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  • 特開-予混合装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037132
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/62 20060101AFI20240311BHJP
   F23L 13/02 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
F23D14/62
F23L13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087485
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2022141136
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】大稲 高裕
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠馬
【テーマコード(参考)】
3K017
3K023
【Fターム(参考)】
3K017CA04
3K017CB10
3K017CC01
3K017CE03
3K023PA06
3K023PB17
3K023PC02
3K023PD01
(57)【要約】
【課題】空気に燃料ガスを混合し、混合気をファン5を介してバーナ1に供給する予混合装置であって、ガス供給路7の下流端がファン5の上流側の空気供給路6に設けられたガス吸引部61に接続され、ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分に、開き姿勢と閉じ姿勢との少なくとの2つの姿勢に回動自在なバタフライ弁8が設けられるものにおいて、バタフライ弁8を閉じ姿勢にしたときに必要な空気量を確保できなくなることを長期に亘り防止できるようにする。
【解決手段】バタフライ弁8に、閉じ姿勢でバタフライ弁8の上流側から下流側に空気が流れる通気開口82を形成する。また、バタフライ弁8の大きさを、閉じ姿勢において、バタフライ弁8の外周縁8bと空気供給路6の周壁面6aとの間の隙間が実質的に閉塞されて、通気開口82のみに空気が流れるように設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路に設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分にバタフライ弁が設けられ、バタフライ弁は、バタフライ弁の所定の直径方向に沿う回動軸線を中心にして、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢との少なくとの2つの姿勢に回動自在であるものにおいて、
バタフライ弁に、閉じ姿勢でバタフライ弁の上流側から下流側に空気が流れる通気開口が形成され、バタフライ弁の大きさは、閉じ姿勢において、バタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間の隙間が実質的に閉塞されて、通気開口のみに空気が流れるように設定されることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
前記通気開口は、前記バタフライ弁の周方向に間隔を存して複数形成されることを特徴とする請求項1記載の予混合装置。
【請求項3】
請求項2記載の予混合装置であって、前記空気供給路に、前記バタフライ弁を配置した部分よりも下流側に位置させて、バタフライ弁を配置した部分よりも小径なベンチュリ部が設けられると共に、ベンチュリ部を囲うようにして前記ガス吸引部が設けられるものにおいて、前記各通気開口は、前記バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態で、各通気開口の少なくとも一部分が前記ベンチュリ部を上流側に投影した面から径方向外側に張出すように形成されることを特徴とする予混合装置。
【請求項4】
前記各通気開口は、円形であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の予混合装置として、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分にバタフライ弁が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、バタフライ弁は、バタフライ弁の所定の直径方向に沿う回動軸線を中心にして、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢との少なくとの2つの姿勢に回動自在である。そして、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときは、バタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間の隙間を介して空気が流れるようにしている。
【0003】
ところで、バタフライ弁を閉じ姿勢にすると、バタフライ弁の閉じ姿勢で空気供給路の上流側を向く面に当たった空気が径方向外方に向かう大きな速度成分を持ってバタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間の隙間に流入する。そして、径方向外方に向かう大きな速度成分により、空気に含まれる塵埃が空気供給路の周壁面に強く衝突して、周壁面に付着しやすくなる。そのため、空気供給路の周壁面に比較的短期間で塵埃が付着堆積して、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときに、空気供給路の周壁面との間の隙間が目詰まりする。その結果、この隙間に流れる空気量が減少して、必要な空気量を確保できなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-25722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときに、必要な空気量を確保できなくなることを長期に亘り防止できるようした予混合装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路に設けられたガス吸引部に接続され、ガス吸引部より上流側の空気供給路の部分にバタフライ弁が設けられ、バタフライ弁は、バタフライ弁の所定の直径方向に沿う回動軸線を中心にして、空気供給路の長手方向に平行な開き姿勢と空気供給路の長手方向に直交する閉じ姿勢との少なくとの2つの姿勢に回動自在であるものにおいて、バタフライ弁に、閉じ姿勢でバタフライ弁の上流側から下流側に空気が流れる通気開口が形成され、バタフライ弁の大きさは、閉じ姿勢において、バタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間の隙間が実質的に閉塞されて、通気開口のみに空気が流れるように設定されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときに、空気が径方向外方に向かう大きな速度成分を持たずに通気開口を通過する。そのため、通気開口の周縁への塵埃の付着が抑制され、通気開口の目詰まりが生じ難くなる。また、バタフライ弁の閉じ姿勢において、バタフライ弁の外周縁と空気供給路の周壁面との間の隙間は元々実質的に閉塞されているため、この隙間の目詰まりにより空気量が減少することはない。従って、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときに、必要な空気量を確保できなくなることを長期に亘り防止することができる。
【0008】
また、本発明において、通気開口は、バタフライ弁の周方向に間隔を存して複数形成されることが望ましい。これによれば、バタフライ弁を閉じ姿勢にしたときにその下流側の空気供給路の一部のみに空気が偏流して、ガス吸引部での燃料ガスの吸引に支障をきたすことを回避できる。
【0009】
尚、予混合装置では、一般的に、空気供給路に、バタフライ弁を配置した部分よりも下流側に位置させて、バタフライ弁を配置した部分よりも小径なベンチュリ部を設けると共に、ベンチュリ部を囲うようにしてガス吸引部を設けている。この場合、各通気開口は、バタフライ弁を閉じ姿勢にした状態で、各通気開口の少なくとも一部分がベンチュリ部を上流側に投影した面から径方向外側に張出すように形成されることが望ましい。これによれば、各通気開口を通過した空気のうちベンチュリ部の周面近傍に流れる空気の割合が多くなる。そのため、ベンチュリ部の周面近傍における空気の流速と空気供給量との比例関係が維持され易くなる。ここで、ベンチュリ部を囲うガス吸引部に作用する負圧は、ベンチュリ部の周面近傍における空気の流速にほぼ比例する。その結果、ガス吸引部を介して供給される燃料ガスの量と空気供給量との比率、即ち、混合気の空気過剰率を一定に保つことができる。
【0010】
また、各通気開口は、同じ開口面積で周縁の長さが最も短くなる形状である円形にすることが望ましい。これによれば、塵埃が付着する周縁の長さを短くして、通気開口の目詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の予混合装置を示す切断側面図。
図2図1のII-II線で切断した切断平面図。
図3】実施形態の予混合装置に設けられるバタフライ弁の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す燃焼装置は、全一次燃焼式のバーナ1と、バーナ1の燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2と、燃焼筐2内に配置した熱交換器3とを備える熱源機である。混合気の燃焼で生ずる燃焼ガスは、熱交換器3を加熱した後に燃焼筐2の端部に接続される排気筒4を介して外部に排出される。また、本発明の実施形態の予混合装置Aにより、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファン5を介してバーナ1に供給している。
【0013】
予混合装置Aは、ファン5と、ファン5の上流側の空気供給路6と、燃料ガスを供給するガス供給路7とを備えている。ガス供給路7の下流端は、空気供給路6に設けられたガス吸引部61に接続されている。ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分には、後述するバタフライ弁8が設けられている。また、空気供給路6には、バタフライ弁8を配置した部分よりも下流側に位置させて、バタフライ弁8を配置した部分よりも小径なベンチュリ部62が設けられている。ベンチュリ部62の下流側に隣接する空気供給路6の部分は、ベンチュリ部62より大径の筒部63で囲われている。そして、ベンチュリ部62の下流端部を筒部63の上流端部に環状の隙間を存して挿入し、この隙間でガス吸引部61を構成している。従って、ガス吸引部61は、ベンチュリ部62を囲うようにして設けられることになる。
【0014】
ガス供給路7の下流端には、筒部63を囲うようにして、ガス吸引部61に連通するガス室71が設けられている。また、ガス供給路7には、上流側から順に、元弁72と、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ73と、可変絞り弁74とが介設されている。
【0015】
ガス吸引部61を介して供給される燃料ガスの量は、二次ガス圧である大気圧とガス吸引部61に作用する負圧との差圧に応じて変化する。ここで、ガス吸引部61に作用する負圧は、ファン5の回転数に応じて変化する。そのため、燃料ガスの供給量はファン5の回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。また、燃料ガスの供給量と空気の供給量との比率は、可変絞り弁74の開度によって変化する。可変絞り弁74の開度を使用するガス種に応じた所定の基準開度にすることで、混合気の空気過剰率が所定の適正値(例えば、1.3)になる。そして、要求燃焼量(設定湯温の温水を出湯するために必要な燃焼量)に応じてファン5の回転数を制御することにより、空気過剰率が適正値で要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナ1に供給される。
【0016】
尚、排気筒4への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、ファン5の下限回転数をあまり低く設定することはできない。そして、要求燃焼量がファン5の下限回転数に対応する所定値以下になった場合には、要求燃焼量に対応する量の空気を供給できなくなる。
【0017】
そこで、ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分に、当該部分の通気抵抗を大小2段に切換えるために、バタフライ弁8を配置している。バタフライ弁8は、図外のモータにより、バタフライ弁8の所定の直径方向に沿う回転軸線8aを中心にして、空気供給路6の長手方向に平行な図1に仮想線で示す開き姿勢と空気供給路6の長手方向に直交する図1に実線で示す閉じ姿勢との2つの姿勢に回動される。そして、要求燃焼量が上記所定値以下になった場合には、バタフライ弁8を閉じ姿勢に回動して、空気供給路6の通気抵抗を大きくしている。これにより、ファン5の回転数を下限回転数以下にせずに、所定値以下の燃焼量に対応する量の空気を供給できるようにしている。
【0018】
但し、バタフライ弁8を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくするだけでは、ガス吸引部61に作用する負圧が増加して、燃料ガスの供給量が過大となり、バーナ1に供給される混合気の空気過剰率が適正値を下回ってしまう。そのため、要求燃焼量が比較的小さな場合には、バタフライ弁8を閉じ姿勢に回動すると共に、可変絞り弁74の開度を、バタフライ弁8を閉じ姿勢にした状態で混合気の空気過剰率が適正値になるように予め設定された比較的小さな小能力基準開度にすることで、燃焼能力を小能力に切換えて、空気過剰率が適正値で比較的小さな燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにする。また、要求燃焼量が比較的大きな場合には、バタフライ弁8を開き姿勢に回動すると共に、可変絞り弁74の開度を、バタフライ弁8を開き姿勢にした状態で混合気の空気過剰率が適正値になるように予め設定された比較的大きな大能力基準開度にすることで、燃焼能力を大能力に切換えて、空気過剰率が適正値で比較的大きな燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにする。
【0019】
以下、図2図3も参照して、バタフライ弁8について詳述する。バタフライ弁8には、モータに連結される、上記回転軸線8aに合致する回転軸81が連結されている。また、バタフライ弁8には、閉じ姿勢でバタフライ弁8の上流側から下流側に空気が流れる通気開口82が形成されている。バタフライ弁8の大きさは、閉じ姿勢において、バタフライ弁8の外周縁8bと空気供給路6の周壁面6aとの間の隙間が実質的に閉塞されて、通気開口82のみに空気が流れるように設定されている。具体的には、バタフライ弁8の閉じ姿勢でその外周縁8bと空気供給路6の周壁面6aとの間にはバタフライ弁8を回動させるのに必要な摺動クリアランス分の隙間を生ずるだけで、空気が流れるような隙間は生じない。これが上述した「隙間が実質的に閉塞され」の意味である。
【0020】
本実施形態によれば、バタフライ弁8を閉じ姿勢にしたときに、空気が径方向外方に向かう大きな速度成分を持たずに通気開口82を通過する。そのため、通気開口82の周縁への塵埃の付着が抑制され、通気開口82の目詰まりが生じ難くなる。また、バタフライ弁8の閉じ姿勢において、バタフライ弁8の外周縁8bと空気供給路6の周壁面6aとの間の隙間は元々実質的に閉塞されているため、この隙間の目詰まりにより空気量が減少することはない。従って、バタフライ弁8を閉じ姿勢にしたときに必要な空気量を確保できなくなることを長期に亘り防止することができる。
【0021】
また、本実施形態において、通気開口82は、バタフライ弁8の周方向に間隔を存して複数、具体的には、90°間隔で4個形成されている。これによれば、バタフライ弁8の閉じ姿勢において、その下流側の空気供給路6の部分であるベンチュリ部62の一部のみに空気が偏流して、ガス吸引部61での燃料ガスの吸引に支障をきたすことを回避できる。
【0022】
尚、同じ開口面積で周縁の長さが最も短くなる形状は円形である。そこで、各通気開口82を円形にしている。これによれば、塵埃が付着する周縁の長さを短くして、各通気開口82の目詰まりを抑制することができる。
【0023】
更に、各通気開口82は、バタフライ弁8を閉じ姿勢にした状態で、各通気開口82の一部分がベンチュリ部62を上流側に投影した面(図2で符号62を付した円に合致する面)から径方向外側に張出すように形成されている。これによれば、各通気開口82を通過した空気のうちベンチュリ部62の周面近傍に流れる空気の割合が多くなる。そのため、ベンチュリ部62の周面近傍における空気の流速と空気供給量との比例関係が維持され易くなる。ここで、ベンチュリ部62を囲うガス吸引部61に作用する負圧は、ベンチュリ部62の周面近傍における空気の流速にほぼ比例する。その結果、ガス吸引部61を介して供給される燃料ガスの量と空気供給量との比率、即ち、混合気の空気過剰率を一定に保つことができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、バタフライ弁8を開き姿勢と閉じ姿勢との2つの姿勢に回動自在としているが、開き姿勢と閉じ姿勢との間の姿勢を含む3つ以上の姿勢に回動自在としてもよい。また、バタフライ弁8の中央部に、上記実施形態の4個の通気開口82の合計開口面積に等しい開口面積を持つ単一の通気開口を形成し、或いは、バタフライ弁8に4個以外の複数の通気開口を形成することも可能である。そして、通気開口の個数を多くする場合には、各通気開口をその全体がベンチュリ部62を上流側に投影した面から径方向外側に張出すように形成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
A…予混合装置、1…バーナ、5…ファン、6…空気供給路、6a…周壁面、61…ガス吸引部、62…ベンチュリ部、7…ガス供給路、8…バタフライ弁、8a…回転軸線、8b…外周縁、82…通気開口。
図1
図2
図3