(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037104
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】皮膚シール
(51)【国際特許分類】
A45D 44/00 20060101AFI20240311BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240311BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A45D44/00 Z
A61K8/02
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141771
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】592091220
【氏名又は名称】株式会社コスモテック
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 友伸
(72)【発明者】
【氏名】フォンセカ サンパット
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 暁隆
(72)【発明者】
【氏名】星野 一樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083BB21
4C083CC11
4C083DD12
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】皮膚(すなわち肌)に対して目立つことがないにも拘らず、皮膚上の模様を確実に隠すことができる皮膚シールを提供する。
【解決手段】人の皮膚に貼られる皮膚シール1であって、ベース材2と、セパレータ3と、ベース材2を剥がすための剥離剤層5と、セパレータ3上に設けられた粘着剤層8と、剥離剤層5と粘着剤層8との間に設けられた弾性層6とを有しており、セパレータ3を当該セパレータ3に接触している層から剥離するための力をP1とし、剥離剤層5を当該剥離剤層5にベース材2の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、粘着剤層8を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、P1<P2<P3であり、さらに、肌の模様を表示する第1のインク層7aと、皮膚を隠すための第2のインク層7bとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の皮膚に貼られる皮膚シールであって、
ベース材と、
セパレータと、
前記ベース材を剥がすための剥離剤層と、
前記セパレータ上に設けられた粘着剤層と、
前記剥離剤層と前記粘着剤層との間に設けられた弾性層と、を有しており、
前記セパレータを当該セパレータに接触している層から剥離するための力をP1とし、
前記剥離剤層を当該剥離剤層に前記ベース材の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、
前記粘着剤層を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、
P1<P2<P3
であり、
さらに、肌の模様を表示する第1のインク層と、皮膚を隠すための第2のインク層とを有する
ことを特徴とする皮膚シール。
【請求項2】
前記第1のインク層は、肌色の濃淡を秩序だって又は無秩序に平面内で変化させることによって肌の模様を表現した層である
ことを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項3】
前記第1のインク層は、カメラ撮影によって得た肌の画像データをプリンタを用いてインクによって平面的に描いた肌色の模様の絵を含んでおり、
前記インクは前記肌の模様を表示するための顔料又は染料を含んでいる
ことを特徴とする請求項2記載の皮膚シール。
【請求項4】
前記プリンタは、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、又はオフセット印刷プリンタであることを特徴とする請求項3載の皮膚シール。
【請求項5】
前記第2のインク層は、不透明な肌色又は不透明な白色を平面内で一様に着色した層である
ことを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項6】
前記第2のインク層は、シルクスクリーン印刷によって形成されることを特徴とする請求項5記載の皮膚シール。
【請求項7】
前記第1のインク層が前記第2のインク層よりも先に形成され、その上に前記第2のインク層が形成されること特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項8】
ベース材上にマット層が設けられることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項9】
前記ベース材は、前記第1のインク層又は前記第2のインク層を視覚によって認識できる程度の光透過性を有していることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項10】
前記第1のインク層の周辺領域及び/又は前記第2のインク層の周辺領域は、外側へ向けて濃度が徐々に薄くなるグラデーション領域であることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の皮膚に付いている模様、例えばタトゥー、傷、アザ、シミを隠すための皮膚シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しみやそばかす等といった肌の濃色部分を隠すための皮膚シールが、特許文献1に開示されている。この皮膚シールは粘着剤層を含んでおり、この粘着剤層の表面にセパレータが粘着されていた。この皮膚シールを人の皮膚に貼付ける際には、まず、セパレータを粘着剤層から剥がし、次に粘着剤層を人の皮膚に貼付ける。これにより、皮膚シールの全体が人の皮膚の表面に貼付けられる。
【0003】
また、上記の従来の皮膚シールはインク層を有していた。このインク層は肌色のベタ印刷の平面領域を有していた。この肌色の印刷領域は、例えばスクリーン印刷によって形成されていた。このインク層により、タトゥー等といった皮膚上の模様が皮膚シールによって隠されていた。
【0004】
ところで、人の皮膚は概ね肌色であるが、この肌色は単なる1色の均一な肌色ではなく、異なる色合いの肌色や異なる濃度の肌色によって自由で無秩序なパターン(すなわち模様)となっている肌色である。上記従来の皮膚シールにおいてはインク層が単なる1色の肌色であったので、この皮膚シールを皮膚上に貼ったときには、皮膚上に皮膚シールを貼っていることが非常に目立っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の皮膚シールにおける上記の問題点に鑑みて成されたものであって、皮膚に貼ったときに目立つことのない皮膚シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る皮膚シールは、人の皮膚に貼られる皮膚シールであって、ベース材と、セパレータと、前記ベース材を剥がすための剥離剤層と、前記セパレータ上に設けられた粘着剤層と、前記剥離剤層と前記粘着剤層との間に設けられた弾性層とを有しており、前記セパレータを当該セパレータに接触している層から剥離するための力をP1とし、前記剥離剤層を当該剥離剤層に前記ベース材の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、前記粘着剤層を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、
P1<P2<P3
であり、さらに、肌の模様を表示する第1のインク層と、皮膚を隠すための第2のインク層とを有することを特徴とする。
【0008】
この皮膚シールにおいては第1のインク層が肌の模様を表示しているので、この皮膚シールを肌に貼り付けたとき、皮膚シールと肌との間で模様的に調和をとることができ、見た目において違和感をなくすことができ、肌に対して目立つことのない皮膚シールを提供できる。
【0009】
ところで、第1のインク層は肌の模様を表現するものなので、第1のインク層だけでは皮膚の地肌を隠ぺいする機能が不十分になるおそれがある。この点に関し、本発明では、皮膚を隠すための第2のインク層を第1のインク層に加えて設けたので、人の皮膚に付いている模様、例えばタトゥーを確実に隠すことができる。
【0010】
以上により、本発明によれば、皮膚(すなわち、肌)に対して目立つことがないにも拘らず、皮膚上の模様を確実に隠すことができる皮膚シールを提供できる。
【0011】
本発明に係る皮膚シールの1つの発明態様において、前記第1のインク層は、肌色の濃淡を秩序だって又は無秩序に平面内で変化させることによって肌の模様を表現した層である。このように肌の模様を表現した層である第1のインク層を皮膚シール内に設ければ、皮膚シールを皮膚(すなわち、肌)に対して目立たせないという機能を確実に実現できる。
【0012】
本発明に係る皮膚シールの他の発明態様において、前記第1のインク層は、カメラ撮影によって得た肌の画像データをプリンタを用いてインクによって平面的に描いた肌色の模様の絵を含んでおり、前記インクは前記肌の模様を表示するための顔料又は染料を含んでいる。この発明態様によれば、肌の模様を表示する層を現実に即して正確に再現できる。
【0013】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記プリンタは、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、又はオフセット印刷プリンタである。これらのプリンタは現在、世間一般で広く活用されているプリンタである。従ってこの発明態様によれば、本発明の皮膚シールを容易に実現できる。
【0014】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記第2のインク層は、不透明な肌色又は不透明な白色を平面内で一様に着色した層である。従ってこの発明態様によれば、皮膚の地肌を確実に隠すことができる。
【0015】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記第2のインク層は、シルクスクリーン印刷によって形成される。シルクスクリーン印刷は現在、世間一般で広く活用されている印刷手法である。従って、この発明態様によれば、本発明の皮膚シールを容易に実現できる。
【0016】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記第1のインク層は前記第2のインク層よりも先に形成され、その上に前記第2のインク層が形成される。この構成によれば、肌の模様を表示した層である第1のインク層を精細に表現できる。
【0017】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記ベース材上にマット層が設けられる。このマット層は、ベース材の表面を粗面化するための層である。このマット層により、皮膚シールが鮮明に光反射すること(いわゆるテカリが発生すること)を防止できる。
【0018】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記ベース材は、前記第1のインク層又は前記第2のインク層を視覚によって認識できる程度の光透過性を有している。使用者が皮膚シールを皮膚に貼り付ける際には、使用者はベース材を見ながら皮膚シールを皮膚に押し付ける。このとき、ベース材が光透過性を有していれば、使用者は第1のインク層等を視認しながら皮膚の希望個所へ皮膚シールを貼り付けることが可能になる。
【0019】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記第1のインク層の周辺領域及び/又は前記第2のインク層の周辺領域は、外側へ向けて濃度が徐々に薄くなるグラデーション領域である。この構成により、皮膚シールを人の皮膚に貼った部分を第三者が見たときに、第1のインク層の内部領域の肌色と人の皮膚の肌色との境界領域において色や模様が急激に変化することがなくなり、それ故、人の皮膚に貼った皮膚シールを目立ち難くすることが可能となった。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の皮膚シールにおいては第1のインク層が肌の模様を表示しているので、この皮膚シールを肌に貼り付けたとき、皮膚シールと肌との間で模様的に調和をとることができ、見た目において違和感をなくすことができ、肌に対して目立つことのない皮膚シールを提供できる。
【0021】
ところで、第1のインク層は肌の模様を表現するものなので、第1のインク層だけでは皮膚の地肌を隠ぺいする機能が不十分になるおそれがある。この点に関し、本発明では、皮膚を隠すための第2のインク層を第1のインク層に加えて設けたので、人の皮膚に付いている模様、例えばタトゥーを確実に隠すことができる。
【0022】
以上により、本発明によれば、皮膚(すなわち、肌)に対して目立つことがないにも拘らず、皮膚上の模様を確実に隠すことができる皮膚シールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る皮膚シールの一実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図2】
図1(b)の第1のインク層の一例の平面図である。
【
図3】
図1(b)の第1のインク層の他の一例の平面図である。
【
図4】
図1(b)の第1のインク層のさらに他の一例の平面図である。
【
図5】
図1(b)の第1のインク層のさらに他の一例の平面図である。
【
図6】
図1(b)の第1のインク層のさらに他の一例の平面図である。
【
図7】
図1(b)の第1のインク層を形成する手段の一例を示すブロック図である。
【
図8】本発明に係る皮膚シールの他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図9】
図8(b)の第1のインク層の一例の平面図である。
【
図10】
図8(b)の第1のインク層の他の例の平面図である。
【
図11】
図8(b)の第1のインク層を形成する手段の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図8(b)の第2のインク層の一例の平面図である。
【
図13】網点の線数と面積比パーセントの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る皮膚シールを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0025】
(第1実施形態)
図1(a)は本発明に係る皮膚シールの一実施形態の平面構造を示している。
図1(b)はその皮膚シールの側面構造を示している。
図1(b)において、矢印Xで示す側が皮膚側であり、矢視Yで示す側が表面側である。ここに示す皮膚シール1は、ベース材2とセパレータ3とを有している。ベース材2の表面にはマット層4が形成されている。マット層4の上に剥離剤層5が印刷によって設けられている。ベース材2とセパレータ3との間に、弾性層6、第1のインク層7a、第2のインク層7b、及び粘着剤層8が互いに積層状態で設けられている。第2インク層7bは第1のインク層7aに対して矢印Xで示す皮膚側にあり、第1インク層7aは第2インク層7bに対して矢印Yで示す表面側にある。
【0026】
(ベース材)
ベース材2は剥離性シートによって形成できる。このような剥離性シートは、例えばそれ自体が剥離性を有するポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等である。また、これらのフィルムや、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム等といった各種フィルムや、あるいは紙に、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物のような剥離性を付与する化合物を塗布処理したものを剥離性シートとすることができる。
【0027】
ベース材2は第1のインク層7a又は第2のインク層7bを視覚によって認識できる程度の光透過性を有していることが望ましい。ベース材2をこのように光透過性にすれば、使用者が第1のインク層7a又は第2のインク層7bを視認しながら皮膚の希望個所へ皮膚シール1を貼り付けることができる。
【0028】
(マット層)
マット層4は、ベース材2の表面に微細な凹凸を形成して当該表面を粗面化することによって形成されている。このような粗面化は、例えば、微小なフィラーを含有した樹脂をベース材2の表面に塗布したり、エンボスロール等によって表面に微小な凹凸を形成したり、微細な粒子をぶつける加工(いわゆるサンドブラスト)によって形成できる。このようなマット層4をベース材2に設けたことにより、ベース材2を剥がした後に人の皮膚上に残る第1のインク層7aの表面に微小の凹凸を残すことができ、その結果、皮膚シールが鮮明に光反射すること(いわゆるテカリが発生すること)を防止でき、皮膚シールを外観的に人の皮膚に馴染ませることができる。
なお、場合によっては、マット層4は省略すること、すなわち形成しないことも可能である。
【0029】
(剥離剤層)
剥離剤層5は、公知で任意の剥離剤を塗布することによって形成できる。なお、剥離剤層5はその上に印刷を施すことができる材料によって形成しても良い。なお、ベース材2それ自体が剥離性シートによって形成されている場合には、ベース材2が有する剥離性が剥離剤層として機能できる。
【0030】
(第1のインク層)
第1のインク層7aは、例えば
図2から
図6に示すように、人の肌の模様を表示する層である。
図2から
図6は、いずれも、
図1(b)の第1のインク層7aを矢印Zで示す方向から見た状態を示している。
図2から
図6に示す図においては、模様が白黒の間で平面内で無段階に変化している様子が描かれているが、実際には白黒ではなく肌色が薄い色から濃い色の間で平面内で無段階に変化している。
【0031】
さらには、
図2から
図6に示す模様は、肌色の濃淡を平面内で無秩序に変化させることによって肌の模様を表示している画像である。場合によっては、肌色の濃淡が平面内で何等かの秩序に従って変化することもある。
図2から
図6において、濃度が薄くて白っぽく表示されている領域が薄い肌色であり、濃度が濃くて黒っぽく表示されている領域が濃い肌色である。白から黒の間で濃度が変化している中間色の領域は、中間色の肌色の領域である。
【0032】
場合によっては、肌色に暖色が混じることもある。暖色とは、色相環上で赤からオレンジまで、さらには黄色までの範囲にある色である。暖色は人が見た際にあたたかさを感じさせる色である。
【0033】
さらに本実施形態では、カメラ撮影の技術を利用して
図2から
図6に示す模様を次のように取得している。具体的には、例えば
図7に示すように、人の肌11の適宜の部分をデジタルカメラ12で撮影して画像データD0を取得する。その画像データD0をインクジェットプリンタ13の入力端子へ入力する。インクジェットプリンタ13は、画像データ処理装置14、インクジェットノズル15、及びインク供給装置16を有している。
【0034】
画像データ処理装置14は、インク供給装置16及びインクジェットノズル15の動作を制御する。インク供給装置16は、顔料又は染料を含むインクを貯留しており、画像データ処理装置14からの指令に従ってそのインクがインクジェットノズル15から目標物M(本実施形態の場合は
図1(b)の弾性層6)へ供給される。これにより、例えば
図2~
図6に示すような肌色模様の像が形成される。
【0035】
図2から
図6に示す模様は、インクジェットプリンタに代えて、顔料若しくは染料で色を表現するレーザプリンタを用いた印刷や、顔料若しくは染料で色を表現するオフセット印刷、等によって形成することも可能である。
【0036】
以上のように第1のインク層7aは肌の模様を表示しているので、皮膚シール1を肌に貼り付けたとき、皮膚シール1と肌との間で模様的に調和をとることができ、見た目において違和感をなくすことができる。
【0037】
(第2のインク層)
図1(b)の第2のインク層7bは皮膚を隠す機能を確実にするための層である。第2のインク層7bは第1のインク層7aよりも皮膚側(矢印Xで示す側)に設けられる。第2のインク層7bは、例えばシルクスクリーン印刷によって第1のインク層7aの上に形成される。第2のインク層7bは、本実施形態では肌色のベタ印刷によって形成されている。第2のインク層7bは1層でも良いし、複数層でも良い。1層の場合はその1層を肌色のインク層とすることもできるし、あるいはその1層を白色のインク層とすることもできる。複数層の場合は、全ての層を肌色にしても良いし、あるいは、少なくとも1つの層を白色にし、残りの層を肌色にしても良い。
【0038】
本実施形態では、上記のように第1のインク層7aによって肌の模様に近似する模様を皮膚シール1に付与している。この場合、インクジェットプリンタや、レーザプリンタや、オフセットプリンタ等を用いて肌色の模様を表現した場合には顔料や染料を平面内で厚く配置することができないので、肌の地模様が皮膚シール1を通して外部から透けて見えてしまうことがある。こうなると、皮膚シール1によってタトゥー等といった模様を隠す能力が損なわれるおそれがある。
【0039】
これに対し、本実施形態のようにシルクスクリーン印刷等によって肌色のベタ印刷の層を配置すれば、肌の地模様が皮膚シール1を通して外部に透けて見えることを確実に防止できる。これにより、皮膚シール1によってタトゥー等を隠す機能を著しく向上させることができる。
【0040】
(弾性層)
図1(b)の弾性層6は透明な樹脂を印刷、例えばスクリーン印刷することによって形成されている。この弾性層6の破断伸度は、50~1000%、好ましくは250~800%である。破断伸度が50%未満の場合は、得られる皮膚シールが皮膚の屈曲や伸縮に追随できないからである。また、皮膚の屈曲や伸縮に対する追随性をさらに良くする観点から破断伸度は250%以上であることが好ましい。
【0041】
破断伸度が1000%を越えると、弾性層6の柔軟性により「べたつき」が出てゴミ等の付着が著しくなる。また、破断伸度が1000%を越えると、被膜としての弾性層6が弱体化するため、皮膚から剥がし難くなるおそれがある。また、ゴミ等の付着を防止すること及び皮膚から剥がし難くなることを防止することをさらに高める観点から、破断伸度は800%以下であることが好ましい。
【0042】
弾性層6の100%モジュラスは、5~150kg/cm2、好ましくは15~80kg/cm2 である。100%モジュラスは、弾性を表す指標である。100%モジュラスが5kg/cm2未満であると、皮膚に貼着したシールの模様が崩れ易くなる。100%モジュラスが150kg/cm2を越えると皮膚に貼着したシールの模様がひび割れし易くなる。なお、「弾性層」が有する「弾性」は、引き延ばした後に完全に復元し得るという意味ではなく、かなりの程度縮む場合も含むものである。
【0043】
弾性層6の厚みは、3~50μm、好ましくは8~25μmである。この厚みが3μm未満の場合は、フィルム形成能力(ひび割れ、使用後の剥離性等)に乏しく、50μmを越える場合は、被膜として丈夫過ぎて皮膚に対する追随性が悪くなる。なお、弾性層6は組成的に単層であるのが好ましいが、複層構造であっても良い。
【0044】
弾性層6は樹脂・ゴム成分を主成分とする。弾性層6が少なくとも樹脂成分である場合は、可塑剤を加えるのが通常である。しかしながら、弾性層6が少なくとも樹脂成分である場合に可塑剤を加えない場合もある。弾性層6がゴム成分の場合には可塑剤を加えなくてもよい。
【0045】
上記の樹脂・ゴム成分の例としては、エチレン-酢酸ビニール共重合体、エチレン-ビニールアルコール共重合体、エチレン-塩化ビニール共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(具体例として、例えば、住友化学工業(株)製「ボンダイン(商品名)」等のオレフィン系共重合樹脂類、エチルアクリレート-ブチルアクリレート共重合体、ブチルアクリレート-メチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート-酢酸ビニール共重合体等のアクリル系樹脂類、一液型熱可塑性樹脂族ウレタン系樹脂類(具体例としては、例えば、大日精化工業(株)製「レザミン(商品名)」や日本ポリウレタン工業(株)製「パラプレン(商品名)」)、各種のポリアミド系樹脂類、酢酸ビニール系樹脂類、エチルシリコーン樹脂やブチルシリコーン樹脂等といって各種シリコーン系樹脂類(具体例としては、例えば、東レダウコーニング(株)製「SE 5004(商品名)」)、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、アクリルゴム、NBR、ブチルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン-酢酸ビニール共重合体ゴム、シリコーンゴム等といった各種ゴム類を挙げることができる。
【0046】
上記の可塑剤の例としては、DOP、DBP、アジピン酸ブチルエステル、フタール酸エチルエステル、液状シリコーン等を挙げることができる。どの可塑剤を使用するかは、樹脂・ゴム成分の種類によって異なることは言うまでもない。
【0047】
さらに、弾性層6に加えることができる成分としては、レベリング剤、消泡剤、その他の各種の添加剤を挙げることができる。本実施形態では、弾性層6をベース材2とインク層7との間に設けたが、弾性層6をインク層7と粘着剤層8との間に設けても良い。
【0048】
弾性層6を設けたことにより次の効果が得られる。すなわち、皮膚シール1を皮膚へ貼り付け易い。皮膚シール1を皮膚に貼り付けた後、その皮膚シール1を皮膚の屈曲や伸縮に柔軟に追随させることができる。皮膚の屈曲や伸縮に関わらずインクのひび割れや崩れを防止できる。使用中にインクが皮膚から剥がれ落ちることが無い。使用後に皮膚からインクを剥離することが容易である。
【0049】
(粘着剤層)
スクリーン印刷等の印刷方法により、第2のインク層7bの上に粘着剤層8を形成する。この粘着剤層8としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができる。粘着剤には、必要に応じて、充填剤、白色顔料、アルミニウム粉等の金属粉、粘着付与剤、レベリング剤、消泡剤、等といった各種添加剤を加えても良い。
【0050】
このような粘着剤層8の粘着力は、JIS-Z0237に従って測定した値が約1.2N/25mm巾から約20N/25mm巾までの範囲にあり、好ましくは約2N/25mm巾から約10N/25mm巾の範囲である。このような粘着力を有する皮膚シールを、使用した後に剥がす際は、上述した弾性層が比較的強靱であるので、ゆっくり剥がすと綺麗に剥がすことができる。
【0051】
(セパレータ)
図1(b)において、セパレータ3はベース材2と同様の材料及び同様の形状に形成される。ベース材2が光透過性を有することが望ましいことを上述した。セパレータ3は光透過性であっても、あるいは不光透過性であっても良い。しかしながら、本実施形態ではベース材2を光透過性にしているので、皮膚シール1の表裏を使用者に容易に分からせるようにするために、セパレータ3を不光透過性、望ましくは白色半透明又は白色不透明とすることが望ましい。
【0052】
(皮膚シールの使用方法)
本実施形態の皮膚シール1を使用するに際しては、まず、
図1(b)においてセパレータ3を粘着剤層8から剥がす。次に、セパレータ3が剥がされた皮膚シール1を粘着剤層8の側で人の皮膚のタトゥー等が描かれた部分に貼り付ける。このとき、使用者は光透過性を有するベース材2を通してタトゥー等とインク層7との位置関係を認識できるので、作業を行い易い。
【0053】
皮膚シール1を皮膚に貼り付けた後、使用者はベース材2を剥離剤層5の所で弾性層6から剥がす。これにより、人の皮膚に第2のインク層7b、第1のインク層7a及び弾性層6が粘着剤層8によって貼り付けられた状態となる。この状態で、第1のインク層7aが有する
図2~
図6のような肌色の肌模様により、皮膚シール1と皮膚との調和をとることが可能となり、その結果、皮膚に貼られた皮膚シール1が外観的に目立つことを防止できる。
【0054】
ところで、本実施形態のように顔料又は染料をインクジェット方式によって平面的にドット状に配置することによりインク層を形成した場合には、顔料又は染料の層の厚さが薄いので、
図1(b)の矢印Z方向から皮膚シール1を見た場合に、皮膚の地肌が皮膚シール1を通して透けて見えてしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では顔料又は染料によるベタ印刷の層である第2のインク層7bを重ねて配置したので、地肌を完全に隠すことが可能となった。つまり、皮膚シール1により高い隠蔽性を実現できるようになった。
【0055】
(剥離バランス)
本実施形態の皮膚シール1において、セパレータ3を粘着剤層8(すなわちセパレータ3に接触している層)から剥離するための力をP1とし、剥離剤層5を弾性層6(すなわち剥離剤層5にベース材2の反対側で接触している層)から剥離するための力をP2としたとき、P1<P2である。これにより、セパレータ3だけを皮膚シール1から剥がすことができる。
【0056】
また、剥離剤層5を弾性層6から剥離するための力を上記の通りにP2とし、粘着剤層8を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、P2<P3である。これにより、セパレータ3を剥がして皮膚シール1を粘着剤層8の面で皮膚に貼り付けた後、インク層7a,7b等を皮膚上に残して、ベース材2だけを皮膚シール1から剥がすことができる。
【0057】
(第2実施形態)
図8(a)は本発明に係る皮膚シールの他の実施形態の平面構造を示している。
図8(b)はその皮膚シールの側面構造を示している。
図8(a)及び
図8(b)において
図1(a)及び
図1(b)と同じ部材は同じ符号を付して示すことにして、それらの部材の説明は省略する。
図8(b)において、矢印Xで示す側が皮膚側であり、矢視Yで示す側が表面側である。
【0058】
ここに示す皮膚シール21は、ベース材2とセパレータ3とを有している。ベース材2の表面にはマット層4が形成されている。マット層4の上に剥離剤層5が印刷によって設けられている。ベース材2とセパレータ3との間に、弾性層6、第1のインク層27a、第2のインク層27b、及び粘着剤層8が互いに積層状態で設けられている。第2のインク層27bは第1のインク層27aに対して矢印Xで示す皮膚側にあり、第1インク層27aは第2インク層27bに対して矢印Yで示す表面側にある。
【0059】
本実施形態において、第1のインク層27aは、
図8(a)に示すように、長方形状の内部領域27a-1と、その内部領域27a-1を囲む枠状の周辺領域27a-2とを有している。一方、第2のインク層27bは、同じく
図8(a)に示すように、長方形状の内部領域27b-1と、その内部領域27b-1を囲む枠状の周辺領域27b-2とを有している。
【0060】
第1のインク層27aの内部領域27a-1と第2のインク層27bの内部領域27b-1は互いに同じ平面形状に形成されており、内部領域27a-1と内部領域27b-1は
図8(a)において平面的に見て互いに重なり合っている。また、第1のインク層27aの周辺領域27a-2と第2のインク層27bの周辺領域27b-2は互いに同じ平面形状に形成されており、周辺領域27a-2と周辺領域27b-2は
図8(a)において平面的に見て互いに重なり合っている。
【0061】
(第1のインク層)
第1のインク層27aは、例えば
図9又は
図10に示すような絵模様を有している。この絵模様は、境界線の内側の領域である長方形状の内部領域と、境界線の外側の領域であって内部領域を囲む周辺領域とによって形成されている。境界線の内側の内部領域は
図8(a)における内部領域27a-1のことである。また、
図10の周辺領域は
図8(a)における周辺領域27a-2のことである。
図9及び
図10は、いずれも、
図8(b)の第1のインク層27aを矢印Zで示す方向から見た状態を示している。
【0062】
図9又は
図10における長方形状の内部領域(すなわち、
図8(a)の内部領域27a-1の領域)は、
図2から
図6で説明したように、人の肌の模様を表示する領域である。
図9又は
図10における長方形状の内部領域においては、模様が白黒の間で平面内で無段階に変化している様子が描かれているが、実際には白黒ではなく肌色が薄い色から濃い色の間で平面内で無段階に変化している。
【0063】
さらには、
図9又は
図10における長方形状の内部領域に描かれた模様は、肌色の濃淡を平面内で無秩序に変化させることによって肌の模様を表示している画像である。場合によっては、肌色の濃淡が平面内で何等かの秩序に従って変化することもある。
図9又は
図10における長方形状の内部領域において、濃度が薄くて白っぽく表示されている領域が薄い肌色であり、濃度が濃くて黒っぽく表示されている領域が濃い肌色である。白から黒の間で濃度が変化している中間色の領域は、中間色の肌色の領域である。
【0064】
場合によっては、肌色に暖色が混じることもある。暖色とは、色相環上で赤からオレンジまで、さらには黄色までの範囲にある色である。暖色は人が見た際にあたたかさを感じさせる色である。
【0065】
さらに本実施形態では、カメラ撮影の技術を利用して、
図9又は
図10における長方形状の内部領域に示す模様を次のように取得している。具体的には、例えば
図11に示すように、人の肌11の適宜の部分をデジタルカメラ12で撮影して画像データD0を取得する。その画像データD0をインクジェットプリンタ13の入力端子へ入力する。インクジェットプリンタ13は、画像データ処理装置14、インクジェットノズル15、及びインク供給装置16を有している。
【0066】
画像データ処理装置14は、インク供給装置16及びインクジェットノズル15の動作を制御する。インク供給装置16は、顔料又は染料を含むインクを貯留しており、画像データ処理装置14からの指令に従ってそのインクがインクジェットノズル15から目標物M(本実施形態の場合は
図8(b)の弾性層6)へ供給される。これにより、例えば
図9又は
図10における境界線よりも内側の長方形状の内部領域に示すような肌色模様の像が形成される。
【0067】
なお、
図9又は
図10における長方形状の内部領域に示す模様は、インクジェットプリンタに代えて、顔料若しくは染料で色を表現するレーザプリンタを用いた印刷や、顔料若しくは染料で色を表現するオフセット印刷、等によって形成することも可能である。
【0068】
以上のように
図9又は
図10における長方形状の内部領域(すなわち、
図8(a)の第1のインク層27aの内部領域27a-1)は肌の模様を表示しているので、皮膚シール21を肌に貼り付けたとき、皮膚シール21と肌との間で模様的に調和をとることができ、見た目において違和感をなくすことができる。
【0069】
図9又は
図10において長方形状の内部領域を囲んで枠状の周辺領域が境界線の外側に描かれている。この周辺領域は
図8(a)における第1のインク層27aの周辺領域27a-2のことである。
図9又は
図10におけるこの周辺領域はグラデーション領域となっている。このグラデーション領域は、絵模様の画像の濃淡度が内側から外側へ向けて徐々に変化している領域である。また、このグラデーション領域は、
図9又は
図10における長方形状の内部領域の外周縁端において、色の濃淡の境をはっきりさせないで、外側へ向けて徐々に薄くしていく領域である。このような処理は、一般的に「ぼかし処理」と呼ばれている。
【0070】
このグラデーション領域を形成するために
図11のインクジェットプリンタ13の画像データ処理装置14は、グラデーション領域生成部17を含んでいる。このグラデーション領域生成部17は、例えば
図9又は
図10における長方形状の内部領域(すなわち、
図8(a)の第1のインク層27aの内部領域27a-1)の外周縁部分の複数のピクセルデータを読取り、それらのピクセルデータによって表現される色の濃度を外側へ向けて徐々に薄くするような画像処理を実行する。これにより、
図9又は
図10における枠状の周辺領域(すなわち、
図8(a)の第1のインク層27aの周辺領域27a-2)において「ぼかし」の絵模様を実現できる。このような「ぼかし」の絵模様により、皮膚シール21を皮膚(すなわち、肌)に対して目立たないようにすることができる。
【0071】
なお、現在、画像編集を行うための多種類のコンピュータ・ソフトウエアが市場に提供されている。このような多くの画像編集ソフトウエアは、いわゆる「ぼかしツール」と呼ばれるような「ぼかし」を実現するための機能を有している。本実施形態に関しては、このような「ぼかしツール」の機能を活用することにより、グラデーション領域を生成することもできる。
【0072】
(第2のインク層)
図8(b)において、第1のインク層27aの上に第2のインク層27bが重ねて形成されている。この第2のインク層27bは、例えばスクリーン印刷によって形成される。この第2のインク層27bは、
図8(a)に示すように、第1のインク層27aと同様に、内部領域27b-1とその内部領域27b-1を囲む周辺領域27b-2とを有している。
【0073】
内部領域27b-1は肌色のベタ印刷によって形成されている。周辺領域27b-2は、
図12(b)に示すように、肌色の網点の線数が10線から100線のうちから選択されるいずれか1つであり、且つ網点面積比が内部領域27b-1から外側へ向かうに従って0%(ベタ状態)から100%(印刷なし)の間で数値が徐々に大きくなるように(すなわち色が徐々に薄くなるように)印刷されている。
【0074】
これにより、第2のインク層27bの周辺領域27b-2においては、肌色が徐々に薄くなる状態、すなわちグラデーションが形成されている。周辺領域27b-2においてインクの網点が無い部分は皮膚が透けて見えるので、この周辺領域27b-2におけるグラデーションにより、人の皮膚の色が第2のインク層27bの内部領域27b-1の色へ徐々に移行して行く状態が実現される。その結果、本実施形態の皮膚シール21を人の皮膚に貼った部分を第三者が見たときに、内部領域27b-1の肌色と人の皮膚の肌色との間で視覚的に違和感を与えることが無くなった。
【0075】
第2のインク層27bは1層でも良いし、複数層でも良い。1層の場合はその1層を肌色のインク層とする。複数層の場合は、全ての層を肌色にしても良いし、あるいは、少なくとも1つの層を白色にし、残りの層を肌色にしても良い。
【0076】
なお、網点の線数とは、1インチ(2.54cm)幅当たりに含まれる線の本数又は点の数である。また、網点のパーセント(%)とは、網点諧調における網点面積が単位面積に占める割合のことである。
図13は、網点の線数と、面積(パーセント)の関係を示している。
【0077】
(グラデーション領域の作用)
以上のように、本実施形態では、
図8(a)の第1のインク層27aの周辺領域27a-1及び第2のインク層27bの周辺領域27b-2の両方の領域をグラデーション領域とした。この構成により、皮膚シール21を人の皮膚に貼った部分を第三者が見たときに、第1のインク層27aの内部領域27a-1の肌色と人の皮膚の肌色との境界領域において色や模様が急激に変化することがなくなり、それ故、人の皮膚に貼った皮膚シール21を目立ち難くすることが可能となった。
【0078】
なお、
図8(a),(b)に示した実施形態では、第1のインク層27a及び第2のインク層27bの両方にグラデーション領域を設けた。しかしながら、これに代えて、第1のインク層27a及び第2のインク層27bのいずれか一方にグラデーション領域を設けるようにしても良い。
【0079】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0080】
例えば、
図1に示した実施形態では、弾性層6、第1のインク層7a、第2のインク層7b、及び粘着剤層8の各層の面積を、ベース材2、セパレータ3、マット層4、及び剥離剤層5の各層の面積よりも小さくした。すなわち、弾性層6の外縁線、第1のインク層7aの外縁線,第2のインク層7bの外縁線、及び粘着剤層8の外縁線を、ベース材2の外縁線、セパレータ3の外縁線、マット層4の外縁線、及び剥離剤層5の外縁線よりも内側に配置した。しかしながら、このような実施形態に代えて、各層の面積を同じに揃えること、すなわち各層の外縁線を同じ位置に揃えること、としても良い。
【0081】
さらに、
図1の実施形態では皮膚シール1の平面形状を長方形状とした。しかしながら、皮膚シールの平面形状は正方形状、円形状、楕円形状、長円形状、その他の任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1:皮膚シール、 2:ベース材、 3:セパレータ、 4:マット層、 5:剥離剤層、 6:弾性層、 7a:第1のインク層、 7b:第2のインク層、 8:粘着剤層、 11:人の肌、 12:デジタルカメラ、 13:インクジェットプリンタ、 14:画像データ処理装置、 15:インクジェットノズル、 16:インク供給装置、 21:皮膚シール、 27a:第1のインク層、 27a-1:内部領域、 27a-2:周辺領域、 27b:第2のインク層、 27b-1:内部領域、 27b-2:周辺領域、 D0:画像データ、 M:目標物、 X:皮膚側、 Y:表面側、 Z:視認方向