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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037094
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】伸縮性積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61F13/15 311Z
A61F13/15 352
A61F13/15 351A
A61F13/15 355A
A61F13/15 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141746
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 孝太
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200CA03
3B200DA21
3B200EA12
3B200EA21
3B200EA23
3B200EA28
(57)【要約】
【課題】適正な伸縮性積層体を製造できる、伸縮性積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の伸縮性積層体の製造方法は、原反シート90にマーク18を付与するマーク付与工程と、該原反シート90を第1連続シート91と第2連続シート92とに分割する分割工程と、両シート91,92それぞれを搬送する搬送工程と、両シート91,92それぞれの凹状部分91c,92cの位置及びマーク18の位置を測定する測定工程と、測定工程において得られた測定結果に基づいて、搬送工程における両シート91,92の位置制御の要否、及びマーク18の位置制御の要否を判定する判定工程と、判定工程の判定結果に基づき、搬送工程における両シート91,92の搬送方向の位置、及びマーク付与工程においてマーク18を付与する位置のうち、制御が必要と判定されたものの制御を行う制御工程とを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に伸縮性を有する第1伸縮性シートと、該第1伸縮性シートの一方の面に重ねられ、該一方向に伸縮性を有する第2伸縮性シートとを備え、両伸縮性シートは、それらの該一方向の両端部に形成された一対の接合部にて互いに接合され、該一対の接合部に挟まれた部分では互いに接合されておらず、該一対の接合部に挟まれた部分が、周方向に伸縮性を有する環状構造を形成し得る、伸縮性積層体の製造方法であって、
一方向に連続し且つ該一方向に延伸された連続帯状の伸縮性を有する原反シートに対して、該一方向を搬送方向として搬送しつつ、マーク付与装置によってマークを付与するマーク付与工程と、
前記マークが付与された前記原反シートを、前記搬送方向と直交する搬送直交方向に二等分して該搬送方向に平行に延びる中心直線に対して対称に蛇行する、切断予定線にて切断し、第1伸縮性シートが該搬送方向に複数連なった第1連続シートと、第2伸縮性シートが該搬送方向に複数連なった第2連続シートとに分割する分割工程と、
第1連続シート及び第2連続シートを前記搬送方向に搬送しつつ、両連続シートの前記切断予定線での切断縁部が同じ方向を向くように、両連続シートの一方又は両方を該搬送方向周りに回転させる回転工程と、
第1連続シートを第1位置制御搬送ロールで搬送するとともに、第2連続シートを第2位置制御搬送ロールで搬送する搬送工程と、
第1撮像装置により第1連続シートを撮像し、第2撮像装置により第2連続シートを撮像して、撮像により得られた画像から、搬送方向における、第1連続シート及び第2連続シートそれぞれの切断縁部の凹状部分又は凸状部分の位置、並びに第1連続シート又は第2連続シートに付与された前記マークの位置を測定する測定工程と、
第1連続シートと第2連続シートとを、両連続シートの前記切断縁部の前記搬送方向の位相を合わせて重ね合わせて連続積層体を得る積層工程と、
前記連続積層体に前記接合部を前記搬送方向に間欠的に形成する接合工程と、
前記連続積層体を前記搬送直交方向に切断して、枚葉の前記伸縮性積層体を形成する切断工程と、
前記測定工程において得られた測定結果に基づいて、第1連続シートの前記搬送方向の位置制御の要否及び第2連続シートの該搬送方向の位置制御の要否、並びに、前記マーク付与工程における、第1連続シートにおける前記マークの位置制御の要否及び第2連続シートにおける前記マークの位置制御の要否を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づき、前記搬送工程における、第1連続シートの前記搬送方向の位置、第2連続シートの前記搬送方向の位置、及び前記マーク付与工程において前記マークを付与する位置のうち、制御が必要と判定されたものの制御を行う制御工程とを含む、伸縮性積層体の製造方法。
【請求項2】
前記判定工程の判定結果を、複数のパターンに場合分けし、
前記制御工程においては、前記パターンに応じて、第1連続シートの位置、第2連続シートの位置、及び前記マークを付与する位置を制御する制御方法を実施する、請求項1に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【請求項3】
前記測定工程における第1連続シート及び第2連続シートを撮像するタイミングは、前記切断工程において前記連続積層体を切断するタイミングを基準に決定される、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【請求項4】
前記測定工程における第1連続シート及び第2連続シートの前記切断予定線での切断縁部の搬送方向の位置、並びに第1連続シート及び第2連続シートに付与された前記マークの位置の測定は、前記撮像により得られた画像から、予め登録された、前記分割工程で切断された第1連続シート及び第2連続シートの部分画像をパターンマッチング法により探索することによって行う、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【請求項5】
前記マーク付与装置は、エンボス装置であり、
前記マーク付与工程は、前記原反シートにエンボス加工を施すことにより、該原反シートに前記マークを付与する、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【請求項6】
前記制御工程における前記マークを付与する位置の制御は、前記エンボス装置がエンボス加工を行っていないときに行う、請求項5に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【請求項7】
前記マーク付与装置は、印刷装置であり、
前記マーク付与工程は、前記原反シートに印刷を施すことにより、該原反シートに前記マークを付与する、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向に伸縮性を有する環状構造を形成し、伸縮性が要求される各種物品の構成部材として使用可能な伸縮性積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型吸収性物品の一種として、体液を吸収保持する吸収性コアを含む吸収パッド部と、着用者の胴周りに配され、該吸収パッド部を着用者の股間部に当てて保持する環状のホルダー部(ウエストバンド)とを備え、該吸収パッド部が該ホルダー部に対して着脱自在に構成されている、セパレートタイプのものが知られている。前記ホルダー部は、典型的には、周方向に伸縮性を有する伸縮性シート、前記ホルダー部の止着用シート(例えば機械的面ファスナーのメス部材)等の複数のシートが積層された伸縮性積層体を主体とする。
【0003】
ところで、特許文献1には、連続シートに基づいて非セパレートタイプの吸収性物品に係るシート状部材を製造する方法が記載されている。特許文献1の製造方法は、連続シートの連続方向を搬送方向として該連続シートを搬送することにより、加工処理部に連続シートを送り込んで供給する供給工程と、前記搬送方向の所定位置で加工処理部が連続シートにおける吸収性物品となる各部分に対して前記搬送方向に間欠的に加工を行う加工工程と、連続シート上に残存する前記加工の痕跡を検出して検出結果を出力する検出工程とを有している。また特許文献1の製造方法では、前記供給工程において、前記検出結果に基づいて加工処理部へ送り込む際の連続シートの前記搬送方向の張力値を調整している。
【0004】
また、特許文献2には、包装シートにより非セパレートタイプの吸収性物品が包装された包装体の製造方法が記載されている。特許文献2の製造方法は、表示要素が繰り返し形成されている連続シートを第一搬送部及び第二搬送部により搬送する搬送工程と、第一搬送部及び第二搬送部の間に位置する合流位置にて吸収性物品を順次合流させる合流工程と、連続シートを折り畳む折り畳み工程と、連続シートを切断して包装体を生成する切断工程とを有している。特許文献2では、搬送工程においては、表示要素のずれ情報から第一搬送部の第一搬送速度及び第二搬送部の第二搬送速度をそれぞれ増減させて、吸収性物品が連続シートの正規位置に合流するように連続シートの搬送制御を行い、該搬送制御においては、第一搬送速度を増加させた場合は第二搬送速度を増加させ、第一搬送速度を減少させた場合は第二搬送速度を減少させるように制御している。
【0005】
また、特許文献3には、連続する第1シートと連続する第2シートとを合流位置で重ね合わせて、連続して非セパレートタイプの吸収性物品の並ぶシート状部材を製造する方法が記載されている。特許文献3の製造方法では、伸長性を有し周期的に画像の形成された第1シートをロール体から供給する。次に、吸収性物品の1単位分のシート状部材が搬送されるごとに該吸収性物品の1単位分の第1シートが送り出されるように第1シートの送出速度を制御して、第1シートを前記合流位置に向けて送り出す。そして、第1シートの前記画像を検出し、前記画像の検出結果に基づいて、第1シートの送出速度を制御する送出位置から前記合流位置までの経路長を変更し、吸収性物品に対する前記画像の位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/175389号
【特許文献2】特開2019-41844号公報
【特許文献3】国際公開第2017/221385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3では、非セパレートタイプの吸収性物品について、その構成部材等の製造ラインにおいて、適切な位置に所定の加工を施すことができるようにするための技術が提案されている。しかしながら、特許文献1~3は、セパレートタイプの吸収性物品の前記ホルダーの主体となる伸縮性積層体の製造ラインにおいて、適切な位置に所定の加工を施すことができるようにすることについて、何ら検討していない。前記ホルダーの主体となる伸縮性積層体の製造ラインにおいても、適切な位置に所定の加工を施すことができるようにし、適正な伸縮性積層体を製造できるようにすることが望まれている。
【0008】
本発明の課題は、適正な伸縮性積層体を製造し得る技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一方向に伸縮性を有する第1伸縮性シートと、該第1伸縮性シートの一方の面に重ねられ、該一方向に伸縮性を有する第2伸縮性シートとを備え、両伸縮性シートは、それらの該一方向の両端部に形成された一対の接合部にて互いに接合され、該一対の接合部に挟まれた部分では互いに接合されておらず、該一対の接合部に挟まれた部分が、周方向に伸縮性を有する環状構造を形成し得る、伸縮性積層体の製造方法であって、
一方向に連続し且つ該一方向に延伸された連続帯状の伸縮性を有する原反シートに対して、該一方向を搬送方向として搬送しつつ、マーク付与装置によってマークを付与するマーク付与工程と、
前記マークが付与された前記原反シートを、前記搬送方向と直交する搬送直交方向に二等分して該搬送方向に平行に延びる中心直線に対して対称に蛇行する、切断予定線にて切断し、第1伸縮性シートが該搬送方向に複数連なった第1連続シートと、第2伸縮性シートが該搬送方向に複数連なった第2連続シートとに分割する分割工程と、
第1連続シート及び第2連続シートを前記搬送方向に搬送しつつ、両連続シートの前記切断予定線での切断縁部が同じ方向を向くように、両連続シートの一方又は両方を該搬送方向周りに回転させる回転工程と、
第1連続シートを第1位置制御搬送ロールで搬送するとともに、第2連続シートを第2位置制御搬送ロールで搬送する搬送工程と、
第1撮像装置により第1連続シートを撮像し、第2撮像装置により第2連続シートを撮像して、撮像により得られた画像から、搬送方向における、第1連続シート及び第2連続シートそれぞれの切断縁部の凹状部分の位置、並びに第1連続シート又は第2連続シートに付与された前記マークの位置を測定する測定工程と、
第1連続シートと第2連続シートとを、両連続シートの前記切断縁部の前記搬送方向の位相を合わせて重ね合わせて連続積層体を得る積層工程と、
前記連続積層体に前記接合部を前記搬送方向に間欠的に形成する接合工程と、
前記連続積層体を前記搬送直交方向に切断して、枚葉の前記伸縮性積層体を形成する切断工程と、
前記測定工程において得られた測定結果に基づいて、第1連続シートの前記搬送方向の位置制御の要否及び第2連続シートの該搬送方向の位置制御の要否、並びに、前記マーク付与工程における、第1連続シートにおける前記マークの位置制御の要否及び第2連続シートにおける前記マークの位置制御の要否を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づき、前記搬送工程における、第1連続シートの前記搬送方向の位置、第2連続シートの前記搬送方向の位置、及び前記マーク付与工程において前記マークを付与する位置のうち、制御が必要と判定されたものの制御を行う制御工程とを含む、伸縮性積層体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮性積層体の製造方法によれば、適正な伸縮性積層体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の製造方法によって製造された伸縮性積層体の一実施形態(パンツ型使い捨ておむつのホルダー部)の模式的な平面図である。
図2図2は、図1のI-I線断面(図1に示す伸縮性積層体の幅方向且つ厚み方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。
図3図3は、図1に示す伸縮性積層体を用いたパンツ型使い捨ておむつの一実施形態の模式的な斜視図である。
図4図4は、図3に示すおむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を一部破断して模式的に示す展開平面図である。
図5図5は、本発明に係る伸縮シート(外層シート)の一例を模式的に示す一部破断斜視図である。
図6図6は、図1に示す伸縮性積層体の製造に使用される製造装置の模式的な斜視図である。
図7図7は、図6のII-II線断面(原反シート前駆体の搬送直交方向且つ厚み方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。
図8図8は、図6に示す製造装置で製造された原反シートの搬送直交方向且つ厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
図9図9は、図6に示す製造装置における伸縮性積層体の製造ライン(第2製造部)の概略構成図である。
図10図10は、本発明の製造方法における原反シートの分割から連続積層体を得るまでの一連の工程の一例の概要を示した図であり、図10(a)は、図6に示す製造装置における分割工程前の原反シートの模式的な平面図、図10(b)は、該分割工程によって得られた2枚の連続シートの模式的な平面図、図10(c)は、該2枚の連続シートの搬送方向の位相合わせの様子を示す模式的な平面図、図10(d)は、該2枚の連続シートを重ね合わせて得られた連続積層体の模式的な平面図である。
図11図11は、図6に示す製造装置における第1撮像装置により第1連続シートを撮像して得られた画像を模式的に示す平面図である。
図12図12(a)、(b)は、本製造方法において発生し得る位置ずれを例示した図であり、第1撮像装置により第1連続シートを撮像して得られた画像を模式的に示した平面図である。
図13図13(a)~(c)は、図6に示す製造装置における第1撮像装置により第1連続シートを撮像して得られた画像の別の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0013】
図1及び図2には、本発明の製造方法によって製造された伸縮性積層体の一実施形態である伸縮性積層体1が示されている。伸縮性積層体1は、一方向、具体的には図中符号Yで示す伸縮性積層体1の長手方向に伸縮性を有する第1伸縮性シート1Aと、該シート1Aの一方の面に重ねられ、方向Yに伸縮性を有する第2伸縮性シート1Bとを備えている。両シート1A,1Bは、それらの方向Yの両端部に形成された一対の接合部9,9にて互いに接合され、該一対の接合部9,9に挟まれた部分では互いに接合されておらず、該一対の接合部9,9に挟まれた部分が、周方向に伸縮性を有する環状構造を形成し得る。
【0014】
伸縮性積層体1は、図3及び図4に示すように、パンツ型吸収性物品の一種であるパンツ型使い捨ておむつ10の構成部材であるホルダー部17として使用される。おむつ10は、図4に示すように、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向(方向X)と、該縦方向に直交する横方向(方向Y)とを有し、体液を吸収保持する吸収性コア14を含む吸収パッド部11と、着用者の胴周りに配され、吸収パッド部11を着用者の股間部に当てて保持する環状のホルダー部17(伸縮性積層体1)とを備えている。
方向Xは、伸縮性積層体1(シート1A,1B)の幅方向(短手方向)であるとともに、おむつ10の縦方向でもあり、方向Yは、伸縮性積層体1(シート1A,1B)の長手方向であるとともに、おむつ10の横方向でもある。
【0015】
吸収パッド部11はホルダー部17に対して着脱自在に構成されている。すなわち、吸収パッド部11とホルダー部17とは、おむつ1の使用前の状態においては別個の部材となっており、使用に際しては、吸収パッド部11の後述する止着テープ16をホルダー部17のターゲットテープ7に止着させることで両者を結合させて、図3に示すように、一対の接合部9,9、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHを有するパンツ型のおむつの形態となす。ホルダー部17の接合部9は、一般的な非セパレートタイプのパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に相当する。本実施形態では、接合部9は方向Xに沿って延びる直線状をなし、伸縮性積層体1の方向Xの全長にわたって延在している。
【0016】
吸収パッド部11は、図3及び図4に示すように、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート12、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性、液難透過性又は撥水性の裏面シート13、及び両シート12,13間に介在配置された吸収性コア14を含む。吸収パッド部11を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。吸収パッド部11は、平面視において長方形形状をなし、おむつ10の着用時には、図4に示すように、その長手方向を方向Xに一致させる。吸収パッド部11の方向Xに沿う両側部には、おむつ10の着用時に着用者の肌側に起立する一対の防漏カフ15,15が配置されている。各防漏カフ15は、該防漏カフ15の主体をなす防漏カフ形成用シート150と、方向Xに伸長状態で該シート150に固定された弾性部材151とを含む。吸収パッド部11の方向Xの両端部それぞれの内面(肌対向面)には、吸収パッド部11をホルダー部17に結合させるための止着テープ16が配されている。
【0017】
ホルダー部17を構成する伸縮性積層体1は、第1伸縮性シート1Aと第2伸縮性シート1Bとの積層体を主体とする。両シート1A,1Bは、図1に示す如き平面視において互いに同形状・同寸法であり、伸縮性積層体1では、両シート1A,1Bは、それぞれの輪郭を一致させて重ね合わされている。伸縮性積層体1は、該伸縮性積層体1を方向Yに二等分して方向Xに延びる横中心線(図示せず)に対して対称に形成されている。
【0018】
伸縮性積層体1(シート1A,1B)は、図1及び図4に示すように、方向Yに延びる一対の縦方向端X1,X2を有しているところ、ホルダー部17の着用時に上端となる縦方向端X1は、平面視において方向Yに平行な直線状であるのに対し、ホルダー部17の着用時に下端となる縦方向端X2は、平面視においてそのほぼ全体が縦方向端X1に向かって(方向Xの内方に向かって)凸の凸部をなしている。
【0019】
第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bは、それぞれ、伸縮性積層体1の外面(非肌対向面)側を形成する外装体2と、伸縮性積層体1の内面(肌対向面)側を形成する補強シート5とを含む。
なお、本明細書において、「肌対向面」とは、吸収性物品又はその構成部材(吸収パッド部、ホルダー部等)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面を指し、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面を指す。
本実施形態では、外装体2は、図2に示すように、伸縮性積層体1の外面を形成する外層シート3と、該シート3の内面に重ね合わされた内層シート4とを含み、両シート3,4の積層体を主体とする。両シート3,4どうしは、接着剤、融着等の接合手段により互いに接合され一体化されている。
外装体2(シート3,4)は、図2に示すように、伸縮性積層体1の縦方向端X1側において内面側に折り返されており、これにより両シート1A,1Bの内面(肌対向面)には、縦方向端X1から方向Xに沿って延びる折り返し部20が形成されている。折り返し部20とこれに対向する外装体2との間は、接着剤、融着等の接合手段により互いに接合されている。補強シート5は、図2に示すように、外装体2の折り返し部20から方向Xに所定距離離間した位置に配されている。補強シート5の方向Yの長さは、外装体2(シート3,4)と同じであるが、補強シート5の方向Xの長さは、外装体2(シート3,4)に比べて短い。補強シート5の折り返し部20側の縦方向端(ホルダー部17の着用時の上端)5aは、平面視において方向Yに平行な直線状、補強シート5の折り返し部20側とは反対側の縦方向端(ホルダー部17の着用時の下端)5bは、外装体2とともに伸縮性積層体1の縦方向端X2を構成しており、平面視において縦方向端X1に向かって凸の凸部を有している。
外装体2を構成する外層シート3及び内層シート4並びに補強シート5としては、それぞれ、各種製法による不織布、樹脂製フィルムなどを用いることができる。各シート3,4,5として使用可能な不織布の具体例として、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布が挙げられ、単層構造でもよく、1種又は2種以上の不織布を積層した積層構造でもよい。
【0020】
外層シート3は、一方向、具体的には伸縮性積層体1の長手方向又はおむつ10の横方向である方向Yに延伸された伸縮シートであり、方向Yに伸縮性を有している。前記伸縮シートは、不織布などの未延伸シートに延伸加工を施して得られる。前記延伸加工は、典型的には、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対の歯溝ロールを備えた加工手段を使用し、該ロールを回転させてそれらの噛み合い部分に未延伸シートを供給することで実施される。斯かる延伸加工により未延伸シートには、相対的に坪量の高い高坪量部と相対的に坪量の低い低坪量部とが供給方向(MD)に交互に形成され、これにより未延伸シートは、MDに伸縮性を有する延伸シートとなる。前記伸縮シートは、例えば、特開2009-61743号公報に記載の方法に従って製造することができる。
【0021】
図5には、外層シート3の好ましい一例である伸縮シート3Aが示されている。伸縮シート3Aは、相対向する2枚の繊維シート31,32と、両繊維シート31,32の間に配され、互いに交差せずに一方向(方向Y)に延びる複数の弾性フィラメント33とを有している。複数の弾性フィラメント33は、実質的に非伸長状態で、それらの長手方向の全長にわたり、伸長可能な繊維シート31,32に接合されている。
【0022】
繊維シート31,32は、何れも弾性フィラメント33の延びる方向(方向Y)に伸長可能である。ここでいう「伸長可能」には、(1)繊維シート31,32の構成繊維自体が伸長する場合と、(2)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維シート31,32全体として伸長する場合とが包含される。
【0023】
繊維シート31,32は、それぞれ、短繊維の不織布であり得る。不織布としては、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。両シート31,32は、互いに同種でもよく、異種でもよい。ここでいう「同種」とは、対比する繊維シートどうしで、繊維シートの製造プロセス、構成繊維の種類、構成繊維の繊維径及び長さ、繊維シートの厚み及び坪量がすべて同じである場合を意味する。これらのうちの1つでも異なる場合、その対比する繊維シートどうしは互いに「異種」である。
【0024】
弾性フィラメント33は、例えば熱可塑性エラストマーやゴム等を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、また、そのようにして得られた弾性フィラメントは熱融着させやすいので、伸縮シート3Aに好適である。すなわち、好ましい弾性フィラメント33の一例として、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成された弾性フィラメントが挙げられる。斯かる好ましい弾性フィラメント33と繊維シート31,32との接合は、両シート31,32の構成繊維(非弾性繊維)が弾性フィラメント33中に埋没した状態で該弾性フィラメント33に融着することによりなされたものであり、ホットメルト型接着剤等の接着剤を用いてなされたものではない。したがって、繊維シート31,32とこれに接合されている弾性フィラメント33との間には接着剤が存在しない。
【0025】
内層シート4及び補強シート5は、それぞれ、方向Yに伸縮性を有する伸縮性シートでもよく、伸縮性を有さない非伸縮シートでもよい。典型的には、両シート4,5ともに非伸縮シートである。
【0026】
本実施形態では、第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bは、それぞれ、伸縮性積層体1の内面(肌対向面)側を形成するシートとして、補強シート5に加えて更に機能性シート6を含む。本発明において機能性シート6は、ホルダー部17に各種機能を付与するためのもので、本実施形態では着用者の汗の吸収保持を目的とし、着用者の肌に当接するように配される。
本実施形態では、機能性シート6は、図2に示すように、外装体2の折り返し部20と補強シート5とを方向Xに跨ぐように配されており、また図4に示すように、平面視において一方向に長い形状(具体的には長方形形状)をなし、その長手方向を方向Yに一致させて、両シート1A,1Bそれぞれの方向Yの全長にわたって連続的に延びている。機能性シート6は、両シート1A,1Bに比べて方向Xの長さが短い。
吸汗機能を有する機能性シート6としては、汗を吸収し得るシートであればよく、特に制限されないが、典型的には、各種製法による不織布が用いられる。吸汗機能を有する機能性シート6として使用可能な不織布の具体例として、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布が挙げられ、2種以上の不織布を積層した複合不織布でもよい。
【0027】
本実施形態では、第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bは、それぞれ、外層シート3の外面(非肌対向面)に配されたターゲットテープ7を含む。ターゲットテープ7は、吸収パッド部11が備える止着テープ16(図4参照)の止着先であり、吸収パッド部11がホルダー部17に対して着脱自在に構成されているのは、吸収パッド部11が備える止着テープ16と、ホルダー部17としての伸縮性積層体1が備えるターゲットテープ7とによるものである。
ターゲットテープ7は、図1に示すように、平面視において一方向に長い形状(具体的には長方形形状)をなし、その長手方向を方向Yに一致させて、両シート1A,1Bそれぞれの方向Yの全長にわたって連続的に延びている。また、ターゲットテープ7は、両シート1A,1Bに比べて方向Xの長さが短く、該ターゲットテープ7の方向Xの中央が、両シート1A,1Bの方向Xの中央よりも縦方向端X2寄りに位置するように配されている。
【0028】
本発明では、吸収パッド部11がホルダー部17に対して着脱自在となることを条件として、止着テープ16及びターゲットテープ7の構成は特に制限されない。例えば、止着テープ16が、テープ基材に粘着剤等を塗布して形成した粘着部を備え、該粘着部を介して止着テープ16がターゲットテープ7に接着するように構成されていてもよい。
本実施形態では、止着テープ16及びターゲットテープ7として、機械的面ファスナーを採用している。ここでいう「機械的面ファスナー」とは、鉤状の突起が一面に配された面部材とパイル状の突起が一面に配された面部材とが一組みとなった留め具を指す。機械的面ファスナーの具体例として、マジックテープ(登録商標)が挙げられる。止着テープ16は、機械的面ファスナーのオス部材を備え、典型的には、樹脂製フィルム、織布、不織布などからなるテープ基材の表面に、多数の突起状の係合部材が配されている。ターゲットテープ7は、機械的面ファスナーのメス部材を備え、典型的には、前記基材シートの表面に、多数のループ部材が配されている。
【0029】
本実施形態では、伸縮性積層体1にはマーク18が付与されている。マーク18は、典型的には、止着テープ16をターゲットテープ7にする際の目印となるものである。本実施形態では、マーク18は、第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bそれぞれのターゲットテープ7に配されている。マーク18は、第1伸縮性シート1Aのターゲットテープ7及び第2伸縮性シート1Bのターゲットテープ7のいずれか一方のみに配されていてもよい。マーク18は、例えば、ターゲットテープ7にエンボス加工を施すことにより形成することができる。
【0030】
本実施形態では、図2に示すように、外装体2(内層シート4)と補強シート5との間、及び折り返し部20とこれに対向する外装体2との間に、複数の弾性部材8が方向Yに伸縮可能に配されている。複数の弾性部材8は、図4に示すように、両シート1A,1Bの方向Yの全長にわたって延在し、方向Xに間欠配置されている。各弾性部材8は、接着剤によって該弾性部材8に接触するシート4,5に固定されている。ホルダー部17の着用状態では、弾性部材8の収縮により、両シート1A,1Bの表面に、弾性部材8と交差する方向(方向X)に延びる複数の襞(ギャザー)が形成される。弾性部材8の数、配置は特に制限されず、ホルダー部17の着用者の身体に対するフィット性などを考慮して適宜設定し得る。
【0031】
次に、本発明の伸縮性積層体の製造方法について、前述した伸縮性積層体1(ホルダー部17)の製造方法を例にとり、図面を参照しながら説明する。図6には、伸縮性積層体1の製造方法の実施に使用される製造装置70が示されている。製造装置70は、原反シート90の製造工程を実施する第1製造部71と、第1製造部71で製造された連続帯状の原反シート90を用いて伸縮性積層体1(ホルダー部17)を製造する第2製造部72とを備える。第1製造部71では、原反シート90にマークを付与する工程(マーク付与工程)が実施される。第2製造部72では、原反シート90をその搬送方向MDに延びる切断予定線CL(図10(a)参照)で切断して第1連続シート91と第2連続シート92とに分割する工程(分割工程)と、両シート91,92の一方又は両方を搬送方向MD周りに回転させる工程(回転工程)と、両シート91,92それぞれを搬送する工程(搬送工程)と、両シート91,92それぞれの切断縁部91a,92aの凹状部分91c,92cの位置及びマーク18の位置を測定する工程(測定工程)と、両シート91,92を重ね合わせて連続積層体93を得る工程(積層工程)と、連続積層体93に前記接合部9を形成する工程(接合工程)と、連続積層体93を切断して枚葉の伸縮性積層体1を得る工程(枚葉化工程)と、両シート91,92及びマークの位置制御の要否を判定する工程(判定工程)と、搬送工程における両シート91,92の位置及びマーク付与工程においてマーク18を付与する位置の制御を行う工程(制御工程)とが実施される。
なお、製造装置70は不図示の制御装置が設置されている。制御装置には、製造装置70の各工程で用いられる装置(原反シートの搬送を行う各ロール、接合手段、分割手段、切断手段等)を駆動する駆動装置(サーボモータ)、測定工程で用いられる撮像装置96,97、接合装置73、マーク付与装置76、枚葉化装置99が接続されており、伸縮性積層体を製造するのに必要な各種制御が実施される。
【0032】
本実施形態の伸縮性積層体1の製造方法は、前記分割工程の前に、前記分割工程で搬送直交方向CDに二分割される原反シート90の製造工程を有している。以下、原反シート90の製造工程について説明する。
原反シート90は、一方向に延伸された連続帯状の伸縮シートを含む連続帯状のシートであり、本実施形態では該伸縮シートとして、連続帯状の外層シート3、より具体的には連続帯状の伸縮シート3A(図5参照)を使用する。
なお、搬送方向MDは原反シート90(伸縮シート3A)の長手方向(連続方向)に一致し、搬送方向MDと直交する搬送直交方向CDは、原反シート90(伸縮シート3A)の幅方向(短手方向)に一致する。
【0033】
第1製造部71では、図6に示すように、搬送方向MDに搬送中の伸縮シート3Aの一方の面(図示の形態では上面)に、連続帯状の内層シート4(第1原料シート)を後述する切断予定線CL(図10(a)参照)と重なるように配置するとともに、伸縮シート3Aの他方の面(図示の形態では下面)における切断予定線CLを挟んで搬送直交方向CDの両側に、一対の連続帯状のターゲットテープ7,7(第2原料シート)を配置して連続帯状の原反シート前駆体80を得、更に、原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7どうしを接合する。
本実施形態では、内層シート4の搬送直交方向CDの長さ(幅)は、伸縮シート3Aのそれと同じか、伸縮シート3Aよりも長い。一方、ターゲットテープ7の搬送直交方向CDの長さ(幅)は、伸縮シート3Aよりも短い。
原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7どうしの接合は、第1製造部71が備える接合手段73で行われる。接合手段73としては、この種のシートどうしの接合に従来使用されている装置を用いることができる。本実施形態では接合手段73は、被加工物(シート3A,4,7)を加熱溶融する超音波ホーン等の溶融手段730と、受けロール731とを備え、相対向する溶融手段730と受けロール731の周面との間に供給された被加工物を加圧しつつ溶融可能に構成されている。
【0034】
本発明では、原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7どうしの接合は、複数回に分けて行ってもよく、同時に行ってもよい。
シートどうしの接合を複数回に分けて行う場合、例えば、伸縮シート3Aと内層シート4(第1原料シート)との接合予定箇所を接合し、次に、伸縮シート3Aとターゲットテープ7(第2原料シート)との接合予定箇所を接合する方法、又はこれとは逆の順番で接合する方法を採用できる。どちらの方法であってもその実施には、複数回(例えば2回)の接合工程に対応して、搬送方向MDに沿って複数(例えば2台)の接合手段73を配置する必要がある。
これに対し、本実施形態では、原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7どうしの接合を同時に行う。すなわち、原反シート前駆体80を単体の接合手段73に導入して、その単体の接合手段73による一回の接合工程で全ての接合予定箇所を接合する。これにより、シートどうしの接合を複数回に分けて行う方法に比べて少ない工程数、簡素な加工設備での実施が可能となり、製造効率が一層向上し得る。
【0035】
本実施形態では、図6に示すように、接合手段73にて原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7どうしを接合した後、搬送方向MDに搬送中の原反シート前駆体80の弾性部材配置予定面(図示の形態では内層シート4側の面)に、複数の弾性部材8を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で配置し固定する。前記弾性部材配置予定面及び/又は弾性部材8には、弾性部材8の配置前に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤等の接着剤が塗工されており、該弾性部材配置予定面に弾性部材8を配置することで、弾性部材8が原反シート前駆体80に接合固定される。
【0036】
本実施形態では、図6に示すように、原反シート90の製造工程において、原反シート前駆体80の搬送方向MDに沿う両側縁部80S,80Sを該原反シート前駆体80の一方の面側(図示の形態では内層シート4側)に折り返して、一対の折り返し部20,20と、該一対の折り返し部20,20の間に位置する折り返し部非存在部21とを形成する(折り返し工程)。折り返し部20は、前述したように、伸縮性積層体1の長手方向Y(ホルダー部17の横方向Y)の一側縁部をなすものであるところ、該一側縁部がこのようなシートの折り返しによって形成されることで、伸縮性積層体1の見栄えが良くなり、ホルダー部17(おむつ10)の外観が一層向上し得る。
【0037】
前記折り返し工程では、原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7の何れを折り返してもよいが、図7に示すように、伸縮シート3A及び内層シート4(第1原料シート)を折り返す(ターゲットテープ7は折り返さない)ことが好ましい。伸縮シート3Aは、原反シート前駆体80を構成する他のシートに比べて搬送中に蛇行しやすく、伸縮性積層体1の製造工程で伸縮シート3Aが蛇行すると、製造結果物である伸縮性積層体1の外観や機能性の低下を招くおそれがあるところ、前記折り返し工程で伸縮シート3A及び内層シート4を折り返すことで、斯かる不都合が効果的に防止され得る。
【0038】
前記折り返し工程では、折り返し部20の内側に配置した弾性部材8を基準として、原反シート前駆体80の両側縁部80S,80Sを該原反シート前駆体80の一方の面側(図示の形態では内層シート4側)に折り返すことが好ましい。原反シート90の製造工程では前述したように、原反シート前駆体80を構成するシート3A,4,7を接合した後、原反シート前駆体80の内層シート4(第1原料シート)側の面における折り返し部20の形成予定部(原反シート前駆体80の両側縁部80S,80S)に弾性部材8を配置するところ、こうして配置された弾性部材8は搬送方向MDに沿って直線状に延びているので、前記折り返し工程では該弾性部材8を基準として原反シート前駆体80の両側縁部80S,80Sを折り返すことで、折り目のきれいな折り返し部20を形成することができる。
【0039】
本実施形態では、原反シート90の製造工程において、図6に示すように、原反シート前駆体80の内層シート4(第1原料シート)側の面の折り返し部非存在部21に、連続帯状の補強シート5(第3原料シート)を、切断予定線CLと重なるように配置する。これにより、原反シート90における折り返し部非存在部21の剛性が増すため、前記分割工程で原反シート90を切断予定線CLで切断して得た第1連続シート91及び第2連続シート92の切断予定線CLでの切断縁部91a,92a(図10(b)参照)が、その後の両シート91,92の搬送中にめくれる不都合が効果的に防止され、製造効率が一層向上し得る。
【0040】
本実施形態では、原反シート90の製造工程において、図6及び図8に示すように、原反シート前駆体80の内層シート4(第1原料シート)側の面に、一対の連続帯状の機能性シート6(第4原料シート)を、一対の折り返し部20,20と補強シート5(第3原料シート)との境界22と重なるように配置する。これにより、伸縮シート3Aと第1ないし第4原料シートであるシート4~7とが積層された連続帯状の原反シート90が得られる。折り返し部20と補強シート5との境界22は、図8に示すように、折り返し部20と補強シート5との隙間であり、伸縮性積層体1の方向Xにおいてシートの積層数が比較的少ない部分である。また前述したように、本実施形態では、接合部9(図1参照)は伸縮性積層体1の方向Xの全長にわたって延在しており、境界22と重なるところ、このように接合部9がシートの積層数が異なる部分を跨ぐように存在すると、接合部9の接合強度にばらつきが生じることが懸念される。しかしながら前記のように、シートの積層数が比較的少ない境界22に補強シート5を重ねて配置することで、斯かる懸念が払拭され、接合部9の接合強度がその長手方向の全長にわたって一定となり得る。
【0041】
本実施形態では、原反シート90に、マーク付与装置76によってマーク18を付与する(マーク付与工程)。本実施形態ではマーク付与装置76は、エンボス装置であり、周面に凸部を有するエンボスロール761と、平滑な周面を有し、エンボスロール761に対向配置されたアンビルロール760とを備える。マーク18は、原反シート90にエンボス加工を施すことにより付与される。エンボス加工は、原反シート90を、エンボスロール761の凸部とアンビルロール760の平滑な周面との間で加圧し圧縮することにより行う。エンボス加工としては、例えば、熱エンボス加工、超音波エンボス加工等の公知のエンボス加工等が挙げられる。
本実施形態では、エンボスロール761の凸部は、該エンボスロール761の軸方向に離間した一対の凸部からなる。エンボス加工は、エンボスロール761の一対の凸部それぞれが、原反シート90の切断予定線CLを挟んで搬送直交方向CDの両側それぞれを加圧するようにして行われる。
【0042】
以上のようにして第1製造部71で製造された連続帯状の原反シート90は、続いて第2製造部72に搬送され、伸縮性積層体1の製造に使用される。図9には第2製造部72の概略構成、図10には第2製造部72の各部での原反シート90等の被加工物の様子が示されている。
【0043】
第2製造部72では、先ず原反シート90を、その連続方向を搬送方向MDとして搬送しつつ、搬送方向MDに延びる切断予定線CL(図10(a)参照)で切断し、第1連続シート91と第2連続シート92とに分割する(分割工程)。
前記分割工程は、第2製造部72が備える切断手段74で行われる。切断手段74としては、この種のシートの切断に従来使用されている装置を用いることができる。本実施形態では切断手段74は、シートを切断する刃を備えたカッターロール740と、受けロール741とを備えている。
【0044】
切断予定線CLは、図10(a)に示すように、原反シート90を搬送直交方向CDに二等分して搬送方向MDに平行に延びる中心直線90Lを基準に蛇行する。図示の形態では、切断予定線CLは中心直線90Lに対して対称に蛇行しており、したがって、第1連続シート91と第2連続シート92とは切断予定線CLを基準として対称関係にある。なお切断予定線CLは、典型的には仮想線であり、原反シート90に目視で視認可能に設けられていないが、視認可能に設けられていてもよい。
本実施形態では、切断予定線CLは、図10(a)に示す如き平面視において、搬送直交方向CDの一方側に凸の凸部と他方側に凸の凸部とが搬送方向MDに交互に並んだ形状を有している。切断予定線CLの平面視形状は、切断予定線CLが中心直線90Lを基準に蛇行することを条件として特に制限されず、図10(a)に示す如くに中心直線90Lに対して対称に蛇行していなくてもよい。切断予定線CLの平面視形状は、例えば、前記凸部が平面視で台形状をなすなどして、輪郭線が直線のみからなる形状でもよく、あるいはS字状をなすなどして、輪郭線が曲線のみからなる形状でもよく、あるいは直線と曲線とが混在した形状でもよい。
【0045】
第1連続シート91は、第1伸縮性シート1Aが一方向(搬送方向MD)に複数連なった構成を有し、第2連続シート92は、第2伸縮性シート1Bが一方向(搬送方向MD)に複数連なった構成を有している。第1連続シート91は、搬送方向MDに延びる一対の縁部として、原反シート90の切断予定線CLでの切断によって生じた、中心直線90Lに対して蛇行した切断縁部91aと、中心直線90Lと略平行に延びる縁部91bとを有している。第2連続シート92は、搬送方向MDに延びる一対の縁部として、原反シート90の切断予定線CLでの切断によって生じた、中心直線90Lに対して蛇行した切断縁部92aと、中心直線90Lと略平行に延びる縁部92bとを有している。非直線状の切断縁部91a,92aは、伸縮性積層体1の縦方向端X2(ホルダー部17の着用時の下端)を形成し、直線状の縁部91b,92bは、伸縮性積層体1の縦方向端X1(ホルダー部17の着用時の上端)を形成する(図1等参照)。
【0046】
第2製造部72は、図9に示すように、第1連続シート91の搬送路910と、第2連続シート92の搬送路920とを備え、両搬送路910,920は所定距離にわたって互いに独立している。
【0047】
前記分割工程の後、第1連続シート91及び第2連続シート92を搬送路910,920にて搬送方向MDに搬送しつつ、両シート91,92の切断予定線CLでの切断縁部91a,92aが同じ方向を向くように、両シート91,92の一方又は両方を搬送方向MD周りに回転させる(ひねる)(回転工程)。
【0048】
本実施形態では、図6に示すように、搬送直交方向CDの一方側は、伸縮性積層体1の製造方法の実施に使用する製造装置70の操作側(以下、「OP側」とも言う。)、搬送直交方向CDの他方側は、製造装置70の駆動側(以下、「DR側」とも言う。)であり、第1連続シート91はOP側、第2連続シート92はDR側にそれぞれ位置している。OP側は、製造装置70を操作するオペレータがいる側、DR側は、製造装置70の各部を動作させるための駆動用機器の多くが存在する側である。
前記回転工程では前述したとおり、第1連続シート91の切断縁部91aと第2連続シート92の切断縁部92aとが同じ方向を向くように、両シート91,92の一方又は両方を搬送方向MD周りに回転させればよく、該回転工程後に切断縁部91a,92aが向いている方向はOP側でもDR側でもよい。
【0049】
本実施形態では、前記回転工程で両シート91,92の切断縁部91a,92aをDR側に向かせるために、前記分割工程の実施直後に切断縁部92aがOP側を向いている第2連続シート92を搬送方向MD周りに180度回転させる。一方第1連続シート91は、前記分割工程の実施直後に切断縁部91aがDR側を向いているので、搬送方向MD周りに回転させない。
第2連続シート92の搬送路920には、図9に示すように、搬送中の第2連続シート92を搬送方向MD周りに180度回転させるシート回転領域75が設けられており、シート回転領域75には、シート回転手段としての円筒状の複数の搬送ロール750が、それらの軸方向を搬送直交方向CDに一致させて、搬送方向MDに間欠配置されている。シート回転領域75の複数の搬送ロール750は、それらの軸方向と水平方向(鉛直方向)とのなす角度が互いに異なっており、且つ搬送方向MDの上流側から下流側(図9の左側から右側)に向かって該角度が増加又は減少するように配置されている。第2連続シート92は、このように構成されたシート回転領域75を搬送方向MDに搬送されることで、搬送方向MD周りに180度回転される。
シート回転領域75における搬送ロール750の配置数は特に制限されず、シートの回転角度等に応じて適宜調整し得る。また。前記シート回転手段も特に制限されず、搬送中のシートを搬送方向周りに回転させ得る公知の回転手段を適宜利用することができる。
【0050】
本実施形態の伸縮性積層体1の製造方法では、前記回転工程の後に、第1連続シート91及び第2連続シート92をそれぞれ搬送する(搬送工程)。本実施形態の搬送工程では、図9に示すように、第1連続シート91は、第1位置制御搬送ロール94で搬送され、第2連続シート92は、第2位置制御搬送ロール95で搬送される。第1位置制御搬送ロール94及び第2位置制御搬送ロール95はいずれも駆動ロールである。
【0051】
前記搬送工程の後、第1連続シート91及び第2連続シート92それぞれの切断縁部91a,92aの凹状部分91c,92cの位置、並びに第1連続シート91及び第2連続シート92に付与されたマーク18の位置を測定する(測定工程)。本実施形態では、第1連続シート91におけるターゲットテープ7が配されている面側に第1撮像装置96が配されており、第2連続シート92におけるターゲットテープ7が配されている面側に第2撮像装置97が配されている。測定工程では、第1撮像装置96により第1連続シート91を撮像し、第2撮像装置97により第2連続シート92を撮像する。そして得られた画像から、凹状部分91c,92c及びマーク18の位置を測定する。
【0052】
凹状部分91c,92c及びマーク18の位置を測定する方法は特に制限されないが、パターンマッチング法により測定することが好ましい。パターンマッチング法は、撮像により得られた画像から、予め登録された第1及び第2連続シート91,92の部分画像(凹状部分91c,92c又はマーク18の画像)を探索することによって行うことができる。この点について、第1連続シート91の凹状部分91c及びマーク18の位置を検出する方法を例に詳述する。
まず、第1及び第2撮像装置96,97によって撮像された画像に、検出領域を設定する(図11参照)。図11中、符号W1はマーク18を検出するための検出領域であり、符号W2はマーク18を検出するための検出領域である。そして、検出領域から、予め登録された、凹状部分91c又はマーク18の画像と一致する部分を探索する。図11中、符号R1で示す部分が、予め登録された凹状部分91cの画像と一致する部分であり、符号R2で示す部分が、予め登録されたマーク18の画像と一致する部分である。部分R1の搬送方向MDの中心位置P1を、凹状部分91cの搬送方向MDの位置とし、部分R2の搬送方向MDの中心位置P2を、マーク18の搬送方向MDの位置とする。第2連続シート92の凹状部分92c及びマーク18の位置も、同様の方法により測定することができる。
【0053】
前記測定工程の後、第1連続シート91と第2連続シート92とを、図10(c)に示すように両シート91,92の切断縁部91a,92aの搬送方向MDの位相を合わせて、図10(d)に示すように重ね合わせ、連続積層体93を得る(積層工程)。
切断縁部91a,92aは、それぞれ、図10に示す如き平面視において、凸部と凹部とが搬送方向MDに交互に配された波線状をなしているところ、搬送方向MDに隣り合う2つの該凸部の頂部どうしの搬送方向MDの離間距離を1ピッチとした場合、前記分割工程の実施直後(切断縁部91a,92aの搬送方向MDの位相合わせの実施前)では、切断縁部91aと切断縁部92aとは搬送方向MDに0.5ピッチずれている(図10(a)及び図10(b)参照)。前記積層工程では、この切断縁部91a,92a間の搬送方向MDの位相のずれを無くすとともに、両シート91,92を重ね合わせて、両シート91,92の輪郭が一致した連続積層体93を形成する。連続積層体93は、搬送方向MD(長手方向)に延びる一対の縁部93a,93bを有し、一方の非直線状の切断縁部93aは、両シート91,92の非直線状の切断縁部91a,92aの重なり部からなり、伸縮性積層体1の非直線状の縦方向X2を形成し、他方の直線状の縁部93bは、両シート91,92の直線状の縁部91b,92bの重なり部からなり、伸縮性積層体1の直線状の縦方向X1を形成する。
【0054】
前記位相合わせの方法は特に制限されず、種々の方法を採用することができる。本実施形態では、前記位相合わせのために、図9に示すように、第1連続シート91の搬送路910と第2連続シート92の搬送路920とで長さを異ならせている。より具体的には、前記回転工程で搬送方向MDに周りに回転させない第1連続シート91の搬送路910を、第2連続シート92の搬送路920に比べて長く設定することで、両搬送路910,920の合流位置(連続積層体93の形成位置)で両シート91,92の切断縁部91a,92aの搬送方向MDの位相が一致するようにしている。
【0055】
前記積層工程では、第1連続シート91及び第2連続シート92それぞれの折り返し部20どうしを一致させる、すなわち平面視直線状の縁部91bと縁部92bとを一致させることで、両シート91,92を重ね合わせることが好ましい。
【0056】
第2製造部72では、以上のようにして連続積層体93を形成した後、図示しない接合手段によって連続積層体93に接合部9(図1参照)を搬送方向MDに間欠的に形成し(接合工程)、更に、接合部9が形成された連続積層体93を搬送方向MDに搬送しつつ枚葉化装置99によって搬送直交方向CDに切断して(切断工程)、枚葉の伸縮性積層体1を連続的に製造する。枚葉化装置99は、切断刃を有する切断ロール990及び受けロール991を備える。切断工程では、連続積層体93を切断ロール990及び受けロール991の間に導入して、該連続積層体93を切断する。
前記接合工程では、接合部9を、連続積層体93の搬送方向MDに沿う一対の縁部どうしの間、より具体的には、両連続シート91,92の非直線状の切断縁部91a,92a側の縁部(連続積層体93の前記凸部側の縁部)93aと、両連続シート91,92の直線状の縁部(非切断縁部)91b,92b側の縁部93bとの間に形成する。
【0057】
本実施形態の伸縮性積層体1の製造方法では、前記測定工程の後、該測定工程において得られた測定結果に基づいて、第1連続シート91の搬送方向MDの位置制御の要否及び第2連続シート92の搬送方向MDの位置制御の要否、並びに、前記マーク付与工程における、第1連続シート91におけるマーク18の位置制御の要否及び第2連続シート92におけるマーク18の位置制御の要否を判定する(判定工程)。
【0058】
第1連続シート91の搬送方向MDの位置制御の要否は、以下のようにして判定する。
図12(a)に、測定工程において測定された第1連続シート91の凹状部分91cの位置P2と、第1撮像装置96により撮像された第1連続シート91の画像の中心位置M1とが搬送方向MDにずれている状態の画像を示す。この場合、第1連続シート91の搬送方向MDの位置制御が必要であると判定する。具体的には、凹状部分91cの位置P2と前記画像のMD中心位置M1との偏差L1を計算し、偏差L1の絶対値があらかじめ設定した閾値TL1を超えている場合である。閾値TL1は適宜設定することができ、例えば1mm~50mm、好ましくは5mm~30mmとすることができる。例えば、予め複数種類の偏差L1が生じたサンプル(伸縮性積層体)を作成し、目視評価で許容値を決めることができる。なお、偏差L1は式1より求める。
L1=M1-P2 (式1)
【0059】
第1連続シート91におけるマーク18の位置制御の要否は、以下のようにして判定する。
図12(b)に、測定工程において測定された、第1連続シート91のマーク18の位置P1と、第1連続シート91の凹状部分91cの位置P2とが搬送方向MDにずれている状態の画像を示す。この場合、第1連続シート91の搬送方向MDの位置制御が必要であると判定する。具体的には、マーク18の位置P1と凹状部分91cの位置P2との偏差L2を計算し、偏差L2の絶対値があらかじめ設定した閾値TL2を超えている場合である。閾値TL2は適宜設定することができ、例えば1mm~50mm、好ましくは5mm~30mmとすることができる。具体的には、予め複数種類の偏差L2が生じたサンプル(伸縮性積層体)を作成し、目視評価で決めることができる。なお、偏差L2は式2より求める。
L2=M1-P1 (式2)
【0060】
第2連続シート92の搬送方向MDの位置制御の要否は、第1連続シート91の搬送方向MDの位置制御の要否と同様にして判定することができる。また、第2連続シート92におけるマーク18の位置制御の要否は、第1連続シート91におけるマーク18の位置制御の要否と同様に判定することができる。
【0061】
そして、前記判定工程の判定結果に基づき、前記搬送工程における、第1連続シート91の搬送方向MDの位置、第2連続シート92の搬送方向MDの位置、及び前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置のうち、制御が必要と判定されたものの制御を行う(制御工程)。前記搬送工程における第1連続シート91の搬送方向MDの位置の制御は、第1位置制御搬送ロール94の回転速度を制御することによって行う。前記搬送工程における第2連続シート92の搬送方向MDの位置の制御は、第2位置制御搬送ロール95の回転速度を制御することによって行う。前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置の制御は、エンボスロール761の回転速度を制御することによって行う。
【0062】
本実施態形態の製造方法では、上述のように、第1連続シート91における凹状部分91c及びマーク18の搬送方向MDの位置、並びに第2連続シート92における凹状部分92c及びマーク18の搬送方向MDの位置を、適正な位置に制御することが可能である。したがって、本実施形態の製造方法によれば、これらが適正な位置に配された、適正な伸縮性積層体1を製造し得る。
【0063】
本実施形態では、前記判定工程の判定結果を、複数のパターンに場合分けし、前記制御工程においては、前記パターンに応じて、第1連続シート91の位置、第2連続シート92の位置、及びマーク18を付与する位置を制御する制御方法を実施することが好ましい。以下、この点について詳述する。
本実施形態では、判定工程において判定される位置制御の要否の組合せは、表1に示すとおり、16通り存在する。位置制御の要否の組合せが16通りであるところ、これら16通りの組合せは、(1)前記搬送工程において第1又は第2連続シート91,92の位置を制御する必要がある場合、(2)前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要がある場合、(3)前記搬送工程において第1又は第2連続シート91,92の位置を制御するとともに、前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要がある場合の3パターンに場合分けすることができる。
なお、表1中、「〇」は、マーク18又は凹状部分91c,92cが適正位置に位置しており、位置制御が不要であることを意味し、「×」は、マーク18又は凹状部分91c,92cの位置が適正位置からずれており、位置制御が必要であることを意味する。また、表1中、位置制御動作欄の「なし」は制御を行わないことを意味し、「1」は1番目に位置制御を行うことを意味し、「2」は2番目に位置制御を行うことを意味する。
【0064】
判定工程において判定される位置制御の要否の全ての組合せそれぞれに対し異なる制御方法を実施するのに比して、前記判定工程の判定結果を複数のパターンに場合分けし、前記制御工程においては前記パターンに応じた制御方法を実施することにより、伸縮性積層体1における凹状部分91c,92c及びマーク18の位置を適正な位置への制御が効率化される。本製造方法においては、位置制御を実施するマーク付与装置と第1位置制御搬送ロールおよび第2位置制御搬送ロールの位置が異なっており、制御された結果(位置ズレの補正)の出るタイミングが異なる制御系である。そのため、例えば、第1連続シートの位置制御を実施している間にマーク位置の判定が「×」となってマーク位置制御が実行されると、正しい位置に制御されない可能性がある。そのため、場合分けを行って制御順序を規定することで、制御を安定化させることが可能となる。
【0065】
以下、上記(1)~(3)それぞれの場合について位置制御の方法を、第1連続シート91を例に具体的に説明する。
(1)前記搬送工程において第1又は第2連続シート91,92の位置を制御する必要がある場合
図13(a)に、上記(1)に該当する場合の一例を示す。図13(a)に示す例では、凹状部分91cの位置P2が適正位置からずれており、前記搬送工程において第1連続シート91の位置を制御する必要がある。なお、マーク18は適正位置に位置している。この場合、前記判定工程において制御の要否判定に用いた、前記位置P2と前記中心位置M1との間の偏差L1を基に、第1位置制御搬送ロール94の回転速度を制御する。具体的には、前記位置P2が前記中心位置M1よりも前記搬送方向MD下流側に位置している場合、第1位置制御搬送ロール94の回転速度を遅くし、前記位置P2が前記中心位置M1よりも前記搬送方向MD上流側に位置している場合、第1位置制御搬送ロール94の回転速度を速くする。
【0066】
(2)前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要がある場合
図13(b)に、上記(2)に該当する場合の一例を示す。図13(b)に示す例では、マーク18の位置P1が適正位置からずれており、前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要がある。なお、凹状部分91cは適正位置に位置している。この場合、前記判定工程において制御の要否判定に用いた、前記位置P1と前記位置P2との間の偏差L2を基に、第1位置制御搬送ロール94の位置を制御する。具体的には、前記位置P1が位置P2よりも前記搬送方向MD下流側に位置している場合、エンボスロール761の回転速度を遅くし、前記位置P1が位置P2よりも前記搬送方向MD上流側に位置している場合、エンボスロール761の回転速度を速くする。
【0067】
(3)前記搬送工程において第1又は第2連続シート91,92の位置を制御するとともに、前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要がある場合
図13(c)に、上記(3)に該当する場合の一例を示す。図13(c)に示す例では、凹状部分91cの位置P2が適正位置からずれており、前記搬送工程において第1連続シート91の位置を制御する必要がある。また、マーク18の位置P1も適正位置からずれており、前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する必要もある。この場合、まず上記(2)の場合と同様にして、前記マーク付与工程においてマーク18を付与する位置を制御する。その後、上記(1)の場合と同様にして、前記搬送工程において第1連続シート91の位置を制御する。
【0068】
本実施形態では、上述のように、マーク付与装置76はエンボス装置であるところ、前記制御工程におけるマーク18を付与する位置の制御は、該エンボス装置がエンボス加工を行っていないときに行うことが好ましい。具体的には、エンボスロール761の凸部が原反シート90に接触していないときに該エンボスロール761の回転速度を制御することによって、マーク18を付与する位置を制御することが好ましい。こうすることにより、エンボスロール761の凸部が原反シート90を加圧しているときに該エンボスロール761の回転速度が変わることを防ぐことができるので、原反シート90に意図しない形状のマーク18が付与されることを防ぐことができる。
【0069】
本実施形態では、前記測定工程における第1連続シート91及び第2連続シート92を撮像するタイミングは、前記切断工程において連続積層体93を切断するタイミングを基準に決定されることが好ましい。具体的には、前記切断工程において連続積層体93を切断するタイミングを検出するため、枚葉化装置99に不図示の近接センサーを設置する。前記近接センサーは制御装置に接続する。また前記近接センサーは、枚葉化装置99に取り付けられた切断刃が連続積層体93を切断する位置に設置する。このように配された近接センサーによって前記切断工程において連続積層体93を切断するタイミングを検出し、検出された該タイミングに基づいて、前記測定工程における第1及び第2連続シート91,92を撮像するタイミングを決定することができる。
なお、該タイミングに「基づく」とは、切断刃が連続積層体93を切断し該近接センサーの信号がONとなったとき、該信号の立ち上がりを検出してから予め設定した時間(ディレー)が経過したとき、あるいは、該信号の立ち上がりを検出してから連続積層体93の移動量が予め設定した距離だけ移動したときをいう。
【0070】
前記測定工程における第1及び第2連続シート91,92を撮像するタイミングが、前記切断工程において連続積層体93を切断するタイミングを基準に決定されるようにすることにより、第1及び第2撮像装置96,97により撮像される画像に、第1及び第2連続シート91,92における、製造される枚葉の伸縮性積層体1に対応する部分が写るようにすることができるので、該画像を基に凹状部分91c,92c及びマーク18の位置を制御することで、凹状部分91c,92c及びマーク18が適正な位置に配された、適正な伸縮性積層体1を一層容易に製造することができるようになる。
【0071】
本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば前記実施形態では、原反シート90は、伸縮シート3A以外のシートを含んでいたが、伸縮シート3Aのみから構成されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、マーク18は、原反シート90にエンボス加工を施すことにより形成されるものであったが、これに代えて、原反シート90に印刷を施すことにより形成されるものであってもよい。換言すれば、マーク付与装置76が印刷装置であり、マーク付与工程では、原反シート90に印刷を施すことにより、該原反シート90にマーク18を付与してもよい。
【0073】
また本実施形態では、第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bの両方それぞれにマーク18を有するように、前記マーク付与工程において、原反シート90の切断予定線CLを挟んだ搬送直交方向CDの両側それぞれにマーク18を付与していたが、これに代えて、第1伸縮性シート1A及び第2伸縮性シート1Bのいずれか一方のみがマーク18を有するように、前記マーク付与工程において、原反シート90の切断予定線CLを挟んだ搬送直交方向CDの両側のうち一方のみにマーク18を付与してもよい。
【0074】
また本実施形態では、マーク18は、平面視形状が円形であったが、マーク18の平面視形状はこれに限られず、例えば、三角形、正方形、長方形、五角形以上の多角形、星形、それらを組み合わせた図形、文字、キャラクター等であってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、測定工程において、第1連続シート91及び第2連続シート92の凹状部分の位置91c,92cを測定していたが、これに代えて、第1連続シート91及び第2連続シート92の凸状部分の位置を測定してもよい。例えば、分割工程において、第1連続シート91及び第2連続シート92それぞれの切断縁部が、凸状部分を有するように原反シート90を切断し、測定工程において、両シート91,92それぞれの切断縁部の凸状部分の位置及びマーク18の位置を測定してもよい。具体的には、第1又は第2連続シート91,92における該凸状部分を含む部分を部分画像として予め登録しておき、該部分画像と一致する部分をパターンマッチング法によって探索することにより、該凸状部分の位置を測定してもよい。第1連続シート91及び第2連続シート92の一方については凹状部分の位置、他方については凸状部分の位置を測定し、両連続シートについて、凸状部分どうし又は凹状部分が一致するように位相を合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 伸縮性積層体
1A 第1伸縮性シート
1B 第2伸縮性シート
2 外装体
20 折り返し部
21 折り返し部非存在部
22 折り返し部と補強シート(第3原料シート)との境界
3,3A 外層シート(伸縮シート)
31,32 繊維シート
33 弾性フィラメント
4 内層シート(第1原料シート)
5 補強シート(第3原料シート)
6 機能性シート(第4原料シート)
7 ターゲットテープ(第2原料シート)
8 弾性部材
9 接合部
10 パンツ型使い捨ておむつ
11 吸収パッド部
12 表面シート
13 裏面シート
14 吸収性コア
15 防漏カフ
16 止着テープ
17 ホルダー部
18 マーク
70 伸縮性積層体の製造装置
71 第1製造部
72 第2製造部
73 接合手段
74 切断手段
75 シート回転領域
80 原反シート前駆体
90 原反シート
91 第1連続シート
91a 第1連続シートの切断縁部
92 第2連続シート
92a 第2連続シートの切断縁部
93 連続積層体
CL 切断予定線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13