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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037020
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電池パックの冷却構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20240311BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240311BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141633
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】成毛 俊昭
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA01
3D038AA02
3D038AA04
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC02
3D038AC22
3D038AC27
3D235AA02
3D235BB23
3D235BB36
3D235DD27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸気ダクトを流れる冷却用空気の騒音を低減し、乗員の快適性を向上できる電池パックの冷却構造を提供する。
【解決手段】本発明の電池パック11の冷却構造10では、電池ケース21と、電池ケースに冷却用空気を送風する吸気ダクト22と、を備える。吸気ダクト22には、上方から下方に向けて送風される冷却用空気が再び下方から上方に向けて送風される屈折領域28が形成される。そして、屈折領域28の冷却用空気との衝突領域には、振動吸収部材が配設される。この構造により、少なくとも冷却用空気の一部が、振動吸収部材の内部を通過することで、冷却用空気に含まれる振動が吸収され、騒音が低減される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールが収納される電池ケースと、
前記電池ケースと連通し、前記電池モジュールを冷却する冷却用空気を送風する吸気ダクトと、
前記吸気ダクトへ前記冷却用空気を供給する送風機と、を備え、
前記吸気ダクトは、上方から下方に向けて送風される前記冷却用空気が再び前記下方から前記上方に向けて送風される屈折領域を有し、
前記吸気ダクトの前記屈折領域には、少なくとも前記冷却用空気との衝突領域に振動吸収部材が配設されることを特徴とする電池パックの冷却構造。
【請求項2】
前記屈折領域は、前記電池ケースの上面よりも下方の位置に形成され、
前記吸気ダクトは、前記屈折領域より上方の位置にて前記電池ケースと連結することを特徴とする請求項1に記載の電池パックの冷却構造。
【請求項3】
前記吸気ダクトの中間部には、前記冷却用空気が流れるチャンバが形成され、
前記屈折領域は、前記チャンバの内部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池パックの冷却構造。
【請求項4】
前記振動吸収部材は、不織布であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池パックの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池パックの冷却構造として、例えば、特許文献1に記載の構造が知られている。
【0003】
電池パックは、複数の電池モジュールと、複数の電池モジュールを収納する電池ケースと、電池ケースに冷却用空気を送風する冷却ダクトと、冷却ダクトに冷却用空気を供給する第1の送風機と、を備える。電池ケースと冷却ダクトとは、第1の送風機を介して連結する。そして、第1の送風機と冷却ダクトとの間には、集塵フィルタと、集塵フィルタに堆積した埃等の異物を除去する第2の送風機と、が配設される。
【0004】
車両の車室内の空気が、第1の送風機により冷却ダクトへと吸い込まれ、冷却用空気として用いられる。冷却用空気は、電池ケース内へと送風される前に集塵フィルタを通過することで、冷却用空気に交じる異物が集塵フィルタにより除去される。そして、第2の送風機は、電子制御ユニットにより電子制御され、集塵フィルタに対して外気を送風することで、集塵フィルタに堆積した異物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-199110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電池パックの冷却構造では、冷却ダクトは、第1の送風機を介して電池ケースの上面近傍に連結する。そして、冷却ダクトは、車両の上方側へと延在し、車室内の空気を取り込む構造となる。そして、冷却用空気は、集塵フィルタを通過した後、電池ケース内へと送風される。
【0007】
この構造により、従来の上記冷却構造では、第1の送風機が稼働することでの騒音、冷却用空気が送風ダクト内を流れることでの流体騒音や冷却用空気が集塵フィルタを通過する際の騒音等が発生する。そして、冷却用空気が、電池ケース内に対して上方から下方へと流れる風路では、上記騒音から振動を除去することが難しい。その結果、上記騒音が、車室内へと響くことで、乗員の会話を妨げ、また、音楽が聞き取り難くなる等、車室内での乗員の快適性が損なわれるという課題がある。
【0008】
また、従来の上記冷却構造では、集塵フィルタと第2の送風機を用いることで、冷却用空気内の異物を除去し易くなる。しかしながら、上記冷却構造では、構成部品が増大し、その風路構造が煩雑化することで、製造コストが低減し難いという課題がある。更には、上記冷却構造では、装置全体として大型化するため、収納スペースが確保され難いという課題がある。特に、電動車両では、多量の電池モジュールを搭載する必要があり、その収納スペースが確保され難いという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、吸気ダクトに屈折領域を設けると共に、屈折領域の冷却用空気との衝突領域に振動吸収部材が配設されることで、騒音の発生量の低減を実現する電池パックの冷却構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造では、電池モジュールが収納される電池ケースと、前記電池ケースと連通し、前記電池モジュールを冷却する冷却用空気を送風する吸気ダクトと、前記吸気ダクトへ前記冷却用空気を供給する送風機と、を備え、前記吸気ダクトは、上方から下方に向けて送風される前記冷却用空気が再び前記下方から前記上方に向けて送風される屈折領域を有し、前記吸気ダクトの前記屈折領域には、少なくとも前記冷却用空気との衝突領域に振動吸収部材が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造では、電池ケースに冷却用空気を送風する吸気ダクトには、上方から下方に向けて送風される冷却用空気が再び下方から上方に向けて送風される屈折領域が形成される。そして、屈折領域の冷却用空気との衝突領域には、振動吸収部材が配設される。この構造により、少なくとも冷却用空気の一部が、振動吸収部材の内部を通過することで、冷却用空気に含まれる振動が吸収され、騒音が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造を搭載した車両を説明する斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造を説明する概略図である。
図3A】本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造を説明する断面図である。
図3B】本発明の一実施形態である電池パックの冷却構造を説明する断面図である。
図4】本発明の他の実施形態である電池パックの冷却構造を説明する概略図である。
図5】本発明の他の実施形態である電池パックの冷却構造を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る電池パック11の冷却構造10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面前後方向は電池パック11の縦幅方向を示し、紙面左右方向は電池パック11の横幅方向を示し、紙面上下方向は電池パック11の高さ幅方向を示す。
【0014】
図1は、本実施形態の電池パック11の冷却構造10を搭載する車両12を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の電池パック11の冷却構造10を説明する概略図である。図3A及び図3Bは、本実施形態の電池パック11の冷却構造10の吸気ダクト22の屈折領域28を説明する断面図である。
【0015】
図1に示す如く、自動車や電車等の車両12には、モータや様々の電装部品に電力を供給するための電池パック11(図2参照)が搭載される。車両12として自動車の場合には、近年、EV(Electrical Vehicle)、HEV(Hybrid Electrical Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)等が普及している。
【0016】
また、電池パック11は、例えば、車両12の後方のリアフロア下方の収納スペース13に配設される。そして、電池パック11の長手方向が、車両12の車幅方向と一致するように、電池パック11は配設される。尚、電池パック11は、リアフロア下方の収納スペース13に配設される場合に限定されるものではなく、車両12の運転席や助手席が配設されるフロントフロア等の下方の収納スペースに配設される場合でも良い。また、電池パック11の収納時の方向は、収納スペース13の形状に応じて任意の設計変更が可能である。
【0017】
図2に示す如く、電池パック11は、主に、電池モジュールと、電池モジュールを収納する電池ケース21と、電池モジュールを制御するBCU(Battery Control Unit)やジャンクションボックス等の電子機器と、を備える。尚、図2では、電池ケース21の内部に収納される電池モジュール、BCU、ジャンクションボックス等は省略して示す。
【0018】
また、電池パック11の冷却構造10は、主に、電池パック11と、冷却用空気を送風する吸気ダクト22と、冷却用空気を吸気ダクト22へと圧送する送風機23と、送風機23を吸気ダクト22へと固定する送風機ボックス24と、集塵フィルタ25と、を備える。
【0019】
図示したように、吸気ダクト22は、電池ケース21の天面21A側に接続し、電池ケース21の内部と連通する。一方、吸気ダクト22の上流側には、送風機23が内蔵された送風機ボックス24が配設される。そして、送風機ボックス24の吸気口には、集塵フィルタ25が配設される。尚、送風機ボックス24を用いることなく、送風機23が、吸気ダクト22の内部に配設される場合でも良い。この場合には、吸気ダクト22の先端に集塵フィルタ25が配設される。
【0020】
矢印26にて示すように、送風機23は、例えば、軸流送風機であり、車室内の空気を吸気ダクト22へと圧送する。吸気ダクト22は、例えば、電池ケース21の内部にて電池モジュールの冷却用のチャンバ(図示せず)と連結する。吸気ダクト22内を流れる空気は、チャンバを介して電池モジュールの内部へと供給される。そして、上記空気は、例えば、車室内の空調機器にて冷却された空気や外気であり、電池モジュールの冷却用空気として用いられる。
【0021】
集塵フィルタ25は、車室内の上記空気等に含有される埃等の異物を捕集するための部材である。集塵フィルタ25が、送風機ボックス24の吸気口に配設されることで、上記空気内に含有される一定量の異物が除去された後に、上記空気が吸気ダクト22内へと圧送され、冷却用空気として用いられる。
【0022】
四角印27にて示すように、吸気ダクト22には、屈折領域28が形成される。本実施形態の屈折領域28は、吸気ダクト22の中間部に形成され、車両12の上方から下方に向けて送風される冷却用空気が、再び、車両12の下方から上方に向けて送風される屈折した領域のことをいう。そして、屈折領域28での吸気ダクト22の形状としては、側面視略コの字形状、略U字形状や略V字形状となる。
【0023】
また、屈折領域28は、例えば、電池ケース21の天面21Aよりも下方に形成される。この構造により、屈折領域28が、電池ケース21の側面の周辺に形成されることで、吸気ダクト22が、電池ケース21に対して効率的に配置される。そして、電池パック11の冷却構造10が、大型化することが防止され、車両12の収納スペース13を確保し易くなる。
【0024】
図3Aに示す如く、吸気ダクト22の屈折領域28は、主に、2箇所の屈折部28A,28Bと、屈折部28A,28Bの間の水平部28Cと、を有する。そして、矢印26にて示すように、上方から下方へと向けて送風される冷却用空気は、屈折部28Aにて吸気ダクト22の内面と衝突し、略水平方向へと送風方向を変更し、吸気ダクト22の水平部28Cを下流側へと流れる。その後、冷却用空気は、屈折部28Bにて吸気ダクト22の内面と衝突し、下方から上方へと向けて送風方向を変更し、吸気ダクト22の下流側へと流れる。
【0025】
図示したように、吸気ダクト22の屈折部28Aには、少なくとも太い実線にて示す冷却用空気との衝突領域33に振動吸収部材32が配設される。振動吸収部材32は、冷却用空気の有する振動を吸収することで、冷却用空気内の送風機23の回転音や風切り音等の騒音を低減するための部材である。そして、振動吸収部材32としては、多孔性柔軟素材が用いられ、例えば、不織布やスポンジ等が用いられる。
【0026】
矢印31にて示すように、吸気ダクト22を流れる冷却用空気は、屈折部28Aにて吸気ダクト22の内面を被覆する振動吸収部材32へと衝突し、吸気ダクト22の形状に沿って、その送風方向が略垂直方向から略水平方向へと変更する。上述したように、振動吸収部材32は、少なくとも太い実線にて示す冷却用空気との衝突領域33を被覆するように配設される。
【0027】
この構造により、冷却用空気の一部は、振動吸収部材32の内部を通過して水平部28Cに沿って下流側へと流れる。また、冷却用空気の一部は、振動吸収部材32の表面にて四方八方へと拡散した後、水平部28Cに沿って下流側へと流れる。
【0028】
ここで、冷却用空気は、送風機23により吸気ダクト22の内部へと圧送される。その際に、冷却用空気は、集塵フィルタ25を通過する。そのため、送風機23の羽の回転による振動や集塵フィルタ25を通過する際の振動等が含まれることで、冷却用空気には様々な騒音が伝搬する。
【0029】
上述したように、冷却用空気が、屈折部28Aにて振動吸収部材32の内部を通過することで、冷却用空気内の上記振動が振動吸収部材32に吸収される。そして、吸気ダクト22を流れる冷却用空気から上記騒音が低減される。
【0030】
その結果、冷却用空気が、電池ケース21の内部に送風される前段階にて、上記騒音が低減されることで、上記騒音が、電池ケース21内にて共鳴することが防止される。そして、上記騒音が、車室内へと響き渡り難くなり、車両12の乗員は、会話し易くなり、音楽等を聞き取り易くなることで、車室内での快適性が向上される。
【0031】
更に、図示したように、振動吸収部材32は、吸気ダクト22の一部を塞ぎ、流路断面の全てを塞ぐことなく配設される。本実施形態では、吸気ダクト22の流路断面の中心部から上部側に掛けて空間部が存在するように、振動吸収部材32が配設される。一方、吸気ダクト22の流路断面の中心部から下部側では、屈折部28Aよりも下流側の水平部28Cの中間部まで、振動吸収部材32が配設される。
【0032】
上述したように、冷却用空気が、屈折部28Aにて振動吸収部材32や吸気ダクト22の内面と衝突することで、空気の流れが淀み、冷却用空気の流路抵抗が大きくなる。更には、冷却用空気が、振動吸収部材32の内部を流れることでも、冷却用空気の流路抵抗が大きくなる。
【0033】
しかしながら、本実施形態の電池パック11の冷却構造10では、振動吸収部材32が、吸気ダクト22の流路断面の一部のみを塞ぐ構造となることで、流路抵抗が大きくなり過ぎることが防止される。その一方、振動吸収部材32が、吸気ダクト22に沿って長く延在することで、振動吸収部材32の内部を流れる冷却用空気の量が増大し、上記振動の吸収量が増大する。その結果、送風機23の大型化が防止され、電池パック11の冷却構造10の装置全体として小型化が実現される。そして、車両12での電池パック11の冷却構造10の収納スペース13の確保も容易となる。
【0034】
図3Bに示す如く、吸気ダクト22の屈折部28Aでは、冷却用空気は、振動吸収部材32や吸気ダクト22の内面と衝突し、冷却用空気の一部が、振動吸収部材32の内部を通過する。上述したように、振動吸収部材32は、不織布等の多孔性部材であり、異物34を除去するフィルタとしても機能する。この構造により、冷却用空気は、集塵フィルタ25を通過する際に、振動吸収部材32を介して異物34が除去される。尚、図示したように、冷却用空気から除去された異物34は、振動吸収部材32の孔に挟持され、振動吸収部材32の表面等に保持される。
【0035】
丸印35にて示すように、吸気ダクト22の屈折部28Bは、屈折領域28の下流側に位置する。そして、吸気ダクト22を流れる冷却用空気は、屈折部28Bにてその送風方向が略水平方向から略垂直方向へと変更する。つまり、冷却用空気は、下方から上方へと向けて送風方向を変更する。
【0036】
図3Aを用いて説明したように、冷却用空気内の埃等の固形状の異物34は、振動吸収部材32にて除去され易いが、冷却用空気内に含有される水は、振動吸収部材32の表面で弾かれ、除去され難い。そして、水は、冷却用空気よりもその比重が重い物質である。
【0037】
矢印26にて示すように、冷却用空気は、吸気ダクト22に沿って上方へと送風される。一方、矢印36にて示すように、冷却用空気に含有される水は、上記比重の差により屈折部28Bへと落下し易くなる。特に、吸気ダクト22が、電池ケース21の側面に沿って略垂直方向へと延在することで、上記水は落下し易くなる。
【0038】
この構造により、電池ケース21内の電池モジュールには、上記水が除去され、乾いた状態の冷却用空気が送風されることで、ショートによる故障や電極表面が錆びることでの故障等が防止される。
【0039】
次に、図4及び図5を用いて、本発明の他の実施形態に係る電池パック11の冷却構造40,50を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、図1から図3Bを用いて説明した電池パック11の冷却構造10と同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面前後方向は電池パック11の縦幅方向を示し、紙面左右方向は電池パック11の横幅方向を示し、紙面上下方向は電池パック11の高さ幅方向を示す。
【0040】
図4は、本実施形態の電池パック11の冷却構造40の吸気ダクト41の中間部にチャンバ42を配設した構造を説明する概略図である。
【0041】
図4に示す如く、電池パック11の冷却構造40では、吸気ダクト41の中間部にチャンバ42が連結される。そして、本実施形態の冷却構造40では、上記冷却構造10の屈折領域28(図2参照)がチャンバ42に置き換わる構造が、上記冷却構造10と相違する。
【0042】
電池パック11の冷却構造40は、主に、電池パック11と、冷却用空気を送風する吸気ダクト41と、冷却用空気を吸気ダクト41へと圧送する送風機23と、送風機23を吸気ダクト41へと固定する送風機ボックス24と、集塵フィルタ25と、を備える。
【0043】
チャンバ42は、吸気ダクト41の中間部に配設され、冷却用空気の風路として用いられる。そして、チャンバ42の上流側には、上方から下方へと向けて延在する吸気ダクト41が連結される。一方、チャンバ42の下流側には、下方から上方へと向けて延在する吸気ダクト41が連結される。
【0044】
チャンバ42は、例えば、直方体形状であり、その流路断面積は、吸気ダクト41の流路断面積よりも広くなる。チャンバ42は、吸気ダクト41と同じ樹脂材料から形成され、吸気ダクト41と一体に形成される。尚、チャンバ42は、吸気ダクト41と別体として形成され、吸気ダクト41と組み付けられる場合でも良い。また、チャンバ42は、吸気ダクト41と別体として金属材料から形成される場合でも良い。
【0045】
矢印43にて示すように、吸気ダクト41には、送風機23を介して冷却用空気が圧送される。そして、冷却用空気は、吸気ダクト41及びチャンバ42を経由し、電池ケース21内へと送風される。冷却用空気は、電池ケース21の内部では、電池モジュールの冷却用のチャンバ(図示せず)を介して電池モジュールの内部へと供給される。
【0046】
図示したように、チャンバ42の内面には、略全面に渡り振動吸収部材32が被覆される。矢印43Aにて示すように、チャンバ42の内部へと送風された冷却用空気は、チャンバ42の内部の屈折部28Aにて振動吸収部材32やチャンバ42の底面へと衝突し、その送風方向が略上下方向から略左右方向へと変わる。
【0047】
この構造により、矢印43Aにて示すように、冷却用空気の一部は、振動吸収部材32の内部を通過してチャンバ42の下流側へと流れる。また、冷却用空気の一部は、振動吸収部材32の表面にて四方八方へと拡散した後、チャンバ42の下流側へと流れる。その結果、冷却用空気内の上記振動が振動吸収部材32により吸収され、騒音が低減される効果は、上記冷却構造10と同様に得られる。そして、冷却用空気の内部の異物が振動吸収部材32により除去される効果も上記冷却構造10と同様に得られる。
【0048】
更には、電池パック11の冷却構造40では、冷却用空気がチャンバ42の内部を流れることで、冷却用空気の脈動が低減され、冷却用空気が整流される。その結果、吸気ダクト41の振動が低減し、車両12の振動も抑えられ、車両12の乗員の快適性が向上される。
【0049】
図5は、本実施形態の電池パック11の冷却構造50の吸気ダクト51の中間部にチャンバ52を配設した構造を説明する概略図である。
【0050】
図5に示す如く、電池パック11の冷却構造50では、吸気ダクト51の中間部にチャンバ52が連結される。そして、本実施形態の冷却構造50では、上記冷却構造10の屈折部28A(図2参照)の下流側にチャンバ52が配設される構造が、上記冷却構造10と相違する。
【0051】
電池パック11の冷却構造50は、主に、電池パック11と、冷却用空気を送風する吸気ダクト51と、冷却用空気を吸気ダクト51へと圧送する送風機23と、送風機23を吸気ダクト22へと固定する送風機ボックス24と、集塵フィルタ25と、を備える。
【0052】
チャンバ52は、吸気ダクト51の中間部に配設され、冷却用空気の風路として用いられる。そして、チャンバ52の上流側には、略水平方向(紙面左右方向)へと向けて延在する吸気ダクト51が連結される。一方、チャンバ52の下流側には、略垂直方向(紙面上下方向)へと向けて延在する吸気ダクト51が連結される。尚、チャンバ52の形状や材料は、上記冷却構造40のチャンバ42の構造と同様である。
【0053】
矢印53にて示すように、吸気ダクト51には、送風機23を介して冷却用空気が圧送される。そして、冷却用空気は、吸気ダクト51及びチャンバ52を経由し、電池ケース21内へと送風される。冷却用空気は、電池ケース21の内部では、電池モジュールの冷却用のチャンバ(図示せず)を介して電池モジュールの内部へと供給される。
【0054】
電池パック11の冷却構造50では、上記冷却構造10と同様に、屈折部28Aに配設された振動吸収部材32により、冷却用空気内の上記振動が吸収され、騒音が低減される効果や冷却用空気の内部の異物が除去される効果が得られる。更には、冷却用空気が、チャンバ52の内部を流れることで、冷却用空気の脈動が低減され、冷却用空気が整流される効果も得られる。
【0055】
尚、本実施形態では、振動吸収部材32が、吸気ダクト22の衝突領域33を被覆するように配設される場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。振動吸収部材32が、例えば、衝突領域33を含む吸気ダクト22の内面に環状に配設される場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
10,40,50 冷却構造
11 電池パック
12 車両
13 収納スペース
21 電池ケース
22,41,51 吸気ダクト
23 送風機
24 送風機ボックス
25 集塵フィルタ
28 屈折領域
28A,28B 屈折部
32 振動吸収部材
33 衝突領域
34 異物
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5