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特開2024-3705交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003705
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240105BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240105BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240105BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240105BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240105BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240105BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08G1/09 F
G08B21/00 U
G08B21/24
G16Y10/40
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103037
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博己
【テーマコード(参考)】
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA54
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA11
5C086CA25
5C086CA28
5C086FA17
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】追い抜き車両と停車車両が衝突する危険性を低減することが可能な交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラムを提供する。
【解決手段】一態様に交通通信システムは、停車車両である第1車両と、第1車両を追い抜く第2車両と、第1無線通信部とを有する交通通信システムである。前記交通通信システムの前記第1無線通信部は、第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する。前記交通通信システムの前記第2車両は、ドア状態情報を受信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車車両である第1車両と、
前記第1車両を追い抜く第2車両と、
第1無線通信部とを有する交通通信システムであって、
前記第1無線通信部は、前記第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信し、
前記第2車両は、前記ドア状態情報を受信する、
交通通信システム。
【請求項2】
前記ドア状態情報を取得するドア状態取得部を更に有する
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項3】
前記第2車両は、
前記ドア状態情報を受信する第2無線通信部と、
前記ドア状態情報に応じた表示を行う表示部と、を有する
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが開く予兆を示す情報及び前記第1車両のドアが開いていることを示す情報のいずれかを含むとき、注意喚起を示す情報を表示する
請求項3記載の交通通信システム。
【請求項5】
前記第1無線通信部は、前記第1車両に設けられる
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項6】
前記ドア状態取得部は、前記第1車両に設けられ、
前記ドア状態取得部は、前記第1車両のドアノブ及び前記第1車両のドアのいずれかに設けられたセンサを含む
請求項2記載の交通通信システム。
【請求項7】
無線路側機を更に有し、
前記第1無線通信部は、前記無線路側機に設けられる
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項8】
無線路側機を更に有し、
前記ドア状態取得部は、前記無線路側機に設けられ、
前記ドア状態取得部は、前記第1車両のドアの開閉状態を検出する画像センサ及び前記第1車両のドアの開閉状態を検出するLiDAR(Light Detection and Ranging)センサのいずれかを含む、
請求項2記載の交通通信システム。
【請求項9】
前記第1無線通信部は、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが閉じていることを示す情報を含むとき、前記ドア状態情報を第1周期で繰り返しブロードキャスト送信し、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが開く予兆を示す情報及び前記第1車両のドアが開いていることを示す情報のいずれかを含むとき、前記ドア状態情報を第2周期で繰り返しブロードキャスト送信し、
前記第2周期は前記第1周期よりも短い、
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項10】
停車している自車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部、を有する
車両。
【請求項11】
停車している車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部、を有する
無線路側機。
【請求項12】
交通通信システムに、
停車車両である第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する処理と、
前記第1車両を追い抜く第2車両が前記ドア状態情報を受信する処理と、を実行させる
交通通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の危険を回避することが可能な技術として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が注目されている(例えば、以下の非特許文献1)。高度道路交通システムにおいて、路側に設けられる無線路側機と、車両に設けられる車載通信機とで路車間通信が行われる場合がある。また、高度道路交通システムにおいて、車載通信機同士で車車間通信が行われる場合もある。道路交通システムでは、路車間通信又は車車間通信などを通じで、交通事故を未然に回避したり、更には、交通流の円滑化を図ったりすることが可能となる。
【0003】
一方、車両のドアが障害物に接触することを防止することが可能な技術として、例えば、以下がある。すなわち、自車両が停車状態であるか否かを検知するとともにナビゲーションを利用して自車両の現在位置を取得することで、車両周囲の状況を把握し、当該状況に応じて、ドアの解放角度を制御したり、ドア開サイン表示部による表示を行ったりする車両ドアシステムがある(例えば、以下の特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ARIB STD-T109 1.3版 「700MHz帯高度道路交通システム」
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4985967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の車両ドアシステムは、自車両のドアと障害物との衝突を回避するために、自車両において、自車両のドアを制御するものである。このような車両ドアシステムにおいて、不具合により自車両がドアを正常に制御することができない場合、自車両のドアと障害物との衝突を回避することができない危険性がある。すなわち、追い抜き車両が路上に停車している自車両を追い抜こうとしているときに、自車両のドアが突然開くと、追い抜き車両が自車両に接触してしまう場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、追い抜き車両と停車車両が衝突する危険性を低減することが可能な交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る交通通信システムは、停車車両である第1車両と、第1車両を追い抜く第2車両と、第1無線通信部とを有する交通通信システムである。交通通信システムにおいて、第1無線通信部は、第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する。また、交通通信システムにおいて、第2車両は、ドア状態情報を受信する。
【0009】
第2の態様に係る車両は、停車している自車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部を有する。
【0010】
第3の態様に係る無線路側機は、停車している車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部を有する。
【0011】
第4の態様に係る交通通信プログラムは、交通通信システムに、停車車両である第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する処理と、第1車両を追い抜く第2車両がドア状態情報を受信する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、追い抜き車両と停車車両が衝突する危険性を低減することが可能な交通通信システム、車両、無線路側機、及び交通通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係る交通通信システムの構成例を表す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る路車間通信期間の配置例を表す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る停車車両と追い抜き車両との構成例を表す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図5図5は、第2実施形態に係る交通通信システムの構成例を表す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る停車車両と追い抜き車両との構成例を表す図である。
図7図7は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0015】
(交通通信システムの構成例)
最初に、第1実施形態に係る交通通信システムの構成例について説明する。以下では、交通通信システムとして非特許文献1の標準規格に基づく交通通信システムを主として説明するが、当該標準規格に限定されるものではない。交通通信システムとして、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)のV2X(Vehicle to Everything)規格に基づく無線通信が行われてもよい。なお、3GPPは登録商標である。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る交通通信システム10の構成例を表す図である。図1に示すように、交通通信システム10は、停車車両100-1(例えば、第1車両)と、追い抜き車両100-2(例えば、第2車両)とを含む。
【0017】
停車車両100-1は、例えば、道路に一時的に停車している車両のことである。停車車両100-1は、例えば、駐車スペース又は駐車場に駐車している車両であってもよい。なお、駐車とは、車両が継続的に停止していることをいう。停車車両100-1は、例えば、車両内に人が存在し、将来的に走行することが予想される車両であればよく、駐車車両であってもよい。
【0018】
追い抜き車両100-2は、停車車両100-1を道路上で追い抜く車両のことである。追い抜き車両100-2は、停車車両100-1を道路上で追い抜こうとしている車両であってもよい。追い抜き車両100-2は、走行車両でもある。
【0019】
図1の例では、停車車両100-1が停車後に走行しようとする方向と、追い抜き車両100-2が走行する方向とは同一方向である例を表しているがこれに限定されない。例えば、停車車両100-1が走行しようとする方向と、追い抜き車両100-2が走行する方向とは逆方向であってもよい。このような状況は、例えば、片道一車線の道路で発生する。
【0020】
また、図1の例では、停車車両100-1と追い抜き車両100-2とは、普通自動車又は軽自動車等の自動車を例示しているが、停車車両100-1は、ドアを有し、道路を走行する車両であればよく、例えば、自動運転車両であってもよい。また、追い抜き車両100-2は、道路を走行する車両であればよく、例えば、自動二輪車(オートバイ)又は自動運転車両であってもよい。
【0021】
更に、図1の例では、停車車両100-1が1台存在する例を表しているが、停車車両100-1は、複数台存在してもよい。また、図1の例では、追い抜き車両100-2が1台存在する例を表しているが、停車車両100-1は、複数台存在してもよい。
【0022】
なお、以下において、停車車両100-1と追い抜き車両100-2とを特に区別しない場合は、車両100と称する場合がある。
【0023】
図1に示すように、停車車両100-1は車載通信機150-1を有する。また、追い抜き車両100-2も車載通信機150-2を有する。第1実施形態に係る交通通信システム10においては、停車車両100-1の車載通信機150-1と、追い抜き車両100-2との車載通信機150-2との間で、車車間通信が行われる。
【0024】
例えば、停車車両100-1の車載通信機150-1と、追い抜き車両100-2の車載通信機150-2とは、700MHz帯の搬送波周波数(周波数帯)を時分割で無線路側機と共用する。すなわち、700MHz帯の所定周波数帯において、路車間通信と車車間通信とが時分割で使用される。例えば、路車間通信期間において、無線路側機と車両100の車載通信機150-1及び150-2との間で路車間通信が行われる。また、例えば、路車間通信期間以外の期間(すなわち、車車間通信期間)において、車両100の車載通信機150-1及び150-2間で車車間通信が行われる。
【0025】
(路車間通信期間と車車間通信期間)
次に、第1実施形態に係る交通通信システム10における路車間通信期間について説明する。図2は路車間通信期間の一例を表す図である。
【0026】
図2に示すように、路車間通信期間は、100ms周期(「制御周期」と呼ばれる)での通信を基本とする。100msの制御周期内において16μsを制御単位時間(「ユニット」と呼ばれる)としており、制御周期は6250ユニットで構成される。1制御周期中に設定可能な路車間通信期間の数の最大値は「16」であり、制御周期の先頭から390ユニット(6240μs)間隔で路車間通信期間を配置する。設定可能な1路車間通信期間長の最大値は、189ユニット(3024μs)である。
【0027】
無線路側機に対しては、1制御周期中にある16の路車間通信期間のうち1つ又は複数の路車間通信期間が割り当てられる。無線路側機は、自身に割り当てられた路車間通信期間を用いて、所定周期で路車間メッセージをブロードキャストする。この所定周期は、例えば制御周期の整数倍である。路車間メッセージは、路車間通信期間に関する情報を含む。具体的には、無線路側機は、自身の送信情報として送信時刻及び路車間通信期間情報(転送回数・路車間通信期間長)を含む路車間メッセージを周囲の車載通信機150-1及び150-2に送信することにより、路車間通信期間において自身の送信時間を確保する。このとき、無線路側機では、路車間通信期間以外の期間において、送信禁止期間を設定する。
【0028】
路車間メッセージを受信した車載通信機150-1及び150-2は、路車間メッセージに含まれる送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間メッセージに含まれる路車間通信期間情報に基づいて、路車間通信期間に送信禁止期間を設定して、路車間通信期間における送信禁止期間以外のタイミングで送信を行う。
【0029】
すなわち、路車間通信期間においては、車載通信機150-1及び150-2は、自ら設定した送信禁止設定期間以外の期間において、車両情報メッセージをブロードキャストすることで、路車間通信を行う。また、路車間通信期間以外の期間(すなわち、車車間通信が行われる期間)では、無線路側機が送信禁止期間を設定しているため、車載通信機150-1及び150-2は、当該路車間通信期間以外の期間において、車両情報メッセージをブロードキャストすることで、車車間通信を行うことが可能である。
【0030】
車両情報メッセージは、車両100に関する情報を含むメッセージである。車両情報メッセージは、例えば、ITS Connect推進協議会発行の「ITS Connectシステム 車車間通信メッセージ仕様」に準拠した所定フォーマット(例えば、「ITS Connect TD-001 1.0版」)を有する。なお、ITS Connectは登録商標である。
【0031】
また、路車間メッセージは、上述したように、路車間通信期間に関する情報を含む。路車間メッセージは、例えば、UTMS(Universal Traffic Management System)協会発行の「ITS無線路側機 通信アプリケーション共通規格」や「5.8GHz帯/700MHz帯無線式DSSS用 通信アプリケーション(光・電波実験)規格」に準拠した所定フォーマットを有する。なお、UTMSは登録商標である。
【0032】
このように、第1実施形態に係る交通通信システム10において、車載通信機150-1及び150-2では、車車間通信が行われるが、無線路側機と路車間通信が行われてもよい。車載通信機150-1及び150-2が、無線路側機と路車間通信を行う例は、第2実施形態において説明する。
【0033】
(停車車両及び追い抜き車両の構成例)
次に、第1実施形態に係る停車車両100-1及び追い抜き車両100-2の構成例について説明する。図3は、停車車両100-1及び追い抜き車両100-2の構成例を表す図である。
【0034】
図3に示すように、停車車両100-1は、ドア状態取得部110と、車載通信機150-1とを有する。車載通信機150-1は、無線通信部120とアンテナ130とを含む。
【0035】
ドア状態取得部110は、停車車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報を取得する。ドア状態情報は、停車車両100-1のドアが閉まっていることを示す情報を含んでもよい。また、ドア状態情報は、停車車両100-1のドアが開く予兆を示す情報を含んでもよい。ドアが開く「予兆」とは、停車車両100-1に座っている人間によって停車車両100-1のドアが開くことが予測される状態(又は人間によってドアを開けようとしている状態)のことである。更に、ドア状態情報は、停車車両100-1のドアが(実際に)開いたことを示す情報を含んでもよい。
【0036】
第1に、ドア状態取得部110は、停車車両100-1のドアノブに設けられたセンサを含んでもよい。当該センサは、ドアノブに人が触れるとオンになり、ドアノブに人が触れないとオフになるスイッチ方式(又はタッチ方式)のセンサであってもよい。或いは、当該センサは、ドアノブ付近に設けられ、光学的方法を用いて、光に人が触れるとドアノブに人が触れたことを検知し、光に人が触れないとドアノブに人が触れないことを検知するセンサであってもよい。ドア状態取得部110は、当該センサにより人が触れたことを検知すると、ドアが開く予兆を示す情報を含むドア状態情報を生成してもよいし、ドアが開いていることを示す情報を含むドア状態情報を生成してもよい。更に、ドア状態取得部110は、当該センサにより人が触れていないことを検知すると、停車車両100-1のドアが閉まっていることを示す情報を含むドア状態情報を生成してもよい。
【0037】
第2に、ドア状態取得部110は、停車車両100-1のドアそのものに設けられたセンサを含んでもよい。当該センサも、スイッチ方式(又はタッチ方式)のセンサであってもよいし、光学的方法により検知するセンサであってもよい。当該センサは、停車車両100-1のドアの開閉を検知するセンサであってもよい。ドア状態取得部110は、当該センサによりドアに人が触れたことが検知されると、ドアが開く予兆を示す情報を含むドア状態情報を生成してもよい。また、ドア状態取得部110は、当該センサにより、ドアが開いたことを検知すると、ドアが開いていることを示す情報を含むドア状態情報を生成してもよい。更に、ドア状態取得部110は、当該センサにより、ドアが閉まったことを検知すると、ドアが閉まっていることを示す情報を含むドア状態情報を生成してもよい。
【0038】
ドア状態取得部110は、ドア状態情報を生成することで、ドア状態情報を取得し、取得したドア状態情報を無線通信部120へ出力する。
【0039】
無線通信部120は、ドア状態情報をブロードキャストで送信する。無線通信部120は、ドア状態情報を無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバート)し、無線信号をアンテナ130へ出力する。アンテナ130は、無線信号を送信する。無線通信部120は、非特許文献1に記載された無線通信方式を利用して、車車間通信を行う。ただし、無線通信部120は、3GPPのV2X規格に準拠した無線通信方式を利用して車車間通信を行ってもよいし、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した無線通信方式を利用して、車車間通信を行ってもよい。無線通信部120は、ドア状態情報を含む車両情報メッセージをブロードキャスト送信することで、ドア状態情報を送信してもよい。なお、IEEEは登録商標である。
【0040】
図3に示すように、追い抜き車両100-2は、車載通信機150-2と表示部180とを有する。車載通信機150-2は、アンテナ160と無線通信部170とを有する。
【0041】
アンテナ160は、停車車両100-1から送信された無線信号を受信する。無線通信部170は、無線帯域の無線信号をベースバンド帯域のベースバンド信号へ変換(ダウンコンバート)する。無線通信部170は、ベースバンド信号からドア状態情報を抽出し、ドア状態情報を表示部180へ出力する。このように、無線通信部170は、停車車両100-1の車載通信機150-1からブロードキャスト送信されたドア状態情報を受信する。
【0042】
表示部180は、ドア状態情報に応じた表示を行う。
【0043】
第1に、表示部180は、例えば、ドア状態情報が停車車両100-1のドアが閉まっていることを示す情報を含むとき、安全であることを示す安全表示を表示する。安全表示に関し、停車車両100-1が安全であることを示す情報が表示部180にて表示されればよく、文字情報で表示されてもよいし、画像情報で表示されてもよいし、文字情報と画像情報とが同時に表示されてもよい。或いは、安全表示は、ナビゲーション情報とともに表示部180に表示されてもよい。
【0044】
第2に、表示部180は、例えば、ドア状態情報が、停車車両100-1のドアが開く予兆を示す情報を含むとき、注意喚起を示す注意喚起表示を表示する。注意喚起表示について、追い抜き車両100-2を運転している運転者に対して、停車車両100-1に対する注意を喚起させる情報が表示部180にて表示されればよく、文字情報で表示されてもよいし、画像情報で表示されてもよいし、文字情報と画像情報とが同時に表示されてもよい。或いは、注意喚起表示は、ナビゲーション情報とともに表示部180に表示されてもよい。
【0045】
第3に、表示部180は、例えば、ドア状態情報が、停車車両100-1のドアが開いたことを示す情報を含むとき、注意喚起表示を表示する。当該注意喚起表示は、ドア状態情報が予兆を示す情報を含むときと同一の注意喚起表示でもよいし、異なる注意喚起表示でもよい。異なる注意喚起表示の場合は、例えば、以下であってもよい。すなわち、ドア状態情報が予兆を示す情報を含むときの注意喚起表示は、停車車両100-1のドアが開くことが予想されることを表す表示であってもよい。また、ドア状態情報がドアの開いたことを示す情報を含むときの注意喚起表示は、停車車両100-1のドアが開いていることを表す表示であってもよい。注意喚起表示は、文字情報で表示されてもよいし、画像情報で表示されてもよいし、文字情報と画像情報とが同時に表示されてもよいし、ナビゲーション情報とともに表示されてもよい。
【0046】
なお、追い抜き車両100-2が自動運転車両の場合、表示部180に代えて、判定部であってもよい。或いは、表示部180に判定部が含まれてもよい。判定部は、追い抜き車両100-2が安全か否かを判定する安全判定を行う。また、判定部は、追い抜き車両100-2が注意する必要があるか否かを判定する注意判定を行う。判定部は、追い抜き車両100-2に設けられたセンサから取得したセンサ情報と、停車車両100-1から取得したドア状態情報とに基づいて、安全判定又は注意判定を行ってもよい。
【0047】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る交通通信システム10の動作例について説明する。図4は、交通通信システム10の動作例を表す図である。なお、停車車両100-1と追い抜き車両100-2は、例えば、無線路側機から路車間メッセージを受信し、路車間通信期間以外の期間で、車車間通信が可能な状態になっているものとする。
【0048】
図4に示すように、ステップS10において、停車車両100-1のドア状態取得部110は、停車車両100-1のドアが閉まっていることを検知すると、ドアが閉まっていることを示す情報(以下では、「close情報」と称する場合がある。)を含むドア状態情報を無線通信部120へ出力する。
【0049】
ステップS11において、無線通信部120は、close情報を含むドア状態情報をブロードキャストで送信する。無線通信部120は、close情報を含むドア状態情報を、車両情報メッセージとして送信してもよい。
【0050】
ステップS12において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、close情報を含むドア状態情報を受信すると、当該ドア状態情報を表示部180へ出力する。
【0051】
ステップS13において、表示部180は、ドア状態情報にclose情報が含まれることを確認すると、安全表示を表示する。又は、ステップS13において、判定部は、ドア状態情報にclose情報が含まれることを確認すると安全判定を行う。
【0052】
ステップS14において、停車車両100-1の無線通信部120は、第1周期で、close情報を含むドア状態情報を再度ブロードキャスト送信する。無線通信部120は、例えば、ドア状態取得部110からclose情報以外の情報を受け取るまで、第1周期で、close情報を含むドア状態情報を繰り返しブロードキャスト送信する。以降は、追い抜き車両100-2の無線通信部170が、ドア状態情報を受信する毎に、ドア状態情報を表示部180へ出力し(ステップS15)、表示部180は安全表示を表示又は判定部は安全判定を行う(ステップS16)。
【0053】
ステップS20において、ドア状態取得部110は、停車車両100-1のドアが開く予兆を検出すると、停車車両100-1のドアが開く予兆を示す情報(以下では、「open予兆情報」と称する場合がある。)を含むドア状態情報を無線通信部120へ出力する。
【0054】
ステップS21において、無線通信部120は、open予兆情報を含むドア状態情報をブロードキャスト送信する。無線通信部120は、open予兆情報を含むドア状態情報を、車両情報メッセージとして送信してもよい。
【0055】
ステップS22において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、open予兆情報を含むドア状態情報を受信すると、当該ドア状態情報を表示部180へ出力する。
【0056】
ステップS23において、表示部180は、ドア状態情報にopen予兆情報が含まれることを確認すると、注意喚起表示を行う。又は、ステップS23において、判定部は、ドア状態情報にopen予兆情報が含まれることを確認すると、注意判定を行う。
【0057】
ステップS24において、停車車両100-1の無線通信部120は、第2周期で、open予兆情報を含むドア状態情報を再度ブロードキャスト送信する。無線通信部120は、例えば、ドア状態取得部110からopen予兆情報以外の情報を受け取るまで、第2周期で、open予兆情報を含むドア状態情報を繰り返しブロードキャスト送信する。以降は、追い抜き車両100-2の無線通信部170が、ドア状態情報を受信する毎に、ドア状態情報を表示部180へ出力し(ステップS25)、表示部180は安全表示を表示又は判定部は安全判定を行う(ステップS26)。
【0058】
ここで、第2周期は、第1周期よりも短い。追い抜き車両100-2が追い抜きを行う状況から考えると、停車車両100-1のドアが閉じている場合は基本的には安全であることが想定される。一方、停車車両100-1のドアが開く際に安全ではなくなることが想定される。そこで、第1周期を第2周期より長くすることで、第1周期で使用される通信リソース(無線帯域又はバッテリ消費など)を第2周期で使用される場合よりも少なくさせ、通信リソースを有効活用させることが可能となる。一方で、第2周期を第1周期よりも短くすることで、第1周期で通知する場合と比較して、停車車両100-1から追い抜き車両100-2へドア状態情報を速やかに通知させることが可能となる。
【0059】
ステップS30において、ドア状態取得部110は、停車車両100-1のドアが開いていることを検出すると、停車車両100-1のドアが開いていることを示す情報(以下では、「open情報」と称する場合がある。)を含むドア状態情報を無線通信部120へ出力する。
【0060】
ステップS31において、無線通信部120は、open情報を含むドア状態情報をブロードキャスト送信する。無線通信部120は、open情報を含むドア状態情報を、車両情報メッセージとして送信してもよい。
【0061】
ステップS32において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、open情報を含むドア状態情報を受信すると、当該ドア状態情報を表示部180へ出力する。
【0062】
ステップS33において、表示部180は、ドア状態情報にopen情報が含まれることを確認すると、注意喚起表示を行う。又は、ステップS33において、判定部は、ドア状態情報にopen情報が含まれることを確認すると、注意判定を行う。
【0063】
ステップS34において、停車車両100-1の無線通信部120は、第2周期で、open情報を含むドア状態情報を再度ブロードキャスト送信する。無線通信部120は、例えば、ドア状態取得部110からopen情報以外の情報を受け取るまで、第2周期で、open情報を含むドア状態情報を繰り返しブロードキャスト送信する。以降は、追い抜き車両100-2の無線通信部170が、ドア状態情報を受信する毎に、ドア状態情報を表示部180へ出力し(ステップS35)、表示部180は安全表示を表示又は判定部は安全判定を行う(ステップS36)。
【0064】
なお、図4の例では、open情報を含むドア状態情報がブロードキャストされる周期は、open予兆情報を含むドア状態情報をブロードキャストする周期と同じ第2周期としているが、例えば、当該周期は、第2周期よりも短い第3周期であってもよい。これにより、open情報を含むドア状態情報が停車車両100-1から追い抜き車両100-2へ、第2周期の場合と比較して、速やかに送信され、追い抜き車両100-2を運転している運転者への注意喚起も速やかに行うことができる。
【0065】
なお、open情報を含むドア状態情報がブロードキャストされる周期は、第1周期よりも短いが、第2周期よりも長くてもよい。
【0066】
以上説明したように、第1実施形態では、停車車両100-1の無線通信部120は、自車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャスト送信し、追い抜き車両100-2は、ドア状態情報を受信する。
【0067】
これにより、例えば、追い抜き車両100-2(又は追い抜き車両100-2を運転する運転者)は、停車車両100-1のドアの開閉状態を把握することができ、ドアの開閉状態に応じて、追い抜き車両100-2を停止させたり、停車車両100-1から更に離れて追い抜きを行ったりすることができる。よって、交通通信システム10では、追い抜き車両100-2と停車車両100-1が衝突する危険性を低減させることが可能となる。
【0068】
また、第1実施形態に係るドア状態取得部110では停車車両100-1のドアが開くことに関して、ドアが開いていることを示す情報だけではなく、ドアが開く予兆を示す情報を含むドア状態情報を出力することが可能である。
【0069】
これにより、例えば、追い抜き車両100-2(又は追い抜き車両100-2を運転する運転者)では、停車車両100-1のドアが開いているだけではなく、ドアが開く予兆がある場合でも、その状態を把握することができる。そのため、追い抜き車両100-2では、ドアが開く予兆を送信しない場合と比較して、追い抜き車両100-2が停車車両100-1を追い抜こうとしているときの追い抜き車両100-2と停車車両100-1が衝突する危険性を低減することが可能となる。
【0070】
なお、図4に示す動作例において、open予兆情報と、open情報とを区別することなく、1つにまとめて処理が行われてもよい。この場合、ドア状態取得部110は、例えば、ドアが開く予兆を検出したり、ドアが開いたことを検出したりすると、open情報を含むドア状態情報を出力する。追い抜き車両100-2の表示部180では、open情報を確認することで、注意喚起表示を行う。又は、追い抜き車両100-2の判定部では、open情報を確認することで、注意判定を行う。
【0071】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第2実施形態では、上述したように、無線路側機による路車間通信が行われる例である。
【0072】
図5は、第2実施形態に係る交通通信システム10の構成例を表す図である。図5に示すように、交通通信システム10には、更に、無線路側機200が含まれる。
【0073】
図6は、無線路側機200及び追い抜き車両100-2の構成例を表す図である。図6に示すように、無線路側機200は、ドア状態取得部210と、無線通信部220と、アンテナ230とを有する。
【0074】
ドア状態取得部210は、停車車両100-1のドアの開閉状態を検出する。
【0075】
第1に、ドア状態取得部210は、画像センサを含んでもよい。画像センサは、停車車両100-1のドア付近を撮像してもよい。画像センサは、停車車両100-1の車内におけるドア近辺を撮像することで、ドアの開閉状態を検出してもよい。画像センサは、例えば、ドア近辺の画像を撮像し、撮像した画像に含まれる画素値に基づいて、ドアが開く予兆を検出したり、ドアが開いたことを検出したりすることができる。具体的には、画像センサは、ドア近辺又はドアノブに人間の手又は腕の色を表す画素値を検出すると、ドアが開く予兆であるとして、open予兆情報を含むドア状態情報を生成してもよい。また、画像センサは、所定の位置(例えば、道路)に停車車両100-1のドアの色を表す画素値を検出すると、停車車両100-1のドアが開いたものとして、open情報を含むドア状態情報を生成してもよい。更に、画像センサは、ドア近辺又はドアノブに人間の手又は腕の色を表す画素値を検出せず、かつ、所定の位置(例えば、道路)に停車車両100-1のドアの色を表す画素値を検出しないときは、close情報を含むドア状態情報を生成してもよい。画像センサは、学習済の教師データを利用して、機械学習により、画素値の検出を行ってもよいし、ドアが開く予兆の検出、ドアが開いたことの検出、及びドアが閉まっていることの検出を行ってもよい。
【0076】
第2に、ドア状態取得部210は、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサを含んでもよい。LiDARセンサは、紫外線、可視光線、又は近赤外線など、レーダで用いられる電磁波よりも短い波長の光を物体に照射させ、その反射光を検出することで、物体の位置と距離を測定するセンサである。LiDARセンサは、例えば、停車車両100-1のドア近辺に光を照射させて、その反射光に基づいて、ドアが開く予兆の検出、ドアが開いたことの検出、又はドアが閉まっていることの検出を行う。具体的には、LiDARセンサは、停車車両100-1のドア近辺に光を照射させて、その反射光に基づいて、ドア又はドアノブに人間の手が掛けられていることを検出すると、open予兆情報を含むドア状態情報を生成してもよい。また、LiDARセンサは、停車車両100-1のドア近辺に光を照射させて、その反射光に基づいて、ドアが停車車両100-1から開いたことを検出すると、open情報を含むドア状態情報を生成してもよい。更に、LiDARセンサは、ドア又はドアノブに人間の手が掛けられていることを検出せず、かつ、ドアが停車車両100-1から開いたことを検出しないときに、close情報を含むドア状態情報を生成してもよい。
【0077】
ドア状態取得部210は、ドア状態情報を生成することで、ドア状態情報を取得し、取得したドア状態情報を無線通信部220へ出力する。
【0078】
第2実施形態に係るドア状態取得部210は、停車車両100-1の車両情報を取得する。停車車両100-1の車両情報は、少なくとも、停車車両100-1の位置情報と、停車車両100-1の識別情報とが含まれる。停車車両100-1の識別情報は、停車車両100-1と他の車両と識別できればよく、例えば、停車車両100-1の車両ナンバーであってもよい。ドア状態取得部210は、画像センサにより、停車車両100-1の位置情報と識別情報とを取得してもよい。例えば、画像センサは、以下のようにして、停車車両100-1の位置情報と識別情報とを取得する。
【0079】
すなわち、画像センサは、所定の領域に亘って一定範囲内の画素値を所定時間連続して検出することで、停車車両100-1の存在を検出する。そして、画像センサは、当該所定領域内の中心位置を、停車車両100-1の位置情報として取得する。また、画像センサは、車両ナンバーを示す画素値を検出し、当該画素値に基づいて、停車車両100-1の識別情報として、車両ナンバーを検出する。
【0080】
ドア状態取得部210は、このようにして取得した車両情報を、ドア状態情報ととともに、無線通信部220へ出力する。
【0081】
無線通信部220は、ドア状態情報と車両情報とをブロードキャストで送信する。無線通信部220は、ドア状態情報と車両情報とを、無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバート)し、無線信号をアンテナ230へ出力する。アンテナ230は、無線信号をブロードキャストで送信する。無線通信部220は、非特許文献1に記載された無線通信方式を利用して、路車間通信を行う。ただし、無線通信部220は、3GPPのV2X規格に準拠した無線通信方式を利用して路車間通信を行ってもよいし、IEEE802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した無線通信方式を利用して、路車間通信を行ってもよい。無線通信部120は、ドア状態情報と車両情報とを含む車両情報メッセージをブロードキャスト送信することで、ドア状態情報と車両情報とを送信してもよい。
【0082】
このように、第2実施形態では、停車車両100-1には、ドア状態取得部110が含まれない。無線路側機200において、ドア状態取得部210が含まれる。
【0083】
なお、追い抜き車両100-2の構成例は、第1実施形態と同様である。
【0084】
(第2実施形態に係る動作例)
図7は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。なお、追い抜き車両100-2は、無線路側機200から路車間メッセージを受信しており、無線路側機200と追い抜き車両100-2とで、路車間通信が可能な状態になっているものとする。
【0085】
図7に示すように、無線路側機200から追い抜き車両100-2へ、車両情報が送信されること以外は、基本的には、第1実施形態の動作例と同様である。
【0086】
すなわち、ステップS50において、無線路側機200のドア状態取得部210は、停車車両100-1のドアが閉まっていることを検出し、更に、停車車両100-1の車両情報を検出すると、close情報を含むドア状態情報と車両情報とを、無線通信部220へ出力する。
【0087】
ステップS51において、無線通信部220は、ドア状態情報と車両情報とをブロードキャストで送信する。
【0088】
ステップS52において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、ドア状態情報と車両情報とを受信すると、ドア状態情報と車両情報とを表示部180へ出力する。
【0089】
ステップS53において、表示部180は、車両情報に基づいて、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを把握する。例えば、表示部180は、以下の処理を行ってもよい。すなわち、表示部180は、追い抜き車両100-2に設けられたGNSS(Global Navigation Satellite System)受信部を利用して、自車両の位置情報を取得する。そして、表示部180は、当該位置情報(の時間的推移)と、停車車両100-1の位置情報とを比較することで、停車車両100-1が追い抜き車両100-2にとってこれから追い抜こうとしている車両であることを把握できる。或いは、表示部180は、当該位置情報の時間的推移から、追い抜き車両100-2の方向(又は追い抜き車両の移動方向)を把握し、当該方向に、停車車両100-1の位置情報により表された位置が存在するか否かにより、停車車両100-1が追い抜き対象の車両か否かを判定してもよい。ここでは、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であるものとして以下説明する。
【0090】
ステップS53において、表示部180は、ドア状態情報にclose情報が含まれることを確認すると、停車車両100-1に関する安全表示を表示する。又は、ステップS53において、判定部は、ドア状態情報にclose情報が含まれることを確認すると、安全判定を行う。
【0091】
第2実施形態においても、無線通信部220は、ドア状態取得部210からclose情報以外の情報を受け取るまで、第1周期で、ドア状態情報と車両情報とを繰り返しブロードキャスト送信する(ステップS54からステップS56)。
【0092】
ステップS60において、ドア状態取得部210は、停車車両100-1のドアが開く予兆を検出し、停車車両100-1の車両情報を検出すると、open予兆情報を含むドア状態情報と車両情報とを、無線通信部220へ出力する。
【0093】
ステップS61において、無線通信部220は、ドア状態情報と車両情報とをブロードキャスト送信する。
【0094】
ステップS62において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、ドア状態情報と車両情報とを受信すると、ドア状態情報と車両情報と表示部180へ出力する。
【0095】
ステップS63において、表示部180は、車両情報に基づいて、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを把握する。表示部180は、例えば、ステップS53と同様の処理を行うことで、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを把握してもよい。ステップS63において、表示部180は、ドア状態情報にopen予兆情報が含まれることを確認すると、停車車両100-1に関する注意喚起表示を行う。又は、ステップS63において、判定部は、ドア状態情報にopen予兆情報が含まれることを確認すると、注意判定を行う。
【0096】
第2実施形態においても、無線通信部220は、ドア状態取得部210からopen予兆情報以外の情報を受け取るまで、第2周期で、ドア状態情報と車両情報とを繰り返しブロードキャスト送信する(ステップS64からステップS66)。
【0097】
ステップS70において、ドア状態取得部210は、停車車両100-1のドアが開いていることを検出し、停車車両100-1の車両情報を検出すると、open情報を含むドア状態情報と車両情報とを無線通信部120へ出力する。
【0098】
ステップS71において、無線通信部120は、ドア状態情報と車両情報とをブロードキャスト送信する。
【0099】
ステップS72において、追い抜き車両100-2の無線通信部170は、ドア状態情報と車両情報とを受信すると、ドア状態情報と車両情報とを表示部180へ出力する。
【0100】
ステップS73において、表示部180は、車両情報に基づいて、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを把握する。表示部180は、例えば、ステップS53と同様の処理を行うことで、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを把握してもよい。ステップS73において、表示部180は、ドア状態情報にopen情報が含まれることを確認すると、停車車両100-1に関する注意喚起表示を行う。又は、ステップS33において、判定部は、ドア状態情報にopen情報が含まれることを確認すると、注意判定を行う。
【0101】
第2実施形態においても、無線通信部220は、ドア状態取得部210からopen情報以外の情報を受け取るまで、第2周期で、ドア状態情報と車両情報とを繰り返しブロードキャスト送信する(ステップS74からステップS76)。
【0102】
以上説明したように、第2実施形態では、無線路側機200の無線通信部220は、停車車両100-1のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャスト送信し、追い抜き車両100-2は、ドア状態情報を受信する。
【0103】
これにより、例えば、第2実施形態に係る交通通信システム10も、第1実施形態に係る交通通信システム10と同様に、追い抜き車両100-2において、停車車両100-1のドアの開閉状態を把握することができる。よって、第2実施形態に係る交通通信システム10も、第1実施形態に係る交通通信システム10と同様に、追い抜き車両100-2と停車車両100-1が衝突する危険性を低減させることが可能となる。
【0104】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、open予兆情報と、open情報とを区別することなく、1つにまとめて処理が行われてもよい。この場合、ドア状態取得部210は、例えば、ドアが開く予兆を検出したり、ドアが開いたことを検出したりすると、open情報を含むドア状態情報と、車両情報とを出力する。追い抜き車両100-2の表示部180では、open情報を確認することで、注意喚起表示を行う。又は、追い抜き車両100-2の判定部では、open情報を確認することで、注意判定を行う。
【0105】
[その他の実施形態]
第2実施形態において、ドア状態情報に加えて車両情報が無線路側機200から追い抜き車両100-2へ送信される例について説明した。例えば、第1実施形態においても、車両情報が送信されてもよい。
【0106】
すなわち、停車車両100-1のドア状態取得部110は、GNSS信号を受信するGNSS受信部を含み、GNSS受信部により自車両の位置情報を取得する。ドア状態取得部110は、ドア状態情報とともに、自車両の位置情報を含む車両情報を出力する。追い抜き車両100-2も、GNSS受信部を更に含み、表示部180では、GNSS受信部から自車両の位置情報を取得する。表示部180では、停車車両100-1から受信した停車車両100-1の位置情報と、自車両の位置情報(の時間的推移)とを比較することで、停車車両100-1がこれから追い抜こうとしている車両であることを把握できる。
【0107】
表示部180では、停車車両100-1が追い抜き対象の車両であることを確認すると、安全表示又は注意喚起表示を行う。この場合、表示部180は、停車車両100-1が追い抜き対象の車両ではないことを確認すると、安全表示又は注意喚起表示を表示しないようにしてもよい。これにより、例えば、既に停車車両100-1を追い抜いてしまった場合、停車車両100-1に関する安全表示又は注意喚起表示が表示されないため、追い抜き車両100-2を運転する運転者に対して、心配をかけないようにすることも可能である。
【0108】
また、上述した実施形態に係る各処理又は各機能をコンピュータに実行させるプログラム(交通通信プログラム)が提供されてもよい。又は、上述した実施形態に係る各処理又は各機能を交通通信システム10に実行させるプログラム(例えば、交通通信プログラム)が提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。このような記録媒体は、停車車両100-1、追い抜き車両100-2、及び無線路側機200に含まれるメモリであってもよい。
【0109】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各動作例、又は各処理を組み合わせることも可能である。
【0110】
(付記)
(付記1)
停車車両である第1車両と、
前記第1車両を追い抜く第2車両と、
第1無線通信部とを有する交通通信システムであって、
前記第1無線通信部は、前記第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信し、
前記第2車両は、前記ドア状態情報を受信する、
交通通信システム。
【0111】
(付記2)
前記ドア状態情報を取得するドア状態取得部を更に有する
付記1記載の交通通信システム。
【0112】
(付記3)
前記第2車両は、
前記ドア状態情報を受信する第2無線通信部と、
前記ドア状態情報に応じた表示を行う表示部と、を有する
付記1又は付記2記載の交通通信システム。
【0113】
(付記4)
前記表示部は、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが開く予兆を示す情報及び前記第1車両のドアが開いていることを示す情報のいずれかを含むとき、注意喚起を示す情報を表示する
付記1乃至付記3のいずれかに記載の交通通信システム。
【0114】
(付記5)
前記第1無線通信部は、前記第1車両に設けられる
付記1乃至付記4のいずれかに記載の交通通信システム。
【0115】
(付記6)
前記ドア状態取得部は、前記第1車両に設けられ、
前記ドア状態取得部は、前記第1車両のドアノブ及び前記第1車両のドアのいずれかに設けられたセンサを含む
付記1乃至付記5のいずれかに記載の交通通信システム。
【0116】
(付記7)
無線路側機を更に有し、
前記第1無線通信部は、前記無線路側機に設けられる
付記1乃至付記6のいずれかに記載の交通通信システム。
【0117】
(付記8)
無線路側機を更に有し、
前記ドア状態取得部は、前記無線路側機に設けられ、
前記ドア状態取得部は、前記第1車両のドアの開閉状態を検出する画像センサ及び前記第1車両のドアの開閉状態を検出するLiDAR(Light Detection and Ranging)センサのいずれかを含む、
付記1乃至付記7のいずれかに記載の交通通信システム。
【0118】
(付記9)
前記第1無線通信部は、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが閉じていることを示す情報を含む、前記ドア状態情報を第1周期で繰り返しブロードキャスト送信し、前記ドア状態情報が、前記第1車両のドアが開く予兆を示す情報及び前記第1車両のドアが開いていることを示す情報のいずれかを含むとき、前記ドア状態情報を第2周期で繰り返しブロードキャスト送信し、
前記第2周期は前記第1周期よりも短い、
付記1乃至付記8のいずれかに記載の交通通信システム。
【0119】
(付記10)
停車している自車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部、を有する
車両。
【0120】
(付記11)
停車している車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する無線通信部、を有する
無線路側機。
【0121】
(付記12)
交通通信システムに、
停車車両である第1車両のドアの開閉状態に関するドア状態情報をブロードキャストで送信する処理と、
前記第1車両を追い抜く第2車両が前記ドア状態情報を受信する処理と、を実行させる
交通通信プログラム。
【符号の説明】
【0122】
10 :交通通信システム 100 :車両
100-1 :停車車両 100-2 :追い抜き車両
110 :ドア状態取得部 120 :無線通信部
150-1, 150-2:車載通信機 170 :無線通信部
180 :表示部 200 :無線路側機
210 :ドア状態取得部 220 :無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7