(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037059
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ケーブルグランド
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240311BHJP
H02G 15/013 20060101ALI20240311BHJP
H02G 3/06 20060101ALI20240311BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240311BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240311BHJP
F16L 5/08 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G15/013
H02G3/06 025
H05K7/00 M
F16L5/02 N
F16L5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141702
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 嘉高
(72)【発明者】
【氏名】谷上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森 康夫
【テーマコード(参考)】
4E352
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
4E352AA03
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB10
4E352CC02
4E352CC12
4E352CC32
4E352CC33
4E352CC52
4E352CC56
4E352DD05
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4E352DR02
4E352DR13
4E352DR15
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4E352DR40
4E352DR46
4E352GG04
4E352GG10
4E352GG11
4E352GG18
5G363AA01
5G363BA01
5G363CA12
5G363CB01
5G363CB08
5G375AA02
5G375BA01
5G375BB03
5G375BB29
5G375CB06
5G375CB25
(57)【要約】
【課題】スリーブを径方向内側に変形しやすくしながら、スリーブのケーブル保持力および防塵防水性能を確保することが可能なケーブルグランドを提供する。
【解決手段】ケーブルグランド1は、グランド本体2と、キャップ3と、スリーブ4と、スリーブコレット5とを備える。スリーブ4にはスリット44が形成され、そのスリット44を介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成されている。スリーブコレット5にはスリット54が形成され、そのスリット54を介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって、円筒形状のケーブル保持部を有し、そのケーブル保持部の外周面に雄ねじが形成されているとともに、前記ケーブル保持部内に円すいテーパ面が形成されたグランド本体と、
ケーブルを通す挿通孔を有し、前記ケーブル保持部に嵌め込まれる円筒形状のスリーブと、
前記スリーブに装着されるスリーブコレットと、
前記ケーブル保持部の雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されたキャップとを備え、
前記ケーブル保持部内に前記スリーブおよび前記スリーブコレットを嵌め込んだ状態で、前記キャップを前記ケーブル保持部の雄ねじに締め付けることにより、前記円すいテーパ面にて前記スリーブおよび前記スリーブコレットを径方向内側に変形させるケーブルグランドにおいて、
ケーブルは、ケーブル部分と、前記ケーブル部分の端部に設けられたケーブル外径より大きなコネクタとを有し、
前記スリーブは、外周面に複数の凹部が設けられ、前記複数の凹部が周方向に間隔を隔てて配置され、
前記スリーブコレットは、前記スリーブの一方端部側の端面に沿うように配置されるフランジと、前記スリーブの外周面に沿うように配置される外周面部と、前記外周面部に設けられる複数のフィン形状部とを含み、
前記フィン形状部は、前記外周面部から径方向内側に突出するように形成され、前記スリーブの凹部に配置され、
前記スリーブにはスリットが形成され、そのスリットを介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成され、
前記スリーブコレットにはスリットが形成され、そのスリットを介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成されていることを特徴とするケーブルグランド。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブルグランドにおいて、
前記スリーブのスリットと、前記スリーブコレットのスリットとは、軸方向から見た場合に周方向にずれた位置に配置されていることを特徴とするケーブルグランド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを保持するケーブルグランドに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器にケーブルを接続する際、電気機器の筐体等に取り付けたケーブルグランドを介してケーブルを保持する技術が公知である。
【0003】
従来の一般的なケーブルグランドは、ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって筐体等の壁体に取り付けられるグランド本体、このグランド本体に嵌め込まれるスリーブ、および、グランド本体の外側に螺着されるキャップ(袋ナット)などを備えている。スリーブは、ケーブルが挿通される挿通孔を有する。
【0004】
このようなケーブルグランドでは、スリーブの挿通孔にケーブルを挿通した状態でスリーブをグランド本体に嵌め込み、そのグランド本体の雄ねじにキャップを締め付けると、スリーブがグランド本体内に圧入されることにより、グランド本体内の円すいテーパ面にてスリーブが径方向内側に変形し、スリーブの挿通孔の内周面とケーブルの外周面とが密着する。これによって、電気機器の筐体内に異物(例えば、水、油、塵、埃など)が侵入するのを防止することができるとともに、ケーブル自体をしっかりと保持・固定することができる。
【0005】
また、スリーブに装着されるスリーブコレットを備えるケーブルグランドも提案されている(例えば、特許文献1参照)。スリーブコレットは、スリーブを囲うように設けられており、スリーブ圧縮時にキャップやグランド本体内の空き空間にスリーブの変形が逃げて、スリーブのケーブル保持力および防塵防水性能が低減しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、産業機械のモーション制御では、メカトロリンク(登録商標)などの高速な通信ネットワークが用いられる。このような通信ネットワーク用のケーブルは、ケーブル部分と、ケーブル部分の端部に設けられたコネクタとを有する。このケーブルは、通信品質を確保するために端末加工が許されていない。このため、ケーブルのコネクタをスリーブの挿通孔に挿通可能にするためには、スリーブの挿通孔の開口径を大きくする必要があるが、スリーブによるケーブル保持力および防塵防水性能を発揮させるためには、スリーブの挿通孔の開口径がケーブルのケーブル部分の直径とほぼ等しいことが望ましい。また、スリーブの径方向の肉厚が大きくなると、スリーブの剛性が高まり、スリーブが径方向内側に変形しにくくなることが考えられる。
【0008】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、スリーブを径方向内側に変形しやすくしながら、スリーブのケーブル保持力および防塵防水性能を確保することが可能なケーブルグランドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるケーブルグランドは、ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって、円筒形状のケーブル保持部を有し、そのケーブル保持部の外周面に雄ねじが形成されているとともに、ケーブル保持部内に円すいテーパ面が形成されたグランド本体と、ケーブルを通す挿通孔を有し、ケーブル保持部に嵌め込まれる円筒形状のスリーブと、スリーブに装着されるスリーブコレットと、ケーブル保持部の雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されたキャップとを備える。ケーブルグランドは、ケーブル保持部内にスリーブおよびスリーブコレットを嵌め込んだ状態で、キャップをケーブル保持部の雄ねじに締め付けることにより、円すいテーパ面にてスリーブおよびスリーブコレットを径方向内側に変形させるようになっている。ケーブルは、ケーブル部分と、ケーブル部分の端部に設けられたケーブル外径より大きなコネクタとを有する。スリーブは、外周面に複数の凹部が設けられ、複数の凹部が周方向に間隔を隔てて配置されている。スリーブコレットは、スリーブの一方端部側の端面に沿うように配置されるフランジと、スリーブの外周面に沿うように配置される外周面部と、外周面部に設けられる複数のフィン形状部とを含む。フィン形状部は、外周面部から径方向内側に突出するように形成され、スリーブの凹部に配置されている。スリーブにはスリットが形成され、そのスリットを介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成されている。スリーブコレットにはスリットが形成され、そのスリットを介してケーブルのケーブル部分が挿通可能に構成されている。
【0010】
このように、スリーブに凹部を配置することにより、スリーブを径方向内側に変形しやすくすることができる。スリーブコレットのフィン形状部がスリーブの凹部に配置されることで、スリーブがケーブル部分を押圧する。また、スリーブのスリットを介してケーブルのケーブル部分を挿通可能なため、スリーブの挿通孔の開口径を大きくする必要がないので、スリーブのケーブル保持力および防塵防水性能を確保することができる。
【0011】
上記ケーブルグランドにおいて、スリーブのスリットと、スリーブコレットのスリットとは、軸方向から見た場合に周方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーブルグランドによれば、スリーブを径方向内側に変形しやすくしながら、スリーブのケーブル保持力および防塵防水性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態によるケーブルグランドを示した斜視図である。
【
図2】
図1のケーブルグランドの分解斜視図である。
【
図3】
図2のケーブルグランドを別の角度から見た図である。
【
図4】
図1のケーブルグランドにおけるバイパス通路を含む面での断面図である。
【
図5】
図1のケーブルグランドにおけるフィン形状部を含む面での断面図である。
【
図6】
図2のケーブルグランドのスリーブを示した斜視図である。
【
図7】
図2のケーブルグランドのスリーブコレットを示した斜視図である。
【
図8】
図6のスリーブに
図7のスリーブコレットを装着した状態を軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
本発明のケーブルグランドの一例を
図1~
図8を参照して説明する。
【0016】
ケーブルグランド1は、
図1に示すように、電気機器の筐体の壁体160に取り付けられ、電気機器に接続されるケーブル150(
図4参照)を保持するように構成されている。例えば、ケーブル150は、通信ネットワーク用であり、断面形状が円形のケーブル部分151と、ケーブル部分151の端部に設けられたコネクタ(図示省略)とを有する。コネクタの外形寸法は、ケーブル部分151の直径よりも大きい。
【0017】
ケーブルグランド1は、
図2および
図3に示すように、グランド本体2、キャップ3、スリーブ4、スリーブコレット5、ロックナット6、ワッシャ7、およびパッキン8などを備えている。
【0018】
グランド本体2は、略円筒形状の部材(例えば樹脂製)であって、軸方向(円筒の軸方向)の中央部に略六角形状の鍔部21が形成されており、この鍔部21を挟んだ両側(軸方向の両側)に、それぞれ円筒形状のケーブル保持部22と取付部23とが形成されている。
【0019】
ケーブル保持部22の外周面には雄ねじ22aが形成されている。また、取付部23の外周面には雄ねじ23aが形成されている。取付部23は、電気機器の筺体の壁体160に形成された取付孔161に差し込まれる。
【0020】
なお、以下の説明では、グランド本体2のケーブル保持部22側(ケーブルグランド1のキャップ3側)を前方側(X1方向側)といい、その反対側を後方側(X2方向側)という。
【0021】
グランド本体2には、ケーブル挿通用の挿通孔(貫通孔)24が軸方向(X1およびX2方向)に沿って形成されている。挿通孔24の最小開口径は、ケーブル150のコネクタよりも大きい。このため、ケーブル150のコネクタを挿通孔24に挿通可能である。挿通孔24の軸方向の途中には、後述するスリーブ4を内方(縮径方向)に向けて押圧するための円すいテーパ面25が形成されている。円すいテーパ面25は、後方側に向かうにしたがって径が縮小するテーパ面である。そして、挿通孔24の前方側には、後述するスリーブ4およびスリーブコレット5が嵌め込まれる。
【0022】
また、挿通孔24の内周面には、スリーブコレット5のグランド本体2に対する回り止め用の溝部26が形成されている。溝部26は、軸方向に延びるように形成され、ケーブル保持部22の前方側の端部から円すいテーパ面25に到達するまで延びるように形成されている。溝部26は、周方向に所定の間隔を隔てて複数(例えば3つ)設けられている。
【0023】
また、ケーブル保持部22の外周面には、軸方向に延びる溝状のバイパス通路27が形成されている。このバイパス通路27は、ケーブル保持部22の前方側の端部から鍔部21に到達するまで延びるように形成されている。バイパス通路27は、
図4に示すように、スリーブ4およびスリーブコレット5とキャップ3との間の空間を外部に連通させるように構成されている。このため、キャップ3側から水が高圧噴射された場合に、後述するキャップ3の開口孔32aから浸入した水とその圧力がバイパス通路27を介してグランド本体2の外側に逃がされるようになっている。例えば、バイパス通路27は、周方向に所定の間隔を隔てて複数(例えば2つ)設けられている。
【0024】
また、取付部23の外周面には、グランド本体2のワッシャ7に対する回り止め用の溝部28(
図3参照)が形成されている。溝部28は、軸方向に延びるように形成され、取付部23の後方側の端部から鍔部21に到達するまで延びるように形成されている。例えば、溝部28が1つ設けられている。
【0025】
キャップ3は、外周面が略六角形状の筒状の周壁部31と、その周壁部31の前方側を覆う前壁部32とを有する袋ナット状の部材(例えば樹脂製)である。キャップ3の周壁部31の内周面には、グランド本体2のケーブル保持部22の雄ねじ22aに噛み合う雌ねじ31aが形成されている。キャップ3の前壁部32の中央には、ケーブル150を通すための円形の開口孔32aが形成されている。開口孔32aの内径は、スリーブ4の外径およびスリーブコレット5の外径よりも小さく、ケーブル150のコネクタよりも大きい。このため、キャップ3は、スリーブ4およびスリーブコレット5を圧入可能であり、かつ、ケーブル150のコネクタを挿通可能である。
【0026】
スリーブ4は、電気機器の筐体内に異物(例えば、水、油、塵、埃など)が侵入するのを抑制するために設けられている。このスリーブ4は、例えばゴム製で弾性変形可能であり、ケーブル150を挿通可能な挿通孔4aが設けられている。具体的に、スリーブ4は、
図6に示すように、円筒状の本体部41と、本体部41の他方端部(X2方向側の端部)に設けられたフランジ部42と、本体部41に形成された複数の凹部43と、本体部41およびフランジ部42に形成されたスリット44とを含んでいる。
【0027】
例えば、挿通孔4aの開口径は、ケーブル150のケーブル部分151の直径とほぼ同じに設定され、ケーブル150のコネクタよりも小さい。フランジ部42は、スリーブコレット5の厚み分だけ本体部41から外側に張り出すように形成されている。
【0028】
複数の凹部43は、スリーブ4が径方向内側に変形しやすくするために設けられている。各凹部43は、本体部41の一方端部側の端面(X1方向側の端面)と、本体部41の外周面とを切り欠くように形成されている。そして、各凹部43は、軸方向において本体部41の一方端部からフランジ部42付近まで到達するように形成され、径方向において本体部41の外周面から中間部付近まで到達するように形成されている。複数の凹部43は、本体部41の外周面に周方向に間隔を隔てて配置されている。例えば、9個の凹部43が不等間隔で配置されている。
【0029】
スリット44は、スリーブ4の軸方向の全長にわたって設けられ、径方向に延びるように形成されている。スリット44は、挿通孔4aの内周面と本体部41の外周面とを連通させるように構成されている。このため、スリーブ4では、スリット44を介してケーブル150のケーブル部分151が挿通可能になっている。
【0030】
スリーブコレット5は、スリーブ4に外装され、スリーブ4が圧入される際の変形を規正するように構成されている。スリーブコレット5は、例えば樹脂製であり、ケーブル150を挿通可能に構成されている。スリーブコレット5は、
図7に示すように、フランジ51と、外周面部52と、複数のフィン形状部53と、スリット54とを含んでいる。
【0031】
フランジ51は、スリーブ4の一方端部側の端面に沿うように配置され、外周面部52の一方端部(X1方向側の端部)から径方向内側に張り出すように形成されている。外周面部52は、スリーブ4の外周面に沿うように配置されている。外周面部52は、軸方向に行き交いながら周方向に延びるように形成されている。外周面部52の外面には、溝部26と嵌合される突部55が形成されている。突部55は、外周面部52から径方向外側に突出するように形成されている。突部55は、周方向に所定の間隔を隔てて複数(例えば3つ)設けられている。
【0032】
複数のフィン形状部53は、外周面部52の他方端部(X2方向側の端部)に配置され、外周面部52の内面から径方向内側に突出するように形成されている。複数のフィン形状部53は、複数の凹部43と対応するように、外周面部52の周方向に間隔を隔てて配置されている。例えば、9個のフィン形状部53が不等間隔で配置されている。このため、各フィン形状部53(
図5参照)は、それぞれ、対応する凹部43に配置されている。
【0033】
スリット54は、スリーブコレット5の軸方向の全長にわたって設けられ、外周面部52の内面と外面とを連通させるように構成されている。このため、スリーブコレット5では、スリット54を介してケーブル150のケーブル部分151が挿通可能になっている。
【0034】
そして、スリーブコレット5がスリーブ4に装着された場合には、
図8に示すように、スリーブ4のスリット44と、スリーブコレット5のスリット54とが、軸方向から見た場合に、周方向においてずれた位置に配置されている。
【0035】
図2および
図3に示すように、壁体160には、ケーブルグランド1が取り付けられる円形の取付孔161が形成されている。この取付孔161の周縁には、切欠き161aが形成されている。
【0036】
ロックナット6は、グランド本体2を電気機器の壁体160に固定するためのナット(例えば樹脂製)であって、グランド本体2の取付部23の雄ねじ23aに噛み合う雌ねじ6aが形成されている。すなわち、ロックナット6と鍔部21とで壁体160を挟持させることにより、ケーブルグランド1(
図1参照)が壁体160に取り付けられる。
【0037】
ワッシャ7は、壁体160とロックナット6との間に挟み込まれるワッシャ本体71と、突起部72および舌片73とを含んでいる。このワッシャ7は、壁体160に対してグランド本体2を回り止めするように構成されている。ワッシャ本体71は、円形孔7aを有する円環板状に形成されている。突起部72および舌片73は、ワッシャ本体71の円形孔7aの周縁に形成されている。
【0038】
突起部72は、前方側(X1方向側)に突出し、壁体160の切欠き161aに嵌合可能に構成されている。舌片73は、後方側(X2方向側)に折り曲げられ、取付部23の溝部28に嵌合可能に構成されている。このため、突起部72が切欠き161aに嵌合されることによって壁体160に対するワッシャ7の回転が規制され、舌片73が溝部28に嵌合されることによってワッシャ7に対するグランド本体2の回転が規制される。
【0039】
パッキン8は、円形孔8aを有する円環状の部材(例えばゴム製)であって、グランド本体2の鍔部21と電気機器の壁体160との間に挟み込まれる。パッキン8は、壁体160とケーブルグランド1との間の隙間をシールするために設けられている。
【0040】
-取付手順-
次に、以上の構造のケーブルグランド1の取付手順について
図1~
図8を参照して説明する。
【0041】
(S1)まず、グランド本体2の取付部23にパッキン8を嵌め込み、その取付部23を電気機器の壁体160の取付孔161に当該壁体160の表側(電子機器の筐体の表側)から差し込む。
【0042】
(S2)壁体160の取付孔161に差し込んだグランド本体2の取付部23にワッシャ7を嵌め込む。このとき、舌片73が溝部28に差し込まれ、突起部72が切欠き161aに嵌め合わされる。そして、取付部23の雄ねじ23a(壁体160の裏側に突出している部分の雄ねじ23a)にロックナット6をねじ込むことによって、グランド本体2を壁体160に取り付ける(固定する)。
【0043】
(S3)グランド本体2の挿通孔24にケーブル150を挿通させるとともに、グランド本体2に対して前方側のケーブル150にキャップ3を通す。そして、グランド本体2とキャップ3との間におけるケーブル部分151に対して、スリット44からスリーブ4を通すとともに、スリット54からスリーブコレット5を通す。具体的には、スリット44が開くようにスリーブ4を弾性変形させて、そのスリーブ4をケーブル部分151の径方向外側から嵌め合わせるとともに、スリット54が開くようにスリーブコレット5を弾性変形させて、そのスリーブコレット5をケーブル部分151の径方向外側から嵌め合わせる。
【0044】
(S4)ケーブル部分151に挿通されたスリーブ4およびスリーブコレット5を、ケーブル部分151に沿って相対的に移動させることにより、スリーブコレット5がスリーブ4に装着される。このとき、スリーブコレット5のフィン形状部53がスリーブ4の凹部43に配置される。また、スリーブ4のスリット44とスリーブコレット5のスリット54とが周方向にずれた位置に配置される。そして、スリーブコレット5が装着されたスリーブ4を挿通孔24の前方側に嵌め込む。
【0045】
(S5)キャップ3の雌ねじ31aをグランド本体2のケーブル保持部22の雄ねじ22aに合わせてキャップ3をグランド本体2に締め付ける。このキャップ3のねじ込み過程において、キャップ3にてスリーブコレット5およびスリーブ4が後方側に押圧される。このため、スリーブ4およびスリーブコレット5が円すいテーパ面25とケーブル150との間に圧入される。
【0046】
-効果-
以上説明したように、本実施形態のケーブルグランド1によれば、スリーブ4に凹部43を配置することによって、スリーブ4を径方向内側に変形しやすくすることができる。また、スリーブ4のスリット44を介してケーブル150のケーブル部分151を挿通可能なため、スリーブ4の挿通孔4aの開口径を大きくする必要がなく(挿通孔4aの開口径をコネクタよりも大きくしなくてもよい)、挿通孔4aの開口径をケーブル部分151の直径とほぼ同じにすることができ、かつ、スリーブコレット5のフィン形状部53がスリーブ4の凹部43に配置されることでスリーブ4がケーブル部分151を押圧することで、スリーブ4のケーブル保持力および防塵防水性能を確保することができる。
【0047】
また、本実施形態のケーブルグランド1では、スリーブ4のスリット44とスリーブコレット5のスリット54とが周方向にずれた位置に配置されることによって、スリット44の形成に伴うスリーブ4の剛性低下とスリット54の形成に伴うスリーブコレット5の剛性低下とが集中しないようにすることができる。
【0048】
また、本実施形態のケーブルグランド1では、凹部43およびフィン形状部53が不等間隔で配置されることによって、スリーブコレット5がスリーブ4に装着される際に、互いの位置が決められるので、スリット44および54を容易に周方向にずれた位置に配置することができる。
【0049】
さらに、本実施形態のケーブルグランド1では、ケーブル保持部22の外周面にバイパス通路27が形成されることによって、キャップ3の前面側から高圧水噴射を受けても、その圧力を逃がすことができる。
【0050】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、電気機器等にケーブルを保持する際に使用されるケーブルグランドに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ケーブルグランド
2 グランド本体
3 キャップ
4 スリーブ
4a 挿通孔
5 スリーブコレット
6 ロックナット
6a 雌ねじ
7 ワッシャ
7a 円形孔
8 パッキン
8a 円形孔
21 鍔部
22 ケーブル保持部
22a 雄ねじ
23 取付部
23a 雄ねじ
24 挿通孔
25 円すいテーパ面
26 溝部
27 バイパス通路
28 溝部
31 周壁部
31a 雌ねじ
32 前壁部
32a 開口孔
41 本体部
42 フランジ部
43 凹部
44 スリット
51 フランジ
52 外周面部
53 フィン形状部
54 スリット
55 突部
71 ワッシャ本体
72 突起部
73 舌片
150 ケーブル
151 ケーブル部分
160 壁体
161 取付孔
161a 切欠き