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特開2024-36884充放電要素の充放電制御方法、及び充放電要素の充放電制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036884
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】充放電要素の充放電制御方法、及び充放電要素の充放電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240311BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240311BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240311BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20240311BHJP
   B60L 53/51 20190101ALI20240311BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240311BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20240311BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 120
H02J7/35 K
B60L53/63
B60L53/51
G16Y10/40
G16Y20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141424
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】村井 謙介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AA04
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125BC05
5H125BE01
5H125DD02
(57)【要約】
【課題】複数の制御モードを適切なタイミングで切り替えて複数の制御モードの目標を同時に達成する。
【解決手段】充放電要素の充放電制御方法は、電力を消費する負荷5と複数の充放電要素EV1、EV2に対して、電力系統10からの電力と再生可能エネルギーで発電した再生可能電力とを供給する電力システム100において、電力系統10から購入した買電電力と電力系統10から購入するように契約した契約電力とを比較することによって、買電電力が契約電力になるように充放電要素EV1、EV2の充放電電力を制御するピークカットモードと、再生可能電力で充放電要素EV1、EV2を充電する再生可能エネルギー活用モードとを切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する負荷と複数の充放電要素に対して、電力系統からの電力と再生可能エネルギーで発電した再生可能電力とを供給する電力システムにおいて、前記充放電要素の充放電を制御する充放電制御方法であって、
前記電力系統から購入した買電電力と前記電力系統から購入するように契約した契約電力とを比較することによって、
前記買電電力が前記契約電力になるように前記充放電要素の充放電電力を制御するピークカットモードと、前記再生可能電力で前記充放電要素を充電する再生可能エネルギー活用モードとを切り替える
充放電要素の充放電制御方法。
【請求項2】
前記買電電力が前記契約電力より大きい場合に前記ピークカットモードに設定し、前記買電電力が前記契約電力になるように前記充放電電力を制御する制御指令値を設定し、
前記買電電力が前記契約電力以下である場合に前記再生可能エネルギー活用モードに設定し、前記充放電電力が前記再生可能電力になるように前記制御指令値を設定する
請求項1に記載の充放電要素の充放電制御方法。
【請求項3】
前記契約電力と前記買電電力との差分値が前記再生可能電力と前記充放電電力との差分値より小さい場合に前記ピークカットモードに設定し、前記買電電力が前記契約電力になるように前記充放電電力を制御する制御指令値を設定し、
前記契約電力と前記買電電力との差分値が前記再生可能電力と前記充放電電力との差分値以上である場合に前記再生可能エネルギー活用モードに設定し、前記充放電電力が前記再生可能電力になるように前記制御指令値を設定する
請求項1に記載の充放電要素の充放電制御方法。
【請求項4】
前記買電電力を消費した買電電力量が、前記契約電力を所定時間消費した契約電力量になるように設定された契約電力用制御指令値と、前記充放電電力が前記再生可能電力になるように設定された再生可能電力用制御指令値とを設定し、
前記契約電力用制御指令値と前記再生可能電力用制御指令値のうちの小さいほうの制御指令値を、前記充放電電力を制御する制御指令値として選択する
請求項1に記載の充放電要素の充放電制御方法。
【請求項5】
前記再生可能電力用制御指令値が減少したときには、前記再生可能電力用制御指令値を、現在選択されている制御指令値の値に設定して維持する
請求項4に記載の充放電要素の充放電制御方法。
【請求項6】
電力を消費する負荷と複数の充放電要素に対して、電力系統からの電力と再生可能エネルギーで発電した再生可能電力とを供給する電力システムにおいて、前記充放電要素の充放電を制御するコントローラを備えた充放電制御装置であって、
前記電力系統から購入した買電電力と前記電力系統から購入するように契約した契約電力とを比較することによって、
前記買電電力が前記契約電力になるように前記充放電要素の充放電電力を制御するピークカットモードと、前記再生可能電力で前記充放電要素を充電する再生可能エネルギー活用モードとを切り替える
充放電要素の充放電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電要素の充放電制御方法、及び充放電要素の充放電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の太陽電池と複数のパワーコンディショナを備え、集中管理装置で複数のパワーコンディショナを管理する太陽光発電システムが記載されている。このような太陽光発電システムでは、電力系統から供給される買電電力のピーク値を抑えるピークカット制御や、太陽電池で発電した電力で蓄電池を充電する再生可能エネルギー利用制御など、それぞれの目標を達成するための複数の制御モードを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/150376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の太陽光発電システムでは、複数の制御モードの切り替えは運用者が手動で行わなければならなかった。そのため、複数の制御モードを適切なタイミングで切り替えることができないので、複数の制御モードの目標を同時に達成することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の制御モードを適切なタイミングで切り替えて複数の制御モードの目標を同時に達成することのできる充放電要素の充放電制御方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る充放電要素の充放電制御方法及びその装置では、電力系統から購入した買電電力と、電力系統から購入するように契約した契約電力とを比較する。そして、この比較した結果により、買電電力が契約電力になるように充放電要素の充放電電力を制御するピークカットモードと、再生可能電力で充放電要素を充電する再生可能エネルギー活用モードとを切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の制御モードを適切なタイミングで切り替えて複数の制御モードの目標を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る充放電制御装置を備えた電力システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1の電力システムにおける各電力間の関係を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る充放電制御装置による充放電制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、電気自動車による充放電処理の処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、図1の電力システムにおける各電力の変化の一例を示す図である。
図6図6は、買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る電力システムにおける各電力の変化の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る電力システムにおける買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る電力システムにおける再生可能電力と充放電電力との間の関係の一例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る電力システムにおける制御指令値の一例を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る電力システムにおける各電力の変化の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る電力システムにおける買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電力システムにおける再生可能電力と充放電電力との間の関係の一例を示す図である。
図14図14は、第2実施形態に係る電力システムにおける制御指令値の一例を示す図である。
図15図15は、第3実施形態に係る電力システムにおける各電力の変化の一例を示す図である。
図16図16は、第3実施形態に係る電力システムにおける買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。
図17図17は、第3実施形態に係る電力システムにおける再生可能電力と充放電電力との間の関係の一例を示す図である。
図18図18は、第3実施形態に係る電力システムにおける制御指令値の一例を示す図である。
図19図19は、第4実施形態に係る電力システムにおける各電力の変化の一例を示す図である。
図20図20は、第4実施形態に係る電力システムにおける買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。
図21図21は、第4実施形態に係る電力システムにおける再生可能電力と充放電電力との間の関係の一例を示す図である。
図22図22は、第4実施形態に係る電力システムにおける制御指令値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明を適用した第1実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0010】
[電力システムの構成]
図1は、本実施形態に係る充放電制御装置を備えた電力システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力システム100は、制御サーバ1と、電力系統10と、受給電装置3A、3Bと、電気自動車EV1、EV2と、負荷5と、再生可能エネルギー供給設備7を備えている。電力システム100は、電力を消費する負荷5と電気自動車EV1、EV2に対して、電力系統10からの電力と再生可能エネルギーで発電した再生可能電力とを供給するシステムである。
【0011】
電力系統10とは、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる電力システムである。電力系統は、スマートグリッド、スマートコミュニティ及び事業所や工場などの限られた範囲でエネルギー供給源から消費部分までを通信網で管理するマイクログリッド又はMEMS(Mansion Energy Management System)を含む概念である。電力系統10には、図1に示す電力網11、電線12、変圧器14、電流計測装置15A、15Bが含まれる。
【0012】
電力網11には、火力、原子力、水力などの各種発電所、及び数十万ボルト(V)から数千Vへ電圧を変圧する変電所が含まれる。電線12は、電流計測装置15A及び変圧器14を介して電力網11に接続されている。また、電線12は、電流計測装置15Bを介して受給電装置3A、3Bに接続されるとともに、負荷5と再生可能エネルギー供給設備7に接続されている。変圧器14の一例としては、高圧配電線路に印加されている電圧を家庭や事務所等で使用する電圧に変更する柱上変圧器(ポールトランス)が挙げられる。
【0013】
電流計測装置15A、15Bは、電線12に流れる電流を計測し、計測した電流及び電線12の電圧に基づいて、電線12を経由して供給される電力を算出する。例えば、電流計測装置15Aでは、電力系統10から購入した買電電力が算出され、電流計測装置15Bでは、電気自動車EV1、EV2で充電又は放電している充放電電力が算出される。これら算出された電力は制御サーバ1へ送信される。
【0014】
制御サーバ1は、電力系統10からの電力と再生可能電力を負荷5と電気自動車EV1、EV2に供給するとともに、電気自動車EV1、EV2の充放電を制御するサーバである。制御サーバ1は、電流計測装置15A、15Bと通信して、買電電力や電気自動車EV1、EV2の充放電電力を取得する。また、制御サーバ1は、電気自動車EV1、EV2と通信して、電気自動車EV1、EV2の充放電を制御する。図1に示すように、制御サーバ1は、充放電制御装置21と、同報送信部23aと、同報送信装置23bを備えている。
【0015】
充放電制御装置21は、電気自動車EV1、EV2の充放電を制御する。具体的に、充放電制御装置21は、電力系統10から購入した買電電力と、電力系統10から購入するように契約した契約電力とを比較することによって、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードとを切り替える。ピークカットモードとは、買電電力が契約電力になるように電気自動車EV1、EV2の充放電電力を制御するモードである。また、再生可能エネルギー活用モードとは、再生可能エネルギーで発電された再生可能電力で電気自動車EV1、EV2を充電するモードである。
【0016】
尚、充放電制御装置21は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と、メモリ等の周辺機器から構成されたコントローラである。充放電制御装置21は、充放電制御処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。充放電制御装置21の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含むプログラムされた処理装置を含んでおり、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含んでいてもよい。
【0017】
同報送信部23aは、同報送信装置23bを用いて、充放電制御装置21で生成された制御信号を、全ての電気自動車EV1、EV2に対して同報送信(ブロードキャスト)する。同報送信の方法としては、Wi-Fi(ワイファイ:登録商標)のような無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)を用いることができる。
【0018】
受給電装置3A、3Bは、柱型又は壁掛け型の変圧器であり、電線12に接続され、電力網11との間で電気自動車EV1、EV2への給電及び電気自動車EV1、EV2からの受電を行う。
【0019】
負荷5は、事業所や工場などの中で、電力を消費する建物のような施設である。負荷5には、必要な電力が需要電力として供給されている。
【0020】
再生可能エネルギー供給設備7は、再生可能エネルギーで発電した再生可能電力を供給するための設備であり、例えば太陽光パネルを備えた太陽光発電システムである。再生可能エネルギー供給設備7は、再生可能電力を負荷5と電気自動車EV1、EV2に供給している。ただし、太陽光発電に限定する必要はなく、再生可能エネルギーであれば、その他の発電方法を使用してもよい。
【0021】
電気自動車EV1、EV2は、受給電装置3A、3Bを介して電力網11に電気的に接続され、電力網11から電力を受電(充電)し、且つ電力網11へ電力を送電(放電)することができる。電気自動車EV1、EV2は、充放電制御装置21で生成された制御指令値にしたがって充放電電力を自律的に制御する。尚、電気自動車の数は、図1に示す2台に限定されない。電気自動車EV1、EV2は、それぞれ充放電部25A、25Bを備えている。
【0022】
充放電部25A、25Bは、それぞれ電気自動車EV1、EV2の充放電電力を決定して、充放電を実行する。このとき、充放電部25A、25Bは、制御サーバ1から送信された電気信号を受信し、電気信号に含まれる制御指令値に基づいて充放電電力を決定して、電気自動車EV1、EV2の充放電を実行する。
【0023】
本実施形態において、「電気自動車EV1、EV2」は、電線12を経由して電力を充放電する「充放電要素」の一例である。充放電要素は、受電した電力をバッテリ(二次電池、蓄電池、充電式電池を含む)に蓄える。「充放電要素」には、車両(電気自動車、ハイブリッド車、建設機械、農業機械を含む)、鉄道車両、遊具、工具、家庭製品、日用品など、バッテリを備える、あらゆる機器及び装置が含まれる。実施形態において、充放電要素の一例として、電気をエネルギー源とし、モータを動力源として走行する電気自動車(EV)を挙げる。しかし、本発明における充放電要素を電気自動車(EV)に限定することは意図していない。
【0024】
「充放電要素」は、実施形態に係る充放電制御装置21による充放電制御の単位構成を示す。即ち、充放電要素を単位として実施形態に係わる充放電制御が行われる。例えば、複数の電気自動車EV1、EV2の各々について、互いに独立して並列に充放電制御が行われる。
【0025】
次に、図2を参照して、電力システム100において供給及び消費される電力の関係を説明する。図2に示すように、電力システム100には、電力系統10から購入した買電電力が供給され、再生可能エネルギー供給設備7で発電された再生可能電力が供給される。一方、電気自動車EV1、EV2は、充放電電力によって充電または放電され、負荷5には消費される電力が需要電力として供給される。したがって、電力システム100では、買電電力と再生可能電力を加算した電力が供給されて、充放電電力と需要電力を加算した電力が消費されている。
【0026】
[充放電制御処理]
次に、本実施形態に係る制御サーバ1によって実行される充放電制御処理を説明する。図3は、充放電制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、ステップS101において、充放電制御装置21は、電力情報を取得する。具体的に、充放電制御装置21は、電流計測装置15A、15Bから買電電力と電気自動車EV1、EV2の充放電電力を取得し、コンピュータネットワークなどの通信手段を介して負荷5の需要電力と再生可能エネルギー供給設備7の再生可能電力を取得する。
【0028】
ステップS103において、充放電制御装置21は、ステップS101で取得した電力情報に基づいて目標電力を設定する。例えば、買電電力と契約電力を比較してピークカットモードに設定された場合には、目標電力として契約電力が設定され、再生可能エネルギー活用モードに設定された場合には、目標電力として再生可能電力が設定される。
【0029】
ステップS105において、充放電制御装置21は、電気自動車EV1、EV2の充放電電力を制御するための制御指令値を設定する。制御指令値の設定方法の詳細については、後述する。
【0030】
ステップS107において、充放電制御装置21は、電力状態情報を算出する。例えば、ステップS105で設定された制御指令値に基づいて、電気自動車EV1、EV2に要求する充放電電力を算出する。
【0031】
ステップS109において、同報送信部23aは、同報送信装置23bを用いて、制御指令値や電力状態情報などの情報を含む電気信号(無線信号)を、全ての電気自動車EV1、EV2に対して同報送信(ブロードキャスト)する。
【0032】
ステップS111において、充放電制御装置21は、電気自動車EV1、EV2の充放電が終了したか否かを判定し、終了していない場合にはステップS101に戻り、終了している場合には本実施形態に係る充放電制御処理を終了する。
【0033】
[充放電処理]
次に、電気自動車EV1、EV2で実行される充放電処理を説明する。図4は、充放電処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
図4に示すように、ステップS201において、充放電部25A、25Bは、同報送信装置23bから電気自動車EV1、EV2に向けて同報配信された電気信号(無線信号)を受信する。電気信号には、電力状態情報や制御指令値などの情報が含まれる。
【0035】
ステップS203において、充放電部25A、25Bは、それぞれ電気自動車EV1、EV2の車両状態を取得する。取得する車両状態としては、例えば、充電率の現在値、充電率の目標値、及び充放電の終了時刻などを取得する。
【0036】
ステップS205において、充放電部25A、25Bは、それぞれ電気自動車EV1、EV2の現在の車両状態に基づいて、充放電電力を決定する。このとき、充放電部25A、25Bは、充放電制御装置21で設定された制御指令値にしたがって充放電電力を決定する。
【0037】
ステップS207において、充放電部25A、25Bは、それぞれ需要電力や買電電力が変化し、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードが切り替えられるのにしたがって充放電電力を変更する。
【0038】
ステップS209において、充放電部25A、25Bは、それぞれ電気自動車EV1、EV2の充放電が終了したか否かを判定し、終了していない場合にはステップS201に戻り、終了している場合には本実施形態に係る充放電処理を終了する。
【0039】
[制御指令値の設定方法]
次に、本実施形態に係る充放電制御装置21による制御指令値の設定方法について説明する。制御指令値の設定方法を説明するために、まず需要電力と買電電力の具体例を説明する。図5は電力システム100の需要電力の一例を示す図であり、図6は電力システム100の買電電力の一例を示す図である。
【0040】
図5に示すように、需要電力Paは一例として上昇と下降を繰り返しており、契約電力Pbを超えているときがある。契約電力Pbは、電力システム100で消費される電力を電力系統10から購入するように契約した電力である。図5の例では、再生可能電力Pcは一定の値となっている。
【0041】
また、図6に示すように、買電電力Pdは、需要電力Paから再生可能電力Pcを差し引いた値になっており、需要電力Paの変化と同様に上昇と下降を繰り返して契約電力Pbを超えているときがある。
【0042】
次に、需要電力と買電電力が図5、6に示すように変化した場合について、図7~10を参照して充放電制御装置21による制御指令値の設定方法を説明する。図7は、電力システム100における各電力の変化の一例を示す図である。図8は、電力システム100における買電電力と契約電力との間の関係の一例を示す図である。図9は、電力システム100における再生可能電力と充放電電力との間の関係の一例を示す図である。図10は、電力システム100における制御指令値の一例を示す図である。
【0043】
本実施形態に係る充放電制御装置21は、買電電力が契約電力より大きい場合にピークカットモードに設定し、買電電力が契約電力になるように制御指令値を設定する。ピークカットモードは、買電電力が契約電力になるように電気自動車EV1、EV2の充放電電力を制御するモードであり、契約電力を目標電力に設定して買電電力が制御される。
【0044】
一方、充放電制御装置21は、買電電力が契約電力以下である場合には再生可能エネルギー活用モードに設定し、充放電電力が再生可能電力になるように制御指令値を設定する。再生可能エネルギー活用モードは、再生可能電力で電気自動車EV1、EV2を充電するモードであり、再生可能電力を目標電力に設定して充放電電力が制御される。
【0045】
まず、時刻t0では、図8に示すように、買電電力Pdが契約電力Pb以下なので、再生可能エネルギー活用モードに設定され、図10に示すように制御指令値Sが上昇し、これによって図9に示すように充放電電力Peが再生可能電力Pcになるように上昇する。
【0046】
この後、図7に示すように需要電力Paが上昇していくので、時刻t1になると、図8に示すように買電電力Pdが契約電力Pbよりも大きくなる。そこで、充放電制御装置21は、ピークカットモードに設定し、買電電力Pdが契約電力Pbになるように制御指令値Sを減少させ(図10)、それによって図9に示すように充放電電力Peが減少していく。その後、充放電電力Peはマイナスとなり、電気自動車EV1、EV2は放電する。
【0047】
図8に示すように、時刻t2になっても買電電力Pdは契約電力Pbよりも大きいので、制御指令値Sは、図10に示すように減少しているが、電気自動車EV1、EV2に放電できる電力がないため、図9に示すように充放電電力Peは減少することができない。そのため、図8に示すように、買電電力Pdは、時刻t2の後に上昇している。
【0048】
時刻t3になると、図7に示すように需要電力Paが減少に転じたため、図8に示すように買電電力Pdも減少し、時刻t4には買電電力Pdが契約電力Pb以下になる。そのため、ピークカットモードから再生可能エネルギー活用モードに切り替えられ、目標電力が再生可能電力Pcに設定されるので、充放電電力Peが再生可能電力Pcへ上昇するように制御指令値Sが設定される。
【0049】
時刻t4の時点では、電気自動車EV1、EV2は放電しているので、図9に示すように充放電電力Peはマイナスであり、再生可能電力Pcとの間に大きな差がある。したがって、制御指令値Sは充放電電力Peを大きく上昇させるような指令値となる。しかし、制御指令値Sが上昇して充放電電力Peが上昇すると、その直後には買電電力Pdが契約電力Pbを超えてしまうので(図8)、再びピークカットモードに切り替えられる。その結果、制御指令値Sは再び減少して充放電電力Peも減少する。このように、時刻t4以降ではピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードが繰り返し切り替えられるので、図9、10に示すように制御指令値Sと充放電電力Peは小刻みに上昇と下降を繰り返しながら上昇していく。
【0050】
そして、時刻t5になると、図7に示す需要電力Paが十分に減少するので、買電電力Pdは、図8に示すように安定して契約電力Pb以下になり、再生可能エネルギー活用モードに設定される。これにより、制御指令値Sは、図10に示すように充放電電力Peが再生可能電力Pcになるように設定される。
【0051】
その後、時刻t6になると、図8に示すように、買電電力Pdが再び契約電力Pbよりも大きくなるので、ピークカットモードに設定される。したがって、買電電力Pdが契約電力Pbへ減少するように制御指令値Sは減少し(図10)、それによって充放電電力Peも減少する(図9)。このように、充放電制御装置21は、買電電力が変化するのにしたがって、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードとを切り替えて、制御指令値を設定している。
【0052】
[第1実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る充放電制御装置21は、買電電力Pdと契約電力Pbを比較することによって、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードとを切り替えている。これにより、複数の制御モードを適切なタイミングで切り替えて複数の制御モードの目標を同時に達成することができる。すなわち、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードを適切なタイミングで切り替えて、ピークカットモードの目標である契約電力を満たすように制御することができる。さらに、再生可能エネルギー活用モードの目標である再生可能電力を満たすように充電することもできる。
【0053】
また、本実施形態に係る充放電制御装置21では、買電電力Pdが契約電力Pbより大きい場合にピークカットモードに設定し、買電電力Pdが契約電力Pbになるように制御指令値Sを設定する。一方、買電電力Pdが契約電力Pb以下である場合には、再生可能エネルギー活用モードに設定し、充放電電力Peが再生可能電力Pcになるように制御指令値Sを設定する。これにより、買電電力が契約電力を超えないように制御できるとともに、電気自動車を再生可能電力で充電することもできる。
【0054】
[第2実施形態]
以下、本発明を適用した第2実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。尚、本実施形態に係る電力システム100は、図1に示す第1実施形態の構成と同一である。
【0055】
本実施形態では、制御指令値の設定方法が第1実施形態と相違しており、契約電力と買電電力との差分値が再生可能電力と充放電電力との差分値より小さい場合にピークカットモードに設定し、買電電力が契約電力になるように制御指令値を設定する。一方、契約電力と買電電力との差分値が再生可能電力と充放電電力との差分値以上である場合に再生可能エネルギー活用モードに設定し、充放電電力が再生可能電力になるように制御指令値を設定する。
【0056】
第1実施形態では、図7~10の時刻t4の時点において、買電電力Pdが契約電力Pb以下になったので、再生可能エネルギー活用モードに切り替えられている。しかし、図9に示すように充放電電力Peと再生可能電力Pcとの間に大きな差があるので、充放電電力Peが再生可能電力Pcへ上昇するように制御指令値Sを設定すると、充放電電力Peは大きく上昇してしまう。その後は、ピークカットモードと再生可能エネルギー活用モードの切り替えが繰り返し行われるので、制御指令値Sと充放電電力Peは、図9、10に示すように小刻みに上昇と下降を繰り返しながら上昇していくことになる。
【0057】
一方、本実施形態では、図11~14の時刻t4の時点において、契約電力Pbと買電電力Pdとの差分値(図12)は、再生可能電力Pcと充放電電力Peとの差分値(図13)よりも小さい。したがって、再生可能エネルギー活用モードに切り替えられることはなく、ピークカットモードのままになるので、買電電力Pdが契約電力Pbになるように制御指令値Sが設定される。
【0058】
これにより、図14に示すように、時刻t4において、制御指令値Sが急に大きく上昇することはなくなり、時刻t4以降には、制御指令値Sと充放電電力Peが小刻みに上昇と下降を繰り返すこともなくなる(図13、14)。したがって、本実施形態では、時刻t4以降において、図13、14に示すように制御指令値Sと充放電電力Peを安定して上昇させることができる。
【0059】
この後、時刻t5になると、契約電力Pbと買電電力Pdとの差分値(図12)が再生可能電力Pcと充放電電力Peとの差分値(図13)以上となる。これにより、再生可能エネルギー活用モードに切り替えられるので、充放電電力Peが再生可能電力Pcになるように制御指令値Sが設定される。このように、充放電制御装置21は、目標電力との差分値が小さいほうのモードに切り替えて制御指令値を設定している。
【0060】
[第2実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る充放電制御装置21は、契約電力と買電電力との差分値が再生可能電力と充放電電力との差分値より小さい場合にピークカットモードに設定し、買電電力が契約電力になるように制御指令値を設定する。一方、契約電力と買電電力との差分値が再生可能電力と充放電電力との差分値以上である場合に再生可能エネルギー活用モードに設定し、充放電電力が再生可能電力になるように制御指令値を設定する。これにより、目標電力との差分値が小さいほうのモードを選択して設定することができるので、モードを切り替えても制御指令値が大きく変化することはなくなり、充放電電力を安定させることができる。
【0061】
[第3実施形態]
以下、本発明を適用した第3実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。尚、本実施形態に係る電力システム100は、図1に示す第1実施形態の構成と同一である。
【0062】
本実施形態では、制御指令値の設定方法が第1及び第2実施形態と相違しており、契約電力用制御指令値と再生可能電力用制御指令値を設定し、これらのうちの小さいほうの制御指令値を選択して使用する。
【0063】
第1及び第2実施形態では、各時点において、買電電力が契約電力を超えたかどうかを判断していた。しかし、実際の電力システムでは、買電電力が契約電力を超えたかどうかの判断は、瞬間的に買電電力が契約電力を超えたかどうかで判断するのではなく、所定時間の累積値である電力量が超えたかどうかで判断される。そのため、買電電力が瞬間的に契約電力を超えていたとしても、契約電力を所定時間消費した契約電力量には余裕があり、十分に使用できていない場合があった。逆に、買電電力が瞬間的には契約電力を下回っていたとしても、契約電力量は超えているという場合もあり、この場合には契約電力量を超えているにも関わらず、充放電電力を上昇させてしまう恐れもあった。
【0064】
そこで、本実施形態では、契約電力用制御指令値として、買電電力を消費した買電電力量が、契約電力を所定時間消費した契約電力量になるように設定された制御指令値を用意する。
【0065】
例えば、図18に示すように、契約電力用制御指令値S1は、買電電力量が契約電力量になるように設定されているので、図14に示す制御指令値Sよりも時刻t1において大きな値になっている。契約電力用制御指令値S1は、買電電力の積分値と契約電力の積分値を算出して買電電力量と契約電力量を求めることによって、設定することができる。
【0066】
また、再生可能電力用制御指令値は、充放電電力が再生可能電力になるように設定された制御指令値である。すなわち、買電電力を考慮せずに、充放電電力が再生可能電力になることだけを考慮して設定された制御指令値である。
【0067】
例えば、再生可能電力用制御指令値S2は、充放電電力Peが再生可能電力Pcになるように設定されているので、図17に示すように充放電電力Peが減少すると、それに伴って、図18に示すように上限値まで上昇する。したがって、再生可能電力用制御指令値S2を使用すると、充放電電力Peを再生可能電力Pcへ最大限上昇させることができる。
【0068】
こうして設定された契約電力用制御指令値と再生可能電力用制御指令値のうち、図18に示すように、小さいほうの制御指令値を選択して、電気自動車EV1、EV2に送信する送信制御指令値S3として使用する。図18では、時刻t0からt7までは再生可能電力用制御指令値S2が選択され、時刻t7以降は契約電力用制御指令値S1が選択されている。このように、充放電制御装置21は、契約電力用制御指令値S1と再生可能電力用制御指令値S2を設定し、これらのうちの小さいほうの制御指令値を選択して使用している。
【0069】
[変形例]
本実施形態では、送信制御指令値S3の選択を、制御サーバ1の充放電制御装置21で行っているが、電気自動車EV1、EV2の充放電部25A、25Bで行うようにしてもよい。この場合、充放電制御装置21は、契約電力用制御指令値S1と再生可能電力用制御指令値S2を生成して充放電部25A、25Bへ送信し、受信した充放電部25A、25Bが小さいほうの制御指令値を選択して送信制御指令値S3として使用すればよい。
【0070】
[第3実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る充放電制御装置21は、買電電力量が契約電力量になるように設定された契約電力用制御指令値と、充放電電力が再生可能電力になるように設定された再生可能電力用制御指令値とを設定する。そして、契約電力用制御指令値と再生可能電力用制御指令値のうちの小さいほうを制御指令値として選択する。これにより、契約電力用制御指令値が選択された場合には契約電力量を十分に使用することができ、再生可能電力用制御指令値が選択された場合には再生可能電力で電気自動車を急速に充電することができる。
【0071】
[第4実施形態]
以下、本発明を適用した第4実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。尚、本実施形態に係る電力システム100は、図1に示す第1実施形態の構成と同一である。
【0072】
本実施形態では、再生可能電力用制御指令値の設定方法が第3実施形態と相違している。第3実施形態では、図17に示すように、時刻t5以降において充放電電力Peが再生可能電力Pcを超えて充電されていた。しかし、電気自動車は、再生可能エネルギーのみで充電したいというニーズがあるため、充放電電力Peが再生可能電力Pcを超えないように充電したほうがよい場合がある。そこで、本実施形態では、充放電電力Peが再生可能電力Pcを超えないように制御する。
【0073】
具体的に、充放電制御装置21は、再生可能電力用制御指令値S2が減少したときには、再生可能電力用制御指令値S2を、現在選択されている制御指令値の値に設定して維持する。第3実施形態の図17に示すように、充放電電力Peが再生可能電力Pcを超えると、図18に示すように再生可能電力用制御指令値S2は減少する。そこで、充放電制御装置21は、再生可能電力用制御指令値S2を監視し、直前の値から現時点の値が減少したときには、再生可能電力用制御指令値S2を、現在選択されている送信制御指令値S3の値に設定して維持する。
【0074】
例えば、図21に示すように、時刻t5において、充放電電力Peが再生可能電力Pcになると、再生可能電力用制御指令値S2は減少するので、再生可能電力用制御指令値S2を現在選択されている送信制御指令値S3の値に設定する。そのため、図22に示すように、再生可能電力用制御指令値S2の値は送信制御指令値S3の値へ急低下し、その後に契約電力用制御指令値S1が減少してくるまでの間、その値に維持される。その結果、図21に示すように、充放電電力Peは、時刻t5の時点の電力値のまま維持されるので、再生可能電力Pcを超えないように制御されている。尚、本実施形態では、再生可能電力用制御指令値S2が減少したときを監視しているが、充放電電力Peが再生可能電力Pcを超えたときを監視するようにしてもよい。
【0075】
[変形例]
本実施形態では、送信制御指令値S3の選択を、制御サーバ1の充放電制御装置21で行っているが、電気自動車EV1、EV2の充放電部25A、25Bで行うようにしてもよい。この場合、充放電制御装置21は、契約電力用制御指令値S1と再生可能電力用制御指令値S2を生成して充放電部25A、25Bへ送信し、受信した充放電部25A、25Bが小さいほうの制御指令値を選択して送信制御指令値S3として使用すればよい。
【0076】
また、充放電部25A、25Bは、再生可能電力用制御指令値S2を監視し、再生可能電力用制御指令値S2が減少したときに、再生可能電力用制御指令値S2と直前の送信制御指令値S3との差分を補正値として記録する。そして、受信した再生可能電力用制御指令値S2から補正値を減じることによって、再生可能電力用制御指令値S2を設定する。
【0077】
尚、再生可能電力用制御指令値S2が変化していると、補正値が大きくなる場合がある。その場合には、補正値を減じた再生可能電力用制御指令値S2が小さくなるので、充放電電力Peが再生可能電力Pcまで充電されないことになる。そこで、補正値が大きい場合には、補正値が小さくなるように修正してもよい。例えば、補正値を1%程度減少させるようにする。また、充放電部25A、25Bが、再生可能電力用制御指令値S2の上限値を取得している場合には、上限値から補正値を減じる場合のみ、補正値を修正するようにしてもよい。
【0078】
[第4実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る充放電制御装置21は、再生可能電力用制御指令値が減少したときに、再生可能電力用制御指令値を現在選択されている制御指令値の値に設定して維持する。これにより、充放電電力が再生可能電力を超えないように制御することができるので、電気自動車EV1、EV2を再生可能エネルギー以外の電力で充電することを防止できる。
【0079】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1 制御サーバ
3A、3B 受給電装置
5 負荷
7 再生可能エネルギー供給設備
10 電力系統
11 電力網
12 電線
14 変圧器
15A、15B 電流計測装置
21 充放電制御装置
23a 同報送信部
23b 同報送信装置
25A、25B 充放電部
EV1、EV2 電気自動車
100 電力システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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