(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003714
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】充放電制御システム、充放電制御装置、充放電制御プログラム及び充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H02J7/35 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103059
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔
(72)【発明者】
【氏名】市川 博則
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB05
5G503CB09
5G503DA04
(57)【要約】
【課題】蓄電池の余剰電力の充電を効率的に実施する充放電制御システム、充放電制御装置、充放電制御プログラム及び充放電制御方法を得る。
【解決手段】実施形態に係る充放電制御システムは、取得部と、演算部と、制御部と、を備える。取得部は、気象情報及び時間情報を取得する。演算部は、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。制御部は、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象情報及び時間情報を取得する取得部と、
前記気象情報及び前記時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、前記点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する演算部と、
前記電力情報に基づいて前記灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する制御部と、
を備える、充放電制御システム。
【請求項2】
前記点灯条件に基づいて前記灯火点灯装置の点灯パターンを決定する演算部と、
前記点灯パターンに基づいて前記灯火点灯装置の点灯及び消灯を制御する制御部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の充放電制御システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記電力情報に基づいて前記蓄電池に関して必要な充電容量を決定し、
前記灯火点灯装置は、前記充電容量の情報を外部に送信する送信部をさらに有する、
請求項2に記載の充放電制御システム。
【請求項4】
空港の運用条件を取得する取得部と、
前記運用条件に基づいて空港の運航体制の消費電力を予測する演算部と、
前記運用条件に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する制御部と、を有する、
充放電制御システム。
【請求項5】
前記演算部は、過去に記録された灯火点灯装置の点灯条件から気象情報及び点灯条件パターンを演算する、
請求項1又は4に記載の充放電制御システム。
【請求項6】
気象情報と、時間情報と、運用条件と、を取得する取得部と、
前記気象情報と、前記時間情報と、前記運用条件と、に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する演算部と、
前記電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する制御部と、
を備える、充放電制御システム。
【請求項7】
気象情報及び時間情報を取得する取得部と、
前記気象情報及び前記時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、前記点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する演算部と、
前記電力情報に基づいて前記灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する制御部と、
を有する蓄電池制御装置を備える、
充放電制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、
気象情報及び時間情報を取得する取得部と、
前記気象情報及び前記時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、前記点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する演算部と、
前記電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する制御部と、
を有する蓄電池制御装置、
として機能させるための充放電制御プログラム。
【請求項9】
充放電制御方法であって、
気象情報及び時間情報を取得し、
前記気象情報及び前記時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、
前記点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算し、
前記電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御すること、
を含む、充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充放電制御システム、充放電制御装置、充放電制御プログラム及び充放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電と、蓄電池と、を組み合わせた充放電制御システムが知られている。需要家において使用される充放電制御システムは、天候から太陽光の出力を予測して消費電力を確定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の充放電制御システムは、天候から太陽光の出力を予測するだけであり、例えば、気象情報及び時間帯を考慮して太陽光の出力を予測していない。このため、蓄電池を用いたピークカット及び再生可能エネルギーの余剰電力の充電を効率的に実施することが困難であった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、蓄電池を用いたピークカット及び再生可能エネルギーの余剰電力の充電を効率的に実施する充放電制御システム、充放電制御装置、充放電制御プログラム及び充放電制御方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る充放電制御システムは、取得部と、演算部と、制御部と、を備える。取得部は、気象情報及び時間情報を取得する。演算部は、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。制御部は、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【0007】
また、実施形態に係る充放電制御システムは、取得部と、演算部と、制御部と、を有する。取得部は、空港の運用条件を取得する。演算部は、運用条件に基づいて空港の運航体制の消費電力を予測する。制御部は、運用条件に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【0008】
また、実施形態に係る充放電制御システムは、取得部と、演算部と、制御部と、を備える。取得部は、気象情報と、時間情報と、運用条件と、を取得する。演算部は、気象情報と、時間情報と、運用条件と、に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。制御部は、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【0009】
実施形態に係る充放電制御装置は、蓄電池制御装置を備える。蓄電池制御装置は、取得部と、演算部と、制御部と、を備える。取得部は、気象情報及び時間情報を取得する。演算部は、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。制御部は、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【0010】
実施形態に係る充放電制御プログラムは、コンピュータを蓄電池制御装置として機能させる。蓄電池制御装置は、取得部と、演算部と、制御部と、を備える。取得部は、気象情報及び時間情報を取得する。演算部は、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。制御部は、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御する。
【0011】
実施形態に係る充放電制御方法は、気象情報及び時間情報を取得し、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算し、電力情報に基づいて灯火点灯装置へ電力を供給する蓄電池の充電及び放電を制御すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態の充放電制御システムのシステム図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の充放電制御システムの充放電制御の第1の部分の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態の充放電制御システムの充放電制御の第2の部分の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、実施形態に係る充放電制御システム1を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0014】
図1は、本実施形態の充放電制御システム1のシステム図である。本実施形態の充放電制御システム1は、例えば、自然エネルギーである太陽光を利用した発電装置と蓄電池を備えたシステムである。
【0015】
図1に示すように、充放電制御システム1は、充放電制御装置10と、蓄電池11と、航空灯火12と、灯火点灯装置13と、電源切換部14と、を備える。充放電制御装置10は、蓄電池制御装置15と、灯火制御装置16と、運用カテゴリー管理部17と、を備える。
【0016】
蓄電池11は、電気エネルギーを蓄える蓄電装置であり、太陽光発電設備2で発電された電気エネルギーのうち消費しきれずに余った余剰分の電力を蓄える。なお、太陽光発電設備2とは、日中に照射している太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して供給する設備である。
【0017】
航空灯火12は、例えば、夜間又は計器気象状態下における航空機の航行を支援する装置である。灯火点灯装置13は、蓄電池11又は商用電源3から供給される電力によって航空灯火12を点灯させる装置である。なお、商用電源3は、例えば、契約している電力会社から供給される電力の供給源であり、蓄電池11と、電源切換部14を介して灯火点灯装置13に供給可能である。
【0018】
電源切換部14は、蓄電池11又は商用電源3から灯火点灯装置13に電力を供給する際に、どちらか一方の電力のみが灯火点灯装置13に供給されるように切り換える設備である。
【0019】
蓄電池制御装置15は、データ取得部151と、蓄電池演算部152と、蓄電池制御部153と、蓄電池送信部154と、を有する。なお、データ取得部151は、取得部の一例であり、蓄電池演算部152は、演算部の一例である。さらに、蓄電池制御部153は、制御部の一例である。
【0020】
データ取得部151は、外部から送信された情報を取得する。本実施形態では、データ取得部151は、タイムサーバ4から時間情報を、気象情報配信装置5から気象情報を取得する。なお、時間情報及び気象情報は、リアルタイム又は所定の時間間隔で観測される。
【0021】
気象情報配信装置5は、例えば、気象庁や空港に設置された気象観測装置などである。また、気象情報とは、例えば、視程、雲底高及び背景輝度などの情報である。背景輝度には、例えば、昼、夜、日の出・日の入の三つのパターンがある。
【0022】
蓄電池演算部152は、データ取得部151が取得した情報を用いて演算、予測や判定等を行う。例えば、蓄電池演算部152は、データ取得部151がタイムサーバ4及び気象情報配信装置5から取得した時間情報及び気象情報に基づいて、時間変化に対する航空灯火12の必要電力や灯火点灯装置13の点灯条件などを演算する。そして、演算した値に基づいて、蓄電池制御部153に充電指令及び容量指定を行う。
【0023】
蓄電池制御部153は、蓄電池演算部152から指定された充電容量を蓄電池11が蓄えられるように蓄電池11の充電及び放電を制御する。また、蓄電池制御部153は、灯火点灯装置13に供給される電力源を蓄電池11又は商用電源3のどちら一方に切り替える制御を行う。蓄電池送信部154は、蓄電池演算部152で演算された点灯条件を灯火制御装置16に送信する。
【0024】
灯火制御装置16は、条件取得部161と、灯火演算部162と、灯火制御部163と、灯火送信部164と、を有する。なお、条件取得部161は、取得部の一例であり、灯火演算部162は、演算部の一例である。さらに、灯火制御部163は、制御部の一例である。
【0025】
条件取得部161は、外部から送信された情報を取得する。本実施形態では、条件取得部161は、蓄電池制御装置15の蓄電池送信部154から送信された灯火制御装置16の点灯条件と、運用カテゴリー管理部17から送信される運用条件を取得する。
【0026】
灯火演算部162は、条件取得部161が取得した情報を用いて演算、予測や判定等を行う。例えば、灯火演算部162は、条件取得部161が蓄電池制御装置15の蓄電池送信部154から取得した灯火制御装置16の点灯条件に基づいて、点灯条件ごとに予め設定されている点灯パターンを決定する。さらに、決定した点灯パターンから航空灯火12が所定時間の間に消費する消費電力を予測する。そして、決定した点灯パターンに基づいて、灯火制御部163に灯火指令を行う。
【0027】
灯火制御部163は、灯火演算部162で決定された点灯パターンで航空灯火12が点灯するように灯火点灯装置13の点灯及び消灯を制御する。灯火送信部164は、灯火演算部162で予測された所定時間の間に航空灯火12が消費する消費電力の情報を蓄電池制御装置15のデータ取得部151に送信する。
【0028】
なお、本実施形態では、蓄電池演算部152は、タイムサーバ4及び気象情報配信装置5から取得した時間情報及び気象情報に基づいて点灯条件を演算する。そして、灯火演算部162は、蓄電池演算部152で演算された点灯条件から点灯パターンを決定する。しかし、これに限らず、例えば、蓄電池演算部152及び灯火演算部162は、過去記録されている点灯条件から気象情報及び点灯パターンを演算しても良い。
【0029】
運用カテゴリー管理部17は、受信部171と、管理部172と、情報送信部173と、を有する。受信部171は、気象情報配信装置5から気象情報をリアルタイム又は所定の時間間隔で取得する。
【0030】
管理部172は、空港の運航体制が移行するための移行条件と、運航体制を運用するための運用条件と、を管理している。さらに、管理部172は、受信部171が取得した気象情報と、管理している移行条件と、の比較や判定等を行う。なお、管理部172には、複数の空港の運航体制に対応する複数の移行条件及び運用条件が記録されている。移行条件は、例えば、予めユーザが設定した視程、雲底高及び背景輝度等の情報である。運用条件は、例えば、各運航体制の消費電力の情報等である。
【0031】
情報送信部173は、運航体制が変化した時、複数の規定されている運航体制のうち、変化した運航体制の運用条件を灯火制御装置16の条件取得部161に送信する。なお、本実施形態の充放電制御システム1では、例えば、空港の運航体制がSSP体制に移行した場合を想定している。
【0032】
図2は、本実施形態の充放電制御システム1の充放電制御の第1の部分の一例を示すフローチャートである。
図3は、本実施形態の充放電制御システム1の充放電制御の第2の部分の一例を示すフローチャートである。以下、
図2、3のフローチャートを参照しながら、充放電制御システム1が実行する処理の一例を述べる。なお、前提条件として、翌日の天候予測が晴れであり、蓄電池11は、日中の太陽光による余剰電力を蓄電するために、容量が空になっていると想定する。
【0033】
図2に示すように、蓄電池制御装置15のデータ取得部151は、気象情報配信装置5から今日の気象情報を、タイムサーバ4から時間情報を取得する(ステップ1)。
【0034】
蓄電池演算部152は、気象情報配信装置5から取得した今日の気象情報に基づいて、灯火点灯装置13の点灯条件を演算する。また、蓄電池演算部152は、灯火点灯装置13の点灯条件と時間情報に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算し、蓄電池11から供給される電力を用いて電力のピークカットを行う時間帯(ピークカット必要時間)を設定する(ステップ2)。
【0035】
蓄電池制御部153は、蓄電池演算部152で演算された電力情報に基づいて灯火点灯装置13へ電力を供給する蓄電池11の充電及び放電を制御する。蓄電池送信部154は、点灯条件及びピークカット必要時間の情報を灯火制御装置16の条件取得部161に送信する。
【0036】
条件取得部161は、蓄電池送信部154から送信された点灯条件及びピークカット必要時間の情報を取得する。灯火演算部162は、条件取得部161から取得した点灯条件ごとに予め設定されている点灯パターンを決定する。さらに、決定した点灯パターン及びピークカット必要時間の情報から航空灯火12がピークカット必要時間の間に消費する電力(充電容量)を予測する(ステップ3)。
【0037】
灯火制御部163は、灯火演算部162で決定された点灯パターンに基づいて灯火点灯装置13の点灯及び消灯を制御する。灯火送信部164は、灯火演算部162で予測した消費電力(充電容量)の情報を蓄電池制御装置15のデータ取得部151に送信する。
【0038】
蓄電池演算部152は、灯火演算部162で予測した消費電力(充電容量)を太陽光発電の余剰電力で補えるか予測する。すなわち、蓄電池演算部152は、今日の天候において太陽光発電が見込めるか判断する(ステップ4)。
【0039】
昨日、蓄電池演算部152は、日中の太陽光による余剰電力を蓄電池11に蓄電するために、蓄電池制御部153に朝方の時間帯において蓄電池11が放電状態になるよう指示している。そのため、蓄電池11の容量は空になっている。
【0040】
太陽光発電が見込める場合、蓄電池11は、太陽光によって発電された余剰電力を空になっている蓄電池11に充電する(ステップ4のYes)。そして、灯火点灯装置13は、夕方の時間帯において、蓄電池11に蓄えられた余剰電力を消費して航空灯火12を点灯させる(ステップ5)。
【0041】
具体的には、蓄電池制御部153は、電源切換部14に電源切換制御を行うことで灯火点灯装置13に蓄電池11から電力が供給できるように切り換える。そして、蓄電池11に蓄えられた余剰電力を灯火点灯装置13に供給することで、航空灯火12を点灯させる。この時、灯火制御部163は、灯火演算部162で決定した点灯パターンで航空灯火12が点灯するように灯火点灯装置13を制御する。
【0042】
次に、太陽光発電が見込ない場合、データ取得部151は、タイムサーバ4及び気象情報配信装置5から時間情報及び気象情報をリアルタイムで取得し続ける(ステップ4のNо、ステップ6)。
【0043】
蓄電池演算部152は、データ取得部151から取得し続けている気象情報が閾値を下回っているか判定する(ステップ7)。なお、閾値とは、例えば、視程5000mや雲底高1000mのような予めユーザが設定可能なパラメータを指す。本実施形態の充放電制御システム1では、蓄電池11は、データ取得部151が閾値を下回る気象情報を取得した時、蓄電池制御部153によって充電が開始されるように設定されている。
【0044】
取得した気象情報が閾値を下回っていない場合、引き続きデータ取得部151は、タイムサーバ4及び気象情報配信装置5から時間情報及び気象情報を取得し続ける(ステップ7のNо)。
【0045】
取得した気象情報が閾値を下回っていた場合、データ取得部151は、閾値を下回った時点での時間情報及び気象情報を取得する。(ステップ7のYes、ステップ8)。
【0046】
蓄電池演算部152は、データ取得部151が取得した気象情報に基づいて、灯火点灯装置13の点灯条件を演算する。また、蓄電池演算部152は、灯火点灯装置13の点灯条件とデータ取得部151に取得させられた時間情報に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算し、蓄電池11から供給される電力を用いて電力のピークカットを行う時間帯(ピークカット必要時間)を設定する(ステップ9)。その後、蓄電池送信部154は、点灯条件及びピークカット必要時間の情報を灯火制御装置16の条件取得部161に送信する。
【0047】
灯火演算部162は、条件取得部161が取得した点灯条件ごとに予め設定されている点灯パターンを決定する。さらに、決定した点灯パターン及びピークカット必要時間の情報から航空灯火12がピークカット必要時間の間に消費する電力(充電容量)を予測する(ステップ10)。すなわち、灯火演算部162は、蓄電池演算部152で演算された電気情報に基づいて蓄電池11に必要な充電容量を決定する。その後、灯火送信部164は、灯火演算部162で予測した消費電力(充電容量)の情報を蓄電池制御装置15のデータ取得部151に送信する。
【0048】
一方、
図3に示すように、運用カテゴリー管理部17の受信部171は、気象情報配信装置5から気象情報をリアルタイムで取得し続ける(ステップ11)。
【0049】
管理部172は、取得した気象情報と、管理されている運航体制の移行条件と、を比較して、取得した気象情報に当てはまる移行条件があるか判定する(ステップ12)。取得した気象情報に当てはまる移行条件がある場合、航空機は、取得した気象情報に当てはまる移行条件に対応する運航体制に移行する。
【0050】
運航体制が変化していない場合、受信部171は、気象情報配信装置5から気象情報を取得し続ける(ステップ12のNо)。
【0051】
運航体制が変化した場合、データ取得部151は、運航体制が変化した時点での時間情報を取得する。(ステップ12のYes、ステップ13)。そして、情報送信部173は、移行した運航体制の運用条件を灯火制御装置16の条件取得部161に送信する。
【0052】
条件取得部161は、情報送信部173から移行した空港の運航体制の運用条件を取得する。灯火演算部162は、条件取得部161から取得した運用条件に基づき、運航体制の消費電力を予測する。なお、管理部172は、複数の運航体制ごとの消費電力の情報も管理している。そのため、移行した運航体制に合わせて予め消費電力を予測することが可能である。
【0053】
灯火演算部162は、運用条件から予測した消費電力と、ステップ13においてデータ取得部151が取得した時間情報から蓄電池演算部152により設定されたピークカット必要時間の情報と、に基づいて航空灯火12がピークカット必要時間の間に消費する電力を予測する(ステップ14)。その後、灯火送信部164は、灯火演算部162で予測した消費電力(充電容量)の情報を蓄電池制御装置15のデータ取得部151に送信する。
【0054】
図2に示すように、蓄電池演算部152は、データ取得部151が取得した気象情報から予測された消費電力(充電容量)と、運用条件から予測された消費電力(充電容量)と、に基づき、より正確な消費電力を予測する(ステップ15)。
【0055】
蓄電池演算部152は、ステップ15にて予測した消費電力(充電容量)を目標値として、蓄電池制御部153に蓄電池11を制御させる。蓄電池制御部153は、蓄電池11の充電容量が目標値に達するように、蓄電池11を制御して商用電源3から電力を充電する(ステップ16)。言い換えると、蓄電池制御部153は、蓄電池演算部152で演算された電力情報及び条件取得部161から取得した運用条件に基づいて、灯火点灯装置13へ電力を供給する蓄電池11の充電及び放電を制御する。
【0056】
蓄電池11に商用電源3から電力が充電されている間、蓄電池演算部152及び管理部172は、気象情報配信装置5からデータ取得部151及び受信部171が取得し続けている情報から、天候が急変する予定はあるか又は天候が急変しているか判定する(ステップ17)。
【0057】
天候が急変する予定がある又は天候が急変している場合、ステップ8~ステップ16までの処理を再度行い、ピークカット必要時間の間の消費電力の情報を最新の情報に更新する。そして、蓄電池制御部153は、更新された消費電力の情報に基づいて蓄電池11の充放電を制御する(ステップ17のYes)。
【0058】
天候が急変する予定がない又は天候が急変していない場合、蓄電池演算部152は、気象情報配信装置5からデータ取得部151が取得し続けている情報から、天候が回復する予定はあるか又は天候が回復しているか判定する(ステップ17のNo、ステップ18)。
【0059】
天候が回復する予定がある又は天候が回復している場合、蓄電池制御部153は、商用電源3から蓄電池11に電力を充電する制御を停止し、太陽光発電による余剰電力を蓄電池11に充電できるように蓄電池11を備えさせる(ステップ18のYes)。そして、灯火点灯装置13は、夕方の時間帯において、蓄電池11に蓄えられた余剰電力を消費して航空灯火12を点灯させる(ステップ5)。
【0060】
天候が回復する予定がない又は天候が回復していない場合、蓄電池制御部153は、蓄電池11の充電容量が目標値に達しているか判定する(ステップ18のNo、ステップ19)。
【0061】
蓄電池11の充電容量が目標値に達していない場合、蓄電池制御部153は、引き続き蓄電池11を制御して商用電源3から電力を充電する(ステップ19のNо)。
【0062】
蓄電池11の充電容量が目標値に達している場合、蓄電池制御部153は、商用電源3から蓄電池11に電力を充電する制御を停止する(ステップ19のYes)。なお、蓄電池制御部153は、蓄電池11の充電容量が灯火演算部162で予測した消費電力を超えて充電されないように予め設定されている。これにより、天候が回復した場合に太陽光発電の余剰電力をさらに充電することが可能になる。
【0063】
蓄電池11に充電が完了した後、灯火点灯装置13は、データ取得部151が取得した気象情報が基準値を下回った時に蓄電池11から供給される電力によって航空灯火12を点灯させる。なお、基準値とは閾値と同様に、例えば視程4000mや雲底高900mのような予めユーザが設定可能なパラメータを指す。なお、基準値は閾値よりも低い値に設定されている。また、本実施形態では、消費電力の算出に使用する気象情報を閾値と同様の気象情報としたが、これに限らない。例えば、消費電力の算出に使用する気象情報は、基準値よりも事前に観測した気象情報であれば良い。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の充放電制御システム1は、データ取得部151と、蓄電池演算部152と、蓄電池制御部153と、を備える。データ取得部151は、気象情報及び時間情報を取得する。蓄電池演算部152は、気象情報及び時間情報に基づき灯火点灯装置13の点灯条件を演算し、点灯条件に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。蓄電池制御部153は、電力情報に基づいて灯火点灯装置13へ電力を供給する蓄電池11の充電及び放電を制御する。
【0065】
充放電制御システム1は、例えば、気象庁や空港にて事前に観測された航空機の運航当日中における時間帯毎の気象情報をデータ取得部151に取得させる。蓄電池演算部152は、観測された気象情報及び時間情報に基づいて時間帯毎に変化する灯火点灯装置13の点灯状態を予測する。蓄電池制御部153は、蓄電池演算部152にて予測された灯火点灯装置13の点灯状態を維持可能な電力を予め蓄電池11に充電できるように制御する。
【0066】
これにより、充放電制御システム1は、気象情報及び時間帯を考慮して、天候の変化により変動する灯火点灯装置13の消費電力を、従来に比して高い精度で事前に捉えることができる。従って、充放電制御システム1は、蓄電池11の充電及び放電を効率的に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、充放電制御システム1は、灯火演算部162と、灯火制御部163と、をさらに備える。灯火演算部162は、点灯条件に基づいて灯火点灯装置13の点灯パターンを決定する。灯火制御部163は、点灯パターンに基づいて灯火点灯装置13の点灯及び消灯を制御する。
【0068】
蓄電池制御装置15は、蓄電池演算部152において予測した灯火点灯装置13の点灯状態を蓄電池送信部154から灯火制御装置16の条件取得部161に送信する。灯火演算部162は、条件取得部161により取得した点灯状態を実現できるような灯火点灯装置13の点灯パターンを演算して設定する。灯火制御部163は、灯火演算部162にて設定された点灯パターンを再現するように灯火点灯装置13を制御する。
【0069】
これにより、充放電制御システム1は、蓄電池11から供給される電力を用いて点灯する灯火点灯装置13の運用を効率的に行うことができる。従って、充放電制御システム1では、より効率的に蓄電池11を運用することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、灯火演算部162は、電力情報に基づいて蓄電池11に関して必要な充電容量を決定する。灯火点灯装置13は、充電容量の情報を外部に送信する灯火送信部164をさらに有する。これにより、充放電制御システム1は、最低限決定した充電容量を蓄電池11に充電すれば良い。従って、充放電制御システム1は、蓄電池11への充電を短時間で完了することが可能になる。
【0071】
また、本実施形態の充放電制御システム1は、条件取得部161と、灯火演算部162と、蓄電池制御部153と、を有する。条件取得部161は、空港の運用条件を取得する。灯火演算部162は、運用条件に基づいて空港の運航体制の消費電力を予測する。蓄電池制御部153は、運用条件に基づいて灯火点灯装置13へ電力を供給する蓄電池11の充電及び放電を制御する。
【0072】
空港では、着陸時の気象状況に応じて運航体制が設定されている。航空機が空港に着陸する時、急激な気象の変化により空港の運航体制が変化することがある。運用カテゴリー管理部17は、空港の運航体制が変化した場合、変化した運航体制の運用条件を灯火制御装置16の条件取得部161に伝達させる。灯火演算部162は、条件取得部161より取得した運用条件と、予め設定されている運用カテゴリー毎の必要電力から蓄電池11に充電する充電容量を演算する。蓄電池制御部153は、灯火演算部162にて演算された充電容量になるように蓄電池11を充電する制御を行う。
【0073】
これにより、充放電制御システム1は、天候が急激に変化して運航体制が移行した場合でも、蓄電池11の充電及び放電を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、蓄電池演算部152及び灯火演算部162は、過去に記録された灯火点灯装置13の点灯条件から気象情報及び点灯条件パターンを演算する。これにより、充放電制御システム1は、外部より気象情報を取得せずとも気象情報及び灯火点灯装置13の点灯条件パターンを予測することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の充放電制御システム1は、データ取得部151と、条件取得部161と、灯火演算部162と、蓄電池制御部153と、を備える。データ取得部151及び条件取得部161は、気象情報と、時間情報と、運用条件と、を取得する。灯火演算部162は、気象情報と、時間情報と、運用条件と、に基づいて消費電力と時間との関係を示す電力情報を演算する。蓄電池制御部153は、電力情報に基づいて灯火点灯装置13へ電力を供給する蓄電池11の充電及び放電を制御する。これにより、充放電制御システム1は、気象情報と運航体制の運用条件より消費電力を予測することが可能になる。従って、充放電制御システム1は、高い精度で消費電力を予測することができる。
【0076】
(変形例)
上記実施形態の充放電制御システム1では、灯火演算部162は、気象情報配信装置5から取得した気象情報及び運用カテゴリー管理部17の情報送信部173から取得した運用条件の双方と、時間情報を組み合わせて、ピークカット必要時間の間の消費電力を予測する場合を例として説明した。しかし、ピークカット必要時間の間の消費電力を予測する方法は、これに限らない。例えば、灯火演算部162は、気象情報配信装置5から取得した気象情報と時間情報又は、情報送信部173から取得した運用条件と時間情報を用いてピークカット必要時間の間の消費電力を予測しても良い。言い換えると、充放電制御システム1は、蓄電池制御装置15及び運用カテゴリー管理部17のうち、少なくともどちらか一方を備えていれば良い。
【0077】
また、本実施形態では、蓄電池制御装置15、灯火制御装置16及び運用カテゴリー管理部17は、それぞれ異なる役割を有している。しかし、これに限らず、例えば、蓄電池制御装置15が灯火制御装置16及び運用カテゴリー管理部17の機能を含んだ構成としても良い。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 充放電制御システム
10 充放電制御装置
11 蓄電池
12 航空灯火
13 灯火点灯装置
15 蓄電池制御装置
151 データ取得部(取得部)
152 蓄電池演算部(演算部)
153 蓄電池制御部(制御部)
16 灯火制御装置
161 条件取得部(取得部)
162 灯火演算部(演算部)
163 灯火制御部(制御部)