IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 象印マホービン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-飲料容器 図1
  • 特開-飲料容器 図2
  • 特開-飲料容器 図3
  • 特開-飲料容器 図4
  • 特開-飲料容器 図5
  • 特開-飲料容器 図6
  • 特開-飲料容器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037031
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B65D51/24 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141655
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 直紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】池永 伸介
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FA06
3E084JA20
3E084KB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】携帯性や飲料の抽出性を損なうことなく、取っ手つき容器のように持ち手を用いた動作に安定感のある飲料容器を実現する。
【解決手段】飲料容器(1)は、容器本体(2)と、容器本体(2)の外周面に取り付けられたハンドル(4)とを備え、ハンドル(4)は、容器本体(2)に近い収納位置と容器本体(2)から遠い展開位置とに変位可能であり、展開位置にある状態で、容器本体(2)の径方向外側に向かって延びる上端部の下面に設けられ、使用者の手または指を支持する支持面(20)を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことができる飲料容器であって、
飲料を収容する容器本体と、
前記容器本体の外周面に取り付けられたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、
前記容器本体に近い収納位置と前記容器本体から遠い展開位置とに変位可能であり、
前記展開位置にある状態で、前記容器本体の径方向外側に向かって延びる上端部の下面に設けられ、使用者の手または指を支持する支持面を有する、飲料容器。
【請求項2】
前記支持面は、前記容器本体の周方向より見て、上方に凹む凹曲面に形成されている請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記ハンドルは、リンク機構を有し、
前記リンク機構に含まれる間接部位の少なくとも1つの回転を規制して、前記ハンドルの前記展開位置にある状態を保持させる請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記ハンドルは、
前記容器本体の外周面に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続されると共に、前記支持面を有する第1部位と、
前記第1部位の他端に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続された第2部位と、
前記容器本体の外周面における前記第1部位が接続されている位置よりも下方の位置に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続されると共に、他端に前記第2部位の他端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続された第3部位と、を備え、
前記容器本体の外周面に、前記第1部位および/または第3部位の前記一端の上方向への回転を規制して、前記ハンドルに前記展開位置にある状態を保持させる規制部が設けられている請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記規制部は、規制した状態を保持する保持機構を有する請求項4に記載の飲料容器。
【請求項6】
前記第2部位の前記他端は前記容器本体に近づく方向に湾曲し、湾曲した部分において前記第3部位の他端と接続されている請求項4に記載の飲料容器。
【請求項7】
前記収納位置にある状態で、前記ハンドルと前記容器本体の前記外周面との間に、使用者の指先が入る引っかけ部が設けられている請求項1又は2に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことができる飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用の飲料容器においては、携帯に供するために肩部材に装着した吊り紐、肩部材と底部材間を連結するように装着したベルトを備えたものが知られている(例えば特許文献1)。また、容器本体に対して離接可能なハンドルを備えた飲料容器も知られている(例えば特許文献2、3)。容器本体に対してハンドルを離接可能にすることで、ベルトに比べて嵩張るハンドルからなる持ち手としながらも、飲料容器を携帯する際や液体を注ぐ際等のハンドルの使用時にはハンドルが引き出される(容器本体に対してハンドルを離間させる)ことで持ち手となり、ハンドルの不使用時にはハンドルが折り畳まれる(容器本体に対してハンドルを近接させる)ことでハンドルをコンパクトに収納できる。一方で、近年では飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことができるタイプの飲料容器も知られている(例えば特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-192157号公報
【特許文献2】特開2002-128089号公報
【特許文献3】特開2001-8838号公報
【特許文献4】特開2014-094770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベルトからなる持ち手は、ベルトに手を通しつつ飲料容器を把持して飲料を飲料容器から直接飲む場合、剛性の低さ故に持ち手が安定せず、取っ手つき容器(例えばカップ)のような安定感を得ることはできない。
【0005】
また、ハンドルからなる持ち手は、ハンドルを把持して、携帯したり、飲料容器から飲料を注いだりする際には、しっかりとした安定感が得られる。しかしながら、あくまでも携帯時の持ち易さや飲料の抽出性を考慮したものでしかなく、飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことを考慮していないため、取っ手つき容器のようにハンドルに手を通しつつ飲料容器を把持して飲料を飲料容器から直接飲むような使い方には対応していない。
【0006】
本発明の一態様は、携帯性や飲料の抽出性を損なうことなく、取っ手つき容器のように持ち手を用いた動作に安定感のある飲料容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る飲料容器は、飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことができる飲料容器であって、飲料を収容する容器本体と、前記容器本体の外周面に取り付けられたハンドルと、を備え、前記ハンドルは、前記容器本体に近い収納位置と前記容器本体から遠い展開位置とに変位可能であり、前記展開位置にある状態で、前記容器本体の径方向外側に向かって延びる上端部の下面に設けられ、使用者の手または指を支持する支持面を有する。
【0008】
上記構成によれば、ハンドルを収納位置と展開位置とに変化可能に設けることで、持ち手を剛性の有るハンドルとしながらも飲料容器自体をコンパクトな構成とできる。また、支持面を設けることで、展開状態のハンドルに手を通しつつ容器本体(飲料容器)を把持して飲料を飲料容器から直接飲む際に、取っ手つき容器のような安定感を得ることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記支持面は、前記容器本体の周方向より見て、上方に凹む凹曲面に形成されている構成であってもよい。
【0010】
上記構成によれば、支持面を凹曲面とすることで、展開状態のハンドルに手を通しつつ飲料容器を把持して飲料を飲料容器から直接飲む際に、手の形状と支持面の形状とが適合し、より一層の安定感を得ることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記ハンドルは、リンク機構を有し、前記リンク機構に含まれる間接部位の少なくとも1つの回転を規制して、前記ハンドルの前記展開位置にある状態を保持させる構成であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、ハンドルの材質として可撓性を有する材質を用いることなく、収納位置と展開位置とに変位させることができる。また、剛性を有する材質にてハンドル全体を形成できるので、可撓性を有する材質が部分的に用いられているハンドルよりもハンドル全体の剛性を高くでき、より一層の安定感を得ることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記ハンドルは、前記容器本体の外周面に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続されると共に、前記支持面を有する第1部位と、前記第1部位の他端に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続された第2部位と、前記容器本体の外周面における前記第1部位が接続されている位置よりも下方の位置に一端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続されると共に、他端に前記第2部位の他端が横方向の軸芯周りに回転可能に接続された第3部位と、を備え、前記容器本体の外周面に、前記第1部位および/または第3部位の前記一端の上方向への回転を規制して、前記ハンドルに前記展開位置にある状態を保持させる規制部が設けられている構成であってもよい。
【0014】
上記構成によれば、ハンドルの材質として可撓性を有する材質を用いることなく、収納位置と展開位置とに変位させることができる。また、剛性を有する材質にてハンドル全体を形成できるので、可撓性を有する材質が部分的に用いられているハンドルよりもハンドル全体の剛性を高くでき、より一層の安定感を得ることができる。
【0015】
さらに、この場合、前記規制部は、規制した状態を保持する保持機構を有する構成であってもよい。このような構成とすることで、ハンドルが展開した状態を保持できる。
【0016】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記第2部位の前記他端は前記容器本体に近づく方向に湾曲し、湾曲した部分において前記第3部位の他端と接続されている構成であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、ハンドルの収納状態で、第3部位と第2部位との干渉を回避して、第2部位と第3部位との接続部位である第2回転支持部を、容器本体により近づけることができる。これにより、ハンドルをよりコンパクトに収納することが可能となり、ひいては飲料容器をよりコンパクトな構成とできる。
【0018】
本発明の一態様に係る飲料容器において、前記収納位置にある状態で、前記ハンドルと前記容器本体の前記外周面との間に、使用者の指先が入る引っかけ部が設けられている構成であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、引っかけ部に指先を掛けて引き出すことで、簡単にハンドルを引き出して展開状態とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、携帯性や飲料の抽出性を損なうことなく、取っ手つき容器のように持ち手を用いた動作に安定感のある飲料容器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1の飲料容器におけるハンドルが収納状態にある斜視図である。
図2】実施形態1の飲料容器におけるハンドルが収納状態にある部分断面図である。
図3】実施形態1の飲料容器におけるハンドルが展開状態にある部分断面図である。
図4】実施形態1の飲料容器を用いた動作を示す斜視図である。
図5】実施形態2の飲料容器におけるハンドルが収納状態にある部分断面図である。
図6】実施形態2の飲料容器におけるハンドルが展開状態にある部分断面図である。
図7】実施形態1の飲料容器における変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
(飲料容器の概略)
図1は、実施形態の飲料容器1におけるハンドル4が収納状態にある斜視図である。図1に示すように、飲料容器1は、飲料容器に口を付けて飲料容器内の飲料を直接飲むことができる飲料容器であって、携帯型の蓋つきの飲料容器である。以下、飲料容器1を水平面上に立てた状態で水平面に垂直な方向を上下方向として説明する。
【0024】
飲料容器1は、容器本体2と、蓋セット3と、ハンドル4と、を有している。容器本体2は、飲料を貯留するもので、例えばステンレス鋼製魔法瓶等によって構成されている。容器本体2は上端部に注出口(不図示)を有し、注出口の周囲が肩部5となっている。
【0025】
蓋セット3は、この肩部5に取付けられている。蓋セット3は、環状の肩カバー6と、注出口を塞ぐ蓋7と、飲料を飲む際に口を付ける飲み口(不図示)と、開閉支持部8等を有している。蓋7は、開閉支持部8を介して肩カバー6に対して開閉可能に支持されている。また、蓋7は、係止機構(不図示)にて閉じた状態を保持し、操作部材9が操作されることで、係止が解除されるようになっている。
【0026】
ハンドル4は、容器本体2の外側面(外周面)に設けられている。ハンドル4は、飲料容器1の持ち手であり、飲料容器1を持ち運ぶとき、飲料容器1から飲料を注ぐとき、あるいは飲料容器1に口を付けて飲料を直接飲むときなどに用いられる。ハンドル4は、しっかりと把持できるように、滑りにくいゴム材などで被覆されていてもよい。
【0027】
容器本体2には、肩部5の下端部から容器本体2の上下方向の中央部にかけて、容器本体2の外側面を覆う外装部10が設けられている。外装部10は、合成樹脂等で形成されている。ハンドル4はこの外装部10に取り付けられている。なお、ハンドル4は容器本体2に取り付けられてもよい。
【0028】
(ハンドル)
図2は、実施形態の飲料容器1におけるハンドル4が収納状態にある部分断面図である。図3は、実施形態の飲料容器1におけるハンドル4が展開状態にある部分断面図である。図4は、実施形態1の飲料容器を用いた動作を示す斜視図である。
【0029】
図2図3に示すように、ハンドル4は容器本体2に近い収納位置と容器本体2から遠い展開位置とに変化可能に設けられている。換言すると、ハンドル4は収納位置と展開位置とに移動可能に設けられている。収納位置にある状態が収納状態であり、展開位置にある状態が展開状態である。収納状態はハンドル4が折り畳まれた状態である。展開状態はハンドル4が引き出された状態である。ハンドル4を収納位置と展開位置とに変化可能に設けることで、持ち手を剛性の有るハンドル4としながらも飲料容器1自体をコンパクトな構成とすることができる。
【0030】
ハンドル4は、展開状態で、当該容器本体2の径方向外側に向かって延びる上端部の下面に設けられ、使用者の手または指を支持する支持面20を有している。支持面20を設けることで、図4の符号401に示すように、展開状態のハンドル4に手を通しつつ容器本体2(飲料容器1)を把持して飲料を飲料容器1から直接飲む際に、取っ手つき容器のような安定感を得ることができる。
【0031】
図3に示すように、支持面20は容器本体2の周方向より見て、上方に凹む凹曲面に形成されている。支持面20を凹曲面とすることで、図4の符号401に示すように、展開状態のハンドル4に手を通しつつ飲料容器1を把持して飲料を飲料容器1から直接飲む際に、手の形状と支持面20の形状とが適合し、より一層の安定感を得ることができる。
【0032】
図1に示すように、ハンドル4は容器本体2の周方向に幅を持って広がる形状である。ハンドル4を幅広な構成とすることで、支持面20も容器本体2の周方向に幅を持って広がる形状となる。ハンドル4が棒状(軸状)に形成され、支持面が周方向に細幅な構成である場合、支持面に接触している手や指が痛くなるようなことがあるが、このような構成とすることで、上記事態の招来を回避できる。
【0033】
支持面20は、リブ等の凹凸のない滑らかな面としてもよい。支持面20に凹凸がある場合、支持面20に接触している手や指が痛くなるようなことがあるが、このような構成とすることで、上記事態の招来を回避できる。
【0034】
図2図3に示すように、具体的にはハンドル4は、第1部位11と、第2部位12と、第3部位13と、第1回転支持部14と、第2回転支持部15と、を備えている。第1部位11はハンドル4の上部に位置し、第2部位12はハンドル4の中部に位置し、第3部位13はハンドル4の下部に位置している。第1部位11に支持面20が設けられている。第1部位11~第3部位13は何れも、容器本体2の周方向より見て概ね直線状をなす部材である。
【0035】
ハンドル4の一端に相当する第1部位11の一端11aは、外装部10(容器本体2の外側面に位置する)に設けられた上回転支持部16に回転可能に接続されている。第1部位11の他端11bは第2部位12の一端12aと、第1回転支持部14を介して回転可能に接続されている。ハンドル4の他端に相当する第3部位13の一端13aは、外装部10に設けられた下回転支持部17に回転可能に接続されている。第2部位12の他端12bと第3部位13の他端13bとが、第2回転支持部15を介して回転可能に接続されている。第1回転支持部14、第2回転支持部15、上回転支持部16および下回転支持部17は何れも、支持対象を横方向の軸芯周りに回転可能に支持する。ここで横方向とは、容器本体2の周方向に沿った直線方向である。
【0036】
つまり、実施形態のハンドル4はリンク機構を構成している。第1部位11~第3部位13はリンク機構における3つのリンクに相当する。第1回転支持部14、第2回転支持部15、上回転支持部16および下回転支持部17は、リンク機構における4つのジョイント(間接部位)に相当する。換言すると、ハンドル4は、リンク機構を有し、リンク機構に含まれる間接部位の少なくとも1つの回転を規制して、ハンドル4の展開位置にある状態を保持させる。
【0037】
第1部位11~第3部位13のうち、第1部位11と第2部位12とは同程度の長さを有し、第2部位12は第1部位11および第3部位13よりも長く形成されている。また、第2部位12は上回転支持部16および下回転支持部17間の距離と同程度の長さに形成されている。図示の例では、第2部位12が上回転支持部16および下回転支持部17間の距離よりも若干長く形成され、第3部位13も第1部位11よりも若干長く形成されている。
【0038】
外装部10には、第1部位11の一端11aの上方向への回転を規制して、ハンドル4に展開状態を保持させる規制部18が設けられている。規制部18は、上回転支持部16の上方に位置しており、第1部位11の上面に当接することで、上回転支持部16を支点とした第1部位11の上方向への回転を規制する。このような規制部18にて、リンク機構を構成しているハンドル4の可動域が決定される。第1部位11が最大限回転した状態が展開状態である。規制部18は、外装部10と一体に形成することができる。
【0039】
図3に示すように、展開状態では、第1部位11と第2部位12とは略90度の角度をなす。図示の例では、第1部位11と第2部位12とは90度よりも若干大きな角度をなしている。展開状態では、ハンドル4の内側には、上下に長い開口R1が形成される。図4の符号401に示すように、開口R1は、一般的な成人男性が、親指以外の4本の指を揃えた状態で差し込むことができる大きさを有している。また、図4の符号402に示すように、開口R1は、ハンドル4を取っ手つき容器の取っ手のように把持できる大きさを有している。上回転支持部16および下回転支持部17間の距離、および第1部位11~第3部位13の各長さは、このような大きさの開口R1を形成できるように設定されている。
【0040】
本実施形態では、リンク機構のジョイントに相当する第1回転支持部14、第2回転支持部15、上回転支持部16および下回転支持部17の少なくとも1つが、力が加えられない限り回転位置を保持するように設けられている。これにより、ハンドル4は、展開位置に引き出された状態、あるいは展開位置の途中の位置まで引き出された状態で、ハンドル4から手が離されたとしても、その状態を保持するようになっている。
【0041】
また、規制部18に、規制した状態を保持する保持機構を設けて、ハンドル4を展開状態で保持させる構成としてもよい。保持機構としては、例えば、規制部18に設けられたリブ状の乗り越え部を挙げることができる。第1部位11の一端11aの上面は、乗り越え部を乗り越えるように回転して規制部18に当接する。これにより、ハンドル4は、展開位置に引き出された状態を保持することができる。
【0042】
展開状態から収納状態への変位は、第1部位11を、上回転支持部16を支点として下方に回転させる。このとき、規制部18に保持機構としての乗り越え部が設けられている構成では、第1部位11の一端11aの上面は、乗り越え部を展開時とは反対の方向に乗り越えるように回転する。これに伴い、図2に示すように、第3部位13は、容器本体2に沿うように、第2回転支持部15が下回転支持部17の下方に位置した状態となる。第1部位11と第2部位12との接続部分は180度に近い状態にまで広がる。
【0043】
このように、リンク機構を用いてハンドル4を構成することで、ハンドル4の材質として可撓性を有する材質を用いることなく、収納位置と展開位置とに変位可能な構成を実現できる。剛性を有する材質にてハンドル全体を形成できるので、可撓性を有する材質が部分的に用いられているハンドルよりもハンドル全体の剛性を高くでき、より一層の安定感を得ることができる。さらに、リンク機構を用いているので、容器本体2の外側面に対するハンドル4の両端部(第1部位の一端11a,第3部位の他端13b)の取り付けは、上回転支持部16および下回転支持部17といった単純な機構ですむ。したがって、ハンドル取り付け機構を簡素化して、製品価格を安価にできる。
【0044】
また、図2に示すように、第2部位12の他端12bを容器本体2に近づく方向に湾曲させ、湾曲した部分において第3部位13の他端13bと接続されるようにしてもよい。このような構成とすることで、ハンドル4の収納状態で、第3部位13と第2部位12との干渉を回避して、第2部位12と第3部位13との接続部位である第2回転支持部15を、容器本体2により近づけることができる。図2の示す例では、第2回転支持部15は下回転支持部17の真下に位置している。これにより、ハンドル4をよりコンパクトに収納することが可能となり、ひいては飲料容器1をよりコンパクトな構成とできる。
【0045】
さらに、図2に示すように、収納状態で、ハンドル4と容器本体2の外側面との間に、使用者の指先が入る引っかけ部(隙間)R2が設けられていてもよい。このような構成とすることで、引っかけ部R2に指先を掛けて引き出すことで、簡単にハンドル4を引き出して展開状態とすることができる。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
図5は、実施形態の飲料容器1Aにおけるハンドル4Aが収納状態にある部分断面図である。図6は、実施形態の飲料容器1Aにおけるハンドル4Aが展開状態にある部分断面図である。
【0048】
図5図6に示すように、ハンドル4と同様にハンドル4Aも、容器本体2に近い収納位置と容器本体2から遠い展開位置とに変化可能に設けられている。ハンドル4と同様にハンドル4Aも、展開状態で、当該ハンドル4Aにおける上端部の下面4aに容器本体2の径方向外側に向かって延びる支持面20を有している。
【0049】
図5図6に示すように、具体的にはハンドル4Aは、第4部位21と、第5部位22と、第3回転支持部23と、を備えている。第4部位21はハンドル4Aの上部から中部に位置し、第5部位22はハンドル4Aの下部に位置している。第4部位21に支持面20が設けられている。
【0050】
第4部位21は、容器本体2の周方向より見てL字状をなす。L字の短い方の辺がハンドル4Aの上部に位置し、L字の長い方の辺がハンドル4Aの中部に位置している。第5部位22は、容器本体2の周方向より見て概ね直線状をなす部材である。
【0051】
ハンドル4Aの一端に相当する第4部位21の一端21aは、外装部10(容器本体2の外側面に位置する)に設けられた上回転支持部16に回転可能に接続されている。ハンドル4Aの他端に相当する第5部位22の一端22aは、外装部10に設けられた下回転支持部17に回転可能に接続されている。第4部位21の他端21bと第5部位22の他端22bとが、第3回転支持部23を介して回転可能に接続されている。第3回転支持部23は、支持対象である第4部位21の他端21bと第5部位22の他端22bとを横方向の軸芯周りに回転可能に支持する。
【0052】
ハンドル4と同様にハンドル4Aもリンク機構を構成している。第4部位21、第5部位22はリンク機構における2つのリンクに相当する。第3回転支持部23、上回転支持部16および下回転支持部17は、リンク機構における3つのジョイントに相当する。このうち、第3回転支持部23は、スライドするジョイントである。
【0053】
第4部位21の他端21bは、容器本体2に近づく方向に湾曲した後、上下に向かって延在する部位を有する。そして、この部位に上下に長い長穴23bが設けられ、該長穴23b内を、第5部位22の他端21bに形成された軸23aが摺動するよう構成されている。
【0054】
図6に示すように、ハンドル4Aの展開状態では、第4部位21の上面が規制部18に当接することで、上回転支持部16を支点とした第4部位21の上方向への回転が規制されている。この状態で、軸23aは長穴23bの上端に位置している。展開状態で、ハンドル4Aの内側には、前述した上下に長い開口R1が形成される。
【0055】
展開状態から収納状態への変位は、第4部位21を、上回転支持部16を支点として下方に回転させる。これに伴い、図5に示すように、軸23aは長穴23bの上端から下端へと移動し、第5部位22は、容器本体2に沿うように、第3回転支持部23が下回転支持部17の下方に位置した状態となる。収納状態で、ハンドル4Aと容器本体2の外側面との間に、使用者の指先が入る引っかけ部(隙間)R2が設けられている。
【0056】
なお、上記の実施形態1,2では、第1部位11の一端11aの上方向への回転を規制して、ハンドル4に展開状態を保持させる規制部18が1つ設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。図7は、実施形態1の飲料容器1における変形例を示す部分断面図である。
【0057】
図7に示すように、第1部位11の一端11aの上方向への回転を規制して、ハンドル4に展開状態を保持させる第2の規制部18aが設けられていてもよい。図7に示す例では、ハンドル4の展開状態で、第1部位11の一端11aの下面が第2の規制部18aに当接し、ハンドル4に展開状態を保持させる。
【0058】
また、図7に示すように、第3部位13の一端13aの上方向への回転を規制して、ハンドル4に展開状態を保持させる第3の規制部19が設けられていてもよい。上述した規制部18を第1の規制部とすると、第1の規制部18と第3の規制部19との両方が設けられていてもよいし、第2の規制部18aと第3の規制部19との両方が設けられていてもよい。また、第1の規制部18、第2の規制部18a、あるいは第3の規制部19の何れか1つが設けられていてもよい。要するに、ハンドル4に展開状態を保持させる機能を有する構成を、1つまたは複数有してもよい。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1、1A 飲料容器
2 容器本体
4、4A ハンドル
4a 下面
10 外装部
11 第1部位
11a 第1部位の一端
11b 第1部位の他端
12 第2部位
12a 第2部位の一端
12b 第2部位の他端
13 第3部位
13a 第3部位の一端
13b 第3部位の他端
14 第1回転支持部
15 第2回転支持部
16 上回転支持部
17 下回転支持部
18 規制部
20 支持面
R1 開口
R2 引っかけ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7