(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003691
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】アンテナ制御システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20240105BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240105BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01S7/02 212
G01S7/03 220
H01Q3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103013
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021DB04
5J021EA02
5J021GA02
5J021HA05
5J021HA06
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AD05
5J070AD13
5J070AE09
5J070AF01
5J070AG07
5J070AK06
5J070AK30
(57)【要約】
【課題】死角部を減らすことができると共に、ミリ波の干渉を抑制することが可能なアンテナ制御システムを提供する。
【解決手段】信号生成部と、送信部21a・22a及び受信部21b・22bを有する複数のアンテナ部21・22と、受信部21b・22bが受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する検知部と、各送信部21a・22aの信号生成部との断接、及び、各受信部21b・22bの検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部40と、複数のアンテナ部21・22の使用状態を切り替える制御部と、を具備し、制御部は、複数のアンテナ部21・22から順番に選択する1つのアンテナ部21・22をアンテナ使用状態に切り替えると共に、1つのアンテナ部21・22以外の他のアンテナ部21・22をアンテナ非使用状態に切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部と、
前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部、及び、反射されたミリ波を受信する受信部を有し、互いに異なる方向を指向可能な複数のアンテナ部と、
前記受信部が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する検知部と、
前記各送信部の前記信号生成部との断接、及び、前記各受信部の前記検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部と、
前記切替部を制御して前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記複数のアンテナ部から順番に選択する1つのアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、
前記1つのアンテナ部以外の他のアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替える、
アンテナ制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える場合、少なくとも2つ以上のアンテナ部が同時に前記アンテナ使用状態に切り替えられないよう、前記切替部を制御する、
請求項1に記載のアンテナ制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
所定時間が経過するごとに、前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える、
請求項1に記載のアンテナ制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定時間が経過した場合、
前記複数のアンテナ部のうち、前記アンテナ使用状態から前記アンテナ非使用状態に切り替える第1のアンテナ部において前記受信部を切断状態とし、前記アンテナ非使用状態から前記アンテナ使用状態に切り替える第2のアンテナ部において前記受信部を接続状態にした後で、
前記検知部の前記受信部からの信号の取得状態に応じて、前記第1のアンテナ部において前記送信部を切断状態とし、前記第2のアンテナ部において前記送信部を接続状態とする、
請求項3に記載のアンテナ制御システム。
【請求項5】
前記信号生成部は、
前記送信部の個数に関わらず、1つだけ設置される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアンテナ制御システム。
【請求項6】
前記複数のアンテナ部の送信部は、
ミリ波が互いに干渉しないように、互いに異なる方向を指向可能である、
請求項1に記載のアンテナ制御システム。
【請求項7】
前記アンテナ部及び前記制御部は、ユニット化される、
請求項1に記載のアンテナ制御システム。
【請求項8】
前記検知部は、
人体の状態を検知するものであり、
前記アンテナ部及び前記制御部は、
室内空間の上部に配置される、
請求項1に記載のアンテナ制御システム。
【請求項9】
前記アンテナ部及び前記制御部は、
前記室内空間に面する天井部に配置される、
請求項8に記載のアンテナ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波を送受信するアンテナ部を具備するアンテナ制御システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波を送受信することによって所定の情報を検知する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の動体検知装置は、発振機、送信アンテナ、受信アンテナ、ミキサ、及び計測回路等を具備する。送信アンテナは、発振器で生成された送信信号(ミリ波)を対象に向けて送信する。受信アンテナは、対象からの反射波を受信する。ミキサは、発振機からの送信信号や受信アンテナで受信された信号等を混合する。計測回路は、ミキサで混合された信号を用いて演算処理を行うことによって、所定の情報(例えば、呼吸の有無等)を計測する。
【0004】
特許文献1のような動体検知装置を1つだけ用いる場合、例えば家具の影部等に送信信号が回りこめず、情報を検知できない死角部P(
図7(a)参照)が発生するおそれがある。また死角部Pを減らすために複数の動体検知装置を用いて同時にミリ波を送信する場合、ミリ波の送信範囲が重複し(
図7(b)に示す送信範囲R91・R92参照)、ミリ波同士が干渉して誤った情報が検知されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、死角部を減らすことができると共に、ミリ波の干渉を抑制することが可能なアンテナ制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部と、前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部、及び、反射されたミリ波を受信する受信部を有し、互いに異なる方向を指向可能な複数のアンテナ部と、前記受信部が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する検知部と、前記各送信部の前記信号生成部との断接、及び、前記各受信部の前記検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部と、前記切替部を制御して前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える制御部と、を具備し、前記制御部は、前記複数のアンテナ部から順番に選択する1つのアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、前記1つのアンテナ部以外の他のアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える場合、少なくとも2つ以上のアンテナ部が同時に前記アンテナ使用状態に切り替えられないよう、前記切替部を制御するものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、所定時間が経過するごとに、前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替えるものである。
【0011】
請求項4においては、前記制御部は、前記所定時間が経過した場合、前記複数のアンテナ部のうち、前記アンテナ使用状態から前記アンテナ非使用状態に切り替える第1のアンテナ部において前記受信部を切断状態とし、前記アンテナ非使用状態から前記アンテナ使用状態に切り替える第2のアンテナ部において前記受信部を接続状態にした後で、前記検知部の前記受信部からの信号の取得状態に応じて、前記第1のアンテナ部において前記送信部を切断状態とし、前記第2のアンテナ部において前記送信部を接続状態とするものである。
【0012】
請求項5においては、前記信号生成部は、前記送信部の個数に関わらず、1つだけ設置されるものである。
【0013】
請求項6においては、前記複数のアンテナ部の送信部は、ミリ波が互いに干渉しないように、互いに異なる方向を指向可能である。
【0014】
請求項7においては、前記アンテナ部及び前記制御部は、ユニット化されるものである。
【0015】
請求項8においては、前記検知部は、人体の状態を検知するものであり、前記アンテナ部及び前記制御部は、室内空間の上部に配置されるものである。
【0016】
請求項9においては、前記アンテナ部及び前記制御部は、前記室内空間に面する天井部に配置されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、死角部を減らすことができると共に、制御部の制御によってミリ波の干渉を抑制できる。
【0019】
請求項2においては、2つ以上の送信部から同時にミリ波が送信されるのを防止できるため、ミリ波の干渉を効果的に抑制できる。
【0020】
請求項3においては、制御部による切替部の制御を簡素化することができる。
【0021】
請求項4においては、受信部の状態が適切に切り替えられたことを確認してから送信部の状態を切替可能となるため、情報を適切に検知できる。
【0022】
請求項5においては、複数のアンテナ部から同時にミリ波が出力されるのを防止できる。これによってミリ波の干渉を効果的に抑制できる。
【0023】
請求項6においては、ミリ波の干渉を効果的に抑制できる。
【0024】
請求項7においては、アンテナ部及び制御部を設置し易くなる。
【0025】
請求項8においては、家具等によってミリ波が遮られるのを抑制できるため、人体の状態を検知し易くなる。
【0026】
請求項9においては、家具等によってミリ波が遮られるのを効果的に抑制できるため、人体の状態をより検知し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るアンテナ制御システムが設置される室内空間を示す図。
【
図3】制御部による切替部の制御内容を示すフローチャート。
【
図4】
図3のステップS30の処理後の状態を示すブロック図。
【
図5】
図3のステップS50の処理後の状態を示すブロック図。
【
図6】第二実施形態に係るアンテナ制御システムを示すブロック図。
【
図7】(a)死角部を示す図。(b)ミリ波同士が干渉する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向及び左右方向をそれぞれ定義する。
【0029】
以下では、本発明の第一実施形態に係るアンテナ制御システム1について説明する。
【0030】
まず
図1を参照し、アンテナ制御システム1が設置される空間について説明する。本実施形態では、
図1に示す室内空間Sにアンテナ制御システム1が設置される。室内空間S、例えば介護施設内で利用者が利用する空間(例えば居室の空間等)である。室内空間Sは、建物の床部、側壁及び天井部S1によって他の空間と区画される。室内空間Sには、家具が設置される。なお
図1には、家具の一例としてベッドBが記載されている。
【0031】
また、室内空間Sにはアンテナ制御システム1のアンテナ部21・22等が設置される。室内空間Sでは、当該アンテナ部21・22から送信されるミリ波に基づいて、人体の情報が検知される。なお本実施形態では、人体の情報の一例として、バイタルデータが検知されるものとする。またバイタルデータには、呼吸数、心拍数及び体動等が含まれる。また本実施形態のミリ波は、波長が1~10mmであり、かつ周波数が30~300GHzである電波を指すものとする。
【0032】
ここで、例えば
図7(a)に示すように、室内空間Sに1つだけアンテナ部91が設置される場合、ベッドBの影部等にミリ波が回りこめず、バイタルデータを検知できない死角部Pが発生するおそれがある。また
図7(b)に示すように、死角部Pを減らすために複数のアンテナ部91・92を設置して同時にミリ波を送信する場合、ミリ波の送信範囲R91・R92が重複してしまい、ミリ波同士で干渉(電波干渉)する可能性がある。この場合、誤ったバイタルデータが検知されるおそれがある。そこで本実施形態のアンテナ制御システム1は、死角部Pを減らすと共に、ミリ波の干渉を抑制できるように構成される。
【0033】
以下、アンテナ制御システム1について説明する。アンテナ制御システム1は、室内空間Sでバイタルデータを検知するためのものである。
図2に示すように、アンテナ制御システム1は、シンセサイザ10、アンテナ群20、ミキサ30、切替部40及びCPU50を具備する。
【0034】
シンセサイザ10は、ミリ波に関する生成信号を生成するものである。シンセサイザ10は、例えば、時間が経過するにつれて所定の下限周波数から上限周波数まで周波数が増加する信号を、生成信号として生成する。シンセサイザ10は、後述する切替部40を介してアンテナ群20のアンテナ部21・22と接続される。またシンセサイザ10は、ミキサ30と接続される。シンセサイザ10は、アンテナ部21・22及びミキサ30に対して生成信号を出力するように構成される。
【0035】
アンテナ群20は、複数のアンテナ部21・22によって構成される。本実施形態のアンテナ群20は、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22を具備する。
【0036】
第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、ミリ波の送受信を行うためのものである。第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、
図1に示す室内空間Sの上部に配置される。より詳細には、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、室内空間Sに面する天井部S1に配置される。なお
図1に示す送信範囲R21は、第1アンテナ部21から送信されるミリ波の範囲を模式的に示している。また送信範囲R22は、第2アンテナ部22から送信されるミリ波の範囲を模式的に示している。
図2に示すように、第1アンテナ部21は、第1送信部21a及び第1受信部21bを具備する。
【0037】
第1送信部21aは、シンセサイザ10からの生成信号に基づいて、室内空間Sにミリ波を送信するためのものである。第1受信部21bは、室内空間Sで反射されたミリ波(反射波)を受信するためのものである。第1受信部21bは、切替部40を介してミキサ30と接続される。
【0038】
第2アンテナ部22は、第1送信部21aと同様に構成される第2送信部22a、及び第1受信部21bと同様に構成される第2受信部22bを具備する。第2アンテナ部22は、第1アンテナ部21とは配置及び向きが異なる。この複数のアンテナ部21・22によって、
図7(a)にあるような死角部Pを減らすことができる。以下、アンテナ部21・22の配置及び向きについて具体的に説明する。
【0039】
図1に示すように、第1アンテナ部21(第1送信部21a)及び第2アンテナ部22(第2送信部22a)は、ミリ波の送信範囲R21・R22が互いに重複しないように配置される。また第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、第1送信部21a及び第2送信部22aのうち、第1送信部21aからのミリ波のみを第1受信部21bが受信し、かつ、第2送信部22aからのミリ波のみを第2受信部22bが受信するように、配置及び向きが適宜調整される。
【0040】
本実施形態の第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、天井部S1の略中央部において、ミリ波を互いに反対方向に送信するように配置される。なお
図1では、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22は、互いに略左右対称に配置される。また
図1では、第1アンテナ部21が左下方を向く(左下方に向けてミリ波を送信する)と共に、第2アンテナ部22が右下方を向くように配置される。
【0041】
図2に示すミキサ30は、シンセサイザ10の生成信号及び受信部21b・22bからの受信信号を混合して中間信号を作成するためのものである。ミキサ30は、後述するCPU50(Central Processing Unit)と接続され、当該CPU50に中間信号を出力するように構成される。
【0042】
切替部40は、第1送信部21a及び第2送信部22aのシンセサイザ10との断接、並びに、第1受信部21b及び第2受信部22bのCPU50との断接をそれぞれ切り替え可能なものである。切替部40は、第1スイッチ41及び第2スイッチ42を具備する。
【0043】
第1スイッチ41は、第1送信部21a及び第2送信部22aのシンセサイザ10との断接を切り替えるためのものである。第1スイッチ41は、第1送信部21a及び第2送信部22aとシンセサイザ10との間に配置される3路スイッチによって構成される。また第1スイッチ41は、機械式スイッチや半導体式スイッチ(FET等)によって構成される。第1スイッチ41は、第1送信部21a及び第2送信部22aのいずれか一方とシンセサイザ10とを接続し、かつ第1送信部21a及び第2送信部22aのいずれか他方とシンセサイザ10との接続を解除する(切断する)ように構成される。第1送信部21a及び第2送信部22aは、第1スイッチ41を介してシンセサイザ10と接続される場合に、室内空間Sにミリ波を送信する。
【0044】
第2スイッチ42は、第1受信部21b及び第2受信部22bのCPU50との断接をそれぞれ切り替えるためのものである。第2スイッチ42は、第1受信部21b及び第2受信部22bとミキサ30及びCPU50との間に配置される3路スイッチによって構成される。また第2スイッチ42は、機械式スイッチや半導体式スイッチ(FET等)によって構成される。第2スイッチ42は、第1受信部21b及び第2受信部22bのいずれか一方とミキサ30とを接続し、かつ第1受信部21b及び第2受信部22bのいずれか他方とミキサ30とを切断するように構成される。第1受信部21b及び第2受信部22bは、第2スイッチ42を介してミキサ30と接続される場合に、受信したミリ波に関する受信信号をミキサ30に出力する。
【0045】
CPU50は、アンテナ制御システム1に関する各種処理を実行するためのものである。CPU50は、記憶装置に記憶されるプログラム等を読み込んで各種処理を実行するように構成される。CPU50は、例えばミキサ30から出力される中間信号に対して所定の処理(例えばフーリエ変換等)を行うことによって、受信部21b・22bが受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。
【0046】
例えば
図2に示すように、第1アンテナ部21の第1送信部21aとシンセサイザ10とが接続され、かつ第1アンテナ部21の第1受信部21bとミキサ30とが接続される場合、第1アンテナ部21で送受信されたミリ波がミキサ30で混合される。CPU50は、当該混合結果(中間信号)に対して行う処理により、第1受信部21bで受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。またCPU50は、
図5に示すように、第2アンテナ部22の第2送信部22aとシンセサイザ10とが接続され、かつ第2受信部22bとミキサ30とが接続される場合に、第2受信部22bで受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。
【0047】
以下では、アンテナ部の送信部及び受信部がシンセサイザ10及びミキサ30とそれぞれ接続され、CPU50がバイタルデータを検知する状態(
図2に示す第1アンテナ部21の状態及び
図5に示す第2アンテナ部22の状態)を「アンテナ使用状態」と称する。また以下では、アンテナ部の送信部及び受信部がシンセサイザ10及びミキサ30とそれぞれ切断された状態(
図2に示す第2アンテナ部22の状態及び
図5に示す第1アンテナ部21の状態)を「アンテナ非使用状態」と称する。また以下では、アンテナ使用状態及びアンテナ非使用状態を総称して「使用状態」と称する。
【0048】
ここで上述の如く、本実施形態ではミリ波の送信範囲R21・R22が互いに重複しないため、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22からミリ波を同時に送信したとしても、当該ミリ波同士の干渉を抑制できる。しかしながら、ミリ波を同時に送信する場合に、複数のアンテナ部21・22で受信したミリ波(受信信号)を同じミキサ30に出力してしまうと、CPU50は中間信号がどのアンテナ部で受信されたミリ波に基づくものであるか判別できず、バイタルデータを適切に検知できない可能性がある。また、受信部21b・22bで受信したミリ波を別々のミキサ30に出力する場合、アンテナ部21・22と同数のミキサ30を設置する必要があるため、コストの増大が懸念される。
【0049】
そこで本実施形態のCPU50は、切替部40を制御してアンテナ部21・22の使用状態を切り替えることによって、ミリ波の送受信のタイミングを複数のアンテナ部21・22で互いにずらすようにしている。これによって、ミキサ30の個数をアンテナ部21・22よりも少なくしても、中間信号がどのアンテナ部で受信されたミリ波に基づくものであるか判別可能としている。このため、コストの削減を図ると共に、バイタルデータを適切に検知できる。なお、切替部40を制御する処理については後述する。
【0050】
上述の如く構成されるアンテナ制御システム1は、各種部材が所定の筐体にまとめて内装される等して、各種部材がユニット化される。より詳細には、少なくとも第1アンテナ部21、第2アンテナ部22及びCPU50がユニット化される。本実施形態では、これら第1アンテナ部21等に加えて、シンセサイザ10、ミキサ30及び切替部40もユニット化される。これによって室内空間Sにアンテナ制御システム1を設置し易くなる。なおアンテナ制御システム1は、天井部S1に設置される照明等の製品に内蔵することも可能である。
【0051】
以下では
図2から
図5を用いて、CPU50の処理について説明する。
図3は、切替部40を制御するための制御フローである。CPU50は、所定の条件を満たす場合(例えば電源から電力が供給される場合)に
図3に示す制御フローを繰り返し実行する。CPU50は、
図3に示す制御フローの実行を開始すると、ステップS10に移行する。
【0052】
ステップS10においてCPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態(
図2に示す状態)であるか否かを判定する。CPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態である場合(ステップS10:Yes)、ステップS20へ移行する。一方CPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態でない場合(ステップS10:No)、ステップS70へ移行する。
【0053】
第1アンテナ部21がアンテナ使用状態である場合に移行するステップS20~S60の処理において、CPU50は、第1アンテナ部21をアンテナ非使用状態(
図5に示す状態)に切り替える。またCPU50は、第1アンテナ部21とは異なる1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ部22)をアンテナ非使用状態からアンテナ使用状態(
図5に示す状態)に切り替える。以下、具体的に説明する。
【0054】
ステップS20においてCPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態となってから所定時間が経過したかを判定する。具体的にはCPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態となってから経過した時間Time1が所定の閾値X以上であるか否かを判定する。閾値Xには、アンテナ部21・22の個数や室内空間Sの広さ等に応じて適宜の値が設定される。本実施形態では閾値Xには500mSが設定される。なお閾値Xは、500mSに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0055】
CPU50はステップS20において、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態となってから所定時間が経過した場合(前記時間Time1≧閾値X、ステップS20:Yes)、ステップS30へ移行する。一方CPU50は、第1アンテナ部21がアンテナ使用状態となってから所定時間が経過していない場合(前記時間Time1<閾値X、ステップS20:No)、
図3に示す制御フローを終了する。
【0056】
ステップS30においてCPU50は、
図4に示すように、第2スイッチ42を制御して、第2アンテナ部22の第2受信部22bとミキサ30とを接続する。またCPU50は、第1アンテナ部21の第1受信部21bとミキサ30とを切断する。ステップS30の処理が終了すると、CPU50はステップS40へ移行する。
【0057】
図3に示すように、ステップS40においてCPU50は、受信信号が来ていないことを確認する。以下、ステップS40の目的について説明する。
【0058】
上述したステップS30の処理が適切に行われなかった場合、CPU50がバイタルデータを適切に検知できない可能性がある。より詳細には、ステップS30の処理が適切に行われずに後述するステップS50の処理が行われると、第2送信部22aからミリ波が送信されるのに対し、第2受信部22bがミキサ30と切断されたままとなる。この状態で第2送信部22aからのミリ波が利用者にあたって反射したとしても、当該反射波に基づく受信信号がミキサ30に出力されず、バイタルデータの検知漏れ等が生じるおそれがある。
【0059】
そこでCPU50は、ステップS30の処理が適切に行われたか(ステップS50以降の処理でバイタルデータを適切に検知できるか)を確認することを目的として、ステップS40の処理を行う。以下、ステップS40の処理内容について説明する。
【0060】
ステップS30の処理が適切に行われると、ステップS40において第1受信部21bがミキサ30と切断され、かつ第2受信部22bがミキサ30と接続される(
図4参照)。これに対し、シンセサイザ10は第2送信部22aではなく、第1送信部21aと接続されている。第2受信部22bは、当該第1送信部21aからのミリ波を受信しないため、ミキサ30には、第2受信部22bから受信信号が入力されることはない。またCPU50には、受信信号に基づく中間信号が入力されることはない。
【0061】
そこでCPU50は、ステップS40において受信信号(より詳細には受信信号に基づく中間信号)が来ていないことを確認する。これによって、ステップS30の処理が適切に行われたか否かを確認できる。CPU50は、受信信号が来ていないことを確認すると(ステップS40:Yes)、ステップS50へ移行する。またCPU50は、受信信号が来ていることを確認すると(ステップS40:No)、再びステップS40へ移行する。こうしてCPU50は、ステップS30の処理が正常に行われたことを確認するまでステップS40を繰り返し実行する。
【0062】
なお仮にステップS30の処理が適切に行われなかった場合、CPU50は、ステップS50へ移行することなく、ステップS40を繰り返し実行し続けるおそれがある。この場合、CPU50は、適宜のタイミングで情報を報知して(例えばディスプレイにステップS30の処理が適切に行われていないことを表示させ)、
図3に示す制御フローを終了してもよい。例えばCPU50は、所定時間が経過するまでステップS40を繰り返し実行したり、ステップS40の実行回数が所定の閾値以上となった場合に、情報を報知して
図3に示す制御フローを終了してもよい。
【0063】
図3及び
図5に示すように、ステップS50においてCPU50は、第1スイッチ41を制御して、第2アンテナ部22の第2送信部22aとシンセサイザ10とを接続する。またCPU50は、第1アンテナ部21の第1送信部21aとシンセサイザ10とを切断する。このステップS50及び上述したステップS30によって第1アンテナ部21は、アンテナ使用状態からアンテナ非使用状態に切り替えられる。また第2アンテナ部22は、アンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替えられる。ステップS50の処理が終了すると、CPU50はステップS60へ移行する。
【0064】
ステップS60においてCPU50は、第2アンテナ部22がアンテナ使用状態となってから経過した時間Time2の計測を開始する。具体的にはCPU50は、前記時間Time2を0にする。またCPU50は、前記時間Time2の計測を開始する。ステップS60の処理が終了すると、CPU50は
図3に示す制御フローを終了する。
【0065】
ステップS10で第1アンテナ部21がアンテナ使用状態でない場合に移行するステップS70~S110の処理において、CPU50は、第2アンテナ部22をアンテナ使用状態からアンテナ非使用状態に切り替える。またCPU50は、第1アンテナ部21をアンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替える。なお、ステップS70~S110の処理は上述したステップS20~S60の第1アンテナ部21と第2アンテナ部22とを入れ替えた処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
CPU50は、
図3に示す制御フローを繰り返し実行することによって、500mS(閾値X)が経過するごとに、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22を交互にアンテナ使用状態に切り替える。これによってアンテナ部21・22におけるミリ波の送受信のタイミングを互いにずらすことができるため、複数のアンテナ部21・22で共通するミキサ30を用いてバイタルデータを適切に検知できる。また複数のアンテナ部21・22を用いて死角部P(
図7(a)参照)を減らすことができる。
【0067】
また、本実施形態とは異なりミリ波の送信範囲R21・R22が重複する場合でも、アンテナ部21・22におけるミリ波の送受信のタイミングを互いにずらすことによって、ミリ波の干渉を抑制できる。このため、誤ったバイタルデータが検知されるのを防止できる。
【0068】
また本実施形態では、
図2に示すように、第1スイッチ41が3路スイッチによって構成されることにより、第1送信部21a及び第2送信部22aがシンセサイザ10と同時に接続されない構成としている。また第2スイッチ42についても第1スイッチ41と同様に、第1受信部21b及び第2受信部22bがミキサ30と同時に接続されない構成としている。これによって、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22の使用状態を切り替える際に、第1アンテナ部21及び第2アンテナ部22が同時にアンテナ使用状態となるのを防止できるため、ミキサ30に同時に受信信号が出力されるのを効果的に抑制できる。
【0069】
以上の如く、本実施形態に係るアンテナ制御システム1は、ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部(シンセサイザ10)と、前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部21a・22a、及び、反射されたミリ波を受信する受信部21b・22bを有し、互いに異なる方向を指向可能な複数のアンテナ部21・22と、前記受信部21b・22bが受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する検知部(CPU50)と、前記各送信部21a・22aの前記信号生成部との断接、及び、前記各受信部21b・22bの前記検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部40と、前記切替部40を制御して前記複数のアンテナ部21・22の使用状態を切り替える制御部(CPU50)と、を具備し、前記制御部は、前記複数のアンテナ部21・22から順番に選択する1つのアンテナ部21・22を、前記送信部21a・22a及び前記受信部21b・22bがそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、前記1つのアンテナ部21・22以外の他のアンテナ部21・22を、前記送信部21a・22a及び前記受信部21b・22bがそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替えるものである。
【0070】
このように構成することにより、例えば、複数のアンテナ部21・22の向きを変えて設置することで、ミリ波が回りこめない死角部Pを減らすことができる。また、制御部(CPU50)の制御によって、複数のアンテナ部21・22の間でミリ波の送受信のタイミングをずらすことができるため、アンテナ部21・22のミリ波の送信範囲R21・R22が重複する場合でも、ミリ波の干渉を抑制できる。
【0071】
また、前記制御部(CPU50)は、前記複数のアンテナ部21・22の使用状態を切り替える場合(ステップS20:Yes、ステップS70:Yes)、少なくとも2つ以上のアンテナ部21・22が同時に前記アンテナ使用状態に切り替えられないよう、前記切替部40を制御するものである(ステップS30・S50・S80・S100)。
【0072】
このように構成することにより、ミリ波の干渉を効果的に抑制することができる。
【0073】
また、前記制御部(CPU50)は、所定時間(50mS)が経過するごとに、前記複数のアンテナ部21・22の使用状態を切り替えるものである(ステップS20~S110)。
【0074】
このように構成することにより、制御部(CPU50)による切替部40の制御を簡素化することができる。
【0075】
また、前記制御部(CPU50)は、前記所定時間が経過した場合(ステップS20:Yes、ステップS70:Yes)、前記複数のアンテナ部21・22のうち、前記アンテナ使用状態から前記アンテナ非使用状態に切り替える第1のアンテナ部において前記受信部(ステップS30における第1受信部21b、ステップS80における第2受信部22b)を切断状態とし、前記アンテナ非使用状態から前記アンテナ使用状態に切り替える第2のアンテナ部において前記受信部(ステップS30における第2受信部22b、ステップS80における第1受信部21b)を接続状態にした後で、前記検知部(CPU50)の前記受信部からの信号の取得状態に応じて、前記第1のアンテナ部において前記送信部(ステップS50における第1送信部21a、ステップS100における第2送信部22a)を切断状態とし、前記第2のアンテナ部において前記送信部(ステップS50における第2送信部22a、ステップS80における第1送信部21a)を接続状態とするものである。
【0076】
このように構成することにより、受信部21b・22bの状態が適切に切り替えられたことを確認してから送信部21a・22aの状態を切り替え可能となるため、情報(バイタルデータ)を適切に検知できる。
【0077】
また、前記複数のアンテナ部21・22の送信部21a・22aは、ミリ波が互いに干渉しないように、互いに異なる方向を指向可能である(
図1参照)。
【0078】
このように構成することにより、ミリ波の干渉を効果的に抑制できる。
【0079】
また、前記アンテナ部21・22及び前記制御部(CPU50)は、ユニット化されるものである。
【0080】
このように構成することにより、アンテナ部21・bb及び制御部(CPU50)を設置し易くなる。
【0081】
また、前記検知部(CPU50)は、人体の状態を検知するものであり、前記アンテナ部21・22及び前記制御部(CPU50)は、室内空間Sの上部に配置されるものである(
図1参照)。
【0082】
このように構成することにより、家具等によってミリ波が遮られるのを抑制できるため、人体の状態を検知し易くなる。
【0083】
また、前記アンテナ部21・22及び前記制御部(CPU50)は、前記室内空間Sに面する天井部S1に配置されるものである(
図1参照)。
【0084】
このように構成することにより、家具等によってミリ波が遮られるのを効果的に抑制できるため、人体の状態をより検知し易くなる。
【0085】
なお、本実施形態に係るシンセサイザ10は、本発明に係る信号生成部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るCPU50は、本発明に係る検知部及び制御部の実施の一形態である。
【0086】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0087】
例えば、アンテナ制御システム1は、介護施設の室内空間Sに設置されるものとしたが、アンテナ制御システム1が設置される場所は介護施設に限定されるものではなく、他の場所(病院等)であってもよい。またアンテナ制御システム1は、室内空間Sに設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば屋外空間に設置されてもよい。
【0088】
またCPU50は人体の状態として、バイタルデータを検知するものとしたが、人体の状態は、人体に関する情報であればよく、上記バイタルデータに限定されるものではない。例えばCPU50は、人体の状態として、利用者の位置や姿勢や動き等を検知してもよい。またCPU50は、人体の状態とは異なる情報を検知してもよい。CPU50が検知する情報は、アンテナ制御システム1の用途等に応じて適宜変更可能である。
【0089】
またアンテナ部21・22は、天井部S1に配置されるものとしたが、アンテナ部21・22の配置は本実施形態に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えばアンテナ部21・22は、建物の側壁等に配置されてもよい。またアンテナ部21・22の高さ位置は室内空間Sの上部に限定されるものではなく、例えば室内空間Sの下部等であってもよい。
【0090】
また本実施形態では、受信部21b・22bは、1つの送信部21a・22aからのミリ波のみを受信するものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の送信部21a・22aからのミリ波をそれぞれ受信してもよい。当該構成においてもCPU50は、ステップS40・S90の処理内容を適宜変更することで、受信部21b・22bの切り替えが適切に行われたかを確認可能である。
【0091】
例えばCPU50は、第1送信部21aからのミリ波を第2受信部22bが受信する場合の受信信号を、
図3に示す制御フローの実行前に予め取得する。そしてCPU50は、ステップS40において第2受信部22bからの信号が、予め取得した信号と一致するかを判定する。これによってCPU50は、本実施形態と同様に、受信部21b・22bの切り替えが適切に行われたかを確認できる。
【0092】
またシンセサイザ10は、複数のアンテナ部21・22に対して1つだけ設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のアンテナ部21・22に対してそれぞれ(アンテナ部21・22と同数)設置されてもよい。
【0093】
また本実施形態では、切替部40の制御及びバイタルデータの検知をCPU50(1つの機器)がそれぞれ行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば切替部40の制御及びバイタルデータの検知を複数の機器が分担して行うものでもよい。
【0094】
またCPU50が切替部40を制御する処理の内容(
図3に示す制御フローの内容)は、特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。以下、処理内容の変形例について説明する。
【0095】
例えば、受信信号が来ていないかを判定するステップS40・S90の処理を、受信信号が来たか否かを判定する処理に変更してもよい。ステップS40を例に挙げると、CPU50は、ステップS40において第2送信部22aから所定の電波(例えばダミー信号)を送信させ、当該電波に基づく受信信号が第2受信部22bから来ているかを確認する。これによってCPU50は、本実施形態と同様に、ステップS30で切替部40の処理が正常に行われたかを確認できる。このように、CPU50は、受信部21b・22bからの受信信号の取得状態に応じて、送信部21a・22aの状態を切り替え可能である。
【0096】
また、ステップS40・S90の処理を毎回実行するのではなく、定期的に(例えば1時間に1回)実行してもよい。また、ステップS40・S90の処理を不定期に(例えばアンテナ制御システム1の設置時やメンテナンス時のみ)実行してもよい。
【0097】
また本実施形態の制御フローでは、ステップS30・S80で受信部21b・22bの接続を切り替えてから、ステップS50・S100で送信部21a・22aの接続を切り替えるものとしたが、この接続を切り替える順序を逆にしてもよい。
【0098】
また本実施形態の制御フローでは、第1アンテナ部21も第2アンテナ部22も、同じ時間(500mS)が経過すると使用状態が切り替えられるものとしたが、使用状態が切り替えられるまでの時間が第1アンテナ部21と第2アンテナ部22とで互いに異なってもよい。
【0099】
次に
図6を参照し、第二実施形態に係るアンテナ制御システム101について説明する。なお以下において、第一実施形態に係るアンテナ制御システム101と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
第二実施形態に係るアンテナ制御システム101は、アンテナ部の個数が異なる(4つである)点で、第一実施形態に係るアンテナ制御システム1と相違する。以下、具体的に説明する。
【0101】
図6に示すように、アンテナ制御システム101は、シンセサイザ10、アンテナ群120、ミキサ30、切替部160及びCPU50を具備する。アンテナ群120は、第1アンテナ部21、第2アンテナ部22、第3アンテナ部23及び第4アンテナ部24を具備する。
【0102】
第1アンテナ部21から第4アンテナ部24は、ミリ波が互いに干渉しないように、適宜の方向を向けて配置される。また第1アンテナ部21から第4アンテナ部24は、室内空間Sの大きさ等に応じて適宜の箇所に配置される。第3アンテナ部23は、第1アンテナ部21の第1送信部21aと同様に構成される第3送信部23a、及び第1アンテナ部21の第1受信部21bと同様に構成される第3受信部23bを具備する。第4アンテナ部24は、第1アンテナ部21の第1送信部21aと同様に構成される第4送信部24a、及び第1アンテナ部21の第1受信部21bと同様に構成される第4受信部24bを具備する。
【0103】
切替部160は、第1送信部21aから第4送信部24aのシンセサイザ10との断接、並びに、第1受信部21bから第4受信部24bのCPU50との断接をそれぞれ切り替え可能なものである。切替部160は、第1切替部161、第2切替部162及び第3切替部163を具備する。
【0104】
第1切替部161は、第1送信部21a及び第2送信部22aの第3切替部163との断接、並びに、第1受信部21b及び第2受信部22bの第3切替部163との断接をそれぞれ切り替えるためのものである。第1切替部161は、第1スイッチ161a及び第2スイッチ161bを具備する。
【0105】
第1スイッチ161aは、第1送信部21a及び第2送信部22aと第3切替部163との間に配置される3路スイッチによって構成される。第1スイッチ161aは、第1送信部21a及び第2送信部22aのいずれか一方と第3切替部163とを接続し、かつ第1送信部21a及び第2送信部22aのいずれか他方と第3切替部163との接続状態を解除するように構成される。
【0106】
第2スイッチ161bは、第1受信部21b及び第2受信部22bと第3切替部163との間に配置される3路スイッチによって構成される。第2スイッチ161bは、第1受信部21b及び第2受信部22bのいずれか一方と第3切替部163とを接続し、かつ第1受信部21b及び第2受信部22bのいずれか他方と第3切替部163との接続状態を解除するように構成される。
【0107】
第2切替部162は、第3送信部23a及び第4送信部24aの第3切替部163との断接、並びに、第3受信部23b及び第4受信部24bの第3切替部163との断接をそれぞれ切り替えるためのものである。第2切替部162は、第1切替部161の第1スイッチ161aと同様に構成される第3スイッチ162a、及び第2スイッチ161bと同様に構成される第4スイッチ162bを具備する。
【0108】
第3切替部163は、第1切替部161及び第2切替部162とシンセサイザ10との断接、並びに、第1切替部161及び第2切替部162とミキサ30との断接をそれぞれ切り替えるためのものである。第2切替部162は、第5スイッチ163a及び第6スイッチ163bを具備する。
【0109】
第5スイッチ163aは、第1切替部161(第1スイッチ161a)及び第2切替部162(第3スイッチ162a)とシンセサイザ10との間に配置される3路スイッチによって構成される。第5スイッチ163aは、第1切替部161及び第2切替部162のいずれか一方とシンセサイザ10とを接続し、かつ第1切替部161及び第2切替部162のいずれか他方とシンセサイザ10との接続状態を解除するように構成される。
【0110】
第6スイッチ163bは、第1切替部161(第2スイッチ161b)及び第2切替部162(第4スイッチ162b)とミキサ30との間に配置される3路スイッチによって構成される。第6スイッチ163bは、第1切替部161及び第2切替部162のいずれか一方とミキサ30とを接続し、かつ第1切替部161及び第2切替部162のいずれか他方とミキサ30との接続状態を解除するように構成される。
【0111】
このように、本実施形態の第1送信部21a及び第2送信部22aは、第1スイッチ161aに加えて、第5スイッチ163aを介してシンセサイザ10と接続される。また第3送信部23a及び第4送信部24aは、第3スイッチ162a及び第5スイッチ163aを介してシンセサイザ10と接続される。また第1受信部21bから第4受信部24bについても、送信部21a~24aと同様に、第5スイッチ163a等を介してCPU50と接続される。なお、第1スイッチ161aから第6スイッチ163bは、第一実施形態と同様に、機械式スイッチや半導体式スイッチ(FET等)によって構成される。
【0112】
上述の如く構成されるアンテナ制御システム101において、CPU50は切替部160を制御することによって、複数のアンテナ部21~24を順番にアンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替える。例えばCPU50は、第一実施形態と同様に、所定の時間が経過するごとに、アンテナ部21~24の使用状態を順番に切り替える。
【0113】
またCPU50は、使用状態を切り替える場合に、アンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替えるアンテナ部と、シンセサイザ10及びミキサ30との間に配置されるスイッチを適宜制御する。第1アンテナ部21を例に挙げると、CPU50は、第5スイッチ163a及び第1スイッチ161aを介して第1送信部21aをシンセサイザ10と接続すると共に、第6スイッチ163b及び第2スイッチ161bを介して第1受信部21bをミキサ30と接続する。当該制御により、第1アンテナ部21以外のアンテナ部22~24は、アンテナ非使用状態に切り替えられる。
【0114】
これによってアンテナ制御システム101は、アンテナ部21~24の個数が3以上である場合でも、ミリ波同士の干渉を抑制することができる。またアンテナ制御システム101は、アンテナ部21~24の個数が第一実施形態(
図2参照)よりも多いため、例えば第一実施形態よりも広い空間や家具が多く設置される空間で死角部Pを効果的に減らすことができる。
【0115】
また第二実施形態のアンテナ制御システム101は、4つのアンテナ部21~24に対して1つのシンセサイザ10を設け、かつ3路スイッチによって当該シンセサイザ10が2以上のアンテナ部21~24と同時に接続されない構成としている。これによってアンテナ制御システム101は、アンテナ部21~24の個数が3以上である場合でも、複数のアンテナ部21~24から同時にミリ波が出力されるのを防止できる。これによってミリ波の干渉を効果的に抑制できる。また、1つのシンセサイザ10を用いて複数の送信部21a~24aからミリ波を送信できるため、部品点数の削減を図ることができる。
【0116】
以上の如く、第一実施形態及び第二実施形態において前記信号生成部(シンセサイザ10)は、前記送信部21a~24aの個数に関わらず、1つだけ設置されるものである。なお送信部21a~24aの個数は、第一実施形態(2つ)及び第二実施形態(4つ)に限定されるものではなく、任意に変更可能である。また受信部21b~24bの個数も任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 アンテナ制御システム
10 シンセサイザ
21 第1アンテナ部
21a 第1送信部
21b 第1受信部
22 第2アンテナ部
22a 第2送信部
22b 第2受信部
40 切替部
50 CPU