(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037030
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240311BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65D47/08 230
B65D47/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141654
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】播摩 征哉
(72)【発明者】
【氏名】花岡 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】辻 颯人
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA06
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】所定の力で蓋を閉められることを維持しつつ、蓋パッキンと取付部とが分離不可能な飲み口付きの飲料容器を提供する。
【解決手段】飲料容器(100)は、容器本体(1)と、肩カバー(6)と、肩カバー(6)に開閉可能に取り付けられた蓋(8)と、を備える。蓋(8)は、内側に取付部(39)と、取付部(39)に分離不可能に取り付けられた蓋パッキン(38)と、を有する。蓋パッキン(38)は、取付部(39)と接続される基部(38a)と、基部(38a)から突出するように設けられ、弾性変形して飲料注出路(14)を閉塞するシール部(38b)と、を有し、中実に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の上部に着脱される肩カバーと、前記肩カバーに開閉可能に取り付けられた蓋と、前記肩カバーに設けられ、前記容器本体内と連通する開口部を有し、前記容器本体内に連通する飲料注出路が形成された飲み口と、を備える飲料容器において、
前記蓋は、内側の面から延在する取付部と、前記取付部に分離不可能に取り付けられ、当該蓋の開閉によって前記飲料注出路を閉塞する蓋パッキンと、を有し、
前記蓋パッキンは、前記取付部と接続される基部と、前記基部から突出するように設けられ、弾性変形して前記飲料注出路を閉塞するシール部と、を有し、かつ中実である飲料容器。
【請求項2】
前記シール部は、前記飲み口の内側のシール面に密着する請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記シール部は、前記飲料注出路を閉塞する際に当該シール部の弾性変形を容易にするための変形補助部を有する請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記変形補助部は、前記シール部の外周部から内側に向かって窪んだ窪み形状部である請求項3に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記窪み形状部は、前記シール部の全周に亘って形成されている請求項4に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の携帯に使用される飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲み口付きの飲料容器が知られている。飲み口は、肩カバーに着脱可能に設けられている。飲み口は、容器本体内に連通し、肩カバーから突き出る口当て部を有している。ユーザは、口当て部に唇を付けて飲料を摂取できる。肩カバーは容器本体に着脱され、肩カバーに飲み口を開閉する蓋が取り付けられている。
【0003】
この種の飲料容器の蓋は、飲み口を閉塞する栓として機能する蓋パッキンを有している。蓋パッキンは蓋に設けられた取付部に取り付けられる。例えば、特許文献1には、蓋の内側(内がわ)面から延在する取付部に被さる態様の蓋パッキンが開示されている。これによれば、蓋パッキンは有底筒状をなし、上部が取付部に密着し、有底の下部が飲み口の内側シール面と接触して撓み変形し、飲み口を閉塞する。
【0004】
また、特許文献2には、飲食物容器の開口を閉止する栓部材の中栓において、開口の内周に密着する中栓ゴムおよび該中栓ゴムが嵌着されるゴム受けを、ゴム受けに一体的に設けられた拘束部にて分離不可能に拘束する構成が開示されている。これによれば、中栓ゴムがゴム受けから分離不可能であるため、中栓ゴムを正規の位置に常時定めることが可能となる。また、中栓ゴムがなくなるといったことも生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-20241号公報
【特許文献2】特開2016-7296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、飲み口付きの飲料容器においても、蓋パッキンと取付部とを分離不可能な構成とすることで、蓋パッキンを正規の位置に常時定めることが可能となる。また、蓋パッキンがなくなるといったことも生じない。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているような、有底筒状に形成された蓋パッキンの場合、蓋パッキンの内側に撓み変形することでシール(止水)を実現させるための空間が確保されている。このような蓋パッキンを取付部と分離不可能な構成にすると、内側の空間が密封される。そのため、蓋パッキンの内側に密閉された空気圧により撓み変形しにくくなり、蓋を閉めるのに通常よりも強い力が必要となる。特に、容器内の飲料が熱い場合、熱によって空間の空気が温められて熱膨張すると、蓋パッキンが膨らみ、蓋を閉めるのにさらに強い力が必要となる。
【0008】
このような問題は、蓋パッキンの内側の空間の空気を逃がす空気孔を設けることで、解決できる。しかしながら、空気孔を設ける構成は、洗浄時に空気孔を介して蓋パッキンの内側の空間に水等が浸入する恐れがある。
【0009】
本発明の一態様は、所定の力で蓋を閉められることを維持しつつ、蓋パッキンと取付部とが分離不可能な飲み口付きの飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る飲料容器は、容器本体と、前記容器本体の上部に着脱される肩カバーと、前記肩カバーに開閉可能に取り付けられた蓋と、前記肩カバーに設けられ、前記容器本体内と連通する開口部を有し、前記容器本体内に連通する飲料注出路が形成された飲み口と、を備える飲料容器において、前記蓋は、内側の面から延在する取付部と、前記取付部に分離不可能に取り付けられ、当該蓋の開閉によって前記飲料注出路を閉塞する蓋パッキンと、を有し、前記蓋パッキンは、前記取付部と接続される基部と、前記基部から突出するように設けられ、弾性変形して前記飲料注出路を閉塞するシール部と、を有し、かつ中実である。
【0011】
上記構成によれば、蓋パッキンが、蓋に設けられた取付部に分離不可能に取り付けられているので、蓋パッキンを正規の位置に常時定めることが可能となる。また、蓋パッキンがなくなるといったことも生じない。また、基部から突出するように設けられたシール部は、厚みを有しており、厚みのあるゴムの塊がつぶれるように変形して飲み口の密着面積を増やす。さらに、蓋パッキンは、中実に設けられているので、容器本体に収容された飲料の熱で温められたとしても、内側に密封された空間を有する場合のように膨らむことはない。そのため、容器本体に収容される飲料の温度に係わらず、所定の力で蓋を閉めることができる。これにより、所定の力で蓋を閉められることを維持しつつ、蓋パッキンと取付部とを分離不可能にできる。
【0012】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記シール部は、前記飲み口の内側のシール面に密着する構成であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、蓋パッキンによる飲料注出路の閉塞において高い水密性を確保できる。
【0014】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記シール部は、前記飲料注出路を閉塞する際に当該シール部の弾性変形を容易にするための変形補助部を有する構成であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、変形補助部が設けられることで、蓋を閉じる動作に伴うシール部の弾性変形が容易に起こる。これにより、蓋パッキンの弾性力のみに頼ることなくシール部の形状の工夫にて、弾性変形を生じ易くすることが可能になる。その結果、蓋パッキンを構成する材質の選択幅が広がる。また、変形補助部が形成されていない蓋パッキンよりも小さい力で撓ませることができるので、蓋を閉める際に必要な力を小さくすることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記変形補助部は、前記シール部の外周部から内側に向かって窪んだ窪み形状部である構成であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、窪み形状部を設けることで、シール部の先端面側に、外周部の肉厚が薄いフランジ状の部分が形成される。蓋を閉じる動作に伴って先端面が飲み口側に押し当てられることで、この肉厚の薄い部分が押圧方向とは反対の方向に撓むように変形する。これにより、シール部において飲み口との密着面積を増やす弾性変形が起り易くなる。
【0018】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記窪み形状部は、前記シール部の全周に亘って形成されている構成であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、シール部を全周に亘って均等に撓ませることができる。これにより、シール部が飲み口側に密着する際の密着力がシール部の全周において均一になり、蓋パッキンによる飲料注出路の閉塞において水密性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、所定の力で蓋を閉められることを維持しつつ、蓋パッキンと取付部とが分離不可能な飲み口付きの飲料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る飲料容器の閉蓋状態における上部付近の部分縦断面図である。
【
図2】実施形態に係る飲料容器の開蓋状態における上部付近の部分縦断面図である。
【
図3】実施形態に係る飲料容器の蓋セットの斜視図である。
【
図4】実施形態に係る蓋パッキンおよび嵌合部の上面図である。
【
図5】実施形態に係る蓋パッキンおよび嵌合部の側面図である。
【
図7】他の実施形態に係る蓋パッキンが飲み口の飲料注出路を閉塞している様子を模式的に示す断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る蓋パッキンのシール部および変形補助部のバリエーションを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
図1は、実施形態に係る飲料容器100の閉蓋状態における上部付近の部分縦断面図である。
図2は、実施形態に係る飲料容器100の開蓋状態における上部付近の部分縦断面図である。
図3は、実施形態に係る飲料容器100の蓋セット2の斜視図である。
【0024】
図1~
図3に示すように、飲料容器100は、容器本体1と、蓋セット2とを備える。容器本体1は、外底面で水平面上に自立するように設計されている。容器本体1は、飲料収容室3と、上面に開放された容器口4とを有する。蓋セット2は、容器口4を水密に密封する。
【0025】
以下、容器本体1を水平面上に立てた状態で水平面に垂直な方向を上下方向として説明する。蓋セット2およびその各構成部品における上下は、閉蓋状態での上下とする。
【0026】
(容器本体)
容器本体1は、例えば、ステンレス鋼製魔法瓶によって構成されている。飲料収容室3は、所定容量の飲料を貯留する。容器口4は、上向きに開放されている。容器口4は、蓋セット2を容器本体1から外した状態で飲料収容室3と外部とに連通している。容器本体1の上部の外周には、雄ねじ5が成形されている。容器本体1は、図示例のように魔法瓶単体で構成する必要はなく、複数の部材から構成することも可能である。
【0027】
(蓋セット)
蓋セット2は、肩カバー6と、飲み口7と、蓋8と、係止部と、ロック部と、を有する。肩カバー6は、一体に成形された環状部9を有する。環状部9の内周には、雌ねじ10(
図1、
図2参照)が成形されている。容器本体1の雄ねじ5と雌ねじ10からなるねじ構造により、肩カバー6は、容器本体1の上部の容器口4より外周側に着脱される。蓋8は、肩カバー6に開閉可能に取り付けられている。
【0028】
開閉支持部24は、肩カバー6に対して蓋8を開閉可能に支持する。図示してはいないが、開閉支持部24は、ヒンジ軸と、ヒンジ軸を挿通する軸孔部と、ヒンジばねとで構成されている。閉じる方向に回転された蓋8は、自動的に係止され、閉じた状態に保たれる。蓋8を閉じた状態に保つ係止の解除操作を受け付ける操作部材25が設けられており、蓋8は操作部材25が操作されることで自動的に開くようになっている。
【0029】
(飲み口)
飲み口7は、容器本体1の上部に位置し、肩カバー6に着脱される。飲み口7は、管路部材11と、管路部材11の飲料収容室3側に設けられたパッキン12とを備える。管路部材11は、環状部9の内周から上方へ突き出る口当て部13と、飲料収容室3と外部とに連通する飲料注出路14と、飲料注出路14と容器口4とを連通させる開口部15と、を有する。飲料注出路14は、管路部材11に一体的に成形され、容器口4および開口部15を通じて外部まで一連の流路になっている。飲み口7の内側は内側シール面16となっている。内側シール面16は、飲み口7の内側における開口部15の周囲の面である。口当て部13は、飲料注出路14を広口にする態様で延びている。
【0030】
管路部材11の外周にパッキン12が取り付けられているため、容器口4の内周と飲み口7との間が水密に密封される。ここでパッキン12は、管路部材11に分離不可能に取り付けられている。
【0031】
(係止部)
係止部は、飲み口7を肩カバー6に着脱可能に係止する。係止部は、飲み口7を肩カバー6に装着した状態のまま肩カバー6を容器本体1に着脱する際、飲み口7が肩カバー6から脱落することを防ぐためのものである。したがって、少なくとも肩カバー6に対する飲み口7の下方動を制限可能なものであればよい。
【0032】
図示の係止部は、管路部材11の外側面に一体的に成形された第1の係止片21a、21bと、肩カバー6の環状部9の内側面に一体的に成形された第2の係止片22a、22bと、を備える。
【0033】
肩カバー6の下方から飲み口7を環状部9の内側へ挿し入れると、第1の係止片21bが第2の係止片22bを下から上へ乗り越え、次いで第1の係止片21aが第2の係止片22aを下から上へ乗り越える。これにより、飲み口7が肩カバー6に取り付けられる。
【0034】
飲み口7を肩カバー6から外す際は、
図3に示すように容器本体1から外された蓋8を開けた状態で、飲み口7の第1の係止片21b側を下方に押し込むと、第1の係止片21bが第2の係止片22bを上から下へ容易に乗り越え、次いで第1の係止片21aが第2の係止片22aから下方へ移動する。これにより、飲み口7が肩カバー6から外れる。
【0035】
(ロック部)
ロック部は、肩カバー6の周側部に設けられ、操作部材25をロックするためのものである。
図3に示すように、ロック部は、操作部材25の背後で解除操作の規制を行う規制部27が設けられたロック片26を有している。ロック片26が操作部材25側に移動することで規制部27が解除操作の受け付けを不能にし、ロック片26が操作部材25から離れることで規制部27による規制が解除され、解除操作の受け付けが可能になる。
【0036】
(蓋)
蓋8は、当該蓋8の開閉によって飲料注出路14を閉塞可能な蓋パッキン30と、蓋パッキン30が取り付けられる取付部31と、蓋8の上面を形成する外殻部材32とを有する。取付部31は、蓋8の内側の面に相当する外殻部材32の内側面から延在する態様で設けられている。取付部31は、外殻部材32と一体に形成されていてもよい。
【0037】
蓋パッキン30は、蓋8の外殻部材32の内側に設けられている。蓋パッキン30は、蓋8の開閉によって飲み口7の口当て部13の内側空間へ出し入れされ、飲料注出路14を開閉する。蓋パッキン30の材料は、例えば、シリコーンゴムである。外殻部材32は、飲み口7を上方から覆い、合成樹脂で一体に成形されている。蓋パッキン30は、取付部31に分離不可能に取り付けられている。
【0038】
このように、飲料容器100では、蓋パッキン30が、蓋8に設けられた取付部31に分離不可能に取り付けられているので、蓋パッキン30を正規の位置に常時定めることが可能となる。また、蓋パッキン30がなくなるといったことも生じない。
【0039】
図示する取付部31は、筒状(中空状)に形成され、取付部31の底面は下向きに開放されている。蓋パッキン30は、このような取付部31に嵌合部33(
図5参照)を介して取り付けられている。なお、ここでは、嵌合部33を設けたが、蓋パッキン30を直接、取付部31に分離不可能に取り付ける構成であってもよい。つまり、嵌合部33は、取付部31の一部と見做すことができる。
【0040】
図4は、実施形態に係る蓋パッキン30および嵌合部33の上面図である。
図5は、実施形態に係る蓋パッキン30および嵌合部33の側面図である。
図6は、
図4のA-A線矢視断面図である。
【0041】
図4~
図6に示すように、蓋パッキン30は、嵌合部33(
図5参照)と接続されている。嵌合部33は、蓋パッキン30と接続される第1の接続部33-1と、取付部31と接続される(取付部31に嵌合される)第2の接続部33-2を有している。
【0042】
図6に示すように、蓋パッキン30は中実であり、内部が詰まったソリッド状態に設けられている。蓋パッキン30は、嵌合部33(取付部31)と接続される基部30aと、基部30aから突出するように設けられ、弾性変形して飲料注出路14を閉塞するシール部30bと、を有する(
図1参照)。実施形態では、シール部30bが内側シール面16に密着することで、飲料注出路14を閉塞する。
【0043】
基部30aおよび第1の接続部33-1は内周部が櫛の歯状に形成されている。基部30aおよび第1の接続部33-1の櫛の歯状部分が互いに嵌り合い、かつ、接着剤で接着されている。これにより、蓋パッキン30が嵌合部33に分離不可能に取り付けられている。なお、基部30aと嵌合部33との取り付け方は、このような構成に限られるものではなく、蓋パッキン30を嵌合部33に分離不可能に取り付けることができればよい。
【0044】
このような構成の蓋パッキン30では、シール部30bが、蓋8を閉じる動作で飲み口7の内側シール面16との密着面積を増やすように弾性変形を生じながら飲み口7を閉塞する。
【0045】
基部30aから突出するように設けられたシール部30bは、厚みを有しており、厚みのあるゴムの塊がつぶれるように変形することで、内側シール面16との密着面積を増やす。また、シール部30bは、厚みを有していることで、優れた弾性反発性を有し、開閉支持部24(
図1参照)が備えるヒンジばねの弾性反発と共に蓋8を強制的に開く力として作用する。このような作用効果を考慮すると、シール部30bの上下方向(押圧方向)の厚みとしては、1mm以上であることが好ましい。
【0046】
そして、ここで蓋パッキン30は、中実に設けられているので、容器本体1に収容された飲料の熱で温められたとしても、内側に密封された空間を有する場合のように膨らむことはない。そのため、容器本体1に収容される飲料の温度に係わらず、所定の力で蓋を閉めることができる。
【0047】
さらに、実施形態では、シール部30bが内側シール面16に密着することで、飲料注出路14を閉塞する構成としているので、高い水密性を確保できる。
【0048】
また、実施形態では、シール部30bの先端面30baは、中央が膨らんだ凸曲面に形成されている。飲み口7の内側シール面16が凹曲面状に形成されている構成では、このような構成とすることで、飲み口7の内側シール面16に密着する面積を広く確保でき、水密性を向上させることができる。
【0049】
さらに、実施形態では、蓋パッキン30は、
図5、
図6に示すように、飲料注出路14を閉塞する際にシール部30bの弾性変形を容易にするための変形補助部35を有している。
【0050】
変形補助部35が設けられることで、蓋8を閉じる動作に伴うシール部30bの弾性変形が容易に起こる。これにより、蓋パッキン30の弾性力のみに頼ることなくシール部30bの形状の工夫にて、弾性変形を生じ易くすることが可能になる。その結果、蓋パッキン30を構成する材質の選択幅が広がる。また、変形補助部35が形成されていない蓋パッキン30よりも小さい力で撓ませることができるので、内側シール面16との密着面積を同じとした場合、蓋8を閉める際に必要な力を小さくすることができる。
【0051】
実施形態では、変形補助部35は、
図5、
図6に示すように、シール部30bの外周部から内側に向かって窪んだ窪み形状部36として形成されている。窪み形状部36は、シール部30bの外周面から蓋パッキン30の中心軸に向かって切り込まれた切込形状部と表現することもできる。
【0052】
このような窪み形状部36を設けることで、シール部30bの先端面30ba側に、外周部の肉厚が薄いフランジ状の部分が形成される。蓋8を閉じる動作に伴って先端面30baが内側シール面16に押し当てられることで、この肉厚の薄い部分が押圧方向とは反対の方向に撓むように変形する。これにより、シール部30bにおいて、内側シール面16との密着面積を増やす弾性変形が起り易くなる。
【0053】
また、
図6に示すように、実施形態では、窪み形状部36は斜め上方から抉るように窪んでおり、シール部30bの断面形状は鋭角状のコーナ部36aを有している。このような窪み形状部36とすることにより、窪み形状部36の下方に位置するシール部30bの厚みが薄くなり、シール部30bが飲み口7の内側シール面16に密着しやすくなる。しかも、蓋パッキン30の中心軸あたりの抉れていない中実部分が飲み口7の開口部15に入り込むようになり、シール部30bが飲み口7の内側シール面16により密着しやすくなる。
【0054】
さらに、
図5、
図6に示すように、窪み形状部36は、シール部30bの全周に亘って形成されていてもよい。このような構成とすることで、シール部30bを全周に亘って均等に撓ませることができる。これにより、シール部30bが内側シール面16に密着する際の密着力がシール部30bの全周において均一になり、水密性が向上する。
【0055】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0056】
前述した実施形態では、シール部30bが飲み口7の内側シール面16に密着して飲料注出路14を閉塞する構成を例示したが、これに限定されるものではない。
【0057】
図7は、蓋パッキン30が飲み口7の飲料注出路14を閉塞している様子を模式的に示す断面図である。符号701は、シール部30bが、飲み口7の開口部15の内周面15aに密着して飲料注出路14を閉塞している様子を示している。符号702は、シール部30bが、飲み口7の内側シール面16と開口部15の内周面15aの両方に密着して飲料注出路14を閉塞している様子を示している。
【0058】
このように、シール部30bが飲み口7の開口部15の内周面15aに密着する、あるいは内側シール面16と開口部15の内周面15aの両方に密着することで、飲料注出路14を閉塞する構成としてもよい。
【0059】
図8は、蓋パッキン30および変形補助部35のバリエーションを模式的に示す図である。蓋パッキン30のシール部30bは、符号801に示すように、略円柱形状であってもよいし、符号802に示すように、上部に対して下部側が膨らんだ形状であってもよい。また、変形補助部35としての窪み形状部36は、符号803に示すように、断面U字の溝であってもよいし、符号804に示すように、断面三角形状となる溝であってもよい。
【0060】
また、変形補助部35は、符号805に示すように、密着面積を増やすように弾性変形を生じさせたいシール部30bの外周部を、シール部30bの内周部よりも弾性変形が生じやすい材質から形成することで構成してもよい。
【0061】
また、符号806は、窪み形状部36がシール部30bの全周に設けられていない構成例を示している。図示するように、窪み形状部36を周方向に分断するように、リブ状の壁37が設けられていてもよい。
【0062】
このような構成では、リブ状の壁37にてシール部30bの弾性反発性が増し、開閉支持部24(
図1参照)が備えるヒンジばねの弾性反発と共に蓋8を強制的に開く力として作用する。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 容器本体
2 蓋セット
6 肩カバー
14 飲料注出路
15 開口部
16 内側シール面
30 蓋パッキン
30a 基部
30b シール部
30ba 先端面
31 取付部
33 嵌合部
35 変形補助部
36 窪み形状部
36a コーナ部
100 飲料容器