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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037091
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A47G29/00 L
A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141742
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】591011650
【氏名又は名称】株式会社ASVEL
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA06
3K100AD07
3K100AE01
3K100AF03
3K100AH05
3K100AH09
3K100AJ03
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】被取付面が平坦でない場合であっても、安定して被取付面に対して磁気的に取り付けることが可能であるとともに、被取付面に取り付けた状態において美観に優れた保持具を提供する。
【解決手段】被取付面に磁気的に取り付けるための保持具であって、所定方向に延びるとともに所定方向における2箇所に変形基準位置が設定された取付板と、取付板の一方の面における変形基準位置の外側部分にそれぞれ固定された一対の磁力吸着部を有する磁力吸着手段と、物品を保持するための保持部と、取付板に対して保持部が固定され、かつ、取付板における変形基準位置の外側部分が取付板における変形基準位置の内側部分に対して板厚方向に変位するのを許容するように取付板における変形基準位置の内側部分に対して磁力吸着部と反対側から固定された固定部と、を備え、固定部は、取付板を磁力吸着部と反対側から見る正面視において取付板の全体を覆う形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付面に磁気的に取り付けるための保持具であって、
所定方向に延びるとともに前記所定方向における2箇所に変形基準位置が設定された取付板と、
前記取付板の一方の面における前記変形基準位置の外側部分にそれぞれ固定された一対の磁力吸着部を有する磁力吸着手段と、
物品を保持するための保持部と、
前記取付板に対して前記保持部が固定され、かつ、前記取付板における前記変形基準位置の外側部分が前記取付板における変形基準位置の内側部分に対して板厚方向に変位するのを許容するように前記取付板における前記変形基準位置の内側部分に対して前記磁力吸着部と反対側から固定された固定部と、を備え、
前記固定部は、前記取付板を前記磁力吸着部と反対側から見る正面視において前記取付板の全体を覆う形状を有する、保持具。
【請求項2】
前記固定部は、正面視において前記取付板の全体を覆う形状を有する固定部本体と、正面視において前記固定部本体の周縁部から前記磁力吸着部に近づく方向に延びるとともに前記取付板の周囲を取り囲む周壁を有する、請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記取付板および前記固定部は、前記取付板の板厚方向における前記取付板および前記固定部の相対変位が規制されるように互いに係合することにより前記変形基準位置を定義する係合手段を有する、請求項1に記載の保持具。
【請求項4】
前記保持部は、前記取付板および前記固定部のうち、前記固定部の前記変形基準位置の外側部分以外の部分に固定されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所用品として、タオルやラップ等の物品を保持する保持部と、保持部に固定されているとともに被取付面に対して磁気的に取り付け可能な取付部と、を有する保持具が広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、物品を保持するための金属フレームと、金属フレームに対して2つのキャップにより取り付けられた取付板と、取付板に固定されたマグネットと、を備えた保持具が開示されている。2つのキャップは、取付板との間で金属フレームの2箇所を挟み込むことにより金属フレームを取付板に取り付ける。取付板は、2つのヒンジ部の間に位置する中央部と、2つのヒンジ部の外側に位置する一対の端部と、を有し、ヒンジ部を基準として中央部と端部とが互いに異なる方向を向くように変形可能である。マグネットは、取付板における一対の端部にそれぞれ設けられている。
【0004】
このように取付板がヒンジ部を基準として変形可能であるため、被取付面が平坦でない場合であっても、被取付面の形状に応じて取付板が変形して各マグネットを被取付面に密着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-6955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の取付具では、被取付面に対して直交する直交視点において2つのキャップによって取付板の2箇所が覆われているものの、取付板のその他の領域が直交視点において露出している。
【0007】
そのため、取付板の一部が変形して被取付面に取り付けられている状況において、変形した取付板が使用者の目に付いて見栄えが悪い。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、被取付面が平坦でない場合であっても、安定して被取付面に対して磁気的に取り付けることが可能であるとともに、被取付面に取り付けた状態において美観に優れた保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第一の発明は、被取付面に磁気的に取り付けるための保持具であって、所定方向に延びるとともに前記所定方向における2箇所に変形基準位置が設定された取付板と、前記取付板の一方の面における前記変形基準位置の外側部分にそれぞれ固定された一対の磁力吸着部を有する磁力吸着手段と、物品を保持するための保持部と、前記取付板に対して前記保持部が固定され、かつ、前記取付板における前記変形基準位置の外側部分の、前記取付板に対して垂直な方向への変形を許容するように前記取付板における前記変形基準位置の間の領域に対して前記磁力吸着部と反対側から固定された固定部と、を備え、前記固定部は、前記取付板を前記磁力吸着部と反対側から見る正面視において前記取付板の全体を覆う形状を有する、保持具である。
【0010】
第一の発明に係る保持具によれば、取付板が変形基準位置において変形可能であるため、被取付面が平坦でない場合であっても、被取付面の形状に応じて取付板が変形して各磁力吸着部を被取付面に密着させることができる。また、取付板を磁力吸着部と反対側から見る正面視において固定部が取付板の全体を覆うため、上記のように変型した取付板を使用者の目に付きにくくすることができ、見栄えの悪化を抑えることができる。
【0011】
第二の発明は、第一の発明において、前記固定部は、正面視において前記取付板の全体を覆う形状を有する固定部本体と、正面視において前記固定部本体の周縁部から前記磁力吸着部に近づく方向に延びるとともに前記取付板の周囲を取り囲む周壁を有することが好ましい。
【0012】
第二の発明によれば、周壁によって取付板の周囲が取り囲まれるため、取付板を側方から見る視点においても、上記のように変型した取付板を使用者の目につきにくくすることができ、見栄えの悪化を抑えることができる。
【0013】
第三の発明は、第二の発明において、前記取付板および前記固定部は、前記取付板の板厚方向における前記取付板および前記固定部の相対変位が規制されるように互いに係合することにより前記変形基準位置を定義する係合手段を有することが好ましい。
【0014】
第三の発明によれば、取付板の変形基準位置の外側部分が被取付面の形状に応じて変形可能な状態に維持するとともに、被取付面に対して保持具を取り外しする際、および被取付面に保持具を取り付けた状態において、取付板から固定部が外れるのを抑制することができる。
【0015】
第四の発明は、第一~第三のいずれか一つの発明において、前記保持部は、前記取付板および前記固定部のうち、前記固定部の前記変形基準位置の外側部分以外の領域に固定されていることが好ましい。
【0016】
第四の発明によれば、保持部が取付板および固定部のうち、取付板の変形基準位置の外側部分以外の部分に固定されているため、保持部および保持部に保持された物品の荷重は、変形基準位置の内側に位置する領域において取付板および固定部の少なくとも一方で負担され、一対の磁力吸着部のそれぞれに分散される。そのため、磁力吸着部の一方に荷重が偏ることなく、保持具を安定して被取付面に取り付けた状態に維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被取付面が平坦でない場合であっても、安定して被取付面に対して磁気的に取り付けることが可能であるとともに、被取付面に取り付けた状態において美観に優れた保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1の実施形態に係る保持具を壁面に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2図2は、保持具の正面図である。
図3図3は、保持具の底面図である。
図4図4は、保持具の背面図である。
図5図5は、保持具の分解斜視図である。
図6図6は、取付板の背面図である。
図7図7は、図4のVII-VII線での断面図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII線での断面図である。
図9図9は、平坦な壁面に磁気的に取り付けられた状態の保持具の図2のIX-IX線での断面図断面図である。
図10図10は、平坦でない壁面に取り付けられた状態の保持具の図2のIX-IX線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る保持具について図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る保持具を壁面に取り付けた状態を示す斜視図である。図2は、保持具の正面図である。図3は、保持具の底面図である。図4は、保持具の背面図である。図5は、保持具の分解斜視図である。
【0021】
本実施形態では、図1において、壁面Wの正面視における水平方向を第1の方向xとし、第1の方向xのうち、右方向を+x方向、左方向を-x方向とする。また、壁面Wに直交する方向を第2の方向yとし、第2の方向yのうち、壁面Wの奥側に向かう方向を+y方向、壁面Wから手前に向かう方向を-y方向とする。鉛直方向を第3の方向zとし、鉛直上向き方向を+z方向、鉛直下向き方向を-z方向とする。
【0022】
本実施形態に係る保持具1は、壁面W(被取付面)に磁気的に取り付けるためのものであり、図1に示すように、保持部30が第1の方向xに延びるように壁面Wに取り付けられ、保持部30によりタオルT等の物品を保持することができる。
【0023】
図1は、保持部30が固定部40の-x方向側の端部から+x方向に延びるように、保持具1が壁面Wに取り付けられた状態を示す。以下では、保持具1についてこの向きを基準として説明する。
【0024】
保持具1は、図1~5に示すように、第1の方向x(所定方向)に延びる取付板10と、取付板10の+y方向を向く面に固定された一対のマグネット20(磁力吸着部)を有する磁力吸着手段と、物品を保持するための保持部30と、取付板10に対して保持部30が固定されるように取付板10に対してマグネット20と反対側(-y方向側)から固定された固定部40と、取付板10と固定部40とを固定するためのビス2と、取付板10にマグネット20を貼り付けるための一対の両面粘着シート3と、を備える。
【0025】
図6は、取付板10の背面図である。取付板10は、第1の方向xに延びる取付板本体11と、取付板本体11から第3の方向zにおいて外向きに突出するように設けられた3対の係合部13a、13b、13c(以下、「係合部13」と総称する。)と、を有する。係合部13は、後述する固定部40に設けられた被係合部43と係合する。
【0026】
取付板本体11には、第1の方向xにおける2箇所に、第3の方向zに延びる変形基準位置11a、11bが設定されている。変形基準位置11aは、変形基準位置11bの+x方向側に設定されている。
【0027】
取付板本体11の変形基準位置11a、11bには、第3の方向zに延びるともに+y方向に開く溝14が形成されている。具体的に、溝14の最も深い部分が変形基準位置11a、11bに重なるように、溝14は形成されている。溝14により、取付板本体11は、変形基準位置11a、11bにおいて折れ曲がるように変型することができる。具体的に、取付板本体11における変形基準位置11a、11bの外側部分15は、それぞれ取付板本体11における変形基準位置11a、11bの内側部分12に対して、第2の方向yに折れ曲がるように変型することができる。本実施形態では、溝14の横断面(第3の方向zに直交する断面)の形状は、円弧状であるが、V字状、矩形状等、円弧状以外であってもよい。
【0028】
2つの係合部13aは、変形基準位置11aに形成された溝14の-x方向の縁と第1の方向xにおいて同じ位置に配置された+x方向に向く側端面を有する。2つの係合部13cは、変形基準位置11bに形成された溝14の+x方向の縁と第1の方向xにおいて同じ位置に配置された-x方向に向く側端面を有する。2つの係合部13bは、第1の方向xにおいて同じ位置に設けられ、内側部分12において係合部13aと係合部13cとの中間に設けられている。
【0029】
取付板本体11における変形基準位置11a、11bの内側部分12には、ビス2を挿通させるための貫通孔12aが設けられている。
【0030】
磁力吸着手段は、一対のマグネット20(磁力吸着部)を有する。これらの2つのマグネット20は、取付板本体11の+y方向を向く面における変形基準位置11a、11bの外側部分15にそれぞれ固定されている。マグネット20は、それぞれ変形基準位置11a、11bのいずれかの外側部分15に貼り付けられている部分を有していれば、本実施形態のように変形基準位置11a、11bのいずれかを跨いで内側部分12に延びる部分を有してもよい。また、1つのマグネット(磁力吸着手段)が、2つの磁力吸着部を有していてもよい。具体的に、1つのマグネットが、内側部分12に貼り付けられる部分と、変形基準位置11a、11bの両方を跨いで両方の外側部分15に貼り付けられる部分(磁力吸着部)と、を有してもよい。
【0031】
マグネット20は、例えばフェライト磁石の粒子を樹脂に練り込んだ可撓性を有するシート状のものを使用することができる。この場合、マグネット20が変形基準位置11a、11bを跨いで内側部分12に延びる部分を有しても、取付板10の変型に伴ってマグネット20も変型することができる。マグネット20が変形基準位置11a、11bのどちらも跨がず外側部分15にのみ固定される場合には、可撓性の低いフェライト磁石や金属製の磁石を使用することもできる。本実施形態では、マグネット20は両面粘着シート3によって取付板10に貼り付けられているが、接着剤によって貼り付けてもよい。
【0032】
保持部30は、図5等に示すように、棒状の部材からなる上側部材30aと、上側部材30aの-z方向に配置された棒状の部材からなる下側部材30bと、上側部材30aと下側部材30bとを第3の方向zに接続する第1の接続部材30cおよび第2の接続部材30dと、を有する。また、これらの部材30a~30dによって構成された保持部30は、固定部40を介して取付板10に固定される被固定部31と、タオルT等の物品を保持するための保持部本体32と、被固定部31と保持部本体32とを接続する接続部34と、を有する。
【0033】
被固定部31は、上側部材30aおよび下側部材30bの取付板10の長手方向(第1の方向x)に沿って延びる部分と、上側部材30aおよび下側部材30bの-x方向の端部同士を接続する第2の接続部材30dと、によって構成されている。保持部本体32は、上側部材30aおよび下側部材30b固定部40と対向するとともに、取付板10の長手方向に沿って延びる部分と、上側部材30aおよび下側部材30bの+x方向の端部同士を接続する第1の接続部材30cと、によって構成されている。接続部34は、上側部材30aおよび下側部材30bにおいて、被固定部31および保持部本体32の-x方向の端部同士を接続する部分によって構成されている。なお、本実施形態では、保持部30は、タオルT等の物品を掛けて保持する片持ち梁状のものとしたが、例えば、ラップ等の物品を収容可能な有底無蓋の箱状のものとしてもよい。
【0034】
固定部40は、取付板10における変形基準位置11a、11bの内側部分12に対してマグネット20と反対側(+y方向側)から、取付板10の係合部13およびビス2により固定されている。具体的に、固定部40は、取付板10に対して保持部30が固定され、かつ、取付板10における変形基準位置11a、11bの外側部分15が取付板10における変形基準位置11a、11bの内側部分12に対して板厚方向(第2の方向y)に変型するのを許容するように取付板10の内側部分12に固定されている。
【0035】
また、固定部40は、取付板10をマグネット20と反対側(-y方向側)から見る正面視において取付板10の全体を覆う形状を有する固定部本体41と、正面視において固定部本体41の周縁部からマグネット20に近づく方向(+y方向)に延びるとともに取付板10の周囲を取り囲む周壁42を有する。
【0036】
周壁42は、取付板10をマグネット20側(+y方向側)から見る背面視において取付板本体11を収容可能な開口を有する。また、周壁42の+y方向を向く端面は、取付板10の+y方向側の端部よりも+y方向側に位置する。これにより、周壁42の外周面に直交する方向(第2の方向yに直交する方向)から見て、周壁42によって取付板10の全体を覆うことができる。
【0037】
図7は、図4のVII-VII線での断面図であり、図8は、図4のVIII-VIII線での断面図である。マグネット20は、第2の方向yにおいて、マグネット20の+y方向を向く面が周壁42の+y方向を向く端面と同じ高さに位置するか、図3、7、8に示すようにマグネット20の+y方向を向く面よりも+y方向に位置するように、取付板10に貼り付けられている。これにより、周壁42に干渉されずに壁面Wにマグネット20を磁力で取り付けることが可能となる。
【0038】
図5に示すように、周壁42の-x方向を向く部分には、保持部30の被固定部31が挿通された開口部42aが設けられている。固定部本体41の+y方向を向く面と周壁42の内周面とにより形成される角部には、図5、7に示すように、開口部42aを通じて固定部40内に挿入された保持部30の被固定部31(上側部材30aおよび下側部材30b)が+x方向に圧入された状態で当該被固定部31を支持する支持筒44が設けられている。
【0039】
周壁42の内周面には、図5、7、8に示すように、取付板10の係合部13と係合可能な被係合部43が設けられている。本実施形態では、被係合部43は、係合部13が収容可能となるように周壁42において内側に向けて開く凹部である。また、被係合部43は、図7、8に示すように、取付板10の板厚方向(+y方向)に係合部13が被係合部43から抜け出るのを規制する規制面43aを有している。
【0040】
本実施形態では、係合部13は、取付板10で最も+y方向に突出している部分であり、規制面43aにより係合部13の+y方向への移動が規制される。また、上述のように、周壁42は、取付板10をマグネット20側(+y方向側)から見る正面視において取付板本体11を収容可能な開口を有する。そのため、固定部40の内側に取付板10の全体が収容される。
【0041】
本実施形態に係る保持具1では、係合部13a、13cと被係合部43とで、変形基準位置11a、11bを定義する係合手段が構成される。取付板10の係合部13および固定部40の被係合部43が互いに係合することにより、取付板10の板厚方向(第2の方向y)における取付板10および固定部40の相対変位が規制されるとともに、取付板10の変形基準位置11a、11bが定義される。具体的に、係合部13の側端面が溝14の縁部とx方向において同じ位置に配置され、この係合部13が被係合部43との係合により第2の方向yに拘束されている。そのため、係合部13の側端面を支点として(溝14を支点として)取付板10を板厚方向に曲げることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る保持具1では、取付板10に溝14を形成しなくてもよい。この場合も、係合部13a、13cおよび被係合部43(係合手段)によって変形基準位置11a、11bが定義される。このとき、取付板10の弾性を利用して、係合部13の側端面を支点として取付板10を板厚方向に曲げることができる。
【0043】
固定部本体41には、係合部13および被係合部43が係合した状態において、取付板10の貫通孔12aと第2の方向yに対向する位置に雌ねじ41aが形成されている。ビス2を貫通孔12aを通じて雌ねじ41aに螺合させることにより、取付板10と固定部40とをより確実に固定することができる。
【0044】
以上のように、固定部40と保持部30とが固定され、固定部40と取付板10とが固定される結果、固定部40を介して取付板10に対して保持部30が固定される。
【0045】
なお、保持部30の被固定部31は、取付板10に直接固定してもよい。保持部30の被固定部31を取付板10に固定する場合、取付板10の変形基準位置11a、11bの両外側部分15以外の部分に固定することが好ましい。
【0046】
図9は、平坦な壁面Wに磁気的に取り付けられた状態の保持具1の断面図である。図10は、平坦でない壁面Wに取り付けられた状態の保持具1の断面図である。
【0047】
図9に示すように、保持具1を平坦な壁面Wに取り付ける場合、取付板10は変型せず平坦な状態のまま、一対のマグネット20の全体が壁面Wに磁気的に吸着する。また、図10に示すように、保持具1を平坦ではない壁面W、例えば-y方向に突出した形状の壁面Wに取り付ける場合、保持具1を壁面Wに接触させると、マグネット20の磁力により、取付板10の変形基準位置11a、11bの外側部分15が、変形基準位置11a、11bの内側部分12に対して溝14で+y方向に折れ曲がる。これにより、取付板10が壁面Wに沿うように変型し、一対のマグネット20のいずれも壁面Wに磁気的に吸着する。本実施形態では、取付板10とともにマグネット20も変型し、マグネット20の取付板10の外側部分15に取り付けられた部分に加えて、内側部分12に延びる部分も壁面Wに吸着する。
【0048】
(作用、効果)
上記実施形態に係る保持具1によれば、取付板10が変形基準位置11a、11bにおいて変形可能であるため、壁面Wが平坦でない場合であっても、壁面Wの形状に応じて取付板10が変形して各マグネット20を壁面Wに密着させることができる。また、取付板10をマグネット20と反対側から見る正面視において固定部40が取付板10の全体を覆うため、取付板10を使用者の目に付きにくくすることができる。
【0049】
また、保持具1によれば、固定部40の周壁42によって取付板10の周囲が取り囲まれるため、取付板10を側方から見る視点においても、取付板10を使用者の目につきにくくすることができる。
【0050】
保持具1によれば、取付板10の変形基準位置11a、11bの外側部分15が壁面Wの形状に応じて変形可能な状態に維持するとともに、壁面Wに対して保持具1を取り外しする際、および壁面Wに保持具1を取り付けた状態において、取付板10から固定部40が外れるのを抑制することができる。
【0051】
保持具1によれば、保持部30が固定部40に固定されているため、保持部30および保持部30に保持されたタオルT等の荷重は、一対のマグネット20のそれぞれに分散される。そのため、マグネット20の一方に荷重が偏ることなく、保持具1を安定して壁面Wに取り付けた状態に維持することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 保持具
10 取付板
11a、11b 変形基準位置
12 変形基準位置の間の領域
13、13a~13c 係合部(係合手段)
14 溝
15 変型基準位置の外側部分
20 マグネット(磁力吸着部、磁力吸着手段)
30 保持部
40 固定部
41 固定部本体
42 周壁
43 被係合部(係合手段)
y 第2の方向(取付板に対して垂直な方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10