(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036844
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】作業に必要な人員を推定する方法及び作業に必要な人員を推定するシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240311BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141362
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】521432270
【氏名又は名称】株式会社KURANDO
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 一弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】物流現場では工程ごとに締切時刻が異なり、時間ごとに配置が変わりながら実施されるが時間別シミュレーションができていないため、過剰に人員を投下する傾向にある。
【解決手段】今回、個人別業務別の生産性の計算を盛り込むこと、また当日にも再シミュレートが行うこと、視覚的にそれらの検証ができる(当日実務でのイレギュラーに耐えられる)の3つの要素が揃ったことで実際の現場管理者が少ない人員での投入が可能となる(=最終的には投下判断を行うのは管理者)ことである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
[シミュレーションの方法]
<前週>
・特定日に作業が集中する場合は締め切りを前倒してばらつきを均す(見積の調整)。
・下振れ時の予測数量を用いて、配置アルゴリズムを流す。これにより各作業の不足人時がわかるため、派遣会社に発注をかける。
<前日>
・前日A:通常予測の数量で配置アルゴリズムを流す。これにより各作業の不足人時がわかるため、派遣会社に発注をかける。
・前日B:上振れ予測の数量かつ、必達作業のみで配置アルゴリズムを流す。不足人時を表示して、0なら上振れ時対応可能!みたいなポップアップが出て安心。不足しているなら、その人時分派遣会社に発注をかける。
・前日C:各作業で「通常予測-下振れ予測」分のオーダーがあるかを簡易的にオーダー数下振れチェックする。
<当日朝>
・実際に届いたオーダー数に従い実績を入れる。実績数量を用いて配置アルゴリズムを流す。それにより各スタッフの1日の動きが確定する。
<当日(午後15時など)>
・特定の時間における実績数量の入力(残数量の設定)、実施時間帯の拡大縮小の設定をしたのち、残数量を用いて配置アルゴリズムを流す。それにより、各スタッフの今後のあるべき動きが確定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業に必要な人員を推定する方法及び作業に必要な人員を推定するシステム
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、物流業界における倉庫作業等において、業務効率向上を目的として、様々な管理システムが導入されている。例えば、倉庫作業等において一日の全体作業量は一定でなく、その作業量に応じて必要人員数が異なる。また、一日の作業の種類に応じて必要な作業員のスキルも異なる。そのため、将来の作業量及び作業の種類に応じて、必要な作業員の人数やスキルの見積もりをすることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
物流現場では工程ごとに締切時刻が異なり、時間ごとに配置が変わりながら実施されるが時間別シミュレーションができていないため、過剰に人員を投下する傾向にある。
【0004】
過剰人員投下となる例(それぞれの工程で完了させようとする)。
・工程A:9時~17時で30時間分の作業→5人手配
・工程B:10時~16時で50時間分の作業→10人手配
・工程C:11時~18時で25時間分の作業→5人手配
・工程D:9時~15時で60時間分の作業→12人手配
(合計165時間分→21人×8時間が最小だが32人手配となる)
【0005】
通常、シフトは各工程の業務時間そのものではなく、コアタイム(上記例では9時~18時)の間で出勤可能な時間が事前に提出されている。当日、早帰りをお願いできるものではない。※12時~13時は休憩するとしている。
【0006】
本最適化には複数の要素が影響する。
・業務ごと個人別の生産性の違い
・他業務の手伝いにおける生産性低下幅
・業務ごとの作業可能時刻
・出勤シフト(何時~何時勤務なのか)
・各業務の作業量が当日決定する(予想と変わる)
といった形で変動される要素のパターンが多いため、計算シミュレーションは手間がかかり、精度も低かった。そのため時間別の業務計画は組まず、各工程に対して1日当たりの作業量で計算してしまっていることが多い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
「自動配置のロジック」と「時間別配置表」を用いることで精緻に計画し、投下人員を減らせる。
【0008】
従来、時間別配置表のような形をエクセルなどのツールで組むことは実質的に不可能だった。(時間と効果の兼ね合い)理由は以下。
・個人別業務別の生産性の数値を参考にしながら、手動配置していくのは非常に時間がかかる。
・余裕の少ない人員手配になるため、当日の変動要素への対応が必須(欠勤者、各工程ごとの作業量)、となるが、上記の手動手配を当日に改めて実施する時間がない。
・物流現場では管理される人員も多いため、管理者が見たい部分の表示展開/折り畳みが機能するシステム画面がないと全体の確認が取れず、余裕の少ない手配での承認ができない。
【0009】
今回、個人別業務別の生産性の計算を盛り込むこと、また当日にも再シミュレートが行うこと、視覚的にそれらの検証ができる(当日実務でのイレギュラーに耐えられる)の3つの要素が揃ったことで実際の現場管理者が少ない人員での投入が可能となる(=最終的には投下判断を行うのは管理者)ことである。
【発明の効果】
【0010】
今回、個人別業務別の生産性の計算を盛り込むこと、また当日にも再シミュレートが行うこと、視覚的にそれらの検証ができる(当日実務でのイレギュラーに耐えられる)の3つの要素が揃ったことで実際の現場管理者が少ない人員での投入が可能となる(=最終的には投下判断を行うのは管理者)ことである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
[解決すべき課題]
物流現場では工程ごとに締切時刻が異なり、時間ごとに配置が変わりながら実施されるが時間別シミュレーションができていないため、過剰に人員を投下する傾向にある。
【0013】
過剰人員投下となる例(それぞれの工程で完了させようとする)。
・工程A:9時~17時で30時間分の作業→5人手配
・工程B:10時~16時で50時間分の作業→10人手配
・工程C:11時~18時で25時間分の作業→5人手配
・工程D:9時~15時で60時間分の作業→12人手配
(合計165時間分→21人×8時間が最小だが32人手配となる)
【0014】
通常、シフトは各工程の業務時間そのものではなく、コアタイム(上記例では9時~18時)の間で出勤可能な時間が事前に提出されている。当日、早帰りをお願いできるものではない。※12時~13時は休憩するとしている。
【0015】
本最適化には複数の要素が影響する。
・業務ごと個人別の生産性の違い
・他業務の手伝いにおける生産性低下幅
・業務ごとの作業可能時刻
・出勤シフト(何時~何時勤務なのか)
・各業務の作業量が当日決定する(予想と変わる)
といった形で変動される要素のパターンが多いため、計算シミュレーションは手間がかかり、精度も低かった。そのため時間別の業務計画は組まず、各工程に対して1日当たりの作業量で計算してしまっていることが多い。
【0016】
[解決となる発明]
「自動配置のロジック」と「時間別配置表」を用いることで精緻に計画し、投下人員を減らせる。
【0017】
<前日まで>
レギュラー出勤シフト→自動配置ロジック。担当者スキル→自動配置ロジック。業務別締め時間→自動配置ロジック。対象日想定作業量→自動配置ロジック。自動配置ロジック→時間別配置表。
時間別配置表:最適に近い人員計画。
・レギュラーの出勤調整
・スポット派遣の手配調整
【0018】
<当日>
時間別配置表→自動配置ロジック。当日変動→自動配置ロジック。自動配置ロジック→時間別配置表(変更版)。
時間別配置表(変更版):当日変動を受けた変更版。
・当日欠勤者情報
・作業量変動
【0019】
[本特許のポイント]
従来、時間別配置表のような形をエクセルなどのツールで組むことは実質的に不可能だった。(時間と効果の兼ね合い)理由は以下。
・個人別業務別の生産性の数値を参考にしながら、手動配置していくのは非常に時間がかかる。
・余裕の少ない人員手配になるため、当日の変動要素への対応が必須(欠勤者、各工程ごとの作業量)、となるが、上記の手動手配を当日に改めて実施する時間がない。
・物流現場では管理される人員も多いため、管理者が見たい部分の表示展開/折り畳みが機能するシステム画面がないと全体の確認が取れず、余裕の少ない手配での承認ができない。
【0020】
今回、個人別業務別の生産性の計算を盛り込むこと、また当日にも再シミュレートが行うこと、視覚的にそれらの検証ができる(当日実務でのイレギュラーに耐えられる)の3つの要素が揃ったことで実際の現場管理者が少ない人員での投入が可能となる(=最終的には投下判断を行うのは管理者)ことである。
【0021】
[時間別配置表]
各主要な工程が終了するために必要な人員が、何時にどこに入っているかを確認することができる配置表。当日の流れをイメージすることができるため、当日の変動(欠勤や想定以上/以下の作業量)などへの対応イメージが湧きやすく、最適な人員手配(少人数の投入)としやすくなる。※数値データは別途更新します。
【0022】
[自動配置ロジック概要]
自動配置。シフトと生産性。配置優先順位。人数見込。工数見込。費用見込。
【0023】
人力度←生産性平均乖離:生産性/平均生産性。平均的なひとから見て何人力の働きができるかを示す。
【0024】
調達難易度←変動係数:作業ごとの生産性の標準偏差/平均。平均で割って作業間で比較可能にする。
【0025】
評価値:生産性平均乖離×変動係数を補正したもの。
【0026】
[事前設定・事前入力]
・レギュラースタッフには各作業の生産性を入れる。スポットは統一の生産性を設定する。
・作業の生産性と平均生産性から、各作業におけるレア度を算出する(レア度=個人の生産性/平均生産性)。
・各作業ごとに、作業の実施時間帯を入力する。
・各スタッフ(レギュラー、確定済みスポット)は出勤シフトをもつ。
・レギュラースタッフにはメイン作業を設定しておく(nullable)。
・各作業は必達作業・繰越作業に分けれる(繰越作業の中でもこれだけは今日やりたいという必達格上げも部分的にできる)。
・各作業には、オーダー日・締切日のマトリクスの表に数量を入れていく。数量は予測値(上振れ・通常・下振れ)・実績値の4種を入れることができる。
・スタッフ、作業には並び順がある。アルゴリズム上同一の重みの場合は、この並び順が加味されることとする。
【0027】
[配置アルゴリズム]
<メイン作業の配置>
・各作業ごとに、その作業がメイン作業のスタッフをレア度順に並べる。
・上から順にスタッフのシフトとその作業の実施時間帯が被ってる箇所をその作業に割り当てる(何個実施できるかが推定できる。シフト9-17時、作業の実施時間帯10-16時、生産性50なら600個。)。
・予定作業数から入れたスタッフができる作業数を引いていき、残作業数が0になったらその作業は割り当てのリストから削除する。並べたリストの末端まで繰り返す(残作業数が0になる場合は、そのスタッフは一部の時間しか入っていないことになる、頭とお尻、どっちに寄せたほうが最適かは他作業の実施時間帯によっても変わると思うがそこをシミュレーションする負荷と効果が見合わない気がするので、頭に寄せるで良い。)。
【0028】
<メイン作業以外の配置>
・各スタッフ・残作業のある各作業のレア度を一括でレア度順に並べる(確定済みスポットはここで加味する)。
・上から順に、スタッフが空いてる時間と作業の実施時間帯が被っている箇所に割り当てる。残作業数が0になったらその作業は割り当てのリストから削除する。並べたリストの末端まで繰り返す。
【0029】
<不足時の対応>
・シミュレーション時
残作業のある各作業ごとに、スポットの生産性換算で何人時不足しているか算出する。
・当日配置時
必達作業の人員が不足している場合、各スタッフ・繰越可能作業をレア度の低い順に並べる。そのスタッフを残作業があり、必達作業の中でよりレア度の高い実施時間帯に置き換える。必達作業の残作業数が0になるまで繰り返す(シフトが余っている場合、必達作業の中で次にレア度の高い作業について、作業の実施時間帯にシフトに入れるなら置き換える。シフトが余っている限りこれを繰り返す。それでも足りない場合は、平均生産性換算でX人時不足と表示する。)
【0030】
[シミュレーションの方法]
<前週>
・特定日に作業が集中する場合は締め切りを前倒してばらつきを均す(見積の調整)。
・下振れ時の予測数量を用いて、配置アルゴリズムを流す。これにより各作業の不足人時がわかるため、派遣会社に発注をかける。
【0031】
<前日>
・前日A:通常予測の数量で配置アルゴリズムを流す。これにより各作業の不足人時がわかるため、派遣会社に発注をかける。
・前日B:上振れ予測の数量かつ、必達作業のみで配置アルゴリズムを流す。不足人時を表示して、0なら上振れ時対応可能!みたいなポップアップが出て安心。不足しているなら、その人時分派遣会社に発注をかける。
・前日C:各作業で「通常予測-下振れ予測」分のオーダーがあるかを簡易的にオーダー数下振れチェックする。
【0032】
<当日朝>
・実際に届いたオーダー数に従い実績を入れる。実績数量を用いて配置アルゴリズムを流す。それにより各スタッフの1日の動きが確定する。
【0033】
<当日(午後15時など)>
・特定の時間における実績数量の入力(残数量の設定)、実施時間帯の拡大縮小の設定をしたのち、残数量を用いて配置アルゴリズムを流す。それにより、各スタッフの今後のあるべき動きが確定する。