IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Joyson Safety Systems Japan株式会社の特許一覧

特開2024-37143助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム
<>
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図1
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図2
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図3
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図4
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図5
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図6
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図7
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図8
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図9
  • 特開-助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037143
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20240311BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20240311BHJP
【FI】
B60R21/2338
B60R21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130255
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2022141573
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】京谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡田 典久
(72)【発明者】
【氏名】小杉 英記
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA14
3D054BB16
3D054CC11
3D054CC15
3D054CC34
3D054DD09
3D054EE22
3D054FF13
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】斜突時に乗員を拘束可能であり、かつバッグ容量を抑えることができる助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステムを提供する。
【解決手段】助手席用エアバッグ1は、膨張展開した状態において乗員に対面する乗員対向面2を有する。助手席用エアバッグ1が膨張展開した状態において、乗員対向面2の車両中央側部分及び車両外側部分に、それぞれ車両上下方向に延在する第1凹部8と第2凹部9を有し、該第1及び第2凹部同士の間は第1凸部10となっており、第1凹部8よりも車両中央側が第2凸部11となっており、第2凹部9よりも車両外側が第3凸部12となっている。車両前後方向において、第2凸部11の後端は、第1凸部10の後端及び第3凸部12の後端よりも後方に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張展開した状態において乗員に対面する乗員対向面を有する助手席用エアバッグであって、
膨張展開した状態において前記乗員対向面の車両中央側部分及び車両外側部分に、それぞれ車両上下方向に延在する第1凹部と第2凹部を有し、該第1及び第2凹部同士の間は第1凸部となっており、
前記第1凹部よりも車両中央側が第2凸部となっており、前記第2凹部よりも車両外側が第3凸部となっており、車両前後方向において、該第2凸部の後端は、前記第1凸部の後端及び該第3凸部の後端よりも後方に位置している、助手席用エアバッグ。
【請求項2】
前記乗員対向面の外形ラインは上面視略L字型である、請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項3】
車両左右方向において、前記第2凸部の左右幅は、前記第3凸部の左右幅より大きい、請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項4】
前記第3凸部の後端は、前記第1凸部の後端と同等の前後位置にある、請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項5】
前記乗員対向面を前方に引っ張ることにより前記1凹部を形成する第1テザーと、
前記乗員対向面を前方に引っ張ることにより前記2凹部を形成する第2テザーと、
を有する請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項6】
前記第1テザーの前端部は車両中央側のサイド面に連結され、
前記第2テザーの前端部は車両外側のサイド面に連結されている、請求項5に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項7】
前記第1テザーと前記第2テザーとを連結する横テザーを備える、請求項6に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項8】
下面と前記横テザーとを連結する中間テザーを備える、請求項7に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項9】
前記第1テザーは、前記前端部と前記後端部との距離が段階的に伸長するように破断する、請求項6に記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記第3凸部の後端は、前記第1凸部の後端よりも前方に位置している、請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の助手席用エアバッグと、
前記助手席用エアバッグにガスを供給するインフレータと、
を備える助手席用エアバッグ装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の助手席用エアバッグと、
前記助手席用エアバッグよりも車両外側で車両室内の側面に沿って下方に向かって展開するカーテンエアバッグと、
を備えるエアバッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の乗員を衝突時等に拘束するための助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステムに関する。なお、本発明において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後・上下・左右の方向に対応するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の衝突や車体横転時等に、乗員の周囲各部でエアバッグをインフレータにより膨張させ、乗員の身体を拘束するエアバッグ装置が知られている。例えば、助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネル内に収容され、緊急時にエアバッグを膨張展開して、助手席乗員を拘束する。
【0003】
車両の斜め衝突時や微小ラップ衝突時、助手席乗員は斜め前方に慣性移動する。そのため、斜め前方に移動する助手席乗員を拘束するエアバッグ装置が求められている。
【0004】
特許文献1には、インフレータから放出されるガスによって乗員側に向かって膨張・展開するエアバッグであって、展開時に乗員の正面に位置する正面保護部と、正面保護部の車幅方向側部に位置し、正面保護部よりも乗員側に突出した一対の側方突出部とを有するエアバッグが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/174892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斜突時に乗員を拘束可能であり、かつバッグ容量を抑えることができる助手席用エアバッグ、助手席用エアバッグ装置及びエアバッグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアバッグは、膨張展開した状態において乗員に対面する乗員対向面を有する助手席用エアバッグであって、膨張展開した状態において前記乗員対向面の車両中央側部分及び車両外側部分に、それぞれ車両上下方向に延在する第1凹部と第2凹部を有し、該第1及び第2凹部同士の間は第1凸部となっており、前記第1凹部よりも車両中央側が第2凸部となっており、前記第2凹部よりも車両外側が第3凸部となっており、車両前後方向において、該第2凸部の後端は、前記第1凸部の後端及び該第3凸部の後端よりも後方に位置しているものである。
【0008】
本発明の一態様では、前記乗員対向面の外形ラインは上面視略L字型である。
【0009】
本発明の一態様では、車両左右方向において、前記第2凸部の左右幅は、前記第3凸部の左右幅より大きい。
【0010】
本発明の一態様では、前記第3凸部の後端は、前記第1凸部の後端と同等の前後位置にある。
【0011】
本発明の一態様では、前記乗員対向面を前方に引っ張ることにより前記1凹部を形成する第1テザーと、前記乗員対向面を前方に引っ張ることにより前記2凹部を形成する第2テザーと、を有する。
【0012】
本発明の一態様では、前記第1テザーの前端部は車両中央側のサイド面に連結され、前記第2テザーの前端部は車両外側のサイド面に連結されている。
【0013】
本発明の一態様では、前記第1テザーと前記第2テザーとを連結する横テザーを備える。
【0014】
本発明の一態様では、下面と前記横テザーとを連結する中間テザーを備える。
【0015】
本発明の一態様では、前記第1テザーは、前記前端部と前記後端部との距離が段階的に伸長するように破断する。
【0016】
本発明の一態様では、前記第3凸部の後端は、前記第1凸部の後端よりも前方に位置している。
【0017】
本発明の助手席用エアバッグ装置は、本発明による助手席用エアバッグと、前記助手席用エアバッグにガスを供給するインフレータとを備える。
【0018】
本発明のエアバッグシステムは、本発明による助手席用エアバッグと、前記助手席用エアバッグよりも車両外側で車両室内の側面に沿って下方に向かって展開するカーテンエアバッグと、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、斜突時に乗員を拘束可能であり、かつバッグ容量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る助手席用エアバッグの膨張形状を示す乗員側から見た斜視図である。
図2】実施の形態に係る助手席用エアバッグの車室内における膨張状態を示す側面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】実施の形態に係る助手席用エアバッグのパネルの構成図である。
図5】実施の形態に係るエアバッグシステムの概略構成図である。
図6】別の実施の形態に係る助手席用エアバッグの断面図である。
図7】別の実施の形態に係る助手席用エアバッグの断面図である。
図8】別の実施の形態に係る助手席用エアバッグの断面図である。
図9】別の実施の形態に係る助手席用エアバッグの側面図である。
図10】別の実施の形態に係る助手席用エアバッグの膨張展開過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図5を参照して実施の形態について説明する。
【0022】
この実施の形態に係る助手席用エアバッグ1は、図2の通り、インパネ(インストルメントパネル)P、ウィンドシールドW及び乗員により囲まれた空間に膨張展開する。
【0023】
膨張完了状態の助手席用エアバッグ1は、乗員対向面2と、左サイド面3と、右サイド面4と、上面5と、下面6とを有する。左サイド面3、右サイド面4にはそれぞれベントホール7が設けられている。この実施の形態では、自動車は左ハンドル車であり、助手席は右側座席である。助手席用エアバッグ1の左サイド面3は車両中央側の側面である。すなわち、左側が車両中央側、右側が車両外側に対応する。右ハンドル車に搭載される場合、助手席用エアバッグ1は図示とは左右対称の構成とされる。
【0024】
膨張完了状態の乗員対向面2には、乗員対向面2を上下に縦断するように上下方向に延在する第1凹部8(車両中央側凹部)と第2凹部9(車両外側凹部)が形成され、凹部8,9の間には上下に延在する第1凸部として中央凸部10が形成される。この実施の形態では、第1凹部8と第2凹部9との間に1条の中央凸部(第1凸部)10が形成される。
【0025】
左側の第1凹部8の左側(車両中央側)には上下に延在する第2凸部として左側凸部11(車両中央側凸部)が形成され、右側の第2凹部9の右側(車両外側)には上下に延在する第3凸部として右側凸部12(車両外側凸部)が形成される。第1凹部8は、テザー13によって乗員対向面2を引っ張ることにより形成される。第2凹部9は、テザー14によって乗員対向面2を引っ張ることにより形成される。
【0026】
テザー13の後端は、第1凹部8に縫着されている。テザー13の前端は左サイド面3に縫着されている。テザー14の後端は、第2凹部9に縫着されている。テザー14の前端は、右サイド面4に縫着されている。
【0027】
左側凸部11の後端は、中央凸部10の後端よりも後方に配置されている。左側凸部11の後端は、中央凸部10の後端よりも5~25cm程度後方に位置することが好ましい。
【0028】
本実施形態では、右側凸部12の後端は、中央凸部10の後端と略同等の前後位置(面一)となっているが、それよりも若干(例えば5cm以下程度)後方に位置してもよいし、前方に位置してもよい。
【0029】
助手席用エアバッグ1は、側面視において、バッグの前後長が車両外側より車両中央側の方が長くなる。また、左側凸部11の左右方向の最大幅は、右側凸部12の左右方向の最大幅よりも大きくなっている。
【0030】
この助手席用エアバッグ1は、図4の通り、メインパネル20と、第1サイドパネルとしての左サイドパネル30と、第2サイドパネルとしての右サイドパネル40とを有する。
【0031】
メインパネル20は、上下方向の中央部分21が乗員対向面2となり、中央部分21より上側のトップ部分22が上面5となり、中央部分21より下側のボトム部分23が下面6となる。中央部分21内の符号13aはテザー13の後端の縫着予定箇所を示し、符号14aはテザー14の後端の縫着予定箇所を示す。
【0032】
メインパネル20は、前辺24と、左辺25a、25b及び25cと、右辺26a、26b及び26cと、前辺27とを有する。
【0033】
トップ部分22は、前辺24、左辺25a及び右辺26aを有する。
【0034】
ボトム部分23は、前辺27、左辺25c及び右辺26cを有する。ボトム部分23の前辺27側の端部にはインフレータ用開口28が設けられている。
【0035】
中央部分21は、トップ部分22及びボトム部分23よりも左右方向に張り出している。左辺25bとテザー13の後端の縫着予定箇所13aとの間が左側張り出し部21Lとなっている。右辺26bとテザー14の後端の縫着予定箇所14aとの間が右側張り出し部21Rとなっている。左側張り出し部21Lの張り出し幅は、右側張り出し部21Rの張り出し幅よりも大きい。
【0036】
左サイドパネル30は、上辺31と、後辺32と、下辺33とを有する。左サイドパネル30の前方側にベントホール7が設けられている。ベントホール7のやや後方にテザー13の前端の縫着予定箇所13bが設定される。
【0037】
右サイドパネル40は、上辺41と、後辺42と、下辺43とを有する。右サイドパネル40の前方側にベントホール7が設けられている。ベントホール7のやや後方にテザー14の前端の縫着予定箇所14bが設定される。
【0038】
左サイドパネル30の前方側(図4における左側部分)と右サイドパネル40の前方側(図4における右側部分)は、左右対称な形状となっている。左サイドパネル30は、右サイドパネル40よりも後方側が張り出した形状となっている。
【0039】
助手席用エアバッグ1の作製にあたっては、メインパネル20の左辺25aと左サイドパネル30の上辺31とを縫合する。メインパネル20の左辺25bと左サイドパネル30の後辺32とを縫合する。メインパネル20の左辺25cと左サイドパネル30の下辺33とを縫合する。テザー13の後端をメインパネル20の中央部分21に縫合し、前端を左サイドパネル30に縫合する。
【0040】
また、メインパネル20の右辺26aと右サイドパネル40の上辺41とを縫合する。メインパネル20の右辺26bと右サイドパネル40の後辺42とを縫合する。メインパネル20の右辺26cと右サイドパネル40の下辺43とを縫合する。テザー14の後端をメインパネル20の中央部分21に縫合し、前端を右サイドパネル40に縫合する。
【0041】
メインパネル20のトップ部分22の前辺24と、ボトム部分23の前辺27とを縫合することで、製品形態の助手席用エアバッグ1となる。
【0042】
この助手席用エアバッグ1は、パネル構成が簡易であり、縫製が容易であると共に、パネル総重量を小さくすることができる。また、助手席用エアバッグ1内を左右に区画する隔壁がないので、インフレータからのガスが助手席用エアバッグ1内の全体に速やかに流れる。
【0043】
この助手席用エアバッグ1は、インフレータが取り付けられ、折り畳まれ、箱状のケース内に設置され、インフレータ取付用ボルトによってケースに取り付けられる。インパネPには、エアバッグ1の折り畳み体を覆うようにリッドが設けられる。折り畳まれた助手席用エアバッグ1と、インフレータと、ケースとによって助手席用エアバッグ装置が構成される。このリッドはインパネの一部として設けられてもよく、インパネとは別体の蓋状部材として設けられてもよい。後者の場合、リッドはケースに連結される。
【0044】
インフレータが作動した場合、助手席用エアバッグ1はリッドを押し開け、図1~3の通り、助手席乗員の前方においてインパネPとウィンドシールドWとの間に展開する。
【0045】
この助手席用エアバッグ1は、膨張完了状態にあっては、乗員対向面2がテザー13、14によって前方に引っ張られることにより上下方向の凹部8,9が形成され、凹部8,9間、凹部8の左側及び凹部9の右側にそれぞれ上下方向に延在する凸部10,11,12が形成される。
【0046】
左側凸部11の後端は、中央凸部10の後端よりも後方に配置されているのに対し、右側凸部12の後端は、中央凸部10の後端と略同等の前後位置にある。そのため、図5に示すように、助手席用エアバッグ1は、助手席用エアバッグ1よりも車幅方向外側で車両室内の側面(例えばドアやピラーなど)に沿って車体下方に向かって膨張展開するカーテンエアバッグCとの干渉が抑制され、スムーズに膨張展開できる。また、右側凸部12が左側凸部11と同程度に後方に突出(延出)している場合と比較して、エアバッグ容量を抑制することができる。
【0047】
膨張完了状態の助手席用エアバッグ1は、上面視で、乗員対向面(乗員拘束面)の外形ラインが略L字型になる。
【0048】
車両の左斜突(車両に対し左前方から衝撃が加えられる衝突形態。オフセット衝突を含む。)時には、乗員は、中央凸部10及び左側凸部11に受承される。本実施形態では、凹部8を形成するテザー13の前端が左サイド面3(左サイドパネル30)に連結されているため、乗員頭部が凹部8に進入した際に凹部8の形状が維持しやすい。
【0049】
車両の右斜突時には、乗員は右側凸部12及びカーテンエアバッグCに受承される。
【0050】
上記実施形態において、第1凹部8(車両中央側凹部)の深さと、第2凹部9(車両外側凹部)の深さとが異なっていてもよい。凹部の深さが異なる場合は、第1凹部8(車両中央側凹部)の深さを、第2凹部9(車両外側凹部)の深さよりも深く設定することが好ましい。
【0051】
図6に示すように、テザー13とテザー14とを連結する横テザー80を設けてもよい。横テザー80は、テザー13に連結された左端部81と、テザー14に連結された右端部82とを有する。
【0052】
左端部81は、車幅方向の一方の側(この例では、左側)のテザー端部の一例である。左端部81は、テザー13の後端と前端との間の中間連結位置において、テザー13に縫合又は接着等により接合される。
【0053】
右端部82は、車幅方向の他方の側(この例では、右側)のテザー端部の一例である。右端部82は、テザー14の後端と前端との間の中間連結位置において、テザー14に縫合又は接着等により接合される。
【0054】
横テザー80を設けることで、エアバッグの乗員対向面2側の横幅などの形状調整が可能となる。
【0055】
図7に示すように、横テザー80に加えて中間テザー90をさらに設けてもよい。図7において、符号53は、インフレータ用開口28の周辺を覆うパッチクロスを示す。
【0056】
中間テザー90は、エアバッグの内部に設けられ、下面6と横テザー80とを連結する。中間テザー90は、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータ用開口28の近傍に連結された前端部92とを有する。
【0057】
後端部91は、車両前後方向の一方の側(この例では、車両後側)のテザー端部の一例である。後端部91は、左端部81と右端部82との間の中間連結位置において、横テザー80に縫合又は接着等により接合される。
【0058】
例えば、形状の形成などの都合で、横テザー80の張力が所望値よりも高くなりすぎる場合、テザー13又は14の車両前側への移動を妨げる可能性が考えられる。中間テザー90の追加により、横テザー80による移動規制を低減し、テザー13又は14の車両前側への移動をスムーズにできる。
【0059】
中間テザー90の数は、1つに限らず、複数でもよい。図8は2つの中間テザー90A、90Bを設ける例を示す。中間テザー90Aは、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータの第1取り付け脚(不図示)に連結された前端部92とを有する。中間テザー90Bは、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータの第2取り付け脚(不図示)に連結された前端部92とを有する。
【0060】
図9に示すように、テザー13として、エアバッグ展開時に発生する荷重による長さが大きくなる伸長構造部を有したテザー60を用いてもよい。図9図10は、便宜上、エアバッグの内部に設けられたテザー60の外形を実線で示している。テザー14にも、テザー60と同様の構成のテザー70を用いてもよい。
【0061】
テザー60は、前端部62と後端部61との距離が段階的に伸長するように、前端部62と後端部61との間を破断する破断部63を有する。破断部63は、複数の切れ目が直線状に予め入れられたミシン目である。
【0062】
図10は、エアバッグの膨張展開過程を示す図である。エアバッグの膨張展開時に発生する荷重により破断部63を段階的に破断させて、テザー60を段階的に伸張させ、バッグストロークを段階的に伸張させる。これにより、助手席に座る乗員のポジションが車両前後方向で異なる場合でも、車両衝突時に乗員を適切に拘束できる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 助手席用エアバッグ
2 乗員対向面
3 左サイド面
4 右サイド面
5 上面
6 下面
8 第1凹部
9 第2凹部
10 中央凸部
11 左側凸部
12 右側凸部
13、14 テザー
20 メインパネル
30 左サイドパネル
40 右サイドパネル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10