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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036997
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/60 20060101AFI20240311BHJP
   E05F 17/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
E06B9/60
E05F17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141605
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀内 太一朗
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA07
2E042BA02
2E042CA05
2E042CB14
(57)【要約】
【課題】スクリーンの張力を調節可能なスクリーン装置を提供する。
【解決手段】スクリーン装置1は、スクリーン3A,3Bに張力を与えて巻回するスクリーン巻取機構10A,10Bを有する。巻取機構は、スクリーンを巻き取る巻取ローラ4A,4Bと、巻取ローラと同軸上に設けた巻取ドラム40A,40Bと、巻取ローラに相対回転可能に設けたドラム軸29A,29Bと、巻取ドラムとスクリーンに連結されたワイヤ30A,30Bと、巻取ローラとドラム軸に連結されたコイルばね34A,34Bを有する。巻取ドラム及びドラム軸は、これら両者が軸周りに係合状態となる係合位置と、これら両者の係合状態が解除されて軸周りに相対回転可能な状態となる非係合位置との間で切換可能であり、巻取ドラムとドラム軸が非係合位置に切り換えられた状態でドラム軸を回動させた後に巻取ドラムとドラム軸を係合位置に切り換えることでスクリーンの張力調整ができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を開閉するためのスクリーンと、前記スクリーンに張力を与えた状態で前記スクリーンを巻き取ったり繰り出したりするスクリーン巻取機構と、を備え、
前記スクリーン巻取機構は、
前記建物開口部に回転自在に支持され、前記スクリーンの巻き取り側の端部が連結されて前記スクリーンを巻き取る巻取ローラと、
前記巻取ローラと同軸上に配設された巻取ドラムと、
前記巻取ローラ及び前記巻取ドラムに同軸上に配設され、前記巻取ローラに相対回転可能に支持されると共に前記巻取ドラムが取り付けられたドラム軸と、
一端が前記巻取ドラムに連結され他端が前記スクリーンの繰り出し側の端部に連結されたワイヤと、
一端が前記巻取ローラに連結され他端が前記ドラム軸に連結されたコイルばねと、を有し、
前記コイルばねの捻り力を前記巻取ローラ及び前記巻取ドラムに前記スクリーン及び前記ワイヤを巻き取る方向の回転力として付与して前記スクリーンに張力を与えるスクリーン装置であって、
前記巻取ドラム及び前記ドラム軸は、これら両者が前記軸周りに係合状態となる係合位置と、これら両者の係合状態が解除されて前記軸周りに相対回転可能な状態となる非係合位置との間で切換可能に構成されており、
前記巻取ドラム及び前記ドラム軸が前記非係合位置に切り換えられた状態で前記ドラム軸を前記軸周りに回動させることで、前記コイルばねの捻り力を変化させ、その後に前記巻取ドラム及び前記ドラム軸を前記係合位置に切り換えることで、前記コイルばねの変化した捻り力で前記スクリーンの張力調節が可能である、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
前記巻取ドラムは、更に前記ドラム軸に前記軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、
前記スクリーン巻取機構は、前記ドラム軸に固定された係合部と、前記巻取ドラムに形成され前記巻取ドラムの軸方向の移動にともなって前記係合部と係合し及び係合解除可能な被係合部と、を有し、
前記巻取ドラム及び前記ドラム軸は、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部側へ移動させて前記被係合部と前記係合部とを係合させると前記係合位置に切り換えられ、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部から離反する方向に移動させて前記被係合部と前記係合部との係合を解除させると、前記非係合位置に切り換えられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記ドラム軸周りに配設された係合基部と、前記係合基部の前記巻取ドラム側を向く端面上に前記ドラム軸周りに等間隔を有して複数形成された凸部及び凹部のいずれか一方と、を有し、
前記被係合部は、前記巻取ドラムの前記係合部側を向く面に前記ドラム軸周りに等間隔を有して複数形成され、前記凸部及び前記凹部のいずれか一方と係合可能な前記凸部及び前記凹部のいずれか他方と、を有し、
前記スクリーン巻取機構は、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部から離反する方向に移動させて前記凸部と前記凹部との係合を解除した状態で、前記ドラム軸を前記軸周りに所定角度回動させ、その後に前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部側に移動させて前記凸部と前記凹部とを再係合させる毎に、前記コイルばねの捻り力を段階的に変化させることが可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記巻取ドラムは、前記係合部側を向くドラム端面に前記係合基部が挿抜可能に嵌合する嵌合凹部を有し、
前記巻取ドラムの前記係合部側を向く前記面が前記嵌合凹部の底面であり、
前記底面には、前記係合部の前記凸部又は前記凹部と係合可能な前記凹部又は前記凸部が形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のスクリーン装置。
【請求項5】
前記係合部は、前記巻取ドラムの前記嵌合凹部内に前記係合基部が挿入されて前記凸部と前記凹部とが係合した状態で、前記ドラム端面から離反した位置に操作部を有し、
前記操作部は、前記ドラム端面よりも径方向外側に突出している、
ことを特徴とする請求項4に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
前記ドラム軸には、前記巻取ドラムを前記係合部側へ向かって付勢する弾性部材が設けられており、
前記係合部と前記被係合部とが係合している状態で、前記係合部が前記弾性部材によって前記被係合部から押圧されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項7】
前記巻取ドラムは、円錐台状に形成されていて、前記ワイヤを巻き取る際の巻始め端となる大径部と、前記ワイヤを巻き取った際の巻終り端となる小径部とを有し、
前記巻取ドラムの外周には、巻き取った前記ワイヤが嵌合する嵌合溝が、前記大径部と前記小径部とを螺旋状に結ぶように形成されている、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のスクリーン装置。
【請求項8】
前記巻取ドラムの前記大径部における前記巻始め端となる部分の直径は、前記巻取ローラが前記スクリーンを巻き取って全開にした時の前記スクリーンの巻径と同等であり、前記巻取ドラムの前記小径部における前記巻終り端となる部分の直径は、前記巻取ローラの直径と同等である、
ことを特徴とする請求項7に記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に取り付けて遮光や目隠しあるいは防虫等の目的で使用されるスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に取り付けて遮光や目隠しあるいは防虫等の目的で使用されるスクリーン装置は、従来より各種形態のものが知られている。特許文献1には、このようなスクリーン装置の一例として、カーテン開閉装置が開示されている。このカーテン開閉装置は、カーテンを上げ下げすることによって建物開口部を開閉するものであり、カーテンに張力が常に与えられている。
【0003】
この特許文献1に記載のカーテン開閉装置は、スクリーン(カーテン)に張力を与えるため、スクリーンを巻き取るための巻取ローラ(巻取シャフト)と同軸上に配置されたドラム軸(軸)と、ドラム軸の軸方向一端に取り付けられた巻取ドラム(巻取プーリ)と、巻取ドラムに基端部が卷回されて先端部がスクリーンの上端部に連結されたワイヤ(案内索)と、巻取ローラとドラム軸に両端が連結され、捻りにより蓄積される捻り力を巻取ローラ及びドラム軸にスクリーン及びワイヤを巻き取る方向の回転力として伝えるコイルばねと、を有して構成されている。それにより、スクリーンは、コイルばねの捻り力により、スクリーンの基端側が巻取ローラを介して下方に引っ張られ、且つスクリーンの先端側がワイヤを介して上方へ引っ張られて、常に張力が与えられた状態になっている。
【0004】
ところで、スクリーンが設置される現場において、スクリーンに与えられている張力を現場の環境に応じて高めたり緩めたりしたいという要望がある。しかしながら、特許文献1に記載のカーテン開閉装置は、コイルばねのばね軸方向の両端が巻取ローラ及びドラム軸に連結され、且つ巻取ドラムがドラム軸に固着されているので、スクリーンの張力の調節を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-170477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、スクリーンに常時張力を付与した状態で建物開口部を開閉することが可能なスクリーン装置において、前記スクリーンの張力を適宜調節することが可能なスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のスクリーン装置は、建物開口部を開閉するためのスクリーンと、前記スクリーンに張力を与えた状態で前記スクリーンを巻き取ったり繰り出したりするスクリーン巻取機構と、を備え、前記スクリーン巻取機構は、前記建物開口部に回転自在に支持され、前記スクリーンの巻き取り側の端部が連結されて前記スクリーンを巻き取る巻取ローラと、前記巻取ローラと同軸上に配設された巻取ドラムと、前記巻取ローラ及び前記巻取ドラムに同軸上に配設され、前記巻取ローラに相対回転可能に支持されると共に前記巻取ドラムが取り付けられたドラム軸と、一端が前記巻取ドラムに連結され他端が前記スクリーンの繰り出し側の端部に連結されたワイヤと、一端が前記巻取ローラに連結され他端が前記ドラム軸に連結されたコイルばねと、を有し、前記コイルばねの捻り力を前記巻取ローラ及び前記巻取ドラムに前記スクリーン及び前記ワイヤを巻き取る方向の回転力として付与して前記前記スクリーンに張力を与えるスクリーン装置であって、前記巻取ドラム及び前記ドラム軸は、これら両者が前記軸周りに係合状態となる係合位置と、これら両者の係合状態が解除されて前記軸周りに相対回転可能な状態となる非係合位置との間で切換可能に構成されており、前記巻取ドラム及び前記ドラム軸が前記非係合位置に切り換えられた状態で前記ドラム軸を前記軸周りに回動させることで、前記コイルばねの捻り力を変化させ、その後に前記巻取ドラム及び前記ドラム軸を前記係合位置に切り換えることで、前記コイルばねの変化した捻り力で前記スクリーンの張力調節が可能である、ことを特徴とする。
【0008】
この場合において、好ましくは、前記巻取ドラムは、更に前記ドラム軸に前記軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、前記スクリーン巻取機構は、前記ドラム軸に固定された係合部と、前記巻取ドラムに形成され前記巻取ドラムの軸方向の移動にともなって前記係合部と係合し及び係合解除可能な被係合部と、を有し、前記巻取ドラム及び前記ドラム軸は、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部側へ移動させて前記被係合部と前記係合部とを係合させると前記係合位置に切り換えられ、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部から離反する方向に移動させて前記被係合部と前記係合部との係合を解除させると、前記非係合位置に切り換えられる。
【0009】
また、好ましくは、前記係合部は、前記ドラム軸周りに配設された係合基部と、前記係合基部の前記巻取ドラム側を向く端面上に前記ドラム軸周りに等間隔を有して複数形成された凸部及び凹部のいずれか一方と、を有し、前記被係合部は、前記巻取ドラムの前記係合部側を向く面に前記ドラム軸周りに等間隔を有して複数形成され、前記凸部及び前記凹部のいずれか一方と係合可能な前記凸部及び前記凹部のいずれか他方と、を有し、前記スクリーン巻取機構は、前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部から離反する方向に移動させて前記凸部と前記凹部との係合を解除した状態で、前記ドラム軸を前記軸周りに所定角度回動させ、その後に前記巻取ドラムを前記ドラム軸に沿って前記係合部側に移動させて前記凸部と前記凹部とを再係合させる毎に、前記コイルばねの捻り力を段階的に変化させることが可能である。
【0010】
また、好ましくは、前記巻取ドラムは、前記係合部側を向くドラム端面に前記係合基部が挿抜可能に嵌合する嵌合凹部を有し、前記巻取ドラムの前記係合部側を向く前記面が前記嵌合凹部の底面であり、前記底面には、前記係合部の前記凸部又は前記凹部と係合可能な前記凹部又は前記凸部が形成されている。
【0011】
また、好ましくは、前記係合部は、前記巻取ドラムの前記嵌合凹部内に前記係合基部が挿入されて前記凸部と前記凹部とが係合した状態で、前記ドラム端面から離反した位置に操作部を有し、前記操作部は、前記ドラム端面よりも径方向外側に突出している。
【0012】
また、好ましくは、前記ドラム軸には、前記巻取ドラムを前記係合部側へ向かって付勢する弾性部材が設けられており、前記係合部と前記被係合部とが係合している状態で、前記係合部が前記弾性部材によって前記被係合部から押圧されている。
【0013】
また、好ましくは、前記巻取ドラムは、円錐台状に形成されていて、前記ワイヤを巻き取る際の巻始め端となる大径部と、前記ワイヤを巻き取った際の巻終り端となる小径部とを有し、前記巻取ドラムの外周には、巻き取った前記ワイヤが嵌合する嵌合溝が、前記大径部と前記小径部とを螺旋状に結ぶように形成されている。さらに好ましくは、前記巻取ドラムの前記大径部における前記巻始め端となる部分の直径は、前記巻取ローラが前記スクリーンを巻き取って全開にした時の前記スクリーンの巻径と同等であり、前記巻取ドラムの前記小径部における前記巻終り端となる部分の直径は、前記巻取ローラの直径と同等である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスクリーン装置は、スクリーンに常時張力を付与した状態で建物開口部を開閉することが可能なスクリーン装置において、前記スクリーンの張力を適宜調節することが可能なスクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスクリーン装置におけるスクリーンの繰り出し時の正面図である。
図2図1のスクリーン装置の平面図である。
図3図3(a)は巻取ドラムの底面図であり、図3(b)は巻取ドラムの底面側から見た斜視図である。
図4図4(a)は被係合部の平面図であり、図4(b)は被係合部の上面側から見た斜視図である。
図5】スクリーン巻取機構の係合部及び非係合部の係合状態を説明するためのスクリーン装置の部分断面図である。
図6】スクリーン巻取機構の係合部及び非係合部の非係合状態を説明するためのスクリーン装置の部分断面図である。
図7図7(a)は係合位置にある巻取ドラム及びドラム軸の断面図であり、図7(b)は非係合位置にある巻取ドラム及びドラム軸の断面図である。
図8】スクリーンを全開にした時のスクリーン装置の平面的な模式図であって、巻取ローラと巻取ドラムとを分離すると共に、コイルばねの巻き数を少なくして示す図である。
図9】スクリーンを半開にした時のスクリーン装置の模式図である。
図10】スクリーンを全閉にした時のスクリーン装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図7は、本発明に係るスクリーン装置の一実施形態を示している。このスクリーン装置1は、図1に示すように、スクリーン3A,3Bを横移動させて建物開口部70を開閉する横開き式のスクリーン装置1について説明する。なお、スクリーン装置1は、横開き式に限るものではなく、スクリーン3A,3Bを上下に昇降させて建物開口部70を開閉する縦開き式のスクリーン装置でもよい。
【0017】
スクリーン装置1は、建物開口部70に設置する上横枠杆7及び下横枠杆8のそれぞれの両端に連結した一対の縦枠杆9,9からなるスクリーン枠5を備えている。本実施形態では、一対の縦枠杆9,9をいずれもスクリーン3A,3Bの巻取ボックス6A,6Bとしており、巻取ボックス6A,6B内にそれぞれスクリーン3A,3Bの巻取ローラ4A,4Bを回転可能に収容し、巻取ローラ4A,4Bに一端を固定したスクリーン3A,3Bの他端にそれぞれ可動桟14A,14Bを取り付けて、これら可動桟14A,14Bによりそれぞれのスクリーン3A,3Bの開閉を独立して個別的に行い、建物開口部70の左右方向(幅方向)の中央部で両可動桟14A,14Bを接触させることにより、これらスクリーン3A,3Bを閉じた状態にするようにした横開き式のスクリーン装置1として構成したものである。
【0018】
すなわち、スクリーン枠5は、建物開口部70の左右方向の両側に縦向きに配設された巻取ボックス6A,6Bと、これら巻取ボックス6A,6Bの上端及び下端から建物開口部70の上辺及び下辺に沿ってそれぞれ水平に延びる上横枠杆7及び下横枠杆8と、を有して構成されている。
【0019】
なお、本実施形態のスクリーン装置1は、左右のスクリーン3A,3Bを開閉するための基本的な構成が、スクリーン装置1の左右方向の中央に対して左右対称の位置関係にあるので以下の説明においては、特に必要である場合を除いて、図1において右側のスクリーン3Aに関連する機構について説明し、左側のスクリーン3Bに関連する機構については、適宜補助符号「A」を「B」、「a」を「b」に読み替えるものとして、それらの説明を省略する。
【0020】
また、本実施形態において、巻取ローラ4A,4Bでスクリーン3A,3Bを巻き取って建物開口部70を開放することを「スクリーン3A,3Bを開放する」と言い、巻取ローラ4A,4Bからスクリーン3A,3Bを繰り出して建物開口部70を閉鎖することを「スクリーン3A,3Bを閉じる」と言う。従って、「スクリーン3A,3Bを開閉する」というのは、「スクリーン3A,3Bで建物開口部70を開閉する」ことを意味する。
【0021】
スクリーン装置1は、建物開口部70を開閉するためのスクリーン3A,3Bと、スクリーンに張力が与えられた状態でスクリーンを巻き取ったり繰り出したりするスクリーン巻取機構10A,10Bと、を備えている。
【0022】
スクリーン巻取機構10A,10Bは、スクリーン3A,3Bの繰り出し方向の先端に取り付けられた可動桟14A,14Bと、建物開口部70に回転自在に支持され、スクリーン3A,3Bの基端部が連結されてスクリーン3A,3Bを巻き取ったり繰り出したりする巻取ローラ4A,4Bと、巻取ローラ4A,4Bと同軸上に配設された巻取ドラム40A,40Bと、巻取ローラ4A,4B及び巻取ドラム40A,40Bに同軸上に配設され、巻取ローラ4A,4Bに相対回転可能に支持され、且つ一端部に巻取ドラム40A,40Bが取り付けられたドラム軸29A,29Bと、一端が巻取ドラム40A,40Bに連結され他端が可動桟14A,14Bに連結されたワイヤ30A,30Bと、一端が巻取ローラ4A,4Bに連結され他端がドラム軸29A,29Bに連結されたコイルばね34A,34Bと、を有しており、コイルばね34A,34Bの捻り力を巻取ローラ4A,4B及び巻取ドラム40A,40Bにスクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bを巻き取る方向の回転力として付与することで、スクリーン3A,3Bに張力が与えられるように構成されている。
【0023】
本実施形態において、巻取ローラ4A,4Bは、建物開口部70の幅方向の両端部に配置されており、円筒状に形成されて上下方向に延びている。巻取ローラ4A,4Bの上端部には、図5に示すように、円柱状の巻取軸キャップ20A,20Bが挿着されており、この巻取軸キャップ20A,20Bの内部には、巻取ローラ4A,4Bと同軸上に貫通してドラム軸29A,29Bが挿通される挿通孔21A,21Bが形成されている。挿通孔21A,21Bの内径はドラム軸29A,29Bの外径よりも僅かに大きく形成され、それにより、ドラム軸29A,29Bが巻取軸キャップ20A,20Bに対して回転自在に支持されている。巻取軸キャップ20A,20Bの上端部には巻取ローラ4A,4Bより小径の第1ローラ軸22A,22Bが突出して形成され、第1ローラ軸22A,22Bの内部には挿通孔21A,21Bが延在している。
【0024】
一方、巻取ローラ4A,4Bの下端部には、図1に示すように、巻取軸キャップ23A,23Bが挿着されている。この巻取軸キャップ23A,23Bは、前述した巻取軸キャップ20A,20Bとほぼ同様に形成されており、巻取軸キャップ23A,23Bの下端部には巻取ローラ4A,4Bより小径であって巻取ローラ4A,4Bと同軸上に延びる第2ローラ軸24A,24Bが形成されている。これら第1ローラ軸22A,22B及び第2ローラ軸24A,24Bにそれぞれ転がり軸受けとしてのベアリング13A,13Bが取り付けられ、これらベアリング13A,13Bを介して巻取ローラ4A,4Bが、巻取ボックス6A,6Bの内部に回転自在に支持されている。第1ローラ軸22A,22B及び第2ローラ軸24A,24Bに取り付けられたベアリング13A,13Bは、巻取ボックス6A,B内に支持されている。
【0025】
スクリーン3A,3Bの先端に取り付けられた可動桟14A,14Bの上下端は、スクリーン枠5の上横枠杆7及び下横枠杆8に形成されたガイド溝内に嵌合し、スクリーン3A,3Bの開閉操作時に上横枠杆7及び下横枠杆8によって案内される。
【0026】
また、スクリーン3A,3Bの上下方向の上端及び下端は、上横枠杆7及び下横枠杆8内にそれぞれ収容されたインナーレール(不図示)のスリット内に嵌合し、開閉時にスリットに沿って移動するようになっており、スクリーン3A,3Bの上端及び下端に係止部材19A,19Bが取り付けられ、この係止部材19A,19Bがスリットの内縁に摺動自在に係止しており、これによりスクリーン3A,3Bは、その開閉時に上横枠杆7及び下横枠杆8に沿って円滑にガイドされるだけでなく、風圧等の作用により撓んで上下端が上横枠杆7及び下横枠杆8から外れるのが防止される。
【0027】
係止部材19A,19Bとしては、例えば、スライドファスナーの互いに噛合する一対の務歯のうちの一方の務歯を使用することができるが、務歯以外のものであっても、スリットの内縁に係止した状態で内縁に沿って摺動できるものであれば、どのようなものでも構わない。スクリーン3A,3Bと可動桟14A,14Bとの連結にも同様の係止部材19A,19Bが使用され、可動桟14A,14Bに上下方向に形成されたスリット内にスクリーン3A,3Bの先端部が挿入され、先端部に取り付けた係止部材19A,19Bがスリットの内縁に係止することにより、スクリーン3A,3Bと可動桟14A,14Bとが連結されている。
【0028】
巻取ボックス6A,6Bは、図1及び図2に示すように、上下方向に延びて断面が矩形状に形成されており、その前面にはヒンジや螺子等の取付部材により開閉自在あるいは分離自在に取り付けられたカバーを有していて、通常はカバーで巻取ボックス6A,6Bの前面が覆われており、メンテナンス時やスクリーン3A,3Bの張力調節時等にカバーが開放されるように構成されている。
【0029】
ドラム軸29A,29Bは、図1及び図5に示すように、その軸方向下端側が巻取ローラ4A,4Bの上側内部に位置し、軸方向上端側が巻取軸キャップ20A,20Bの上端から突出して巻取ボックス6A,6Bの上部まで延在している。
【0030】
ドラム軸29A,29Bの上端には円錐台状をした巻取ドラム40A,40Bが取り付けられ、巻取ドラム40A,40Bに、巻取ドラム40A,40Bと可動桟14A,14Bとを結ぶワイヤ30A,30Bの基端部が連結されており、スクリーン3A,3Bの開閉時にワイヤ30A,30Bが、巻取ドラム40A,40Bに巻き取られたり巻取ドラム40A,40Bから引き出されたりするように構成されている。より具体的には、スクリーン3A,3Bを巻取ローラ4A,4Bから繰り出して建物開口部70を閉じる際に、ワイヤ30A,30Bが巻取ドラム40A,40Bに巻き取られ、スクリーン3A,3Bを巻取ローラ4A,4Bに巻き取って建物開口部70を開く際に、ワイヤ30A,30Bが巻取ドラム40A,40Bから引き出されるように構成されている。
【0031】
巻取ドラム40A,40Bは、図7(a)及び図7(b)に示すように、大径部41a1,41b1及び小径部41a2,41b2を有する円錐台状をしたドラム本体41A,41Bを有する。ドラム本体41A,41Bには、ドラム軸29A,29Bと同軸上であってドラム軸29A,29Bの外径よりも僅かに大きい内径を有した貫通孔42A,42Bが形成され、貫通孔42A,42Bの上端には貫通孔42A,42Bの内径よりも大径のばね収容凹部43A,43Bが形成され、貫通孔42A,42Bの下端には後述する被係合部62A,62Bが設けられた嵌合凹部44A,44Bが形成されている。巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bは、詳細は後述するが、これら両者が軸周りに係合状態となる係合位置P1(図7(a)参照)と、これら両者の係合状態が解除されて軸周りに相対回転可能な状態となる非係合位置P2(図7(b)参照)と、の間で切換可能に構成されている。
【0032】
巻取ドラム40A,40Bは、ドラム軸29A,29Bに、小径部41a2,41b2を下向きにし、且つ大径部41a1,41b1を上向きにした姿勢で同軸上に且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。また、巻取ドラム40A,40Bは、ばね収容凹部43A,43B内に突出するドラム軸29A,29Bに取り付けられた圧縮ばね45A,45B(弾性部材)によって常に下方へ向かって付勢されている。
【0033】
巻取ドラム40A,40Bの大径部41a1、41b1は、ワイヤ30A,30B(図1参照)を巻き取る際の巻始め端となる部分であり、小径部41a2、41b2は、ワイヤ30A,30B(図1参照)を巻き取った時の巻終り端となる部分であり、巻取ドラム40A,40Bの外周面には、巻き取ったワイヤ30A,30Bが嵌合する嵌合溝46A,46Bが、大径部41a1、41b1と小径部41a2、41bとを螺旋状に結ぶように形成され、この嵌合溝46A,46Bに沿ってワイヤ30A,30Bが螺旋状に巻き取られるように構成されている。小径部41a2、41bには、ワイヤ30A,30Bが巻取ドラム40A,40Bから外れるのを防止するためのフランジ部47A,47Bが環状に形成され、このフランジ部47A,47Bにワイヤ30A,30Bが当接又は近接する位置がワイヤ30A,30Bの巻終わり端になるように設定されている。
【0034】
ここで、図8の模式図に示すように、巻取ローラ4A,4Bがスクリーン3A,3Bを巻き取る時の回転方向aと巻取ドラム40A,40Bがワイヤ30A,30Bを巻き取るときの回転方向bとは、互いに逆方向であり、本実施形態においては、巻取ローラ4A,4Bがスクリーン3A,3Bを巻き取る時の回転方向aは時計回りに設定され、巻取ドラム40A,40Bがワイヤ30A,30Bを巻き取るときの回転方向bは反時計回りに設定されている。なお、これらの回転方向はその逆であっても構わない。
【0035】
また、スクリーン3A,3Bの長さとワイヤ30A,30Bの長さとは、スクリーン3A,3Bが全開のとき(図8参照)、即ち、スクリーン3A,3Bが巻取ローラ4A,4Bに全て巻き取られたとき、ワイヤ30A,30Bの後述する単線部30A1,30B1が巻取ドラム40A,40Bから全て引き出され、スクリーン3A,3Bが全閉のとき(図10参照)、即ち、スクリーン3A,3Bが巻取ローラ4A,4Bから全て繰り出されたとき、ワイヤ30A,30Bの単線部30A1,30B1が巻取ドラム40A,40Bに全て巻き取られるように関係付けられている。
【0036】
更に、巻取ドラム40A,40Bの巻き始め端の位置における直径φd1は、巻取ローラ4A,4Bがスクリーン3A,3Bを巻き取って全開にした時のスクリーン3A,3Bの巻径φD1とほぼ同等であり、巻取ドラム40A,40Bの巻き終わり端の位置即ち小径部41a2、41bの直径φd2は、巻取ローラ4A,4Bの外径φD2とほぼ同等であるように設定されている。
【0037】
ワイヤ30A,30Bは、図1及び図2に示すように、分岐部31A,31Bより基端側の単線部30A1,30B1と、分岐部31A,31Bより先端側の複線部30A2,30B2とを有し、単線部30A1,30B1は1本のワイヤ30a1,30b1からなり、複線部30A2,30B2は2本のワイヤ30a2,30a3,30b2,30b3に分岐している。単線部30A1,30B1は、スクリーン3A,3Bの開閉時に巻取ドラム40A,40Bに巻き取られたり巻取ドラム40A,40Bから引き出されたりする部分であり、一方、複線部30A2,30B2における2本のワイヤ30a2,30a3,30b2,30b3は、スクリーン枠5内に設けられた複数のガイドプーリ33a,33b,33c,33d,33e,33fに掛け回されたあと、一方のワイヤ30a2、30b2の先端は、巻取ボックス6A,6Bの上端のガイドプーリ33a,33dから可動桟14A,14Bの上端部に連結され、他方のワイヤ30a3、30b3の先端は、巻取ボックス6B、6Aの下端のガイドプーリ33b,33eから可動桟14A,14Bの下端部に連結されている。
【0038】
ドラム軸29A,29Bの下端側は、図5に示すように、巻取軸キャッ20A,20B(第1ローラ軸22A,22B)の下端部から巻取ローラ4A,4Bの内部に突出し、このドラム軸29A,29Bの下端側には、これを取り巻くようにコイルばね34A,34Bが配設されている。コイルばね34A,34Bの下端(一端)がドラム軸29A,29Bに固定され、コイルばね34A,34Bの上端(他端)が巻取軸キャップ20A,20Bに固定されており、それにより、巻取ローラ4A,4Bは、コイルばね34A,34Bを介してドラム軸29A,29Bに繋がっている。
【0039】
コイルばね34A,34Bには、予め、その巻き回数を増やすための初期捻りが加えられており、この初期捻りによって巻取ローラ4A,4B及びドラム軸29A,29Bには、コイルばね34A,34Bが巻き戻ろうとする方向の捻り力(回転力)が常時作用している。その捻り力の作用方向は、巻取ローラ4A,4Bとドラム軸29A,29Bとで互いに逆方向であって、図8に示すように、巻取ローラ4A,4Bにおいては、スクリーン3A,3Bを巻き取る方向a即ち時計回りであり、ドラム軸29A,29Bにおいては、巻取ドラム40A,40Bがワイヤ30A,30Bを巻き取る方向b即ち反時計回りである。これにより、スクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bは、常に張力が作用した状態になるため、緩みによる動作不良等が生じない。
【0040】
ここで、本実施形態のスクリーン巻取機構10A,10Bには、図3図7に示すように、巻取ドラム40A,40Bの下端に形成されたドラム端面48A,48Bに対向してドラム軸29A,29Bに固定された係合部61A,61Bと、巻取ドラム40A,40Bのドラム端面48A,48Bに形成され、係合部61A,61Bと係合可能な被係合部62A,62Bと、が設けられている。係合部61A,61Bは、ドラム軸周りを囲む環状の係合基部61a1,61b1と、係合基部61a1,61b1の巻取ドラム40A,40B側に面する面上に軸周りに等間隔を有して形成された複数の凸部61a2,61b2と、係合基部61a1,61b1よりも巻取ローラ4A,4B側に軸周りに形成された操作部61a3,61b3と、を有している。被係合部62A,62Bは、巻取ドラム40A,40Bのドラム端面48A,48Bに形成された嵌合凹部44A,44Bの底面にドラム軸周りに等間隔を有して形成された複数の凹部62a1,62b1を有している。複数の凹部62a1,62b1は、複数の凸部61a2,61b2と係合可能である。
【0041】
係合部61A,61Bには、ドラム軸29A,29Bが挿通される挿通孔62a2,62b2が貫通しており、係合基部61a1,61b1に形成された凸部61a2,61b2は、平面視において台形状に形成されている。凸部61a2,61b2のドラム軸周りの両側には、軸方向に起立して径方向に延びる一対の側面部61a4,61b4(図4(b)参照)が形成されており、凸部61a2,61b2の先端(上端)は平面状に形成されている。本実施形態では、一対の側面部61a4,61b4は、ドラム軸周りのなす角度αがほぼ45度の角度を有して形成されており、ドラム軸周りに隣接する凸部61a2,61b2間のなす角度βはほぼ90度を有しており、これにより、凸部61a2,61b2はドラム軸周りに4つ形成されている。係合部61A,61Bは、ピン65A,65B等の係止具によってドラム軸29A,29Bに対して相対的に回転不能になるように固定されている。
【0042】
操作部61a3,61b3は、ドラム軸周りに円環状に形成されており、操作部61a3,61b3の外径は、巻取ドラム40A,40Bの小径部41a2,41b2よりも大径である。本実施形態では、操作部61a3,61b3の外径はフランジ部47A,47Bの外径とほぼ同じ大きさである。このため、操作部61a3,61b3を回動させる際に、作業者の指が巻取ドラム40A,40Bやワイヤ30A,30B(図8参照)に接触する虞を防止することができる。また操作部61a3,61b3の外周縁には、複数の凹凸が周方向に連続して形成され、これにより操作部61a3,61b3を回動させる際の操作性を向上させている。
【0043】
被係合部62A,62Bは、巻取ドラム40A,40Bのドラム端面48A,48Bに形成された嵌合凹部44A,44B内に設けられている。嵌合凹部44A,44Bは、貫通孔42A,42Bと同軸上であってドラム端面48A,48Bに窪んだ円筒状に形成されており、嵌合凹部44A,44Bの内径は、係合部61A,61Bの係合基部61a1,61b1の外径よりも僅かに大きい。この嵌合凹部44A,44Bの底面に被係合部62A,62Bの凹部62a1,62b1が複数形成されている。凹部62a1,62b1は、底面視において係合部61A,61Bの凸部61a2,61b2よりも僅かに大きい台形状に形成されており、凹部62a1,62b1のドラム軸周りの両側には、軸方向(上下方向)に起立して径方向に延びる内面部62a3,62b3が形成され、凹部62a1,62b1の底面は平面状に形成されている。
【0044】
本実施形態では、一対の内面部62a3,62b3は、軸周りの成す角度αがほぼ45度の角度を有した位置に形成されて、また、軸周りに隣接する凹部62a1,62b1間のなす角度βはほぼ90度を有しており、これにより、4つの凹部62a1,62b1が嵌合凹部44A,44Bの底面に形成されている。このため、巻取ドラム40A,40Bの被係合部62A,62Bの嵌合凹部44A,44B内に係合部61A,61Bの係合基部61a1,61b1が挿入されると、4つの凹部62a1,62b1のそれぞれに凸部61a2,61b2が挿入される。そして、凸部61a2,61b2の側面部61a4,61b4を凹部62a1,62b1の内面部62a3,62b3に当接させると、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとが係合状態になり、これにより、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bは軸周りに係合した係合位置P1(図5参照)に切り換えられた状態になる。
【0045】
また、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとが係合した状態から、巻取ドラム40A,40Bをドラム軸29A,29Bに沿って係合部61A,61Bから離反する方向(上方)に移動させると、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとの係合が解除された非係合状態となって、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bは軸周りに相対回転が許容される非係合位置P2(図6参照)に切り換えられた状態になる。なお、凸部61a2,61b2及び凹部62a1,62b1のそれぞれは4つに限るものではなく、少なくとも2つ以上有ればよい。
【0046】
次に、スクリーン装置1の作用について説明する。図8図10は、スクリーン装置1を、同軸に設けられている巻取ローラ4A,4Bと巻取ドラム40A,40Bとを互いに分離すると共に、コイルばね34A,34Bの巻数を少なくした状態にして平面的に示す模式図であって、図8はスクリーン3A,3Bを全開にした状態であり、図9はスクリーン3A,3Bを半開にした状態であり、図10はスクリーン3A,3Bを全閉にした状態である。
【0047】
スクリーン装置1において、図8に示すように、スクリーン3A,3Bを全開にした状態では、初期捻りが加えられたコイルばね34A,34Bにより、巻取ローラ4A,4Bには、矢印a方向の回転力が作用し、ドラム軸29A,29B即ち巻取ドラム40A,40Bには、矢印b方向の回転力が作用している。この状態から、可動桟14A,14Bを図の左方(矢印m方向)に移動させてスクリーン3A,3Bを巻取ローラ4A,4Bから繰り出すと、巻取ローラ4A,4Bが矢印b方向に回転してコイルばね34A,34Bが捻られ、その付勢力によりドラム軸29A,29B及び巻取ドラム40A,40Bが矢印b方向に回転する。このため、図9及び図10に示すように、巻取ドラム40A,40Bが、可動桟14A,14Bの移動量(スクリーン3A,3Bの繰り出し量)に対応する長さのワイヤ30A,30Bを、巻取ドラム40A,40Bの大径部41a1,41b1側から小径部41a2,41b2側に向けて嵌合溝46A,46B(図7(a)参照)に沿って螺旋状に巻き取っていく。
【0048】
このとき、巻取ローラ4A,4Bによるスクリーン3A,3Bの巻径と巻取ドラム40A,40Bによるワイヤ30A,30Bの巻径との径差によって、巻取ローラ4A,4Bとドラム軸29A,29B(巻取ドラム40A,40B)との間に回転差が生じて、スクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bに作用する張力が低下する虞が生じるが、初期捻りが加えられたコイルばね34A,34Bのトルクによって、スクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bに常に張力を与えている。
【0049】
また、巻取ローラ4A,4Bとドラム軸29A,29B(巻取ドラム40A,40B)との間の回転差により、コイルばね34A,34Bの捻り回数(巻回数)は若干増減することがあるが、巻取ローラ4A,4Bによるスクリーン3A,3Bの巻径と巻取ドラム40A,40Bによるワイヤ30A,30Bの巻径とは、比例的に変化するように設定されていて、スクリーン3A,3Bがどのような開閉状態にあっても両者間に大きな差が生じないため、コイルばね34A,34Bの巻回数が大幅に増減することはない。このため、スクリーン3A,3Bを図8の全開位置から図9の半開位置を経て図10の全閉位置まで繰り出す際の操作力はほぼ一定となり、またスクリーン3A,3Bを図10の半開位置にも停止させることができる。
【0050】
次に、スクリーン3A,3Bを図10の全閉位置から、図9の半開位置を経て図8の全開位置に移動させるために可動桟14A,14Bを図の右方(矢印n方向)に移動させてスクリーン3A,3Bを巻取ローラ4A,4Bに巻き取る場合について説明する。この場合、ワイヤ30A,30Bが巻取ドラム40A,40Bから引き出されることにより、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが矢印a方向に回転してコイルばね34A,34Bが捻られるため、その捻り力により巻取ローラ4A,4Bが矢印a方向に回転してスクリーン3A,3Bを巻き取る。このとき、前述したように、巻取ローラ4A,4Bによるスクリーン3A,3Bの巻径と巻取ドラム40A,40Bによるワイヤ30A,30Bの巻径との径差によって、巻取ローラ4A,4Bとドラム軸29A,29B(巻取ドラム40A,40B)との間に回転差が生じて、スクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bに作用する張力が低下する虞が生じるが、初期捻りが加えられたコイルばね34A,34Bのトルクによって、スクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bに常に張力を与えている。また、巻取ドラム40A,40Bと巻取ローラ4A,4Bとの回転差によってコイルばね34A,34Bの捻り回数が若干増減することがあっても、前述したようにコイルばね34A,34Bの巻回数が大幅に増減することはない。このため、スクリーン3A,3Bを開放する際の操作力もほぼ一定になる。
【0051】
次に、スクリーン3A,3Bの張力を調節する作用について説明する。なお、スクリーン3A,3Bの張力を調節する場合、スクリーン3A,3Bは建物開口部70を閉じた位置、開いた位置、及びこれらの中間位置のいずれの位置でもよい。図5及び図7(a)は係合部61A,61Bと被係合部62A,62Bとが係合して、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが軸周りに係合状態となる係合位置P1に切り換えられた状態にある場合を示し、図6及び図7(b)は係合部61A,61Bと被係合部62A,62Bとの係合が解除されて巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが軸周りに相対回転が許容される非係合位置P2に切り換えられた状態にある場合を示している。
【0052】
図5及び図7(a)に示すように、係合部61A,61Bに対して巻取ドラム40A,40Bを接近移動させると、被係合部62A,62Bの凹部62a1,62b1内に係合部61A,61Bの凸部61a2,61b2が挿入されて、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとが係合状態になり、それにより巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが係合位置P1に切り換えられた状態になる。この状態では、ドラム軸29A,29Bに固定された圧縮ばね45A,45Bによって巻取ドラム40A,40Bを介して凹部62a1,62b1を凸部61a2,61b2に付勢しているので、被係合部62A,62Bが係合部61A,61Bから離反する虞を防止している。また、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとが係合状態になると、凸部61a2,61b2の側面部61a4,61b4と凹部62a1,62b1の内面部62a3,62b3が当接可能な状態になるので、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bは、軸周りに係合状態になる。それにより、コイルばね34A,34Bに蓄積された捻り力を巻取ローラ4A,4B及びドラム軸29A,29Bにスクリーン3A,3B及びワイヤ30A,30Bを巻き取る方向の回転力として伝達可能になる。
【0053】
この被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとが係合した状態において、巻取ドラム40A,40Bを圧縮ばね45A,45Bの付勢に抗して係合部61A,61Bから離反する上方へ移動させると、図6及び図7(b)に示すように、被係合部62A,62Bの凹部62a1,62b1から係合部61A,61Bの凸部61a2,61b2が抜脱されて、被係合部62A,62Bと係合部61A,61Bとの係合が解除され、それにより巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが非係合位置P2に切り換えられた状態になる。したがって、巻取ドラム40A,40Bは、ドラム軸29A,29Bに対して軸周りに回転が許容される状態となるので、ドラム軸29A,29Bを回転させても巻取ドラム40A,40Bは回転しない。
【0054】
これにより、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが非係合位置P2に切り換えられた状態にあるときに、操作部61a3,61b3を介して係合部61A,61Bを回動させると、ドラム軸29A,29Bに連結されたコイルばね34A,34Bの下端(一端)が巻取ローラ4A,4Bに連結されたコイルばね34A,34Bの上端(他端)に対してドラム軸周りに回動して、初期捻り状態にあるコイルばね34A,34Bが捻られる。このとき、捻り方向が初期捻りの方向と同一方向である場合には、コイルばね34A,34Bの捻り量が増大し、捻り方向が初期捻りの方向と逆方向である場合には、コイルばね34A,34Bの捻り量が減少する。コイルばね34A,34Bの捻り量が増大する場合には、コイルばね34A,34Bに初期捻り状態に戻ろうとする増大した付勢力が発生するので、スクリーン3A,3Bに与えられる張力を増大させることができる。一方、コイルばね34A,34Bの捻り量が減少する場合には、コイルばね34A,34Bに初期捻り状態に戻ろうとする付勢力が減少するので、スクリーン3A,3Bに与えられる張力を減少させることができる。そして、この係合部61A,61Bの軸周りへの回動操作後に、巻取ドラム40A,40Bを係合部61A,61B側へ移動させて凸部61a2,61b2と凹部62a1,62b1とを再係合させることにより、コイルばね34A,34Bの変化した捻り力でスクリーン3A,3Bの張力を調節することができる。
【0055】
ここで、本実施形態では、図3(a)及び図4(a)に示すように、係合部61A,61Bを軸周りに所定角度(45度)回動させる毎に、被係合部62A,62Bの凹部62a1,62b1と係合部61A,61Bの凸部61a2,61b2とが係合可能であるので、コイルばね34A,34Bの捻り量の調節を段階的に増大又は減少させることができる。これによりスクリーン3A,3Bの張力を細かく調節することができる。また、可動桟14A,14Bは、スクリーン3A,3Bの開位置、閉位置及びこれらの中間位置のいずれの位置においても停止させることができるので、コイルばね34A,34Bの調節もスクリーン3A,3Bの位置に係わらずに調節することができる。
【0056】
このように、本実施形態に係わるスクリーン装置1によれば、ドラム軸29A,29Bに係合部61A,61Bを固定し、巻取ドラム40A,40Bに係合部61A,61Bと係合可能な被係合部62A,62Bを形成し、巻取ドラム40A,40Bをドラム軸29A,29Bに軸方向に移動自在に設けることで、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bは、これら両者が軸周りに係合状態となる係合位置P1と、これら両者の係合状態が解除されて軸周りに相対回転可能な状態となる非係合位置P2との間で切換可能である。これにより、巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bが非係合位置P2に切り換えられた状態で操作部61a3,61b3を介してドラム軸29A,29Bを軸周りに回動させることにより、コイルばね34A,34Bの捻り力を変化させ、その後に巻取ドラム40A,40B及びドラム軸29A,29Bを係合位置P1に切り換えることで、コイルばね34A,34Bの変化した捻り力でスクリーン3A,3Bの張力を適宜調節することが可能なスクリーン装置1を提供することができる。
【0057】
なお、前述した実施形態では、巻取ドラム40A,40Bの下方に係合部61A,61Bを配設したが、係合部61A,61Bを巻取ドラム40A,40Bの上方に配設することもできる。また、巻取ドラム40A,40Bは、大径部41a1,41b1を下向きにし、且つ小径部41a2,41b2を上向きにした姿勢でドラム軸29A,29Bに取り付けられているが、その逆に、大径部41a1,41b1を上向きにし、且つ小径部41a2,41b2を下向きにした姿勢で、ドラム軸29A,29Bに取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 スクリーン装置
3A,3B スクリーン
4A,4B 巻取ローラ
10A,10B スクリーン巻取機構
14A,14B 可動桟
29A,29B ドラム軸
30A,30B ワイヤ
34A,34B コイルばね
40A,40B 巻取ドラム
41a1,41b1 大径部
41a2,41b2 小径部
45A,45B 圧縮ばね(弾性部材)
46A,46B 嵌合溝
48A,48B ドラム端面
61A,61B 係合部
61a1,61b1 係合基部
61a2,61b2 凸部
61a3,61b3 操作部
62A,62B 被係合部
62a1,62b1 凹部
70 建物開口部
P1 係合位置
P2 非係合位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10