(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037065
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】推進装置用架台および推進工法
(51)【国際特許分類】
F16L 1/028 20060101AFI20240311BHJP
E03B 7/00 20060101ALI20240311BHJP
E21B 7/08 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F16L1/028 E
E03B7/00 Z
E21B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141710
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】506343704
【氏名又は名称】株式会社トーメック
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】三角 久
(72)【発明者】
【氏名】内田 みつる
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】植野 進一
(72)【発明者】
【氏名】壁内 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健太
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA02
2D129AB06
2D129BA01
2D129DC24
(57)【要約】
【課題】地上到達部の位置の自由度を高める推進装置用架台等を提供すること。
【解決手段】推進装置用架台10は、台座20と、摺動体40とを備え、前記台座20は、地面に載置される第1床21と、前記第1床21の縁から垂直に立ち上がる第1壁31と、前記第1床21から前記第1壁31に向けて斜めに立ち上がる第2壁32と、前記第2壁32から垂直に延びる第2床22とを有し、前記摺動体40は、前記第2床22に載置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、摺動体とを備え、
前記台座は、
地面に載置される第1床と、
前記第1床の縁から垂直に立ち上がる第1壁と、
前記第1床から前記第1壁に向けて斜めに立ち上がる第2壁と、
前記第2壁から垂直に延びる第2床とを有し、
前記摺動体は、前記第2床に載置されている
推進装置用架台。
【請求項2】
前記摺動体は、
前記第1壁に平行な第1U字板と、
前記第1U字板と前記第2壁との間に配置されており、前記第2壁に平行な第2U字板と、
前記第1U字板と前記第2U字板とを連結し、前記第2床に載置される脚部と
を備える請求項1に記載の推進装置用架台。
【請求項3】
前記第1床、前記第1壁、前記第2壁および前記第2床は鋼製であり、
前記第1床は、前記第1壁および前記第2壁と溶接されている
請求項1に記載の推進装置用架台。
【請求項4】
前記台座および前記摺動体は、それぞれ吊具を備える
請求項1に記載の推進装置用架台。
【請求項5】
建屋の敷地外に底が平坦な発進坑を作製し、
前記発進坑の底に、地面に載置される第1床と、前記第1床の縁から垂直に立ち上がる第1壁と、前記第1床から前記第1壁に向けて斜めに立ち上がる第2壁と、前記第2壁から垂直に延びる第2床とを有する台座を、前記第1壁を前記建屋から遠い側に向けて載置し、
前記第2床に摺動体を載置し、
前記第2壁と前記摺動体との間に、ヘッドを前記建屋の敷地に向けて推進装置を載置し、
前記ヘッドを推進する
推進工法。
【請求項6】
前記推進装置は、前記ヘッドの進行方向に対して平行に張り出すジャッキを備え、
前記ジャッキを張り出すことにより、前記第2壁と前記摺動体とを介して前記発進坑の内部に前記推進装置を固定する
請求項5に記載の推進工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進装置用架台および推進工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された流体供給管と地上の建屋との間に、引込管を設置する配管の設置方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1の方法では、推進工法を用いて液体供給管側から建屋の敷地内に推進体を推進した後に、地上到達部から露出した推進体の先端部に引込管を取り付けて液体供給管側に引き戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、推進工法を利用して、地中に設けた発進部から地上到達部まで滑らかな曲線状に引込管を設置できる。しかしながら、推進工法では小さな曲率半径の孔を作製することは難しい。そのため、地上到達部の位置の選択には、制約が生じる。たとえば、発進部から近い位置に、地上到達部を配置することは難しい。
【0005】
一つの側面では、地上到達部の位置の自由度を高める推進装置用架台等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
推進装置用架台は、台座と、摺動体とを備え、前記台座は、地面に載置される第1床と、前記第1床の縁から垂直に立ち上がる第1壁と、前記第1床から前記第1壁に向けて斜めに立ち上がる第2壁と、前記第2壁から垂直に延びる第2床とを有し、前記摺動体は、前記第2床に載置されている。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、地上到達部の位置の自由度を高める推進装置用架台等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】推進装置を載置した推進装置用架台を説明する説明図である。
【
図6】推進装置用架台の使用方法を説明する説明図である。
【
図7】推進装置用架台の使用方法を説明する説明図である。
【
図8】推進装置用架台の使用方法を説明する説明図である。
【
図9】推進装置用架台の使用方法を説明する説明図である。
【
図10】推進装置用架台の使用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
都市部においては、無電柱化が推進されている。無電柱化には、多くの利点がある。第1に、電柱と電柱との間に張り巡らされる電線を無くすことにより、景観の向上が期待される。第2に、強風時に飛来物が電線に引っ掛かることによる停電および感電等の事故も防止できる。第3に、地震および竜巻等の災害時に、電柱が倒壊する被害、および電柱の倒壊に伴う緊急車両等の通行阻害も防止できる。第4に、電柱により歩道が狭くなることが防止できるため、バリアフリー化を促進できる。なお、上述の第1から第4の番号は、無電柱化による効果の大小の順番を示すものではない。無電柱化による効果は、無電柱化する地域の状況により様々である。
【0010】
無電柱化された地域においては、電力ケーブルおよび通信ケーブルをそれぞれ収容した管が、地中に設置される。同様に、ガス管、水道管、および下水道管等も地中に設置される。異なる種類の管が、一つの共同溝の内部に配置される場合もある。それぞれの管と、各需要者の建屋81(
図6参照)との間には、引込管が設置される。建屋81は、たとえば住宅、工場、商業施設および倉庫等である。引込管を介して、個々の需要者に電気、ガス、水道等のインフラが提供される。
【0011】
以下の説明では引込管により分岐する前の電力ケーブル管、ガス管および水道管等の各種の管をインフラ本管と記載する。市街地においては、インフラ本管は道路の地下に設置される場合が多い。引込管の設置に推進工法を使用することにより、道路と需要者の敷地との境界を示す塀82(
図6参照)、柵または生垣等を破壊せずに、引込管を設置できる。
【0012】
図1は、推進装置用架台10の斜視図である。
図2は、推進装置50を載置した推進装置用架台10を説明する説明図である。
図2において、推進装置50を二点鎖線で示す。推進装置50は、本体部51、反力板52、ジャッキ53およびヘッド55(
図10参照)を備える。
【0013】
推進装置50は、水平に設置された場合には、ジャッキ53側から反力板52側に向けて水平にヘッド55を推進して、孔を作製する装置である。本実施の形態においては、ヘッド55の進行方向を挟んで水平に配置された2つの反力板52と、本体部51を挟んでそれぞれの反力板52と反対向きに配置された2本のジャッキ53とを備える推進装置50を例にして説明する。
【0014】
最初に、推進装置用架台10を使用しない、推進装置50の一般的な使用方法の概要を説明する。ユーザは、発進坑60(
図6参照)の内部に推進装置50を設置する。ユーザは、ジャッキ53を伸ばして反力板52とジャッキ53とを発進坑60の内壁に突っ張らせることにより、推進装置50を固定する。その後、ユーザは本体部51を操作して、ヘッド55を推進させる。
【0015】
ヘッド55は、先端が中心軸に対して傾いた斜面になっている。ユーザは、ヘッド55を回転させることにより、ヘッド55が進む方向を調整できる。ヘッド55の後ろに推進管58(
図10参照)が順次追加される。推進装置50は、従来から広く使用されているため、詳細については説明を省略する。
【0016】
図2に示すように、推進装置用架台10は、推進装置用架台10が設置された地面に対して反力板52を上側にして角度A傾いた状態に推進装置50を保持する。したがって、推進装置50は本体部51の内部に示す矢印の向き、すなわち地面に対して角度Aの向きにヘッド55を推進する。
【0017】
推進装置用架台10は、台座20と摺動体40とを含む。
図3は、台座20の正面図である。台座20は、第1床21、第2床22、第1壁31、第2壁32、中間支柱37および端部支柱38を備える。
【0018】
第1床21は、
図1に示すように溝形鋼を溶接により接合した長方形の枠であり、地面に載置される。第1床21を構成する溝形鋼は、地面に面する側に開口部を向けている。地面に多少の凸凹が存在する場合であっても、溝形鋼の縁が地面に食い込むため、台座20のぐらつきが防止される。
【0019】
第1壁31は、
図2における第1床21の左側の短辺側の縁からほぼ垂直に立ち上がる壁である。第1壁31も、溝形鋼を溶接により接合した矩形の枠である。第1床21と第1壁31とは溶接されている。
【0020】
第2壁32は、第1床21から第1壁31の上端に向けて斜めに立ち上がる略H字型の壁である。第2壁32は、端部が斜めに切り落とされた2本の溝形鋼同士が、別の溝形鋼により連結された形状である。第2壁32を構成する溝形鋼同士、第1壁31と第2壁32との間、および第2壁32と第1床21との間は、それぞれ溶接されている。
【0021】
第2床22は、第2壁32の下端部から第1壁31とは反対側に向けて、第2床22に対してほぼ垂直に延びる。
図1に示すように、第2床22は溝形鋼を溶接した長方形の枠であり、短辺に平行な複数の補強材が内側に設けられている。補強材も溝形鋼であり、長辺を構成する溝型鋼と溶接されている。2本の長辺の上側に長方形の鋼板がそれぞれ溶接されて、摺動体40が載置される床面を形成している。
【0022】
第1床21と第2床22との間に、溝形鋼製の中間支柱37および端部支柱38が2本ずつ溶接されている。第1壁31と第2壁32とが成す角、および、第1床21と第2床22とが成す角は、いずれも角度Aである。本実施の形態の図は、角度Aが10度である場合の例を示す。
【0023】
図1において、第1床21の右側の短辺、すなわち第1壁31が固定されていない側の短辺を成す溝形鋼の両端は、長辺の外側に突出している。突出した部分に、吊具27が固定されている。第1壁31の上側の端面にも、吊具27が固定されている。
【0024】
図4は、摺動体40の正面図である。
図5は、
図4におけるV矢視図である。摺動体40は、全体として開口側が厚い略U字板形状の外形を有する。以下では、略U字板形状の開口側を上にして説明する。
【0025】
摺動体40は、第1U字板41、第2U字板42、および、第1U字板41と第2U字板42とを連結する脚部43を備える。第1U字板41は、開口を上に向けた略U字型の鋼板であり、第1壁31と平行に配置される。第2U字板42は、開口を上に向けた略U字型の鋼板であり、第1U字板41と第2壁32との間に、第2壁32と平行に配置される。したがって、
図4に示すように、第1U字板41と第2U字板42とは角度Aを成す。
【0026】
脚部43は、開口を下に向けて平行に配置された2本の溝形鋼である。脚部43の一方の端面は、溝形鋼の長手方向に対して垂直に切断されており、他方の端面は角度Aで切断されている。第1U字板41の表面と、角度Aで切断された端面とは、同一面上に配置されている。第2U字板42は、脚部43の途中に、脚部43の長手方向に対して垂直に配置されている。
【0027】
第1U字板41および第2U字板42は、それぞれ脚部43に溶接されている。第1U字板41と第2U字板42との間には、補強用の鋼板が複数溶接されている。以上により、摺動体40は全体として開口側が厚い略U字板形状の外形に構成されている。
図4および
図5に破線で示すように、補強用の鋼板に、2個の吊具47が固定されている。
【0028】
台座20に取り付けられた吊具27、および、摺動体40に取り付けられた吊具47は、たとえばアイボルトである。吊具27および吊具47は、台座20および摺動体40を構成する鋼材に穴あけ等の加工を施すことにより、台座20および摺動体40とそれぞれ一体に作製されていてもよい。以上に説明したように、台座20および摺動体40は、鋼材および鋼板を溶接して強固に作製されている。
【0029】
ユーザは、4個の吊具27を利用してクレーンを用いて台座20を所望の位置に移動させることができる。同様にユーザは、2個の吊具47を利用して、クレーンを用いて摺動体40を所望の位置に移動させることができる。
【0030】
摺動体40は、脚部43を構成する溝形鋼の開口部が第2床22の上面に接触する状態で、台座20の上に載置される。台座20と摺動体40との接触面積が小さいため摩擦力が大きくなり、第2床22が角度A傾いているにも関わらず、摺動体40を安全に載置できる。
【0031】
推進装置用架台10は、
図2に示すように第2床22の上に推進装置50および摺動体40を載置できる寸法である。推進装置50のジャッキ53を伸ばすことにより、二点鎖線で示すように摺動体40が右向きに押し出される。
【0032】
なお、
図1から
図5を使用して説明した推進装置用架台10の形状は例示である。推進装置用架台10は、たとえば溝形鋼の代わりに山形鋼、I型鋼、H型鋼または鋼管等の任意の鋼材を組み合わせて作製されてもよい。鋼材メーカーから供給される標準的な鋼材を所定の寸法に切断し、溶接により接合することにより、比較的低コストで、十分な強度を有する推進装置用架台10を作製できる。
【0033】
台座20および摺動体40をそれぞれ構成する鋼材は、溶接の代わりにボルト締めまたはリベット接合により固定されていてもよい。溶接、ボルト締め、リベット接合および接着等の任意の接合手法が組み合わせて使用されてもよい。
【0034】
図6から
図10は、推進装置用架台10の使用方法を説明する説明図である。
図6を使用して、建屋81に電気、ガス、水道等のインフラを供給する引込管を設置する手順の概要を説明する。建屋81が建っている私有地と、道路との間に、塀82が設けられている。掘削工法を使用することにより、塀82および図示を省略する植栽等に悪影響を及ぼさずに、引込管を設置できる。
【0035】
図6に示すように、建屋81の敷地外である道路に、発進坑60が作製される。発進坑60の底面は、ほぼ平坦な水平面に形成される。発進坑60の建屋81側の壁面、および、建屋81から遠い側の壁面はほぼ鉛直面に形成される。
【0036】
発進坑60から水平に推進する場合、発進坑60の深さは引込管を接続するインフラ本管の深さプラス10から15センチメートル程度である。発進坑60から斜め上10度程度の角度に推進する場合、発進坑60の深さは引込管を接続するインフラ本管の深さプラス40から45センチメートル程度である。なお、共同溝の設置工事と同時に引込管の設置工事が実施される場合には、共同溝設置用に作製された孔が、発進坑60を兼ねてもよい。
【0037】
建屋81側の壁面に第1壁板621が配置される。図示を省略するが、第1壁板621は2枚に分かれており、推進装置50のヘッド55が通過可能な間隔を空けて配置される。建屋81から遠い側の壁面に、第2壁板622が配置される。
【0038】
以下の説明では第1壁板621と第2壁板622とを区別せずに、壁板62と記載する場合がある。壁板62は、たとえば鋼矢板により作製される。壁板62は、アルミ矢板、FRP(Fiber Reinforced Plastic)製矢板、木製矢板、または鋼板等により作製されてもよい。
【0039】
発進坑60の底面に、第1壁31および第2壁32を第2壁板622側に向けて台座20が載置される。
図6に示すように、発進坑60は第1壁板621と第2壁板622との間の距離が、第1床21の長辺よりも数センチメートル程度長い寸法に形成されている。
【0040】
発進坑60が大きすぎる場合には、たとえば第1壁31と第2壁板622との間にたとえば木材等のスペーサが配置されてもよい。木材をスペーサに用いることにより、推進作業時に振動が発生する可能性を低減できるため、安全に作業を行なえる。
【0041】
図7を参照して説明を続ける。第2床22の上に、第1U字板41を第1壁板621側に、第2U字板42を第2壁32側にそれぞれ向けて、摺動体40が載置される。
【0042】
図8を参照して説明を続ける。第2壁32と第2U字板42との間に、反力板52を摺動体40に向けて推進装置50が載置される。
図8においては図示を省略するヘッド55が、第1U字板41および第2U字板42の開口部の間に配置される。2枚の反力板52が、
図5に二点鎖線で示すP部、すなわち第2U字板42の2本の縦棒の部分にそれぞれ対向する。2本のジャッキ53の先端が、第2壁32に対向する。
【0043】
図9を参照して説明を続ける。ユーザは、推進装置50を操作して、ジャッキ53を伸ばす。ジャッキ53が第2壁32に、反力板52が第2U字板42にそれぞれ当接する。ユーザがさらにジャッキ53を伸ばすことにより、摺動体40が第1壁板621に向けて移動する。ユーザは、第1壁31と第1U字板41とが、第2壁板622と第1壁板621とを強く押圧する状態までジャッキ53を伸ばす。
【0044】
図9に示す状態では、反力板52とジャッキ53とが、それぞれ第2U字板42と第2壁32とを垂直に押圧する。反力板52およびジャッキ53に加わる反力は、ジャッキ53の押圧方向と一致している。したがって、第2U字板42と第2壁32との間に推進装置50が安全に固定される。
【0045】
同様に、第1U字板41と第1壁31とが第1壁板621と第2壁板622とを垂直に押圧する。したがって、推進装置用架台10が発進坑60の内部に安全に固定される。発進坑60の内部に、推進装置用架台10を介して推進装置50が固定されているため、推進装置50の動作中に振動が発生した場合であっても、推進装置50の位置ズレおよび転倒等の事故を防止できる。
【0046】
図10を参照して説明を続ける。推進装置50によりヘッド55が押圧される。ヘッド55の背後に、推進管58が順次追加されて、ヘッド55が地中を推進する。前述のように、ユーザはヘッド55を回転させることにより、ヘッド55が進む方向を調整できる。ユーザは、たとえば図示を省略する誘導アンテナを用いてヘッド55の位置を検出し、所望の地上到達部にヘッド55を誘導する。
【0047】
たとえば、ヘッド55を推進した推進管58が、引込管に使用されてもよい。そのようにする場合には、地上到達部においてヘッド55と推進管58とが分離される。ヘッド55にバックリーマと引込管用のチューブとが接続されて、ヘッド55が発進坑60に引き戻されてもよい。ヘッド55と共に引き込まれたチューブが引込管に使用される。バックリーマを使用することにより、推進管58よりも太径の引込管を設置できる。引込管の代わりに、バックリーマに続いて直接埋設用のケーブル等が引き込まれてもよい。
【0048】
引込管とインフラ本管の接続、および引込管と建屋81内部の設備との接続がそれぞれ行なわれて、建屋81にインフラが供給される。たとえば、電力供給用の引込管では、引込管に電力ケーブルが挿通される。電力ケーブルの一端は、図示を省略する変圧器を介してインフラ本管内の高圧線に接続される。電力ケーブルの他端は建屋81の配電設備に接続される。
【0049】
本実施の形態によると、斜め上方を向いた状態でヘッド55の推進を開始するため、私有地と道路との境界に近い位置に地上到達部を定めることができる。したがって、建屋81の周囲に余裕が少ない場合であっても、引込管の設置が容易である。
【0050】
なお、角度Aは10度に限定しない。たとえば角度Aが15度または20度等の推進装置用架台10が用意されており、施工現場の状況に応じてユーザが適宜選択して使用してもよい。角度Aが大きい推進装置用架台10を使用するほど、発進坑60と地上到達部との間の距離を短くできる。
【0051】
本実施の形態によると、推進装置50の動作中に振動が発生した場合であっても、推進装置50の位置ズレおよび転倒等の事故を防止できる。したがって、労働災害の防止に有効な推進装置用架台10を提供できる。
【0052】
本実施の形態によると、非開削工法の一種である推進工法を使用するため、塀82および植栽等を損傷せずに引込管を設置できる。地上到達部の選択自由度が高いため、建屋81に対する影響が少ない位置に引込管を設置できる。したがって、たとえば、既存の市街地を無電柱化する場合に、私有地の所有者の理解を得やすい工事方法を提供できる。
【0053】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0054】
特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらずのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 推進装置用架台
20 台座
21 第1床
22 第2床
27 吊具
31 第1壁
32 第2壁
37 中間支柱
38 端部支柱
40 摺動体
41 第1U字板
42 第2U字板
43 脚部
47 吊具
50 推進装置
51 本体部
52 反力板
53 ジャッキ
55 ヘッド
58 推進管
60 発進坑
62 壁板
621 第1壁板
622 第2壁板
81 建屋
82 塀