(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000371
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B01J19/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099120
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】要田 涼介
(72)【発明者】
【氏名】楠本 佳宏
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA22
4G075AA61
4G075BA04
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB31
4G075EC01
4G075EC06
4G075EC21
(57)【要約】
【課題】ランプをより適切に冷却する。
【解決手段】紫外線照射装置10は、照射ユニット20と、空冷ユニット40と、を備えている。照射ユニット20は、紫外線を照射する第1ランプ21A~第4ランプ21Dを有している。空冷ユニット40は、メイン配管41と、第1分岐配管42Aと、第2分岐配管42Bと、第1風量調整機構52Aと、第2風量調整機構52Bと、を有している。第1分岐配管42Aは、メイン配管41から分岐している。第2分岐配管42Bは、メイン配管41から分岐している。第1風量調整機構52Aは、第1分岐配管42Aに取り付けられている。第2風量調整機構52Bは、第2分岐配管42Bに取り付けられている。第1分岐配管42A及び第2分岐配管42Bは、個別に流量調整が可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射するランプを有する照射ユニットと、
前記ランプをガスで冷却するための空冷ユニットと、
を備えており、
前記空冷ユニットは、
圧送されたガスが流れるメイン配管と、
前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第1分岐配管と、
前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第2分岐配管と、
前記第1分岐配管に取り付けられており、当該第1分岐配管を流れるガスの量を調整できる第1風量調整機構と、
前記第2分岐配管に取り付けられており、当該第2分岐配管を流れるガスの量を調整できる第2風量調整機構と、
を有しており、
前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構は、個別に流量調整が可能である
紫外線照射装置。
【請求項2】
前記照射ユニットは、前記ランプを第1ランプとしたとき、紫外線を照射する第2ランプをさらに有しており、
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口とし、前記第2分岐配管の下流側の開口を第2吐出口としたとき、
前記第1吐出口は、前記第1分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第1分岐配管と前記第1ランプとが重なる方向を向いており、
前記第2吐出口は、前記第2分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第2分岐配管と前記第2ランプとが重なる方向を向いている
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記空冷ユニットは、圧送されるガスの圧力を調整するレギュレータをさらに備え、
前記レギュレータは、前記メイン配管に取り付けられている
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記ランプは、光を発する発光管体と、前記発光管体の内部に電力を供給するための電極と、を有しており、
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口としたとき、
前記第1吐出口は、前記第1分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第1分岐配管と前記電極とが重なる方向を向いている
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記ランプを冷却水によって冷却する水冷ユニットをさらに備えている
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口としたとき、
前記水冷ユニットは、前記ランプを挟んで、前記第1吐出口が存在している側とは反対側に位置している
請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記ランプは、水銀ランプである
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記照射ユニットは、前記ランプを第1ランプとしたとき、紫外線を照射する第2ランプをさらに有しており、
前記制御ユニットは、
前記第1ランプの照射強度と前記第2ランプの照射強度とが同じ強度となるように、前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構を制御する
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紫外線照射装置が開示されている。この紫外線照射装置は、紫外線を照射する複数のランプと、これらのランプをガスで冷却する空冷ユニットと、を有している。空冷ユニットは、圧送されたガスが流れるメイン配管と、メイン配管から分岐した複数のノズルと、を備えている。ノズルは、ランプと同数存在している。各ノズルにおける下流側の開口は、各ランプを向いている。したがって、メイン配管に圧送されたガスは、ノズルから各ランプに向かって噴射される。そして、ランプは、噴射されたガスが当たることにより冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような紫外線照射装置の空冷ユニットでは、各ノズルの形状が同じであれば、各ノズルから同程度の量のガスが噴射される。そのため、空冷ユニットは、各ランプを一様に冷却してしまう。しかしながら、紫外線照射装置の駆動時において、各ランプの温度が一様であるとは限らないし、同一のランプであっても箇所毎に温度が一様であるとは限らない。したがって、従来の紫外線照射装置では、各ランプの温度の差、ランプの箇所毎の温度の差などに応じて適切にランプを冷却できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、紫外線を照射するランプを有する照射ユニットと、前記ランプをガスで冷却するための空冷ユニットと、を備えており、前記空冷ユニットは、圧送されたガスが流れるメイン配管と、前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第1分岐配管と、前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第2分岐配管と、前記第1分岐配管に取り付けられており、当該第1分岐配管を流れるガスの量を調整できる第1風量調整機構と、前記第2分岐配管に取り付けられており、当該第2分岐配管を流れるガスの量を調整できる第2風量調整機構と、を有しており、前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構は、個別に流量調整が可能である紫外線照射装置である。
【0006】
上記構成によれば、第1風量調整機構によって、第1分岐配管を流れるガスの量を調整できる。また、第2風量調整機構によって、第2分岐配管を流れるガスの量を、第1分岐配管を流れるガスの量とは別個に調整できる。そのため、第1分岐配管を流れるガスの量と、第2分岐配管を流れるガスの量と、を別々に調整できる。その結果、各ランプの温度の違いに合わせて、第1分岐配管から噴射されるガスの量と第2分岐配管から噴射されるガスの量とを調整できる。
【発明の効果】
【0007】
紫外線照射装置のランプを適切に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、紫外線照射装置を示す全体斜視図である。
【
図2】
図2は、紫外線照射装置を示す側面図である。
【
図3】
図3は、紫外線照射装置を示す正面図である。
【
図4】
図4は、紫外線照射装置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
以下、紫外線照射装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図面中のものと異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、紫外線照射装置10は、照射ユニット20と、水冷ユニット30と、空冷ユニット40と、制御ユニット60と、照射テーブル70と、を備えている。なお、
図1及び
図2では、制御ユニット60を省略している。
【0011】
<照射ユニット>
照射ユニット20は、複数のランプ21を備えている。ランプ21は、紫外線を照射するランプである。具体的には、ランプ21は、水銀ランプである。ランプ21は、全体として円管状となっている。複数のランプ21は、図示しないケーシングにより支持されている。
【0012】
図2に示すように、ランプ21は、発光管体22と、2つの電極23と、を有している。発光管体22は、紫外線を発する。発光管体22は、円管状となっている。また、発光管体22は、中央部分で180度曲がっている。発光管体22は、180度曲がっている箇所を除いて、直線状に延びている。つまり、発光管体22は、U字状である。
【0013】
電極23は、図示しない電源からの電力を、発光管体22の内部に供給する。各電極23は、発光管体22の両端に繋がっている。上述のとおり、発光管体22がU字状であることから、2つの電極23は、互いに隣り合っている。
【0014】
なお、以下の説明では、
図1に示すように、発光管体22のうち直線状に延びている箇所と平行な軸を第1軸Xとし、第1軸Xに直交する軸の1つを第2軸Yとする。この例では、1つのランプ21において、直線状に延びる2つの箇所が隣り合っている向きに平行な軸を第2軸Yとする。また、第1軸X及び第2軸Yのいずれにも直交する軸を第3軸Zとする。
【0015】
さらに、第1軸Xに沿う方向の一方を第1正方向X1とし、第1軸Xに沿う方向のうち第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向の一方を第2正方向Y1とし、第2軸Yに沿う方向のうち第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。そして、第3軸Zに沿う方向の一方を第3正方向Z1とし、第3軸Zに沿う方向のうち第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0016】
本実施形態のランプ21の数は、4つである。複数のランプ21は、直線状に延びている箇所が互いに平行に位置するように並んでいる。本実施形態では、第2軸Yに沿って、4つのランプ21が並んでいる。なお、4つのランプ21を区別して称呼するときは、最も第2正方向Y1側に位置するランプ21を第1ランプ21Aとする。そして、第1ランプ21Aから第2負方向Y2に向かって順に、第2ランプ21B、第3ランプ21C、第4ランプ21Dとする。
【0017】
照射ユニット20は、反射板24を備えている。反射板24は、ランプ21が照射した光を反射する。
図2に示すように、反射板24は、ランプ21に対して、第3正方向Z1側に位置している。照射ユニット20は、図示しないケーシングにより支持されている。
【0018】
図4に示すように、第3負方向Z2を向いて視たときに、反射板24は、四角形状である。また、第3負方向Z2を向いて視たときに、反射板24は、4つのランプ21の発光管体22のすべてを第3正方向Z1側から覆っている。
【0019】
図2に示すように、照射テーブル70の一部は、照射ユニット20から視て第3負方向Z2側に位置している。照射テーブル70の主面は、第3正方向Z1を向いている。すなわち、照射テーブル70の主面は、照射ユニット20における各ランプ21と向かい合っている。なお、
図2では、照射テーブル70のうち、照射ユニット20から視て第3負方向Z2側の部分のみを図示し、その他の部分の図示を省略している。
【0020】
図2に示すように、照射テーブル70の主面上には、照射対象物90が配置される。照射対象物90は、図示を省略するアーム型の産業用ロボット等によって、照射テーブル70の主面上に配置される。また、照射テーブル70の主面上には、複数の紫外線センサ80が設置されている。紫外線センサ80は、照射ユニット20から照射される紫外線の照射強度を検出する。
【0021】
図2に示すように、照射ユニット20は、ランプカバー25と、排気ダクト26と、を有している。ランプカバー25は、図示しないケーシングにより支持されている。ランプカバー25は、第3正方向Z1側が凸となるドーム形状である。ランプカバー25は、第3負方向Z2を向いて視たときに、ランプ21及び反射板24を全て覆っている。
【0022】
排気ダクト26は、筒状である。排気ダクト26は、ランプカバー25における最も第3正方向Z1側の部分に接続している。排気ダクト26は、ランプカバー25から第3正方向Z1に向けて延びている。排気ダクト26は、ランプカバー25を貫通している。排気ダクト26は、図示を省略するファンによって、ランプカバー25内のランプカバー25の外部へと排気する。第3負方向Z2を向いて視たとき、排気ダクト26は、ランプカバー25の概ね中央に位置している。
【0023】
<水冷ユニット>
図1に示すように、水冷ユニット30は、複数のランプ21に対して、第3正方向Z1側に位置している。水冷ユニット30は、図示しないケーシングに支持されている。水冷ユニット30は、内部に冷却水の通る冷却水路が区画されたブロック体である。水冷ユニット30の冷却水路には、図示を省略するポンプから冷却水が流される。
【0024】
水冷ユニット30は、第1軸Xに沿う寸法、及び第3軸Zに沿う寸法よりも、第2軸Yに沿う寸法が大きくなっている。すなわち、水冷ユニット30は、第2軸Yに長尺な形状である。第3負方向Z2を向いて視たときに、水冷ユニット30は、すべてのランプ21の電極23を覆っている。水冷ユニット30は、ランプ21を挟んで、後述する空冷ユニット40が存在している側とは反対側に位置している。また、水冷ユニット30は、各電極23に接触している。
【0025】
<空冷ユニット>
空冷ユニット40は、複数のランプ21をガスで冷却するユニットである。空冷ユニット40は、図示しないケーシングに支持されている。空冷ユニット40は、メイン配管41と、2つの中間配管42と、4つの分岐配管43と、を備えている。
【0026】
メイン配管41は、図示を省略する圧送源から圧送されたガスが流れる配管である。本実施形態では、ガスは、空気である。2つの中間配管42は、メイン配管41の下流端に繋がっている。そのため、2つの中間配管42は、メイン配管41から2つに分岐している。
【0027】
図3に示すように、メイン配管41は、第3軸Zと略平行に延びている。2つの中間配管42は、メイン配管41の下流端から、第2正方向Y1と、第2負方向Y2と、へそれぞれ延びている。2つの中間配管42のうち、第2正方向Y1へ向かって延びている配管を、第1中間配管42Aとする。また、2つの中間配管42のうち、第2負方向Y2へ向かって延びている配管を、第2中間配管42Bとする。
【0028】
4つの分岐配管43は、第1中間配管42A又は第2中間配管42Bを介して、メイン配管41から分岐している。分岐配管43は、照射ユニット20にガスを噴射する配管である。
【0029】
具体的には、4つの分岐配管43のうち、第1分岐配管43A及び第2分岐配管43Bは、第1中間配管42Aの下流端に繋がっている。第1分岐配管43Aは、第1ランプ21Aの電極23に向かって延びている。そのため、第1分岐配管43Aの下流側の開口を第1吐出口44Aとしたとき、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aの電極23を向いている。また、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aを挟んで、水冷ユニット30が存在している側とは反対側に位置している。さらに、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aを挟んで、反射板24が存在している側とは反対側に位置している。すなわち、第1吐出口44Aから噴射されるガスは、第1ランプ21Aの下側から上側に向けて、重力方向とは反対方向に噴射される。
【0030】
なお、第1吐出口44Aが、第1ランプ21Aの電極23に向いているとは、第1分岐配管43Aの下流側の端を、仮想的に延長した場合に、第1分岐配管43Aと第1ランプ21Aの電極23とが重なることである。他の配管についても同様である。
【0031】
第2分岐配管43Bは、第2ランプ21Bの電極23に向かって延びている。第2分岐配管43Bの下流側の開口を第2吐出口44Bとしたとき、第2吐出口44Bは、第2ランプ21Bの電極23を向いている。
【0032】
また、4つの分岐配管43のうち、第3分岐配管43C及び第4分岐配管43Dは、第2中間配管42Bの下流端に繋がっている。第3分岐配管43Cは、第3ランプ21Cの電極23に向かって延びている。第3分岐配管43Cの下流側の開口を第3吐出口44Cとしたとき、第3吐出口44Cは、第3ランプ21Cの電極23を向いている。
【0033】
第4分岐配管43Dは、第4ランプ21Dの電極23に向かって延びている。第4分岐配管43Dの下流側の開口を第4吐出口44Dとしたとき、第4吐出口44Dは、第4ランプ21Dの電極23を向いている。
【0034】
メイン配管41の下流端から第1吐出口44Aまでの配管の長さは、メイン配管41の下流端から第4吐出口44Dまでの配管の長さと等しい。また、メイン配管41の下流端から第2吐出口44Bまでの配管の長さは、メイン配管41の下流端から第3吐出口44Cまでの配管の長さと等しい。
【0035】
空冷ユニット40は、レギュレータ51と、複数の風量調整機構52と、を備えている。レギュレータ51は、圧送されるガスの圧力を調整する。レギュレータ51は、メイン配管41に取り付けられている。
【0036】
風量調整機構52は、取り付けられる配管を流れるガスの量を調整できる機構である。具体的には、本実施形態では、風量調整機構52は、圧力調整が可能な電磁式のバルブである。風量調整機構52は、分岐配管43のうち、風量調整機構52から視て下流側のガスの圧力を1kPa以下の単位で調整できる。
【0037】
本実施形態では、風量調整機構52の数は、分岐配管43の数と同じで4つである。風量調整機構52は、各分岐配管43に取り付けられている。そして、各風量調整機構52は、個別に流量調整が可能である。つまり、各風量調整機構52は連動しておらず、他の風量調整機構52の制御状態とは無関係に流量調整が可能である。
【0038】
なお、風量調整機構52を区別して称呼するときには、第1分岐配管43Aに取り付けられている風量調整機構52を、第1風量調整機構52Aとする。また、第2分岐配管43Bに取り付けられている風量調整機構52を、第2風量調整機構52Bとする。第3分岐配管43Cに取り付けられている風量調整機構52を、第3風量調整機構52Cとする。第4分岐配管43Dに取り付けられている風量調整機構52を、第4風量調整機構52Dとする。
【0039】
図2に示すように、空冷ユニット40は、遮光板55を有する。遮光板55は、風量調整機構52とランプ21との間に介在している。ただし、各分岐配管43における風量調整機構52から視て下流側の部分は、遮光板55を貫通している。つまり、各分岐配管43における下流端を含む一部は、遮光板55から視てランプ21の側に位置している。遮光板55は、風量調整機構52、レギュレータ51、メイン配管41等に、紫外線が照射されることを遮る。
【0040】
<制御ユニット>
図3に示すように、制御ユニット60は、レギュレータ51及び各風量調整機構52を制御する。制御ユニット60は、図示は省略するが、CPUとROMとを有している。特に、ROMは、各風量調整機構52を制御するためのプログラムを記憶している。制御ユニット60のCPUは、上記プログラムの実行可能である。制御ユニット60のCPUがプログラムを実行することにより、制御ユニット60は、各風量調整機構52の制御を通じて各ランプ21の空冷の程度を調整する。制御ユニット60のCPUは、当該プログラムを実行すると、以下の調整制御を行う。なお、以下の調整制御は、照射対象物90を照射テーブル70に載せていない状態、つまり、紫外線センサ80への紫外線が遮られない状態で実施される。
【0041】
制御ユニット60は、調整制御において、各ランプ21の照射強度がすべて同じ強度となるように、各風量調整機構52の開度を調整する。具体的には、制御ユニット60は、各紫外線センサ80の検出する照射強度が同一となるように、各風量調整機構52の開度を調整する。なお、
図3には、各風量調整機構52のそれぞれの操作信号MS1~MS4を記載している。
【0042】
なお、ランプ21の照射強度は、ランプ21の温度によって変動する。ランプ21の照射強度は、特定の温度域のときに、強度が相応に高く安定しやすくなる。そのため、風量調整機構52の開度を調整することにより、各分岐配管43から噴出されるガスの勢いが調整される結果、ランプ21の温度が調整される。
【0043】
(実施形態の作用について)
上記実施形態によれば、ランプ21は、発光管体22から紫外線を発するのに伴って発熱する。特に、ランプ21のうちの電極23は、当該電極23に電力が供給される際の電気抵抗により高温になりやすい。また、照射ユニット20の使用中に、排気ダクト26を通じてガスが排出される。このとき、排気ダクト26に向かって流れるガスにより、各ランプ21が冷却される。その一方で、排気ダクト26と各ランプ21との位置関係が、すべてのランプ21について同一でないことから、ランプ21毎に温度に差が生じ得る。また、4つのランプ21のうち、第2ランプ21B及び第3ランプ21Cは、他のランプ21に挟まれている。そのため、これら第2ランプ21B及び第3ランプ21Cについては、他のランプ21が発した熱により、高温になりやすい。
【0044】
(実施形態の効果について)
なお、以下では、第1ランプ21A~第4ランプ21Dに共通の効果については、第1ランプ21Aの効果を代表で説明する。
【0045】
(1)上記実施形態によれば、第1風量調整機構52Aによって、第1分岐配管43Aを流れるガスの量を調整できる。また、第2風量調整機構52Bによって、第2分岐配管43Bを流れるガスの量を、第1分岐配管43Aを流れるガスの量とは別個に調整できる。そのため、第1分岐配管43Aを流れるガスの量と、第2分岐配管43Bを流れるガスの量と、を別々に調整できる。その結果、第1ランプ21Aと第2ランプ21Bとの温度の違いに合わせて、第1分岐配管43Aから噴射されるガスの量と第2分岐配管43Bから噴射されるガスの量とを調整できる。
【0046】
(2)上記実施形態によれば、第1吐出口44Aは第1ランプ21Aを向いており、第2吐出口44Bは第2ランプ21Bを向いている。これにより、第1分岐配管43Aを流れるガスの量と、第2分岐配管43Bを流れるガスの量と、を別々に調整することで、第1ランプ21Aと第2ランプ21Bとのそれぞれについて、個別に冷却の程度を調整できる。
【0047】
(3)例えば、第4吐出口44Dから噴射されるガスの量を第1吐出口44Aから噴射されるガスの量と同等にするように、第1風量調整機構52A及び第4風量調整機構52Dを制御することがある。上記実施形態によれば、メイン配管41の下流端から第1吐出口44Aまでの配管の長さは、メイン配管41の下流端から第4吐出口44Dまでの配管の長さと等しい。そのため、第4風量調整機構52Dは、第1風量調整機構52Aと同様の制御をすれば、第4吐出口44Dから噴射されるガスの量を第1吐出口44Aから噴射されるガスの量と同等にできる。つまり、第4吐出口44Dから噴射されるガスの量を第1吐出口44Aから噴射されるガスの量と同等に調整する上で、第4風量調整機構52Dの制御を簡略化できる。この点、上記実施形態によれば、メイン配管41の下流端から第2吐出口44Bまでの配管の長さは、メイン配管41の下流端から第3吐出口44Cまでの配管の長さと等しい。そのため、第3吐出口44Cから噴射されるガスの量を第2吐出口44Bから噴射されるガスの量と同等に調整する上で、第3風量調整機構52Cは、第2風量調整機構52Bと同様の制御をすればよい。よって、第3吐出口44Cから噴射されるガスの量を第2吐出口44Bから噴射されるガスの量と同等に調整する上で、第3風量調整機構52Cの制御を簡略化できる。
【0048】
(4)上記実施形態によれば、空冷ユニット40は、レギュレータ51をさらに備えている。レギュレータ51により、メイン配管41のガスの圧力を調整することで、各分岐配管43を流れるガスの圧力の変動を抑えることができる。
【0049】
(5)上記実施形態によれば、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aの電極23を向いている。上述したように、第1ランプ21Aのうち、電極23が最も発熱しやすい。そのため、第1吐出口44Aから噴射されるガスを電極23に衝突させることで、空冷ユニット40による冷却を効率よくできる。
【0050】
(6)上記実施形態によれば、第1吐出口44Aから噴射されるガスは、第1ランプ21Aの下側から上側に向けて噴射される。そのため、第1ランプ21Aに噴射されて高温となったガスを、排気ダクト26から効率よく排気することができる。
【0051】
(7)また、上記実施形態によれば、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aを挟んで、反射板24が存在している側と反対側に位置している。そのため、第3正方向Z1を向いて反射板24を視たとき、反射板24の大きさを、第1吐出口44Aと干渉せずに大きく設定することができる。反射板24の大きさを大きく設定することで、反射板24からの反射光を強くすることができる。
【0052】
(8)上記実施形態によれば、水冷ユニット30は、第1ランプ21Aを挟んで、第1吐出口44Aが存在している側とは反対側に位置している。そのため、第1ランプ21Aを、水冷ユニット30と空冷ユニット40とで、両側から冷却することができる。
【0053】
(9)上記実施形態によれば、ランプ21は、水銀ランプである。水銀ランプは、比較的発熱しやすいため、水冷ユニット30及び空冷ユニット40による冷却の効果を得やすい。
【0054】
(10)上記実施形態によれば、制御ユニット60は、調整制御によって、各ランプ21の照射強度がすべて同じ強度となるように、各風量調整機構52を制御する。そのため、照射テーブル70の主面上において、箇所毎の紫外線の強度むらが生じにくい。
【0055】
(その他の実施形態)
上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0056】
・ランプ21の構成は、上記実施形態の例に限られない。ランプ21が全体として直線状に延びていてもよい。
・ランプ21は、水銀ランプに限られない。ランプ21は、LEDランプなど、紫外線を照射できるものであれば、構わない。また、複数のランプ21は、互いに異なる種類であっても構わない。
【0057】
・水冷ユニット30の設置個所は、第1ランプ21Aを挟んで第1吐出口44Aが存在している側とは反対側には限られない。例えば、水冷ユニット30は、4つのランプ21に対して、第3負方向Z2側に位置していてもよい。また、紫外線照射装置10から水冷ユニット30を省いてもよい。
【0058】
・空冷ユニット40から、レギュレータ51は省いてもよい。
・空冷ユニット40から、中間配管42は省いてもよい。分岐配管43がメイン配管41から直接分岐していてもよい。
【0059】
・分岐配管43の数は、3本であってもよいし、5本以上であってもよい。少なくとも2本あればよい。また、風量調整機構52の数は、分岐配管43の数に合わせて変更すればよい。なお、分岐配管43の数が3本以上である場合、風量調整機構52が取り付けられていない分岐配管43があっても構わない。
【0060】
・第1中間配管42Aに繋がっている分岐配管43の数と、第2中間配管42Bに繋がっている分岐配管43の数とは、異なっていても構わない。
・第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aの電極23を向いていなくてもよい。例えば、第1吐出口44Aは、第1ランプ21Aの発光管体22を向いていてもよい。照射ユニット20全体の構造によって、局所的に発熱しやすい箇所があれば、第1吐出口44Aは、当該箇所を向いていてもよい。局所的に発熱しやすい箇所とは、例えば、排気ダクト26から相応の距離がある箇所である。この点、第2吐出口44B、第3吐出口44C、及び第4吐出口44Dについても同様である。
【0061】
・第1吐出口44Aと第2吐出口44Bとが、同一のランプ21を向いていてもよい。同一のランプ21であっても、隣り合うランプ21との距離が異なっていたり、排気ダクト26からの距離が異なっていたりすれば、箇所毎に温度差が生じ得る。
【0062】
・第1吐出口44Aは、隣り合う電極23の間を向いていてもよい。これにより、複数の電極23の隣り合う距離が小さい場合には、第1吐出口44Aから噴射されるガスによって、隣り合う電極23のいずれをも効率よく冷却することができる。
【0063】
・レギュレータ51から各風量調整機構52までの距離が同一であると好ましい。このように各配管の長さを調整すると、各分岐配管43から噴射されるガスの圧力が均一となりやすい。
【0064】
・風量調整機構52の構成は、電磁式のバルブに限られない。例えば、風量調整機構52は、ユーザが操作することにより流量の調整が可能な機械式のバルブであってもよい。さらに、風量調整機構52は、バルブに限られない。例えば、風量調整機構52は、ガスを送風可能なファンを有していてもよい。この場合であっても、ファンの回転数を調整することで、各分岐配管43を流れる風量を調整できる。
【0065】
・制御ユニット60は、調整制御において、各ランプ21の温度が同一となるように、各風量調整機構52を調整してもよい。この場合、各ランプ21の温度を温度センサによって検出すればよい。
【0066】
・制御ユニット60は、照射対象物90に紫外線を照射するのと並行して、調整制御を実行してもよい。各紫外線センサ80への紫外線が、照射対象物90に遮られないのであれば、調整制御の実行に差支えはない。
【0067】
・制御ユニット60は、調整制御を、第1ランプ21A及び第2ランプ21Bのみを制御対象として実行してもよい。同様に、制御ユニット60は、調整制御を、第2ランプ21B及び第3ランプ21Cのみを制御対象としてもよいし、4つのランプ21のうちの3つのみを対象としてもよい。また、制御ユニット60は、調整制御を実行しなくてもよい。なお、風量調整機構52を電気的に制御しないのであれば、紫外線照射装置10から制御ユニット60を省いてもよい。
【0068】
・制御ユニット60は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記各実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御ユニット60は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0069】
・上記実施形態において、各ユニットを支持しているケーシングは、複数の部材からなっていてもよいし、1つの部材からなっていてもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0070】
<1>
紫外線を照射するランプを有する照射ユニットと、
前記ランプをガスで冷却するための空冷ユニットと、
を備えており、
前記空冷ユニットは、
圧送されたガスが流れるメイン配管と、
前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第1分岐配管と、
前記メイン配管から分岐し、前記照射ユニットにガスを噴射する第2分岐配管と、
前記第1分岐配管に取り付けられており、当該第1分岐配管を流れるガスの量を調整できる第1風量調整機構と、
前記第2分岐配管に取り付けられており、当該第2分岐配管を流れるガスの量を調整できる第2風量調整機構と、
を有しており、
前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構は、個別に流量調整が可能である
紫外線照射装置。
【0071】
<2>
前記照射ユニットは、前記ランプを第1ランプとしたとき、紫外線を照射する第2ランプをさらに有しており、
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口とし、前記第2分岐配管の下流側の開口を第2吐出口としたとき、
前記第1吐出口は、前記第1分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第1分岐配管と前記第1ランプとが重なる方向を向いており、
前記第2吐出口は、前記第2分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第2分岐配管と前記第2ランプとが重なる方向を向いている
<1>に記載の紫外線照射装置。
【0072】
<3>
前記空冷ユニットは、圧送されるガスの圧力を調整するレギュレータをさらに備え、
前記レギュレータは、前記メイン配管に取り付けられている
<1>又は<2>に記載の紫外線照射装置。
【0073】
<4>
前記ランプは、光を発する発光管体と、前記発光管体の内部に電力を供給するための電極と、を有しており、
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口としたとき、
前記第1吐出口は、前記第1分岐配管の下流側の端を仮想的に延長した場合に、前記第1分岐配管と前記電極とが重なる方向を向いている
<1>から<3>のいずれか1つに記載の紫外線照射装置。
【0074】
<5>
前記ランプを冷却水によって冷却する水冷ユニットをさらに備えている
<1>から<4>のいずれか1つに記載の紫外線照射装置。
【0075】
<6>
前記第1分岐配管の下流側の開口を第1吐出口としたとき、
前記水冷ユニットは、前記ランプを挟んで、前記第1吐出口が存在している側とは反対側に位置している
<5>に記載の紫外線照射装置。
【0076】
<7>
前記ランプは、水銀ランプである
<1>から<6>のいずれか1つに記載の紫外線照射装置。
【0077】
<8>
前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記照射ユニットは、前記ランプを第1ランプとしたとき、紫外線を照射する第2ランプをさらに有しており、
前記制御ユニットは、
前記第1ランプの照射強度と前記第2ランプの照射強度とが同じ強度となるように、前記第1風量調整機構及び前記第2風量調整機構を制御する
<1>から<7>のいずれか1つに記載の紫外線照射装置。
【符号の説明】
【0078】
10…紫外線照射装置
20…照射ユニット
21…ランプ
21A…第1ランプ
21B…第2ランプ
21C…第3ランプ
21D…第4ランプ
22…発光管体
23…電極
24…反射板
25…ランプカバー
26…排気ダクト
30…水冷ユニット
40…空冷ユニット
41…メイン配管
42…中間配管
42A…第1中間配管
42B…第2中間配管
43…分岐配管
43A…第1分岐配管
43B…第2分岐配管
43C…第3分岐配管
43D…第4分岐配管
44A…第1吐出口
44B…第2吐出口
44C…第3吐出口
44D…第4吐出口
51…レギュレータ
52…風量調整機構
52A…第1風量調整機構
52B…第2風量調整機構
52C…第3風量調整機構
52D…第4風量調整機構
55…遮光板
60…制御ユニット
70…照射テーブル
80…紫外線センサ
90…照射対象物