(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037117
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20240311BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240311BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240311BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240311BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/37
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022154225
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇晃
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC232
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD042
4C083CC23
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】格段に優れた製剤安定性を有し、且つ、肌濡れの有無にかかわらず優れたクレンジング効果を発揮するクレンジング化粧料の提供。
【解決手段】成分A:脂肪酸の炭素数が10以下のモノ脂肪酸ポリグリセリル、成分B:脂肪酸の炭素数が18のトリ脂肪酸ポリグリセリル、成分C:室温で液状の脂肪酸エステル油、並びに成分D:2価のアルコールを含有することを特徴とするクレンジング化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B、下記成分C、並びに下記成分Dを含有してなるクレンジング化粧料。
成分A:脂肪酸の炭素数が10以下のモノ脂肪酸ポリグリセリル
成分B:脂肪酸の炭素数が18のトリ脂肪酸ポリグリセリル
成分C:室温で液状の脂肪酸エステル油
成分D:2価のアルコール
【請求項2】
前記成分Aに対する前記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)が、0.5以上2.0以下である請求項1に記載のクレンジング化粧料。
【請求項3】
前記成分CのIOB値が0.1以上0.3以下である請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分Aに対する前記成分Cの含有量の比(成分C/成分A)が、0.5以上2.5以下である請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【請求項5】
外感が透明であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【請求項6】
バイコンティニュアス構造を有する請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイク汚れを除去するクレンジング化粧料は、水クレンジングと称される水性クレンジング化粧料と、オイルクレンジングと称される油性クレンジング化粧料に大別される。水性クレンジング化粧料は、種々の界面活性剤を主な洗浄成分としたものであり、さっぱりとした良好な使用感が得られる反面、クレンジング力、所謂、メイク汚れを落とす洗浄力が弱いという欠点がある。
【0003】
一方、油性クレンジング化粧料は、種々の油剤を主な洗浄成分としたものであり、クレンジング力に優れた効果を発揮する反面、洗い落ちが悪く、さっぱりとした使用感が得られないという欠点がある。また、油性クレンジング化粧料を水に濡れた肌に使用した場合、肌上の水分と油性クレンジング化粧料とが混合し、肌に接触する前に乳化状態になるという問題点もある。このような乳化状態の油性クレンジング化粧料は、既に油を抱え込んだ状態になるため、メイク汚れを落としにくくなるといった欠点がある。
【0004】
そこで、水性クレンジング化粧料と油性クレンジング化粧料の長所である、良好なクレンジング力と使用感の双方を併せ持つクレンジング化粧料として、水中油型や油中水型などと称される乳化剤型とは異なり、油相と水相とが連続相を形成するバイコンティニュアス構造と称される剤型のクレンジング化粧料が注目を浴びており、従来から様々な検討がなされている(例えば、特許文献1~4を参照)。
【0005】
しかしながら、バイコンティニュアス構造を有するクレンジング化粧料では、用いる界面活性剤や油剤の種類や組み合わせによっては、濁りや沈殿が生じ易く、製剤安定性に劣ってしまうため、望むクレンジング力や使用感が十分に得られず、バイコンティニュアス構造を有するクレンジング化粧料の効果を最大限発揮できないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-217640号公報
【特許文献2】特開2013-032348号公報
【特許文献3】特開2012-001597号公報
【特許文献4】特開2007-077302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、格段に優れた製剤安定性を有し、且つ、肌濡れの有無にかかわらず優れたクレンジング効果を発揮するクレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、並びに下記成分Dを含有してなるクレンジング化粧料を提供する。
成分A:脂肪酸の炭素数が10以下のモノ脂肪酸ポリグリセリル
成分B:脂肪酸の炭素数が18のトリ脂肪酸ポリグリセリル
成分C:室温で液状の脂肪酸エステル油
成分D:2価のアルコール
【0009】
上記成分Aに対する上記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)が、0.5以上2.0以下であることが好ましい。
【0010】
上記成分CのIOB値が、0.1以上0.3以下であることが好ましい。
【0011】
上記成分Aに対する上記成分Cの含有量の比(成分C/成分A)が、0.5以上2.5以下であることが好ましい。
【0012】
本発明のクレンジング化粧料は、外感が透明であることが好ましい。
【0013】
本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアス構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクレンジング化粧料は、上記構成要件を満たすことにより、濁りや沈殿などが生じず、格段に優れた製剤安定性を有するという効果を奏する。
【0015】
また、本発明のクレンジング化粧料は、肌濡れの有無にかかわらず、即ち、肌が濡れていない状態、若しくは、肌が濡れている状態の如何なる状況下であっても、メイク汚れとの馴染みが非常に良好であり、格段に優れたクレンジング力を発揮させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のクレンジング化粧料は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、並びに下記成分Dを含有する。
成分A:脂肪酸の炭素数が10以下のモノ脂肪酸ポリグリセリル
成分B:脂肪酸の炭素数が18のトリ脂肪酸ポリグリセリル
成分C:室温で液状の脂肪酸エステル油
成分D:2価のアルコール
【0017】
以下、本発明のクレンジング化粧料に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0018】
[成分A]
上記成分Aは、脂肪酸の炭素数が10以下のモノ脂肪酸ポリグリセリルである。本発明では、上記成分Aを用いることにより、メイク汚れとの馴染みを良好にし、優れたクレンジング力を発揮させることができる。また、本発明の必須構成成分と組み合わせることで、製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させることができる。
【0019】
上記成分Aを構成する炭素数が10以下の脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。また、上記成分Aを構成する炭素数が10以下の脂肪酸は、直鎖脂肪酸であっても、分岐脂肪酸であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。
【0020】
具体的な炭素数が10以下の脂肪酸としては、例えば、カプロン酸(ヘキサン酸)、エナント酸(ヘプタン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)などが挙げられる。中でも、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)を用いることが好ましい。なお、括弧内の名称はIUPAC名である。
【0021】
一方、上記成分Aを構成するポリグリセリンの平均重合度は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、2~12であることが好ましく、5~10であることがより好ましい。
【0022】
具体的な成分Aとしては、例えば、カプリル酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-3、カプリル酸ポリグリセリル-4、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-10などのカプリル酸ポリグリセリル;カプリン酸ポリグリセリル-2、カプリン酸ポリグリセリル-3、カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-10などのカプリン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。なお、上記成分の後に記載の整数はポリグリセリンの平均重合度を表す。これら成分Aは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0023】
上記成分Aの中でも、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、カプリン酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-10を用いることが好ましい。
【0024】
なお、上記成分Aは市販品を用いることができる。成分Aの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。カプリン酸ポリグリセリル-2の市販品としては、例えば、サンソフト Q-10D-C(商品名,太陽化学株式会社製)、カプリル酸ポリグリセリル-6の市販品としては、例えば、サンソフトQ-8H-C(商品名,太陽化学株式会社製)、カプリン酸ポリグリセリル-10の市販品としては、例えば、サンソフトQ-10Y-C(商品名,太陽化学株式会社製)
【0025】
本発明のクレンジング化粧料中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、化粧料100質量%中、5~15質量%であることが好ましく、7~11質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。また、本発明のクレンジング化粧料中に配合される成分Aの含有量の合計量である。
【0026】
[成分B]
上記成分Bは、脂肪酸の炭素数が18のトリ脂肪酸ポリグリセリルである。本発明では、上記成分Bを用い、かつ、上記成分Aと組み合わせることにより、メイク汚れとの馴染みをより良好にし、格段に優れたクレンジング力を発揮させることができる。また、本発明の必須構成成分と組み合わせることで、製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させることができる。
【0027】
上記成分Bを構成する炭素数が18の脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。また、上記成分Aを構成する炭素数が18の脂肪酸は、直鎖脂肪酸であっても、分岐脂肪酸であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。
【0028】
具体的な炭素数が18の脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸(オクタデカン酸)、オレイン酸(9-オクタデセン酸)、イソステアリン酸などが挙げられる。なお、括弧内の名称はIUPAC名である。
【0029】
一方、上記成分Bを構成するポリグリセリンの平均重合度は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、2~12であることが好ましく、5~10であることがより好ましい。
【0030】
具体的な成分Bとしては、例えば、トリステアリン酸ポリグリセリル-4、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、トリステアリン酸ポリグリセリル-10などのトリステアリン酸ポリグリセリル;トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10などのトリイソステアリン酸ポリグリセリル;トリオレイン酸ポリグリセリル-5、トリオレイン酸ポリグリセリル-10などのトリオレイン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。なお、上記成分の後に記載の整数はポリグリセリンの平均重合度を表す。これら成分Bは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記成分Bの中でも、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-5を用いることが好ましい。
【0032】
なお、上記成分Bは市販品を用いることができる。成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10の市販品としては、例えば、EMALEX TISG-10(商品名,日本エマルジョン社製)、トリオレイン酸ポリグリセリル-5の市販品としては、例えば、サンソフトA-173E-C(商品名,太陽化学株式会社製)などが挙げられる。
【0033】
本発明のクレンジング化粧料中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、化粧料100質量%中、5~15質量%であることが好ましく、7~11質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。また、本発明のクレンジング化粧料中に配合される成分Bの含有量の合計量である。
【0034】
本発明では、クレンジング力を更に一層高めるとともに、製剤安定性に格段に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、上記成分Aに対する上記成分Bの含有量の比(B/A)が、0.5以上2.0以下の範囲を満たすことが好ましく、1.0以上1.5以下の範囲を満たすことがより好ましい。
【0035】
[成分C]
上記成分Cは、室温で液状の脂肪酸エステル油である。本発明では上記成分Cを用いることにより、クレンジング力をより一層高めるとともに、製剤安定性に格段に優れたバイコンティニュアス構造を形成させることができる。なお、本明細書において、「室温で液状」とは、1~30℃の温度範囲で流動性がある性状をいう。
【0036】
本発明では、上記成分Cの中でも、製剤安定性を良好にし、更に一層クレンジング力を高める観点から、IOB値が0.1~0.3の範囲の室温で液状の脂肪酸エステル油を用いることが好ましい。
【0037】
具体的な成分Cとしては、例えば、エチルヘキサン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、安息香酸アルキル(C12-15)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これら成分Cは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0038】
上記成分Cの中でも、優れたクレンジング力を発揮させる観点、並びに製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。
【0039】
なお、上記成分Cは市販品を用いることができる。成分Cの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。エチルヘキサン酸セチルの市販品としては、例えば、CETIOL SN-1(商品名,BASFジャパン社製)、イソノナン酸イソノニルの市販品としては、例えば、サラコス99(商品名,日清オイリオ社製)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールの市販品としては、例えば、VISTANOL NPGC(商品名,成和化成社製)などが挙げられる。
【0040】
本発明のクレンジング化粧料中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、クレンジング力をより一層高める観点、並びに製剤安定性をより一層良好にする観点から、化粧料100質量%中、3~20質量%であることが好ましく、4~11質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。また、本発明のクレンジング化粧料中に配合される成分Cの含有量の合計量である。
【0041】
本発明では、クレンジング力を更に一層高めるとともに、製剤安定性に格段に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、上記成分Aに対する上記成分Cの含有量の比(C/A)が、0.5以上2.5以下の範囲を満たすことが好ましく、0.7以上1.5以下の範囲を満たすことがより好ましい。
【0042】
[成分D]
上記成分Dは、2価のアルコールである。2価のアルコールとは、炭化水素の2個の水素を水酸基で置換したアルコール類の総称である。本発明では上記成分Dを用いることにより、製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させることができる。
【0043】
具体的な上記成分Dとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これら成分Dは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記成分Dの中でも、製剤安定性をより一層高める観点から、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ペンチレングリコールを用いることが好ましく、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオールを用いることがより好ましい。
【0045】
なお、上記成分Dは市販品を用いることができる。成分Dの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。ジプロピレングリコールの市販品としては、例えば、ジプロピレングリコール(DPG-FC)(商品名,AGC株式会社社製)、1,3-ブチレングリコールの市販品としては、例えば、1,3-ブチレングリコールUK(商品名,株式会社ダイセル社製)、プロパンジオールの市販品としては、例えば、Zemea Select プロパンジオール(商品名,デュポンテートアンドライルバイオプロダクツ社製)などが挙げられる。
【0046】
本発明のクレンジング化粧料中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性をより一層良好にする観点から、化粧料100質量%中、2~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量である。また、本発明のクレンジング化粧料中に配合される成分Dの含有量の合計量である。
【0047】
本発明のクレンジング化粧料は、製剤安定性に優れたバイコンティニュアス構造を形成させる観点から、実質的にアニオン界面活性剤を含有しないことが好ましい。本発明における、アニオン界面活性剤とは、一つの分子内に親油基と親水基である陰イオン基を持つ物質であり、洗浄力、可溶化力に優れた物質であるアニオン界面活性剤のことを意味する。
【0048】
なお、本発明における「実質的にアニオン界面活性剤を含有しない」とは、別途、アニオン界面活性剤を含有させることをしないという意味であり、各配合成分に含まれる少量のアニオン界面活性剤まで除外するものではない。即ち、本発明のクレンジング化粧料は、アニオン界面活性剤を含まないか、又はアニオン界面活性剤を含み且つ組成物100質量%中のアニオン界面活性剤の含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。
【0049】
[その他成分]
本発明のクレンジング化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの上記成分A又は上記成分B以外の界面活性剤;油脂、ロウ類、炭化水素油、飽和脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル油、シリコーン油などの上記成分C以外の油剤;3価以上の多価アルコール、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、美白剤、抗炎症剤、清涼剤、pH調整剤、中和剤、香料などを目的応じて適宜配合することができる。
【0050】
本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアス構造である等方性一液相を形成するものである。バイコンティニュアス構造である等方性一液相とは、乳化物ではなく、水と油の両方が連続する層状となった状態であり、外観とその性状が透明又は半透明の低粘度の溶液である。
【0051】
なお、バイコンティニュアス構造を確認するためは、例えば、偏光板による光透過試験、水性および油性色素の分散試験、透過型電子顕微鏡観察などにより決定することができる。
【0052】
偏光板による光透過試験とは、光源の光を直行する2枚の偏光板により遮光し、その2枚の偏光板の間に試料を配置して観察する方法であり、複屈折による光や縞模様が観察されないことで光学等方性を確認でき、光学異方性の液晶と区別することができる。
【0053】
色素の分散試験は、水性色素と油性色素のそれぞれを緩やかに振盪した際、速やかに分散することを観察することで、水および油の双方に混ざり合う両親媒性液状のバイコンティニュアス構造の性質を確認することができる。
【0054】
透過型電子顕微鏡観察は、連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造を有していることを観察することで、バイコンティニュアス構造を有することを確認することができる。
【0055】
本発明のクレンジング化粧料においては、バイコンティニュアス構造とすることにより、本発明の効果を十分に発揮させることができるようになる。より具体的には、格段に優れた製剤安定性を有するだけでなく、肌濡れの有無に関係なくメイク汚れとの馴染みを高めることができ、格段に優れたクレンジング力を発揮させることができるようになる。
【0056】
本発明のクレンジング化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記各構成成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、パドルミキサー、ホモミキサー、ディスパーミルなどを用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【実施例0057】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表し、表中の成分の配合量は全て純分に換算した値である。また、評価は全て恒温下(25±2℃)で実施した。
【0058】
(試料の調製1)
表1~表6に記した組成に従い、実施例1~12および比較例1~12、参考例1および2のクレンジング化粧料を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1~表6に併記する。
【0059】
(試験例1:バイコンティニュアス構造の評価)
実施例、比較例および参考例で得られた各試料を、100mL容量のマヨネーズ瓶(ガラス瓶)2本にそれぞれ充填後、1つには水溶性色素を添加し、残る一方には油溶性色素を添加した。色素添加後の外観を目視により状態を観察し、下記評価基準に従い評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0060】
<バイコンティニュアス構造の評価基準>
○(バイコンティニュアス構造を有している):試料が透明、且つ、双方とも色素により均一に染まる
×(バイコンティニュアス構造を有していない):水溶性色素、油溶性色素の何れか一方が均一に染まらない
【0061】
上記試験例1の評価において、バイコンティニュアス構造を有している評価結果が得られた試料のみを下記試験例2に供した。
【0062】
(試験例2:製剤安定性の評価)
実施例、比較例および参考例で得られた各試料を、50g容量の透明広口容器にそれぞれ充填し、-5℃、5℃、25℃および50℃の恒温槽にて4週間保管した。保管後の剤の状態を目視観察し、下記評価基準に従い評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0063】
<製剤安定性の評価基準>
○(良好):製造直後と対比して、透明状態を維持し続けている(変化が全く認められない)
△(不十分):製造直後と対比して、透明状態を維持しているが、僅かなオリや沈殿が認められる
×(不良):製造直後と対比して、透名状態を維持しておらず、明らかなオリや沈殿が認められる
【0064】
下記試験例3(クレンジング力の評価)、下記試験例4(濡れ肌を想定した際のクレンジン力の評価)は、実施例、比較例および参考例で得られた各試料の全てにおいて実施した。
【0065】
(試験例3:クレンジング力の評価)
市販のマスカラ0.5gを乾燥した手の甲に均一に塗布した。次いで、実施例、比較例および参考例で得られた各試料1.0gを塗布部のメイク汚れに塗布し、十分馴染ませた後、指先で小さな円を描くように5秒間クレンジングを行った。その後、40℃の温水でメイク汚れを洗い流した。洗い流し後の塗布部を目視にて観察し、下記評価に従って判定した。なお、評価は25℃の条件下で、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0066】
<クレンジング力の評価基準>
◎(非常に良好):メイク汚れとの馴染みが非常に良く、クレンジング後、メイク汚れがしっかり落ちていた。
○(良好):メイク汚れとの馴染みが良く、クレンジング後、メイク汚れが落ちていた。
△(不十分):メイク汚れとの馴染みに劣り、クレンジング後、メイク汚れが完全に落ちていなかった。
×(不良):メイク汚れとの馴染みが悪く、クレンジング後、明らかにメイク汚れが残っていた。
【0067】
(試験例4:濡れ肌を想定したクレンジン力の評価)
市販のマスカラ0.5gを乾燥した手の甲に均一に塗布した。次いで、実施例、比較例および参考例を、40℃の温水で希釈(製剤:水=1:1)し、希釈した各試料2.0gを塗布部のメイク汚れに塗布し、十分馴染ませた後、指先で小さな円を描くように5秒間クレンジングを行った。その後、40℃の温水でメイク汚れを洗い流した。洗い流し後の塗布部を目視にて観察し、下記評価に従って判定した。なお、評価は25℃の条件下で、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0068】
<濡れ肌を想定したクレンジング力の評価基準>
◎(非常に良好):メイク汚れとの馴染みが非常に良く、クレンジング後、メイク汚れがしっかり落ちていた。
○(良好):メイク汚れとの馴染みが良く、クレンジング後、メイク汚れが落ちていた。
△(不十分):メイク汚れとの馴染みに劣り、クレンジング後、メイク汚れが完全に落ちていなかった。
×(不良):メイク汚れとの馴染みが悪く、クレンジング後、明らかにメイク汚れが残っていた。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
表1~表6に示された結果から、各実施例で得られた本発明のクレンジング化粧料は、各比較、各参考例で得られたものと対比して、濁りや沈殿などが生じず、格段に優れた製剤安定性を有していることが分かる。また、クレンジング力においても、肌濡れの有無にかかわらず、メイク汚れとの馴染みが良好で格段に優れたクレンジング力を発揮していることが分かる。