(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036862
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】多剤式毛髪化粧料および毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240311BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240311BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240311BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q5/00
A61K8/73
A61K8/81
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141385
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 愛実
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC692
4C083AD091
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD261
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC31
4C083DD06
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】乾燥後のまとまり、ツヤ感、しなやかさ、根元から毛先まで毛髪全体の手触りの均一性および指通りに優れ、べたつかず、ドライヤーで乾燥させやすい、多剤式毛髪化粧料および毛髪処理方法を提供する。
【解決手段】第1剤と、第2剤とを備える多剤式毛髪化粧料であり、前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である、多剤式毛髪化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剤と、第2剤とを備える多剤式毛髪化粧料であり、
前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、
前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、
前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、
前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である、多剤式毛髪化粧料。
【請求項2】
前記アミノ変性シリコーン(A)が、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体およびビス(C13-15アルコキシ)PGアモジメチコンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項3】
前記天然ガム質(C)が、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、およびグアーガムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項4】
前記合成または半合成のノニオン性高分子(D)が、水溶性セルロース誘導体および平均重合度9000以上のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項5】
前記第1剤および前記第2剤のpHが、4.0~7.0である、請求項1または2に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項6】
前記第1剤および前記第2剤の少なくとも一方が、第1剤と第2剤との合計100質量%中に、グリセリン(E)を0.5~7.5質量%含む、請求項1または2に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項7】
毛髪に、第1剤を塗付する工程(I)、および
工程(I)が行われた毛髪に、第2剤を塗付する工程(II)を有し、
前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、
前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、
前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、
前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である、毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多剤式毛髪化粧料および毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーやパウダーブリーチ等を使用した美容施術やヘアアイロンの使用は、毛髪に強いダメージを与える。その結果、毛髪のツヤ感や指通り、まとまり、適度なハリのあるしなやかさが失われたり、ドライヤーでの乾燥性が悪くなったりしてしまう。特に、ダメージが蓄積した毛先は手触りの悪化が激しく、ダメージの度合いが比較的低い根元から中間部分との手触りの差が大きくなっている。このような毛髪の質感を向上し、扱いやすくするための化粧料が求められている。
【0003】
ダメージ毛に対するコンディショニング剤として、多剤式毛髪化粧料が開発されてきた。例えば、特許文献1には、アミノ変性シリコーン(A)を含む第1剤と、アニオン性高分子(B)、ポリオール(C)、ノニオン性高分子(D)、および分岐鎖を有する液状油(E)を含む第2剤とを備える多剤式毛髪化粧料が公開されている。
【0004】
また、特許文献2には、第1剤に加水分解ケラチン、第2剤にカチオン性界面活性剤、第3剤にアミノ含有量が0.5%以上の(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマーと、ポリプロピルシルセスキオキサンとが配合された多剤式毛髪化粧料が公開されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、ノニオン性界面活性剤と、炭素数が8以上の炭化水素基を有するイオン性界面活性剤とを配合した第1剤の後に、界面活性剤と油性成分とを含む第2剤を重ね塗りすることにより、第1剤が第2剤の過剰な油分を洗浄して、均一性に優れた仕上がりとなる多剤式毛髪化粧料が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-63030号公報
【特許文献2】特開2014-114237号公報
【特許文献3】特開2021-143147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の多剤式毛髪化粧料は、ダメージ毛に対して、柔らかさ、指通り、まとまりに優れる一方、根元から毛先まで毛髪全体を均一な手触りにする効果は充分ではなかった。また、柔らかさには優れるものの適度なハリ感は得られず、ハリ感と柔らかさのバランスがとれたしなやかさという点では不充分であった。
【0008】
特許文献2の多剤式毛髪化粧料は、指通りやまとまりの向上、ざらつきの低減には有用であるが、ハリ感が強くなりすぎて硬さやごわつきにつながってしまうという欠点があった。
特許文献3の多剤式毛髪化粧料は、ダメージが強い毛髪においては、まとまりやしなやかさに欠けるという欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は、乾燥後のまとまり、ツヤ感、しなやかさ、根元から毛先まで毛髪全体の手触りの均一性および指通りに優れ、べたつかず、ドライヤーで乾燥させやすい、多剤式毛髪化粧料および毛髪処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の〔1〕~〔7〕に関する。
〔1〕 第1剤と、第2剤とを備える多剤式毛髪化粧料であり、前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である、多剤式毛髪化粧料。
〔2〕 前記アミノ変性シリコーン(A)が、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体およびビス(C13-15アルコキシ)PGアモジメチコンから選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の多剤式毛髪化粧料。
〔3〕 前記天然ガム質(C)が、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、およびグアーガムから選ばれる少なくとも1種である、〔1〕または〔2〕に記載の多剤式毛髪化粧料。
〔4〕 前記合成または半合成のノニオン性高分子(D)が、水溶性セルロース誘導体および平均重合度9000以上のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の多剤式毛髪化粧料。
〔5〕 前記第1剤および前記第2剤のpHが、4.0~7.0である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の多剤式毛髪化粧料。
〔6〕 前記第1剤および前記第2剤の少なくとも一方が、第1剤と第2剤との合計100質量%中に、グリセリン(E)を0.5~7.5質量%含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の多剤式毛髪化粧料。
〔7〕 毛髪に、第1剤を塗付する工程(I)、および工程(I)が行われた毛髪に、第2剤を塗付する工程(II)を有し、前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である、毛髪処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乾燥後のまとまり、ツヤ感、しなやかさ、根元から毛先まで毛髪全体の手触りの均一性および指通りに優れ、べたつかず、ドライヤーで乾燥させやすい、多剤式毛髪化粧料および毛髪処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明について具体的に説明する。
数値範囲に関する「A~B」との記載は、特に断りがなければ、A以上B以下であることを意味する。
【0013】
<多剤式毛髪化粧料>
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤と、第2剤とを備える多剤式毛髪化粧料であり、前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である。
【0014】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤の後に第2剤を適用する。また、手触りの均一性の観点から、第1剤の後に毛髪を水洗せずに第2剤を重ねて塗布することがより好ましい。
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤と、第2剤とに加えて、さらに、第3剤を備えてもよい。
【0015】
<アミノ変性シリコーン(A)>
本発明の多剤式毛髪化粧料において、第1剤は、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%、好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~6質量%含む。
【0016】
アミノ変性シリコーン(A)の含有量が前記範囲内にあると、乾燥後の指通りおよび手触りの均一性に優れる。アミノ変性シリコーン(A)が前記下限量より少ないと、乾燥後のまとまりや指通り、手触りの均一性が損なわれやすく、前記上限量より多いとべたつきが生じ、乾燥後の指通りや手触りの均一性が悪くなりやすい。
【0017】
アミノ変性シリコーン(A)としては、例えば、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノイソブチルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノイソプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアモジメチコン;アミノプロピルジメチコン;アミノエチルアミノプロピルジメチコン;高重合アミノプロピルジメチコン;ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー等のアミノポリエーテル変性シリコーン;ビス(C13-15アルコキシ)PGアモジメチコン等のアミノグリコール変性シリコーン;アミノプロピルフェニルトリメチコン等のアミノフェニル変性シリコーン;PEG-12メチルエーテルラウロキシPEG-5アミドプロピルジメチコン等のアミドアルキル変性シリコーン;が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、乾燥後の指通りや均一性、質感持続性の観点から、アモジメチコン、アミノグリコール変性シリコーンが好ましく、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ビス(C13-15アルコキシ)PGアモジメチコンがより好ましい。
【0019】
アミノ変性シリコーン(A)の市販品としては、例えば、DOWSILTM SF8457C、DOWSILTM JP-8500 Conditioning Agent(いずれもダウ・東レ株式会社製)を用いることができる。
アミノ変性シリコーン(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
アミノ変性シリコーン(A)は、エマルションの形で配合してもよい。
【0020】
<カチオン性ポリマー(B)>
本発明の多剤式毛髪化粧料において、第2剤は、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%、好ましくは0.2~1.2質量%、より好ましくは0.3~1.0質量%含む。
【0021】
カチオン性ポリマー(B)の含有量が前記範囲内にあると、乾燥後のしなやかさおよび指通りに優れる。カチオン性ポリマー(B)が前記下限量より少ないと、乾燥後のしなやかさと手触りの均一性、指通りが損なわれやすく、前記上限量より多いとごわつきが生じ、乾燥時の指通りや、まとまりに欠ける場合がある。
【0022】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含む。
【0023】
乾燥後のしなやかさが良好になるため、成分(B2)は、これらの中でも、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0024】
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と成分(B2)の質量比(B2/B1)は、0.01~2であり、好ましくは0.016~1、より好ましくは0.02~0.8である。(B2/B1)が前記範囲内にあると、乾燥後のまとまり、手触りの均一性、および乾かしやすさに優れる。(B2/B1)が、前記下限値より小さいと、乾燥後の手触りの均一性やまとまりが損なわれやすく、前記上限値より大きいと、乾燥時に毛髪1本1本がばらけにくくなり乾かしやすさが損なわれる場合がある。
【0025】
<天然ガム質(C)>
本発明の多剤式毛髪化粧料において、第2剤は、第2剤100質量%中に、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%、好ましくは0.1~1.0質量%、より好ましくは0.2~0.8質量%含む。
【0026】
天然ガム質(C)の含有量が前記範囲内にあると、乾燥後のしなやかさに優れる。天然ガム質(C)が前記下限量より少ないと、適度なハリ感が出ず、乾燥後のしなやかさが出ず、乾燥後のまとまりやツヤ感も弱くなる場合があり、前記上限量より多いと、硬さが出てしまい、乾燥時に指が通しにくくなり、乾かしやすさが損なわれやすい。
【0027】
天然ガム質(C)とは、天然から採取または抽出、もしくは微生物が生産して得られる多糖類であり、例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム(タマリンドガム)、タラガム、クインスシードガム、カシアガム、アマシードガム等の植物の種子から採取または抽出して得られる多糖類;カラヤガム、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム等の植物の樹液から採取または抽出して得られる多糖類;ペクチン等の果実から採取または抽出して得られる多糖類;寒天、カラギーナン、アルギン酸、ファーセレラン等の海藻から採取または抽出して得られる多糖類;キサンタンガム、スクレロチウムガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム等の微生物が生産して得られる多糖類;が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、乾燥後のまとまりや指通りの観点から、植物の種子から採取または抽出して得られる多糖類が好ましく、マメ科植物の種子から採取または抽出して得られる多糖類がより好ましく、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、グアーガムから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、乾燥後のまとまりの観点からタマリンドシードガムが特に好ましい。
天然ガム質(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<合成または半合成のノニオン性高分子(D)>
本発明の多剤式毛髪化粧料において、第2剤は、第2剤100質量%中に、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%、好ましくは0.2~0.8質量%、より好ましくは0.3~0.7質量%含む。
【0030】
合成または半合成のノニオン性高分子(D)の含有量が前記範囲内にあると、乾燥後のまとまりに優れる。合成または半合成のノニオン性高分子(D)が前記下限量より少ないと、乾燥時に毛髪がばらけにくくなり、乾かしやすさが損なわれる場合があり、前記上限量より多いと、乾燥後のまとまりに欠けやすい。
【0031】
合成または半合成のノニオン性高分子(D)としては、例えば、水溶性セルロース誘導体、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(VP/VA)コポリマー(酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体)が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、水溶性セルロース誘導体および高重合ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水溶性セルロース誘導体および平均重合度9000以上の高重合ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、乾かしやすさの観点から、水溶性セルロース誘導体がさらに好ましい。
【0033】
水溶性セルロース誘導体とは、通常は難溶性のセルロースを、部分的に改変して水溶性にしたセルロースの誘導体であり、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース;これらのアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、乾かしやすさや乾燥後の均一性、製造時の分散の簡便性の観点から、ヒドロキシアルキルセルロースが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
【0034】
高重合ポリエチレングリコール(高重合PEG)としては、例えば、平均重合度2000の高重合PEG(PEG-2M)、平均重合度5000の高重合PEG(PEG-5M)、平均重合度7000の高重合PEG(PEG-7M)、平均重合度9000の高重合PEG(PEG-9M)、平均重合度14000の高重合PEG(PEG-14M)、平均重合度20000の高重合PEG(PEG-20M)、平均重合度23000の高重合PEG(PEG-23M)、平均重合度45000の高重合PEG(PEG-45M)、平均重合度65000の高重合PEG(PEG-65M)、平均重合度90000の高重合PEG(PEG-90M)、平均重合度115000の高重合PEG(PEG-115M)等が挙げられる。
【0035】
これらの中でも、乾かしやすさや乾燥後のまとまりの観点から、平均重合度9000以上の高重合ポリエチレングリコールが好ましく、平均重合度9000以上65000以下の高重合ポリエチレングリコールがより好ましい。
合成または半合成のノニオン性高分子(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
<グリセリン(E)>
質感持続性がより良くなることから、本発明の多剤式毛髪化粧料において、第1剤および第2剤の少なくとも一方がグリセリン(E)を含むことが好ましく、第1剤および第2剤のどちらか一方がグリセリン(E)を含んでもよく、第1剤および第2剤の両方がグリセリン(E)を含んでもよい。
グリセリン(E)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、第1剤と第2剤との合計100質量%中に0.5~7.5質量%である。
【0037】
<その他成分>
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤および第2剤において、通常は水を含む。水の含有量は特に限定されず、使用する目的に応じて、適宜調整して用いることができる。水として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
【0038】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤および第2剤において、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分以外に任意の成分を含有することができる。
第1剤における任意の成分としては、例えば、保湿剤、生薬類、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、帯電防止剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、乳化剤、乳化安定剤、界面活性剤、粘度調整剤、pH調整剤、高級アルコール、シリコーン類(但し、アミノ変性シリコーン(A)を除く)、油剤、溶剤、および色素が挙げられる。
【0039】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤の任意の成分として、具体的には、乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;セタノール等の高級アルコール;フェノキシエタノール等の防腐剤;乳酸および乳酸ナトリウム等のpH調整剤とを用いることができる。
第1剤のpH調整剤として乳酸および乳酸ナトリウムを用いると、低刺激で酸性の領域に調整できることから好ましい。
【0040】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤の任意の成分として、アニオン性高分子またはアニオン性界面活性剤を配合すると、アミノ変性シリコーン(A)とコンプレックスを形成し、剤の安定性が悪くなったり、本発明の効果が発揮されにくくなるため、アニオン性高分子またはアニオン性界面活性剤を含まないことが好ましい。
【0041】
第2剤における任意の成分としては、例えば、保湿剤、生薬類、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、帯電防止剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、乳化剤、乳化安定剤、界面活性剤、粘度調整剤(但し、カチオン性ポリマー(B)、天然ガム質(C)、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を除く)、pH調整剤、高級アルコール、シリコーン類、油剤、溶剤、および色素が挙げられる。
【0042】
第2剤の任意の成分として、具体的には、安息香酸ナトリウム等の防腐剤として;乳酸および乳酸ナトリウム等のpH調整剤を用いることができる。
第2剤のpH調整剤として乳酸および乳酸ナトリウムを用いると、低刺激で酸性の領域に調整できることから好ましい。
【0043】
<製法等>
本発明の多剤式毛髪化粧料は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造は各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。加熱条件下で製造する場合の温度としては、例えば75~85℃が挙げられる。
【0044】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤および第2剤のpHは特に限定されないが、乾燥後のしなやかさと手触りの均一性、質感持続性の観点から、第1剤および第2剤のいずれのpHも4.0~7.0であることが好ましく、5.0~6.5であることがより好ましい。
【0045】
<剤型>
本発明の多剤式毛髪化粧料の剤型としては、特に限定されないが、クリーム状、乳液状、液状、スプレー状、フォーム状などが挙げられる。第1剤は、毛髪に剤を定着しやすくする観点から、クリーム状、および乳液状が好ましく、第2剤は、第1剤で塗布した剤を均一に毛髪上でなじませることができるという観点から乳液状および液状が好ましい。
【0046】
本発明の多剤式毛髪化粧料の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。第1剤は、油性成分が乳化された状態であり、不透明な外観であることが好ましい。第2剤は、実質的に油性成分を含まない非乳化状態であり、透明~半透明な外観であることが好ましい。実質的に油性成分を含まないとは、油性成分を含む場合であっても少量であることを意味し、具体的には、第2剤100質量%中に、油性成分を通常は0~3質量%、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.5質量%含むことを意味する。
【0047】
<使用方法>
本発明の多剤式毛髪化粧料は、毛髪に塗布して使用することができる。
本発明の多剤式毛髪化粧料は、例えばシャンプー等の毛髪洗浄剤で洗浄した後の毛髪に塗布して使用することが好ましい。
本発明の多剤式毛髪化粧料は、毛髪が乾燥している状態でも、濡れている状態でも塗布して使用することができるが、毛髪への浸透効果を高める観点から、本発明における多剤式毛髪化粧料は、毛髪が濡れている状態で塗布して使用することが好ましい。
【0048】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、通常、第1剤および第2剤を毛髪に塗布した後、水洗する。
本発明の多剤式毛髪化粧料は、用途について特に制限はないが、システムトリートメント、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナーおよび処理剤に用いることができる。システムトリートメントとは、サロン等において、毛髪のダメージに合わせてトリートメントを複数のステップで塗布することにより、毛髪の状態を改善するトリートメントを指す。
【0049】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、システムトリートメントに用いることが好ましい。
なお、本発明の多剤式毛髪化粧料は、本発明の効果を損ねない範囲で、ヘアカラー剤や、パーマ剤の中に含有させてもよい。
【0050】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、適用する毛髪に特に制限はなく、直毛、縮毛、ヘアカラー、ブリーチ、パーマ等の処理を受けた毛髪、損傷を受けた毛髪(ダメージヘア)等に用いることができるが、損傷を受けた毛髪(ダメージヘア)に適用することが好ましい。前記損傷としては、例えば、ヘアカラー、ブリーチ、パーマ等の化学的な損傷、ヘアアイロン、ドライヤー、ブロー等による熱、ブラッシング、カット等による機械力、紫外線、乾燥等の物理的な損傷が挙げられる。
【0051】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、ヘアカラー、ブリーチ、パーマ等の化学的な損傷を受けた毛髪に塗布して使用することが好ましく、ブリーチによる損傷を受けた毛髪に塗布して使用することがより好ましい。
本発明の多剤式毛髪化粧料が備える第1剤と第2剤との質量比は特に制限されないが、通常は1:0.5~1:2であり、好ましくは1:0.8~1:1.2である。
【0052】
本発明の多剤式毛髪化粧料は、第1剤および第2剤を毛髪に塗布する量に特に制限はなく、毛髪のダメージに応じて、適宜調整することができるが、例えば、毛束10gに対して、第1剤および第2剤を0.8~1.2gずつ塗布することが好ましい。また、毛髪に塗布する第1剤と第2剤との質量比は、通常は1:0.5~1:2であり、好ましくは1:0.8~1:1.2である。
本発明の多剤式毛髪化粧料を毛髪に塗布する場合は、例えば、毛髪がミドルレングスの場合、第1剤および第2剤を9~12gずつ塗布することが好ましい。
【0053】
<毛髪処理方法>
本発明の毛髪処理方法は、毛髪に、第1剤を塗付する工程(I)、および、工程(I)が行われた毛髪に、第2剤を塗付する工程(II)を有し、前記第1剤が、第1剤100質量%中に、アミノ変性シリコーン(A)を0.5~15質量%含み、前記第2剤が、第2剤100質量%中に、カチオン性ポリマー(B)を0.1~1.5質量%と、天然ガム質(C)を0.05~1.2質量%と、合成または半合成のノニオン性高分子(D)を0.1~1質量%含み、前記カチオン性ポリマー(B)として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、およびポリクオタニウム-47から選ばれる少なくとも1種の成分(B2)とを含み、前記B1と前記B2との質量比(B2/B1)が0.01~2である。
【0054】
本発明の毛髪処理方法は、工程(I)と工程(II)との間に、毛髪を水洗する工程を有してもよいが、手触りの均一性の観点から、工程(I)と前記工程(II)との間に、毛髪を水洗する工程を有さない、すなわち、工程(I)の後に毛髪を水洗せずに第2剤を重ねて塗布することが好ましい。
【0055】
本発明の多剤式毛髪化粧料を用いて、毛髪処理を行う場合、例えば、毛髪のダメージや顧客の要望に応じて、工程(I)の前に、他の処理剤を用いてもよい。他の処理剤として具体的には、毛髪の補修効果のある処理剤、カラーリング剤、およびパーマ剤などが挙げられる。
【実施例0056】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0057】
<実施例1~45、比較例1~15>
表1に記載の市販品を使用して、表2~8に示す処方で各成分を混合することにより多剤式毛髪化粧料を製造し、官能評価の試料とした。なお、表2~表8の処方の数値は、多剤式毛髪化粧料の第1剤または第2剤を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表しており、純分換算した値を示す。
【0058】
【0059】
《評価方法》
専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、後述する各評価項目に記載した評価基準に従って官能評価を行った。
各評価項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
【0060】
《ダメージ毛束の作製》
実施例1~45、比較例1~15では、損傷を受けた毛髪を再現するために、下記の方法でダメージ処理を行ったダメージ毛束を用いた。
30cmの人毛黒髪毛束(BS-B3A、ビューラックス社製)10gを50℃の液体ブリーチに浸漬し、室温で20分間放置した後、40℃の流水ですすぎ、シェルパ デザインサプリシャンプーD-2(株式会社アリミノ社製)1gでシャンプーして、40℃の流水ですすいだ後、ドライヤーで乾燥させたものを使用した。液体ブリーチは、毛束1束に対して過酸化水素(35%)(株式会社ADEKA製)30g、28%アンモニア水(大盛化工株式会社製)10g、特級ペルオキソ二硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)4g、50℃のイオン交換水156gを混合したものを用いた。
【0061】
《評価手順》
作製したダメージ毛束を40℃程度のお湯で濡らした後、表2~表8に記載の各処方で調整した第1剤を1g塗布し、手で毛束全体になじませた。第1剤塗布後は放置せず、水洗を行わずにそのまま(重ね付け)、または、すぐに40℃程度のお湯で水洗後に(水洗後)、各処方で調整した第2剤を1g塗布し、手で毛束全体になじませ、すぐに40℃程度のお湯ですすいだ。タオルドライ後、ドライヤーで乾燥させ、乾燥前および乾燥時の毛束について、(6)、(7)の評価基準に従って官能評価を行った。さらに乾燥後の毛束について、(1)~(6)および(8)の評価基準に従って官能評価を行った。
【0062】
(1)乾燥後のまとまり
乾燥後の毛束をくしでとかした後、手で軽く毛先をそろえたときの毛先のまとまり具合を目視にて評価した。
4点:非常にまとまっている。
3点:まとまっている。
2点:広がっている。
1点:非常に広がっている。
【0063】
(2)乾燥後のツヤ感
乾燥後の毛束をくしでとかした後、ツヤ感を目視にて評価した。
4点:ツヤが強く感じられる。
3点:ツヤが感じられる。
2点:ツヤが感じにくい。
1点:ツヤが感じられない。
【0064】
(3)乾燥後のしなやかさ
乾燥後の毛束に指を通したり握ったりし、触感でしなやかさを評価した。
4点:弾力感と柔らかさのバランスがよく、非常にしなやかさを感じる。
3点:弾力感と柔らかさのバランスがある程度とれており、しなやかさを感じる。
2点:硬さまたは柔らかさがやや強く、しなやかさを感じにくい。
1点:硬すぎまたは柔らかすぎて、しなやかさを感じない。
【0065】
(4)乾燥後の手触りの均一性
乾燥後の毛束に指を通したり握ったりし、毛束の根元から毛先まで毛髪全体の手触りの均一性を触感で評価した。
4点:非常に均一である。
3点:均一である。
2点:やや均一でない。
1点:均一でない。
【0066】
(5)乾燥後の指通り
乾燥後の毛束に指を通し、触感で指通りを評価した。
4点:非常に指通りがよい。
3点:指通りがよい。
2点:ややひっかかりがあり、指通りがやや悪い。
1点:非常にひっかかり、指通りが悪い。
【0067】
(6)べたつき
タオルドライ後(乾燥前)およびドライヤー後(乾燥後)の両方について、毛束に指を通したり握ったりし、触感でべたつきを評価した。
4点:乾燥前後ともにべたつきがまったくない。
3点:乾燥前後ともにべたつきがない。
2点:乾燥前、乾燥後またはその両方にややべたつきがある。
1点:乾燥前、乾燥後またはその両方にべたつきがある。
【0068】
(7)乾かしやすさ
ドライヤーで乾燥した際の指の通しやすさや毛髪のばらけ具合を触感および目視にて評価した。
4点:乾燥時の指の通しやすさや毛髪のばらけが非常によく、非常に乾かしやすい。
3点:乾燥時の指の通しやすさや毛髪のばらけがよく、乾かしやすい。
2点:乾燥時の指の通しやすさや毛髪のばらけがやや悪く、乾かしにくい。
1点:乾燥時の指の通しやすさや毛髪のばらけが悪く、非常に乾かしにくい。
【0069】
(8)質感持続性
乾燥後の毛束を40℃程度のお湯で濡らし、1gのアルスコープDA-330Sにて洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。その後、(1)~(6)の評価基準に従って多剤式毛髪化粧料処理直後の毛束と比較評価を行い、多剤式毛髪化粧料の効果が消失しているかを確認した。この手順を繰り返し、何回の洗浄により多剤式毛髪化粧料の効果が消失するかを評価した。
4点:7回以上
3点:5回~6回
2点:3回~4回
1点:2回以下
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
実施例1~45で製造した多剤式毛髪化粧料は、いずれも(1)~(8)の全ての評価項目において良好な結果となった。
本発明の多剤式毛髪化粧料は、乾燥時の毛束のほぐれが良好で、べたつきがなく、乾燥後のまとまり、ツヤ感、しなやかさ、指通りおよび毛髪全体の手触りの均一性に優れることがわかる。
【0078】
比較例1で製造した多剤式毛髪化粧料は、第1剤中のアミノ変性シリコーン(A)の含有量が規定量より少ないため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、手触りが均一でなく、指通りにひっかかりがあり、また、質感持続性も不充分であり、満足できる品質ではなかった。
【0079】
比較例2で製造した多剤式毛髪化粧料は、第1剤中のアミノ変性シリコーン(A)の含有量が規定量より多いため、特に乾燥後の手触りが均一ではなく、べたつきもあり、満足できる品質ではなかった。
【0080】
比較例3で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のカチオン性ポリマー(B)の含有量が規定量より少ないため、乾燥後の毛束は柔らかすぎてしなやかさを感じず、また、手触りの均一性、指通り、質感持続性が不充分であり、満足できる品質ではなかった。
【0081】
比較例4で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のカチオン性ポリマー(B)の含有量が規定量より多いため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、硬すぎてしなやかさを感じず、手触りの均一性、乾燥後の指通り、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0082】
比較例5で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のB2/B1が規定比より小さいため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、手触りが均一ではなく、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0083】
比較例6で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のB2/B1が規定比より大きいため、乾燥後の指通りにひっかかりがあり、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0084】
比較例7で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の天然ガム質(C)の含有量が規定量より少ないため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、ツヤが感じにくく、柔らかすぎてしなやかさを感じず、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0085】
比較例8で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の天然ガム質(C)の含有量が規定量より多いため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、硬すぎてしなやかさを感じず、指通り、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0086】
比較例9で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のノニオン性高分子(D)の含有量が規定量より少ないため、乾燥後の指通りにひっかかりがあり、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0087】
比較例10で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中のノニオン性高分子(D)の含有量が規定量より多いため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、硬すぎてしなやかさを感じず、乾燥後のツヤ感、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0088】
比較例11で製造した多剤式毛髪化粧料は、第1剤中のアミノ変性シリコーン(A)の代わりにメチルポリシロキサンを配合しているため、毛束は、乾燥後に広がってしまい、手触りの均一性、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0089】
比較例12で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(B1)の代わりに塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を配合しているため、乾燥後の毛束は、硬すぎてしなやかさを感じず、乾燥後のまとまり、手触りの均一性、指通り、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0090】
比較例13で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の成分(B2)の代わりに塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を配合しているため、乾燥後の毛束は、硬すぎてしなやかさを感じず、手触りの均一性、指通り、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0091】
比較例14で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の天然ガム質(C)の代わりに(VP/VA)コポリマーを配合しているため、乾燥後の毛束は、硬すぎてしなやかさを感じず、まとまり、手触りの均一性、指通り、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。
【0092】
比較例15で製造した多剤式毛髪化粧料は、第2剤中の合成または半合成のノニオン性高分子(D)の代わりに塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を配合しているため、乾燥後の毛束は、柔らかすぎてしなやかさを感じず、まとまり、手触りの均一性、乾かしやすさ、質感持続性の点においても満足できる品質ではなかった。