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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036964
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】システム、プログラム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240311BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141544
(22)【出願日】2022-09-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】521244950
【氏名又は名称】株式会社TOWALO
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石渡 正佳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】廃棄物の処理施設における廃棄物処理に関する、サプライチェーン排出量等の評価値を算出するシステム、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムであって、コンピュータ装置は、廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムであって、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段
を備える、システム。
【請求項2】
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設が所定の期間において処理可能な廃棄物の処理可能量とをもとに、稼働率を算出する稼働率算出手段
を備え、
評価値算出手段が、算出された稼働率に対応する所定値をもとに評価値を算出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの処理量を、処理施設において1の品目のみ、及び/又は1の処理方法のみによって処理した場合に処理可能な、単位期間あたりの処理可能量である許可処理可能量で除することで、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの所定の期間における処理時間である仮想処理時間を特定し、所定の期間に処理施設が処理した廃棄物の全ての品目及び/又は全ての処理方法についての仮想処理時間の合計における、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの仮想処理時間の構成比率を特定する構成比率特定手段を備え、
評価値算出手段が、仮想処理時間の合計を所定の期間で除することにより求められる稼働率に対応する所定値をもとに、廃棄物の1の品目又は1の処理方法について、以下の式(1):
(評価値)=(許可処理可能量)×(構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
で求められる評価値を算出する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
評価値算出手段が、廃棄物の1の品目の処理量と、該品目及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該品目に関する評価値を算出する、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
評価値算出手段が、廃棄物の1の処理方法による処理量と、該処理方法及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該処理方法に関する評価値を算出する、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
所定値が、廃棄物処理により消費するエネルギー量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する種類別温室効果ガス量を算出するための係数、リサイクルにより発生する品目ごとの再生資源量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する処理後廃棄物の品目ごとの最終処分量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する費用を算出するための係数、又は、廃棄物処理により発生する収益を算出するための係数である、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
コンピュータ装置を、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段
として機能させる、プログラム。
【請求項8】
少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムにおいて実行される方法であって、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出するステップ
を有する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の処理施設における廃棄物処理に関する、サプライチェーン排出量等の評価値を算出するシステム、プログラム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題への取り組みにおいて、産業廃棄物の処理は、企業にとって重要なテーマの一つである。例えば、廃棄物の排出者としての企業には、廃棄物の処理能力が高く、費用対効果の面でより優れた処理事業者に廃棄物処理を委託することを合理的であるという考えも存在する。また、例えば、最近の社会情勢として、企業にCOを含む温室効果ガスの排出量の報告を義務付けたり、あるいは、推奨したりする国や地域、企業が多くなってきているが、単に製品の製造プロセス等の企業の生産活動において生じた部分だけでなく、製品の使用や廃棄で間接的に生じた温室効果ガスについても報告するように求められることが増えている。企業の生産活動から排出される温室効果ガス(フェーズ1)、発生が生産活動のために購入する原材料やエネルギーの生成に由来する温室効果ガス(フェーズ2)、製品の使用や廃棄の過程で生じる温室効果ガス(フェーズ3)のそれぞれの排出量を合わせて、サプライチェーン排出量という。フェーズ3における温室効果ガスの排出量のうち、廃棄物の処理に起因する部分の割合は大きい。そのため、企業にとって処理事業者は、単に廃棄物の処理を委託するだけでなく、処理状況の報告を受けたり、処理に関するデータを収集するうえでも重要な存在である。
【0003】
企業が処理事業者を選定する場合、処理事業者または処理事業者が所有する処理施設についての、何らかの評価軸や指標、あるいは、評価のためのデータが必要である。一般的に、排出者は廃棄物処理の価格の安さ、または、業界における評判を基準に廃棄物処理の委託先を選定する。しかし、処理事業者に関する信頼性の高いデータ、算出の根拠が明確なデータ、あるいは、標準化された基準等に基づいて比較検討し、選択しているわけではない。そもそも、現状においては、処理事業者ごとに公表データの算定基準や根拠がバラバラであるため、客観的な評価ができないという問題があった。この問題は、企業が処理事業者から廃棄物処理に関する報告を受け、データを収集する場合においても同様であった。
【0004】
また、地球温暖化問題への危機感の高まりに応じて、サプライチェーン排出量を算定することが国際的な義務、あるいは要請として定着しつつある。例えば、日本においては、環境省と経済産業省が「グリーン・ヴァリューチェーンプラットフォーム」によって算定の指針を示しており、また、例えば、一般社団法人サステナブル経営推進機構からは、前記指針と連携して、サプライチェーン排出量を算定するためのデータベース「LCIデータベースIDEAv2」が公開されている。このように、算定基準の統一と標準化に向けた官民の取り組みが進展しているものの、上記指針及び上記指針に基づく算定基準は、全ての処理事業者または処理施設に一律の指針及び基準を適用するものである。よって、処理事業者ごとの、あるいは処理施設ごとの処理状況の違いに応じて差別化した評価・選択ができるものではないため、不十分なものと言わざるを得ない。
【0005】
さらに、企業のサプライチェーン全体を包括するサプライチェーン排出量まで念頭に置いたうえで、廃棄物の排出量、運搬量、処理量、最終処分量、廃棄物に由来する資源再生量、エネルギー回収量、廃棄物の処理に伴う温室効果ガス排出量、エネルギー使用効率などのさまざまな評価値を、標準化された根拠から一体的に算出し、処理事業者ごとの、あるいは処理施設ごとの廃棄物処理の原単位換算での排出量あるいは評価値を、各々の廃棄物処理の状況に応じて差別化して評価できるシステムは、官民のどちらからも提唱されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、廃棄物の処理施設における廃棄物処理に関する、サプライチェーン排出量等の評価値を算出することが可能な、新規のシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題は、
[1] 少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムであって、廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段を備える、システム;
[2] 処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設が所定の期間において処理可能な廃棄物の処理可能量とをもとに、稼働率を算出する稼働率算出手段を備え、評価値算出手段が、算出された稼働率に対応する所定値をもとに評価値を算出する、[1]に記載のシステム;
[3] 処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの処理量を、処理施設において1の品目のみ、及び/又は1の処理方法のみによって処理した場合に処理可能な、単位期間あたりの処理可能量である許可処理可能量で除することで、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの所定の期間における処理時間である仮想処理時間を特定し、所定の期間に処理施設が処理した廃棄物の全ての品目及び/又は全ての処理方法についての仮想処理時間の合計における、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの仮想処理時間の構成比率を特定する構成比率特定手段を備え、評価値算出手段が、仮想処理時間の合計を所定の期間で除することにより求められる稼働率に対応する所定値をもとに、廃棄物の1の品目又は1の処理方法について、以下の式(1):
(評価値)=(許可処理可能量)×(構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
で求められる評価値を算出する、[1]又は[2]に記載のシステム;
[4] 評価値算出手段が、廃棄物の1の品目の処理量と、該品目及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該品目に関する評価値を算出する、[1]~[3]のいずれかに記載のシステム;
[5] 評価値算出手段が、廃棄物の1の処理方法による処理量と、該処理方法及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該処理方法に関する評価値を算出する、[1]~[4]のいずれかに記載のシステム;
[6] 所定値が、廃棄物処理により消費するエネルギー量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する種類別温室効果ガス量を算出するための係数、リサイクルにより発生する品目ごとの再生資源量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する処理後廃棄物の品目ごとの最終処分量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する費用を算出するための係数、又は、廃棄物処理により発生する収益を算出するための係数である、[1]~[5]のいずれかに記載のシステム;
[7] コンピュータ装置を、廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段として機能させる、プログラム;
[8] 少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムにおいて実行される方法であって、廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出するステップを有する、方法:
を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、廃棄物の処理施設における廃棄物処理に関する、サプライチェーン排出量等の評価値を算出することが可能な、新規のシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる、端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる、処理能力情報とコードの関連付け処理のフローチャートを示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる、所定値の算出処理のフローチャートを示す図である。
図6】本発明の実施の形態にかかる、廃棄物の処理施設における廃棄物の品目ごとの正味処理可能量の算出表である。
図7】本発明の実施の形態にかかる、係数決定用データテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、本明細書において説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0011】
以下、本発明のシステムについて、説明をする。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。本発明のシステムは、廃棄物の排出者が操作する排出者端末1と、廃棄物の処理者であり、かつ、再生資源の生産者である処理事業者が操作する処理者端末2と、電子マニフェストサーバ3と、コンピュータ装置4と、通信ネットワーク5とを少なくとも備える。
【0013】
排出者端末1は、廃棄物の排出者が本発明のシステム(以下、本システムともいう。)を利用する際に操作する端末であり、表示画面と入力部を有するコンピュータ端末であれば、特に限定されない。また、排出者端末1は、排出者の事業所に設置されていてもよいし、排出者が携帯するものであってもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDAなどが挙げられる。
【0014】
処理者端末2は、廃棄物の処理者であり、かつ、再生資源の生産者でもある処理事業者が、本システムを利用する際に操作する端末である。処理者端末2は、排出者端末1と同様に、表示画面と入力部を有するコンピュータ装置であれば、特に限定されない。また、同様に、処理事業者の事業所に設置されていてもよいし、処理事業者が作業時に携帯するものであってもよい。
【0015】
電子マニフェストサーバ3は、排出者から処理者に委託された廃棄物処理の進捗状況に関する情報の管理及び追跡を行う、本システムとは異なる外部のサーバまたは外部のシステムである。具体的には、例えば、日本における産業廃棄物処理の進捗状況を電子マニフェスト情報として一元管理する、電子マニフェスト情報処理センターのJWNET等が挙げられる。
【0016】
電子マニフェストサーバ3において管理・追跡される進捗状況に関する情報には、廃棄物の収集運搬に関する情報、廃棄物の中間処理に関する情報、二次収集運搬に関する情報、廃棄物の最終処分に関する情報等が含まれている。本システムにおいては、これらの情報の中から収集運搬終了情報、中間処理終了情報、二次収集運搬終了情報、最終処分終了情報をダウンロードし、そこに含まれる廃棄物の品目、数量、処理方法、処理完了日時等の情報を、所定の期間における処理施設の処理実績情報、つまり、所定の期間における廃棄物の処理量のデータを含む情報として取得し、利用する。以下では、特に注釈の無い限り、電子マニフェストサーバ3において管理され、コンピュータ装置4が電子マニフェストサーバ3から取得する情報を、「処理実績情報」または「電子マニフェスト情報」として扱う。
【0017】
また、電子マニフェストサーバ3は、電子マニフェスト情報と同等の廃棄物の処理進捗情報、または、同等の廃棄物の処理実績情報を管理する他のサーバや他の情報提供サービス等で代替されてもよい。
【0018】
コンピュータ装置4は、廃棄物の処理者の処理者端末2への入力操作により、該処理者の所有する処理施設における、廃棄物の処理可能量を含む、廃棄物の処理能力に関する情報を、処理能力情報として記憶する。また、コンピュータ装置4は、電子マニフェストサーバ3から処理施設の処理実績情報を取得し、記憶した処理施設の処理能力情報と、電子マニフェストサーバ3から取得した処理施設の処理実績情報とを利用して、処理施設の廃棄物の処理に関する評価値を算出する。
【0019】
排出者端末1及び処理者端末2は、通信ネットワーク5を介してコンピュータ装置4と接続されている。また、コンピュータ装置4は、通信ネットワーク5を介して電子マニフェストサーバ3と常時接続されていることが好ましいが、必要に応じて接続が可能であればよい。また、コンピュータ装置4は、本システムのサーバとしての所在を特定されないクラウドコンピューティングシステムによって代替されてもよい。
【0020】
次に、排出者端末、処理者端末及びコンピュータ装置の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかる、排出者端末の構成を示すブロック図である。排出者端末1は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージ部13、グラフィックス処理部14、表示部15(例えば、表示部15は、表示画面16、タッチ入力部17a等を備える)、入力部17、通信インタフェース18、及びインタフェース部19からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0021】
制御部11は、CPUやROMから構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、排出者端末1の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0022】
制御部11は、プログラム及びデータをRAM12から読み出して処理を行う。制御部11は、RAM12にロードされたプログラムやデータを処理することで、描画命令をグラフィックス処理部14に出力する。
【0023】
グラフィックス処理部14は、表示部15に接続されている。表示部15は、表示画面16を有している。制御部11が描画命令をグラフィックス処理部14に出力すると、グラフィックス処理部14は、表示画面16上に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部15は、タッチ入力部17aを備えるタッチパネルの画面であってもよい。
【0024】
通信インタフェース18は、無線又は有線により通信ネットワーク5に接続が可能であり、通信ネットワーク5を介してコンピュータ装置4と情報の送受信を行う。通信インタフェース18を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0025】
インタフェース部19には、入力部17(例えば、マウスやキーボード等)が接続されうる。排出者端末1のユーザによる入力部17からの入力情報はRAM12に格納され、制御部11は入力情報をもとに各種の演算処理を実行する。また、タッチパネルを備えた表示部15のタッチ入力部17aによって入力部17を代替することもできる。
【0026】
処理者端末2の構成については、図2に示す構成を必要な範囲で採用することができる。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態にかかる、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置4は、制御部41、RAM(Random Access Memory)42、ストレージ部43、通信インタフェース44を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0028】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)等から構成され、ストレージ部43に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置4の制御を行う。また、制御部41は時間を計時する内部タイマを備えている。RAM42は、制御部41のワークエリアである。ストレージ部43は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部41は、プログラム及びデータをRAM42から読み出し、排出者端末1、処理者端末2、または、電子マニフェストサーバ3から受信した各種の情報をもとに、プログラムの実行処理を行う。
【0029】
通信インタフェース44は、無線又は有線により通信ネットワーク5に接続が可能であり、通信ネットワーク5を介して排出者端末1又は処理者端末2とデータの送受信を行うことが可能である。通信ネットワーク5を介して受信したデータは、例えば、RAM42にロードされ、制御部41により演算処理が行われる。
【0030】
次に、処理施設の廃棄物の処理能力情報と、電子マニフェスト情報の所定の分類コードとの関連付けについて説明する。
【0031】
評価値の算出処理のための前段階として、まず、コンピュータ装置4に処理施設ごとの処理能力情報を登録するとともに、登録した処理能力情報を、廃棄物の処理に関する所定の分類コードに関連付けて記憶する処理を行う。ここで、所定の分類コードとは、廃棄物の処理に関する所定の分類基準に基づいて、事前に定められているものであり、かつ、処理実績情報、あるいは、電子マニフェスト情報に関連付けられているものである。所定の分類コードの種類としては、例えば、廃棄物の品目に関する分類コード、廃棄物の処理方法に関する分類コード、廃棄物の数量の単位に関する分類コード、廃棄物を廃棄する際の梱包に関する分類コード、廃棄物の運搬方法に関する分類コード等が挙げられる。また、例えば、処理者または処理施設を識別するための識別情報として所定の分類コードを採用し、処理者または処理施設ごとに、あるいは、処理事業者の業態ごとに固有のコードを関連付けて利用するものであってもよい。
【0032】
採用する所定の分類コードとしては、例えば、電子マニフェスト情報処理センターであるJWNETが定義している分類コードが挙げられる。また、例えば、採用する所定の分類コードとしては、処理実績情報を管理・追跡するシステムにおいて、該処理実績情報と関連付けられ、かつ、一元的に管理運用されているものであることが好ましい。また、例えば、処理実績情報を取得するために本システムで利用可能な任意の電子マニフェストシステムにおいて、所定の分類コードが既に存在する場合には、その分類コードをそのまま本システムにも採用し、前記処理能力情報に連付けて利用することが好ましい。具体的には、例えば、JWNETから処理実績情報を取得している場合には、本システムに登録した処理能力情報に、JWNETのコード表に記載の分類コードをそのまま関連付けて利用することができる。
【0033】
次に、図4を用いて、処理能力情報を電子マニフェスト情報の所定の分類コードに関連付けるための実行処理について説明する。まず、廃棄物の処理者は、該処理者が所有する処理施設ごとに、該処理施設の所定の期間における廃棄物の処理能力情報を、処理者端末2に入力する(ステップS11)。ここで、処理能力情報とは、廃棄物の処理に関するものであって、処理施設が所定の期間において処理可能な廃棄物の品目ごとの処理可能量を含む。次に、処理者端末2は、処理者により入力された処理施設ごとの処理能力情報を、コンピュータ装置4に送信する(ステップS12)。コンピュータ装置4において処理者端末2から処理施設ごとの処理能力情報を受信する(ステップS13)と、コンピュータ装置4は、受信した処理能力情報を、ストレージ部43に登録する(ステップS14)。
【0034】
ここで、コンピュータ装置4に登録する処理能力情報は、上記のような処理施設ごとの、所定の期間における廃棄物の品目ごとの処理可能量に限定されない。例えば、後述する、日本における公的な廃棄物処理の許可証明書類である、産業廃棄物処分業許可証の記載内容を処理施設の処理能力情報として登録する場合は、該許可証に表示された廃棄物の品目別処理能力(許可処理可能量)だけでなく、該許可証の記載内容の全文を処理能力情報として登録することが好ましい。許可証を更新した場合には、排出者は速やかに本システムの運営元に連絡し、処理能力情報を更新する。
【0035】
また、例えば、後述する評価値の算出において、処理施設における廃棄物の品目ごとに、または、廃棄物の処理方法ごとに評価値を求める場合には、廃棄物の品目ごとの、または、廃棄物の処理方法ごとの処理能力情報を登録することが必要である。また、例えば、処理能力情報として、処理施設の所有する処理設備の定格出力や、設計時の計画処理量等の情報を登録してもよい。
【0036】
また、処理能力情報のコンピュータ装置4への登録受付方法としては、処理者による処理者端末2への入力操作により処理能力情報をコンピュータ装置4に送信し、コンピュータ装置4において受信する方法のみに限定されない。登録受付方法としては、例えば、処理者が事前に処理能力情報を記載した書面を、FAXや電子メール、郵送等によってコンピュータ装置4を管理・運用する団体に連絡し、登録するものであってもよいし、該処理者が前記団体に電話等のインターネット通信以外の通信方法により連絡することで登録されるものであってもよい。また、登録する処理能力情報としては、処理者が処理者端末2からコンピュータ装置4に送信したもののみに限らず、例えば、前記許可証を交付する行政庁が公表する情報を用いてもよいし、処理能力情報をデータベース化している企業や団体が公表する情報を用いてもよい。但し、産業廃棄物処分業にかかる新規の許可証の交付、許可証の変更・更新、あるいは、処理施設の新設、増設、改編や廃止などがあった場合には、それらの情報が遅滞なく登録、変更、更新されることが好ましい。
【0037】
次に、コンピュータ装置4は、ステップS14においてストレージ部43に登録した処理施設ごとの処理能力情報について、電子マニフェスト情報の所定の分類コードとの関連付けを行い(ステップS15)、該処理能力情報に対応する関連付け情報を生成する。そして、関連付け情報をストレージ部43に記憶し(ステップS16)、実行処理を終了する。
【0038】
ここで、関連付けとは、例えば、電子マニフェスト情報において廃棄物の品目を分類するために利用されている廃棄物の品目に関する分類コードを、処理施設ごとの処理能力情報における廃棄物の品目の分類に対しても適用し、コンピュータ装置4に登録された処理能力情報に同じ分類コードを関連付けて記憶することを意味する。具体的には、電子マニフェスト情報の廃棄物の品目の分類コードとして「木くず」に「AAA」のコードが関連付けられている場合には、処理能力情報における廃棄物の品目としての「木くず」にも「AAA」を分類コードとして関連付ける。
【0039】
本発明の実施の形態において、電子マニフェストシステムで利用されている所定の分類コードとは異なる、任意の分類コードを採用してもよい。任意の分類コードを採用する場合には、該任意の分類コードが本システムで利用する処理実績情報と関連付けられている必要がある。
【0040】
また、本発明の実施の形態において、処理実績情報を取得するためのシステムとして、電子マニフェストシステムとは異なる、任意の処理実績情報の管理・追跡システムを採用する場合には、任意の処理実績情報を、上記所定の分類コードまたは任意の分類コードに関連付ける必要がある。
【0041】
本発明の実施の形態によれば、処理能力情報と処理実績情報とを共通の所定の分類コードで関連付けることで、処理能力情報と処理実績情報がそれぞれ異なる組織や運営主体によって運用されていたり、それぞれ異なるフォーマットを利用して情報処理が行われていた場合であっても、関連付け情報に基づいて、処理能力情報と処理実績情報とを一元化して管理し、統合的に運用することができる。
【0042】
次に、処理能力情報と処理実績情報とに基づいた、処理施設の廃棄物処理に関する評価値の算出方法について、説明する。
【0043】
処理施設の廃棄物処理に関する評価値を算出するためには、算出を行う時点の直近の所定の期間における、処理施設の廃棄物の処理実績情報、とりわけ、所定の期間における廃棄物の実際の処理量を、廃棄物の品目ごとに、または、廃棄物の処理方法ごとに把握する必要がある。そこで、評価値の算出の実行処理においては、まず、電子マニフェストサーバ3において管理されている電子マニフェスト情報、または、それと同等の廃棄物の処理実績情報をコンピュータ装置4により取得し、取得した電子マニフェスト情報または処理実績情報をもとに、処理施設における廃棄物の実際処理量を、廃棄物の品目ごとに、または、廃棄物の処理方法ごとに把握する。
【0044】
図5は、本発明の実施の形態にかかる、評価値の算出処理のフローチャートを示す図である。評価値を算出するにあたり、プログラムの実行処理の順序としては、まず、コンピュータ装置4から電子マニフェストサーバ3に対して、評価値の算出の対象となる処理施設または該処理施設を所有する処理者に関する、処理実績情報の送信要求を送信する(ステップS21)。電子マニフェストサーバ3において処理実績情報の送信要求を受信する(ステップS22)と、電子マニフェストサーバ3は、該処理実績情報の送信要求に対応する処理施設の処理実績情報を、電子マニフェストサーバ3に登録され、管理されている電子マニフェスト情報のなかから特定する(ステップS23)。そして、電子マニフェストサーバ3は、ステップS23において特定した処理実績情報をコンピュータ装置4に送信する(ステップS24)。
【0045】
次に、コンピュータ装置4は、電子マニフェストサーバ3から処理施設に対応する処理実績情報を受信する(ステップS25)と、予めストレージ部43に記憶されていた処理施設に対応する処理能力情報と、電子マニフェストサーバ3から受信した該処理施設に対応する処理実績情報とをもとに、該処理施設の正味処理能力と、該処理施設の稼働率を算出する(ステップS26)。
【0046】
続けて、コンピュータ装置4は、ストレージ部43に予め記憶されている係数管理テーブル(後述)を参照し、ステップS26において算出した該処理施設の稼働率に基づいて、該稼働率に対応する所定の係数(または所定値)を特定する(ステップS27)。最後に、コンピュータ装置4は、ステップS26において先ほど算出した処理施設の正味処理能力、処理施設の稼働率、及び、ステップS27において特定した所定の係数(または所定値)に基づいて、処理施設の廃棄物処理に関する評価値を算出し(ステップS28)、実行処理を終了する。
【0047】
算出した評価値は、例えば、処理施設の識別コード等に関連付けて、該処理施設の処理能力情報や処理実績情報とともにストレージ部43に記憶され、排出者端末1または処理者端末2からの送信要求や閲覧要求に応じてコンピュータ装置4から排出者端末1または処理者端末2に送信され、排出者端末1または処理者端末2の表示画面に表示される。また、例えば、排出者や処理者からの要求に応じて、書面としてプリントアウトして情報提供できるように構成してもよい。
【0048】
ここで、本発明の実施の形態における、処理施設の廃棄物の正味処理能力としての、廃棄物の正味処理可能量の算出方法について、詳しく説明する。廃棄物の正味処理可能量としては、例えば、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量や廃棄物の処理方法ごとの正味処理可能量が挙げられる。以下では、正味処理可能量として、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量を例に挙げて説明する。
【0049】
一般に、処理施設における廃棄物の処理能力と言う場合には、処理施設ごとに公的機関により許可された所定の単位期間(例えば1日、1時間、8時間等)における廃棄物の処理可能量、例えば、公的機関により発行された、処理施設の許可証に記載された廃棄物の処理可能量(処理能力)のことを指す。日本においては、例えば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)第15条第1項による産業廃棄物処理施設設置許可証、法第14条第6項による産業廃棄物処分業許可証、又は法第14条の4第6項による特別管理産業廃棄物処分業許可証に表示された品目別処理能力(以下、品目別表示処理能力ともいう。)が、それに該当する。
【0050】
しかし、日本においては、公的機関により発行された許可証に記載された廃棄物の処理可能量は、前記処理施設が処理可能な廃棄物の複数の品目のうち、単一の品目の処理のみを行い、他の品目の処理は行わない場合の、該単一の品目に関する設計上の処理可能量であることが通例となっている。しかし、現実の処理施設における廃棄物の処理においては、廃棄物の複数の品目を同時に、あるいは、廃棄物の複数の品目を同日中に処理する場合が大半であるため、許可証に記載された廃棄物の処理能力は、実際の処理施設の総合的な処理能力と一致しているとは言えない。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態にかかる、廃棄物の処理施設における廃棄物の品目ごとの正味処理可能量の算出表である。以下では、図6を用いて、許可証に記載された廃棄物の品目ごとの処理可能量が、処理施設において単一の品目の処理のみを行う際の設計上の処理可能量であった場合に、該処理施設が所定の期間において処理可能な、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量の算出方法について説明する。
【0052】
図6において、正味処理可能量の算出表21には、廃棄物の品目21a、許可処理可能量21b、実際処理量21c、仮想処理時間21d、品目ごとの仮想処理時間の構成比率21e、正味処理可能量21f、処理施設の稼働率21gが記載されている。
【0053】
廃棄物の品目21aは、処理施設において処理可能な、廃棄物の品目である。また、許可処理可能量21bは、許可証に記載された廃棄物の品目ごとの処理可能量であり、処理施設において単一の品目の廃棄物の処理のみを行う際の、所定の単位期間における廃棄物の品目ごとの処理可能量が記載されている。また、実際処理量21cは、処理施設が過去の所定の期間において実際に処理した廃棄物の品目ごとの処理量である。また、仮想処理時間21dは、許可処理可能量21bと実際処理量21cから算出した、処理施設による過去の所定の期間における廃棄物の品目ごとの計算上の処理時間である。また、品目ごとの仮想処理時間の構成比率21eは、処理施設において処理可能な廃棄物の全品目についての仮想処理時間21dの合計における、廃棄物の品目ごとの仮想処理時間の構成比率である。また、正味処理可能量21fは、処理施設による所定の期間における廃棄物の品目ごとの正味処理可能量である。また、稼働率21gは、所定の期間における廃棄物の品目ごとの正味処理可能量と実際に処理した品目ごとの処理量の割合である。
【0054】
ここで、図6において、仮に許可証に記載された廃棄物の品目ごとの処理可能量である許可処理可能量21bの数値を全ての品目について合計すると、450トン/日になるが、これは無意味な値である。なぜなら、先述のように、許可処理可能量21bには、処理施設において単一の品目の廃棄物の処理のみを行う際の、廃棄物の品目ごとの処理可能量が記載されている。すなわち、許可処理可能量21bとして表示された処理能力は、許可証に記載されている廃棄物の複数の品目のうち、いずれか1品目のみについて処理する場合の処理可能量の最大値を、廃棄物の品目ごとに表示している。よって、一の処理施設において、複数の品目を同時に、又は同日中に処理する場合における実際の廃棄物の処理能力は、許可処理可能量21bの数値を全ての品目について合計した量である450トン/日よりもずっと小さい。
【0055】
許可証に記載された廃棄物の品目ごとの許可処理可能量21bを、直接、評価値の算出のためのベースとして利用しようとすると、評価値の算出に使用する処理施設の処理可能量の値が、処理施設における廃棄物の品目ごとの実際の処理能力と異なったり、大きく超えてしまったりする可能性がある。これは、許可証に記載された廃棄物の品目ごとの許可処理可能量21bには、処理施設が所定の単位期間において処理可能な、廃棄物の一の品目の処理可能量の中に、他の品目の処理可能量が重複して含まれてしまっているからである。そのため、許可処理可能量21bは、処理施設の廃棄物の品目ごとの処理能力をもとに該品目ごとの所定の係数を特定し、品目ごとに処理施設の評価値を算出することを想定した場合、評価値の算出のためのベースとして利用するには適さない。
【0056】
そこで、廃棄物の一の品目についての処理可能量の中に、他の異なる品目の処理可能量が重複して含まれていない、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量を特定し、特定した正味処理可能量を評価値の算出のためのベースとすることが重要である。
【0057】
以下に、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量21fの算出方法を、順を追って説明する。まず、廃棄物の品目21aごとに、処理施設が過去の所定の期間において実際に処理した廃棄物の処理量の合計である実際処理量21cを、許可証に記載された廃棄物の品目ごとの許可処理可能量21bで除することで、処理施設が過去の所定の期間において実際処理量21cの処理に要した、過去の所定の期間おける前記品目ごとの仮想処理時間21dを算出する。例えば、図6において、廃棄物の品目21aが「廃プラスチック類」である場合には、過去の所定の期間における廃プラスチック類の実際処理量21cの値2050トンを、許可証に記載された廃プラスチック類についての許可処理可能量21bの値50トン/日で除する。この計算により、廃プラスチック類の仮想処理時間21dとして、41日が算出される。
【0058】
次に、先ほど算出した仮想処理時間21dについて、該処理施設が過去の所定の期間において処理した、廃棄物のすべての品目についての仮想処理時間21dを合算する。これにより、該処理施設が過去の所定の期間において、廃棄物の品目ごとの実際処理量21cの合計である9000トンの廃棄物をすべて処理するのに要した仮想処理時間21dの合計を特定する。ここで例えば、図6の正味処理可能量の算出表においては、1年間の施設の稼働日数である年間稼働日数として想定又は測定した、過去の所定の期間である300日間のうち、廃棄物をすべて処理するのに要した正味の処理日数である仮想処理時間21dの合計は、120日間と特定される。
【0059】
さらに、前記の過去の所定の期間おける廃棄物の品目ごとの仮想処理時間21dを、前記の過去の所定の期間における廃棄物の品目ごと仮想処理時間21dの、すべての品目についての合計で除することで、過去の所定の期間において廃棄物をすべて処理するのに要した仮想処理時間21dの合計を1とした場合の、廃棄物の品目ごとの仮想処理時間21dが、仮想処理時間21dの合計に占める期間占有率を、廃棄物の品目ごとの仮想処理時間の構成比率21eとして算出する。例えば、図6において、「廃プラスチック類」についての品目ごとの仮想処理時間の構成比率21eは、0.34である。
【0060】
そして、許可証に記載された廃棄物の品目ごとの許可処理可能量21bに、廃棄物の品目ごとの仮想処理時間の構成比率21eを乗ずることで、該処理施設が所定の期間において処理可能な、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量21fを特定する。例えば、図6において、「廃プラスチック類」についての正味処理可能量21fは、17.1トン/日である。このようにして特定された廃棄物の正味処理可能量は、処理施設における所定の期間において処理可能な、廃棄物の品目ごとの純粋な処理可能量であり、同じく該処理施設で処理可能な廃棄物の他の品目の処理可能量との重複が無いものとして、評価値の算出のためのベースとして利用することが可能である。
【0061】
また、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量を特定することで、該品目ごとの正味処理可能量と廃棄物の品目ごとの実際処理量をもとに、処理施設の稼働率を算出することが可能になる。具体的には、まず、一の品目について、実際処理量21cを過去の所定の期間で除することで、一の品目についての所定の単位期間あたりの実際処理量を算出する。さらに、所定の単位期間あたりの実際処理量を正味処理可能量で除することで、処理施設の稼働率を算出する。例えば、図6をもとに「廃プラスチック類」の所定の単位期間あたりの実際処理量を計算すると、約6.833トン/日となる。この数値を、先ほど特定した「廃プラスチック類」についての正味処理可能量17.1トン/日で除することで、廃プラスチック類に関する処理施設の稼働率が、39.96%≒40%と算出される。
【0062】
ちなみに、廃棄物の品目ごとに計算して得られる処理施設の品目ごとの稼働率と、全品目についての実際処理量の合計を全品目についての正味処理可能量の合計で除して計算することで得られる処理施設全体の稼働率は、どちらも同じで40%となる。ここで、品目ごとの稼働率と処理施設全体の稼働率が全て一致していても計算上問題がない理由は、処理施設における実際の廃棄物処理のあり方に依拠する。処理施設における実際の廃棄物処理においては、品目ごとに廃棄物を分類して個別に処理するのではなく、複数の品目が混在する状態で、一つの処理設備で一括処理するケースがほとんどであるため、品目ごとの稼働率と処理施設全体の稼働率を区別する必要が無いからである。
【0063】
ところで、上述の正味処理可能量の算出方法においては、過去の所定の期間における品目ごとの実際処理量を許可証に記載の品目ごとの許可処理可能量で除して算出された値を、全品目について合計することで過去の所定の期間における廃棄物の仮想処理時間を算出し、該廃棄物の仮想処理時間における品目ごとの構成比率を特定したうえで、許可証に記載された品目ごとの許可処理可能量に前記品目ごとの構成比率を乗ずることで、品目ごとの正味処理可能量を特定しているが、上記の算出方法または算出式により得られる稼働率21gは、各品目、各品目の合計ともに同じになるため、過去の所定の期間dにおける品目ごとの実際処理量21cを、過去の所定の期間dで除して、単位期間(例えば1日)の平均実際処理量を求め、これを各品目の合計の稼働率21gで除することにより得られる量と同じであるため、算出過程を簡略化することが可能である。
【0064】
また、処理施設の稼働率は、廃棄物の仮想処理時間と処理施設の稼働日数としての所定の期間から、次のようにして算出することもできる。具体的には、過去の所定の期間のうち処理施設が廃棄物の処理に要した時間である仮想処理時間または処理日数が、該過去の所定の期間においてどのくらいの割合を占めるかを、処理施設の稼働率として特定することができる。例えば、図6に示すように、所定の期間(例えば、処理施設の1年間の稼働日数)を300日間とした場合、該処理施設において所定の期間において廃棄物をすべて処理するのに要した処理日数である仮想処理時間21dの合計は120日間と特定されているため、処理施設の稼働率は40%となる。
【0065】
本発明のシステムによれば、上述のように、廃棄物の品目ごとの正味処理可能量を評価値の算出のためのベースとすることで、廃棄物の品目ごとに他の品目との処理可能量の重複の無い、より正確で信頼性の高い評価値を算出することができる。また、このように構成することで、処理施設の廃棄物の品目ごとに評価値を算出することも可能であるため、後述する評価値算出のための所定の係数(または所定値)の特定において、廃棄物の品目に則した、あるいは、該品目の処理や該品目の処理に関する評価値の特性に適した、より詳細で正確な所定の係数(または所定値)の設定ができる。
【0066】
本発明の実施の形態においては、廃棄物の正味処理可能量として、廃棄物の処理方法ごとの正味処理可能量を算出できるようにしてもよい。その場合、許可証または処理能力情報から、処理施設における廃棄物の処理方法ごとの処理可能量または処理方法ごとの許可処理可能量を特定する。
【0067】
本発明の実施の形態においては、正味処理可能量の算出における所定の期間の設定を、処理施設の稼働サイクルや運用サイクルに合わせて複数用意し(例えば、1週間、4週間、16週間など)、多重移動平均法を用いて、正味処理可能量を毎日、あるいは、所定の単位期間毎に継続的に再計算できるように構成することが好ましい。また、電子マニフェストサーバからの処理実績情報の取得についても、収集運搬終了情報、中間処理終了情報、二次収集運搬終了情報、最終処分終了情報を、毎日、あるいは、所定の単位期間毎に継続的に取得するように構成することが好ましい。このように構成することで、従来の技術や慣行においては、評価値を月累計や年累計でしか取得していなかったものが、本システムによれば、毎日、あるいは、所定の単位期間毎の業務において、評価値の算出結果を逐次反映させて業務の効率化や生産性の向上等に利用することができる。
【0068】
次に、稼働率から所定の係数(または所定値)を特定する方法について詳述する。以下では、廃棄物処理に関する評価値として、処理施設における廃棄物処理によるCO排出量を例に挙げて説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる、係数管理テーブルの一例を示す図である。係数管理テーブル31には、予め定められた処理施設の稼働率の範囲または閾値ごとに、評価値を算出するための所定の係数(または所定値)が対応付けて記憶されている。より具体的には、係数管理テーブル31には、評価値31a、品目31b、処理方法31c、分類コード31d、稼働率31e、係数31fが記憶されている。
【0069】
評価値31aは、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関するもので、計算・計測・比較等が可能な数量であれば特に限定されない。図7においては、CO排出量を評価値として例示している。品目31b及び処理方法31cは、それぞれ、処理施設において処理可能な廃棄物の品目及び該処理施設における廃棄物の処理方法である。また、分類コード31dは、廃棄物の処理方法に関する所定の分類コードである。また、稼働率31eは、所定の期間における処理施設の稼働率である。そして、係数31fは、処理施設において処理可能な廃棄物の品目31b、処理施設における廃棄物の処理方法31c、及び処理施設の稼働率31eに対応する、評価値31aを算出するための所定の係数(または、所定値)である。
【0070】
ここで、処理する廃棄物の品目が「木くず」であり、処理方法が「焼却」処理であると仮定する。この場合、まず、コンピュータ装置4は、処理施設の処理能力情報と該処理施設の処理実績情報をもとに、廃棄物の品目としての「木くず」と、廃棄物の処理方法としての「焼却」とに対応する、廃棄物の品目ごと/処理方法ごとの正味処理可能量を算出する。続いて、上述のように、処理施設の稼働率を算出する(図5のステップS26に対応)。ここでさらに、例えば、処理施設の稼働率が25%であると算出されたとする。
【0071】
このような場合、コンピュータ装置4は、係数管理テーブル31を参照して、算出する予定の評価値31aの「CO排出量」、廃棄物の品目31bの「木くず」、及び、処理方法31cの「焼却」と対応関係にある稼働率31eの範囲と所定の係数31fの組合せを特定する。さらに、特定した組合せの中から、先ほど算出した稼働率25%が存在する稼働率31eの範囲である「20%より大きく、30%以下」に対応付けられた係数「0.4」を、CO排出量を算出するための所定の係数として係数31fから特定する。
【0072】
なお、係数管理テーブルの係数31fは、適宜更新することができるようにしてもよい。この場合、本システムを運営する運営者が操作する運営者端末、または、処理者が操作する処理者端末2を操作して、コンピュータ装置4にアクセスをし、係数を適宜更新することができるように構成することが好ましい。そして、算出された評価値と実測された評価値との間に生じる誤差が大きくなった場合などには、より実測された評価値に近い値を算出できる係数を所定の係数(または所定値)として係数管理テーブルに記憶させ、評価値の正確さや信頼度を高めることができる。
【0073】
上述の図7においては、係数管理テーブルを参照することで特定される所定の係数(または所定値)が、廃棄物の品目及び処理方法の両方に対応するように構成されているが、本発明の実施の形態においては、所定の係数(または所定値)を、廃棄物の品目または処理方法のどちらか一方に対応するように設定して評価値を算出できるようにしてもよい。このように構成する場合、例えば、図7において、廃棄物の品目31bと廃棄物の処理方法の31cのそれぞれに、品目に関する分類コードと処理方法に関する分類コードを別個に関連付け、品目に関する評価値を算出する場合には品目に対応する分類コードをもとにして、処理方法に関する評価値を算出する場合には処理方法に関する分類コードをもとにして、係数を特定するように構成することが考えられる。
【0074】
また、本発明の実施の形態においては、例えば、所定の係数(または所定値)の算定方法としては、処理施設における処理設備の出力計算書等から算出する評価値の理論値を把握し、対応する係数(または所定値)を逆算する方法が考えられる。また、処理施設における評価値の過去の実測値、または過去の複数の実測値の平均値を標準値として設定し、そこから対応する係数(または所定値)を逆算してもよい。
【0075】
また、本発明の実施の形態においては、例えば、所定の係数(または所定値)として、処理施設の定格出力等に基づいて算定された定数を設定してもよく、評価値の実測値の遷移等から稼働率を変数とする非線形関数を特定し、それを設定してもよい。また、評価値の正確さをある程度担保しつつも、計算によるデータ処理量を減らし、計算を簡素化するためには、例えば、稼働率に10%毎に閾値を設定し、閾値毎に近似的に係数を対応付けるように構成することが、より好ましい。
【0076】
次に、特定した所定の係数(または所定値)を用いて、評価値を算出する方法について説明する。
【0077】
上述のように、本システムは、コンピュータ装置4において、処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量である処理実績情報と、処理施設が所定の期間において処理可能な廃棄物の処理可能量である処理能力情報とをもとに、処理施設の稼働率を算出し、さらに、算出された稼働率に対応する所定の係数(または所定値)を特定することで、処理施設における廃棄物処理に関する評価値を算出する。具体的には、廃棄物の品目ごと、または廃棄物の処理方法ごとに、以下の式(1)により、評価値を算出する。
【0078】
(評価値)=(許可処理可能量)×(構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
【0079】
式(1)において、「評価値」、「許可処理可能量」、「構成比率」、「稼働率」、及び「所定値(所定の係数)」は、上述のように、いずれも廃棄物の一の品目または一の処理方法に対応するものである。また、品目ごと/処理方法ごとの「許可処理可能量」に品目ごと/処理方法ごとの「構成比率」を乗じることで、品目ごと/処理方法ごとの正味処理可能量が算出できることは上述の通りである。式(1)によれば、正味処理可能量を評価値の算出のためのベースとすることで、単に、評価値の算出過程における品目同士の処理可能量の重複を排除することができるだけでなく、正味処理可能量を廃棄物処理の委託または廃棄物処理の原単位として評価値の算出方法の標準化を行うことができる。また、式(1)によれば、「稼働率」と、稼働率に対応する「所定値」とをもとに評価値を算出できるようにすることで、稼働率の変動を加味した正確で信頼性の高い評価値を算出することができる。
【0080】
本発明の実施の形態においては、例えば、評価値として、処理施設が廃棄物をリサイクル処理する場合に発生する再生資源量を、再生資源の品目ごとに算出することができる。評価値として再生資源量を算出することにより、処理施設の有する再生資源の生産能力、あるいは、リサイクル能力を評価することができる。このように構成する場合、評価値を算出するための所定の係数としては、廃棄物の処理量からリサイクルによって生産される再生資源量を算出するための割合である「リサイクル率」や「歩留まり率」を採用することが好ましい。
【0081】
歩留まり率は、例えば、処理施設の過去の所定の期間における再生資源の品目ごと/処理方法ごとの実際の再生資源量(例えば、現在の時点から週単位で換算した過去数週間、あるいは、一か月単位で換算した過去数か月間における、複数週又は複数月の移動平均で算出した週ごと、又は月ごとの生産量)を、同じく、処理施設の過去の所定の期間における、再生資源の品目に対応する廃棄物の品目ごと/処理方法ごとの実際の処理量(例えば、前記生産量と同様に、移動平均で算出した処理量)で除することによって算出することができる。また、歩留まり率は、処理施設の稼働率に応じて設定することが、より好ましい。
【0082】
本発明の実施の形態によれば、このように構成することで、処理者の廃棄物処理によるリサイクル効率の向上とリサイクル資源の増産を促すことが可能になる。
【0083】
また、本発明の実施の形態においては、例えば、評価値として、廃棄物処理により発生する、埋立等による最終処分が必要となる処理後廃棄物の量、すなわち、最終処分量を、処理後廃棄物の品目ごとに算出することができる。評価値として最終処分量を算出することにより、処理施設の有する廃棄物の処理能力や処理効率を評価することができる。このように構成する場合、評価値を算出するための所定の係数として、例えば、廃棄物の処理量に対する廃棄物の最終処分量の割合である「残渣率」を採用することが好ましい。
【0084】
本発明の実施の形態によれば、このように構成することで、最終処分が必要な処理後廃棄物の削減を促し、かつ、廃棄物の最終処分場の削減にもつなげることができる。
【0085】
また、本発明の実施の形態においては、例えば、評価値として、廃棄物処理により発生する温室効果ガス量を算出することができる。算出する温室効果ガスとしては、例えば、二酸化炭素(CO)、メタン、一酸化二窒素、フルオロカーボン類等が挙げられるが、算出する温室効果ガスの種類ごとに、対応する所定の係数を適切に設定することが好ましい。本発明の実施の形態によれば、このように構成することで、例えば、廃棄物の排出者は、排出した廃棄物の処理で発生する温室効果ガス量についての正確なレポートを廃棄物処理の委託先の処理事業者から取得したり、処理事業者ごとの温室効果ガス量を比較して、より発生する温室効果ガス量の少ない処理事業者を廃棄物処理の委託先として選択したりすることができるようになる。また、例えば、廃棄物の処理者は、算出した品目ごと/処理方法ごとの温室効果ガス量と、排出者が処理を委託する予定の廃棄物の品目や数量とに基づいて、排出者にとって発生する温室効果ガス量の削減効果の高い廃棄物の品目や処理方法を提案することが可能になる。また、排出者と処理者の双方に、廃棄物処理により発生する温室効果ガス量の削減を促すことが可能になる。
【0086】
温室効果ガス量の算出に関して、廃棄物処理により発生する温室効果ガスは、廃棄物の品目ごとの含有物質の種類や含有量の差、あるいは、処理方法に応じて、発生する温室効果ガスの種類や発生量の違いが大きい。具体的には、例えば、廃棄物処理によるCO排出量は、廃棄物の品目ごとの炭素含有量の違いにより、あるいは、処理方法が焼却か、破砕か、それともメタン発酵か、という違いにより、大きく異なっている。よって、品目ごと/処理方法ごとに適切な所定の係数を設定することで、発生する温室効果ガス量をより正確に算出することができる。
【0087】
また、廃棄物処理による温室効果ガスの発生効率や発生量は、処理施設の稼働率の変化によっても変動する。よって、より正確な評価値を算出するためには、稼働率の範囲や閾値ごとに、適切な所定の係数(または所定値)を対応付けることが重要である。
【0088】
また、本発明の実施の形態においては、例えば、評価値として、廃棄物処理により消費するエネルギー量を算出することができる。消費するエネルギー量としては、例えば、処理施設において処理設備を稼働したことで生じる電気消費量や燃料消費量等が挙げられる。消費するエネルギー量を算出する場合の所定の係数(または所定値)についても、温室効果ガス量を算出する場合と同様に、廃棄物の品目ごと、処理方法ごと、または、稼働率の範囲や閾値ごとに、適切な係数や値を設定することが好ましい。このように構成することで、処理施設の廃棄物処理におけるエネルギー消費効率を評価し、廃棄物処理による消費エネルギー量の削減を促すことができる。
【0089】
さらに、本発明の実施の形態においては、例えば、評価値として、廃棄物処理により発生する費用や収益を算出することができる。廃棄物処理により発生する費用や収益を算出する際には、所定の係数として、廃棄物処理の委託や廃棄物処理の原単位あたりの限界費用や収益率を設定する。このように構成することで、経済主体としての(または所定値)についても、温室効果ガス量を算出する場合と同様に、廃棄物の品目ごと、処理方法ごと、または、稼働率の範囲や閾値ごとに、適切な係数や値を設定することが好ましい。
【0090】
本発明のシステムによれば、評価値として、廃棄物処理により消費するエネルギー量、廃棄物処理により発生する温室効果ガス量、リサイクルにより発生する再生資源量、処理後廃棄物の最終処分量、廃棄物処理による発生費用、発生収益等、様々な数値を、処理者ごとに、処理施設ごとに、廃棄物の品目ごとに、あるいは、廃棄物の処理方法ごとに算出することで、処理者または処理施設ごとの廃棄物処理に関する総合的な評価や、廃棄物の処理能力と処理実績に基づく、総合的な生産性の比較が可能になる。
【0091】
また、本発明のシステムによれば、電子マニフェスト情報と許可証に記載された処理能力情報という、廃棄物処理に関する既存の汎用データや公表データに基づいて評価値を算出できる。よって、評価値を算出するための計算の根拠を、国や地域ごとに複数の処理施設間において統一したり、標準化したりすることが可能である。また、本発明のシステムによれば、算出された数値同士を比較しても誤差が生じ難く、算出された複数の数値を集計する際にも、数値の正確さを担保することができるようになる。
【0092】
また、本発明のシステムによれば、従来に比べて、より詳細かつ正確な評価値の算出を、定期的に自動で行えるようになるため、評価値を算出する頻度を増やしても算出のためのコストは抑制することが可能であり、かつ、評価値をもとにした事業運営が従来より簡便かつ効率的に行える。具体的には、排出者または処理者は、予め算出する評価値と所定の係数を設定しておくことで、本システムを利用して自動的に毎日、設定した評価値の算出データを取得することができるため、従来のように評価値ごとに測定手段を準備して測定や計算をする必要もなく、月報や年報などで事後にデータを報告する/報告を受け取る必要もない。また、自動で算出された評価値を随時検証し、廃棄物処理の委託先となる処理者、処理に利用する処理施設、廃棄物の処理方法、処理量の変更等を随時行うようにすることで、実際に算出された評価値を、事業計画等において目標として設定した評価値に近付けるよう事業の運営を行い、評価値の最適化を迅速に行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0093】
1 排出者端末
2 処理者端末
3 電子マニフェストサーバ
4 コンピュータ装置
5 通信ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムであって、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段と、
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの処理量を、処理施設において1の品目のみ、及び/又は1の処理方法のみによって処理した場合に処理可能な、単位期間あたりの処理可能量である許可処理可能量で除することで、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの所定の期間における処理時間である仮想処理時間を特定し、所定の期間に処理施設が処理した廃棄物の全ての品目及び/又は全ての処理方法についての仮想処理時間の合計における、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの仮想処理時間の構成比率を特定する構成比率特定手段を備え、
評価値算出手段が、仮想処理時間の合計を所定の期間で除することにより求められる稼働率に対応する所定値をもとに、廃棄物の1の品目又は1の処理方法について、以下の式(1):
(評価値)=(許可処理可能量)×(仮想処理時間の構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
で求められる評価値を算出する、システム。
【請求項2】
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設が所定の期間において処理可能な廃棄物の処理可能量とをもとに、稼働率を算出する稼働率算出手段
を備え、
評価値算出手段が、算出された稼働率に対応する所定値をもとに評価値を算出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
評価値算出手段が、廃棄物の1の品目の処理量と、該品目及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該品目に関する評価値を算出する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
評価値算出手段が、廃棄物の1の処理方法による処理量と、該処理方法及び稼働率に対応する所定値とをもとに、該処理方法に関する評価値を算出する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
所定値が、廃棄物処理により消費するエネルギー量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する種類別温室効果ガス量を算出するための係数、リサイクルにより発生する品目ごとの再生資源量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する処理後廃棄物の品目ごとの最終処分量を算出するための係数、廃棄物処理により発生する費用を算出するための係数、又は、廃棄物処理により発生する収益を算出するための係数である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
コンピュータ装置を、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出手段と、
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの処理量を、処理施設において1の品目のみ、及び/又は1の処理方法のみによって処理した場合に処理可能な、単位期間あたりの処理可能量である許可処理可能量で除することで、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの所定の期間における処理時間である仮想処理時間を特定し、所定の期間に処理施設が処理した廃棄物の全ての品目及び/又は全ての処理方法についての仮想処理時間の合計における、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの仮想処理時間の構成比率を特定する構成比率特定手段
として機能させ、
評価値算出手段が、仮想処理時間の合計を所定の期間で除することにより求められる稼働率に対応する所定値をもとに、廃棄物の1の品目又は1の処理方法について、以下の式(1):
(評価値)=(許可処理可能量)×(仮想処理時間の構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
で求められる評価値を算出する、プログラム。
【請求項7】
少なくとも1のコンピュータ装置を備えるシステムにおいて実行される方法であって、
廃棄物の処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の処理量と、処理施設の稼働率に対応する所定値とをもとに、処理施設の所定の期間における廃棄物処理に関する評価値を算出する評価値算出ステップと、
処理施設が所定の期間に処理した廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの処理量を、処理施設において1の品目のみ、及び/又は1の処理方法のみによって処理した場合に処理可能な、単位期間あたりの処理可能量である許可処理可能量で除することで、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの所定の期間における処理時間である仮想処理時間を特定し、所定の期間に処理施設が処理した廃棄物の全ての品目及び/又は全ての処理方法についての仮想処理時間の合計における、廃棄物の品目ごと及び/又は処理方法ごとの仮想処理時間の構成比率を特定する構成比率特定ステップを有し、
評価値算出ステップが、仮想処理時間の合計を所定の期間で除することにより求められる稼働率に対応する所定値をもとに、廃棄物の1の品目又は1の処理方法について、以下の式(1):
(評価値)=(許可処理可能量)×(仮想処理時間の構成比率)×(稼働率)×(所定値)・・・式(1)
で求められる評価値を算出する、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6