力沸き上げ運転によるタンク30の上部への貯湯と、湯はり運転によるタンク30の上部からの出湯が同時に行われる。一方で、湯はり運転が終了した後は、高出力沸き上げ運転によるタンク30の上部への貯湯のみが行われる。このため、第1出力移行条件は、湯はり運転が終了した後、高出力沸き上げ運転によってタンク30内の水が比較的高温まで沸き上げられたか否かを判断するための条件ともいえる。第1出力移行条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS8に戻る。第1出力移行条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS12へ進む。
【0050】
S12では、コントローラは、S6で開始された高出力沸き上げ運転を終了するとともに、通常沸き上げ運転を開始する。S12の後、処理はS14へ進む。
【0051】
S14では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。S14の後、処理はS16へ進む。
【0052】
S16では、コントローラは、沸き上げ終了条件が充足されたか否かを判断する。本実施例の「沸き上げ終了条件」は、「下部サーミスタ38で検出される温度が、沸き上げ運転の目標沸き上げ温度となる」という条件である。すなわち、沸き上げ終了条件は、タンク30内が満蓄状態となったか否かを判断するための条件ともいえる。ここでいう「満蓄状態」とは、タンク30内の水が目標沸き上げ温度まで沸き上げられた状態を意味する。沸き上げ終了条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS14に戻る。沸き上げ終了条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS18へ進む。
【0053】
S18では、コントローラは、S12で開始された通常沸き上げ運転を終了する。S18の後、第1湯はり適応処理は終了する。
【0054】
図7:凍結防止運転開始受付処理)
S102では、コントローラは、凍結防止運転が実行中であるか否かを判断する。凍結防止運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理はS102へ進む。
【0055】
S104では、コントローラは、凍結防止運転の実施条件が充足されているか否かを判断する。凍結防止運転の実施条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS106へ進む。
【0056】
S106では、コントローラは、凍結防止運転を開始する。
【0057】
S102で凍結防止運転が実行中であると判断される場合(YESの場合)、S104で凍結防止運転の実施条件が充足されていないと判断される場合(NOの場合)、またはS106の後、凍結防止運転開始受付処理は終了する。
【0058】
図4:第2湯はり適応処理のS22からS50まで)
【0059】
S22では、コントローラは、湯はり開始時刻B1が特定されているか否かを判断する。例えば、旅行等でユーザが長期間不在だった場合など、過去7日分の運転履歴が存在しない場合には、湯はり開始時刻B1が特定されず、NOと判断される。湯はり開始時刻B1が特定されている場合(YESの場合)、処理はS24へ進む。
【0060】
S24では、コントローラは、現在時刻が時刻B0を経過したか否かを判断する。時刻B0は、湯はり開始時刻B1から所定時間αだけ前の時刻である。ここでいう所定時間αは、凍結防止運転の最長運転時間よりも長い時間に設定される。ここでいう「凍結防止運転の最長運転時間」とは、凍結防止運転の運転時間として決定される時間のうち最も長い時間を意味する。また、「現在時刻が時刻B0を経過した」と判断されるのは、各日において一度だけである。現在時刻が時刻B0を経過している場合(YESの場合)、処理はS26へ進む。
【0061】
S26では、コントローラは、凍結防止運転の実施条件が充足されているか否かを判断する。凍結防止運転の実施条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS28へ進む。凍結防止運転の実施条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS30へ進む。
【0062】
S28では、コントローラは、凍結防止運転を開始する代わりに、運転繰り越しフラグをONにする。ここでいう「運転繰り越しフラグ」とは、不揮発性メモリ75に記憶される情報である。S28の後、処理はS30へ進む。
【0063】
S30では、コントローラは、リモコン76を介して湯はり運転の開始が指示されたか否かを判断する。湯はり運転の開始が指示されていない場合(NOの場合)、処理はS26に戻る。湯はり運転の開始が指示されている場合(YESの場合)、処理はS32へ進む。
【0064】
S32では、コントローラは、湯はり運転の開始と同時に、高出力沸き上げ運転を開始する。S32の後、処理はS34へ進む。
【0065】
S34では、コントローラは、凍結防止運転の実施条件が充足されているか否かを判断する。凍結防止運転の実施条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS36へ進む。凍結防止運転の実施条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS38へ進む。
【0066】
S36では、コントローラは、凍結防止運転を開始する代わりに、運転繰り越しフラグをONにする。S36の後、処理はS38へ進む。
【0067】
S38では、コントローラは、第1出力移行条件が充足されたか否かを判断する。第1出力移行条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS34に戻る。第1出力移行条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS40へ進む。
【0068】
S40では、コントローラは、S32で開始された高出力沸き上げ運転を終了するとともに、通常沸き上げ運転を開始する。S40の後、処理はS42へ進む。
【0069】
S42では、コントローラは、運転繰り越しフラグがONであるか否かを判断する。運転繰り越しフラグがONである場合(YESの場合)、処理はS44へ進む。運転繰り越しフラグがOFFである場合(NOの場合)、処理はS46へ進む。
【0070】
S44では、コントローラは、凍結防止運転を開始する。そして、コントローラは、運転繰り越しフラグをOFFにする。S44の後、処理はS46へ進む。
【0071】
S46では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。S46の後、処理はS48へ進む。
【0072】
S48では、コントローラは、沸き上げ終了条件が充足されたか否かを判断する。沸き上げ終了条件が充足されていない場合(NOの場合)、処理はS46に戻る。沸き上げ終了条件が充足されている場合(YESの場合)、処理はS50へ進む。
【0073】
S50では、コントローラは、S40で開始された通常沸き上げ運転を終了する。S50の後、第2湯はり適応処理は終了する。
【0074】
図5:第2湯はり適応処理のS52からS58まで)
S22で湯はり開始時刻B1が特定されていないと判断される場合(NOの場合)、処理はS52へ進む。S52では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。S52の後、処理はS54へ進む。
【0075】
S54では、コントローラは、リモコン76を介して湯はり運転の開始が指示されたか否かを判断する。湯はり運転の開始が指示されていない場合(NOの場合)、処理はS52に戻る。湯はり運転の開始が指示されている場合(YESの場合)、処理はS56へ進む。
【0076】
S56では、コントローラは、凍結防止運転が実行中であるか否かを判断する。凍結防止運転が実行中である場合(YESの場合)、処理はS58へ進む。凍結防止運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理は図4のS32へ進む。
【0077】
S58では、コントローラは、実行中の凍結防止運転を中断する。S58の後、処理は図4のS32へ進む。
【0078】
図6:第2湯はり適応処理のS60からS68まで)
S24で現在時刻が時刻B0を経過していないと判断される場合(NOの場合)、処理はS60へ進む。S60では、コントローラは、凍結防止運転開始受付処理(図7参照)を実行する。S60の後、処理はS62へ進む。
【0079】
S62では、コントローラは、現在時刻が時刻B0を経過したか否かを判断する。現在時刻が時刻B0を経過している場合(YESの場合)、処理は図4のS26へ進む。現在時刻が時刻B0を経過していない場合(NOの場合)、処理はS64へ進む。
【0080】
S64では、コントローラは、リモコン76を介して湯はり運転の開始が指示されたか否かを判断する。湯はり運転の開始が指示されていない場合(NOの場合)、処理はS60に戻る。湯はり運転の開始が指示されている場合(YESの場合)、処理はS66へ進む。
【0081】
S66では、コントローラは、凍結防止運転が実行中であるか否かを判断する。凍結防止運転が実行中である場合(YESの場合)、処理はS68へ進む。凍結防止運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理は図4のS32へ進む。
【0082】
S68では、コントローラは、実行中の凍結防止運転を中断する。S68の後、処理は図4のS32へ進む。
【0083】
(給湯システム2のモードごとの動作の違いについて)
図8図9は、給湯システム2が湯はり適応処理に従って動作する場合の、給湯システム2の消費電力の時間推移の一例を示す。図8図9では、高出力沸き上げ運転におけるHPユニット4の消費電力をPとし、通常沸き上げ運転におけるHPユニット4の消費電力をPとし、凍結防止運転における駆動時の電気ヒータ35、83の消費電力をPAFとして示す。本実施例では、消費電力Pと消費電力PAFの合計値は、抑制電力を上回る。一方で、消費電力Pと消費電力PAFの合計値は、抑制電力を下回る。
【0084】
図8に示すように、通常モードでは、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)の実行中であっても、凍結防止運転の実施条件が充足されると直ちに凍結防止運転が開始される。このように、通常モードでは、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)と凍結防止運転が同時に実行されることが許容される。
【0085】
図9に示すように、電力抑制モードでは、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)の実行中は、凍結防止運転の実施条件が充足されたとしても、凍結防止運転は開始されない。この場合、凍結防止運転は、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)の終了後に開始される。このように、電力抑制モードでは、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)を実行すべき状況と凍結防止運転を実行すべき状況が重なる場合、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)の実行が優先される。これにより、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)と凍結防止運転が同時に実行されることが禁止される。
【0086】
(第2湯はり適応処理による、凍結防止運転の実行を禁止する構成について)
電力抑制モードでは、湯はり開始時刻B1が特定される場合、現在時刻が時刻B0を経過してから、高出力沸き上げ運転が終了するまでの間、凍結防止運転の開始が禁止される(図4のS24からS40参照)。本実施例では、現在時刻が時刻B0を経過する直前に凍結防止運転が開始されたとしても、当該凍結防止運転は、遅くとも現在時刻が湯はり開始時刻B1に達するまでに終了する。結果として、電力抑制モードでは、湯はり開始時刻B1を経過してから、高出力沸き上げ運転が終了するまでの間、凍結防止運転の実行が禁止される。
【0087】
また、湯はり開始時刻B1が特定されない場合や、現在時刻が時刻B0を経過していない場合には、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)が開始されるタイミングで、実行中の凍結防止運転が中断される(図5のS58および図6のS68参照)。凍結防止運転が中断された後は、高出力沸き上げ運転が終了するまで、凍結防止運転の開始が禁止される。このため、電力抑制モードでは、湯はり開始時刻B1によらずとも、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)が開始されてから高出力沸き上げ運転が終了するまでの間、凍結防止運転の実行が禁止される。
【0088】
(変形例)
上記の実施例では、バーナ80が、燃料ガスの燃焼によって水を加熱する構成について説明した。別の実施例では、バーナ80は、燃料ガス以外の燃料(例えば、灯油等の液体燃料)の燃焼によって水を加熱してもよい。
【0089】
上記の実施例では、コントローラが、エネルギー管理システムから受信した情報に基づいて、給湯システム2のモード切り替えを行う構成について説明した。別の実施例では、コントローラは、リモコン76を介したユーザからの指示に基づいて、給湯システム2のモード切り替えを行ってもよい。
【0090】
上記の実施例において、凍結防止運転は、複数の第1電気ヒータ35が駆動される第1凍結防止運転と、複数の第2電気ヒータ83が駆動される第2凍結防止運転と、から構成されてもよい。この場合、第1凍結防止運転の実施条件と、第2凍結防止運転の実施条件は、別個に設定されてもよい。例えば、第1凍結防止運転の実施条件は「タンク外気温度サーミスタ39で検出される外気温度が所定温度以下となる」という条件であってもよい。第2凍結防止運転の実施条件は「バーナ外気温度サーミスタ85で検出される外気温度が所定温度以下となる」という条件であってもよい。
【0091】
上記の実施例では、コントローラが、凍結防止運転の実行中、電気ヒータ35、83を駆動し続ける構成について説明した。別の実施例では、コントローラは、凍結防止運転の実行中、電気ヒータ35、83の駆動・非駆動を所定の周期で繰り返してもよい。
【0092】
上記の実施例では、コントローラが、過去7日分における湯はり運転の運転実績に基づいて、湯はり開始時刻B1を特定する構成について説明した。別の実施例では、コントローラは、過去1か月間における湯はり運転の運転実績に基づいて、湯はり開始時刻B1を特定してもよい。さらに別の実施例では、コントローラは、特定の曜日に係る過去7週間分の湯はり運転の運転実績に基づいて、湯はり開始時刻B1を特定してもよい。
【0093】
上記の実施例では、給湯システム2が通常モードである場合、コントローラが、第1湯はり適応処理を実行する構成について説明した。別の実施例では、コントローラは、給湯システム2が通常モードである場合に、第2湯はり適応処理を実行してもよい。この場合、通常モードは、コントローラが第1湯はり適応処理を実行する第1通常モードと、コントローラが第2湯はり適応処理を実行する第2通常モードと、を含んでもよい。
【0094】
上記の実施例では、コントローラが、湯はり運転の過去の運転実績に基づいて、湯はり開始時刻B1を特定する構成について説明した。別の実施例では、コントローラは、これとは異なる方法で湯はり開始時刻B1を特定してもよい。例えば、リモコン76に湯はり開始時刻B1を入力可能であってもよく、コントローラは、リモコン76への入力に基づいて、湯はり開始時刻B1を特定してもよい。
【0095】
上記の実施例では、コントローラが、湯はり運転の開始と同時に、沸き上げ運転(具体的には、高出力沸き上げ運転)を開始する構成について説明した(図3のS6および図4のS32参照)。別の実施例では、コントローラは、湯はり開始時刻B1から所定時間(例えば、5分)だけ前(または後)の時刻を経過するタイミングで、高出力沸き上げ運転を開始してもよい。なお、本明細書における「湯はり運転に付随して実行する」という表現は、上記のいずれの実施例をも包含する表現である。
【0096】
上記の実施例では、湯はり運転に付随することなく実行される沸き上げ運転が通常沸き上げ運転であり、湯はり運転に付随して実行される沸き上げ運転が高出力沸き上げ運転である構成について説明した。別の実施例では、湯はり運転に付随することなく実行される沸き上げ運転と、湯はり運転に付随して実行される沸き上げ運転は、いずれも通常沸き上げ運転であってもよい。これにより、湯はり運転が終了した後、直ちに凍結防止運転の実行が許容されてもよい。
【0097】
上記の実施例において、コントローラは、湯はり開始時刻B1と同様に、湯はり運転の過去の運転実績に基づいて、湯はり運転が終了する時刻(湯はり終了時刻)を特定してもよい。この場合、コントローラは、湯はり開始時刻B1を経過してから湯はり終了時刻を経過するまでの時間帯において凍結防止運転の実行を禁止し、それ以外の時間帯において凍結防止運転の実行を許容してもよい。上記の構成であっても、湯はり運転(および高出力沸き上げ運転)と凍結防止運転が同時に実行されることを禁止できる。
【0098】
(対応関係)
本明細書では、HPユニット4はヒートポンプの例である。バーナ80は燃焼加熱装置の例である。コントローラは制御装置の例である。また、現在時刻が湯はり開始時刻B1から所定時間αだけ前の時刻B0を経過した後は凍結防止運転の開始が禁止される構成は、湯はり開始時刻において凍結防止運転が実行中とならないように、湯はり開始時刻に先立って凍結防止運転の開始が禁止される構成の例である。
【0099】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0100】
2 :給湯システム
4 :HPユニット
6 :タンクユニット
8 :バーナユニット
9 :電力供給ユニット
10 :圧縮機
12 :凝縮器
14 :膨張弁
16 :蒸発器
18 :循環ポンプ
19 :HP往き経路
20 :HP往きサーミスタ
21 :HP戻り経路
22 :HP戻りサーミスタ
23 :HP外気温度サーミスタ
24 :HPコントローラ
30 :タンク
31 :タンク往き経路
32 :混合弁
33 :タンク戻り経路
34 :バイパス制御弁
35 :第1電気ヒータ
36 :上部サーミスタ
37 :中間部サーミスタ
38 :下部サーミスタ
39 :タンク外気温度サーミスタ
40 :給水経路
42 :減圧弁
44 :入水サーミスタ
46 :タンク給水経路
48 :タンクバイパス経路
50 :逆止弁
52 :逆止弁
54 :水側水量センサ
56 :タンク出湯経路
58 :逆止弁
60 :湯側水量センサ
62 :第1給湯経路
64 :混合サーミスタ
66 :第2給湯経路
68 :給湯出口サーミスタ
70 :逆止弁
72 :給湯バイパス経路
74 :タンクコントローラ
75 :不揮発性メモリ
76 :リモコン
80 :バーナ
81 :ガス供給管
82 :熱交換器
83 :第2電気ヒータ
84 :バイパスサーボ
85 :バーナ外気温度サーミスタ
86 :水量サーボ
88 :湯はり弁
90 :バーナ往路
91 :水量センサ
92 :バーナ復路
94 :バーナバイパス経路
96 :バーナ給湯サーミスタ
98 :湯はり経路
100 :バーナコントローラ
102 :分電盤
104 :蓄電池
106 :切替器
108 :商用電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9