(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036980
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電子黒板システム
(51)【国際特許分類】
B43L 1/04 20060101AFI20240311BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B43L1/04 F
B43L1/04 G
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141571
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】523330721
【氏名又は名称】一般社団法人日本未来黒板研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(72)【発明者】
【氏名】坂和 勝紀
【テーマコード(参考)】
2C071
5E555
【Fターム(参考)】
2C071CA02
2C071CA04
2C071CC01
2C071CD04
2C071DA01
2C071DB02
2C071DB07
2C071DC04
5E555AA10
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA28
5E555BB28
5E555BC04
5E555BC19
5E555CA12
5E555CB10
5E555CC19
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】比較的低コストにて設置でき、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法である板書による授業と、近時急速に高機能化しつつある電子黒板によるICT授業とを融合したGIGAスクール構想の実現を可能にする電子黒板システムを提供することを課題とする。
【解決手段】パソコン機能を備えた液晶モニタ3と、板書用ボード2とを隣接設置し、板書用ボード2にプロジェクター4を付設して成り、プロジェクター4は液晶モニタ3の画面のミラーリング投影機能を有している。液晶モニタ3にWi-Fi接続される携帯端末5を更に含み、液晶モニタ3は、携帯端末5の画面のミラーリング投影が可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パソコン機能を備えた液晶モニタと板書用ボードとを隣接設置して成り、前記板書用ボードへの板書内容を前記液晶モニタに取り込み可能にしたことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項2】
前記板書用ボードの周縁部にチョーク等の筆記手段及び黒板消しの動きを検出するセンサが配備される、請求項1に記載の電子黒板システム。
【請求項3】
パソコン機能を備えた液晶モニタと板書用ボードとを隣接設置し、前記板書用ボードにプロジェクターを付設して成り、前記プロジェクターは前記液晶モニタの画面のミラーリング投影機能を有していることを特徴とする電子黒板システム。
【請求項4】
前記液晶モニタにWi-Fi接続される携帯端末を更に含み、前記液晶モニタは、前記携帯端末の画面のミラーリング投影が可能である、請求項3に記載の電子黒板システム。
【請求項5】
前記液晶モニタは、板書を含む前記板書用ボードの表示内容を逐次QRコード(登録商標)化して、逐次更新した前記QRコード(登録商標)を画面表示する機能を有する、請求項1又は3に記載の電子黒板システム。
【請求項6】
前記プロジェクターは、16:6のワイド投影機能を有し、且つ、4500ルーメンの明るさを有するものである、請求項3に記載の電子黒板システム。
【請求項7】
前記液晶モニタは、前記板書用ボードに重ならない位置から前記板書用ボードの一部に重なる位置に移動可能に設置される、請求項1又は3に記載の電子黒板システム。
【請求項8】
前記液晶モニタは、前記板書用ボードに重ならない位置、あるいは、前記板書用ボードの一部に重なる位置に固定設置される、請求項1又は3に記載の電子黒板システム。
【請求項9】
前記液晶モニタは、手書き文字の自動整形機能を有する、請求項1又は3に記載の電子黒板システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子黒板システムに関するものであり、より詳細には、GIGAスクール構想を実現するための電子黒板システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
令和元年にGIGAスクール構想の実現パッケージが発表されたことを受けて、各学校において校内LANが整備され、学校ICT導入・利活用が急速に進んでいる。このGIGAスクール構想の骨子は、児童・生徒1人1人に個別化され、創造性を育む教育ICT環境の構築である。具体的には、児童・生徒1人1人に学習者用端末(タブレット)が与えられ、各教室に配備される電子黒板を用いての授業ということになる。
【0003】
しかるに、各教室には黒板が設置されていて、古くから学校における授業は黒板への板書を基本に進められてきており、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法であり、たとえICT教育が進んだとしても捨てがたいものである。一方、教室ごとに従来の黒板等の他に電子黒板を用意することは、予算の面及び設置スペースの面で限度があった。特に、黒板に代わるような大型の電子黒板を導入することは、極めて困難なことであり、非現実的なことであった。
【0004】
そこで、既存の黒板やホワイトボードを利用し、ボード上部にプロジェクターを配設し、ボードに映写することでボードを電子黒板化(インタラクティブ化)することが考えられてきた。そしてその場合、映写範囲が狭いという問題解決のために、プロジェクターを左右に移動可能にし、映写位置が変えられるようにする提案がなされた(特開2021-128299号公報、特開2018-189925号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-128299号公報
【特許文献2】特開2018-189925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記既存の黒板やホワイトボードを、プロジェクターを配設することで電子黒板化する方法の場合は、投影画像が鮮明ではないため、特に後ろの席の生徒にとって見えにくいという問題があり、また、教師がボードに書き込みをしている間、教師が邪魔になって書き込み内容が見ずらいという問題がある(
図5参照)。また更に、近時急速に高機能化しつつある電子黒板の機能を生かせないという物足りなさがある。
【0007】
本発明は、従来のシステムにおける上記のような問題に鑑みてなされたもので、比較的低コストにて設置でき、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法である板書による授業と、近時急速に高機能化しつつある電子黒板によるICT授業とを融合したGIGAスクール構想の実現を可能にする電子黒板システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、パソコン機能を備えた液晶モニタと、板書用ボードとを隣接設置して成り、前記板書用ボードへの板書内容を前記液晶モニタに取り込み可能にしたことを特徴とする電子黒板システムである。
【0009】
一実施形態においては、前記板書用ボードの周縁部にチョーク等の筆記手段及び黒板消しの動きを検出するセンサが配備される。
【0010】
上記課題を解決するための請求項3に係る発明は、パソコン機能を備えた液晶モニタと、板書用ボードとを隣接設置し、前記板書用ボードにプロジェクターを付設して成り、前記プロジェクターは前記液晶モニタの画面のミラーリング投影機能を有していることを特徴とする電子黒板システムである。
【0011】
一実施形態においては、前記液晶モニタにWi-Fi接続される携帯端末を更に含み、前記液晶モニタは、前記携帯端末の画面のミラーリング投影が可能である。
【0012】
一実施形態においては、前記液晶モニタは、板書を含む前記板書用ボードの表示内容を逐次QRコード(登録商標)化して、逐次更新した前記QRコード(登録商標)を画面表示する機能を有する。
【0013】
一実施形態においては、前記プロジェクターは、16:6のワイド投影機能を有し、且つ、4500ルーメンの明るさを有するものである。
【0014】
一実施形態においては、前記液晶モニタは、前記板書用ボードに重ならない位置から前記板書用ボードの一部に重なる位置に移動可能に設置される。他の実施形態においては、前記液晶モニタは、前記板書用ボードに重ならない位置、あるいは、前記板書用ボードの一部に重なる位置に固定される。
【0015】
一実施形態においては、前記液晶モニタは、手書き文字の自動整形機能を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のとおりであって、比較的低コストにて設置でき、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法である板書による授業と、近時急速に高機能化しつつある電子黒板によるICT授業とを融合させたGIGAスクール構想の実現を可能にし、また、教師がボードに書き込みをしている間、教師が邪魔になって書き込み内容が見ずらいという問題がないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の発明に係る電子黒板システムの構成を示すイメージ図である。
【
図2】第2の発明に係る電子黒板システムの構成(液晶モニタ可動型)を示すイメージ図である。
【
図3】本発明に係る電子黒板システムにおける液晶モニタの移動機構の例を示す斜視図である。
【
図4】第2の発明に係る電子黒板システムの構成(液晶モニタ固定型)を示すイメージ図である。
【
図5】従来の電子黒板システムの問題点を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照して説明する。第1の発明に係る電子黒板システムは、教室等の部屋の正面壁1に、パソコン機能を備えた液晶モニタ3と、板書用ボード2とを隣接設置して成り、板書用ボード2への板書内容を液晶モニタ3に取り込み可能にしたことを特徴とするものである。なお、
図1には示してないが、GIGAスクール構想の実現のために、以上の構成の他に、教師が扱う教師用端末5と、生徒1人に1台用意される生徒用端末6とが含まれる(
図2,4参照)。通例、教師用端末5はタブレット又はスマホであり、生徒用端末6はタブレットである。教師用端末5と生徒用端末6は液晶モニタ3にWi-Fi接続され、液晶モニタ3と各端末との間での相互通信が可能に設定される。
【0019】
板書用ボード2は、既存の黒板やホワイトボードをそのまま利用する場合と、既存の黒板やホワイトボードの表面材を貼り替えて使用する場合と、新設の筆記用ボードを用いる場合とがあるが、いずれの場合も、従来の黒板等と同様に、チョーク等での書き込み及び黒板消しでの消去が可能なものである。表面材としては、耐久性に優れたほうろう焼付鋼板を用いることが推奨される。板書用ボード2は、通例、壁面に固定されているが、電動又は手動により上下動可能に構成されることもある。そのための構成は、既存の周知の構成を採用することができる。
【0020】
また、液晶モニタ3は、好ましくは、4K対応の65インチ、75インチ又は86インチのものとし、パソコン機能とテレビ機能とを具備させ、各種データを、クラウド保存機能を利用して保存可能にする。このように大型の液晶モニタ3を用いることにより、きれいな映像をそのまま視聴することが可能となる。
【0021】
板書用ボード2への板書内容を液晶モニタ3に取り込み可能にするために、板書用ボード2の周縁部に、チョーク等の筆記具及び黒板消しの動きを検出するセンサ(図示してない)が配備される。このセンサとしては、液晶モニタ型電子黒板において用いられているのと同じ、赤外線遮断方式のセンサを用いることができる。そのセンサからの板書内容に対応する出力信号が液晶モニタ3に取り込まれ、デジタル化され且つ保存され、板書内容がそのまま液晶モニタ3に表示される。
【0022】
このように第1の発明においては、板書内容を液晶モニタ3に取り込むために、板書用ボード2にセンサを配備する必要があるので、第1の発明における板書用ボード2は既存のものの利用ではなく、新規に制作されるものであることが好ましい。その場合、更に板書用ボード2にタッチ操作用アイコン等を配設することもできる。また、短尺幅の板書用ボード2を2つ用意し、液晶モニタ3の両側に連結するようにすることもできる(
図1参照)。
【0023】
この第1の発明に係る電子黒板システムの場合、教師が板書用ボード2に書き込みをしている際、生徒は教師が邪魔になって板書用ボード2における板書内容を直接確認することができないが、板書内容はそのまま液晶モニタ3に表示されるので、生徒は液晶モニタ3を見ることで板書内容を即確認することができる。
【0024】
上記のとおり、第1の発明においては、板書用ボード2への書き込み内容が液晶モニタ3に取り込まれてミラーリング投影されるが、逆に、液晶モニタ3における表示内容を板書用ボード2に投影させることはできない。以下に説明するプロジェクターを用いる第2の発明においては、それが可能となる。即ち、第2の発明に係る電子黒板システムは、部屋の正面壁1に、パソコン機能を備えた液晶モニタ3と、板書用ボード2とを隣接設置し、板書用ボード2にプロジェクター4を付設して成り、プロジェクター4は液晶モニタ3の画面のミラーリング投影機能を有していることを特徴とするものである(
図2参照)。
【0025】
プロジェクター4は、16:6の超ワイド投影機能を有し、且つ、4500ルーメンの明るさを有するものとすることが好ましい。プロジェクター4は、板書用ボード2の上辺中央部に、あるいは、板書用ボード2の中央部に向くようにして正面壁1に、取り付けアームを介して取り付けられる。プロジェクター4は、液晶モニタ3の画面ミラーリングが可能なものとされる。プロジェクター4としてこのミラーリング機能を搭載したものを用いる場合は、例えば、そのプロジェクターメーカーが提供する専用アプリを液晶モニタ3にインストールする。
【0026】
また、そのような機能を搭載していないプロジェクター4を用いる場合は、プロジェクター4に、キャスト機能とミラーリング機能とを有するデバイスであるストリーミングデバイスをHDMI(登録商標)接続し、これに液晶モニタ3及び携帯端末5をWi-Fi接続する。ストリーミングデバイスとしては、広く出回っていて、廉価で入手できるグーグル社のクロームキャストを用いることが推奨される。なお、ここにいうキャスト機能とは、液晶モニタ3又は携帯端末5からストリーミングデバイスに転送される視聴中の動画を、プロジェクター4を介して板書用ボード2に、より大きく投写させる機能である。また、ミラーリング機能は、液晶モニタ3又は携帯端末5に保存されているコンテンツ画面を、プロジェクター4を介してそのまま板書用ボード2に投写して画面共有可能にする機能である。
【0027】
液晶モニタ3にはテンプレートソフトが装備され、マス目、五線譜、鍵盤、サッカーコートその他多種多様のテンプレートが提供される。教師は所望のテンプレートを選択し、その上にスタイラスペン等を用い、あるいは、指先で必要事項を記入できる。その記入内容は、プロジェクター4を介して板書用ボード2に拡大投写されるので、最後列の生徒も明確に視認可能となる。その教師による筆記作業は液晶モニタ3に対して行われるため、教師が板書用ボード2における拡大投写面の邪魔になることはない。
【0028】
また、板書用ボード2にテンプレートを投写し、その上にチョーク等で書き込みを行うこともできる。そして、第1の発明の場合と同様に、板書用ボード2の周縁部に、チョーク等の筆記具及び黒板消しの動きを検出するセンサ(図示してない)を配備することにより、板書内容を液晶モニタ3に取り込むことができ、且つ、保存することが可能となる。
【0029】
液晶モニタ3は、板書を含む表示内容を逐次QRコード(登録商標)化して、逐次更新した前記QRコード(登録商標)を画面表示する機能を備えることができる。そのQRコード(登録商標)は、プロジェクター4を介して板書用ボード2に拡大投写されるので、生徒はそれを生徒用端末6のQRカメラで読み取ることで、後に授業内容を確認することが可能となる。更に液晶モニタ3に、手書き文字の自動整形機能を具備させることができる。液晶モニタ3には、これらの機能を具備するために、それらの専用ソフトがインストールされる。
【0030】
液晶モニタ3は、板書用ボード2に隣接させて正面壁1に取り付けられるが、一実施形態においては、液晶モニタ3は、板書用ボード2に重ならない位置(
図2に示される位置)から板書用ボード2の一部に重なる位置に移動可能に設置される。例えば、移動機構は、正面壁1に固定されるベース枠11と、ベース枠11に旋回自在に軸支される旋回枠12と、旋回枠12の端部に支軸14を介して軸支される固定プレート13とから成り、液晶モニタ3は、その裏面が固定プレート13に固定されることにより、支軸14を軸に固定プレート13と共に揺動可能となる(
図3参照)。
【0031】
ベース枠11は、四角形状の金属製枠体で、その上辺及び下辺の中央部に軸支部15が配置され、やはり四角形状の金属製枠体である旋回枠12の一側辺上下に取り付けられた軸部16を軸支する。かくして旋回枠12は、その上下の長尺辺を半径として180度旋回し、液晶モニタ3を、
図2に示される板書用ボード2に重ならない位置から、板書用ボード2の一部に重なる位置に旋回移動可能にする。その旋回移動の間液晶モニタ3は、支軸14を介して揺動可能であるので、常に正面向きにして移動させることができる。なお、旋回枠12はその旋回端まで移動させることなく、任意の位置において止めることができ、また、液晶モニタ3を、任意の位置において所望方向、即ち、すべての生徒が見やすくなる方向に向けることができる。液晶モニタ3を板書用ボード2に重ならない位置に配した場合は、板書スペースを十分に確保することができることになる。
【0032】
本発明に係る電子黒板システムを教育現場において実施する場合は、携帯端末5において教材等のコンテンツを作成、編集して保存しておく。教材は、市販されている電子教材や、無償で提供されている教材をインストールしてそのまま利用することができ、また、それを教師が独自にカスタマイズしたものを用いることもできる。更に、テレビやYouTube(登録商標)等の画面を利用することもできる。使用教材の作成、編集は、別途PCを用いて行い、携帯端末5に保存しておくこともできる。
【0033】
教師は、板書用ボード2から離れた位置において携帯端末5を手元操作(片手での操作が可能)して、その表示部に選択表示させたコンテンツ画面を、そのまま液晶モニタ3に拡大してミラーリング投写させ、また、プロジェクター4を介して板書用ボード2に更に拡大してミラーリング投写させることができる。最近では、老若男女を問わず、多くの人がスマホの操作に慣れているので、携帯端末5による操作は決して難しいものではない。プロジェクター4からは、板書用ボード2のサイズに対応して大きく投影することができるので、後ろの席の生徒も、大画面でしっかり見ることができる。
【0034】
例えば、板書用ボード2に五線譜等のテンプレート映像を投写し、その映像の上からチョークで書き込みすることができる。また、授業内容に応じて投射位置を左・中央・右にスライドさせたり、左右に2画面投射させたりすることもできるので、授業展開が非常にスムーズになる。例えば、左側に電子教科書の画面、右側に生徒たちの回答をサムネイル投影することも可能で、その比較表示により、様々な考えを確認でき、新たな気付きを促したり、新しいアイディアの創出に繋がることが期待できる。更に、携帯端末5でリアルタイムに撮影した動画や写真を、その場で直ちに投影することができ、しかも、その画面にスタイラスペンや指先で書き込むことができ、且つ、保存することも可能である。
【0035】
従来、電子黒板(プロジェクターを用いて電子黒板化した場合も含む)における書き込みには、専ら高価な電子ペンが用いられていた。この電子ペンは、WindowsPCを画面上で操作するためのものであるが、GIGAスクール構想の下においては種々のOS端末が供給され、WindowsPCの配備率はかなり低下してきている。これまでチョークによる板書に慣れてきた教師にとって、電子ペンでの書き込みはストレスを感じるものである。また、電子ペンは、筆記面がホワイトボードのように滑りの良いものの場合は問題ないが、黒板のようにザラザラする筆記面の場合は書き込みにくく、摩耗も激しいという問題があり、更に、電池切れ、故障等の不具合によって授業が中断し、生徒の集中力が途切れるといった問題もあり、電子ペンの必要性は薄れてきている。
【0036】
本発明に係る電子黒板システムの場合は、板書用ボード2と液晶モニタ3が並設されているため、教師は主に黒板である板書用ボード2にチョークで板書でき、液晶モニタ3についてはスマホと同様のスタイラスペン操作又はタッチ操作で操作できるので、利用上のストレスや不具合による授業の中断等の原因となる電子ペンの使用は必須ではなくなっている。高価な電子ペンを用いないで済むということは、経済的にも有利なことである。
【0037】
上記実施形態は、液晶モニタ3が板書用ボード2に重ならない位置からその一部に重なる位置に移動可能に構成されるものであるが、液晶モニタ3は、板書用ボード2に重ならない位置、あるいは、板書用ボード2の一部に重なる位置(
図4参照)に固定設置することとしてもよい。
【0038】
上記いずれの実施形態の場合においても、教師は液晶モニタ3の前に立って液晶モニタ3又は携帯端末5に対して書き込みし、その内容がそのままプロジェクター4を介して板書用ボード2に投写されるので、書き込み中に教師の体が邪魔になって板書用ボード2における書き込み内容が見ずらくなることはない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は上記のとおりであって、比較的低コストにて設置でき、児童・生徒、教師共に馴染のある授業法である板書による授業と、近時急速に高機能化しつつある電子黒板によるICT授業とを融合させたGIGAスクール構想を実現し得る効果があり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0040】
1 正面壁
2 板書用ボード
3 電子黒板
4 プロジェクター
5 教師用携帯端末
6 生徒用携帯端末