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特開2024-37086力覚提示装置、力覚提示システム、及び力覚提示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037086
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】力覚提示装置、力覚提示システム、及び力覚提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141736
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】梶本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 光希
(72)【発明者】
【氏名】牛山 奎悟
(72)【発明者】
【氏名】宮上 昌大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲史
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA38
5E555BB38
5E555BE17
5E555CB66
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】簡単な構成により、指に対して力覚を生起させることが可能な力覚提示装置を提供する。
【解決手段】力覚提示装置10は、指Fの側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部111と、第1電極部111と対を成す第2電極部112であって、第1電極部111と第2電極部112との間で指Fの内部を介して電流が流れるように配置される第2電極部112と、指Fの側面から内部への電流であって、指Fの感覚受容器を刺激して指Fに対し力覚を生起させる電流を第1電極部111と第2電極部112との間に発生させる発生部123と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部と、
前記第1電極部と対を成す第2電極部であって、前記第1電極部と前記第2電極部との間で前記指の内部を介して電流が流れるように配置される前記第2電極部と、
前記指の側面から内部への電流であって、前記指の感覚受容器を刺激して前記指に対し力覚を生起させる電流を前記第1電極部と前記第2電極部との間に発生させる発生部と、
を備える、
力覚提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力覚提示装置であって、
前記第2電極部は、前記指の側面に沿うような位置に配置される、
力覚提示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部は、前記指の一方側の側面に沿うような位置に配置され、
前記第2電極部は、前記指の他方側の側面に沿うような位置に配置される、
力覚提示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部と前記第2電極部とは互いに対向する、
力覚提示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部は、前記指の先端に配置される、
力覚提示装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部は、少なくとも1つの陰極を前記刺激電極として有し、
前記第2電極部は、少なくとも1つの陽極を前記刺激電極に対する不関電極として有する、
力覚提示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部における前記陰極の数は、前記第2電極部における前記陽極の数よりも少ない、
力覚提示装置。
【請求項8】
請求項6に記載の力覚提示装置であって、
前記第1電極部は、互いに隣り合って連続する複数の前記陰極を有する、
力覚提示装置。
【請求項9】
請求項6に記載の力覚提示装置であって、
前記第2電極部は、互いに隣り合って連続する複数の前記陽極を有する、
力覚提示装置。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の力覚提示装置であって、
電極の極性を切り替えることで前記第1電極部と前記第2電極部との間の位置関係を反転させる切替部を備える、
力覚提示装置。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の力覚提示装置と、
前記力覚提示装置を装着したユーザが遠隔で操作する操作対象と、
前記ユーザによって操作される前記操作対象の様子を視覚情報として前記ユーザに出力する出力インタフェースと、
を備え、
前記力覚提示装置は、前記ユーザによる前記操作対象の操作に基づく情報を取得し、前記情報に応じて前記ユーザの前記指に対し力覚を生起させる、
力覚提示システム。
【請求項12】
請求項11に記載の力覚提示システムであって、
前記操作対象はロボットアームの先端に形成されているロボットハンドを含み、
前記情報は、前記ロボットハンドに取り付けられている力覚及び触覚センサから出力される力覚及び触覚情報を含む、
力覚提示システム。
【請求項13】
請求項11に記載の力覚提示システムであって、
前記操作対象は仮想空間内のアバターの指を含み、
前記情報は、前記アバターの指の動作に対応するデジタル情報を含む、
力覚提示システム。
【請求項14】
指の側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部と、前記第1電極部と対を成す第2電極部と、の間で前記指の内部を介して電流を流すステップを含み、
前記ステップにおいて、前記指の側面から内部への電流であって、前記指の感覚受容器を刺激して前記指に対し力覚を生起させる電流を前記第1電極部と前記第2電極部との間に発生させる、
力覚提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、力覚提示装置、力覚提示システム、及び力覚提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの指に対して所定の触覚を擬似的に発生させるための技術が知られている。例えば、特許文献1には、指先と道具との間にデバイスを介在させず、また、道具の操作上の違和感が発生せず、さらに、道具操作を阻害することもなく、指先に触覚を生起させるコンパクトな触覚提示技術が開示されている。例えば、非特許文献1には、指先に触覚を生起させるハプティックグローブに関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の空間透明型触覚提示装置は、指の両側面を走る2本の求心性神経束の各々に沿って当接される2個の刺激電極と、2個の刺激電極よりも掌側に当接される1個のアース電極と、を有する。当該触覚提示装置は、刺激電極の各々に、刺激電極端子の各々に対応する波高と周波数の少なくとも一方を制御した所定の電気信号を与える電気信号発生部をさらに有する。当該触覚提示装置は、刺激電極の各々に電気信号を与えることにより、2本の求心性神経に電気刺激を発生させ、当該電気刺激により、指の末節位置に触覚を生起させる。非特許文献1に記載のハプティックグローブは、空気圧を利用して指先に圧力をかける手袋形状の装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-005596号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tech at Meta、[online]、[令和4年9月5日検索]、インターネット<URL:https://tech.fb.com/ar-vr/2021/11/inside-reality-labs-meet-the-team-thats-bringing-touch-to-the-digital-world/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、触覚とは全く異なる力覚を指に対して生起させることについて十分に考慮されていなかった。非特許文献1に開示される装置では空気圧を得るために空気を送る必要があり、装置が大きくなる。
【0007】
本開示は、簡単な構成により、指に対して力覚を生起させることが可能な力覚提示装置、力覚提示システム、及び力覚提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、
(1)
指の側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部と、
前記第1電極部と対を成す第2電極部であって、前記第1電極部と前記第2電極部との間で前記指の内部を介して電流が流れるように配置される前記第2電極部と、
前記指の側面から内部への電流であって、前記指の感覚受容器を刺激して前記指に対し力覚を生起させる電流を前記第1電極部と前記第2電極部との間に発生させる発生部と、
を備える、
力覚提示装置、
である。
【0009】
(2)
上記(1)に記載の力覚提示装置では、
前記第2電極部は、前記指の側面に沿うような位置に配置されてもよい。
【0010】
(3)
上記(2)に記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部は、前記指の一方側の側面に沿うような位置に配置され、
前記第2電極部は、前記指の他方側の側面に沿うような位置に配置されてもよい。
【0011】
(4)
上記(3)に記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部と前記第2電極部とは互いに対向してもよい。
【0012】
(5)
上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部は、前記指の先端に配置されてもよい。
【0013】
(6)
上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部は、少なくとも1つの陰極を前記刺激電極として有し、
前記第2電極部は、少なくとも1つの陽極を前記刺激電極に対する不関電極として有してもよい。
【0014】
(7)
上記(6)に記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部における前記陰極の数は、前記第2電極部における前記陽極の数よりも少なくてもよい。
【0015】
(8)
上記(6)又は(7)に記載の力覚提示装置では、
前記第1電極部は、互いに隣り合って連続する複数の前記陰極を有してもよい。
【0016】
(9)
上記(6)乃至(8)のいずれか1つに記載の力覚提示装置では、
前記第2電極部は、互いに隣り合って連続する複数の前記陽極を有してもよい。
【0017】
(10)
上記(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の力覚提示装置は、
電極の極性を切り替えることで前記第1電極部と前記第2電極部との間の位置関係を反転させる切替部を備えてもよい。
【0018】
本開示は、
(11)
上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の力覚提示装置と、
前記力覚提示装置を装着したユーザが遠隔で操作する操作対象と、
前記ユーザによって操作される前記操作対象の様子を視覚情報として前記ユーザに出力する出力インタフェースと、
を備え、
前記力覚提示装置は、前記ユーザによる前記操作対象の操作に基づく情報を取得し、前記情報に応じて前記ユーザの前記指に対し力覚を生起させる、
力覚提示システム、
である。
【0019】
(12)
上記(11)に記載の力覚提示システムでは、
前記操作対象はロボットアームの先端に形成されているロボットハンドを含み、
前記情報は、前記ロボットハンドに取り付けられている力覚及び触覚センサから出力される力覚及び触覚情報を含んでもよい。
【0020】
(13)
上記(11)又は(12)に記載の力覚提示システムでは、
前記操作対象は仮想空間内のアバターの指を含み、
前記情報は、前記アバターの指の動作に対応するデジタル情報を含んでもよい。
【0021】
本開示は、
(14)
指の側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部と、前記第1電極部と対を成す第2電極部と、の間で前記指の内部を介して電流を流すステップを含み、
前記ステップにおいて、前記指の側面から内部への電流であって、前記指の感覚受容器を刺激して前記指に対し力覚を生起させる電流を前記第1電極部と前記第2電極部との間に発生させる、
力覚提示方法、
である。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一実施形態に係る力覚提示装置、力覚提示システム、及び力覚提示方法によれば、簡単な構成により、指に対して力覚を生起させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の一実施形態に係る力覚提示装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の力覚提示装置の取付部品の外観の一例を示す模式図である。
図3図2の取付部品をユーザの指の先端に取り付けたときの様子の一例を示す模式図である。
図4図3の第1電極部及び第2電極部をより簡略的に示した模式図である。
図5図1の力覚提示装置の構成の一部を具体的に示した模式図である。
図6A】第1電極部及び第2電極部の極性パターンの第1例を示す模式図である。
図6B】第1電極部及び第2電極部の極性パターンの第2例を示す模式図である。
図7図1の力覚提示装置を含む力覚提示システムの構成の第1例を示す模式図である。
図8図7の力覚提示システムの概略構成を示すブロック図である。
図9図1の力覚提示装置を含む力覚提示システムの構成の第2例を示す模式図である。
図10図9の力覚提示システムの概略構成を示すブロック図である。
図11図1の力覚提示装置の第1変形例を示す模式図である。
図12図1の力覚提示装置の第2変形例を示す模式図である。
図13図1の力覚提示装置の第3変形例を示す模式図である。
図14図1の力覚提示装置の第4変形例を示す模式図である。
図15図1の力覚提示装置の第5変形例を示す模式図である。
図16図1の力覚提示装置の第6変形例を示す模式図である。
図17図1の力覚提示装置の第7変形例を示す模式図である。
図18図1の力覚提示装置の第8変形例を示す模式図である。
図19図1の力覚提示装置の第9変形例を示す模式図である。
図20図1の力覚提示装置の第10変形例を示す模式図である。
図21図1の力覚提示装置の第11変形例を示す模式図である。
図22図1の力覚提示装置の第12変形例を示す模式図である。
図23図1の力覚提示装置の第13変形例を示す模式図である。
図24図1の力覚提示装置の第14変形例を示す模式図である。
図25図1の力覚提示装置の第15変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態に係る力覚提示装置10の構成の一例を示すブロック図である。図1を参照しながら、一実施形態に係る力覚提示装置10の構成の一例について概略的に説明する。
【0026】
力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して当該指に対し力覚を生起させる。力覚提示装置10は、大きく分けて、取付部品11と、取付部品11に接続されている制御回路12と、を有する。
【0027】
取付部品11は、ユーザの指の先端に取り付けられる任意の部品を含む。取付部品11は、少なくとも1つの電極を有する第1電極部111と、少なくとも1つの電極を有する第2電極部112と、を有する。第1電極部111と第2電極部112とは、互いに対を成す。第1電極部111及び第2電極部112は、第1電極部111と第2電極部112との間でユーザの指の内部を介して電流が流れるようにユーザの指の先端に配置される。取付部品11は、制御回路12から出力される電流を受けて、第1電極部111及び第2電極部112によりユーザの指の内部に電流を流す。
【0028】
制御回路12は、力覚提示装置10の動作を制御するための任意の回路を含む。制御回路12は、通信部121と、記憶部122と、発生部123と、切替部124と、制御部125と、を有する。通信部121及び記憶部122の各々と制御部125とは互いに接続されている。発生部123、切替部124、及び制御部125は互いに接続されている。
【0029】
通信部121は、後述するネットワーク50に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部121は、4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)などの移動体通信規格又はインターネット規格に対応する通信モジュールを含む。一実施形態において、力覚提示装置10は、通信部121を介してネットワーク50に接続されている。通信部121は、ネットワーク50を介して多様な情報を送信及び受信する。
【0030】
記憶部122は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限定されない。記憶部122は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部122は、力覚提示装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部122は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部121により受信又は送信される各種情報などを記憶する。
【0031】
発生部123は、任意の電流源を含む。発生部123は、例えば定電流源を含む。発生部123は、ユーザの指の内部に流れる電流を、取付部品11における第1電極部111と第2電極部112との間に発生させる。発生部123は、切替部124を介して、第1電極部111と第2電極部112との間に当該電流を発生させる。
【0032】
切替部124は、第1電極部111及び第2電極部112並びに発生部123に接続されている任意のスイッチ回路を含む。切替部124は、制御部125によるオンオフ制御を受けて、第1電極部111及び第2電極部112と発生部123との間の電気的な接続を切り替える。
【0033】
切替部124は、第1電極部111と第2電極部112との間を流れる電流のオンオフを切り替える。切替部124は、第1電極部111と第2電極部112との間を流れる電流の出力タイミングを切り替える。切替部124は、第1電極部111と第2電極部112との間を流れる電流の方向を切り替える。第1電極部111が後述のように複数の電極を含む場合には、切替部124は、第1電極部111と第2電極部112との間で電流を流すために使用する第1電極部111の電極を切り替える。第2電極部112が後述のように複数の電極を含む場合には、切替部124は、第1電極部111と第2電極部112との間で電流を流すために使用する第2電極部112の電極を切り替える。
【0034】
切替部124が第1電極部111及び第2電極部112と発生部123との間の電気的な接続を常時維持することで、発生部123から切替部124に出力された電流は、第1電極部111と第2電極部112との間で定常電流として流れる。切替部124が第1電極部111及び第2電極部112と発生部123との間の電気的な接続を周期的に切り替えることで、発生部123から切替部124に出力された電流は、第1電極部111と第2電極部112との間でパルス電流として流れる。
【0035】
制御部125は、1つ以上のプロセッサを含む。本開示において、「プロセッサ」は、例えば汎用のプロセッサ及び特定の処理に特化した専用のプロセッサなどを含む。制御部125は、力覚提示装置10を構成する各構成部と通信可能に接続され、力覚提示装置10全体の動作を制御する。制御部125は、例えば発生部123に制御信号を出力し、発生部123から出力される定電流のオンオフ及び強度などを制御する。制御部125は、例えば切替部124に制御信号を出力し、切替部124に含まれるスイッチ回路のオンオフ、そのタイミング、並びに第1電極部111が有する複数の電極の中で接続すべき電極の選択及び第2電極部112が有する複数の電極の中で接続すべき電極の選択などを制御する。
【0036】
図2は、図1の力覚提示装置10の取付部品11の外観の一例を示す模式図である。図3は、図2の取付部品11をユーザの指Fの先端に取り付けたときの様子の一例を示す模式図である。図2及び図3を参照しながら、図1の力覚提示装置10の取付部品11の構成について主に説明する。
【0037】
取付部品11は、ユーザの指Fの先端を挟み込むように当該指Fに取り付けられる一対の挟み片11aと、一対の挟み片11aの反対側に形成されている一対の把持片11bと、により形成されている。取付部品11は、ユーザが一対の把持片11bを手で持って、一対の把持片11bが互いに近接するように一対の把持片11bを押し込むことで一対の挟み片11aの間隔を大きくすることができる。ユーザが一対の把持片11bを強くつまむことで、一対の挟み片11aが大きく開く。一対の挟み片11aは、大きく開いた状態でユーザの指Fの先端に配置される。ユーザが一対の把持片11bを離した際には一対の挟み片11aが互いに近接してユーザの指Fの先端を挟み込むように取付部品11の内部に不図示の弾性部材が組み込まれている。
【0038】
第1電極部111及び第2電極部112は、取付部品11の一対の挟み片11aの側部を一対の挟み片11aの開き方向に沿って貫通するように一対の挟み片11aにそれぞれ取り付けられている。第1電極部111と第2電極部112とは互いに対向する。図2に示されるように、第1電極部111と第2電極部112とは、一対の挟み片11aが開いた状態で互いに離間する。第1電極部111と第2電極部112との間には、ユーザの指Fの先端を受け入れるための空間が形成される。
【0039】
一例として、第1電極部111は、4つの電極を有する。第1電極部111が有する4つの電極は、一対の挟み片11aの一方側の側部において縦方向に一列に配置されている。一例として、第2電極部112は、4つの電極を有する。第2電極部112が有する4つの電極は、一対の挟み片11aの他方側の側部において縦方向に一列に配置されている。
【0040】
図4は、図3の第1電極部111及び第2電極部112をより簡略的に示した模式図である。図4では、ユーザの指Fの先端に対する第1電極部111及び第2電極部112の配置の一例がより簡略的に示されている。図3ではその図示を省略していたが、ユーザの指Fの先端と第1電極部111との間に導電性を有するゲルGが配置されてもよい。同様に、ユーザの指Fの先端と第2電極部112との間にゲルGが配置されてもよい。ゲルGは、第1電極部111と第2電極部112との間に流れる電流を分散させることでユーザの指Fに対する痛覚の生起を抑制するためのものである。例えば、ゲルGを配置するために、ゲルGが塗布されたシートを、各電極部に含まれる電極又は指Fに付着させてもよい。
【0041】
第1電極部111は、ユーザの指Fの側面に沿うような位置に配置される。より具体的には、第1電極部111は、ユーザの指Fの一方側の側面A1に沿うような位置に配置される。第1電極部111は、ユーザの指Fの先端に配置される。例えば、第1電極部111の4つの電極は、ユーザの指Fの先端における側面A1に沿って指Fの延在方向に一列に配置される。
【0042】
第2電極部112は、ユーザの指Fの側面に沿うような位置に配置される。より具体的には、第2電極部112は、ユーザの指Fの他方側の側面A2に沿うような位置に配置される。第2電極部112は、ユーザの指Fの先端に配置される。例えば、第2電極部112の4つの電極は、ユーザの指Fの先端における側面A2に沿って指Fの延在方向に一列に配置される。
【0043】
図5は、図1の力覚提示装置10の構成の一部を具体的に示した模式図である。図5を参照しながら、力覚提示装置10の制御回路12の構成及び動作についてより詳細に説明する。
【0044】
制御回路12の切替部124は、発生部123に含まれる定電流源の出力端子側に接続されている第1切替部124aを有する。第1切替部124aは、8つのスイッチS11、S12、S13、S14、S15、S16、S17、及びS18を図5の左側から順に有する。
【0045】
図5における一例では、第1切替部124aのスイッチS11はオン状態にあり、第2電極部112の4つの電極のうち電極E24と発生部123とを電気的に接続する。第1切替部124aのスイッチS13はオン状態にあり、第2電極部112の4つの電極のうち電極E22と発生部123とを電気的に接続する。第1切替部124aのスイッチS12、S14、S15、S16、S17、及びS18はオフ状態にあり、第2電極部112の4つの電極のうち電極E21及びE23と発生部123とを電気的に接続せず、第1電極部111の4つの電極E11、E12、E13、及びE14と発生部123とを電気的に接続しない。
【0046】
制御回路12の切替部124は、発生部123に含まれる定電流源の入力端子側に接続されている第2切替部124bを有する。第2切替部124bは、8つのスイッチS21、S22、S23、S24、S25、S26、S27、及びS28を図5の左側から順に有する。
【0047】
図5における一例では、第2切替部124bのスイッチS25はオン状態にあり、第1電極部111の4つの電極のうち電極E11と発生部123とを電気的に接続する。第2切替部124bのスイッチS28はオン状態にあり、第1電極部111の4つの電極のうち電極E14と発生部123とを電気的に接続する。第2切替部124bのスイッチS21、S22、S23、S24、S26、及びS27はオフ状態にあり、第2電極部112の4つの電極E21、E22、E23、及びE24と発生部123とを電気的に接続せず、第1電極部111の4つの電極のうち電極E12及びE13と発生部123とを電気的に接続しない。
【0048】
以上のような切替部124の動作の一例によれば、第1電極部111の電極E11及びE14が陰極として機能する。第1電極部111の電極E12及びE13は発生部123に対して無接続状態、すなわちハイインピーダンス状態である。第2電極部112の電極E22及びE24が陽極として機能する。第2電極部112の電極E21及びE23は発生部123に対して無接続状態である。
【0049】
図6Aは、第1電極部111及び第2電極部112の極性パターンの第1例を示す模式図である。図6Bは、第1電極部111及び第2電極部112の極性パターンの第2例を示す模式図である。図6A及び図6Bでは、図4と異なりゲルGの図示を省略している。図6A及び図6Bを参照しながら、第1電極部111及び第2電極部112の極性パターンの一例について主に説明する。
【0050】
図6Aに示す第1例では、ユーザの指Fの一方側の側面A1に沿うような位置に配置される第1電極部111では、電極E11、E12、E13、及びE14がユーザの指Fの先端側から指Fの延在方向に一列に順に配置される。電極E11及びE14が発生部123に対して無接続状態にあり、電極E12及びE13が陰極として機能する。
【0051】
ユーザの指Fの他方側の側面A2に沿うような位置に配置される第2電極部112では、電極E21、E22、E23、及びE24がユーザの指Fの先端側から指Fの延在方向に一列に順に配置される。電極E21、E22、E23、及びE24が全て陽極として機能する。
【0052】
図6Bに示す第2例では、ユーザの指Fの一方側の側面A1に沿うような位置に配置される第1電極部111では、電極E11、E12、E13、及びE14がユーザの指Fの先端側から指Fの延在方向に一列に順に配置される。電極E11及びE14が発生部123に対して無接続状態にあり、電極E12及びE13が陰極として機能する。
【0053】
ユーザの指Fの他方側の側面A2に沿うような位置に配置される第2電極部112では、電極E21、E22、E23、及びE24がユーザの指Fの先端側から指Fの延在方向に一列に順に配置される。電極E21、E22、E23、及びE24が全て陽極として機能する。
【0054】
図6Aの第1例及び図6Bの第2例に示す極性パターンは、切替部124による切替動作に基づいて互いに切り替え可能である。切替部124は、電極の極性を切り替えることで第1電極部111と第2電極部112との間の位置関係を反転させる。切替部124は、各電極に対して陰極、陽極、及び無接続のいずれかの状態への切り替えを可能にする。
【0055】
図6Aでは、第1電極部111がユーザの指Fの先端の左側に位置し、側面A1がユーザの指Fの先端の左側面に対応する。第2電極部112がユーザの指Fの先端の右側に位置し、側面A2がユーザの指Fの先端の右側面に対応する。一方で、図6Bでは、第1電極部111がユーザの指Fの先端の右側に位置し、側面A1がユーザの指Fの先端の右側面に対応する。第2電極部112がユーザの指Fの先端の左側に位置し、側面A2がユーザの指Fの先端の左側面に対応する。
【0056】
図6A及び図6Bに示されるように、第1電極部111は、少なくとも1つの陰極を刺激電極として有する。一例として、第1電極部111は、2つの陰極を刺激電極として有する。第2電極部112は、少なくとも1つの陽極を刺激電極に対する不関電極として有する。一例として、第2電極部112は、4つの陽極を不関電極として有する。第1電極部111における陰極の数は、第2電極部112における陽極の数よりも少ない。
【0057】
第1電極部111は、互いに隣り合って連続する複数の陰極を有する。一例として、第1電極部111は、互いに隣り合って連続する2つの陰極を有する。第1電極部111では、互いに隣り合って連続する2つの陰極が第1電極部111の中央部に位置する。当該2つの陰極の両側に、無接続状態にある電極E11及びE14がそれぞれ位置する。当該2つの陰極は、無接続状態にある電極E11及びE14により、指Fの延在方向に挟まれる。
【0058】
第2電極部112は、互いに隣り合って連続する複数の陽極を有する。一例として、第2電極部112は、互いに隣り合って連続する4つの陽極を有する。第2電極部112は、互いに隣り合って連続する4つの陽極のみに基づいて構成される。
【0059】
第1電極部111と第2電極部112とは、指Fの延在方向において互いに同一の位置にある。例えば、無接続状態にある電極E11と陽極として機能する電極E21とが指Fの延在方向において互いに同一の位置にある。陰極として機能する電極E12と陽極として機能する電極E22とが指Fの延在方向において互いに同一の位置にある。陰極として機能する電極E13と陽極として機能する電極E23とが指Fの延在方向において互いに同一の位置にある。無接続状態にある電極E14と陽極として機能する電極E24とが指Fの延在方向において互いに同一の位置にある。
【0060】
発生部123は、ユーザの指Fの側面から内部への電流であって、当該指Fの感覚受容器を刺激して当該指Fに対し力覚を生起させる電流を第1電極部111と第2電極部112との間に発生させる。力覚提示装置10は、ユーザの指Fの側面から電気刺激を発生させることで、指Fの側面の近傍に位置する感覚受容器を活動させ、力覚を疑似的に生起させる。このとき、力覚提示装置10は、感覚受容器を電流により直接的に刺激してもよいし、感覚受容器とつながっている神経線維を介して間接的に感覚受容器を刺激してもよい。本開示において、「感覚受容器」は、例えばマイスナー小体、メルケル細胞、パチニ小体、及びルフィーニ終末のうち、力覚の生起に寄与するものを含む。
【0061】
このような電流に関するパラメータは、ユーザの指Fに力覚提示装置10が装着された最初の段階で行われる校正作業に基づきユーザごとに最適化される。本開示において、「電流に関するパラメータ」は、例えばパルス電流及び定常電流を含む電流のパターン、パルス電流における幅、周期、及びデューティー比、並びに電流の強度などを含む。電流に関するパラメータは、第1電極部111と第2電極部112との間で指の内部を介して電流を流したときにユーザが痛みを感じない範囲で感覚受容器に対し最も強く刺激を与えることができる値に最適化される。
【0062】
制御部125は、校正作業に基づきユーザごとに最適化された電流に関するパラメータを記憶部122に格納する。制御部125は、校正作業の後に当該ユーザが力覚提示装置10を使用するときに、当該ユーザに対して最適化された電流に関するパラメータを記憶部122から読み出す。制御部125は、読み出した当該パラメータに基づいて発生部123及び切替部124を制御し、当該パラメータに対応する電流を第1電極部111と第2電極部112との間に発生させる。
【0063】
例えば、図6Aでは、電流は、陽極を含む第2電極部112から陰極を含む第1電極部111に向けて右から左へと流れる。このとき、左側の側面A1に沿うように位置する陰極の数が右側の側面A2に沿うように位置する陽極の数よりも少ないため、左側の側面A1側における電流密度は、右側の側面A2側における電流密度よりも高くなる。これにより、左側の第1電極部111が有する刺激電極としての陰極の近傍で、指Fの先端の内部に位置する感覚受容器がより強く刺激され活発に活動する。
【0064】
力覚提示装置10は、図6Aに示すような第1電極部111及び第2電極部112の配置により、ユーザの指Fの先端に対し例えば横方向の力覚を疑似的に生起させる。力覚提示装置10は、例えば図6Aにおいて矢印で示すとおり左から右に向けて力を受けているような力覚をユーザの指Fの先端に対し生起させる。
【0065】
例えば、図6Bでは、電流は、陽極を含む第2電極部112から陰極を含む第1電極部111に向けて左から右へと流れる。このとき、右側の側面A1に沿うように位置する陰極の数が左側の側面A2に沿うように位置する陽極の数よりも少ないため、右側の側面A1側における電流密度は、左側の側面A2側における電流密度よりも高くなる。これにより、右側の第1電極部111が有する刺激電極としての陰極の近傍で、指Fの先端の内部に位置する感覚受容器がより強く刺激され活発に活動する。
【0066】
力覚提示装置10は、図6Bに示すような第1電極部111及び第2電極部112の配置により、ユーザの指Fの先端に対し例えば横方向の力覚を疑似的に生起させる。力覚提示装置10は、例えば図6Bにおいて矢印で示すとおり右から左に向けて力を受けているような力覚をユーザの指Fの先端に対し生起させる。
【0067】
図6A及び図6Bに示すような力覚生起の効果を実証するために、複数の被験者に対して実証実験を行った。当該実証実験は、図6A及び図6Bに示されるような電極配置を一例として有する取付部品11により生起する疑似力覚の有無及びその方向などを検証することを目的とした。
【0068】
例えば、被験者は、利き手の中指に取付部品11を装着し、当該中指を空中正面へ突き出す。中指を実験対象とした理由は、予備的な試行の段階で、最も明瞭に疑似力覚を知覚しやすかったためである。力覚生起の方向を被験者に回答させるために当該中指に対してX、Y、Z直交軸が定められた。例えば、Z軸は、中指の延在方向に沿った軸である。Y軸は、中指の延在方向に直交する上下方向に沿った軸である。X軸は、中指の延在方向に直交する左右方向に沿った軸である。
【0069】
力覚生起の方向の記録は、方向ベクトルの値を記録することで行われた。例えば、右方向へ向かう力覚であった場合、(X、Y、Z)=(1、0、0)と記録し、XY平面における左斜め上方向へ向かう力覚であった場合(X、Y、Z)=(-1、1、0)と記録した。
【0070】
実験手順は、第1電極部111及び第2電極部112による刺激電流量を調整する第1ステップを含む。第1ステップでは、被験者に対して図3で示されるように取付部品11を装着させ、図6A及び図6Bの電極刺激パターンを含む複数の電極刺激パターンをランダムに1秒ずつ提示しながら徐々に刺激電流量を、痛覚が生起するまで上げた。その後、刺激電流量を痛覚が消失するまで下げることで、被験者が不快に感じない最大の刺激電流量を設定した。制御部125は、このときの電流に関するパラメータを記憶部122に格納した。以降のステップは、当該刺激電流量に基づいて行われた。
【0071】
実験手順は、左右の電気刺激による皮膚感覚の有無を検証する第2ステップを含む。第2ステップでは、図6A及び図6Bの電極刺激パターンを含む複数の電極刺激パターンを順に提示し、指の右側面及び左側面の各々について「電気刺激による皮膚感覚を生じているか」を被験者に回答させた。第2ステップは、図6A及び図6Bの電極刺激パターンを含む複数の電極刺激パターンにおいて力覚を知覚する手掛かりである、陰極刺激の知覚の有無を確認するためのものである。
【0072】
実験手順は、疑似力覚の生起の有無を検証する第3ステップを含む。第3ステップでは、図6A及び図6Bの電極刺激パターンを含む複数の電極刺激パターンをランダムな順序で3回ずつ試行し、各試行で生じた疑似力覚の向きについて被験者に回答させた。疑似力覚が生起しなかった場合はその旨を被験者に報告させ、方向ベクトルの値を(X、Y、Z)=(0、0、0)と記録した。
【0073】
以上のような実証実験のもとで、被験者は様々な方向に疑似力覚を知覚していることが分かった。被験者は、例えば図6A及び図6Bのいずれかの矢印で示した方向に疑似力覚を知覚していることが分かった。当該実証実験により、疑似力覚が生起していることが実証された。指の爪部分周辺の内部に位置する感覚受容器がより強く刺激され活発に活動することと、疑似力覚が生起していることとが互いに関連している。爪部分以外の指の他の部分に比して爪部分が変形しづらいことと、疑似力覚が生起していることとが互いに関連している。
【0074】
図7は、図1の力覚提示装置10を含む力覚提示システム1の構成の第1例を示す模式図である。図8は、図7の力覚提示システム1の概略構成を示すブロック図である。図7及び図8を参照しながら、図1の力覚提示装置10を力覚提示システム1に応用したときの第1例について主に説明する。図7では、簡便な図示を目的として、力覚提示装置10についてユーザの指の先端に取り付けられる取付部品11のみを主に示し、制御回路12の図示を省略する。加えて、本開示の一実施形態に係る力覚提示装置10に主に着目するために、後述する操作対象23を遠隔操作するために必要となる他の装置についても図示を省略する。
【0075】
力覚提示システム1は、上記の力覚提示装置10を有する。力覚提示装置10は、取付部品11がユーザの指に取り付けられた状態で使用される。力覚提示装置10は、ユーザの10本の指のうち、少なくとも1本に、あるいは全ての指に装着されていればよい。例えば、図7に示されるように、力覚提示装置10は、ユーザの右手の親指及び人差し指、並びにユーザの左手の親指及び人差し指に装着される。
【0076】
力覚提示システム1は、力覚提示装置10に加えてロボット20を有する。より具体的には、力覚提示システム1は、力覚提示装置10を装着したユーザが遠隔で操作する操作対象23を、ロボット20の構成の一部として有する。力覚提示システム1は、ユーザによって操作される操作対象23の様子を視覚情報としてユーザに出力する出力インタフェース30を有する。力覚提示システム1は、力覚提示装置10、操作対象23を含むロボット20、及び出力インタフェース30に加えて、撮像装置40をさらに有してもよい。
【0077】
力覚提示装置10、操作対象23を含むロボット20、出力インタフェース30、及び撮像装置40のそれぞれは、移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワーク50と通信可能に接続されている。
【0078】
ロボット20は、例えば医療用、家庭用、産業用、及び商業用などの任意の用途で用いられるものを含む。ロボット20は、通信部21と、記憶部22と、操作対象23と、制御部24と、を有する。
【0079】
通信部21は、ネットワーク50に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部21は、4G及び5Gなどの移動体通信規格又はインターネット規格に対応する通信モジュールを含む。一実施形態において、ロボット20は、通信部21を介してネットワーク50に接続されている。通信部21は、ネットワーク50を介して多様な情報を送信及び受信する。
【0080】
記憶部22は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限定されない。記憶部22は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22は、ロボット20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部21により受信又は送信される各種情報などを記憶する。
【0081】
操作対象23は、ロボットアームの先端に形成されているロボットハンドを含む。例えば、操作対象23は、力覚提示装置10を装着したユーザが位置する場所から遠隔に位置する任意のロボット20のロボットアームの先端に形成されているロボットハンドを含む。ロボットアームは、少なくとも1本のアームを有し、各アームにロボットハンドを有する。ロボットハンドは、少なくとも1本の指を有する。例えば、ロボットアームは、図7に示されるように、人間と同様に左アーム及び右アームを有し、各アームのロボットハンドに5本の指が形成されているものであってもよいし、1本のアームのみを有し、当該アームのロボットハンドに2本の指のみが形成されているようなものであってもよい。
【0082】
操作対象23に含まれるロボットハンドは、指それぞれの先端に力覚及び触覚センサ23aを有する。力覚及び触覚センサ23aは、ロボットハンドの指が任意の対象物と接触したときの情報を力覚及び触覚情報として出力する。
【0083】
制御部24は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部24は、ロボット20を構成する各構成部と通信可能に接続され、ロボット20全体の動作を制御する。例えば、制御部24は、力覚提示装置10及び不図示の他の装置を装着しながら操作対象23を遠隔操作するユーザの手及び指の動きに連動するように操作対象23を制御する。
【0084】
出力インタフェース30は、情報を画像としてユーザに出力する1つ以上のインタフェースを含む。例えば、出力インタフェース30は、情報を画像で出力する、ゴーグル型及び眼鏡型などのウェアラブルデバイス、並びに他の任意のディスプレイ装置などを含む。出力インタフェース30は、通信部31と、記憶部32と、出力部33と、制御部34と、を有する。
【0085】
通信部31は、ネットワーク50に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部31は、4G及び5Gなどの移動体通信規格又はインターネット規格に対応する通信モジュールを含む。一実施形態において、出力インタフェース30は、通信部31を介してネットワーク50に接続されている。通信部31は、ネットワーク50を介して多様な情報を送信及び受信する。
【0086】
記憶部32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限定されない。記憶部32は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、出力インタフェース30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部31により受信又は送信される各種情報などを記憶する。
【0087】
出力部33は、情報を画像としてユーザに出力する1つ以上のディスプレイを含む。例えば、出力部33は、情報を映像で出力するディスプレイなどを含む。
【0088】
制御部34は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部34は、出力インタフェース30を構成する各構成部と通信可能に接続され、出力インタフェース30全体の動作を制御する。例えば、制御部34は、撮像装置40により生成された後述の視覚情報を、ネットワーク50を介して通信部31により取得し、出力部33を制御しながらユーザに画像として表示する。
【0089】
撮像装置40は、操作対象23の周囲に配置されている任意のカメラなどを含む。撮像装置40は、通信部41と、記憶部42と、撮像部43と、制御部44と、を有する。
【0090】
通信部41は、ネットワーク50に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部41は、4G及び5Gなどの移動体通信規格又はインターネット規格に対応する通信モジュールを含む。一実施形態において、撮像装置40は、通信部41を介してネットワーク50に接続されている。通信部41は、ネットワーク50を介して多様な情報を送信及び受信する。
【0091】
記憶部42は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限定されない。記憶部42は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部42は、撮像装置40の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部42は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部41により受信又は送信される各種情報などを記憶する。
【0092】
撮像部43は、CCD(Charge Coupled Device)及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの任意の撮像素子を含む。
【0093】
制御部44は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部44は、撮像装置40を構成する各構成部と通信可能に接続され、撮像装置40全体の動作を制御する。例えば、制御部44は、撮像部43を用いて後述の視覚情報を生成し、通信部41を制御しながらネットワーク50を介して出力インタフェース30に送信する。
【0094】
ユーザは、力覚提示装置10及び不図示の他の装置を装着しながら、操作対象23を遠隔操作する。操作対象23としてのロボットハンドは、ユーザの手及び指の動きに連動して、同様の動作を行う。例えば、図7に示されるように、ロボットハンドは、左アームのロボットハンドの主に親指及び人差し指で瓶を支えながら右アームのロボットハンドの親指及び人差し指で瓶の蓋を回す動作を行う。
【0095】
このとき、力覚提示装置10の制御部125は、ユーザによる操作対象23の操作に基づく情報を取得し、当該情報に応じてユーザの指に対し力覚を生起させる。図7に示す第1例では、当該情報は、操作対象23としてのロボットハンドに取り付けられている力覚及び触覚センサ23aから出力される力覚及び触覚情報を含む。かかる力覚は、力覚及び触覚センサ23aに加わる重さ情報を発生させる。力覚提示装置10の制御部125は、ユーザによる操作対象23の操作に基づく情報を、ネットワーク50及び通信部121を介して操作対象23を有するロボット20から取得する。
【0096】
力覚提示装置10の制御部125は、ロボットハンドに取り付けられている力覚及び触覚センサ23aから出力される力覚及び触覚情報に対応する力を、ユーザが、装着した力覚提示装置10を介して感じるように第1電極部111及び第2電極部112を介して刺激電流量を制御する。例えば、ユーザは、左手の親指及び人差し指で瓶の重力を疑似的に感じながら瓶を支える感覚を疑似的に得る。ユーザは、右手の親指及び人差し指で瓶の蓋を回すときの摩擦力を疑似的に感じながら瓶の蓋を回す感覚を疑似的に得る。
【0097】
このとき、操作対象23の周囲に配置されている撮像装置40の制御部44は、ユーザによって操作される操作対象23の様子を、撮像部43を用いて撮像し、視覚情報を生成する。出力インタフェース30の制御部34は、撮像装置40により生成された視覚情報を、ネットワーク50及び通信部31を介して取得し、出力部33を用いてユーザに画像として表示する。ユーザは、出力インタフェース30に表示される画像を視認しながら、自身が操作する操作対象23の様子を視覚的に認識する。
【0098】
以上のように、ユーザは、力覚提示装置10及び出力インタフェース30によりそれぞれ提示される力覚及び視覚を統合して感じながら操作対象23を遠隔操作する。これにより、ユーザは、リアルな操作感を簡単な構成により得ることができる。
【0099】
図9は、図1の力覚提示装置10を含む力覚提示システム1の構成の第2例を示す模式図である。図10は、図9の力覚提示システム1の概略構成を示すブロック図である。図9及び図10を参照しながら、図1の力覚提示装置10を力覚提示システム1に応用したときの第2例について主に説明する。図9では、簡便な図示を目的として、力覚提示装置10についてユーザの指の先端に取り付けられる取付部品11のみを主に示し、制御回路12の図示を省略する。加えて、本開示の一実施形態に係る力覚提示装置10に主に着目するために、後述する操作対象63aを遠隔操作するために必要となる他の装置についても図示を省略する。
【0100】
力覚提示システム1は、上記の力覚提示装置10を有する。力覚提示装置10は、取付部品11がユーザの指に取り付けられた状態で使用される。力覚提示装置10は、ユーザの10本の指のうち、少なくとも1本に、あるいは全ての指に装着されていればよい。例えば、図9に示されるように、力覚提示装置10は、ユーザの右手の親指及び人差し指、並びにユーザの左手の親指及び人差し指に装着される。
【0101】
力覚提示システム1は、力覚提示装置10に加えて情報処理装置60を有する。より具体的には、力覚提示システム1は、情報処理装置60により仮想空間上で生成されたアバターに含まれ、力覚提示装置10を装着したユーザが遠隔で操作する操作対象63aを有する。力覚提示システム1は、ユーザによって操作される操作対象63aの様子を視覚情報としてユーザに出力する出力インタフェース30を有する。
【0102】
力覚提示装置10、操作対象63aを含むアバターを生成する情報処理装置60、及び出力インタフェース30のそれぞれは、移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワーク50と通信可能に接続されている。
【0103】
情報処理装置60は、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置である。情報処理装置60は、これらに限定されず、PC(Personal Computer)又はスマートフォンなどの任意の汎用の電子機器であってもよいし、力覚提示システム1に専用の他の電子機器であってもよい。情報処理装置60は、通信部61と、記憶部62と、制御部63と、を有する。
【0104】
通信部61は、ネットワーク50に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部61は、4G及び5Gなどの移動体通信規格又はインターネット規格に対応する通信モジュールを含む。一実施形態において、情報処理装置60は、通信部61を介してネットワーク50に接続されている。通信部61は、ネットワーク50を介して多様な情報を送信及び受信する。
【0105】
記憶部62は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限定されない。記憶部62は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部62は、情報処理装置60の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部62は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部61により受信又は送信される各種情報などを記憶する。
【0106】
制御部63は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部63は、情報処理装置60を構成する各構成部と通信可能に接続され、情報処理装置60全体の動作を制御する。例えば、制御部63は、力覚提示装置10を装着したユーザが仮想空間上で操作する操作対象63aを含むアバターを任意の仮想空間内に生成する。
【0107】
操作対象63aは、仮想空間内のアバターの指を含む。例えば、操作対象63aは、力覚提示装置10を装着したユーザが位置する現実空間とは異なる、コンピュータ及びコンピュータネットワークなどの中で構築された3次元の仮想空間内に位置する任意のアバターの指を含む。このようなアバターは、例えば人間、人間以外の動物、植物、ロボットなどの機械、及び物などをベースにしてキャラクタ化されたものであって、ユーザの手に対応する手が形成されているものを含む。アバターは、少なくとも1本の手を有し、各手に少なくとも1本の指を有する。例えば、アバターは、図9に示されるように、人間をベースにキャラクタ化され人間と同様に左腕及び右腕を有し、各腕の先端に形成されている手に5本の指を有するものであってもよい。
【0108】
出力インタフェース30は、図7及び図8に記載の第1例と同一の構成を有する。例えば、制御部34は、後述の視覚情報を、ネットワーク50を介して通信部31により情報処理装置60から取得し、出力部33を制御しながらユーザに画像として表示する。
【0109】
ユーザは、力覚提示装置10及び不図示の他の装置を装着しながら、仮想空間内の操作対象63aを現実空間で操作する。操作対象63aとしての指を有するアバターは、ユーザの手及び指の動きに連動して、同様の動作を行う。例えば、図9に示されるように、アバターは、左手の主に親指及び人差し指で瓶を支えながら右手の親指及び人差し指で瓶の蓋を回す動作を行う。
【0110】
このとき、力覚提示装置10の制御部125は、ユーザによる操作対象63aの操作に基づく情報を取得し、当該情報に応じてユーザの指に対し力覚を生起させる。図9に示す第2例では、当該情報は、操作対象63aとしてのアバターの指の動作に対応するデジタル情報を含む。より具体的には、当該デジタル情報は、力覚レンダリングに基づく演算により情報処理装置60の制御部63により生成された、アバターの指の動作に対応する感覚を提示するための力の情報を含む。力覚提示装置10の制御部125は、ユーザによる操作対象63aの操作に基づく情報を、ネットワーク50及び通信部121を介して、力覚レンダリングに基づく演算を行った情報処理装置60から取得する。
【0111】
力覚提示装置10の制御部125は、情報処理装置60から取得されたデジタル情報に対応する力を、ユーザが、装着した力覚提示装置10を介して感じるように第1電極部111及び第2電極部112を介して刺激電流量を制御する。例えば、ユーザは、左手の親指及び人差し指で瓶の重力を疑似的に感じながら瓶を支える感覚を疑似的に得る。ユーザは、右手の親指及び人差し指で瓶の蓋を回すときの摩擦力を疑似的に感じながら瓶の蓋を回す感覚を疑似的に得る。
【0112】
このとき、出力インタフェース30の制御部34は、操作対象63aを含むアバターが位置する仮想空間の視覚情報を、ネットワーク50及び通信部31を介して情報処理装置60から取得し、出力部33を用いてユーザに画像として表示する。ユーザは、出力インタフェース30に表示される画像を視認しながら、自身が操作する操作対象63aの様子を視覚的に認識する。
【0113】
以上のように、ユーザは、力覚提示装置10及び出力インタフェース30によりそれぞれ提示される力覚及び視覚を統合して感じながら操作対象63aを遠隔操作する。これにより、ユーザは、リアルな操作感を簡単な構成により得ることができる。
【0114】
以上のような一実施形態に係る力覚提示装置10によれば、簡単な構成により、指に対して力覚を生起させることが可能である。力覚提示装置10は、指の側面に沿うような位置に配置され、刺激電極を有する第1電極部111と、指の側面から内部への電流を第1電極部111と第2電極部112との間に発生させる発生部123と、を有する。これにより、力覚提示装置10は、当該刺激電極の近傍で、指の内部に位置する感覚受容器を強く刺激して活発に活動させることが可能である。力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚を生起させることが可能である。
【0115】
力覚提示装置10は、第2電極部112が指の側面に沿うような位置に配置されることで、第2電極部112を第1電極部111と同様に指の側面に沿うように位置させて、第1電極部111により近付けることができる。これにより、力覚提示装置10は、第1電極部111と第2電極部112との間で指の内部を介してより容易に電流を流すことができる。したがって、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0116】
力覚提示装置10は、第1電極部111が側面A1に沿うような位置に配置され、第2電極部112が側面A2に沿うような位置に配置されることで、指の側面から内部への電流を第1電極部111と第2電極部112との間でより確実に発生させることができる。このような電流は、互いに反対側に位置する側面A1及びA2の間でユーザの指の内部をより確実に流れる。これにより、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0117】
力覚提示装置10は、第1電極部111と第2電極部112とが互いに対向することで、指の側面から内部への電流を第1電極部111と第2電極部112との間でより確実に発生させることができる。このような電流は、互いに対向するように位置する第1電極部111及び第2電極部112の間でユーザの指の内部をより確実に流れる。これにより、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0118】
力覚提示装置10は、第1電極部111と第2電極部112とが互いに対向し、かつ第1電極部111及び第2電極部112において小型の電極が用いられることで、装置の小型化を容易に実現可能である。
【0119】
力覚提示装置10は、第1電極部111が指の先端に配置されることで、第1電極部111に含まれる刺激電極の近傍で、指の先端の内部に位置する感覚受容器をより強く刺激してより活発に活動させることが可能である。これにより、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指の先端に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0120】
力覚提示装置10は、第1電極部111が少なくとも1つの陰極を刺激電極として有し、第2電極部112が少なくとも1つの陽極を刺激電極に対する不関電極として有することで、指の内部に位置する感覚受容器に対して刺激電極による刺激を容易に与えることができる。これにより、力覚提示装置10は、感覚受容器を活発に活動させて、指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0121】
力覚提示装置10は、第1電極部111における陰極の数が第2電極部112における陽極の数よりも少ないことで、第1電極部111側における電流密度を第2電極部112側における電流密度よりも高くすることができる。これにより、力覚提示装置10は、第1電極部111が有する刺激電極としての陰極の近傍で、指の内部に位置する感覚受容器をより強く刺激してより活発に活動させることが可能である。したがって、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0122】
力覚提示装置10は、第1電極部111が互いに隣り合って連続する複数の陰極を有することで、第1電極部111側における電流密度を第2電極部112側における電流密度よりもさらに高くすることができる。これにより、力覚提示装置10は、第1電極部111が有する刺激電極としての陰極の近傍で、指の内部に位置する感覚受容器をより強く刺激してより活発に活動させることが可能である。したがって、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0123】
力覚提示装置10は、第2電極部112が互いに隣り合って連続する複数の陽極を有することで、第1電極部111と第2電極部112との間で指の側面から内部を介してより容易に電流を流すことができる。したがって、力覚提示装置10は、ユーザの指の感覚受容器を刺激して指に対し力覚をより確実に生起させることが可能である。
【0124】
力覚提示装置10は、第1電極部111と第2電極部112との間の位置関係を反転させる切替部124を有することで、ユーザの指に対し異なる力覚を生起させることも可能である。例えば、力覚提示装置10は、図6A及び図6Bに示されるように、互いに反対方向を向く力をユーザに感じさせることも可能である。力覚提示装置10は、切替部124が図6A及び図6Bの一方から他方へと極性パターンを連続的に切り替えることで、ユーザの指に対し異なる力覚を連続的に生起させることも可能である。ユーザは、切替部124によるシームレスな動作によって異なる方向を向く力を連続的に感じることもできる。
【0125】
力覚提示システム1は、力覚提示装置10に加えて、ユーザによって操作される操作対象の様子を視覚情報としてユーザに出力する出力インタフェース30を有することで、力覚及び視覚を統合した状態でユーザによる操作対象の遠隔操作を可能にする。これにより、ユーザは、力覚提示装置10によって指に生起される力覚では不足している実際の感覚との差分を視覚によって補うことができる。ユーザは、力覚及び視覚を統合しながら当該差分を補完し、実際の感覚に非常に近い感覚を疑似的に得ることができる。例えば、図7及び図9に示されるように、ユーザは、瓶を左手で持って右手で蓋を開けるときの両手の実際の感覚に非常に近い感覚を力覚提示装置10及び出力インタフェース30により疑似的に得ることができる。
【0126】
以上により、操作対象の実際の動作に関連する動きの感覚がユーザに正確に伝わりやすくなる。したがって、ユーザは、操作対象の遠隔操作をより精密に行うことができる。
【0127】
力覚提示システム1は、操作対象23がロボットアームの先端に形成されているロボットハンドを含むことで、力覚及び視覚を統合した状態でユーザによるロボットハンドの遠隔操作を可能にする。ユーザは、力覚及び視覚を統合しながら実際の感覚との差分を補完し、ロボットハンドを遠隔操作しながら実際の感覚に非常に近い感覚を疑似的に得ることができる。例えば、図7に示されるように、ユーザは、瓶を左手で持って右手で蓋を開けるときの両手の実際の感覚に非常に近い感覚を、ロボットハンドを遠隔操作しながら力覚提示装置10及び出力インタフェース30により疑似的に得ることができる。
【0128】
力覚提示システム1は、操作対象63aが仮想空間内のアバターの指を含むことで、力覚及び視覚を統合した状態でユーザによるアバターの指の遠隔操作を可能にする。ユーザは、力覚及び視覚を統合しながら実際の感覚との差分を補完し、アバターの指を遠隔操作しながら実際の感覚に非常に近い感覚を疑似的に得ることができる。例えば、図9に示されるように、ユーザは、瓶を左手で持って右手で蓋を開けるときの両手の実際の感覚に非常に近い感覚を、アバターの指を遠隔操作しながら力覚提示装置10及び出力インタフェース30により疑似的に得ることができる。
【0129】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0130】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0131】
図11は、図1の力覚提示装置10の第1変形例を示す模式図である。図12は、図1の力覚提示装置10の第2変形例を示す模式図である。図13は、図1の力覚提示装置10の第3変形例を示す模式図である。図14は、図1の力覚提示装置10の第4変形例を示す模式図である。
【0132】
上記実施形態では、第2電極部112は、指の側面に沿うような位置に配置されると説明したが、これに限定されない。第2電極部112は、指の側面に沿うような位置に配置されなくてもよい。第2電極部112は、第1電極部111との間で電流が流れて指に対し力覚を生起させることができれば、任意の位置に配置されてもよい。例えば、第2電極部112は、図11に示されるように、指Fの関節部分などに巻かれるように配置されてもよい。例えば、第2電極部112は、図12に示されるように、指Fの付け根部分などに巻かれるように配置されてもよい。例えば、第2電極部112は、図13に示されるように、手の甲に配置されてもよい。例えば、第2電極部112は、図14に示されるように、手のひらで握るように配置されてもよい。
【0133】
図15は、図1の力覚提示装置10の第5変形例を示す模式図である。上記実施形態では、第1電極部111は、指の一方側の側面A1に沿うような位置に配置され、第2電極部112は、指の他方側の側面A2に沿うような位置に配置されると説明したが、これに限定されない。第1電極部111と第2電極部112とは、互いに異なる側面に沿うような位置に配置されるのではなく、互いに同一の側面に沿うような位置に配置されてもよい。例えば、図15に示されるように、第1電極部111と第2電極部112とは、互いに同一の側面A1に沿うような位置に配置されてもよい。
【0134】
図16は、図1の力覚提示装置10の第6変形例を示す模式図である。上記実施形態では、第1電極部111と第2電極部112とは互いに対向すると説明したが、これに限定されない。第1電極部111と第2電極部112とは互いに対向しなくてもよい。すなわち、第1電極部111と第2電極部112とは、指の延在方向に沿って互いに異なる位置に配置されてもよい。例えば、図16に示されるように、第1電極部111が指Fの延在方向に沿ってより先端側に位置し、第2電極部112が指Fの延在方向に沿ってより手の甲側に位置してもよい。
【0135】
図17は、図1の力覚提示装置10の第7変形例を示す模式図である。上記実施形態では、第1電極部111は、指の先端に配置されると説明したが、これに限定されない。例えば、図17に示されるように、第1電極部111は、指Fの先端よりも手の甲側に配置されてもよい。
【0136】
図18は、図1の力覚提示装置10の第8変形例を示す模式図である。上記実施形態では、図6A及び図6Bに示されるように、第1電極部111は、少なくとも1つの陰極を刺激電極として有し、第2電極部112は、少なくとも1つの陽極を刺激電極に対する不関電極として有すると説明したが、これに限定されない。第1電極部111は、少なくとも1つの陽極を刺激電極として有してもよく、第2電極部112は、少なくとも1つの陰極を刺激電極に対する不関電極として有してもよい。
【0137】
例えば、図18に示されるように、第1電極部111は、2つの陽極を刺激電極として有してもよい。第2電極部112は、4つの陰極を不関電極として有してもよい。第1電極部111における陽極の数は、第2電極部112における陰極の数よりも少ない。図18に示されるような電極配置は、図5の切替部124に含まれる所定のスイッチのオンオフを図6Aに示されるような電極配置での状態から切り替えることで得られる。所定のスイッチは、電極E12、E13、E21、E22、E23、及びE24に接続されている各スイッチを含む。
【0138】
図19は、図1の力覚提示装置10の第9変形例を示す模式図である。図20は、図1の力覚提示装置10の第10変形例を示す模式図である。図21は、図1の力覚提示装置10の第11変形例を示す模式図である。図22は、図1の力覚提示装置10の第12変形例を示す模式図である。図23は、図1の力覚提示装置10の第13変形例を示す模式図である。
【0139】
図21乃至図23に示されるような電極配置は、図5の切替部124に含まれる所定のスイッチのオンオフを図5に示されるような電極配置での状態から切り替えることで得られる。図21の第11変形例では、所定のスイッチは、電極E11、E12、E14、E21、E23、及びE24に接続されている各スイッチを含む。図22の第12変形例では、所定のスイッチは、電極E12、E13、E14、E21、E23、及びE24に接続されている各スイッチを含む。図23の第13変形例では、所定のスイッチは、電極E11、E12、E13、E14、E21、及びE23に接続されている各スイッチを含む。
【0140】
上記実施形態では、第1電極部111は4つの電極を有すると説明したが、これに限定されない。第1電極部111は、3つ以下の電極を有してもよいし、5つ以上の電極を有してもよい。例えば、第1電極部111は、図19に示されるように、3つの電極を有してもよい。例えば、第1電極部111は、図20に示されるように、5つの電極を有してもよい。
【0141】
上記実施形態では、第1電極部111では、4つの電極のうち2つの電極が陰極の状態にあると説明したが、これに限定されない。第1電極部111において陰極の状態にある電極の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、図21に示されるように、第1電極部111において陰極の状態にある電極の数は、1つであってもよい。例えば、図22に示されるように、第1電極部111において陰極の状態にある電極の数は、3つであってもよい。
【0142】
上記実施形態では、第1電極部111は、全ての電極について陰極又は無接続の状態にあると説明したが、これに限定されない。第1電極部111は、陰極及び無接続に加えて陽極が混在するように構成されてもよい。例えば、図23に示されるように、第1電極部111は、電極E11が無接続、電極E12が陰極、電極E13が陰極、及び電極E14が陽極の状態にあるように構成されてもよい。
【0143】
上記実施形態では、第2電極部112は4つの電極を有すると説明したが、これに限定されない。第2電極部112は、3つ以下の電極を有してもよいし、5つ以上の電極を有してもよい。例えば、第2電極部112は、図19に示されるように、5つの電極を有してもよい。例えば、第2電極部112は、図20に示されるように、3つの電極を有してもよい。
【0144】
上記実施形態では、第2電極部112では、4つの電極の全てが陽極の状態にあると説明したが、これに限定されない。第2電極部112において陽極の状態にある電極の数は、3つ以下であってもよい。例えば、図21及び図22に示されるように、第2電極部112において陽極の状態にある電極の数は、3つであってもよい。
【0145】
上記実施形態では、第2電極部112は、全ての電極について陽極の状態にあると説明したが、これに限定されない。第2電極部112は、陽極に加えて陰極及び無接続の少なくとも一方が混在するように構成されてもよい。例えば、図21に示されるように、第2電極部112は、電極E21が陽極、電極E22が陽極、電極E23が陽極、及び電極E24が無接続の状態にあるように構成されてもよい。例えば、図22に示されるように、第2電極部112は、電極E21が陽極、電極E22が陽極、電極E23が陽極、及び電極E24が陰極の状態にあるように構成されてもよい。
【0146】
図24は、図1の力覚提示装置10の第14変形例を示す模式図である。図25は、図1の力覚提示装置10の第15変形例を示す模式図である。
【0147】
上記実施形態では、第1電極部111が有する電極は、指の延在方向に沿って一列に配置されると説明したが、これに限定されない。第1電極部111が有する電極は、指の延在方向に沿って複数列に配置されてもよい。例えば、図24に示されるように、第1電極部111が有する電極は、指Fの延在方向に沿って2列に配置されてもよい。
【0148】
上記実施形態では、第2電極部112が有する電極は、指の延在方向に沿って一列に配置されると説明したが、これに限定されない。第2電極部112が有する電極は、指の延在方向に沿って複数列に配置されてもよい。例えば、図25に示されるように、第2電極部112が有する電極は、指Fの延在方向に沿って2列に配置されてもよい。
【0149】
上記実施形態では、第1電極部111と第2電極部112とは互いに同一数の電極を有すると説明したが、これに限定されない。例えば、図19及び図20に示されるように、第1電極部111と第2電極部112とは互いに異なる数の電極を有してもよい。
【0150】
上記実施形態では、第1電極部111における陰極の数は、第2電極部112における陽極の数よりも少ないと説明したが、これに限定されない。第1電極部111における陰極の数は、第2電極部112における陽極の数以上であってもよい。例えば、図5に示されるように、第1電極部111における陰極の数は、第2電極部112における陽極の数と同一であってもよい。
【0151】
上記実施形態では、第1電極部111は、互いに隣り合って連続する複数の陰極を有すると説明したが、これに限定されない。例えば、図5に示されるように、第1電極部111における複数の陰極は、互いに隣り合って連続していなくてもよい。すなわち、第1電極部111において、陰極と陰極との間に陽極又は無接続状態の電極が配置されていてもよい。
【0152】
上記実施形態では、第2電極部112は、互いに隣り合って連続する複数の陽極を有すると説明したが、これに限定されない。例えば、図5に示されるように、第2電極部112における複数の陽極は、互いに隣り合って連続していなくてもよい。すなわち、第2電極部112において、陽極と陽極との間に陰極又は無接続状態の電極が配置されていてもよい。
【0153】
上記実施形態では、力覚提示装置10は、電極の極性を切り替えることで第1電極部111と第2電極部112との間の位置関係を反転させる切替部124を有すると説明したが、これに限定されない。力覚提示装置10は、このような切替部124を有さなくてもよい。
【0154】
上記実施形態では、例えば、図7に示されるように、力覚提示装置10は、ユーザの右手の親指及び人差し指、並びにユーザの左手の親指及び人差し指に装着されると説明したが、これに限定されない。力覚提示装置10は、図7のロボットハンドの指の本数及び配置に対応させてユーザの10本の指全てに装着されてもよい。力覚提示装置10は、任意のロボットハンドの指の本数及び配置に対応させてユーザの10本の指のうちの適切な指に装着されてもよいし、任意のロボットハンドの指の本数及び配置に対応させずにユーザの10本の指のうちの任意の指に装着されてもよい。
【0155】
上記実施形態では、例えば、図9に示されるように、力覚提示装置10は、ユーザの右手の親指及び人差し指、並びにユーザの左手の親指及び人差し指に装着されると説明したが、これに限定されない。力覚提示装置10は、図9のアバターの指の本数及び配置に対応させてユーザの10本の指全てに装着されてもよい。力覚提示装置10は、任意のアバターの指の本数及び配置に対応させてユーザの10本の指のうちの適切な指に装着されてもよいし、任意のアバターの指の本数及び配置に対応させずにユーザの10本の指のうちの任意の指に装着されてもよい。
【符号の説明】
【0156】
1 力覚提示システム
10 力覚提示装置
11 取付部品
111 第1電極部
112 第2電極部
11a 挟み片
11b 把持片
12 制御回路
121 通信部
122 記憶部
123 発生部
124 切替部
124a 第1切替部
124b 第2切替部
125 制御部
20 ロボット
21 通信部
22 記憶部
23 操作対象
23a 力覚及び触覚センサ
24 制御部
30 出力インタフェース
31 通信部
32 記憶部
33 出力部
34 制御部
40 撮像装置
41 通信部
42 記憶部
43 撮像部
44 制御部
50 ネットワーク
60 情報処理装置
61 通信部
62 記憶部
63 制御部
63a 操作対象
A1 側面
A2 側面
E11 電極
E12 電極
E13 電極
E14 電極
E21 電極
E22 電極
E23 電極
E24 電極
F 指
G ゲル
S11 スイッチ
S12 スイッチ
S13 スイッチ
S14 スイッチ
S15 スイッチ
S16 スイッチ
S17 スイッチ
S18 スイッチ
S21 スイッチ
S22 スイッチ
S23 スイッチ
S24 スイッチ
S25 スイッチ
S26 スイッチ
S27 スイッチ
S28 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25