(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037144
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】高放熱性ハイブリッド基板の作製方法及び半導体構造
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
H05K3/46 U
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132699
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】202211081914.6
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520350546
【氏名又は名称】珠海越亜半導体股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI ACCESS SEMICONDUCTOR CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】陳 先明
(72)【発明者】
【氏名】徐 小偉
(72)【発明者】
【氏名】黄 聚▲塵▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 高
(72)【発明者】
【氏名】黄 本霞
(72)【発明者】
【氏名】秦 超標
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC16
5E316FF14
5E316GG17
5E316GG18
5E316GG19
5E316GG22
5E316GG26
5E316HH17
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ25
5E316JJ26
(57)【要約】
【課題】従来の基板よりも優れた放熱性能を有するハイブリッド基板を得ることができる高放熱性ハイブリッド基板の作製方法及び半導体構造を提供する。
【解決手段】マザー基板を準備するして、マザー基板には、絶縁層と一時的なキャリアプレートが含まれ、絶縁層が、一時的なキャリアプレートに圧着され、マザー基板に幾つかの第1溝及び幾つかの第1キャビティを設け、第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、第1キャビティ内に埋め込み素子を貼り付けて熱伝導性材料を充填し、第2熱伝導性ブロックを形成し、一時的なキャリアプレートを除去し、半完成基板を得て、半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得と、目標マザー基板を領域分割線に沿って分割し、側面が熱伝導面であるハイブリッド基板を得、を含む高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高放熱性ハイブリッド基板の作製方法であって、
マザー基板を準備するステップであって、前記マザー基板には、絶縁層と一時的なキャリアプレートが含まれ、前記絶縁層が、前記一時的なキャリアプレートに圧着されるステップと、
前記マザー基板に幾つかの第1溝及び幾つかの第1キャビティを設けるステップであって、前記マザー基板が、幾つかのサブ基板及び領域分割線を含み、前記サブ基板が、少なくとも1つの前記第1キャビティを含み、前記第1溝が、2つの隣接する前記サブ基板にわたって設けられ、前記領域分割線が、前記第1溝の前記マザー基板に垂直な方向の投影パターンを2つの部分に分割するために使用され、前記第1溝及び前記第1キャビティの両方が、前記マザー基板に垂直な方向に前記絶縁層を貫通するステップと、
前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、前記第1キャビティ内に埋め込み素子を貼り付けて熱伝導性材料を充填し、第2熱伝導性ブロックを形成するステップと、
前記一時的なキャリアプレートを除去し、半完成基板を得るステップと、
前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得るステップと、
前記目標マザー基板を前記領域分割線に沿って分割し、側面が熱伝導面であるハイブリッド基板を得るステップと、を含むことを特徴とする高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項2】
前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成する前記ステップは、具体的には、
シルクスクリーン印刷により、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、又は、ドライフィルム型高熱伝導性材料を圧着して前記第1溝に充填し、第1熱伝導性ブロックを形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項3】
前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得る前記ステップは、具体的には、
前記半完成基板の両側面の第1回路層及び第2回路層を導通させるための第1ビアホールを作製するステップと、
前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製し、前記第1回路層と導通する第3回路層を作製するステップと、
前記半完成基板の片側の表面に対向する他側の表面に前記第2回路層を作製し、前記第2回路層と導通する第4回路層を作製するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項4】
前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製する前記ステップは、具体的には、
第1金属シード層を作製するステップと、
前記第1金属シード層にフォトレジスト材料を圧着するステップと、
前記フォトレジスト材料を露光、現像及びエッチングし、第1回路層を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項5】
前記熱伝導性材料は、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素のうちの1つ又は複数の熱伝導性材料の組み合わせを含むことを特徴とする請求項2に記載の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項6】
前記埋め込み素子は、チップ、能動素子又は受動素子のうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法。
【請求項7】
高放熱性ハイブリッド基板であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載のハイブリッド基板の作製方法により得られ、第1熱伝導性ブロック、第2熱伝導性ブロック、埋め込み素子及び回路層を含み、前記第1熱伝導性ブロックは、前記ハイブリッド基板の側面に設けられ、ハイブリッド基板の側面を熱伝導面として形成し、前記第2熱伝導性ブロックは、前記埋め込み素子と前記回路層の間に設けられることを特徴とする高放熱性ハイブリッド基板。
【請求項8】
前記埋め込み素子は、1つ又は複数含まれることを特徴とする請求項7に記載の高放熱性ハイブリッド基板。
【請求項9】
前記第1熱伝導性ブロックは、1つ又は複数含まれることを特徴とする請求項7に記載の高放熱性ハイブリッド基板。
【請求項10】
請求項7に記載の高放熱性ハイブリッド基板を少なくとも1つ含むことを特徴とする半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路製造の技術分野に関し、特に、高放熱性ハイブリッド基板の作製方法及び半導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド基板は、回路及び埋め込みパッケージ素子を含む基板である。埋め込みパッケージング技術は、抵抗器、コンデンサー、インダクターなどの受動素子、さらにはICチップなどの能動素子をパッケージ基板の内部に埋め込むことである。埋め込みパッケージング技術の放熱要件を満たすために、従来技術では、多くの基板は、基板の放熱能力を向上させるために、埋め込みパッケージ素子の裏面に熱伝導性銅柱及び放熱性銅ブロックが設計されるが、電子技術の継続的な発展に伴い、製品サイズは、徐々に小型化され、基板の集積度は、ますます高くなり、埋め込みパッケージ素子は、基板により多くの熱が発生し、基板は、素子の放熱ニーズがより高くなり、一般的に使用されている埋め込みパッケージ基板は、新しい放熱ニーズを満たすことができず、したがって、新しいハイブリッド基板の作製方法が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、従来技術に存在する技術的問題の1つを少なくともある程度解決することを目的としている。
【0004】
このため、本開示の実施形態の1つの目的は、従来の基板よりも優れた放熱性能を有するハイブリッド基板を得ることができる高放熱性ハイブリッド基板の作製方法及び半導体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的目的を達成するために、本開示の実施形態で採用される技術案は、マザー基板を準備するステップであって、前記マザー基板には、絶縁層と一時的なキャリアプレートが含まれ、前記絶縁層が、前記一時的なキャリアプレートに圧着されるステップと、前記マザー基板に幾つかの第1溝及び幾つかの第1キャビティを設けるステップであって、前記マザー基板が、幾つかのサブ基板及び領域分割線を含み、前記サブ基板が、少なくとも1つの前記第1キャビティを含み、前記第1溝が、2つの隣接する前記サブ基板にわたって設けられ、前記領域分割線が、前記第1溝の前記マザー基板に垂直な方向の投影パターンを2つの部分に分割するために使用され、前記第1溝及び前記第1キャビティの両方が、前記マザー基板に垂直な方向に前記絶縁層を貫通するステップと、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、前記第1キャビティ内に埋め込み素子を貼り付けて熱伝導性材料を充填し、第2熱伝導性ブロックを形成するステップと、前記一時的なキャリアプレートを除去し、半完成基板を得るステップと、前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得るステップと、前記目標マザー基板を前記領域分割線に沿って分割し、側面が熱伝導面であるハイブリッド基板を得るステップと、を含む。
【0006】
また、本発明における上記実施形態の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法によれば、以下の追加の技術的特徴を有してもよい。
さらに、本開示の実施形態では、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成する前記ステップは、具体的には、シルクスクリーン印刷により、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、又は、ドライフィルム型高熱伝導性材料を圧着して前記第1溝に充填し、第1熱伝導性ブロックを形成するステップを含む。
【0007】
さらに、本開示の実施形態では、前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得る前記ステップは、具体的には、前記半完成基板の両側面の第1回路層及び第2回路層を導通させるための第1ビアホールを作製するステップと、前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製し、前記第1回路層と導通する第3回路層を作製するステップと、前記半完成基板の片側の表面に対向する他側の表面に前記第2回路層を作製し、前記第2回路層と導通する第4回路層を作製するステップと、を含む。
【0008】
さらに、本開示の実施形態では、前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製する前記ステップは、具体的には、第1金属シード層を作製するステップと、前記第1金属シード層にフォトレジスト材料を圧着するステップと、前記フォトレジスト材料を露光、現像及びエッチングし、第1回路層を得るステップと、を含む。
【0009】
さらに、本開示の実施形態では、前記熱伝導性材料は、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素のうちの1つ又は複数の熱伝導性材料の組み合わせを含む。
【0010】
さらに、本開示の実施形態では、前記埋め込み素子は、チップ、能動素子又は受動素子のうちの1つを含む。
【0011】
一方、本開示の実施形態は、上記のいずれかの実施形態に記載のハイブリッド基板の作製方法により得られる高放熱性ハイブリッド基板であって、第1熱伝導性ブロック、第2熱伝導性ブロック、埋め込み素子及び回路層を含み、前記第1熱伝導性ブロックは、前記ハイブリッド基板の側面に設けられ、前記第2熱伝導性ブロックは、前記埋め込み素子と前記回路層の間に設けられる高放熱性ハイブリッド基板をさらに提供する。
【0012】
さらに、本開示の実施形態では、前記埋め込み素子は、1つ又は複数含まれる。
【0013】
さらに、本開示の実施形態では、前記第1熱伝導性ブロックは、1つ又は複数含まれる。
【0014】
一方、本開示の実施形態は、上記のいずれかの実施形態に記載の高放熱性ハイブリッド基板を少なくとも1つ含むことを特徴とする半導体構造をさらに提供する。
【0015】
本開示の利点及び有益な効果は、以下の説明で部分的に示され、一部が以下の説明から明らかになり、又は本開示の実践によって理解される。
本開示は、幾つかのサブ基板及び領域分割線を含むマザー基板に第1溝と、素子を埋め込むことができる第1キャビティとを設け、第1溝と第1キャビティに熱伝導性材料を充填し、熱伝導性材料が充填されたマザー基板に回路を作製し、最後にマザー基板を領域分割線に沿って切断し、側面が熱伝導面であるハイブリッド基板を得ることができる。ハイブリッド基板の側面の熱伝導面は、基板上の回路層を放熱することができ、第2キャビティに充填された第2熱伝導性ブロックは、埋め込み素子から発生した熱を基板上の回路層に伝導し、ハイブリッド基板の側面の伝導面を介して回路層の熱を外部環境に速く伝導することができ、これにより、ハイブリッド基板全体の放熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1つの具体的な実施形態における高放熱性ハイブリッド基板の作製方法のステップの概略図である。
【
図2】本発明の1つの具体的な実施形態における前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得るステップの概略図である。
【
図3】本発明の1つの具体的な実施形態における前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製するステップの概略図である。
【
図4】本発明の1つの具体的な実施形態におけるマザー基板の構造概略図である。
【
図5】本発明の1つの具体的な実施形態における第1溝及び第1キャビティを有するマザー基板の構造概略図である。
【
図6】本発明の1つの具体的な実施形態における第1溝及び第1キャビティを有するマザー基板の上面図である。
【
図7】本発明の1つの具体的な実施形態における熱伝導性材料を充填し、素子を埋め込んだ後のマザー基板の構造概略図である。
【
図8】本発明の1つの具体的な実施形態における熱伝導性材料を充填し、素子を埋め込んだ後のマザー基板の上面図である。
【
図9】本発明の1つの具体的な実施形態における半完成基板の構造概略図である。
【
図10】本発明の1つの具体的な実施形態における半完成基板上に得られる目標マザー基板の構造の変化の概略図である。
【
図11】本発明の1つの具体的な実施形態におけるハイブリッド基板の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態におけるハイブリッド基板の作製方法、ハイブリッド基板及び半導体構造の原理及びプロセスを詳しく説明する。
【0018】
図1を参照すると、本発明の高放熱性ハイブリッド基板の作製方法は、以下のステップS1~S6を含む。
【0019】
ステップS1において、マザー基板を準備する。
【0020】
選択可能に、本開示のマザー基板は、絶縁層と一時的なキャリアプレートとを含んでもよい。絶縁層と一時的なキャリアプレートは、圧着、粘着及び他の形態の物理的結合が可能であり、一時的なキャリアプレートがその後のプロセスで物理的に除去される必要があるため、一時的なキャリアプレートは、熱剥離可能な材料で作製されてもよいし、耐熱テープなどの粘性材料で作製されてもよく、絶縁層は、ガラス繊維材料、又は他の絶縁材料で作製されてもよい。具体的には、一時的なキャリアプレートに対して耐熱テープが使用されており、耐熱テープは、熱安定性があり、高温でも物理的及び化学的に変化しにくく、且つハイブリッド基板に素子を埋め込む必要があるため、耐熱テープは、粘着性があるため、埋め込み素子を固定することもできる。
【0021】
ステップS2において、前記マザー基板に幾つかの第1溝及び幾つかの第1キャビティを設ける。
【0022】
本開示の幾つかの実施形態では、第1溝と第1キャビティは、フライス加工やゴングなどにより物理的に設けられてもよいし、化学エッチングなどにより化学的に設けられてもよい。マザー基板は、幾つかのサブ基板と領域分割線を含んでもよい。幾つかのサブ基板のマザー基板に垂直な方向の投影面積は、同じであってもよいし、部分的に同じであってもよく、また、2つずつのサブ基板が異なってもよい。第1溝は、熱伝導性材料の充填に使用されることができる。第1溝は、任意の2つのサブ基板にわたって設けられてもよい。第1溝の領域分割線は、前記マザー基板に垂直な方向に沿って第1溝を2つの部分に分割することができ、分割後の2つの部分のマザー基板に垂直な方向の投影面積は、同じであってもよいし、異なってもよい。第1キャビティは、埋め込み素子を貼り付けるために使用されることができる。第1キャビティは、各サブ基板の任意の位置に設けられており、サブ基板の中央に設けられてもよいし、第1溝の近傍に設けられてもよいし、第1溝に接続されてもよい。第1キャビティと第1溝の両方は、基本に垂直な方向に沿ってマザー基板の絶縁層を貫通することができる。
【0023】
ステップS3において、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、前記第1キャビティ内に埋め込み素子を貼り付けて熱伝導性材料を充填し、第2熱伝導性ブロックを形成する。
【0024】
本開示の幾つかの実施形態では、第1溝は、熱伝導性材料が第1熱伝導性ブロックを形成するように熱伝導性材料で充填されてもよい。第1キャビティは、熱伝導性材料が第2熱伝導性ブロックを形成するように、熱伝導性材料で充填される前に埋め込み素子を貼り付ける必要がある。第1熱伝導性ブロックは、ハイブリッド基板の回路層の放熱に使用されることができる。第2熱伝導性ブロックは、第1キャビティに埋め込まれた素子の放熱に使用されることができる。第1熱伝導性ブロック及び第2熱伝導性ブロックの両方がハイブリッド基板の層間導通に関与しないため、熱伝導性ブロックに対して、熱伝導性能の高い絶縁材料を使用することができる。
【0025】
ステップS4において、前記一時的なキャリアプレートを除去し、半完成基板を得る。
【0026】
本開示の幾つかの実施形態では、一時的なキャリアプレートは、ハイブリッド基板の作製中に、熱伝導性材料を充填する過程で熱伝導性材料が充填方向とは逆方向に溢れ出ないように、熱伝導性材料を固定することができる。一時的なキャリアプレートと絶縁層が貼り合わせて接続され、又は圧着して接続されるため、一時的なキャリアプレートを除去する際に、物理的除去の方式を採用することができる。なお、一時的なキャリアプレートを除去する際に、一時的なキャリアプレートを腐食できる化学試薬を使用して除去するなどの化学的除去の方式を採用することもでき、このとき、この化学試薬が熱伝導性ブロック及び絶縁層を腐食させないことが必要である。
【0027】
ステップS5において、前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得る。
【0028】
本開示の幾つかの実施形態では、半完成基板が得られた後、半完成基板に回路層を作製する必要がある。回路層を作製する前に、熱伝導性材料の充填中に不均一又は溢れ出しが発生する可能性があるため、半完成基板の熱伝導性材料を充填する側の表面を平坦化する必要があり、機械研削又はエッチングの方式を採用することができる。平坦化処理が完了した後、半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、最終的に目標マザー基板を得ることができる。なお、目標マザー基板は、回路層と半完成基板回路層を含んでもよく、回路層は、単層回路層であってもよいし、多層回路層であってもよく、具体的な回路層の層数は、具体的な機能に応じて選択されてもよい。
【0029】
ステップS6において、前記目標マザー基板を前記領域分割線に沿って分割し、側面が熱伝導面であるハイブリッド基板を得る。
【0030】
本開示の幾つかの実施形態では、回路層を有する目標マザー基板が得られた後、目標マザー基板を領域分割線に沿って分割し、目標マザー基板を幾つかのハイブリッド基板に分けることができる。領域分割線がマザー基板方向の投影パターンを2つの部分に分割することができ、領域分割線に沿って分割されたハイブリッド基板の側面が熱伝導面となり、熱伝導面が回路層で発生した熱を外部環境に速く伝導することができるため、放熱効果を達成することができ、第1キャビティがハイブリッド基板内にあるため、第2熱伝導性ブロックは、埋め込み素子で発生した熱を回路層に伝導し、さらに熱伝導面を介して外部環境に伝導することができる。
【0031】
さらに、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成する前記ステップは、具体的には、シルクスクリーン印刷により、前記第1溝に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロックを形成し、又は、ドライフィルム型高熱伝導性材料を圧着して前記第1溝に充填し、第1熱伝導性ブロックを形成するステップを含んでもよい。
【0032】
本開示の幾つかの実施形態では、熱伝導性材料を充填する場合、シルクスクリーン印刷により、第1溝に熱伝導性材料を充填することができ、このとき、熱伝導性材料は、絶縁性かつ熱伝導性のあるフィラーインクであってもよい。熱硬化されて第1熱伝導ブロックを形成し、又は、ドライフィルム型高熱伝導性材料を圧着して第1溝に充填し、第1熱伝導性ブロックを形成する。第1熱伝導性ブロックは、回路層からの熱を伝導して、高温による回路機能の実現への影響を回避することができる。
【0033】
また、第2熱伝導性ブロックに対して、シルクスクリーン印刷により、埋め込み素子が貼り付けられた第1キャビティに熱伝導性材料を充填することができ、このとき、熱伝導性材料は、絶縁性かつ熱伝導性のあるフィラーインクであってもよい。熱硬化されて第2熱伝導ブロックを形成し、又は、ドライフィルム型高熱伝導性材料を圧着して第1キャビティに充填し、第2熱伝導性ブロックを形成する。第2熱伝導性ブロックは、素子からの熱を伝導して、高温による素子の耐用年数への影響を回避することができる。
【0034】
さらに、
図2を参照すると、前記半完成基板の対向する両側面に回路層を作製し、目標マザー基板を得る前記ステップは、具体的には、以下のステップS101~S103を含んでもよい。
【0035】
ステップS101において、第1ビアホールを作製する。
【0036】
本開示の幾つかの実施形態では、第1ビアホールは、半完成基板の両側面の回路層を相互に導通させるビアホールであってもよい。第1ビアホールの数は、1つ又は複数であってもよい。第1ビアホールは、絶縁層の任意の位置に設けられてもよい。第1ビアホールは、半完成基板に垂直な方向に沿って半完成基板の絶縁層を貫通することができる。第1ビアホールを作製する場合、まず半完成基板に穴を開けてビアホールを形成し、次にビアホールを金属化してもよい。ホール金属化プロセスについては、電気めっきプロセスを採用してもよい。
【0037】
ステップS102において、前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製し、前記第1回路層と導通する第3回路層を作製する。
【0038】
本開示の幾つかの実施形態では、第1回路層は、半完成基板の片側の表面の回路層であり、第3回路層は、第1回路層に接続される回路層であってもよい。第3回路層は、1層又は複数層の回路層であってもよい。第1回路層が作製された後、第1回路層に基づいて、第1回路層と導通する第3回路層を作製し続けることができる。
【0039】
ステップS103において、前記半完成基板の片側の表面に対向する他側の表面に前記第2回路層を作製し、前記第2回路層と導通する第4回路層を作製する。
【0040】
本開示の幾つかの実施形態では、第2回路層は、半完成基板の片側の表面に対向する他側の表面の回路層であり、第4回路層は、第2回路層に接続される回路層であってもよい。第4回路層は、1層又は複数層の回路層であってもよい。第2回路層が作製された後、第2回路層に基づいて、第2回路層と導通する第4回路層を作製し続けることができ、最終的に、基板両側の多層の回路が相互に導通する目標マザー基板が形成される。
【0041】
さらに、
図3を参照すると、前記半完成基板の片側の表面に前記第1回路層を作製する前記ステップは、具体的には、以下のステップS201~S203を含んでもよい。
【0042】
ステップS201において、第1金属シード層を作製する。
【0043】
本開示の幾つかの実施形態では、第1金属シード層は、第1回路層を作製するための基礎として使用されることができる。第1金属シード層は、電気めっきプロセスによって得られてもよく、第1金属シード層は、半完成基板の片側の表面を完全に覆ってもよい。
【0044】
ステップS202において、前記第1金属シード層にフォトレジスト材料を圧着する。
【0045】
本開示の幾つかの実施形態では、第1金属シード層が得られた後、シード層にフォトレジスト材料を圧着してもよい。フォトレジスト材料は、エッチングが不要な回路層を保護することができる。
【0046】
ステップS203において、前記フォトレジスト材料を露光、現像及びエッチングし、第1回路層を得る。
【0047】
本開示の幾つかの実施形態では、フォトレジスト材料を露光及び現像し、エッチングが必要な部分の回路現像画像を得ることができ、エッチングプロセスにより、露光及び現像された回路層を除去し、それによって第1回路層を得ることができる。
【0048】
なお、第2回路層の作製ステップは、第1回路層の作製ステップと同じであってもよく、つまり、シード層の作製により、露光、現像、エッチングにより第2回路層が得られ、又は、他の従来のプロセスにより、第2回路層が得られてもよい。
【0049】
さらに、本開示の幾つかの実施形態では、熱伝導性材料は、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素のうちの1つ又は複数の熱伝導性材料の組み合わせを含んでもよい。酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素は、いずれも良好な熱伝導性能を有する材料であり、熱を効率的に伝導することができるため、基板の効率的な放熱を実現することができ、基板の剛性を高めて製品の反りを効果的に改善することができる。
【0050】
さらに、本開示の幾つかの実施形態では、ハイブリッド基板の埋め込み素子は、チップ、能動素子又は受動素子のうちの1つを含んでもよい。埋め込み素子の数は、1つ又は複数であってもよく、具体的な数は、実際の用途に応じて設定されてもよい。
【0051】
具体的には、
図4~
図11を参照して、本開示のハイブリッド基板の作製方法及び原理を説明する。
【0052】
まず、1枚のマザー基板2000を準備する必要がある。
図4を参照すると、マザー基板2000は、絶縁層2002と一時的なキャリアプレート2003とを含む2層構造であり、絶縁層2002と一時的なキャリアプレート2003は、粘着されてマザー基板2000を形成する。
【0053】
次に、マザー基板2000に幾つかの第1溝2004と第1キャビティ2005を設け、第1溝2004と第1キャビティ2005は、
図5及び
図6を参照して設けられてもよい。
図5及び
図6において、マザー基板2000は、複数のサブ基板2001と、領域分割線L1、L2とを含み、サブ基板2001は、少なくとも1つの第1キャビティ2005を含み、第1溝2004は、2つの隣接するサブ基板2001にわたって設けられ、領域分割線L1及びL2は、第1溝2004のマザー基板2000に垂直な方向の投影パターンを2つの部分に分割するために使用されることができる。第1溝2004及び第1キャビティ2005の両方は、マザー基板2000に垂直な方向に絶縁層2002を貫通する。
【0054】
次に、
図7及び
図8を参照して、第1溝2004に熱伝導性材料を充填し、第1熱伝導性ブロック2006を形成し、第1キャビティ2005内に埋め込み素子2008を貼り付けて熱伝導性材料を充填し、第2熱伝導性ブロック2007を形成する。
【0055】
次に、
図9を参照して、一時的なキャリアプレート2003を除去して半完成基板2009を得る。
【0056】
次に、
図10を参照して、半完成基板2009の対向する両側面に、相互に導通する第1回路層2010と第2回路層2011を作製し、次に第1回路層2010に第3回路層2012を作製し、第2回路層2011に第4回路層2013を作製し、最終的に多層の回路の目標マザー基板2014を得る。
【0057】
最後に、
図11を参照して、目標マザー基板2014を領域分割線L1、L2に沿って分割し、第1熱伝導性ブロック2006を2つの部分に分割し、最終的に側面が熱伝導面であるハイブリッド基板2015を得る。
【0058】
また、本開示の実施形態は、高放熱性ハイブリッド基板をさらに提供する。このハイブリッド基板は、上記のいずれかの実施形態に記載されるハイブリッド基板の製造方法によって作製されることができる。このハイブリッド基板は、第1熱伝導性ブロック、第2熱伝導性ブロック、埋め込み素子及び回路層を含み、第1熱伝導性ブロックは、ハイブリッド基板の側面に設けられてもよく、第2熱伝導性ブロックは、埋め込み素子と回路層との間に設けられてもよく、第1熱伝導性ブロックは、ハイブリッド基板の回路層によって生成された熱を適時に外部環境に伝導して、急速な放熱効果を達成することができ、第2熱伝導性ブロックは、埋め込み素子と回路層との間に設けられ、埋め込み素子によって発生した熱を適時に回路層に伝導し、第1熱伝導性ブロックによって埋め込み素子の放熱を完了することができ、最終的に混合基板は、効率的な放熱性能を有する。
【0059】
さらに、本開示の幾つかの実施形態では、ハイブリッド基板の埋め込み素子の数は、1つ又は複数であってもよい。通常、1つのハイブリッド基板の埋め込み素子は、複数存在してもよい。全体の放熱機能を維持するために、各埋め込み素子と回路層の間に対応する熱伝導性ブロックを設ける必要があり、これにより、基板全体上の全ての埋め込み素子を適時に放熱させることができ、さらに基板の埋め込み素子の耐用年数が長くなるようにすることができる。埋め込み素子の具体的な数は、実際の基板によって実現される回路機能及び役割に応じて決定されてもよい。
【0060】
さらに、本開示の幾つかの実施形態では、第1熱伝導性ブロックの数は、1つ又は複数含まれてもよい。第1熱伝導性ブロックが基板上の回路層の放熱に使用されることができるため、第1熱伝導性ブロックは、基板の側面に設けられてもよい。基板には4つの側面があり、各側面には、1つの熱伝導性ブロックが設けられてもよい。熱伝導性ブロックは、側面を介して外部環境との熱伝導を実現することができ、第1熱伝導性ブロックは、基板に垂直な方向で基板上の回路層に接続されることができるため、第1熱伝導性ブロックによって回路層の放熱を実現することができるだけでなく、埋め込み素子から回路層に伝導された熱を外部に伝導して、埋め込み素子の放熱を実現することができる。
【0061】
本開示の実施形態は、上記実施形態に記載の少なくとも1つのハイブリッド基板を含んでもよい半導体構造をさらに提供する。効率的な放熱性能を有する少なくとも1つのハイブリッド基板を有するため、この半導体構造は、素子及び回路の効率的な放熱を実現することもでき、半導体構造が回路機能を実現する際の素子又は回路の過熱による半導体構造の耐用年数の短縮を回避することができ、半導体素子の安定性を向上させるとともに、コストを節約することができる。
【0062】
幾つかの選択可能な実施形態では、ブロック図に示されている機能/動作は、動作概略図に示されている順序で発生しなくてもよい。例えば、係る機能/動作によっては、連続して示された2つのブロックは、実際には、ほぼ同時に実行されてもよく、又は、前記ブロックは、逆の順序で実行されることもある。また、本開示のフローチャートで示され且つ説明される実施形態は、技術をより包括的に理解する目的で、例として提供される。開示される方法は、本明細書に示される動作と論理フローに限定されない。様々な動作の順序が変更され、より大きな動作として説明された一部のサブ動作が独立して実行される選択可能な実施形態は、予期される。
【0063】
また、本開示は、機能モジュールの文脈で説明されているが、特に断りのない限り、機能及び/又は特徴のうちの1つ又は複数が単一の物理装置及び/又はソフトウェアモジュールに統合されてもよく、あるいは1つ又は複数の機能及び/又は特徴が独立した物理装置又はソフトウェアモジュールで実現されてもよいことを理解されたい。なお、各モジュールの実際の実現についての詳細な討論が本開示を理解するために必要ではない。より正確には、本明細書に開示される装置内の様々な機能モジュールの属性、機能と内部関係を考慮する場合、モジュールの実際の実現は、エンジニアの従来技術の範囲内で理解される。したがって、当業者は、通常の技術を用いて特許請求の範囲に記載された本開示を過度の試験を行うことなく実施することができる。また、開示された特定の概念が単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等解決策の全範囲によって決定される。
【0064】
本明細書の上記説明では、「1つの実施形態/実施例」、「別の実施形態/実施例」又は「幾つかの実施形態/実施例」などの用語を参照した説明は、実施形態又は例示的に説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は例を意味するわけではない。しかも、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0065】
本開示の実施形態を例示して説明したが、当業者であれば、本開示の原理や精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更、修正、置換や変形を行うことができ、本開示の範囲が特許請求の範囲及びその同等物により限定されることが理解できる。
【0066】
上記は、本開示の好適な実施形態の具体的な説明であるが、本開示は、前記実施形態に限定されるものではなく、当業者は、本発明の精神から逸脱せずに種々の同等の変形又は置換を行うことができ、これらの同等の変形又は置換は、いずれも本開示の特許請求の範囲によって限定された範囲に含まれる。