(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036954
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】シート材の位置決め装置、位置決め方法、及び電子部品に対するシールド層の形成方法
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20240311BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65H9/00 L
B29C65/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141533
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】平野 竣
(72)【発明者】
【氏名】西原 諒
【テーマコード(参考)】
3F102
4F211
【Fターム(参考)】
3F102AB05
3F102BA01
3F102BB03
3F102BB04
3F102CA03
3F102DA09
4F211AA03
4F211AA37
4F211AA39
4F211AB03
4F211AB11
4F211AB13
4F211AC03
4F211AE03
4F211AH33
4F211TA01
(57)【要約】
【課題】シートテーブルにシート材を配置するに当たって高精度の位置決めが可能なシート材の位置決め装置、位置決め方法、及び電子部品に対するシールド層の形成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るシート材の位置決め装置は、基材と、当該基材上に配置された機能材と、を有するシート材の位置決め装置であって、前記シート材を支持する支持機構と、前記シート材を固定するシートテーブルと、前記支持機構に支持された前記シート材における前記機能材の面方向の位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部によって検出された前記機能材の位置に基づいて、前記機能材が前記シートテーブルに対して規定の位置に配置されるように、前記シート材を前記シートテーブルに対して相対的に移動させる位置決めが完了した後、前記シート材を前記シートテーブルに固定するように構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、当該基材上に配置されたシート状の機能材と、を有するシート材の位置決め装置であって、
前記シート材を支持する支持機構と、
前記シート材を固定するシートテーブルと、
前記支持機構に支持された前記シート材における前記機能材の面方向の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部によって検出された前記機能材の位置に基づいて、前記機能材が前記シートテーブルに対して規定の位置に配置されるように、前記シート材を前記シートテーブルに対して相対的に移動させる位置決めが完了した後、前記機能材を前記シートテーブルに固定するように構成されている、
シート材の位置決め装置。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記シート材が巻き取られたロールを保持するロール保持部と、
前記ロールに巻き取られたシート材の端部を保持しつつ、当該シート材を繰り出すフィード部と、
を備え、
前記シート材の基材上には、前記繰り出し方向に間隔をおいて複数の前記機能材が配置されており、
繰り出された前記シート材の前記位置決めが完了した後、繰り出された前記シート材を前記ロールから切断する切断部をさらに備えている、
請求項1に記載のシート材の位置決め装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記シート材を繰り出す第1方向、及び前記第1方向と直交する第2方向において、前記機能材の端縁の位置を検出するように構成されている、
請求項2に記載のシート材の位置決め装置。
【請求項4】
前記検出部は、繰り出された前記シート材を押圧するための押圧部を有し、
前記検出部は、繰り出された前記シート材に対して上方から上下動するように構成され、
前記位置決めの後、前記検出部が下降し、前記押圧部と前記シートテーブルとで繰り出された前記シート材を挟んだ状態で、前記切断部による切断が行われるように構成されている、
請求項3に記載のシート材の位置決め装置。
【請求項5】
前記位置決めは、前記支持機構及び前記シートテーブルの少なくとも一方を移動させることで行うように構成されている、
請求項1から4のいずれかに記載のシート材の位置決め装置。
【請求項6】
基材と、当該基材上に配置された機能材と、を有するシート材の位置決め方法であって、
前記シート材をシートテーブルの上方に配置するステップと、
前記シート材における前記機能材の面方向の位置を検出するステップと、
検出された前記機能材の位置に基づいて、前記機能材が前記シートテーブルに対して規定の位置に配置されるように、前記シート材を前記シートテーブルに対して相対的に移動させる位置決めを行うステップと、
前記位置決めが完了した後、前記シート材を前記シートテーブルに固定するステップと、
を備えている、
シート材の位置決め方法。
【請求項7】
前記機能材は、電磁波のシールド材であり、
対向する第1型及び第2型を準備するステップと、
請求項6に記載の位置決め方法の後、前記シート材を前記シートテーブルから搬送機構を介して搬送し、前記機能材を前記第2型に向けた状態で、前記シート材を前記第1型の設置面に配置するステップと、
キャリア上に所定間隔をおいて複数の電子部品を配置するステップと、
前記電子部品を前記第1型に向けた状態で、前記キャリアを前記第2型の設置面に配置するステップと、
前記第1型と前記第2型とを近接させ、前記機能材を前記電子部品の表面に圧着することで、当該電子部品の表面にシールド層を形成するステップと、
を備えている、電子部品に対するシールド層の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材の位置決め装置、位置決め方法、及び電子部品に対するシールド層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定長さに切断された離型フィルムをシートテーブルに固定し、その後、樹脂成形装置に搬送する搬送機構が開示されている。より詳細に説明すると、離型フィルムは、ロールから所定長さだけ繰り出された後、切断され、シートテーブルに固定される。その後、所定長さの離型フィルムが搬送機構により樹脂成形装置に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、離型フィルムは、シートテーブルに対して精度の高い位置決めは行われておらず、単にシートテーブル上に配置されるだけである。したがって、その後の工程で離型フィルムの位置に精度が求められるような設備には、このような機構は適切ではなかった。なお、このような問題は、離型フィルムに限らず、シートテーブルに対して高精度で位置決めが必要なシート材全般で起こりうる問題である。また、上記のように搬送後のプロセスは、樹脂成形装置に限られるものではなく、種々のプロセスが適用されうる。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、シートテーブルにシート材を配置するに当たって高精度の位置決めが可能なシート材の位置決め装置、位置決め方法、及び電子部品に対するシールド層の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート材の位置決め装置は、基材と、当該基材上に配置された機能材と、を有するシート材の位置決め装置であって、前記シート材を支持する支持機構と、前記シート材を固定するシートテーブルと、前記支持機構に支持された前記シート材における前記機能材の面方向の位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部によって検出された前記機能材の位置に基づいて、前記機能材が前記シートテーブルに対して規定の位置に配置されるように、前記シート材を前記シートテーブルに対して相対的に移動させる位置決めが完了した後、前記シート材を前記シートテーブルに固定するように構成されている。
【0007】
本発明に係るシート材の位置決め方法は、基材と、当該基材上に配置された機能材と、を有するシート材の位置決め方法であって、前記シート材をシートテーブルの上方に配置するステップと、前記シート材における前記機能材の面方向の位置を検出するステップと、検出された前記機能材の位置に基づいて、前記機能材が前記シートテーブルに対して規定の位置に配置されるように、前記シート材を前記シートテーブルに対して相対的に移動させる位置決めを行うステップと、前記位置決めが完了した後、前記シート材を前記シートテーブルに固定するステップと、を備えている。
位置決め方法。
【0008】
本発明に係る電子部品に対するシールド層の形成方法は、前記機能材は、電磁波のシールド材であり、対向する第1型及び第2型を準備するステップと、上述した位置決め方法の後、前記シート材を前記シートテーブルから搬送機構を介して搬送し、前記シート材を前記機能材を前記第2型に向けた状態で、前記第1型の設置面に配置するステップと、前記キャリア上に所定間隔をおいて複数の電子部品を配置するステップと、前記電子部品を前記第1型に向けた状態で、前記キャリアを前記第2型の設置面に配置するステップと、前記第1型と前記第2型とを近接させ、前記機能材を前記電子部品の表面に圧着することで、当該電子部品の表面にシールド層を形成するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートテーブルにシート材を配置するに当たって高精度の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】電子部品が配置されたキャリアを示す断面図である。
【
図4】キャリアを支持した支持部材の断面図である。
【
図5】ロールとして巻き取られたシート材の平面図である。
【
図15】シート材をシートテーブルから搬送体に移し替える動作を説明する断面図である。
【
図16】シート材をシートテーブルから搬送体に移し替える動作を説明する断面図である。
【
図17】シート材をシートテーブルから搬送体に移し替える動作を説明する断面図である。
【
図18】シート材をシートテーブルから搬送体に移し替える動作を説明する断面図である。
【
図19】モジュールBの上型及び下型を示す断面図である。
【
図20】シールド材の圧着工程を示す断面図である。
【
図21】シールド材の圧着工程を示す断面図である。
【
図22】シールド材の圧着工程を示す断面図である。
【
図23】位置決め装置の他の例の動作を示す斜視図である。
【
図24】位置決め装置の他の例の動作を示す斜視図である。
【
図25】位置決め装置の他の例の動作を示す斜視図である。
【
図26】位置決め装置の他の例の動作を示す斜視図である。
【
図27】モジュールBの下型の他の例を示す断面図である。
【
図28】モジュールBの下型の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るシート材の位置決め装置を含む電子部品に対するシールド層の形成システムの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれていることがある。
【0012】
<1.電子部品に対するシールド層の形成システムの構成>
図1は、本実施形態に係る電子部品に対するシールド層の形成システム100の概略平面図である。このシステムは、電子部品の表面に電磁波のシールド層を形成するためのシステムである。
図1に示すように、このシステム100は、
図1の左から右へ並ぶモジュールA,モジュールB、及びモジュールCを備えている。
【0013】
図2は、シールド層が形成される電子部品の断面図である。
図2に示すように、この電子部品1は、基板11と、この基板11上に配置されたICチップ等のチップ部12とを備えている。基板11は、種々の態様が可能であり、例えば、電子部品1を搭載するマザーボードとチップ部12とを電気的に中継する基板、例えばインターポーザとすることができる。具体的には、図示を省略する導電パターン、グランド層、及び絶縁層などを積層したものとすることができる。そして、後述するように、この電子部品1におけるチップ部12の天面及び側面と、基板11の側面にシールド層13が圧着される。以下、本システム100を構成する各モジュールについて説明する。
【0014】
<2.モジュールA>
モジュールAは、複数の電子部品をキャリアに配置するハンドラーモジュールである。
図3に示すように、このモジュールAでは、複数の電子部品1が配置されたキャリア2が準備される。
【0015】
キャリア2は、電子部品1を搭載可能なフィルム、シート又は基板等で構成することができるが、後述する減圧工程や加熱に耐えうるものであればよい。例えば、金属、ガラスなどで形成することができる。キャリア2の表面には電子部品1を接着するための接着層または粘着層が形成されている。そして、このような接着層または粘着層に、電子部品1の基板11が固定される。
【0016】
キャリア2に配置する電子部品1の数は、特には限定されず、1以上であればよい。本実施形態では、N個×M個(N,Mは2以上の整数)のアレイ状に配置されている。
【0017】
このようなキャリア2は、
図4に示すように、板状に形成された支持部材3によって支持され、モジュールBに搬送されるようになっている。支持部材3の下面には、複数の吸引口31が開口しており、キャリア2において、電子部品1が配置されている面とは反対側の面を吸着するように構成されている。こうしてキャリア2を吸着した支持部材3は、図示を省略する搬送装置によってモジュールBに搬送されるようになっている。
【0018】
<3.モジュールC>
モジュールBに先立って、モジュールCについて説明する。モジュールCは、電子部品1の表面に圧着される電磁波のシールド材(機能材)を準備するモジュールである。まず、シールド材が取り付けられたシート材について説明する。
【0019】
<3-1.シート材>
図5は巻き取られたシート材の平面図、
図6は
図5の側面図である。
図5及び
図6に示すように、シート材4は、ロール40として巻き取られて保持されており、シート状の基材41と、この基材41上に配置された複数のシールド材42と、を有している。そして、シート材が巻き取られたロール40は後述するように、ロール保持部511に回転可能に保持されている。
【0020】
基材41は、シールド材42を後に剥離できるように、離型性を有するものであればよく、樹脂フィルム等で形成することができる。基材41は、特に伸縮性基材を含むことが好ましい。伸縮性を有することで、後述するモジュールBにおいて、上型61と下型62とが近接したときに、基材41が伸縮性を発揮して電子部品1の形状に適合するように伸縮することができる。また、基材41は、クッション性を有する熱可塑性樹脂で形成されていてもよい。
【0021】
基材41の厚みは特には限定されないが、例えば50~550μm、好ましくは50~400μm、より好ましくは100~350μmとすることができる。また、基材41を構成する材料として、例えば、熱可塑性のポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマーを用いることが好ましく、更に環状オレフィンポリマーが好ましく、特にポリメチルペンテンが好ましい。
【0022】
シールド材42は、基材41の幅よりも狭い幅を有する矩形状に形成されている。そして、複数のシールド材42が、基材41上において、ロール40の繰り出し方向に所定間隔をおいて配置されている。シールド材は、電子部品1の表面にシールド層を形成するためのシート状の部材であり、電子部品1を電磁波からシールドする。シールド材42は、例えば、バインダー樹脂、架橋剤、及び導電性フィラーを含んだものとすることができ、必要に応じて更に他の添加剤を別途含んでもよい。
【0023】
バインダー樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキッド系樹脂、メラミン系樹脂、アクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、又は、これらの混合物等から選択される熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0024】
架橋剤は、バインダー樹脂を架橋するために用いられる。具体的には、水酸基、フェノール、カルボン酸、アミン、エポキシ、イソシアネート及びアジリジンの1つ以上の構造を含むものが挙げられ、製品寿命と反応性の点からはエポキシ、フェノール、水酸基、カルボン酸を含むものが好ましい。
【0025】
導電性フィラーとしては、(1)金、銅、銀、ニッケル等の導電性金属の金属粉、(2)導電性金属の合金による合金粉、(3)銀コート銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉のコアシェル型粒子が挙げられる。導電性フィラーの形状として、球状、楕円球状、鱗片状、デンドライド状、ブドウ状、及び/又は、針状の形状であってよい。
【0026】
<3-2.シート材の位置決め装置>
次に、モジュールCに設けられたシート材の位置決め装置5について説明する。
図7は位置決め装置の側面図、
図8は
図7の平面図である。この位置決め装置5は、ロール40から所定の長さのシート材4を切り出し、これをシートテーブル52上に配置する装置である。
図7及び
図8に示すように、この位置決め装置5は、シート材4を支持する支持機構51、シート材4を固定するシートテーブル52、シート材4のシールド材42の位置を検出するセンサユニット53、及びシート材4を切断する切断機構(切断部)54と、を有している。また、これらの構成は、PLC等のコンピュータで構成された制御部(図示省略)によって制御される。以下、これらの構成について詳細に説明する。また、以下では、説明の便宜上、
図7及び
図8に示した方向にしたがって説明を行うが、本発明に係る位置決め装置はこの方向に限定されるものではない。
【0027】
<3-2-1.支持機構>
支持機構51は、シート材4を巻き取ったロール40を回転可能に保持するロール保持部511と、シート材4の端部を保持し、ロール40に対して左右方向(第1方向)に近接離間するフィード部512と、を有している。ロール保持部511は、ロール40を回転可能に支持する軸受け(図示省略)と、この軸受けを駆動する駆動部(図示省略)とを有している。フィード部512は、左右方向に移動可能に構成されている。具体的には、ロール40として巻き取られたシート材4の端部をチャックにより保持したまま、右側に移動することで、シート材4をロール40から繰り出すように構成されている。こうしてシート材4が繰り出されたときには、
図8に示すように、繰り出されたシート材4において、1つのシールド材42が露出するように構成されている。
【0028】
<3-2-2.シートテーブル>
シートテーブル52は、平面視矩形状に形成され、ロール40から繰り出されたシート材4の下方に配置されている。このシートテーブル52の上面には複数の吸引口(図示省略)が形成されており、この吸引口から空気を吸引することで、シートテーブル52の上面にシート材4を吸着するように構成されている。また、このシートテーブル52は、シート材4を保持した状態で、水平方向(
図8の紙面方向)に移動可能となっており、上述したモジュールBへシート材4を搬送するように構成されている。
【0029】
<3-2-3.センサユニット>
センサユニット53は、ロール40から繰り出されたシート材4の上方に配置されている。このセンサユニット53は、板状に形成され上下動可能に支持された基台531と、この基台531に配置された第1センサ532及び第2センサ533と、を有している。また、基台531の下面において、左側(ロール40側)の端部には、前後方向に延びる第1押圧部534が設けられている。この第1押圧部534は、基台531の下降に伴って、シートテーブル52の上面の左端部付近に接するようになっている。これにより、繰り出されたシート材4をシートテーブル52と第1押圧部534とで挟むことができる。
【0030】
センサユニット53は、ロール40から繰り出されたシート材4の上面に近接し、シールド材42の水平方向の位置を検出するように構成されている。具体的には、第1センサ532によりシールド材42の後側の左右方向に延びる端縁を検出し、第2センサ533によりシールド材42の左側の前後方向に延びる端縁を検出するように構成されている。そして、上述した制御部は、検出された端縁が、所定の範囲内に配置されているか否かを判定する。
【0031】
<3-2-4.切断機構>
切断機構54は、ロール40から繰り出されたシート材4の左側を切断するように構成されている。より詳細には、繰り出されたシート材4において、露出するシールド材42の左側の端縁から所定距離だけ離れた部分を、前後方向(第2方向)に切断するように構成されている。すなわち、隣接するシールド材42の間において基材41を切断するようになっている。このため、切断機構54は、シート材4を切断するカッタ541と、シート材4を上方から押さえる第2押圧部542と、シート材4を下方から支持する支持部543と、を有している。第2押圧部542及び支持部543は、シートテーブル52とロール40との間で前後方向に延びるように形成されている。
【0032】
そして、シート材4が繰り出されると、繰り出されたシート材4の左側を第2押圧部542及び支持部543によって押圧する。また、これら第2押圧部542及び支持部543の右側では、第1押圧部534及びシートテーブル52によってシート材4が押圧される。この状態で、第2押圧部542及び第1押圧部534の間を、カッタ541が前後方向に移動することで、基材41が切断されるようになっている。なお、シート材を切断するための手段は、カッタ541以外でもよく、例えば、レーザなど、熱によって切断することもできる。
【0033】
<3-2-5.位置決め装置の動作>
次に、上記のように構成された位置決め装置5の動作について、
図9~
図14を参照しつつ説明する。まず、
図9に示すように、フィード部512によって、ロール40に巻き取られたシート材4の端部を保持する。次に、
図10に示すように、フィード部512を右側に移動し、シート材4をロール40から繰り出す。これにより、繰り出されたシート材4において1つのシールド材42が、シートテーブル52の上方に配置される。
【0034】
次に、
図11に示すように、センサユニット53を下降させ、第1センサ532及び第2センサ533によってシールド材42の位置を検出する。すなわち、
図8に示すように、第1センサ532及び第2センサ533は、それぞれ、シールド材42の後側及び左側の端縁の上方に配置され、これら端縁の位置を検出する。このとき、検出された左側の端縁の位置が規定の範囲に入っていない場合には、ロール保持部511及びフィード部512を駆動し、シート材4の繰り出し距離を調整することで、シールド材42の左右方向の位置を調整する。これにより、シールド材42が、シートテーブル52に対し、左右方向の規定の位置に配置される。
【0035】
一方、検出された後側の端縁の位置が規定の範囲に入っていない場合には、シートテーブル52の前後方向の位置を調整する。これにより、シールド材42が、シートテーブル52に対し、前後方向の規定の位置に配置される。
【0036】
こうして、シールド材42が規定の位置に配置されると、
図12に示すように、センサユニット53をさらに下降させ、第1押圧部534によってシート材4を押圧する。これにより、シート材4において、シールド材42の左側の基材41が第1押圧部534及びシートテーブル52によって挟まれる。同時に、シートテーブル52の上面から空気を吸引し、シート材4を吸着する。また、第2押圧部542を支持部543に対して下降させ、これらによって、シート材4の第1押圧部534よりも左側を押圧する。これに続いて、
図13に示すように、シート材4における第1押圧部534と第2押圧部542の間の部分をカッタ541で切断する。
【0037】
これに続いて、
図14に示すように、センサユニット53を上昇させるとともに、第2押圧部542を支持部543から離間させる。こうして、シールド材42がシートテーブル52に正しく位置決めされた枚葉のシート材4が形成される。
【0038】
次に、シートテーブル52上にあるシート材4を搬送機構に移し替える。この点について、
図15~
図18を参照しつつ説明する。上記のようにシートテーブル52上でシート材4の位置決めが行われた後、
図15に示すように、シート材4の上方に、搬送機構の搬送体8を配置する。搬送体8はモジュールBとCとの間を移動可能となっており、シート材4を保持するための複数の吸引口811が下面に形成された本体部81を有している。また、本体部81の側面には、本体部81を側方から挟む第1保持部82が設けられ、この第1保持部材82の下部に、昇降可能な第2保持部83が設けられている。
【0039】
図16に示すように、搬送体8はシートテーブル52の上方に位置決めされた後、下降する。これにより、本体部81の下面がシートテーブル52上にあるシート材4と接する。この状態で、
図17に示すように、シート材4を吸引口811から吸引するエアによって保持するとともに、第2保持部83を上昇させ、シート材4の周縁を第1及び第2保持部82,83で挟持する。その後、シートテーブル52におけるエアの吸引を停止し、
図18に示すように、搬送体8を上昇させる。こうして、シート材4はシートテーブル52から搬送体8に移し替えられる。この状態で、搬送体8を移動させ、シート材4をモジュールBに搬送する。
【0040】
その後、シートテーブル52を
図8の初期位置に戻した後、フィード部512を第2押圧部542付近まで移動させて、シート材4の端部を保持し、
図9~
図18の挙動を繰り返す。こうして、シートテーブル52上の規定の位置に位置決めされた枚葉のシート材4が、順次モジュールBに搬送される。
【0041】
<4.モジュールB>
次に、モジュールBについて説明する。モジュールBは、モジュールAから搬送された電子部品1の表面に、モジュールCから搬送されたシールド材42を圧着するためのモジュールである。
図19に示すように、モジュールBには、キャリア2が配置される上型(第2型)61と、シート材4が配置される下型(第1型)62と、を有しており、これらが減圧可能なチャンバ内に配置されている。以下、上型61及び下型62について説明する。
【0042】
<4-1.上型及び下型の概要>
図19に示すように、上型61の下面はキャリア2が配置されるように平坦に形成され、この下面には複数の吸引口611が形成されている。そして、搬送装置によってモジュールAから搬送されたキャリア2は、上型61の下面に配置され、吸着される。
【0043】
下型62は、矩形状の上面を有する基台621と、この基台621の上面に配置された矩形状の支持プレート622と、を有している。支持プレート622は、基台621の上面よりも小さく形成されており、基台621の上面において、支持プレート622よりも外側の領域に吸引口623が形成されている。そして、この吸引口623から空気を吸引することで、モジュールCから搬送されたシート材4を吸着するようになっている。
【0044】
支持プレート622の上面には、複数の矩形状の凹部624が形成されている。これら凹部624は、上型61にキャリア2を介して固定された電子部品1と対向する位置に形成されている。すなわち、各凹部624は、電子部品1の平面形状よりもやや大きい矩形状に形成されており、上型61と下型62とが近接すると、各電子部品1が、凹部624に入り込むようになっている。
【0045】
<4-2.上型及び下型によるシールド材の圧着工程>
次に、シールド材の圧着工程について、
図20~
図22を参照しつつ説明する。まず、
図20に示すように、上型61にキャリア2を配置するとともに、下型62にシート材4を配置する。シート材4は、モジュールCにおいてシートテーブル52に位置決めされた後、搬送体8によってモジュールBに搬送されるが、この位置決めによって、搬送体8から下型62にシート材4が移し替えられたときには、シート材4のシールド材42が全ての凹部624を覆うように配置される。
【0046】
次に、チャンバ内を減圧する。このとき、チャンバ内の真空度が4000Pa以下、好ましくは2000Pa以下、より好ましくは1000Pa以下、更に好ましくは100Pa以下となるようにすることができる。このように減圧することにより、電子部品1とシールド材42とを強固に密着させることができる。
【0047】
続いて、
図21に示すように、上型61と下型62とを近接させ、各電子部品1を凹部624に入り込ませる。これにより、各電子部品1の表面(下面及び側面)にシールド材42が密着する。これに続いて、上型61及び下型62を加熱すると、電子部品1に密着したシールド材42が硬化し、電子部品1の下面及び側面にシールド層13が形成される。なお、上型61及び下型62を予め加熱してから近接させてもよい。
【0048】
また、加熱の際に加圧を行ってよい。例えば、上型61及び下型62によって、電子部品1及びシールド材42を加圧することができる。このときの圧力は、例えば、1~10MPaとすることができる。これにより、電子部品1により強固で、確実にシールド層13を形成することができる。
【0049】
加熱温度や硬化時間(キュアタイム)は、選択したバインダー樹脂等の条件により適宜設定できるが、例えば、100~180℃において、90~180秒であってよい。ここで、硬化時間(キュアタイム)は、型締め完了から、下記の剥離までの時間であってよい。上記に代えて、加熱を行わず常温や室温環境下で、押圧のみにより、型締めを行ってもよい。
【0050】
そして、
図22に示すように、上型61と下型62とを離間させると、シート材4のシールド材42が基材41から剥離して、電子部品1に転写される。こうして、シールド層13が形成された電子部品1が得られる。
【0051】
続いて、キャリア2を上型から取り外し、各電子部品1を搭載したキャリア2を分離する。分離方法は特には限定されないが、例えば、ピッキング装置で各電子部品1を掴み、キャリア2とともに電子部品を個片化する。あるいは、ダイシングにより電子部品1とキャリア2を個片化することもできる。すなわち、隣接する電子部品1の間でキャリア2を切断し、個片化することができる。
【0052】
<5.特徴>
上記のように構成された位置決め装置5は、以下の効果を奏する。
(1)上記圧着工程において、各電子部品1の表面にシールド材42を正確に密着させるには、下型62にシールド材42を正確に位置決めする必要がある。本実施形態では、モジュールCにおいて、シールド材42をシートテーブル52上の規定の位置に配置するようにしているため、シートテーブル52から下型62にシート材4を移し替えたときには、既に下型62でのシールド材42の位置決めが完了するように構成されている。したがって、圧着工程において、シールド材42の位置決めを行うことなく、シールド材42を電子部品1に対して正確に圧着することができる。
【0053】
(2)本実施形態では、2つのセンサ532,533を用いることで、シールド材42の直交する2辺の端縁を検出するようにしている。そのため、シールド材42の面方向の位置を正確に検出することができる。そして、所定の範囲内に位置していない場合には、支持機構51及びシートテーブル52の少なくとも一方を駆動することで、シールド材42をシートテーブル52上の規定の位置に配置することができる。
【0054】
(3)センサユニット53には第1押圧部534が設けられているため、センサユニット53を下降させることで、シールド材42の位置の検出に加え、第1押圧部534をシートテーブル52に押しつけることができる。これにより、第1押圧部534とシートテーブル52とで、シート材4を挟むことができる。したがって、切断に際して、シート材4を押圧する機構を別途設ける必要がない。
【0055】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は適宜組み合わせることができる。
【0056】
(1)上記実施形態では、ロール40からシート材4を繰り出して、シートテーブル52上にシールド材42を位置決めした上で、切断を行い、枚葉のシート材4を形成しているが、一のシールド材42が配置された枚葉のシート材4を準備し、これをシートテーブル52に位置決めすることもできる。
【0057】
例えば、
図23に示すように、枚葉のシート材が積層された初期位置に、4つの棒状の吸着部材71を有する搬送ユニット7を移動させる。そして、最も上に配置されている枚葉のシート材4の四隅を吸着部材71で吸着した後、
図24に示すように、これをシートテーブル52の上方に配置する。次に、
図25に示すように、シート材4上にセンサユニット53を配置し、シールド材42の位置を検出する。検出方法は、例えば、上記実施形態で示したように2つのセンサ532,533を用いる方法を採用することができる。このとき、シールド材42の位置が規定範囲になければ、搬送ユニット7を水平方向に移動し、シールド材42をシートテーブル52の規定の位置に位置決めする。
【0058】
続いて、センサユニット53をシート材4の上方から待避させた後、搬送ユニット7を下降させ、
図26に示すように、シート材4をシートテーブル52に吸着させた後、搬送ユニット7をシート材4から離間させる。こうして、シールド材42の位置決めが行われたシート材4がシートテーブル52に配置される。その後、搬送ユニット7を、枚葉のシート材4が積層されている初期位置に戻し、同様の処理を繰り返す。
【0059】
(2)上記実施形態では、シート材4の前後方向の位置決めをする際に、シートテーブル52を前後方向に移動させているが、例えば、ロール保持部511及びフィード部512を同期させながら同時に前後方向に移動させることでも、前後方向の位置決めを行うことができる。
【0060】
(3)上記実施形態では、2つのセンサ532,533によりシールド材42の位置を検出しているが、シートテーブル52に対するシールド材42の位置を検出できるのであれば、センサの種類、位置、及び数は特には限定されず、種々の態様が可能である。したがって、センサを基台531ではなく、例えば、シートテーブル52や、その他の部材に設けることもできる。
【0061】
(4)上記実施形態では、センサユニット53の基台531に第1押圧部534を設けているが、センサユニット53に設けず、他の部位に設けることもできる。
【0062】
(5)上記実施形態では、モジュールBにおいて、上型61に電子部品1、下型62にシート材4を配置しているが、これを反対にすることもできる。
【0063】
(6)シート材4を配置する下型62は、他の態様でもよく、例えば、
図27及び
図28に示すようにすることもできる。
図27及び
図28に示すように、この下型62には支持プレートが配置されておらず、下型62の基台627の上面に直接凹部625が形成されている。また、シート材4を吸着するために、上述した吸引口623に加え、基台627の上面に複数の吸引口626が形成されている。
図28に示すように、これら吸引口626は、一方向(
図28の上下方向)に隣接する凹部625の間に、凹部625同士を結ぶように線状に形成されている。このような線状の吸引口626により、シート材4を強固に固定することができる。なお、下型62の構成については、これ以外でもよく、シート材4を強固に固定できるのであれば、吸引口の位置、形態、及び数は特には限定されない。
【0064】
(7)上記実施形態では、モジュールBにおいて、上型61に電子部品1、下型62にシート材4を配置しているが、これを反対にすることもできる。
【0065】
(8)上記実施形態では、予め個片化した電子部品1をキャリア2上に配置した上で、シールド材42を電子部品1に圧着した例について説明したが、これに限定されない。例えば、半導体基板をハーフカットにより個片化し、これを上型61に設置することができる。そして、下型62に上述したようにシート材4を配置した上で、上型61と下型62とを近接させると、ハーフカットにより形成された溝及び半導体基板の天面にシールド材を密着させることができる。これにより、シールド層を形成することができる。その後、溝に沿ってダイシングをすれば、シールド層が形成された、個片化した電子部品を得ることができる。
【0066】
(9)上記実施形態では、基材41と,この基材41上に配置されるシールド材42とを有するシート材4において、シールド材42の位置決めを行う位置決め装置5について説明したが、シート材4の構成はこれに限定されない。すなわち、基材上に、これよりもサイズの小さいシート状の機能材が配置されたシート材全般に適用することができる。すなわち、所定の機能を有する機能材をシートテーブルに対して高精度で位置決めする必要があるプロセス全般に適用することができる。また、位置決め後のプロセスも上述した圧着以外の種々のプロセスに適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 電子部品
2 キャリア
4 シート材
41 基材
42 シールド材(機能材)
5 位置決め装置
51 支持機構
52 シートテーブル
53 センサユニット(検出部)
532,533 センサ
534 第1押圧部
54 切断機構