(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036848
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】皮膚炎治療の支援装置、皮膚炎治療の支援方法、及び皮膚炎治療の支援アプリケーション
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240311BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141368
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】521365646
【氏名又は名称】無藤 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】無藤 友康
(72)【発明者】
【氏名】無藤 鼓子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】皮膚炎を有する患者等の動機付けを支援することの可能な皮膚炎治療の支援装置を提供する。
【解決手段】皮膚炎の患者を含む患者関係者が利用する患者端末12から情報を取得する、皮膚炎治療の支援装置11において、患者端末12から、患者の体を掻いたことを示す情報、及び皮膚炎に対処する塗り薬を患者の体に塗布したことを示す情報を取得する情報取得部19と、情報取得部19が取得した情報に基づいて、患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する情報生成部20と、情報生成部20が生成した支援情報を患者端末12へ提供する情報提供部21と、を有する、皮膚炎治療の支援装置11を構成成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚炎の患者を含む患者関係者が利用する患者端末から情報を取得する、皮膚炎治療の支援装置において、
前記患者端末から、前記患者の体を掻いたことを示す第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記患者端末から、前記皮膚炎に対処する塗り薬を前記患者の体に塗布したことを示す第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1情報取得部が取得した前記第1情報、及び前記第2情報取得部が取得した前記第2情報に基づいて、前記患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部が生成した前記支援情報を前記患者端末へ提供する第1情報提供部と、
を有する、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記第1情報取得部が取得した前記第1情報と、前記第2情報取得部が取得した前記第2情報とを識別する識別部がさらに設けられ、
前記情報生成部は、前記識別部が前記第1情報であると識別した場合と、前記識別部が前記第2情報であると識別した場合とで、前記支援情報を異ならせる、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記第1情報取得部が取得した前記第1情報、及び前記第2情報取得部が取得した前記第2情報を、前記患者の皮膚炎を治療する医師が利用する医師端末へ提供する第2情報提供部と、
前記医師端末で前記第1情報及び前記第2情報を処理した処理結果を、前記医師端末から取得する第3情報取得部と、
をさらに有し、
前記情報生成部は、前記第3情報取得部が取得した前記処理結果に基づいて、前記支援情報を生成する、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記第1情報取得部が取得する前記第1情報は、前記患者の体を掻く手の動作を含み、
前記第2情報取得部が取得する前記第2情報は、前記患者の体に前記塗り薬を塗布する手の動作を含む、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記患者の皮膚炎の原因となるアレルゲンを含む食品の情報を記憶する記憶部と、
前記患者端末から食品を含む映像を取得する第4情報取得部と、
前記第4情報取得部が取得した映像に含まれる食品が、前記アレルゲンを含む食品であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が行った判断の結果を、前記患者端末へ提供する第3情報提供部と、
をさらに有する、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記情報生成部が生成する前記支援情報は、前記患者の体に塗り薬が塗布される動作に応じて表示頁を先へ進める絵本の情報を含み、
前記第1情報提供部は、前記絵本の情報を前記患者端末の表示部で表示できるように、前記患者端末へ提供する、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の皮膚炎治療の支援装置において、
前記情報生成部が生成する前記支援情報は、前記患者の体に塗り薬が塗布される動作に応じてキャラクターが成長するゲーム情報を含み、
前記第1情報提供部は、前記ゲーム情報を前記患者端末の表示部で表示できるように、前記患者端末へ提供する、皮膚炎治療の支援装置。
【請求項8】
皮膚炎の患者を含む患者関係者が利用する患者端末から情報を取得する皮膚炎治療の支援装置が行う、皮膚炎治療の支援方法において、
前記患者端末から、前記患者の体を掻いたことを示す第1情報を取得する第1ステップと、
前記患者端末から、前記皮膚炎に対処する塗り薬を前記患者の体に塗布したことを示す第2情報を取得する第2ステップと、
前記第1ステップで取得された前記第1情報及び前記第2ステップで取得された前記第2情報に基づいて、前記患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する第3ステップと、
前記第3ステップで生成された前記支援情報を前記患者端末へ提供する第4ステップと、
を有する、皮膚炎治療の支援方法。
【請求項9】
皮膚炎の患者を含む患者関係者が利用する患者端末から情報を取得する皮膚炎治療の支援装置を、
前記患者端末から、前記患者の体を掻いたことを示す第1情報を取得する第1手段、
前記患者端末から、前記皮膚炎に対処する塗り薬を前記患者の体に塗布したことを示す第2情報を取得する第2手段、
前記第1手段で取得された前記第1情報及び前記第2手段で取得された前記第2情報に基づいて、前記患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する第3手段、
前記第3手段で生成された前記支援情報を前記患者端末へ提供する第4手段、
として機能させる、皮膚炎治療の支援アプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚炎の患者を含む患者関係者による皮膚炎の治療行為を支援する、皮膚炎治療の支援装置、皮膚炎治療の支援方法、及び皮膚炎治療の支援アプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚炎患者の就寝中に、患者が体を掻く動作を検出することのできる掻き動作検出装置の一例が、非特許文献1に開示されている。非特許文献1に開示されている掻き動作検出装置は、アトピー性皮膚炎の患者の就寝中に、患者の近傍に置かれるユーザ端末と、就寝中に患者の腕に装着される腕時計と、を有している。ユーザ端末と検出装置との間で無線通信できるようになっている。そして、ユーザ端末にダウンロードされたアプリケーションが起動されると、ユーザ端末に設けられたカメラ、及び腕時計に設けられた検出装置により、患者が就寝した時から起床する時までの間に、患者が体の部位を掻いた動作が検出される。さらに、患者が起床後にユーザ端末を操作し、就寝中に掻き動作が行われた時間、掻き動作が行われた回数等の情報を、ユーザ端末の画面にグラフ及び文字等で表示することができる。なお、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症等の皮膚病の患者が、体を掻く動作を検出する掻き動作検出装置の一例は、特許文献1及び特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-507434
【特許文献2】特表2021-513895
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】マルホ株式会社、ニュース、Apple Watch (登録商標)用かゆみ計測アプリ「Itch Tracker」国内独占的使用権取得のお知らせ、[令和4年3月11日検索]、インターネット<URL:https://https://www.maruho.co.jp/ >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、非特許文献1、特許文献1及び特許文献2等に開示されている技術によれば、皮膚炎を有する患者が体を掻く動作を検出することができるものの、皮膚炎を有する患者を含む患者関係者、例えば、患者本人、及び患者の保護者等が、皮膚炎の治療を継続する動機付けにはなりにくい、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、皮膚炎の患者を含む患者関係者による皮膚炎治療の動機付けを支援することの可能な、皮膚炎治療の支援装置、皮膚炎治療の支援方法皮、及び膚炎治療の支援アプリケーションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、皮膚炎の患者を含む患者関係者が利用する患者端末から情報を取得する、皮膚炎治療の支援装置において、前記患者端末から、前記患者の体を掻いたことを示す第1情報を取得する第1情報取得部と、前記患者端末から、前記皮膚炎に対処する塗り薬を前記患者の体に塗布したことを示す第2情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報取得部が取得した前記第1情報、及び前記第2情報取得部が取得した前記第2情報に基づいて、患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記支援情報を前記患者端末へ提供する第1情報提供部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、皮膚炎の患者関係者による皮膚炎治療の動機付けを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示における皮膚炎治療の支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】皮膚炎治療の支援システムで行われる操作及び処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】(A),(B)は、患者端末の表示部における表示例である。
【
図4】(A),(B)は、子供端末の表示部における表示例である。
【
図5】(A),(B)は、患者端末の表示部における表示例である。
【
図6】(A),(B)は、医師端末の表示部における表示例である。
【
図7】(A),(B)は、子供端末の表示部における他の表示例である。
【
図8】(A),(B)は、子供端末の表示部における更に他の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[概要]
本開示における皮膚炎治療の支援システムは、医療施設に来て医師の診断及び治療を受ける外来患者が、自宅において皮膚炎治療を行う環境を支援するために利用できる。また、皮膚炎治療の支援システムは、重症で入院中の患者を、医師が治療する場合に利用することもできる。現状の皮膚炎治療は、患者の皮膚炎が完治または寛解するまでの間、患者本人を含む患者関係者が、皮膚炎治療を継続するための動機付けになるような材料に乏しい。本開示の皮膚炎治療の支援システムは、患者本人を含む患者関係者が、皮膚炎治療を継続するための動機付けを高め得るような環境を提供する。なお、本開示において、皮膚炎(湿疹)は、患者の体の表面(皮膚)におこる炎症であり、例えば、アトピー性皮膚炎である例を説明する。
【0011】
本開示の皮膚炎治療の支援システムを、図面を参照して説明する。各図において、同様の構成は同じ符号を付してあり、重複する説明を省略する。
図1に示す皮膚炎治療の支援システム(以下、「支援システム」と略記する。)10は、皮膚炎治療の支援装置(以下、「支援装置」と略記する。)11、患者端末12、子供端末13及び医師端末14を有する。支援装置11と患者端末12とが、ネットワーク15を介して相互に通信できるように構成され、支援装置11と医師端末14とが、ネットワーク15を介して相互に通信できるように構成されている。
図1では、便宜上、単数の医師端末14が示されているが、複数の医師端末14をそれぞれ単独で支援装置11に接続できる。また、患者端末12と子供端末13とが相互に通信できるように構成されている。
【0012】
図1では、便宜上、単数の患者端末12が示されているが、複数の患者端末12をそれぞれ単独で支援装置11に接続できる。さらに、単数の患者端末12に、複数の子供端末13が接続されてもよい。本開示において、医師端末14は、医師により操作及び利用される。本開示において、患者端末12は、患者本人を含む患者関係者により操作及び利用される。ここでは、患者の保護者が、患者端末12を操作及び利用する例を説明する。また、子供端末13は、体にアトピー性皮膚炎がある患者、例えば、12歳未満の子供が操作及び利用する例を説明する。
【0013】
[支援装置の説明]
支援装置11は、皮膚炎治療の支援システム10の管理者によって運営及び管理されるコンピュータである。皮膚炎治療の支援システム10は、支援装置11、患者端末12、子供端末13、医師端末14を含む。支援装置11は、スーパーコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、サーバ等のうちの何れであってもよい。支援装置11は、制御部16、記憶部17、通信部18を有する。制御部16は、入力ポート、出力ポート及び演算回路を有する。制御部16は、記憶部17及び通信部18に対して、信号の送信及び受信ができるように接続されている。通信部18は、ネットワーク15を介して患者端末12及び医師端末14から送信されたデータ及び情報を含む信号を受信する。通信部18が受信した信号は、制御部16へ入力される。これに対して、制御部16から通信部18に対して信号を出力できる。通信部18とネットワーク15とを接続する通信回線は、無線接続及び有線接続のうちの少なくとも一方により構築される。
【0014】
制御部16は、演算処理回路、入力ポート及び出力ポートを有する。制御部16は、入力される信号を処理し、かつ、記憶部17に記憶されているアプリケーション、プログラム、情報、データ等に基づいて、処理及び判断を行い、かつ、支援装置11を構成する各部の動作及び機能を制御する。また、制御部16は、入力される信号に含まれる情報及びデータを、記憶部17へ記憶させる処理を行う。さらに、制御部16は、記憶部17に記憶されている情報及びデータを、通信部18を介して患者端末12及び医師端末14へ提供する機能を有する。
【0015】
制御部16は、情報取得部19、情報生成部20、情報提供部21、識別部22及び判断部23を構築する。情報取得部19は、患者が体を掻いた情報を患者端末12から取得する機能と、皮膚炎に対処する塗り薬の使用情報を患者端末12から取得する機能と、患者が体を掻いた情報及び塗り薬の使用情報を医師端末14で処理した処理結果を、医師端末14から取得する機能と、食品を含む映像を患者端末12から取得する機能と、を有する。患者が体を掻いた情報は、患者が自分の体を手で掻く動作を含む。塗り薬の使用情報は、所定期間における塗り薬の塗布履歴、塗り薬を保護者の手で患者の体に塗布する動作を含む。情報生成部20は、患者が体を掻いた情報及び塗り薬の使用情報に基づいて、患者関係者における膚炎治療を支援する支援情報を生成する機能を有する。なお、支援情報の具体例は後述する。
【0016】
情報提供部21は、情報生成部20が生成した支援情報を患者端末12へ提供する機能と、患者が自分の体を手で掻いた情報、及び患者の体に塗り薬を塗布する保護者の手の動作を含む使用情報を、患者端末12及び医師端末14へそれぞれ提供する機能と、判断部23が行った判断の結果を患者端末12へ提供する機能と、を有する。識別部22は、患者が自分の体を手で掻く動作と、保護者が患者の体に塗り薬を手で塗布する動作とを識別する機能を有する。判断部23は、情報取得部19が取得した映像に含まれる食品が、アレルゲンを含む食品であるか否かを判断する機能を有する。
【0017】
記憶部17は、支援装置11を構成する本体の内部に設けられる内蔵型、または、本体の外部に設けられる外付型の何れでもよい。また、外付型の記憶部17は、ハードディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、スティックメモリ等であってもよい。記憶部17には、制御部16、識別部22及び情報生成部20のそれぞれが行う処理、判断、識別等に用いるアプリケーション、プログラム、データ、マップ、情報等が記憶される。記憶部17には、患者の皮膚炎の原因となるアレルゲンを含む食品の情報が記憶される。支援装置11は、ネットワーク15にアクセスすることで、
図1に示されていないコンピュータ及びウェブサイトからアレルゲンを含む食品の情報を取得し、かつ、更新できる。記憶部17には、患者端末12及び医師端末14へそれぞれ提供するアプリケーションが記憶されている。制御部16は、人工知能(AI:artificial intelligence)を構築することができる。
【0018】
[患者端末の説明]
患者端末12は、患者の保護者により利用及び操作されるパーソナルコンピュータであり、患者端末12は、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のうちの何れでもよい。患者端末12は、制御部24、操作部25、表示部26、記憶部27、通信部28、マイク60及びスピーカ61を有する。制御部24は、演算処理回路、入力ポート及び出力ポートを有する。制御部24は、支援装置11、子供端末13、カメラ29、検出装置30,31から入力される信号を処理し、かつ、記憶部27に記憶されているアプリケーション、プログラム、情報、データ等に基づいて、処理及び判断を行う。制御部24は、検出装置30,31から入力される信号を処理することにより、患者が自分の体を手で掻く動作と、患者の体に塗り薬を手で塗布する動作とを識別する機能を有する。また、制御部24は、入力される信号に含まれる情報及びデータを、記憶部27へ記憶させる処理を行う。さらに、制御部24は、処理結果及び判断結果、記憶部27に記憶されている情報及びデータを、通信部28を介して支援装置11及び子供端末13へ送信する機能を有する。
【0019】
操作部25は、タッチスイッチ、液晶パネル等の表示画面、キーボード、マウス等のうちの少なくとも1要素により構築されている。保護者が操作部25を操作すると、その操作に応じた信号が、制御部24へ入力される。表示部26は、タッチパネル、液晶パネル等により構築されている。表示部26には、患者関係者が患者端末12で入力する情報、及び支援装置11から取得する支援情報等が表示される。表示部26に表示される内容は、制御部24により制御及び切り替えられる。患者端末12がスマートフォン、またはタブレット端末であると、操作部25は、表示部26の表示画面に表示される操作メニュー(操作ボタン)である。
【0020】
また、患者端末12が、ノート型パーソナルコンピュータまたはスマートフォンまたはタブレット端末であると、カメラ29は患者端末12の本体に設けられる。カメラ29は、患者の姿勢、例えば、就寝中であるか否か、患者の座位、患者の立位、患者の手の動作量、患者の手の動作方向等を撮影できる。カメラ29で撮影された映像、撮影年月日、撮影日時等の撮影情報を含む信号は、制御部24へ入力される。これに対して、患者端末12が、デスクトップ型パーソナルコンピュータまたはノート型パーソナルコンピュータであると、カメラ29が患者端末12とは別に設けられていてもよい。カメラ29で撮影された映像、撮影年月日、撮影時刻等の撮影情報を含む信号は、通信部28を介して制御部24へ入力される。
【0021】
記憶部27には、制御部24が行う処理及び判断に用いるアプリケーション、プログラム、データ、マップ、情報等が記憶される。また、記憶部27には、制御部24が行った処理及び判断の結果が記憶される。通信部28は、支援装置11からネットワーク15を介して提供されるデータ及び情報を含む信号を受信し、かつ、データ及び情報を含む信号を、ネットワーク15を介して支援装置11へ送信できる。また、通信部28は、子供端末13へ信号を送信することができ、かつ、子供端末13から送信される信号を受信することができる。さらに、通信部28は、保護者が利用する検出装置30から出力される信号、及び患者が利用する検出装置31から出力される信号を受信できる。マイク60には、患者関係者が発した音声、例えば、質問及び相談が入力され、その音声は制御部24により処理される。スピーカ61は、制御部24により制御され、支援装置11から取得する支援情報に含まれる音声を出力する。
【0022】
[子供端末の説明]
子供端末13は、患者により利用及び操作される携帯型のパーソナルコンピュータであり、子供端末13は、スマートフォンまたはタブレット端末等のうちの何れでもよい。子供端末13は、制御部32、操作部33、表示部34、記憶部35、通信部36、スピーカ75を有する。制御部32は、演算処理回路、入力ポート及び出力ポートを有する。制御部32は、患者端末12から入力される信号、操作部33の信号、記憶部35に記憶されているアプリケーション、プログラム、情報、データ等に基づいて処理及び判断を行い、かつ、表示部34の制御、通信部36の制御、スピーカ75の制御を行う。スピーカ75は、制御部24により制御されて音声を出力する。制御部24は、検出装置31から入力される信号を処理することにより、患者が自分の体を手で掻く動作と、患者の体に塗り薬を手で塗布する動作とを識別する機能を有する。また、制御部32は、入力される信号に含まれる情報及びデータを、記憶部35へ記憶させる処理を行う。さらに、制御部32は、処理結果及び判断結果、記憶部35に記憶されている情報及びデータを、通信部36を介して患者端末12へ送信する機能を有する。
【0023】
表示部34は、タッチパネル、液晶パネル等により構築されている。表示部34に表示される内容は、制御部32により制御及び切り替えられる。操作部33は、表示部34の表示画面に表示される操作メニュー(操作ボタン)である。患者が操作部33を操作すると、その操作に応じた信号が、制御部32へ入力される。記憶部35には、制御部32が行う処理及び判断に用いるアプリケーション、プログラム、データ、マップ、情報等が記憶される。また、記憶部35には、制御部32が行った処理及び判断の結果が記憶される。通信部36は、患者端末12から送信される受信し、かつ、データ及び情報を含む信号を患者端末12へ送信できる。
【0024】
[検出装置の説明]
検出装置30は、保護者の手首または指に対し取り付け及び取り外しが可能である。検出装置30は、保護者の手首に取り付けられる腕時計型のもの、または、保護者の指に取り付けられる指輪型のもの、の何れでもよい。検出装置31は、患者の手首または指に対し取り付け及び取り外しが可能である。検出装置31は、患者の手首に取り付けられる腕時計型のもの、または、患者の指に取り付けられる指輪型のもの、の何れでもよい。検出装置30,31は、何れも加速度センサ、通信部及び蓄電池を有する。検出装置30は、保護者の手の動作速度を検出して信号を出力する。検出装置31は、患者の手の動作速度及び手の動作量を検出して信号を出力する。検出装置30,31は、何れも無線通信によって患者端末12へ信号を送信する。なお、検出装置31から出力される信号は、子供端末13へ送信されてもよい。
【0025】
[医師端末の説明]
医師端末14は、医師により利用及び操作されるパーソナルコンピュータであり、医師端末14は、医療施設で利用される。医療施設は、病院及び診療所を含む。医師端末14は、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のうちの何れでもよい。医師端末14は、制御部37、操作部38、表示部39、記憶部40、通信部41、マイク62及びスピーカ63を有する。制御部37は、演算処理回路、入力ポート及び出力ポートを有する。制御部37は、支援装置11から入力される信号を処理し、かつ、記憶部40に記憶されているアプリケーション、プログラム、情報、データ等に基づいて、処理及び判断を行う。患者端末12から支援装置11へ情報及びデータが送信されると、医師端末14は、所定時間の間隔をおいて支援装置11から情報及びデータを受信すること、及び支援装置11からリアルタイムで情報及びデータを受信すること、ができる。また、制御部37は、入力される信号に含まれる情報及びデータを、記憶部40へ記憶させる処理を行う。さらに、制御部37は、処理及び判断結果、記憶部40に記憶されている情報及びデータを、通信部41を介して支援装置11へ送信する機能を有する。
【0026】
操作部38は、タッチスイッチ、液晶パネル等の表示画面、キーボード、マウス等のうちの少なくとも1要素により構築されている。医師が操作部38を操作すると、その操作に応じた信号が、制御部37へ入力される。表示部39は、タッチパネル、液晶パネル等により構築されている。表示部39に表示される内容は、制御部37により制御及び切り替えられる。医師端末14がスマートフォンまたはタブレット端末であると、操作部38は、表示部39の表示画面に表示される操作メニュー(操作ボタン)である。
【0027】
記憶部40には、制御部37が行う処理及び判断に用いるアプリケーション、プログラム、データ、マップ、情報等が記憶される。また、記憶部40には、制御部37が行った処理及び判断の結果が記憶される。通信部41は、支援装置11から提供されるデータ及び情報を含む信号を受信できる。また、通信部41は、制御部37の指示により、データ及び情報を含む信号を、支援装置11へ送信できる。マイク62は、医師が発した音声、例えば、患者関係者から受けた質問及び相談に対する回答、患者関係者を激励及び褒める音声、等を取得する。マイク62で取得された音声は、制御部37により処理される。スピーカ63は、制御部37により制御されて、支援装置11から取得した音声を出力する。
【0028】
図2には、皮膚炎治療の支援システム10で行われる操作及び処理の一例が示されている。
[保護者端末及び子供端末の操作及び処理の説明]
患者端末12には、支援装置11からネットワーク15を介してアプリケーションがダウンロードされている。また、患者端末12が操作され、支援装置11により患者端末12の登録が行われ、患者の識別ID及びパスワードが発行されている。
【0029】
保護者がステップS10において患者端末12を操作すると、患者端末12がネットワーク15を介して支援装置11にアクセスされる。また、ステップS10において、患者の識別情報が患者端末12から支援装置11へ送信される。患者の識別情報は、患者毎に発行されている識別ID及びパスワードを含む。
【0030】
保護者がステップS10の操作を行うと、制御部24は、ステップS11において、支援装置11から取得した利用画面を表示部26に表示させる。
図3(A)には、利用画面26Aの一例が示されている。利用画面26Aには、「皮膚炎治療の内容を入力」、「質問・相談を入力」、「就寝中の動作検出」、「支援情報を取得」等のメニューが表示される。保護者が、ステップS12において「皮膚炎治療の内容を入力」のメニューを選択すると、皮膚炎を治療する飲み薬(内服薬)を飲む行為、患者の体に皮膚炎を治療する薬を塗る行為の状況を患者端末12へ入力できる。
【0031】
保護者は、皮膚炎を治療する薬を患者が飲んだ日時、塗り薬を塗った患者の体の位置、塗り薬を患者の体へ塗った日時、を操作部25を操作して患者端末12へ文章で入力できる。また、薬を患者の体に塗る行為の状況をカメラ29によって撮影していると、カメラ29で撮影した映像を患者端末12へ入力できる。飲み薬を患者が1日当たりに飲む回数及び量、塗り薬を患者の体へ塗る1日当たりの回数は、患者が医療施設へ行った際に、医師から発行された処方箋に基づいて行われる。さらに、保護者が患者の体に薬を塗る行為の状況として、カメラ29及び保護者が装着した検出装置30により、保護者の手の動作の有無、手の動作方向、手の動作量がそれぞれ検出され、その検出結果が患者端末12へ自動的に入力される。
【0032】
さらに、保護者が装着した検出装置30により保護者の手の動作を検出する前に、患者端末12の表示部26に、
図3(B)のように、患者の体の模式
図26Bを表示できる。そして、患者の体に薬の塗布を開始する初期位置A1、及び初期位置A1から手を動作させる方向を、模式
図26Bにおいて指定できる。なお、模式
図26Bは、患者の体の正面、背面、右側面、左側面のそれぞれに対応させて用意できる。
【0033】
さらに、保護者は、ステップS12において、患者の体の況等を、音声、文字、映像の少なくとも1つの情報を利用して、患者端末12へ入力できる。ステップS12の処理中、子供端末13では、塗り薬を体に塗布する動作に応じたゲームを、表示部34に表示できる。例えば、
図4(A)のように、保護者の手の動作に合わせて窓拭き掃除が進捗する映像34Aを表示部34に表示できる。また、
図4(B)のように、保護者の手の動作に合わせて動物が成長する映像34Bを、表示部34に表示してもよい。なお、保護者の手の動作に合わせて塗り絵または砂絵が進捗する映像を、表示部34に表示してもよい。そして、ステップS12において患者端末12へ入力された情報は、患者端末12から自動的に支援装置11へ送信されるか、または、保護者が操作部25を操作することにより、患者端末12から支援装置11へ送信される。
【0034】
患者端末12において、ステップS13で「質問・相談を入力」のメニューが選択されると、皮膚炎治療に関する質問及び相談、患者の皮膚炎を目視した状況等を、音声または文字で入力できる。そして、ステップS13において患者端末12へ入力された情報は、患者端末12から自動的に支援装置11へ送信されるか、または、保護者が操作部25を操作することより、患者端末12から支援装置11へ送信される。
【0035】
患者端末12において、ステップS14で「就寝中の動作を検出」のメニューが選択されると、患者が就寝中に、検出装置31またはカメラ29の少なくとも一方により、患者が自分の手で体を掻く動作を検出し、検出された情報が制御部24へ入力される。なお、患者端末12では、ステップS14において、患者が就寝する前に、患者の就寝時刻及び起床時刻を入力してもよい。そして、ステップS14において患者端末12へ入力された情報は、患者端末12から自動的に支援装置11へ送信されるか、または、保護者が操作部25を操作することにより、患者端末12から支援装置11へ送信される。
【0036】
患者端末12において、ステップS15で「支援情報を取得」のメニューが選択されると、ステップS16において、患者端末12は支援装置11から取得した支援情報を、表示部26に表示できる。
図5(A)には、表示部26に表示される支援情報26Cの一例が示されている。患者端末12が支援装置11から取得する支援情報の具体例は、後述する。また、表示部26には、動物のキャラクター26Dが定期的に表示され、皮膚炎に関するアドバイスを行う。さらに、ステップS16において、支援装置11から取得した支援情報に音声が含まれている場合は、スピーカ61で音声を出力できる。なお、患者端末12では、ステップS12乃至ステップS15のうちの少なくとも1つの操作及び処理を行うことができる。
【0037】
また、ステップS12において、患者の日常生活における補助情報を入力することができる。例えば、食品を販売している店舗に行き、かつ、商品棚に陳列されている
図5(B)の商品50の商品ラベル50Aを、患者端末12のカメラ29で撮影し、撮影した映像を患者端末12から支援装置11へ送信することができる。
【0038】
[支援装置の処理の説明]
支援装置11に患者端末12がアクセスすると、支援装置11の制御部16は、ステップS20において利用画面を患者端末12へ提供する。なお、支援装置11の制御部16は、医師端末14に対し利用画面を提供する。また、支援装置11の制御部16は、ステップS21において、患者端末12のステップS12乃至ステップS14の少なくとも1つで送信された情報を取得する。次いで、制御部16は、ステップS22において、患者端末12から取得した情報の処理及び判断を行い、かつ、処理結果及び判断結果を記憶部17へ記憶する。
【0039】
また、制御部16は、ステップS22において、患者端末12から取得する情報を処理し、塗り薬を患者の体に塗布する保護者の手の動作と、就寝中の患者が自分の手で体を掻く動作とに、識別(区別)する処理を行う。例えば、患者端末12が操作され、患者の就寝時刻及び起床時刻がステップS14で入力されていれば、制御部16は、就寝時間中における患者の手の動作を「患者が体を掻いた動作」と識別し、就寝時間外における保護者の手の動作を「薬を患者の体に塗布する動作」と識別できる。また、制御部16は、カメラ29の映像を処理して患者が就寝中であるか否かを認識し、就寝中における患者の手の動作を「患者が体を掻いた動作」と識別し、座位または立位である保護者の手の動作を「薬を患者の体に塗布する動作」と識別してもよい。
【0040】
そして、支援装置11の制御部16は、ステップS23において、患者端末12へ提供する支援情報を生成し、かつ、支援情報を記憶部17へ記憶する。支援情報は、患者端末12から取得した情報、医師端末14から取得した情報、及び記憶部17に予め記憶されている情報等に基づいて生成される。支援情報の具体例は、
図5(A)に示すように、医師または制御部16のAI(Artificial Intelligence )が作成したアトピー性皮膚炎の治療スケジュール及び達成度、飲み薬の服用推移及び達成度、塗り薬の利用推移及び達成度、患者の掻き動作、質問・相談への回答等を含む。飲み薬の達成度は、処方された飲み薬の服用量及び服用回数に対する達成度(%)で表される。塗り薬の達成度は、処方された塗り薬の塗布回数に対する達成度(%)で表される。また、患者の掻き動作は、1日当たりの掻き回数、所定時間当たりの掻き回数等を点数化したものを示す。これらの情報は、グラフまたは表等で示されることに加え、医師から患者関係者に対する「皮膚炎は回復しているようです。」、「想定よりも高い効果を得られています。」、「現在の治療を継続しましょう。」、「塗り薬を上手に塗れているようです。」、「体を掻く回数が、順調に減っています。」等の激励文章が付記される。
【0041】
飲み薬の服用推移は、所定期間内に飲み薬を患者が飲んだ量の推移、所定期間内に飲み薬を患者が飲んだ回数の推移、所定期間内に飲み薬を患者が飲んだ時刻の推移等がある。塗り薬の利用推移は、所定期間内に塗り薬を塗った患者の体の位置及び範囲の推移を含む。患者の掻き動作は、就寝中に患者が自分の手で体を掻いた回数の推移、就寝中に患者が自分の手で体を掻いた位置の推移を含む。質問・相談への回答は、患者端末12から取得した質問及び相談に対して制御部16でAIの機能により生成された回答、質問及び相談に対し医師端末14から取得した文章及び音声の回答等が含まれる。さらに、患者端末12のステップS15において「支援情報を取得」のメニューが選択されると、支援装置11は、ステップS24において、支援情報を患者端末12へ提供する。
【0042】
また、患者端末12において、ステップS12で商品50の商品ラベル50Aを含む映像が支援装置11へ送信された場合に、支援装置11で行われる処理を説明する。支援装置11は、ステップS12で送られてきた映像に含まれる商品ラベル50Aの情報、及び記憶部17に記憶されている食品成分データに基づいて、商品50が、患者の皮膚炎を誘発するアレルゲンを含むか否かを、ステップS21で判断する。支援装置11の制御部16は、その判断結果をステップS22で提供する支援情報に含める。すると、ステップS16において、患者端末12は、
図5(B)のように、表示部26の判断結果表示欄51に、判断結果を表示できる。
【0043】
なお、このような「強化現実技術」を利用した処理を行う場合、患者端末12でステップS14の処理を行うと、患者端末12は、ステップS15の処理をスキップしてステップS16の処理を行う。このため、保護者は、全ての商品を、パッケージの裏側の成分表示を逐一確認せずに、患者の皮膚炎を誘発するような商品を購入してしまうことを回避できる。したがって、買い物の時間や労力の負担を削減できる。
【0044】
[医師端末の操作及び処理の説明]
医師端末14には、支援装置11からネットワーク15を介してアプリケーションがダウンロードされている。また、医師端末14が操作されて支援装置11により医師端末14の登録が行われ、医師端末14の識別ID及びパスワードが発行されている。
【0045】
ステップS31において、医師端末14がネットワーク15を介して支援装置11にアクセスしている状態で、識別ID及びパスワードが入力されると、ステップS20で支援装置11から提供される利用画面が、ステップS32で医師端末14の表示部39に表示される。さらに、ステップS33で医師端末14が操作され、表示部39に
図6(A)のような患者リスト39Aが表示される。患者リスト39Aには、患者毎の識別番号、氏名、治療開始の年月日、処方薬等が表示される。ステップS34において、患者リスト39Aのうちの何れかの患者を選択する操作が医師端末14で行われると、
図6(B)のように、選択した患者の個別情報39Bが表示部39に表示される。
【0046】
表示部39に表示される個別情報39Bには、患者の識別番号・氏名、患部の写真、患者の体の痒み変化を示すグラフ、患者が体を掻く動作量の変化のグラフ、処方した飲み薬の服用達成度、処方した塗り薬の塗布達成度、患者の自己達成感、患者から受けた質問・相談、質問・相談への回答、等が表示される。個別情報39Bとして、処方箋の内容及びその変化、皮膚炎の部位の面積の推移、患者の体の痒みの推移、患者が体を掻く回数の推移、患者に対して行った指導及びアドバイス、患者に対して行った指導及びアドバイスの達成度、患者による自己達成感の推移、患者から受けた質問及び相談、患者から受けた質問及び相談に対する回答、等が含まれていてもよい。ステップS35において、患者から受けた質問及び回答に対する回答、患者への激励等を含む情報が、医師端末14で文章、音声より入力され、かつ、入力された情報が、医師端末14から支援装置11へ送信される。
【0047】
[本開示の効果]
以上のように、本開示によれば、支援装置11の情報取得部19が取得した「患者が体を掻いた情報」及び「塗り薬を患者の体に塗布した情報」に基づいて、患者の皮膚炎の回復を支援する支援情報を情報生成部20が生成し、情報生成部20が生成した支援情報を患者端末12へ提供できる。このため、支援装置11は、患者端末12を利用する患者関係者が、自宅で行うアトピー性皮膚炎の治療の動機付けを支援できる。また、アトピー性皮膚炎の症状が徐々に改善されていることを実感でき、患者関係者は、患者関係者が行っているアトピー性膚炎治療の達成感、成功感、期待感等を得られる。また、医師により処方された飲み薬の服用、塗り薬の塗布を安心して継続する意欲が増進され、患者関係者と医師との信頼関係の強化を図ることができる。さらに、患者関係者は、アトピー性皮膚炎の治療を継続し易くなり、患者のアトピー性皮膚炎の寛解率の上昇に寄与できる。
【0048】
さらに、情報生成部20は、識別部22が「患者が体を手で掻いた動作」と、「塗り薬を患者の体に手で塗布した動作」とを識別した結果に応じて、支援情報の内容を異ならせることができる。例えば、「塗り薬を患者の体に手で塗布した動作」の情報から、医師の指導に応じた治療行為を、患者が行っていることを推定でき、「上手に塗布できています。」等のように、患者関係者を褒めるような支援情報を生成できる。これに対して、「患者が体を手で掻いた動作」が減少していれば、「飲み薬及び塗布薬により、アトピー性皮膚炎を抑制する効果を得られています。」というように、処方の効果を表すような支援情報を生成できる。
【0049】
また、
図5(A)のように、飲み薬の達成度及び塗り薬の達成度が、患者端末12の表示部26に表示され、皮膚炎治療の達成度を可視化(見える化)することができる。したがって、子供及び保護者は、自己効力感を共に得ることができる。さらに、表示部26に表示される1日当たりの掻き回数、所定時間当たりの掻き回数等を点数化したものを目視することで、現在の皮膚炎の症状(痒み、辛さ)を客観視できる。したがって、一喜一憂せずに、皮膚炎の治療をじっくりと継続してすることができる。
【0050】
また、患者が受診前のチェックイン作業を行った場合に、制御部37が、ステップS33の処理が行ってもよい。つまり、医師端末14において、
図6(B)に示す個別情報39Bを表示部39で表示できる状態になる。チェックイン作業は、患者端末12の表示部26に表示されるQRコード(登録商標)、または、医療施設で発行する患者の受診カードに付されているQRコード(登録商標)を、医療施設の受付に設置されている読み取り装置で読み取る作業を含む。この読み取り装置から出力される信号は、医師端末14の通信部41へ入力される。医師は、患者の受診時に、医師端末14の表示部39で個別情報39Bを見ることができ、適切なサポートを患者に対して行うことができる。適切なサポートには、患者を褒めること、患者をねぎらうこと、医学的・臨床的な見地から、皮膚炎の治療が順調に進んでいることを患者へフィードバックすること、等が含まれる。
【0051】
さらに、医師端末14の記憶部40には、患者端末12から受信した情報及びデータが記憶されているため、現時点で受診する患者の情報のみならず、過去から現時点に至る連続的な患者情報の推移を、表示部39で確認することができる。したがって、医師が患者の皮膚炎治療に使える情報が充実し、医師による治療を最適化することができる。なお、医師は、患者の受診時以外、及び患者からの要請に応じて医療相談を行う場合以外は、医師端末14の表示部39へ個別情報39Bを表示させない。さらに、患者端末12を利用して、店舗で購入しようとする商品が、患者の皮膚炎を誘発するアレルゲンを含むか否かを、表示部26で判断することができる。このため、保護者は、患者の皮膚炎を悪化させる可能性がある商品(製品)の情報を簡便に入手できる。したがって、保護者が、アレルゲンを含む商品の情報を管理するコストを、軽減することができる。
【0052】
また、
図7(A),(B)は、
図2のステップS12で子供の体に塗り薬を塗布する場合に、子供端末13の表示部34に表示可能な他の画面例である。制御部32は、操作部33が操作されると、
図7(A)の初期画面70を表示部34に表示できる。初期画面70には、ストーリーが異なる複数種類の絵本のリストが表示される。子供が、何れかの絵本を選択する操作を行うと、選択した絵本に含まれる頁が、
図7(B)のように表示部34に表示される。絵本の表示頁71には、挿絵及び文章が含まれる。制御部32は、検出装置31の信号を処理すること、または、患者端末12から送信される信号を処理することにより、子供の体に塗り薬が塗布される動作を検出する。
【0053】
そして、制御部32は、子供の体に塗り薬が塗られる動作の進捗度合に応じて、
図7(B)の表示部34に表示する表示頁71を進め、ストーリーを進行させる処理を行う。表示部34に表示される絵本の情報及びデータは、支援装置11から患者端末12を介して、予め記憶部35に記憶されている。子供端末13の表示部34に、
図7(A),(B)に示すような画面を表示すると、子供は、塗り薬を体に塗る時間を、単なる皮膚炎の治療では無く、楽しみになるような体験にすることができ、親子の絆が深まる。また、子供は皮膚炎の治癒と共に心も成長していく。
【0054】
さらに、
図8(A),(B)は、
図2のステップS12で子供の体に塗り薬を塗布する場合に、子供端末13の表示部34に表示可能な、更に他の画面例である。制御部32は、操作部33が操作されると、
図8(A)のようにキャラクター80が表示部34に表示される。表示部34には、キャラクター80及び背景等が、イラスト等で表示される。また、制御部32は、検出装置31の信号を処理すること、または、患者端末12から送信される信号を処理することにより、子供の体に塗り薬が塗布される動作を検出する。
【0055】
そして、制御部32は、子供の体に塗り薬が塗られる動作の進捗度合に応じて、
図8(B)のように、キャラクター80の状態を変更する。例えば、キャラクター80が、手を振ったり飛んだり跳ねたりする。また、塗り薬が塗られる動作の進捗度合に応じて、表示内容に含まれるキャラクター80が成長する過程を、ゲーム情報として表示してもよい。キャラクター80が成長する過程は、キャラクター80の表示サイズが変化すること、キャラクター80の表示色が変化すること、キャラクター80の表情や体形が、変化及び進化すること、等を含む。さらに、子供の体に塗り薬が塗布される動作に応じて、スピーカ75から音声、具体的には音楽が出力される。制御部32がこのような処理を行うと、子供は、表示部34に表示される映像、及び、スピーカ75から出力される音楽を楽しむことができ、塗り薬を体に塗布する時間が、非常に短時間に感じられる。なお、キャラクター80は、人間、動物、架空の生物等のうちの何れでもよい。表示部34に表示されるキャラクター80及び背景、スピーカ75から出力される音楽等の情報及びデータは、支援装置11から患者端末12を介して、予め記憶部35に記憶されている。
【0056】
なお、
図7(A),(B)を参照して説明した処理、及び
図8(A),(B)を参照して説明した処理は、患者端末12で行うこともできる。この場合、患者端末12の表示部26に、
図7(A)の初期画面70が表示され、かつ、
図7(B)の絵本の表示頁71が表示される。また、患者端末12の表示部26に、
図8(A)のキャラクター80が表示され、かつ、
図8(B)の表示内容81が表示される。また、スピーカ75から出力される音声は、スピーカ61から出力することもできる。つまり、
図7(A),(B)を参照して説明した処理、及び
図8(A),(B)を参照して説明した処理は、ステップS16における支援情報に含まれる。さらに、本開示における支援情報は、患者端末12の表示部26に表示される情報、及びスピーカ61から出力される音声に加え、子供端末13の表示部34に表示される情報、及びスピーカ75から出力される音声も含む。
【0057】
本実施形態において、子供は、
図4(A),(B)の表示例、
図7(A),(B)の表示例、
図8(A),(B)の表示例に示すような遊びの要素を楽しみながら、皮膚炎治療に取り組むことができる。さらに、患者端末12を操作する保護者が、子供端末13を利用する子供の親であると、親と子供とのコミュニケーションが円滑になる。
【0058】
[補足説明]
本開示において、患者自身が患者端末12を利用及び操作できる知識がある者、例えば、13歳以上であると、患者が患者端末12を利用及び操作してもよい。この場合、子供端末13は使用せず、患者が検出装置30を自分の手に装着する。検出装置30は、患者の手の動作を検出し、かつ、カメラ29により患者の手の動作を撮影する。患者端末12の制御部24は、検出装置30で検出された情報、及びカメラ29で撮影された映像を、
図2のステップS12及びステップS14で支援装置11へ送る。さらに、前述した保護者による患者端末12の操作及び入力の内容は、患者による患者端末12の操作及び入力の内容に置き換える。
【0059】
本開示において説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。患者自身及び患者の保護者は、患者関係者の一例である。皮膚炎治療の支援装置11は、皮膚炎治療の支援装置の一例である。患者端末12及び子供端末13は、患者端末の一例である。医師端末14は、医師端末の一例である。情報取得部19は、第1情報取得部、第2情報取得部、第3情報取得部及び第4情報取得部の一例である。情報生成部20は、情報生成部の一例である。情報提供部21は、第1情報提供部、第2情報提供部及び第3情報提供部の一例である。識別部22は、識別部の一例である。記憶部17は、記憶部の一例である。判断部23は、判断部の一例である。
【0060】
図2に示すフローチャートは、皮膚炎治療の支援方法の一例である。
図2のステップS21は、第1ステップ及び第1手段、第2ステップ及び第2手段の一例である。ステップS23は、第3ステップ及び第3手段の一例であり、ステップS24は、第4ステップ第4手段の一例である。
【0061】
本実施形態には、次のような“皮膚炎治療の支援システム”が記載されている。
ネットワークを介して相互に通信可能に接続される支援装置、患者端末、及び医師端末を有する、皮膚炎治療の支援システムにおいて、
前記患者端末は、皮膚炎の患者を含む患者関係者により利用され、
前記医師端末は、前記患者を診察及び皮膚炎を治療する医師により操作及び利用され、
前記支援装置は、
前記患者端末から前記患者の体を掻いたことを示す第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記患者端末から、前記皮膚炎に対処する塗り薬を前記患者の体に塗布したことを示す第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1情報取得部が取得した前記第1情報、及び前記第2情報取得部が取得した前記第2情報に基づいて、前記患者関係者による皮膚炎治療を支援する支援情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部が生成した前記支援情報を前記患者端末へ提供する第1情報提供部と、
を有する、皮膚炎治療の支援システムを構成した。
【0062】
さらに、本開示は、上記した実施形態に限定されない。皮膚炎(湿疹)は、アトピー性皮膚炎の他、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹等を含む。皮膚炎治療の飲み薬は、抗ヒスタミン薬を含む。皮膚炎治療の塗り薬は、軟膏、クリーム、液体の何れでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示は、皮膚炎の患者を含む患者関係者による皮膚炎の治療行為を支援することに利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
11…皮膚炎治療の支援装置(支援装置)、12…患者端末、13…子供端末、14…医師端末、17…記憶部、19…情報取得部、20…情報生成部、21…情報提供部、22…識別部、23…判断部