(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037099
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電力ケーブル接続用部品、電力ケーブルの接続構造、および電力ケーブルの接続方法
(51)【国際特許分類】
H02G 15/013 20060101AFI20240311BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20240311BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240311BHJP
H02G 3/06 20060101ALI20240311BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02G15/013
H02G3/22
H02G3/04 062
H02G3/06 016
H01R4/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141763
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】風間 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 康博
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB01
5G357DC11
5G357DD02
5G357DD05
5G357DE02
5G357DG04
5G363AA16
5G363BA01
5G363CB01
5G363CB08
5G375AA02
5G375BA02
5G375CA02
5G375CB06
5G375CB38
5G375CC07
5G375DA04
5G375DA36
5G375DB04
5G375DB21
5G375DB32
(57)【要約】
【課題】電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる電力ケーブル接続用部品を提供する。
【解決手段】電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続するための電力ケーブル接続用部品であって、筒状の接続部材と、電力ケーブルの端部に設けられる端末部と、接続端子とを備え、接続部材は、絶縁材料からなる筒状部と、筒状部の両端にそれぞれ開口する第一接続口および第二接続口とを有し、端末部は、第一接続口に嵌められる第一挿入領域を有し、第一挿入領域は、電力ケーブルのケーブル導体につながる内部電極と、内部電極を覆う絶縁部とを有し、ブッシングは、第二接続口に嵌められる第二挿入領域を有し、第二挿入領域は、リード導体と、リード導体を覆う絶縁ブッシングとを有し、接続端子は、第一挿入領域が第一接続口に嵌められ、第二挿入領域が第二接続口に嵌められた状態で、内部電極とリード導体とを接続する、電力ケーブル接続用部品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続するための電力ケーブル接続用部品であって、
筒状の接続部材と、
前記電力ケーブルの端部に設けられる端末部と、
接続端子とを備え、
前記接続部材は、
絶縁材料からなる筒状部と、
前記筒状部の両端にそれぞれ開口する第一接続口および第二接続口とを有し、
前記端末部は、
前記第一接続口に嵌められる第一挿入領域を有し、
前記第一挿入領域は、前記電力ケーブルのケーブル導体につながる内部電極と、前記内部電極を覆う絶縁部とを有し、
前記ブッシングは、
前記第二接続口に嵌められる第二挿入領域を有し、
前記第二挿入領域は、リード導体と、前記リード導体を覆う絶縁ブッシングとを有し、
前記接続端子は、前記第一挿入領域が前記第一接続口に嵌められ、前記第二挿入領域が前記第二接続口に嵌められた状態で、前記内部電極と前記リード導体とを接続する、
電力ケーブル接続用部品。
【請求項2】
前記筒状部はシリコーンゴムからなる、請求項1に記載の電力ケーブル接続用部品。
【請求項3】
前記端末部の形状がL字状である、請求項1または請求項2に記載の電力ケーブル接続用部品。
【請求項4】
前記第一接続口、および前記第二接続口の各々は、前記筒状部の中間部に向かって内径が小さくなるテーパー面を有する、請求項1または請求項2に記載の電力ケーブル接続用部品。
【請求項5】
前記第一挿入領域、および前記第二挿入領域の各々は、それぞれの先端に向かって外径が小さくなるテーパー面を有する、請求項4に記載の電力ケーブル接続用部品。
【請求項6】
電力機器に備えられたブッシングと、
前記ブッシングに接続される電力ケーブルと、
請求項1に記載の電力ケーブル接続用部品とを備える、
電力ケーブルの接続構造。
【請求項7】
電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続する電力ケーブルの接続方法であって、
請求項1に記載の電力ケーブル接続用部品を用意する工程と、
前記電力ケーブルの端部に前記端末部を取り付けた前記電力ケーブルを用意する工程と、
前記端末部における前記第一挿入領域の前記内部電極、または前記ブッシングにおける前記第二挿入領域の前記リード導体に前記接続端子を取り付ける工程と、
前記接続部材の前記第一接続口に前記第一挿入領域を嵌める工程と、
前記接続部材の前記第二接続口に前記第二挿入領域を嵌める工程とを備える、
電力ケーブルの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力ケーブル接続用部品、電力ケーブルの接続構造、および電力ケーブルの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、電力機器間を接続する固体絶縁母線を開示する。この固体絶縁母線は、導体と、導体の端部に接続される端子と、導体の外周を覆う絶縁層と、絶縁層の端部に形成される接続用開口部とを備える。接続用開口部は、電力機器に備えるブッシングの挿入領域が嵌め込まれる。接続用開口部は、絶縁層によって形成された凹部である。端子は、接続用開口部内に露出している。接続用開口部にブッシングが挿入されることで、端子と、ブッシングを貫通する導体引出棒とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-195410号公報
【特許文献2】特開2019-204781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)とトランスとの間が固体絶縁母線により接続された電力設備において、GISおよびトランスのいずれかが故障したとき、固体絶縁母線を取り外し、残りの健全なGISまたはトランスと、代替のトランスまたはGISとを電力ケーブルにより接続することが望まれる。このように、電力ケーブルにより代替の電力機器にバイパスすることで、運転を継続することが可能である。この場合、固体絶縁母線に代えて、電力機器に電力ケーブルを接続することから、電力機器のブッシングに電力ケーブルを接続するための電力ケーブル接続用部品が必要である。
【0005】
本開示は、電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる電力ケーブル接続用部品を提供することを目的の一つとする。本開示は、上記電力ケーブル接続用部品を備える電力ケーブルの接続構造を提供することを別の目的の一つとする。本開示は、上記電力ケーブル接続用部品を使用した電力ケーブルの接続方法を提供することを更に別の目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電力ケーブル接続用部品は、電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続するための電力ケーブル接続用部品であって、筒状の接続部材と、前記電力ケーブルの端部に設けられる端末部と、接続端子とを備え、前記接続部材は、絶縁材料からなる筒状部と、前記筒状部の両端にそれぞれ開口する第一接続口および第二接続口とを有し、前記端末部は、前記第一接続口に嵌められる第一挿入領域を有し、前記第一挿入領域は、前記電力ケーブルのケーブル導体につながる内部電極と、前記内部電極を覆う絶縁部とを有し、前記ブッシングは、前記第二接続口に嵌められる第二挿入領域を有し、前記第二挿入領域は、リード導体と、前記リード導体を覆う絶縁ブッシングとを有し、前記接続端子は、前記第一挿入領域が前記第一接続口に嵌められ、前記第二挿入領域が前記第二接続口に嵌められた状態で、前記内部電極と前記リード導体とを接続する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電力ケーブル接続用部品は、電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力ケーブルの接続構造の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品に備える接続部材の一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品に備える端末部の一例を示す概略部分断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品に備える接続端子の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品に備える接続端子の別の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品の使用例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電力ケーブル接続用部品の別の使用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)本開示の実施形態に係る電力ケーブル接続用部品は、電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続するための電力ケーブル接続用部品であって、筒状の接続部材と、前記電力ケーブルの端部に設けられる端末部と、接続端子とを備え、前記接続部材は、絶縁材料からなる筒状部と、前記筒状部の両端にそれぞれ開口する第一接続口および第二接続口とを有し、前記端末部は、前記第一接続口に嵌められる第一挿入領域を有し、前記第一挿入領域は、前記電力ケーブルのケーブル導体につながる内部電極と、前記内部電極を覆う絶縁部とを有し、前記ブッシングは、前記第二接続口に嵌められる第二挿入領域を有し、前記第二挿入領域は、リード導体と、前記リード導体を覆う絶縁ブッシングとを有し、前記接続端子は、前記第一挿入領域が前記第一接続口に嵌められ、前記第二挿入領域が前記第二接続口に嵌められた状態で、前記内部電極と前記リード導体とを接続する。
【0011】
本開示の電力ケーブル接続用部品は、電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる。本開示の電力ケーブル接続用部品によれば、接続部材の第一接続口および第二接続口の各々に端末部の第一挿入領域およびブッシングの第二挿入領域がそれぞれ嵌められる。そのため、第一挿入領域と第二挿入領域とが、接続部材の軸方向に互いに向かい合った状態で保持される。接続部材の軸方向は、第一接続口から第二接続口に向かう方向である。第一挿入領域の内部電極と第二挿入領域のリード導体とが互いに軸方向に位置合わせされた状態で、接続端子は内部電極とリード導体とを接続する。
【0012】
(2)上記(1)の電力ケーブル接続用部品において、前記筒状部はシリコーンゴムからなってもよい。
【0013】
上記(2)の構成は、第一挿入領域および第二挿入領域の各領域と筒状部との接触界面での絶縁破壊特性を向上させることができる。シリコーンゴムからなる筒状部は、上記各領域との密着性がよく、上記各領域との接触界面に安定した面圧を確保し易い。そのため、上記接触界面の面圧が低くても、上記各領域が筒状部に密着し易く、上記接触界面での絶縁破壊特性を良好に維持し易い。
【0014】
(3)上記(1)または(2)の電力ケーブル接続用部品において、前記端末部の形状がL字状であってもよい。
【0015】
上記(3)の構成は、ブッシングに対して端末部から延びる電力ケーブルの向きを直交するように変えることができる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの電力ケーブル接続用部品において、前記第一接続口、および前記第二接続口の各々は、前記筒状部の中間部に向かって内径が小さくなるテーパー面を有してもよい。
【0017】
上記(4)の構成は、第一接続口および第二接続口の各々に第一挿入領域および第二挿入領域をそれぞれ嵌め易い。更に、第一接続口および第二接続口がテーパー面を有することで、第一挿入領域および第二挿入領域の各領域と筒状部との接触界面の面圧を適切かつ均一にし易い。
【0018】
(5)上記(4)の電力ケーブル接続用部品において、前記第一挿入領域、および前記第二挿入領域の各々は、それぞれの先端に向かって外径が小さくなるテーパー面を有してもよい。
【0019】
上記(5)の構成は、第一挿入領域および第二挿入領域の各領域と筒状部とを密着させ易い。上記各領域が第一接続口および第二接続口の各々の形状に応じてテーパー面を有することで、上記各領域と筒状部との接触界面の面圧を適切かつ均一にし易い。
【0020】
(6)本開示の実施形態に係る電力ケーブルの接続構造は、電力機器に備えられたブッシングと、前記ブッシングに接続される電力ケーブルと、上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の電力ケーブル接続用部品とを備える。
【0021】
本開示の電力ケーブルの接続構造は、本開示の電力ケーブル接続用部品を備えることで、電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる。
【0022】
(7)本開示の実施形態に係る電力ケーブルの接続方法は、電力機器に備えられたブッシングに電力ケーブルを接続する電力ケーブルの接続方法であって、上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の電力ケーブル接続用部品を用意する工程と、前記電力ケーブルの端部に前記端末部を取り付けた前記電力ケーブルを用意する工程と、前記端末部における前記第一挿入領域の前記内部電極、または前記ブッシングにおける前記第二挿入領域の前記リード導体に前記接続端子を取り付ける工程と、前記接続部材の前記第一接続口に前記第一挿入領域を嵌める工程と、前記接続部材の前記第二接続口に前記第二挿入領域を嵌める工程とを備える。
【0023】
本開示の電力ケーブルの接続方法は、本開示の電力ケーブル接続用部品を用いることで、電力機器に電力ケーブルを容易に接続できる。電力ケーブルの端部への端末部の取り付けは、現地で行ってもよいし、予め工場で行ってもよい。予め端末部が取り付けられた電力ケーブルを用意すれば、現地での端末部の取り付け作業を不要にできる。現地で端末部の取り付け作業を行う必要がないため、現地での作業の手間を軽減できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電力ケーブル接続用部品、電力ケーブルの接続構造、および電力ケーブルの接続方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一または相当部分を示す。以下では、「電力ケーブル接続用部品」を「接続用部品」という場合がある。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<電力ケーブル接続用部品>
図1から
図5を参照して、実施形態に係る接続用部品1について説明する。
図1は、接続用部品1によって電力機器200に電力ケーブル100を接続した状態、即ち実施形態に係る電力ケーブルの接続構造10を示している。接続用部品1は、電力機器200に備えられたブッシング210に電力ケーブル100を接続するための部品群である。接続用部品1は、
図1から
図4に示すように、接続部材2と、端末部3と、接続端子4とを備える。
以下、
図1を主に参照して、先に、電力ケーブル100および電力機器200について説明する。その後、接続用部品1を構成する接続部材2と、端末部3と、接続端子4について詳しく説明する。
【0026】
<電力ケーブル>
電力ケーブル100は、ケーブル導体101を有する。
図1に示す電力ケーブル100は、中心から順にケーブル導体101、図示しない内部半導電層、絶縁層102、外部半導電層103、遮蔽層104、およびシース105を有する。電力ケーブル100は公知の電力ケーブルを用いることができる。電力ケーブル100は、例えば、架橋ポリエチレン絶縁シースケーブル(CVケーブル)である。本実施形態の電力ケーブル100は、66kV級以上の高圧ケーブルである。電力ケーブル100の導体サイズ、即ちケーブル導体101の公称断面積は、例えば80mm
2以上600mm
2以下である。
【0027】
電力ケーブル100の端部は、段剥ぎされることによって、先端から順にケーブル導体101、絶縁層102、外部半導電層103、および遮蔽層104が露出している。露出したケーブル導体101の先端には、端子金具110が取り付けられる。露出した絶縁層102の外周部にストレスコーン120が取り付けられる。ストレスコーン120は、絶縁層102の外周面だけでなく、露出した外部半導電層103の外周面の一部にも接している。ストレスコーン120は、電力ケーブル100の端部に生じる電界集中を緩和する。
【0028】
<電力機器>
電力機器200は、変電設備または受電設備などの電力設備に設置される機器である。電力機器200は、例えば、開閉装置またはトランスである。
図1に示す電力機器200はガス絶縁開閉装置(GIS)200Gである。電力機器200は筐体201に収容されている。
【0029】
(ブッシング)
電力機器200は、電力ケーブル100が接続されるブッシング210を備える。ブッシング210は、筐体201の壁面を貫通するように電力機器200に設けられている。本実施形態では、ブッシング210が筐体201の側面を貫通している。
図1、
図4に示すブッシング210は、GIS200Gに備えられたGISブッシング210Gである。ブッシング210は、
図1、
図4に示すように、第二挿入領域220を有する。第二挿入領域220は、ブッシング210のうち、筐体201の外側に位置する。第二挿入領域220は、
図2に示す接続部材2の第二接続口22に嵌められる。接続部材2については後述する。第二挿入領域220は、リード導体211と、リード導体211を覆う絶縁ブッシング212とを有する。
【0030】
〈リード導体〉
リード導体211は棒状体である。リード導体211は、例えば、銅およびアルミニウムから選択される導電材料によって構成されている。本実施形態のリード導体211の材質はアルミニウムである。リード導体211の形状は丸棒状である。リード導体211の先端部は局所的に太く形成されている。リード導体211の一部は、ブッシング210における筐体201の内側に位置する内側領域まで及んでいる。リード導体211の先端部は、筐体201の外側に配置されている。リード導体211の先端部から離れた端部は、筐体201内に配置されている。リード導体211は、筐体201内で電力機器200に接続されている。リード導体211の先端部は、絶縁ブッシング212内を通って、筐体201の外側に引き出されている。
【0031】
〈絶縁ブッシング〉
絶縁ブッシング212は、リード導体211が中心を貫通する筒状体である。絶縁ブッシング212の一部も、リード導体211と同様に、ブッシング210の上記内側領域まで及んでいる。絶縁ブッシング212におけるリード導体211の先端部を覆う部分は、筐体201の外側に配置されている。絶縁ブッシング212におけるリード導体211の先端部から離れた端部を覆う部分は、筐体201内に配置されている。絶縁ブッシング212は、リード導体211を筐体201から電気的に絶縁する。絶縁ブッシング212は、例えば、樹脂および磁器から選択される絶縁材料によって構成されている。本実施形態の絶縁ブッシング212は、リード導体211の外周面に樹脂をモールドすることで形成されている。絶縁ブッシング212の材質はエポキシ樹脂である。
【0032】
絶縁ブッシング212は、筐体201の壁面を貫通するように筐体201に取り付けられている。つまり、絶縁ブッシング212の一部が筐体201内に配置されている。本実施形態の絶縁ブッシング212はフランジ部212fを有する。フランジ部212fは絶縁ブッシング212の両端部の間に設けられている。フランジ部212fは絶縁ブッシング212の外周面から径方向に突出する。この径方向は、絶縁ブッシング212の中心軸から外側に向かう方向である。本実施形態では、筐体201の壁面に取付部202が設けられている。この取付部202にフランジ部212fが取り付けられることで、絶縁ブッシング212が筐体201に支持されている。フランジ部212fは、ボルトによって取付部202に締結されている。
【0033】
本実施形態では、第二挿入領域220は、
図4に示すように、第二挿入領域220の先端に向かって外径が小さくなるテーパー面220tを有する。第二挿入領域220の外周面は円錐台形状に形成されている。第二挿入領域220の先端は、電力機器200から遠い端部である。テーパー面220tのテーパー角は、例えば4°以上7°以下である。テーパー面220tのテーパー角とは、第二挿入領域220の中心軸線とテーパー面220tとがなす角度をいう。ブッシング210の上記内側領域も、筐体201の内側に向かって外径が小さくなる先細り形状を有している。
【0034】
(接続部材)
接続部材2は接続用部品1を構成する部品の一つである。ここでは、接続部材2について、
図2を主に参照すると共に、
図1および
図3などを適宜参照しながら説明する。接続部材2は筒状の部品である。接続部材2は、筒状部20と、第一接続口21および第二接続口22とを有する。
図2は、接続部材2を筒状部20の中心軸線に沿って切断した縦断面図である。本実施形態の接続部材2の形状は円筒状である。
【0035】
〈筒状部〉
筒状部20は絶縁材料からなる。絶縁材料は、例えば、樹脂またはゴムである。筒状部20を構成するゴムは、例えば、シリコーンゴム、またはエチレンプロピレンゴム(EPゴム)である。本実施形態の筒状部20はゴムによって構成されている。具体的には、筒状部20はシリコーンゴムからなる。筒状部20の形状は円筒状である。
【0036】
本実施形態の接続部材2は、筒状部20の内周面に内部半導電層20iを有すると共に、筒状部20の外周面に外部半導電層20oを有する。内部半導電層20iおよび外部半導電層20oは、筒状部20における電界集中を緩和する。内部半導電層20iは、筒状部20の内周面のうち、筒状部20の両端部の間に設けられている。内部半導電層20iは、
図1に示すように、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた状態で、接続端子4の外周に対応する位置に設けられている。外部半導電層20oは、筒状部20の外周面を全長にわたって覆うように設けられている。本実施形態の内部半導電層20iおよび外部半導電層20oは半導電性ゴムによって構成されている。半導電性ゴムは、半導電性を付与するために、導電性フィラーが添加されたゴムである。具体的には、内部半導電層20iおよび外部半導電層20oは導電性フィラーを含有するシリコーンゴムからなる。
【0037】
〈第一接続口、第二接続口〉
第一接続口21および第二接続口22は筒状部20の両端にそれぞれ開口する。
図1に示すように、第一接続口21には、
図3に示す端末部3の第一挿入領域31が嵌められる。端末部3については後述する。第二接続口22には、上述したブッシング210の第二挿入領域220が嵌められる。第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた状態では、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各領域と筒状部20とが密着する。本実施形態では、第一接続口21と第二接続口22とは、筒状部20を軸方向に二分する中心線に対して対称に形成されている。この軸方向は、第一接続口21から第二接続口22に向かう方向である。第一接続口21と第二接続口22とは、実質的に同一形状、かつ、同一サイズである。なお、ここでいう同一とは、完全に同一であることを意味するものでなく、製造上の誤差を含む。第一接続口21と第二接続口22とが同一サイズであるとは、第一接続口21および第二接続口22のそれぞれの長さや内径が同じであることを意味する。第一接続口21および第二接続口22のそれぞれの長さは、筒状部20の軸方向に沿った長さである。即ち、第一接続口21の長さとは、筒状部20の第一接続口21が開口する端面から上記中心線までの距離である。第二接続口22の長さとは、筒状部20の第二接続口22が開口する端面から上記中心線までの距離である。
【0038】
本実施形態では、第一接続口21および第二接続口22の各々は、筒状部20の中間部に向かって内径が小さくなるテーパー面21t、22tを有する。第一接続口21および第二接続口22の各々の内周面は円錐台形状に形成されている。第一接続口21のテーパー面21tおよび第二接続口22のテーパー面22tのそれぞれのテーパー角は実質的に同じである。各テーパー面21t、22tのテーパー角とは、筒状部20の中心軸線と各テーパー面21t、22tとがなす角度をいう。テーパー面21t、22tのテーパー角は、例えば4°以上7°以下である。
【0039】
第一接続口21および第二接続口22の各々の内径は、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められる前の状態において、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各々の外径よりも小さい。本実施形態では、筒状部20がゴムによって構成されていることから、筒状部20が弾性変形することによって、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220を嵌めることが可能である。
図1に示すように、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた後の状態では、第一接続口21および第二接続口22の各々の内径が拡径される。
【0040】
更に、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められる前の状態において、テーパー面21tのテーパー角は、
図3に示す第一挿入領域31のテーパー面31tのテーパー角とほぼ同じである。本実施形態では、テーパー面21tのテーパー角がテーパー面31tのテーパー角よりも若干小さい。テーパー面31tのテーパー角とテーパー面21tのテーパー角との差は、例えば0.5°以上2.5°以下、更に1°以上2°以下であってもよい。また、テーパー面22tのテーパー角は、
図4に示す第二挿入領域220のテーパー面220tのテーパー角とほぼ同じである。本実施形態では、テーパー面22tのテーパー角がテーパー面220tのテーパー角よりも若干小さい。テーパー面220tのテーパー角とテーパー面22tのテーパー角との差は、例えば0.5°以上2.5°以下、更に1°以上2°以下であってもよい。本実施形態では、テーパー面21tおよびテーパー面22tのそれぞれのテーパー角が約4°であるのに対して、テーパー面31tおよびテーパー面220tのそれぞれのテーパー角が約5°である。
【0041】
その他、本実施形態の接続部材2は、筒状部20の両端にそれぞれ設けられたフランジ板26f、27fを有する。フランジ板26fは、筒状部20の第一接続口21が開口する端面に配置されている。フランジ板27fは、筒状部20の第二接続口22が開口する端面に配置されている。各フランジ板26f、27fは環状体である。第一接続口21および第二接続口22はフランジ板26f、27fによって塞がれていない。フランジ板26f、27fは、例えば、黄銅、アルミニウム合金およびステンレス鋼から選択される金属材料によって構成されている。
【0042】
図1に示すように、フランジ板26fは、第一接続口21に端末部3の第一挿入領域31が嵌められた状態で、フランジ部35fに固定される。フランジ板26fとフランジ部35fとは、ボルトによって締結される。フランジ部35fについては後述する。また、フランジ板27fは、第二接続口22にブッシング210の第二挿入領域220が嵌められた状態で、上述したフランジ部212fに固定される。フランジ板27fとフランジ部212fとは、ボルトによって締結される。
【0043】
外部半導電層20oは電気的に接地されていてもよい。例えば、外部半導電層20oは、電力ケーブル100の端部において露出する遮蔽層104と電気的に接続されていてもよい。通常、電力ケーブル100の遮蔽層104は接地される。そのため、外部半導電層20oは、電力ケーブル100の端部を段剥ぎすることによって露出させた遮蔽層104と接続されることにより、接地することが可能である。外部半導電層20oと上記遮蔽層104とは、例えば、図示しない接地線によって接続されいてもよい。本実施形態では、外部半導電層20oがフランジ板26f、27fに接している。そこで、フランジ板26f、27fのうちのいずれかのフランジ板と遮蔽層104とが接地線によって接続されてもよい。この場合、フランジ板と遮蔽層104とが電気的につながることで、外部半導電層20oが接地されることになる。
【0044】
(端末部)
端末部3は接続用部品1を構成する部品の一つである。ここでは、端末部3について、
図3を主に参照すると共に、
図1などを適宜参照しながら説明する。端末部3は電力ケーブル100の端部に設けられる。端末部3は第一挿入領域31を有する。第一挿入領域31は、
図2に示す接続部材2の第一接続口21に嵌められる。第一挿入領域31は、内部電極32と、絶縁部35とを有する。
【0045】
〈内部電極〉
内部電極32は電力ケーブル100のケーブル導体101につながる。内部電極32は、例えば、銅およびアルミニウムから選択される導電材料によって構成されている。本実施形態の内部電極32の材質はアルミニウムである。内部電極32の形状は丸棒状である。内部電極32の先端部は局所的に太く形成されている。内部電極32の先端部には、
図4に示す接続端子4が接続される。接続端子4については後述する。
図1に示すように、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた状態で、内部電極32とリード導体211とは、筒状部20の中間部の位置で互いの先端同士が向かい合う。内部電極32とリード導体211とは、接続端子4を介して接続される。本実施形態では、
図3に示すように、内部電極32の先端部の端面に凹部32oが形成されている。この凹部32oに接続端子4の第一凸部41が嵌め込まれることによって、内部電極32と接続端子4とが接続される。
【0046】
内部電極32は導体接続部33を含む。導体接続部33は、電力ケーブル100の端部から露出するケーブル導体101の先端に位置する。導体接続部33には、ケーブル導体101が接続される。本実施形態では、
図3に示すように、導体接続部33に挿入穴33oが形成されている。この挿入穴33oにケーブル導体101の先端に設けられた端子金具110が嵌め込まれることによって、導体接続部33にケーブル導体101が接続されている。端子金具110の外周面には、図示しない多面接触子、例えばマルチラムバンド(商品名)が装着されている。本実施形態の導体接続部33は短い丸棒状の部材である。導体接続部33におけるケーブル導体101に近い端面に挿入穴33oが形成されている。導体接続部33における挿入穴33oが設けられた端部とは反対側の端部は半球状の形状を有する。内部電極32は全体としてL字状に構成されている。第一挿入領域31に配置されている内部電極32は、導体接続部33の中心軸から外側に離れる方向に延びている。
【0047】
〈絶縁部〉
絶縁部35は内部電極32を覆う。内部電極32は絶縁部35の中心を貫通している。絶縁部35は、例えば、樹脂およびゴムから選択される絶縁材料によって構成されている。本実施形態の絶縁部35の材質はエポキシ樹脂である。絶縁部35は、電力ケーブル100の端部を覆う被覆部36を含む。被覆部36には、電力ケーブル100の端部を挿入するためのケーブル挿入穴36oが形成されている。被覆部36内には、ストレスコーン120が配置される。絶縁部35は全体としてL字状に構成されている。それは、絶縁部35がL字状の内部電極32の外周を覆うように設けられているからである。本実施形態の絶縁部35は、内部電極32の外周面に樹脂をモールドすることで形成されている。
【0048】
本実施形態の絶縁部35はフランジ部35fを有する。フランジ部35fは、
図2に示す接続部材2のフランジ板26fに固定される。フランジ部35fは、
図1に示すように第一接続口21に第一挿入領域31が嵌められた状態で、フランジ板26fに向かい合う位置に設けられている。
【0049】
本実施形態の第一挿入領域31は、第一挿入領域31の先端に向かって外径が小さくなるテーパー面31tを有する。第一挿入領域31の外周面は円錐台形状に形成されている。第一挿入領域31の先端は、ケーブル導体101から遠い端部である。テーパー面31tのテーパー角は、例えば4°以上7°以下である。テーパー面31tのテーパー角とは、第一挿入領域31の中心軸線とテーパー面31tとがなす角度をいう。本実施形態では、第一挿入領域31は、
図4に示すブッシング210の第二挿入領域220と実質的に同一形状、かつ、同一サイズである。第一挿入領域31と第二挿入領域220とが同一サイズであるとは、第一挿入領域31および第二挿入領域220のそれぞれの長さや外径が同じであることを意味する。更には、テーパー面31tおよびテーパー面220tのそれぞれのテーパー角も実質的に同じである。
【0050】
本実施形態の端末部3の形状はL字状である。端末部3の形状がL字状であるとは、第一挿入領域31が電力ケーブル100の端部の延長方向と交差するように延びていることを意味する。第一挿入領域31は、
図1に示すように、電力ケーブル100の端部の延長方向と直交する方向に延びていてもよい。端末部3の形状がL字状である場合、
図1に示すように、ブッシング210に対して端末部3から延びる電力ケーブル100の向きを直交するように変えることができる。本実施形態とは異なり、第一挿入領域31は、電力ケーブル100の端部の延長方向に延びるように設けられていてもよい。この場合、端末部3の形状はI字状である。
【0051】
(接続端子)
接続端子4は接続用部品1を構成する部品の一つである。ここでは、接続端子4について、
図4を主に参照すると共に、
図1などを適宜参照しながら説明する。
図4に示すブッシング210は、GIS200Gに備えられたGISブッシング210Gである。
図4に示す接続端子4は、GISブッシング210Gに用いられるGIS接続端子4Gである。接続端子4は、
図1に示すように、第一挿入領域31が第一接続口21に嵌められると共に、第二挿入領域220が第二接続口22に嵌められた状態で、内部電極32とリード導体211とを接続する。接続端子4は、例えば、銅およびアルミニウムから選択される導電材料によって構成されている。本実施形態の接続端子4の材質は銅である。
【0052】
本実施形態では、接続端子4は、ブッシング210における第二挿入領域220のリード導体211に取り付けられる。接続端子4は、図示しないボルトによってリード導体211の先端部の端面に固定される。また、本実施形態の接続端子4は第一凸部41を有する。第一凸部41は、内部電極32に設けられた凹部32oに嵌め込まれる。第一凸部41は、接続端子4における内部電極32に向かい合う端部に設けられている。本実施形態とは異なり、接続端子4は、
図3に示す端末部3における第一挿入領域31の内部電極32に取り付けることも可能である。
【0053】
図1および
図4では、接続端子4がGIS接続端子4Gである場合を例に挙げて説明した。
図5を参照して、接続端子4の別の一例を説明する。
図5に示す電力機器200はトランス200Tである。
図5に示すブッシング210は、トランス200Tに備えられたトランスブッシング210Tである。先に、本実施形態のトランスブッシング210Tの構成について説明すると、トランスブッシング210Tの構成は、
図1、
図4に示すブッシング210、即ちGISブッシング210Gの構成と概ね同じである。また、本実施形態では、トランスブッシング210Tの第二挿入領域220と、GISブッシング210Gの第二挿入領域220とが、実質的に同一形状、かつ、同一サイズである。但し、トランスブッシング210Tは、GISブッシング210Gに比べて、筐体201の内側に位置する内側領域が長い。また、トランスブッシング210Tは、上記内側領域における絶縁ブッシング212の外周部に複数の襞が形成されている。本実施形態のトランスブッシング210Tは、
図5に示すように、第二挿入領域220におけるリード導体211の先端に凹部211oが形成されている。
【0054】
図5に示す接続端子4は、トランスブッシング210Tに用いられるトランス接続端子4Tである。トランス接続端子4Tも、
図4に示すGIS接続端子4Gと同様に、図示しないボルトによってリード導体211の先端部の端面に固定される。本実施形態のトランス接続端子4Tは、上述した第一凸部41に加えて、第二凸部42を有する。第二凸部42は、リード導体211に設けられた凹部211oに嵌め込まれる。この凹部211oに第二凸部42が嵌め込まれた状態で、接続端子4がリード導体211に固定される。第二凸部42は、トランス接続端子4Tにおけるリード導体211に向かい合う端部に設けられている。
図5に示すように、リード導体211が凹部211oを有すると共に、接続端子4が第二凸部42を有する場合、上述した接続端子4を内部電極32に取り付ける構成を採用し易い。凹部211oに第二凸部42が嵌め込まれることによって、リード導体211と接続端子4とを適切に接続することが可能である。
【0055】
<電力ケーブルの接続構造>
図1を主に参照して、実施形態に係る電力ケーブルの接続構造10について説明する。接続構造10は、電力機器200に備えられたブッシング210と、ブッシング210に接続される電力ケーブル100と、接続用部品1とを備える。電力機器200およびブッシング210、電力ケーブル100、接続用部品1の各構成については、上述した接続用部品1の実施形態で説明したため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
接続構造10は、接続用部品1によって、電力機器200のブッシング210に電力ケーブル100が接続されている。接続部材2の第一接続口21に端末部3の第一挿入領域31が嵌められると共に、接続部材2の第二接続口22にブッシング210の第二挿入領域220が嵌められている。そして、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた状態で、端末部3の内部電極32とブッシング210のリード導体211とが接続端子4を介して接続されている。
【0057】
<電力ケーブルの接続方法>
図1から
図4を適宜参照して、実施形態に係る電力ケーブルの接続方法について説明する。実施形態に係る電力ケーブルの接続方法は、上述した接続用部品1を用いる。電力ケーブルの接続方法は以下の工程を備える。
工程a.接続用部品1を用意する工程。
工程b.端末部3を取り付けた電力ケーブル100を用意する工程。
工程c.内部電極32またはリード導体211に接続端子4を取り付ける工程。
工程d.第一接続口21に第一挿入領域31を嵌める工程。
工程e.第二接続口22に第二挿入領域220を嵌める工程。
以下、上記各工程について説明する。なお、電力機器200およびブッシング210、電力ケーブル100、接続用部品1の各構成については、上述した接続用部品1の実施形態で説明したため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0058】
(工程a)
工程aは、接続用部品1を用意する工程である。接続用部品1は、
図1から
図4に示すように、接続部材2と、端末部3と、接続端子4とを備える。
【0059】
(工程b)
工程bは、
図3に示すように、電力ケーブル100の端部に端末部3を取り付けた電力ケーブル100を用意する。電力ケーブル100の端部への端末部3の取り付けは、現地で行ってもよいし、予め工場で行ってもよい。予め端末部3が取り付けられた電力ケーブル100を用意すれば、現地での端末部3の取り付け作業を不要にできる。
【0060】
電力ケーブル100の端部への端末部3の取り付けは、次のように行う。端末部3は、内部電極32に絶縁部35が予め成形されたものである。まず、電力ケーブル100の端部を段剥ぎしてケーブル導体101を露出させる。電力ケーブル100の端部を端末部3のケーブル挿入穴36oに挿入して、被覆部36内に電力ケーブル100の端部を配置すると共に、露出させたケーブル導体101を端末部3の内部電極32に接続する。本実施形態では、ケーブル導体101を露出させた後、露出させたケーブル導体101の先端に端子金具110を取り付ける。端子金具110の外周面に、多面接触子を装着する。そして、導体接続部33の挿入穴33oに、ケーブル導体101の先端に設けられた端子金具110を嵌め込む。
【0061】
(工程c)
工程cは、内部電極32またはリード導体211に接続端子4を取り付ける工程である。具体的には、工程cは、接続端子4を、端末部3における第一挿入領域31の内部電極32、またはブッシング210における第二挿入領域220のリード導体211に取り付ける工程である。本実施形態では、
図4に示すように、リード導体211に接続端子4を取り付ける。リード導体211への接続端子4の取り付けは、例えば、ボルトによる締結である。本実施形態とは異なり、接続端子4は内部電極32に取り付けてもよい。
【0062】
(工程d)
工程dは、
図2に示す接続部材2の第一接続口21に第一挿入領域31を嵌める工程である。第一接続口21に第一挿入領域31を嵌めるときは、第一接続口21に第一挿入領域31を押し込むとよい。本実施形態では、第一接続口21に第一挿入領域31を嵌めた後、接続部材2のフランジ板26fと絶縁部35のフランジ部35fとをボルトによって締結する。
【0063】
(工程e)
工程eは、
図2に示す接続部材2の第二接続口22に第二挿入領域220を嵌める工程である。第二接続口22に第二挿入領域220を嵌めるときは、第二接続口22に第二挿入領域220を押し込むとよい。本実施形態では、第二接続口22に第二挿入領域220を嵌めた後、接続部材2のフランジ板27fと絶縁ブッシング212のフランジ部212fとをボルトによって締結する。
【0064】
端末部3を取り付けた電力ケーブル100を用意する上記工程bと、接続端子4を取り付ける上記工程cとは、順序を入れ替えてもよい。第一接続口21に第一挿入領域31を嵌める上記工程dと、第二接続口22に第二挿入領域220を嵌める上記工程eとは、順序を入れ替えてもよいし、同時に行ってもよい。
【0065】
上記工程aから上記工程eにより、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220をそれぞれ嵌めることで、
図1に示すように、内部電極32とリード導体211とを接続端子4を介して接続することができる。
【0066】
実施形態の接続用部品1、電力ケーブルの接続構造10、および電力ケーブルの接続方法は、次の効果を奏する。
【0067】
電力機器200に電力ケーブル100を容易に接続できる。接続用部品1によれば、接続部材2の第一接続口21および第二接続口22の各々に端末部3の第一挿入領域31およびブッシング210の第二挿入領域220がそれぞれ嵌められる。そのため、第一挿入領域31と第二挿入領域220とが、接続部材2の軸方向に互いに向かい合った状態で保持される。第一挿入領域31の内部電極32と第二挿入領域220のリード導体211とが互いに軸方向に位置合わせされた状態で、内部電極32とリード導体211とを接続端子4を介して接続することができる。
【0068】
第一挿入領域31および第二挿入領域220の各領域と筒状部20との接触界面での絶縁破壊特性の向上を図ることができる。本実施形態では、筒状部20がゴムによって構成されている。また、第一接続口21および第二接続口22の各々の内径が、第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められる前の状態において、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各々の外径よりも小さい。第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220がそれぞれ嵌められた状態では、筒状部20が弾性変形している。そのため、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各領域と筒状部20とが密着しつつ、上記各領域と筒状部20との接触界面に面圧が作用する。上記接触界面に面圧が加わることで、絶縁破壊特性が向上する。特に、筒状部20がシリコーンゴムからなる場合は、上記各領域との密着性がよく、上記各領域との接触界面に安定した面圧を確保し易い。そのため、上記接触界面の面圧が低くても、上記接触界面での絶縁破壊特性を良好に維持し易い。
【0069】
第一接続口21および第二接続口22の各々に第一挿入領域31および第二挿入領域220をそれぞれ嵌め易い。本実施形態では、第一接続口21および第二接続口22の各々が、筒状部20の中間部に向かって内径が小さくなるテーパー面21t、テーパー面22tを有する。第一接続口21および第二接続口22の各々は、筒状部20の端面に近いほど内径が大きいため、第一挿入領域31および第二挿入領域220をそれぞれ嵌め易い。また、第一接続口21および第二接続口22の各々がテーパー面21tおよびテーパー面22tを有することで、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各領域と筒状部20との接触界面の面圧を適切かつ均一にし易い。
【0070】
更に、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各々が、それぞれの先端に向かって外径が小さくなるテーパー面31t、テーパー面220tを有する。そのため、第一挿入領域31および第二挿入領域220の各領域と筒状部20とを密着させ易い。加えて、上記各領域と筒状部20との接触界面の面圧を適切かつ均一にし易い。
【0071】
《用途》
実施形態の接続用部品1の用途の具体例を、
図6、
図7を参照して説明する。
【0072】
(電力機器の故障時のバイパス用)
接続用部品の使用例は、二つの電力機器のうちのいずれかの電力機器が故障したとき、残りの健全な電力機器に電力ケーブルを接続し、電力ケーブルにより代替の電力機器にバイパスする場合である。
図6は、GIS200Gとトランス200Tのうち、トランス200Tが故障した場合に、健全なGIS200Gと代替のトランス(図示せず)とを電力ケーブル100により接続した例を示している。この場合、
図6に示すように、接続用部品1によって、GIS200GのGISブッシング210Gに電力ケーブル100を接続する。電力ケーブル100のGISブッシング210Gに接続される端部には、端末部3が取り付けられている。ここでは図示していないが、電力ケーブル100におけるGISブッシング210Gから遠い端部は、代替のトランスのトランスブッシングに接続されている。電力ケーブル100の上記遠い端部も、接続用部品によって、トランスブッシングに接続されている。
【0073】
本実施形態の端末部3の形状はL字状である。そのため、GISブッシング210Gに対して端末部3から延びる電力ケーブル100の向きを直交するように変えることができる。
図6に示すように、GISブッシング210Gとトランスブッシング210Tとが向かい合って近接していても、電力ケーブル100がGIS200Gやトランス200Tに干渉しないように布設し易い。
【0074】
(電力機器の出荷試験用)
接続用部品の別の使用例は、電力機器の出荷試験において、電力機器に電力ケーブルを接続し、電力機器と試験装置との間を電力ケーブルで接続する場合である。出荷試験は、耐電圧試験などである。
図7は、GIS200Gと耐電圧試験用の気中端末300とを電力ケーブル100により接続した例を示している。
図7に示すように、接続用部品1によって、GIS200GのGISブッシング210Gに電力ケーブル100を接続する。耐電圧試験は、気中端末300から課電することにより行う。気中端末300は架台350に設置されている。気中端末300は、公知のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 接続用部品
10 接続構造
2 接続部材
20 筒状部
20i 内部半導電層
20o 外部半導電層
21 第一接続口、22 第二接続口
21t、22t テーパー面
26f、27f フランジ板
3 端末部
31 第一挿入領域、31t テーパー面
32 内部電極、32o 凹部
33 導体接続部、33o 挿入穴
35 絶縁部
36 被覆部、36o ケーブル挿入穴
35f フランジ部
4 接続端子
4G GIS接続端子、4T トランス接続端子
41 第一凸部、42 第二凸部
100 電力ケーブル
101 ケーブル導体、102 絶縁層
103 外部半導電層、104 遮蔽層、105 シース
110 端子金具、120 ストレスコーン
200 電力機器
200G GIS、200T トランス
201 筐体
202 取付部
210 ブッシング
210G GISブッシング、210T トランスブッシング
211 リード導体、212 絶縁ブッシング
211o 凹部
212f フランジ部
220 第二挿入領域、220t テーパー面
300 気中端末、350 架台