(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037029
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】設備の状態監視装置
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20240311BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141652
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】上田 譲
(72)【発明者】
【氏名】山崎 茂
(72)【発明者】
【氏名】細野 桜斐
【テーマコード(参考)】
3D101
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AA03
3D101AA05
3D101AB12
3D101AB16
3D101AB19
3D101AB20
3D101AC05
3D101AD11
5H161AA01
5H161MM01
5H161MM15
5H161NN10
5H161NN15
5H161PP01
5H161PP11
5H161QQ01
5H161QQ03
5H161QQ05
(57)【要約】
【課題】外的要因によって設備に異常が発生するといった場合において、これに対処可能な設備の状態監視装置を提供すること。
【解決手段】設備の状態監視装置100は、対象設備であるホームドア装置FD内の動作状況を監視する内部監視部IMと、ホームドア装置FDを外側から監視する外部監視部OMと、内部監視部IMと外部監視部OMとにおける監視結果を比較してホームドア装置FDの状態について判定する判定部JDとを備える。上記設備の状態監視装置100では、ホームドア装置FD内の動作状況のみならず、ホームドア装置FDを外側から監視した結果に基づいて、ホームドア装置FDの状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象設備内の動作状況を監視する内部監視部と、
対象設備を外側から監視する外部監視部と、
前記内部監視部と前記外部監視部とにおける監視結果を比較して対象設備の状態について判定する判定部と
を備える設備の状態監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記外部監視部の監視結果としての外乱の有無に基づき、対象設備において異常が発生したか否かを判定する、請求項1に記載の設備の状態監視装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記内部監視部の監視結果として正常値からの逸脱が検出された場合に、前記外部監視部の監視結果を参照して、前記内部監視部と前記外部監視部との監視結果を比較する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の設備の状態監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記外部監視部により取得される対象設備の正常動作時のデータに基づいて作成された学習済みモデルを利用して、対象設備についての動作異常が、内的要因にあるか外的要因にあるかの判定を行う、請求項1に記載の設備の状態監視装置。
【請求項5】
前記外部監視部は、対象設備のうち外部に露出した可動部について監視する、請求項1に記載の設備の状態監視装置。
【請求項6】
前記外部監視部は、前記可動部としての駅のホームドア開閉部について、開閉時における物体の接触の有無を検知する、請求項5に記載の設備の状態監視装置。
【請求項7】
前記外部監視部は、撮像又は測距により対象設備に接触する物体の存否を検知する検知部を有する、請求項1に記載の設備の状態監視装置。
【請求項8】
前記外部監視部は、対象設備周辺について音声データを収録する集音部を有する、請求項1に記載の設備の状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道等の設備について、状態の監視を行う設備の状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、監視対象としての設備である開閉装置やホームドア機器内部に設置したセンサーにより、機器の異常を判断するものが知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1,2では、監視対象としての設備が外的要因によって異常が発生した場合に、これを検知できず、的確な状態監視ができなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-130378号公報
【特許文献2】特開2020-104611号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、外的要因によって設備に異常が発生するといった場合において、これに対処可能な設備の状態監視装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための設備の状態監視装置は、対象設備内の動作状況を監視する内部監視部と、対象設備を外側から監視する外部監視部と、内部監視部と外部監視部とにおける監視結果を比較して対象設備の状態について判定する判定部とを備える。
【0007】
上記設備の状態監視装置では、対象設備内の動作状況のみならず、対象設備を外側から監視した結果に基づいて、対象設備の状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、判定部は、外部監視部の監視結果としての外乱の有無に基づき、対象設備において異常が発生したか否かを判定する。この場合、異常が発生した場合に、これが外的要因によるものであるか否かを的確に判定できる。
【0009】
本発明の別の側面では、判定部は、内部監視部の監視結果として正常値からの逸脱が検出された場合に、外部監視部の監視結果を参照して、内部監視部と外部監視部との監視結果を比較する。この場合、内部において検出された正常値からの逸脱が、内的要因によるものか外的要因によるものかが判定できる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、判定部は、外部監視部により取得される対象設備の正常動作時のデータに基づいて作成された学習済みモデルを利用して、対象設備についての動作異常が、内的要因にあるか外的要因にあるかの判定を行う。この場合、正常動作時のデータを利用することで、学習済みモデルの作成に必要なデータを確実に入手できる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、外部監視部は、対象設備のうち外部に露出した可動部について監視する。この場合、外的要因による動作異常を的確に捉えることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、外部監視部は、可動部としての駅のホームドア開閉部について、開閉時における物体の接触の有無を検知する。この場合、ホームドア開閉時における動作の監視が可能となる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、外部監視部は、撮像又は測距により対象設備に接触する物体の存否を検知する検知部を有する。この場合、検知部により対象設備に接触する物体を確実に捉えることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、外部監視部は、対象設備周辺について音声データを収録する集音部を有する。この場合、音声に基づき外部環境を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は、第1実施形態の設備の状態監視装置について説明するための概念的な側面図及び正面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、設備の状態監視装置の機能に関する一構成例を説明するための概念的な図である。
【
図3】(A)は、外部監視について、学習フェーズにおける一構成例を説明するための概念図であり、(B)は、運用フェーズにおける一構成例を説明するための概念図である。
【
図4】設備の状態監視装置全体の一構成例を説明するための概念図である。
【
図5】設備の状態監視装置による監視の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の設備の状態監視装置について説明するための概念的な側面図である。
【
図7】状態監視装置におけるカメラ及びマイクの設置例を示す図である。
【
図8】第3実施形態の設備の状態監視装置について説明するための概念的な図である。
【
図9】設備の状態監視装置の機能について概要をまとめたブロック図である。
【
図10】(A)は、設備の状態監視装置の一変形例について示す概念図であり、(B)は、設備の状態監視装置の他の一変形例について示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、第1実施形態の設備の状態監視装置について、一例を説明する。
図1(A)は、本実施形態の設備の状態監視装置100について説明するための概念的な側面図であり、
図1(B)は、正面図である。ここでは、状態監視の対象となる設備(対象設備EQ)の一例を、駅STのホーム(プラットホーム)PFに設置されたホームドア装置FDとし、特にホームドア装置FDの動作について状態を監視すべく、ホームドア装置FDのうち可動に関する部分を監視の対象としている。このため、状態監視装置100は、ホームドア装置FDを構成する各所に取り付けられた装置を利用するとともに、ホームドア装置FDを外部から点検可能とすべく、ホームPFの各所に設けた設備を有している。ここでは、状態監視装置100のうち、対象設備内を監視するもの、すなわちホームドア装置FDの内部構造を監視するものを内部監視部IMとし、対象設備を外側から監視するもの、すなわちホームドア装置FDの外側に設けられて監視を行うものを外部監視部OMとする。
【0017】
内部監視部IMの典型例としては、状態監視装置100の内部に設けた各種センサーや測定装置等が考えられ、外部監視部OMの典型例としては、カメラCAやマイクMC等が考えられるが、これらについて詳しくは、後述する。本実施形態の状態監視装置100は、内部監視部IMと外部監視部OMとにおいて監視した結果を比較し、比較した結果に基づいて、対象設備であるホームドア装置FDの状態について判定することで、ホームドア装置FDの内的要因による異常のみならず、外的要因によって異常が発生する場合についても、的確な検知ができる。
【0018】
ここで、監視の対象設備となっているホームドア装置FDは、図示のように、駅STのホームPFの縁に沿って設置され、開閉式の扉部材DOと、扉部材DOを収納する収納部DSと、扉部材DOを駆動する駆動装置DRと、各種センサーSEとを備える。このうち、駆動装置DRや各種センサーSEは、制御装置CUに接続され、制御装置CUから出力される指令信号に従って、駆動装置DRは扉部材DOを開閉し、各種センサーSEは、各部についてのセンシングをする。扉部材DOの開閉動作の際、扉部材DOに設けた扉袋DBに扉部材DOが出し入れされるものとなる。つまり、扉部材DOは、駅STのホームドア開閉部であり、ホームドア装置FDにおける可動部である。なお、扉部材DOは、一対構成の車両ドアCDに対応した一対構成となっており、列車を構成する車両TRが基準位置に停止した場合に、車両TR(列車)の進行方向について、一対構成の車両ドアCDの中心位置と、一対構成の扉部材DOの中心位置とが一致する。以下、図示において、車両TR(列車)の進行方向に沿う方向である一対構成の扉部材DOが並ぶ方向をZ方向とし、車両TR(列車)の進行方向を+Z方向としている。また、車両TR(列車)の進行方向に対して水平方向(左右方向)をX方向とし、垂直方向(上下方向)をY方向とする。
【0019】
状態監視装置100は、ホームドア装置FDについての監視をすべく、ホームドア装置FDの一部や、ホームPFに設けられる各部等を組み合わせて構成されている。見方を変えると、状態監視装置100は、ホームドア装置FDの一部を援用しつつ、ホームドア装置FDやホームPFのうちホームドア装置FD外の部分に種々の装置を設けることで、ホームドア装置FDが設置されたホームPFに組み込まれている、とも言える。
【0020】
状態監視装置100のうち、内部監視部IMは、例えば扉部材DOの開閉時におけるモーター駆動の電流値やモーター音等に基づき動作異常の有無について監視を行う。つまり、各種センサーSEを利用して、これらについて監視を行い、例えば電流値や、音、振動等が、予め規定した正常の範囲からずれた場合に、異常(故障又は故障の予兆)が発生したといった判定が可能となる。しかしながら、内部監視部IMでの上記のような監視だけでは、当該異常が、内的要因によるものか外的要因によるものかが、不明なままとなってしまう可能性がある。例えば
図1(A)に示すように、ホームPF上にいる人物HUが、扉部材DOに寄り掛かっているような場合、通常の動作では意図しない負荷が、扉部材DOに掛かり、仮に、内部監視部IMのみにおいて異常の有無を判定しているとした場合、人物HUが、扉部材DOに寄り掛かっていることで、ホームドア装置FDに事態に、異常(故障又は故障の予兆)があると誤検知してしまう可能性がある。すなわち、ホームドア装置FDの機構としては異常が無くても、上記のような人物HUに起因する外的要因によってホームドア装置FDに異常がある、と判定してしまうおそれがある。かかる事態を回避又は抑制すべく、本実施形態では、内部監視部IMに加え、外部監視部OMを設けた構成としている。
【0021】
以下、
図2を参照して、上記のように、内部監視部IMに加え、外部監視部OMを有する状態監視装置100について、より詳しい一構成例を説明する。
【0022】
図2に示すように、また、既述のように、状態監視装置100は、ホームドア装置FDの一部や、ホームPF上の各種施設を利用して構成されている。例えば、内部監視部IMは、ホームドア装置FD内に設けられて各種センシングを行い、動作状況を示す各種データを取得する各種センサーSEや、ホームドア装置FD全般の動作制御を行う制御装置CUを構成する各部の一部等によって構成されている。また、外部監視部OMは、制御装置CUを構成する他の一部や、ホームPF上に設けたカメラCAやマイクMC等によって構成されている。
【0023】
以下、上述した状態監視装置100の内部監視部IMや外部監視部OMを構成する各部について、説明する。
【0024】
カメラCAは、ホームドア装置FDの本体部分の上方側(+Y側)において下方側(-Y側)に向けた状態で設置されている。これにより、例えば
図2(B)において破線で囲って示すように、ホームドア装置FDの可動部である一対構成の扉部材DOを中心に、扉部材DO及びその周辺を含む範囲を、撮像範囲DD1としている。こうすることで、例えば
図1(A)に示すように人物HU等が存在する、といった場合に、これを検知可能となる。なお、カメラCAの種類については、種々の態様のものが想定され、通常のカメラ(可視光波長帯域の範囲について撮像するカメラ)のほか、赤外光カメラやサーモグラフィーカメラ等であってもよい。さらに、TOF(Time Of Flight)方式等の測距を行うものであってもよい。
【0025】
図2(A)に戻って、マイクMCは、ホームドア装置FDの本体部分の上方側(+Y側)に設置され、ホームドア装置FDの周辺について音声データを収録する集音部として機能する。
【0026】
外部監視部OMは、ホームドア装置FD及びその周辺の外部状況に関して、カメラCAにより画像情報(視覚的情報)を取得し、マイクMCにより音響情報(聴覚的情報)を取得するものとなっている。
【0027】
ホームドア装置FDの本体部分の内部に設けられる各種センサーSEは、扉部材DOの開閉に際して、センシングを行って、各種数値的情報を取得する。例えば、開閉のために駆動装置(モーター)DRが動作する時のモーター音や、駆動のための電流に関する物理量(電流値や電圧値)、扉部材DOの移動量、移動時の振動状況に関する各種数値、駆動時間等の各種情報が、各種センサーSEにより取得され、取得した結果が、制御装置CUに送信される。つまり、内部監視部IMは、ホームドア装置FDの内部状況に関して、各種センサーSEにより、各種情報を取得する。
【0028】
ホームドア装置FDの制御装置CUは、例えばCPUや各種ストレージデバイス等で構成され、外部情報処理部10と、内部情報処理部20と、状態監視部30と、扉開閉部40と、制御部50とを備える、あるいは、これらとして機能する。制御装置CUは、ホームドア装置FDの動作全般に関する制御を統括する。ここでは、説明を簡易にするため、制御装置CUのうち、制御部50がCPU等で構成されるとともに上記各部と接続され、これらを統括制御して、ホームドア装置FDに関する各種動作がなされるものとして説明する。例えば、制御部50が、扉開閉部40を介してホームドア装置FDの本体部分に対して開閉動作についての指令信号(駆動信号)を出力することで、扉部材DOの開閉動作が制御されている。なお、このほか、制御装置CUは、例えば通信部60等を備え、状態監視装置100による監視結果を外部に対して通知可能としている。
【0029】
まず、制御装置CUのうち、外部情報処理部10は、外部情報受付部11と、データ処理部12とを備え、カメラCAで取得された画像データや、マイクMCで取得された音響データを受け付けて解析処理を行う。データ処理部12は、画像データについての解析を行う画像処理部12gと、音響データについての解析を行う音響処理部12sとで構成されている。
【0030】
外部情報受付部11は、カメラCAやマイクMCで取得された各種データを受け付けるためのインターフェース(IF)である。
【0031】
外部情報受付部11で受け付けた各種データのうち、画像データについては、データ処理部12の画像処理部12gにより解析処理がなされる。例えば、画像処理部12gでの画像解析により、ホームドア開閉部としての扉部材DOについて、その周辺にいる人物HU等の物体を検知することが可能となっている。これにより、扉部材DOの開閉時における人物(乗客)HU等と扉部材DOとの接触の有無についての監視あるいは判定が可能となっている。つまり、画像処理部12gは、カメラCAでの撮像又は測距により対象設備としてのホームドア装置FDに接触する物体の存否を検知する検知部として機能している。
【0032】
外部情報受付部11で受け付けた各種データのうち、音響データについては、データ処理部12の音響処理部12sにより解析処理がなされる。例えば、音響処理部12sでの音響解析により、扉部材DO及びその周辺における種々の音が抽出可能であり、例えば車両TRの到着から出発に至る前の間において通常発せられる音から逸脱したような音が存在するか否かを検知することが可能となっている。これにより、ホームドア装置FD外における異常発生について監視あるいは判定が可能となっている。
【0033】
カメラCAやマイクMCに加え、外部情報処理部10が、外部監視部OMを構成している、すなわち外部監視部OMの一部として機能している。これにより、状態監視装置100は、外部監視部OMにおいて、対象設備としてのホームドア装置FDを外側から監視することができる。
【0034】
また、以上の場合、外部監視部OMは、ホームドア装置FDのうち外部に露出した可動部としての扉部材(駅のホームドア開閉部)DOについて監視するものとなっており、特に、扉部材DOについて、開閉時における物体の接触の有無を検知している。
【0035】
次に、制御装置CUのうち、内部情報処理部20は、内部情報受付部21と、データ処理部22とを備える。内部情報受付部21は、ホームドア装置FDの本体部分の内部に設けた各種センサーSEで取得された各種データを受け付けるためのインターフェース(IF)であり、データ処理部22は、内部情報受付部21で受け付けた各種データについて解析処理を行う。
【0036】
各種センサーSEに加え、内部情報処理部20が、内部監視部IMを構成している、すなわち内部監視部IMの一部として機能している。これにより、状態監視装置100は、内部監視部IMにおいて、対象設備としてのホームドア装置FDの内部での動作について、監視することができる。
【0037】
状態監視部30は、外部情報処理部10及び内部情報処理部20で解析された結果に基づき、各種判定を行う、すなわち、内部監視部IMと外部監視部OMとにおける監視結果を比較して対象設備であるホームドア装置FDの状態について判定する判定部JDとして機能する。上記態様の場合、外部監視部OMは、カメラCAやマイクMCにより取得された情報から、ホームドア装置FD外においていわば外乱のようなものが発生しているか否かを監視するものとなっている。したがって、判定部JDとしての状態監視部30は、外部監視部OMの監視結果としての外乱の有無に基づき、ホームドア装置FDにおける異常が内的要因によって発生したのか、それとも外的要因によって発生したのかについて、判定をするものとなっている。
【0038】
また、上記の場合、状態監視部30は、例えば内部監視部IMの監視結果として正常値からの逸脱が検出された場合であっても、直ちに異常とはせず、かかる場合において、さらに、外部監視部OMの監視結果を参照して、内部監視部IMと外部監視部OMとの監視結果を比較する態様にできる。こうすることで、例えば内部監視部IMのみにおいて異常の有無を判定することで、ホームドア装置FD外における外乱をホームドア装置FD内での異常と誤検知してしまうような事態を回避できる。外的要因による異常であるにもかかわらず、内的要因によって発生したと誤検知をすると、例えば、保守作業の必要性が無いような場合であるにも関わらず、保守作業を行うべきとの判断をしてしまう可能性がある。本実施形態では、このような事態が回避可能となる。つまり、より的確な異常の有無の判定が可能となる。
【0039】
以下、
図3を参照して、外部監視部OMによる監視、判定やこれらを行うための解析処理等に際して、機械学習を利用する態様について一例を説明する。画像や音響(音声)に基づく外乱発生の判定に関しては、種々の態様とすることが可能であるが、手法の1つとして、外乱発生の有無に関する学習を行ったAI(人工知能)を利用する態様とすることが考えられる。
【0040】
図3(A)は、外部監視を行える外部監視部OM(
図2等参照)を構成できるようにするための学習段階(学習フェーズ)における一構成例を説明する概念図である。図中において、学習段階の外部情報処理部10Aと、機械学習を行う機械学習部MLと、学習内容に関するデータを蓄積するデータベースDDBxとが、準備されている。なお、外部情報処理部10Aについては、データ処理部12Aが学習段階における処理内容に関して、必要に応じて修正される。データ処理部12Aは、学習段階の画像処理部12Agと、学習段階の音響処理部12Asとを備え、画像処理部12Agは、カメラCAに接続されて学習サンプルとしての画像データを取得し、学習段階の音響処理部12Asは、マイクMCに接続されて学習サンプルとしての音響データを取得する。
【0041】
ここで、学習サンプルとしては、実際に外乱が発生している態様を利用することも考えらえるが、かかる状況が、ホームドア装置FDの周辺で実際に生じるのは極稀である。そこで、ここでは、実際にホームドア装置FDが動作中となっている場合であって、外乱が発生していない状況について、撮像・集音したものを学習サンプルとする。すなわち、ホームドア装置FDを構成する機器が、車両や乗客等の出入りがある実際の現場で、正常動作している状態において、動作画像、動作音響を学習サンプルとして取得し、取得した画像・音響を機械学習部MLにおいて学習して、正常動作として学習モデルを生成し、データベースDDBxに蓄積する。
【0042】
なお、以上において、例えば、画像処理部12Agや学習段階の音響処理部12Asについては、既存の手法で、人や物体、あるいは音の種類についての抽出処理を行うものとしてもよいが、ホームドア装置FD及びその周辺で生じ得る固有の事項を考慮して、人が適宜調整(チューンアップ)を行うものとしてもよい。
【0043】
上述のような学習を繰り返し、機械学習部MLやデータベースDDBx、さらには、外部情報処理部10Aにおける学習モデル(データ構造)の生成が完了する(以下、完了したデータ構造を学習済みモデルとする。)と、例えば
図3(B)に例示するようなものが、外部監視部OMとして構成されることになる。すなわち、外部監視部OMが、カメラCAやマイクMCに加え、外部情報受付部11及びデータ処理部12と、動作支障有無判定部HJ及びデータベースDDBとによって構成されるものとなり、ここでの外部情報受付部11及びデータ処理部12は、学習段階において画像処理部12Ag及び音響処理部12Asであったものが必要に応じて適宜処理内容を調整されたものであり、動作支障有無判定部HJ及びデータベースDDBは、学習を完了した機械学習部ML及びデータベースDDBxである。なお、以上の場合、動作支障有無判定部HJやデータベースDDBは、状態監視部30における判定に利用されるものとしても機能し得る。つまり、判定部JDとしての状態監視部30は、外部監視部OMにより取得されるホームドア装置FDの正常動作時のデータに基づいて作成された学習済みモデルを利用して、ホームドア装置FDについての動作異常が、内的要因にあるか外的要因にあるかの判定を行う。
【0044】
上記のように、正常動作している状態について学習を行った場合、学習の結果として規定された正常とされるべき範囲から逸脱した状況が監視の結果として確認されることで、外乱が発生したものと判定することができる。
【0045】
以上のようにして、ホームドア装置FDを構成する機器の運用中において、上記構成の外部監視部OMが、動作画像、動作音響を取得して、正常動作の学習モデルと比較、分析を行うことで、外観や動作音から、機器の動作に支障が有るか無いかについて、判定をする。
【0046】
なお、カメラCAとマイクMCとについては、
図3(A)に示す学習フェーズの段階と、
図3(B)に示す運用フェーズの段階とで、同一の状態であること、すなわちカメラCA等の取替や位置変更等がなされないようにすることが考えられる。こうすることで、上記学習モデルに基づく判定精度を維持することができる。また、これに応じて、例えばカメラCAとマイクMC等について、位置変更や交換等をした場合には、再度学習を行う態様としてもよい。
【0047】
図4は、
図3(B)に例示した機械学習に基づく外部監視部OMを含む状態監視装置100全体の一構成例を説明するための概念図である。
図4の一例では、外部監視部OMのみならず、内部監視部IMについても、機械学習に基づく判定を行う一例について示している。具体的には、例えば既存の種々の方法で、各種センサーSEにおいて取得される各種データに関して機械学習を行って作成した学習済みモデルを、例えば内部情報処理部20において動作支障有無判定部JJとして搭載することで、動作支障有無判定部JJに基づいて、各種センサーSEからの情報に基づく内部異常についての判定が可能になる。なお、この場合、ホームドア装置FDの故障のみならず、故障の予兆がみられること(異常判定又は異常予兆検知)について、判定するものとしてもよい。
【0048】
以上の場合、内部監視部IMに相当する部分は、ホームドア装置FDの内部における故障(動作支障)あるいは故障の予兆に関する判定を行っており、これを、内部側正常異常判定部IJともする。同様に、外部監視部OMに相当する部分は、ホームドア装置FDの外部における動作支障の有無について判定を行っており、これを、外部側正常異常判定部OJともする。
【0049】
ここで、既述のように、上記のうち、内部側正常異常判定部IJ(内部監視部IM)での判定については、実際にホームドア装置FDの内部において故障(異常)が発生しているのか、他の要因(外的要因)によるものかについては、把握できない。そこで、状態監視部30(判定部JD)は、例えば図示の一例のように、内部側正常異常判定部IJから異常判定又は異常予兆検知の判定結果が通知されても、直ちにこれをもって異常とはせず、外部側正常異常判定部OJ(外部監視部OM)から動作支障無しの判定結果が通知されている場合であって、かつ、内部側正常異常判定部IJから異常判定又は異常予兆検知の判定があった場合に、ホームドア装置FDに異常又はその予兆があったものと判定する。以上により、ホームドア装置FDについての的確な監視が可能となる。
【0050】
以下、
図5として示すフローチャートを参照して、上記のような態様における状態監視装置100の一連の動作について説明する。まず、状態監視装置100の制御部50は、ホームPFに向かって進入する列車(車両TR)が停止し、ホームドア装置FDの扉部材DOが動作するタイミング(あるいは扉部材DOが動作し始める少し前のタイミング)となったか否かについて確認し(ステップS101)、確認がなされると(ステップS101:Yes)、内部監視部IM及び外部監視部OMによる監視が開始される(ステップS102)。ステップS102における監視が開始されると、外部監視部OMにおいて、カメラCAやマイクMCを利用した外部状況に関する各種情報がインプットされ(ステップS103)、これに基づいて、外部監視部OMによる外部状況に関して支障が有るか否かの判定がなされる(ステップS104)。
【0051】
ステップS104において、支障が有ると判定された場合(ステップS104:Yes)、外部状況に異常有りとして取り扱われ(ステップS105)、扉部材DOの開閉動作が中止され(ステップS106)、扉部材DOを一旦開の状態とする処置がなされ(ステップS107)、ステップS103からの動作に戻る。なお、以後のステップS103からの動作において再びステップS105に至った場合、ステップS106,S107において、開閉動作の中止が継続され、かつ、扉部材DOを開のままとする状態が維持される。
【0052】
一方、ステップS104において、支障が無いと判定された場合(ステップS104:No)、今度は、内部監視部IMにおいて故障又は故障予兆が有るとされたか否かについて確認がなされる(ステップS108)。
【0053】
ステップS108において、故障又は故障予兆が有ると判定された場合(ステップS108:Yes)、内部状況に異常有りとして取り扱われ(ステップS109)、異常判定となった旨の通知が、通信部60を介して、例えば総合指令所等の外部に対して通知され(ステップS110)、一連の処理が終了する。
【0054】
一方、ステップS108において、故障又は故障予兆が無いと判定された場合(ステップS108:No)、扉部材DOの開閉動作が継続され(ステップS111)、扉部材DOの開閉動作が完了したか否かの確認がなされる(ステップS112)。
【0055】
ステップS112において、開閉動作が完了していないと判定された場合(ステップS112:No)、ステップS103からの動作に戻る一方、ステップS112において、開閉動作が完了していると判定された場合(ステップS112:Yes)、一連の処理が終了する。
【0056】
以上のように、本実施形態の設備の状態監視装置100は、対象設備であるホームドア装置FD内の動作状況を監視する内部監視部IMと、ホームドア装置FDを外側から監視する外部監視部OMと、内部監視部IMと外部監視部OMとにおける監視結果を比較してホームドア装置FDの状態について判定する判定部JDとを備える。上記設備の状態監視装置100では、ホームドア装置FD内の動作状況のみならず、ホームドア装置FDを外側から監視した結果に基づいて、ホームドア装置FDの状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【0057】
〔第2実施形態〕
以下、
図6等を参照して、第2実施形態の設備の状態監視装置200について、一例を説明する。
図6は、本実施形態の設備の状態監視装置200について説明するための概念的な側面図であり、
図7は、状態監視装置200におけるカメラCA及びマイクMCの設置例を示す図である。第1実施形態においては、対象設備EQをホームドア装置FD(
図1等参照)としていたが、本実施形態では、
図6又は
図7に示すように、踏切装置CRあるいは踏切装置の遮断桿BRを対象設備EQとしている、すなわち監視の対象としている点において、第1実施形態の場合と異なっている。なお、上記以外については、第1実施形態の場合と同様であるので、状態監視装置200の全体構成に関する説明や図示を省略する。
【0058】
本実施形態の場合、踏切装置CRのうち、外部に露出した可動部である遮断桿BR(あるいは遮断機)等に接触する物体の存否を検知し、踏切装置CRの昇降動作(上下動作)の正常性に関する監視を行うことが重要となる。外的要因としては、例えば遮断桿BRに寄り掛かっている人や昇降を妨げる障害物等が想定され、これらの有無を外側から検知できるようにする必要がある。したがって、例えば
図6に示すように、カメラCA及びマイクMCを、降りた状態にある遮断桿BRに対して、上方側(+Y側)から下方側(-Y側)に向けた状態で設置する態様とすることが考えられる。具体的な設置例としては、例えば
図7に示すように、柱状の踏切装置CRのうち上方側に取り付ける態様が考えられる。なお、設置に際して、遮断桿BRの長さや位置関係等を考慮して、適宜姿勢等を調整してもよい。
【0059】
以上のような構成において、遮断桿BRの上下動作時に、カメラCAにおける画像解析により、上下動作に支障となる障害物有無、通過交通の接触が無いことを確認し、また、マイクMCにより音響の測定をし、これらの結果から、判定部JDにおいて、例えば正常動作時の音響情報と比較することで、踏切装置CRを構成する機器動作の支障の有無について的確な判定が可能となる。
【0060】
なお、上記態様に関して、種々の変形が可能であり、例えばカメラCAにおける画像の撮像範囲(監視範囲)については、踏切装置CRを構成する機器の稼働部位がすべて収まる範囲が最良であるが、撮像範囲を稼働部位の部分的な範囲としてもよく、この場合、例えば遮断桿BRの接続箇所(アームの付け根)等の稼働重要箇所とする、といったことが考えられる。
【0061】
また、マイクMCにより測定される音響については、踏切装置CRの周辺音を捉えることが想定される。この場合、通過交通による雑音が多ければ、正常動作時の音響に、通過交通の音響を平均的に加えたものをもって、正常動作時の音と取り扱う態様が考えられる。また、通常の自動車の走行音や、人の声等については、発せられるべきものとしてフィルタリングする一方、特定の衝突音、激突音など瞬間的な大音量のものについては、選択的にピックアップして、異常動作として検知する態様としてもよい。
【0062】
本実施形態では、踏切装置CR内の動作状況のみならず、踏切装置CRを外側から監視した結果に基づいて、踏切装置CRの状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【0063】
〔第3実施形態〕
以下、
図8を参照して、第3実施形態の設備の状態監視装置300について、一例を説明する。
図8は、本実施形態の設備の状態監視装置300について説明するための概念的な図である。第1実施形態等においては、対象設備EQをホームドア装置FD(
図1等参照)や踏切装置CR(
図6等参照)としていたが、本実施形態では、
図8に示すように、転てつ機TMを対象設備EQとしている、すなわち監視の対象としている点において、第1実施形態等の場合と異なっている。なお、上記以外については、第1実施形態等の場合と同様であるので、状態監視装置300の全体構成に関する説明や図示を省略する。
【0064】
転てつ機TMは、電気転てつ機であり、分岐器Pを構成する枕木上の各レールのうち、トングレールTOを移動させることで、分岐器Pにおける列車の進路の切替えを行っている。この場合、トングレールTOを基本レールに密着させた状態にしたり離間した状態にしたりする、つまり切替えができることが重要となる。ここでは、図に例示するように、転てつ機TMは、上記切替えの動作を行うために、動力源であるモーター等を備える本体部TMaのほか、例えば本体部TMaの内部から延びる動作かんに接続される鎖錠かんLL1や、動作かんLL2等を備える。本体部TMaは、モーターやモーターを動かすための電力装置等を有し、動作かんを進退させることで、トングレールTOを移動させる際の転換力を生じさせている。各種センサーSEは、本体部TMa内に設けられてこれらの動作についてモニタリング(センシング)をする。鎖錠かんLL1は、トングレールTOに接続され、本体部TMaからの動作をトングレールTOに伝達する。動作かんLL2は、切替え動作後の位置固定のための部材であり、転てつ機TMによる転換動作後において、鎖錠かんLL1あるいはこれに繋がる動作かんを定位位置及び反位位置においてそれぞれ鎖錠する。
【0065】
本実施形態の場合、転てつ機TMのうち、外部に露出した可動部であるトングレールTOやこれに繋がる鎖錠かんLL1や、動作かんLL2等に接触する物体の存否を検知し、これらの転換動作の正常性に関する監視を行うことが重要となる。外的要因としては、例えばトングレールTOと基本レールとの間に挟まれる障害物等が想定され、これらの有無を外側から検知できるようにする必要がある。したがって、例えば
図8に示すように、カメラCAによる撮像範囲DD1については、少なくともトングレールTOとその周辺を含むように設置することが考えられる。カメラCAやマイクMCの設置箇所については、図示等を省略するが、例えば転てつ機TMの近隣に架線柱等が存在する場合には、架線柱等に取り付ける態様とする、といったことが想定される。
【0066】
また、上記において、例えばトングレールTOと基本レールとの間に挟まれる障害物等について、例えばプラスチックごみ等のように、一度挟まれて動作に影響が出ても、潰れてしまうあるいはなくなってしまい、その後の動作に影響せず保守を要しないような場合と、石等のようにその場にとどまり挟まれる状態が維持されてしまって保守を要する場合とについてまで、画像処理から判別できるようにして、判定を行うものとしてもよい。
【0067】
また、マイクMCにより測定される音響については、転てつ機TMの周辺音を捉えることが想定される。この場合、列車通過による雑音が多ければ、正常動作時の音響に、列車通過の音響を平均的に加えたものをもって、正常動作時の音と取り扱う態様が考えられる。また、通常の列車走行音等については、発せられるべきものとしてフィルタリングする一方、特定の衝突音、激突音など瞬間的な大音量のものについては、選択的にピックアップして、異常動作として検知する態様としてもよい。
【0068】
本実施形態では、転てつ機TM内の動作状況のみならず、転てつ機TMを外側から監視した結果に基づいて、転てつ機TMの状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【0069】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0070】
まず、上記のように、本願発明の設備の状態監視装置100等では、種々の設備について状態を監視することができ、共通する機能としては、例えば
図9に概要をまとめたブロック図として示されるようなものとなる。すなわち、
図9に示す状態監視装置100αは、内部監視部IMと、外部監視部OMと、判定部JDとを備え、内部監視部IMは、対象設備EQ内に設けられて、内部側からその動作状況を監視する。一方、外部監視部OMは、対象設備EQを外側から監視する。その上で、判定部JDは、内部監視部IMと外部監視部OMとにおける監視結果を比較して、比較結果に基づいて、対象設備EQの状態について判定する。以上により、状態監視装置100αは、対象設備EQ内の動作状況のみならず、対象設備EQを外側から監視した結果に基づいて、対象設備EQの状態を判定することで、外的要因によって異常が発生するといった場合においても、これを検知でき、より的確な監視が可能になる。
【0071】
ここで、上記各実施形態では、対象設備EQを、ホームドア装置FDや踏切装置CR、あるいは転てつ機TMとしているが、対象設備EQは、これらの各装置全体ではなく、その一部と見ることもできる。例えば、ホームドア装置FDであれば、扉部材DOやこれを動かす駆動装置DRを対象設備EQと捉えることもできる。同様に、例えば踏切装置CRのうち遮断桿BRあるいは遮断桿BRを回転駆動させる駆動機構を、対象設備EQと捉えることもできる。したがって、駆動装置DRや駆動機構を対象設備EQと捉えた場合、ホームドア装置FDの駆動装置DR以外の部分に取り付けて駆動装置DRの監視を行うものや、踏切装置CRの駆動機構以外の部分に取り付けて駆動機構の監視を行うものも、外側から監視する外部監視部OMを構成するものと見ることができる。具体的には、
図10(A)に一変形例として例示するように、扉部材DOに接触センサーTSを設け、扉部材DOへの物体等の接触を検知して外部環境について監視する態様とする場合や、
図10(B)に一変形例として例示するように、遮断桿BRに接触センサーTSを設け、遮断桿BRを回転駆動させる駆動機構(モーター)DAへの物体等の接触を検知して外部環境について監視する態様とする場合において、接触センサーTSを、外部監視部OMを構成するものと見ることができる。
【0072】
また、上記では、外部監視部OMにおいて、カメラCAとマイクMCとを備える構成について説明したが、これに限らず、これらのうちの一部のみ有する構成とすることも考えられ、例えばマイクMCを有さず、カメラCAのみで構成される、といった態様とすることも考えられる。
【0073】
また、上記では、鉄道に関する設備について監視を行う場合について説明しているが、監視の対象となる設備は、鉄道に関するものに限らず、例えば、駐車場のゲート装置等、鉄道以外の種々の設備において適用可能である。
【0074】
また、外乱発生の有無に関する学習についても、例えば、機械学習モデルの一例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等の既存の態様を利用することが可能であり、また、ViT(Vision Transformers)等の他の手法を利用すること等も考えられる。また、学習する範囲についても、例えば天候(晴れ、雨天、雪等)や時間帯(朝、昼、晩、あるいは季節の差等)を加味して、都度個別に異なる学習済みモデルを利用する態様としてもよく、全ての状況に対応可能な1つの学習済みモデルを利用する態様としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10,10A…外部情報処理部、11…外部情報受付部、12,12A…データ処理部、12s,12As…音響処理部、12g,12Ag…画像処理部、20…内部情報処理部、21…内部情報受付部、22…データ処理部、30…状態監視部、40…扉開閉部、50…制御部、60…通信部、100,100α,200,300…状態監視装置、BR…遮断桿、CA…カメラ、CD…車両ドア、CR…踏切装置、CU…制御装置、DA…駆動機構(モーター)、DB…扉袋、DDB,DDBx…データベース、DD1…撮像範囲、DO…扉部材(ホームドア開閉部)、DR…駆動装置(モーター)、DS…収納部、EQ…対象設備、FD…ホームドア装置、HJ…動作支障有無判定部、HU…人物(乗客)、IJ…内部側正常異常判定部、IM…内部監視部、JD…判定部、JJ…動作支障有無判定部、MC…マイク、ML…機械学習部、OJ…外部側正常異常判定部、OM…外部監視部、P…分岐器、PF…ホーム(プラットホーム)、SE…各種センサー、ST…駅、TM…転てつ機、TMa…本体部、TO…トングレール、TR…車両(列車)、TS…接触センサー