(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037150
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】車両フロントフレームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B62D25/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137696
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】10 2022 122 520.8
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ケルナー
(72)【発明者】
【氏名】スカリー ロンメルファンガー
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB33
3D203CA23
3D203CA52
3D203CA69
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、クラッシュエネルギーを吸収するフレーム構造を有する車両フロントフレームアセンブリに関する。
【解決手段】本発明は、2つの側方の長手方向支持ビームを有する車両フロントフレームアセンブリであって、2つの側方の長手方向支持ビームのフロント端が、横方向に延伸されたクラッシュフラットベルトアセンブリ(20)によって互いに接続されており、クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)が、閉じたフラットベルトループ(40)から形成され、その2つの方向転換セクションが各々、丸い方向転換体(30)上にあり、2つの方向転換体(30)自体が、長手方向ビームのフロント端に固定されている、車両フロントフレームアセンブリに関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側方の長手方向支持ビーム(11、12)を有する車両フロントフレームアセンブリ(10)であって、前記2つの側方の長手方向支持ビームのフロント端(11’、12’)が、横方向(Y)に延伸されたクラッシュフラットベルトアセンブリ(20)によって互いに接続されており、
前記クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)が、閉じられたフラットベルト及び/又は管状ベルトループ(40)から形成され、その2つの方向転換セクション(44)が各々、丸い又は丸みを帯びた方向転換体(30)上に据え付けられており、前記2つの方向転換体(30)自体が、前記長手方向ビームのフロント端(11’、12’)に固定されていることを特徴とする、車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項2】
横側面の前記2つの方向転換体(30)が、単一のプラスチック補助フレーム(21)に成形されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記フラットベルトループ(40)のフラットベルト(42)のベルト平面が、水平面(X、Y)にある、請求項1又は2に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記方向転換体(30)が、中空円筒形スリーブ体として形成されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記方向転換体(30)が各々、前記それぞれの長手方向ビームフロント端(11’、12’)に直接固定されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項6】
バンパー横支持体(16)を支持するクラッシュボックス(14)が、前記クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)の前方の前記長手方向(X)に提供されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)が、上下に配置された2つのフラットベルトループ(40)を備える、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)が、2つの開いた端であって、前記フラットベルト及び/又は前記管状ベルトの前記開いた端を縫い合わせること、クランプすること、及び/又は溶接することによって、大きな閉じたフラットベルト及び/又は管状ベルトループ(40)を形成するように互いに接続されている、2つの開いた端を有する、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項9】
クラッシュフラットバンドアセンブリ(20)が、2つの開いた端を有し、前記2つの開いた端の各々が、両端で閉じられた前記フラットベルト及び/又は前記管状ベルトのループを形成するように、前記フラットベルト及び/又は前記管状ベルトの前記開いた端を、前記フラットベルト及び/又は前記管状ベルトの中央領域に縫い合わせること、クランプすること、及び/又は溶接することによって接続されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記クラッシュフラットベルトアセンブリ(20)が、開いた端を伴わずに、閉じたフラットベルト及び/又は管状ベルトループとして継ぎ目なく作製されている、請求項1に記載の車両フロントフレームアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッシュエネルギーを吸収するフレーム構造を有する車両フロントフレームアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
クラッシュエネルギーは、フロントフレームアセンブリのプラスチック変形要素による車両フロントフレームアセンブリによって吸収される。典型的な車両フロントフレームアセンブリは、車両床の領域における車両の各側面上の側方の長手方向支持ビームを有する。長手方向ビームは、車両の前部衝撃事故時にクラッシュエネルギーの大部分を吸収する。しかしながら、いわゆる衝撃事故では、クラッシュエネルギーのベクトルは、ほぼ完全に長手方向ビームを見逃す可能性がある。
【0003】
前部衝撃事故におけるクラッシュエネルギーの吸収を改善するために、2つの長手方向ビームのフロント端の間で車両の横方向に延伸されたフラットベルトを備える、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4から、様々な車両フロントフレームアセンブリが知られている。中央前部衝撃事故の場合、クラッシュエネルギーは、フラットベルトによって長手方向ビーム内に導入される。しかし、長手方向ビームのフロント端におけるフラットベルトの耐クラッシュ性の導入には、多大な努力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009053764号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0056469号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102017008031号明細書
【特許文献4】DE60027710T2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、本発明によって対処される問題は、耐クラッシュ性様式で長手方向ビームのフロント端に容易かつ確実に取り付けられる、クラッシュフラットベルトアセンブリを有する車両フロントフレームアセンブリを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1に記載の特徴を有する車両フロントフレームアセンブリによって、本発明に従って解決される。
【0007】
本発明による車両フロントフレームアセンブリは、2つの側方フレームの長手方向支持ビームを含み、これは、好ましくは関連する車両の床領域に配置される。2つの側方の長手方向ビームのフロント端は、車両の横方向に延伸された少なくとも1つのクラッシュフラットベルトアセンブリによって互いに物理的に接続される。本発明によれば、クラッシュフラットベルトアセンブリは、閉じた管状ベルト又はフラットベルトループによって形成されており、その2つの側方180°方向転換セクションは各々、別個の丸い方向転換体上に据え付けられている。2つの方向転換体自体は、例えば、長手方向ビームにボルトで固定されるなど、長手方向ビームのフロント端に直接固定される。したがって、フラットベルトは、圧縮、直接ボルト締め、接合などにより、長手方向ビームのフロント端に直接固定されないため、この領域におけるフラットベルトの構造に対する強度の弱い変化も排除される。フラットベルト又は管状ベルトは、端がオーバーラップ領域内でオーバーラップして一緒に縫い合わされるように配置されるか、又は閉じたリングとしてシームレスに設計されるかのいずれかである、曲げ、平織り、又は編み又は編組の管状ベルトから作製され得る。
【0008】
方向転換体は、例えば、楕円形状のように、概して何らかの方法で丸められることができる。好ましくは、方向転換体は、フラットベルトループの半円筒の方向転換セクションが、各場合に半円筒の様式で方向転換体の周りに巻かれるように、外部円筒状となるように形成される。
【0009】
2つの方向転換体は、例えば、長手方向ビームフロント端にボルト留めされることができる。特に、フラットベルトループの2つの方向転換セクションは、例えば、方向転換体へのポジティブ及びキャプティブ接続を有するプラスチックオーバーモールドによって、長手方向ビーム上で組み立てる前に、丸い方向転換体に既にしっかりと接続され得る。これにより、2つの長軸方向ビーム上のクラッシュフラットベルトアセンブリのシンプルで耐クラッシュ性のアセンブリが確保される。
【0010】
クラッシュフラットベルトアセンブリは、上下に垂直に配置される、正確に2つのフラットベルトループを有することが好ましい。これは、2つのフラットベルトループが正確に単一の垂直平面にあることを必ずしも意味するものではないが、好ましくはこれがその場合である。
【0011】
好ましくは、車両横側面の2つの方向転換体は、単一のプラスチック補助フレームに成形され、この方法では、互いに空間的に画定された様式で位置付けられる。プラスチック補助フレームは、長手方向ビームのフロント端における正確な空間配置及び方向転換体の簡易なアセンブリのために本質的に使用される。このように、車両フロントフレームアセンブリのアセンブリは、自動化され得る程度に単純化される。
【0012】
フラットベルトループのフラットベルトのベルト平面は、水平平面にあることが好ましい。このように、方向転換体は、2つの側方の長手方向ビームのフロント端上又はその端に、車両の長手方向に取り付けられ得る。
【0013】
好ましくは、方向転換体は、各々、中空円筒形スリーブ体として形成される。特に好ましくは、スリーブ本体はそれぞれ、それら2つのスリーブ端にカラーを備える。カラーは、スリーブ本体上のフラットベルトループのそれぞれの方向転換セクションを保持し、それぞれの方向転換セクションがスリーブ体から外れないようにする。
【0014】
好ましくは、方向転換体は各々、それぞれの長手方向ビームのフロント端に直接軸方向に固定又はボルト固定される。本事例では、軸固定とは、スリーブ本体が長手方向に配向された固定要素によって長手方向ビームのフロント端に固定される、任意の固定を意味する。特に、長手方向に配向されたボルト又はねじ付きボルトは、例えば、この目的に適している。
【0015】
クラッシュボックスは、クラッシュフラットベルトアセンブリのフロントの長手方向の各側面上に提供され、2つのクラッシュボックスはバンパー横支持体を支持することが好ましい。比較的低いクラッシュエネルギーでは、クラッシュエネルギーは、クラッシュボックスによってのみ吸収されるが、クラッシュフラットベルトアセンブリによって吸収されない。
【0016】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】2つの側方の長手方向ビームと横方向に延伸されたクラッシュフラットベルトアセンブリとを有する、本発明による車両フロントフレームアセンブリの平面図である。
【
図2】分離された斜視表現における
図1のクラッシュフラットベルトアセンブリを示す。
【
図3】前述の図のクラッシュフラットベルトアセンブリの横側面のプラスチック補助フレームを示す。
【
図4】
図1のプラスチック補助フレームを通る垂直断面IV-IVを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1では、車両長手方向Xに配向された金属で作られた2つの側方フレームの長手方向支持ビーム11、12を有する車両フロントフレームアセンブリ10の上面図を示す。2つの長手方向ビーム11、12は、当該自動車の床領域において側方に配置される。2つの長手方向ビーム11、12のフロント端11’、12’は、クラッシュフラットベルトアセンブリ20によって互いに接続され、これは車両の横方向Yに延伸される。
【0019】
クラッシュフラットベルトアセンブリ20は、
図2、3及び4に詳細に示されている。クラッシュフラットベルト配置20は、上下に垂直に配置され、両方とも単一の垂直平面Y、Zにある車両の横方向Yに配向された2つの閉じたフラットベルトループ40を有する。フラットベルトループ40は、例えば連続繊維から織られたり、編まれたり、組み編まれたりする、張力の方向に、高い張力のフラットベルト42によって各ケースに形成される。連続繊維は、ポリアミド、ポリエチレン、アラミド、炭素繊維、天然繊維、及び/又は基底繊維からなってもよい。フラットベルト42は、異なる材料で作製された補強繊維を含み得る。閉じたフラットベルトループ40は、フラットベルトの2つの端を縫い合わせることによって形成される。2つのフラットベルトループ40のフラットベルト42のベルト平面は、それぞれの場合で、水平面X、Yにある。フラットベルトループ40は、しっかりと固定されるが、各場合において著しくは伸びていない。
【0020】
各フラットベルトループ40は保持され、それぞれの円筒形のスリーブ形状の金属方向転換体30によってその2つの方向転換セクション44で方向転換される。各方向転換体30は、それぞれの中空円筒形スリーブ体34を有し、その2つのスリーブ端に、各々、環状の円盤形状のスリーブカラー32を有し、このスリーブカラー32は、フラットベルト方向転換セクション44がスリーブ体34から外れないようにするために、スリーブ体34上の両面上の、車両長手方向Xにおいてフラットベルトループ40の方向転換セクション44を保持する。
【0021】
横側面の2つの方向転換体30は各々、上部フレームヘッド22と、下部フレームヘッド24と、2つのフレームヘッド22、24を一体的に接続する二重接続ウェブ23とを有する、単一のプラスチック補助フレーム21に成形されている。プラスチック補助フレーム21は、繊維強化されるように形成されてもよい。プラスチックフレームヘッド22、24は各々、方向転換体30のスリーブ領域を完全に包含し、この様式で、関連するフラットベルトループ40のそれぞれの方向転換セクション44を、ポジティブフィットで関連する方向転換体30に固定する。
【0022】
中空円筒形方向転換体40は各々、2つの長軸方向のビーム11、12の面のそれぞれのフロント端11’、12’に、長手方向Xに配向された固定ボルト18によってボルト付けされる。クラッシュボックス14は、そのフロントの2つの補助フレーム21の各々に、長手方向Xで取り付けられ、2つのクラッシュボックス14は、それらを接続しているバンパー横支持体16を同様に支持する。