(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037162
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】下肢用衣料
(51)【国際特許分類】
A41C 1/00 20060101AFI20240311BHJP
A41C 1/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A41C1/00 F
A41C1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143065
(22)【出願日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2022141792
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023057080
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520289866
【氏名又は名称】株式会社サクラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 麻美
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA08
3B131AA09
3B131AB11
3B131AB15
3B131AB18
3B131BA11
3B131BA21
(57)【要約】
【課題】前傾した骨盤を起こし正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる下肢用衣料を提供する。
【解決手段】腰天部10、身頃部20、骨盤ベルト部30、およびクロッチ部40を有するとともに、下端に脚部101が挿通される脚部挿通口を有する下肢用衣料1であって、腰天部10の後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む後窪み部11を有するとともに、腰天部10の前部の中央部の上部に、下方に向かって窪む前窪み部12を更に有し、後窪み部11の深さ寸法Xは、前窪み部12の深さ寸法Yよりも大きい寸法に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰天部および身頃部を有するとともに、脚部挿通口を有する下肢用衣料であって、
前記腰天部の後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を設けることを特徴とする下肢用衣料。
【請求項2】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の臍よりも上方に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項3】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の第3腰椎から第4腰椎の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項4】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の第3腰椎の下部から第4腰椎の上部の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項5】
前記後部の窪み部の下端部は、人体の装着時に前記人体の第4腰椎の下部から仙骨の上部の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項6】
前記後部の窪み部の下端部は、人体の装着時に前記人体の第5腰椎の上方に隣接する椎間板から第5腰椎の下方に隣接する椎間板の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項7】
人体への装着時に、前記腰天部の前部の上端縁部を、前記人体の第3腰椎から第4腰椎の間に位置させたときに、前記後部の窪み部の下端部は、前記人体の第4腰椎の下部から仙骨の上部の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項8】
人体への装着時に、前記腰天部の前部の上端縁部を、前記人体の第3腰椎の下部から第4腰椎の上部の間に位置させたときに、前記後部の窪み部の下端部は、前記人体の第5腰椎の上方に隣接する椎間板から第5腰椎の下方に隣接する椎間板の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項9】
前記後部の窪み部の深さ寸法は、4~13cmとすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項10】
前記後部の窪み部は、V字状に形成され、前記V字状の相互に対向する傾斜線の角度は、水平方向に対し15°~45°とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項11】
人体の装着前における第1腰椎の棘突起の先端から第5腰椎の棘突起の先端を結ぶ曲線の曲率半径に対する人体の装着後における第1腰椎の棘突起の先端から第5腰椎の棘突起の先端を結ぶ曲線の曲率半径の比を1.3から2.5に増加させることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項12】
前記身頃部は、伸縮可能な伸縮生地により形成され、前記伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含むことを特徴とする請求項12に記載の下肢用衣料。
【請求項13】
前記身頃部の上部側に骨盤の回りを周回するように覆う帯状の骨盤ベルト部を前記身頃部に対し更に重ねて設けることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項14】
前記骨盤ベルト部は、伸縮可能な伸縮生地とし、前記骨盤ベルト部の伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含み、前記方向は、前記左身頃部および前記右身頃部の伸縮方向と重畳する方向とすることを特徴とする請求項15に記載の下肢用衣料。
【請求項15】
前記腰天部の前部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を設けるとともに、
前記腰天部の後部の窪み部の深さ寸法は、前記腰天部の前部の窪み部の深さ寸法よりも大きい寸法に設定することを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項16】
前記前部の窪み部の深さ寸法は、0.1~1cmとすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項17】
前記前部の窪み部は、V字状に形成され、前記V字状の相互に対向する傾斜線の角度は、水平方向に対し0.5°~5°とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項18】
前記腰天部は、前部に設けられる前腰天部、左側部から後部にかけて設けられる左腰天部、右側部から後部にかけて設けられる右腰天部を有し、
前記前腰天部は、少なくとも2枚の生地を下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前記前部の窪み部を形成し、
前記前後の重ね合わせ部分の上端縁部側を対向する生地に対し非接続とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項19】
前記左腰天部は、生地を左側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けるとともに、前記右腰天部は、生地を右側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けて、前記左腰天部の端部と前記右腰天部の端部を相互に交差するように前後に重ね合わせて前記後部の窪み部を形成し、
前記前後の重ね合わせ部分の上端縁部側を対向する生地に対し非接続とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項20】
前記前部における非接続の部分の長さは、10~30cmとすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項21】
前記前部における非接続の部分は、前記前腰天部の左右方向の全域に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項22】
前記前部における非接続の部分の左右方向の長さの前記後部における非接続の部分の左右方向の長さに対する比は、5~20とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項23】
前記身頃部は、伸縮可能な伸縮生地を複数重ねて形成され、
一の伸縮生地の伸縮方向を、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った一つの方向とし、他の伸縮生地の伸縮方向を、相互に交差する二つの方向とする部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項24】
前記脚部挿通口は、脚部挿通部と接続し、前記脚部挿通部は、前記脚部挿通口の下方側に延びて、上下方向の寸法を2~10cmとした伸縮生地とすることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項25】
前記腰天部の前部における前窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記後部の窪み部の下端部と上下方向において同一位置となる前部の位置における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きく、かつ、前記後部の窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記後部の窪み部の下端部と上下方向において同一位置となる前部の位置における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きく、更に、前記後部の窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記腰天部の前部における前窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用衣料に関し、特に腰天部の前部および後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を有する下肢用衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から美しい体型を維持するための補正下着が提案されている。例えば、特許文献1には、引き締め用生地を用いてバランスのとれた体型に補正する補正下着が開示されている。また、特許文献2には、ガ-ドルなどの使用時、トイレで用をたす際に脱ぎ着せず、はいた時のスタイルが持続できる補正下着が開示されている。更には、特許文献3には、腹部、ウエスト部、ヒップ及びバストの形を整える補正下着が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-65371号
【特許文献2】特開2008-25070号
【特許文献3】特開平8-209404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年は、骨盤が前傾し反り腰となることにより、身体の様々な部分に悪影響を及ぼすことが明らかとされている。このため、前傾した骨盤を起こし正しい姿勢を維持し反り腰を解消する補正下着の開発が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる下肢用衣料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、下肢用衣料に係る請求項1の発明は、腰天部および身頃部を有する下肢用衣料であって、腰天部の後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を設けることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、腰天部の後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を有することとしたので、腰天部の前部の中央部側において下方から上方に押し上げるように、腰天部の後部の中央部側において上方から下方に押し下げるように矯正することが可能となる。これにより、腰部を後方の下方側に引っ張るように矯正することができ、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる。
【0008】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の臍よりも上方に位置するように構成することとすれば、人体の臍よりも上方側が腰部の後方の下方側に引っ張られ、前傾した骨盤を起こすことが可能となる。
【0009】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の第3腰椎から第4腰椎の間に位置するように構成することとすれば、骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができ、前傾した骨盤を起こすことが可能となる。
【0010】
前記腰天部の前部の上端縁部は、人体への装着時に前記人体の第3腰椎の下部から第4腰椎の上部の間に位置するように構成することとすれば、一層骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができ、前傾した骨盤を起こすことが可能となる。
【0011】
前記後部の窪み部の下端部は、人体の装着時に前記人体の第4腰椎の下部から仙骨の上部の間に位置するように構成することとすれば、骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができる。
【0012】
前記後部の窪み部の下端部は、人体の装着時に前記人体の第5腰椎の上方に隣接する椎間板から第5腰椎の下方に隣接する椎間板の間に位置するように構成することとすれば、一層骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができる。
【0013】
人体への装着時に、前記腰天部の前部の上端縁部を、前記人体の第3腰椎から第4腰椎の間に位置させたときに、前記後部の窪み部の下端部は、前記人体の第4腰椎の下部から仙骨の上部の間に位置するように構成とすることができる。
【0014】
より詳しくは、人体への装着時に、前記腰天部の前部の上端縁部を、前記人体の第3腰椎の下部から第4腰椎の上部の間に位置させたときに、前記後部の窪み部の下端部は、前記人体の第5腰椎の上方に隣接する椎間板から第5腰椎の下方に隣接する椎間板の間に位置するように構成することができる。
【0015】
前記後部の窪み部の深さ寸法は、4~13cmとすることとすれば、後部の窪み部の下端部を、人体の装着時に人体の第5腰椎よりも下方に位置させることができる。
【0016】
前記後部の窪み部は、V字状に形成され、前記V字状の相互に対向する傾斜線の角度は、水平方向に対し15°~45°とすることとすれば、傾斜線が作用して前傾した骨盤を無理なく起こすことができる。
人体の装着前における第1腰椎の棘突起の先端から第5腰椎の棘突起の先端を結ぶ曲線の曲率半径に対する人体の装着後における第1腰椎の棘突起の先端から第5腰椎の棘突起の先端を結ぶ曲線の曲率半径の比を1.3から2.5に増加させることとすれば、前傾した骨盤を無理なく起こすことができる。
【0017】
前記身頃部は、上端縁部側が前記腰天部の下端縁部側に接続されるとともに、伸縮可能な伸縮生地により形成され、前記伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含むこととすれば、更に腰部を後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となる。
【0018】
前記身頃部の上部側に骨盤の回りを周回するように覆う帯状の骨盤ベルト部を前記身頃部に対し更に重ねて設けることができる。
【0019】
前記骨盤ベルト部は、伸縮可能な伸縮生地とし、前記骨盤ベルト部の伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含み、前記方向は、前記左身頃部および前記右身頃部の伸縮方向と重畳する方向とすることとすれば、更に一層腰部を後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となる。
【0020】
前記腰天部の前部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部を設けることすれば、前部の窪み部に応力を掛けながら腰天部の後部において腰部を更に後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となり、腰部の矯正の効果を向上させることができる。
【0021】
前記腰天部の後部の窪み部の深さ寸法は、前記腰天部の前部の窪み部の深さ寸法よりも大きい寸法に設定することとすれば、腰部の矯正を確実に行うことができる。
【0022】
前記前部の窪み部の深さ寸法は、0.1~1cmとすることとすれば、腰部の矯正の効果を大きくすることができる。
【0023】
前記前部の窪み部は、V字状に形成され、前記V字状の対向する傾斜線の角度は、水平方向に対し0.5°~5°とすることとすれば、、腰部の矯正の効果を更に大きくすることができる。
【0024】
前記腰天部は、前部に設けられる前腰天部、左側部から後部にかけて設けられる左腰天部、右側部から後部にかけて設けられる右腰天部を有し、前記前腰天部は、少なくとも2枚の生地を下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前記前部の窪み部を形成し、前記前後の重ね合わせ部分の上端縁部側を対向する生地に対し非接続とすることとすれば、装着時に前部の非接続の部分が体形に応じてずれることが可能となり、フィット感を向上させることができる。また、前部の非接続の部分により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる。
【0025】
前記左腰天部は、生地を左側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けるとともに、前記右腰天部は、生地を右側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けて、前記左腰天部の端部と前記右腰天部の端部を相互に交差するように前後に重ね合わせて前記後部の窪み部を形成し、前記前後の重ね合わせ部分の上端縁部側を対向する生地に対し非接続とすることとすれば、装着時に後部の非接続の部分が体形に応じてずれることが可能となり、フィット感を向上させることができる。また、後部の非接続の部分により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる。
【0026】
前記前部における非接続の部分の長さは、10~30cmとすることとすれば、フィット感および履き心地を確実に向上させることができる。
【0027】
前記前部における非接続の部分は、前記前腰天部の左右方向の全域に渡って形成されていることとすれば、フィット感および履き心地を一層向上させることができる。
【0028】
前記前部における非接続の部分の左右方向の長さの前記後部における非接続の部分の左右方向の長さに対する比は、5~20とすることとすれば、フィット感および履き心地を更に一層向上させることができる。
【0029】
前記身頃部は、伸縮可能な伸縮生地を複数重ねて形成され、一の伸縮生地の伸縮方向を、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った一つの方向とし、他の伸縮生地の伸縮方向を、相互に交差する二つの方向とする部分を含むこととすれば、一つの方向に伸縮する一の伸縮生地の伸縮力を大きくして更に一層腰部を下方に引っ張るように矯正することが可能となるとともに、二つの方向に伸縮する他の伸縮生地により体形に応じて伸縮し易くなりフィット感も向上させることができる。また、二つの方向に伸縮する他の伸縮生地により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる。
【0030】
前記脚部挿通口は、脚部挿通部と接続し、前記脚部挿通部は、前記脚部挿通口の下方側に延びて、上下方向の寸法を2~10cmとした伸縮生地とすることとすれば、腰部の矯正の際に脚部挿通口にかかる力を脚部挿通部に分散させることができる。これにより、脚部挿通口における過度の締め付けを緩和し履き心地を向上させることができる。
前記腰天部の前部における前窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記後部の窪み部の下端部と上下方向において同一位置となる前部の位置における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きく、かつ、前記後部の窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記後部の窪み部の下端部と上下方向において同一位置となる前部の位置における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きく、更に、前記後部の窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力が、前記腰天部の前部における前窪み部の下端部における単位長さ伸ばした時に発生する力よりも大きいことにより、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態に係る下肢用衣料の未装着時の構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図2】同下肢用衣料の腰天部の前部の上端縁部と人体の腰椎等との位置関係を示す図である。
【
図3】同下肢用衣料の腰天部の後部の窪み部の下端部と人体の腰椎等との位置関係を示す図である。
【
図4】同下肢用衣料を展開した状態を示す展開図である。
【
図5】同下肢用衣料の前腰天部の構成を示す図で、(a)は折り返し生地を形成する前の状態を示す図、(b)は折り返し生地を形成した状態を示す図である。
【
図6】同下肢用衣料の左腰天部および右腰天部の構成を示す図で、(a)は折り返し生地を形成する前の状態を示す図、(b)は折り返し生地を形成した状態を示す図である。
【
図7】同下肢用衣料の前腰天部と左腰天部および右腰天部を連結した状態を示す図である。
【
図8】同下肢用衣料の腰天部の前窪み部および後窪み部を形成した状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図9】同下肢用衣料の腰天部の重ね合わせ部分が離間した状態を示す図である。
【
図10】同下肢用衣料の前身頃部の構成を示す図で、(a)は第1の前身頃部の構成を示す図、(b)は第2の前身頃部の構成を示す図、(c)は第3の前身頃部の構成を示す図、(d)は第1の前身頃部乃至第2の前身頃部を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図11】同下肢用衣料の左身頃部の構成を示す図で、(a)は第1の左身頃部の構成を示す図、(b)は第2の左身頃部の構成を示す図、(c)は第1の左身頃部と第2の左身頃部を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図12】同下肢用衣料の右身頃部の構成を示す図で、(a)は第1の右身頃部の構成を示す図、(b)は第2の右身頃部の構成を示す図、(c)は第1の右身頃部と第2の右身頃部を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図13】同下肢用衣料の前身頃部、左身頃部、右身頃部を連結した状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図14】同下肢用衣料の骨盤ベルト部の構成を示す図で、(a)は骨盤ベルト部を身頃部に装着する前の状態を示す図、(b)は骨盤ベルト部を身頃部に装着した後の状態を示す図である。
【
図15】同下肢用衣料の前身頃部、左身頃部、右身頃部を連結した状態で骨盤ベルト部を装着した状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図16】同下肢用衣料のクロッチ部の構成を示す図で、(a)は第1のクロッチ部の構成を示す図、(b)は第2のクロッチ部の構成を示す図、(c)は第1のクロッチ部と第2のクロッチ部を重ね合わせた状態を示す図である。
【
図17】本発明の効果を示す図であり、(a)は矯正前の状態、(b)は矯正後の状態を示す図である。
【
図18】本発明の効果を示す別の図であり、(a)は矯正前の状態、(b)は矯正後の状態を示す図である。
【
図19】本発明の比較例を示す図で、(a)は本発明の下肢用衣料の正面図、(b)は従来の下肢用衣料の正面図である。
【
図20】本発明の比較例を示す図で、(a)は本発明の下肢用衣料の背面図、(b)は従来の下肢用衣料の背面図である。
【
図21】同下肢用衣料における単位長さ伸ばした時に発生する力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る下肢用衣料の構成を示す図、
図2は、同下肢用衣料の腰天部の前部の上端縁部と人体の腰椎等との位置関係を示す図、
図3は、同下肢用衣料の腰天部の後部の窪み部の下端部と人体の腰椎等との位置関係を示す図、
図4は、同下肢用衣料を展開した状態を示す展開図、
図5は、同下肢用衣料の前腰天部の構成を示す図、
図6は、同下肢用衣料の左腰天部および右腰天部の構成を示す図、
図7は、同下肢用衣料の前腰天部と左腰天部および右腰天部を連結した状態を示す図、
図8は、同下肢用衣料の腰天部の前窪み部および後窪み部を形成した状態を示す図、
図9は、同下肢用衣料の腰天部の重ね合わせ部分が離間した状態を示す図、
図10は、同下肢用衣料の前身頃部の構成を示す図、
図11は、同下肢用衣料の左身頃部の構成を示す図、
図12は、同下肢用衣料の右身頃部の構成を示す図、
図13は、同下肢用衣料の前身頃部、左身頃部、右身頃部を連結した状態を示す図、
図14は、同下肢用衣料の骨盤ベルト部の構成を示す図、
図15は、同下肢用衣料の前身頃部、左身頃部、右身頃部を連結した状態で骨盤ベルト部を装着した状態を示す図、
図16は、同下肢用衣料のクロッチ部の構成を示す図、
図17は、本発明の効果を示す図、
図18は、本発明の効果を示す別の図である。なお、以下の説明においては、下肢用衣料1を人体100が装着した状態で正面側から見て前後、左右、上下を定義するものとし、各方向は図において示すものとする。
【0034】
図1乃至
図4を参照して本実施形態の下肢用衣料1の概要を説明すると、下肢用衣料1は、腰天部10、身頃部20、骨盤ベルト部30、およびクロッチ部40を有しており、下端に人体100の脚部101が挿通される脚部挿通口50を有している。
【0035】
腰天部10は、人体100の腰部102の周りを帯状に周回するように設けられており、V字状の後部の窪み部11(以下、後窪み部11とする)と前部の窪み部12(以下、前窪み部12とする)を有している。
【0036】
後窪み部11は、腰天部10の後部の中央部の上部より詳しくは上端部において、下方に向かって窪むように設けられている。後窪み部11は、上下方向の深さ寸法Xが、4~13cmとなっている。また、後窪み部11は、V字状の相互に対向する傾斜線11aの角度αが、水平方向に対し15°~45°となっている。後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dは、人体100への装着時に人体100の第4腰椎100Dの下部から仙骨100Fの上部の間に位置するように構成されている。より詳しくは、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dは、人体100の装着時に人体100の第5腰椎100Eの上方に隣接する椎間板100E´から第5腰椎100Eの下方に隣接する椎間板100F´の間に位置するように構成されている。
【0037】
後窪み部11の上下方向の深さ寸法Xは、前窪み部12の上下方向の深さ寸法Yよりも大きい寸法に設定されている。
【0038】
前窪み部12は、腰天部10の前部の中央部の上部より詳しくは上端部において、下方に向かって窪むように設けられている。前窪み部12は、上下方向の深さ寸法Yが、0.1~1cmとなっており、下方に向かって僅かに窪んでいる。また、前窪み部は、V字状の相互に対向する傾斜線12aの角度βが、水平方向に対し0.5°~5°となっており、僅かに傾斜している。腰天部10の前部の上端縁部10A´、より詳しくは前窪み部12の下端部12cの上端縁部10A´は、人体100への装着時に人体100の臍よりも上方に位置するように構成されている。
【0039】
すなわち、腰天部10の前部の上端縁部10A´、つまり前窪み部12の下端部12cの上端縁部10A´は、人体100への装着時に人体100の第3腰椎100Cから第4腰椎100Dの間に位置するように構成されている。
【0040】
より詳しくは、腰天部10の前部の上端縁部10A´は、つまり前窪み部12の下端部12cの上端縁部10A´は、人体100への装着時に人体100の第3腰椎100Cの下部から第4腰椎100Dの上部の間に位置するように構成されている。
【0041】
言い換えると、本実施形態においては、人体100への装着時に、腰天部10の前部の上端縁部10A´を、人体100の第3腰椎100Cから第4腰椎100Dの間に位置させたときに、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dは、人体100の第4腰椎100Dの下部から仙骨100Fの上部の間に位置するように構成されている。
【0042】
より詳しくは、本実施形態においては、人体100への装着時に、腰天部100の前部の上端縁部10A´を、人体100の第3腰椎100Cの下部から第4腰椎100Dの上部の間に位置させたときに、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dは、人体100の第5腰椎100Eの上方に隣接する椎間板100E´から第5腰椎100Eの下方に隣接する椎間板100F´の間に位置するように構成されている。
【0043】
ここで、腰天部10は、
図5乃至
図9に示すように、生地10a1,10a2,10b,10cを折り返し部分10a1´,10a2´,10b´,10c´を介して折り返すことにより生地10a1,10a2,10b,10cを重ね合わせた折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´により帯状に構成されている。
【0044】
そして、腰天部10は、折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´における折り返し部分10a1´,10a2´,10b´,10c´が上端部となるように構成されている。
【0045】
窪み部11,12は、複数の折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´を窪み部11,12の形成位置に向かって下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより形成することができる。
【0046】
より詳しくは、腰天部10は、前腰天部10A、左腰天部10B、右腰天部10Cを有しており、前腰天部10Aは、前部に設けられ、左腰天部10Bは、左側部から後部にかけて設けられ、右腰天部10Cは、右側部から後部にかけて設けられている。
【0047】
すなわち、前腰天部10Aは、2枚の折り返し生地10a1´´,10a2´´を相互に反対向きに前窪み部12の形成位置に向かって下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前窪み部12を形成している。
【0048】
ここで、前腰天部10Aは、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10A´側がそれぞれ対向する生地10a1´´,10a2´´に対し縫合されておらず相互に非接続となっている。つまり、前腰天部10Aは、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10A´側において対向する生地10a1´´,10a2´´が相互に離間可能となっている。前部における非接続の部分の長さは、10~30cmとなっている。前部における非接続の部分は、前腰天部10Aの幅方向の全域に渡って形成されている。
【0049】
左腰天部10Bは、1枚の折り返し生地10b´´を左側部から後窪み部11の形成位置となる後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けている。
右腰天部10Cは、左腰天部10Bと相互に反対向きとなるように、1枚の折り返し生地10c´´を右側部から後窪み部11の形成位置となる後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けている。
【0050】
つまり、左腰天部10Bの端部10B´と右腰天部10Cの端部10C´を後部の中央において相互に交差するように前後に重ね合わせて後窪み部11を形成している。左腰天部10Bおよび右腰天部10Cは、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10B´´,10C´´側がそれぞれ対向する生地10b´´,10c´´に対し縫合されておらず相互に非接続となっている。つまり、左腰天部10Bおよび右腰天部10Cは、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10B´´,10C´´側において対向する生地10b´´,10c´´が相互に離間可能となっている。なお、前部における非接続の部分の左右方向の長さL1の後部における非接続の部分の左右方向の長さL2(左腰天部10Bおよび右腰天部10Cのいずれか一方の非接続の部分の左右方向の長さL2)に対する比は、5~20となっている。
【0051】
これら腰天部10の折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´(生地10a1,10a2,10b,10c)は、伸縮可能な伸縮生地とすることができる。この伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。
【0052】
この腰天部10における伸縮生地(折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´)は、メッシュ生地とすることができ、メッシュ生地は、パワーネットとすることができる。また、伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。
【0053】
前窪み部12および後窪み部11における折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´の伸縮方向は図において一点鎖線の矢印で示すように、腰天部10の傾斜に沿った方向であり、重ね合わせ部分において相互に交差する方向とすることができる。
【0054】
なお、腰天部10は、折り返し生地10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´´の内側より詳しくは上端部の折り返し部分10a1´,10a2´,10b´,10c´の内側に線状または帯状の生地10dを挟み込むように設けることができる(より詳しくは、生地10dは、上端部の折り返し部分10a1´,10a2´,10b´,10c´の内側に挟み込むように設けられ、かつ、人体側の生地の内側に縫合により固定されている)。
【0055】
線状または帯状の生地10dは、伸縮可能な伸縮生地とすることができ、この伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。伸縮方向は、図において一点鎖線の矢印で示すように腰天部10の伸縮方向に沿った方向とすることができる。
【0056】
また、伸縮生地(生地10d)は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。伸縮生地は、ストレッチ生地とすることができ、ストレッチ生地は、ストレッチテープとすることができる。なお、伸縮生地より詳しくはストレッチテープは、折り返し部分10a1´,10a2´,10b´,10c´の内側に挟み込むように設けることとしたので、人体100への食い込みを少なくすることができる。
【0057】
身頃部20は、
図10乃至
図13に示すように、前身頃部20A、左身頃部20B、および右身頃部20Cを有している。前身頃部20Aは、身頃部20の前部に設けられており、左身頃部20Bは、身頃部20の左側部から後部の中央にかけて設けられており、右身頃部20Cは、右側部から後部の中央にかけて設けられている。
【0058】
身頃部20は、伸縮可能な伸縮生地を複数重ねて形成されている。身頃部20は、伸縮可能な伸縮生地により形成され、伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含んでいる。より詳しくは、身頃部20は、重ねられている一の伸縮生地の伸縮方向が、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った一つの方向、若しくは縦方向の一方向となっている部分を含んでいる。更に詳しくは、身頃部20は、重ねられている他の伸縮生地の伸縮方向は、相互に交差する二つの方向となっている部分を含んでいる(例えば、横方向と縦方向を含む二つの方向)。
身頃部20は、前身頃部20A、左身頃部20B、および右身頃部20Cを以下のように構成することとしている。
【0059】
前身頃部20Aは、
図10に示すように、第1の前身頃部20A1(
図10(a))、第2の前身頃部20A2(
図10(b))、および第3の前身頃部20A3(
図10(c))を有しており、第1の前身頃部20A1、第2の前身頃部20A2、および第3の前身頃部20A3は、いずれも同形となっている。前身頃部20Aは、第1の前身頃部20A1を表生地とし、第2の前身頃部20A2を裏生地とし、第3の前身頃部20A3を表生地と裏生地の間に挟まれた中間生地として、第1の前身頃部20A1と第2の前身頃部20A2と第3の前身頃部20A3を位置が一致するように重ね合わせて構成されている(
図10(d))。
【0060】
前身頃部20Aは、上辺20a1、側辺20a2,20a3、および下辺20a4を有している。側辺20a2,20a3は、左側辺20a2および右側辺20a3を有している。
【0061】
すなわち、上辺20a1は、下方に突出し円弧状に湾曲する湾曲線となっている。左側辺20a2および右側辺20a3は、上方から下方にかけて相互に間隔が漸次小さくなるように逆ハの字状に傾斜する傾斜線となっている。下辺20a4は、上方に突出し円弧状に湾曲する湾曲線となっている。
【0062】
上辺20a1は、前腰天部10Aの下端10A1と連結し、左側辺20a2は、後述する左身頃部20Bの第1の側辺20b12と連結し、右側辺20a3は、後述する右身頃部20Cの第1の側辺20c12と連結し、下辺20a4は、後述するクロッチ部40の前辺40aと連結している。
【0063】
前身頃部20を構成する第1の前身頃部20A1、第2の前身頃部20A2、および第3の前身頃部20A3は、伸縮可能な伸縮生地とすることができ、第1の前身頃部20A1の伸縮生地は、伸縮方向を相互に交差する二つの方向の2WAY生地とすることができる。第2の前身頃部20A2および第3の前身頃部20A3の伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。
【0064】
第1の前身頃部20A1は、伸縮方向を図において一点鎖線の矢印で示すように横方向(側方)および縦方向(上下方向)とし、伸縮方向を直交するように交差させることとしている。
第2の前身頃部20A2および第3の前身頃部20A3は、伸縮方向を図において一点鎖線の矢印で示すように縦方向(上下方向)としている。
【0065】
第1の前身頃部20A1つまり表生地における伸縮生地は、トリコット編みにより形成された2WAYトリコット生地により構成することができる。
【0066】
第2の前身頃部20A2つまり裏生地における伸縮生地は、綿混生地(天竺編)とすることができる。裏生地を綿混生地とすることにより、優れた肌触りを提供することができる。なお、綿混生地は、綿とポリエステル繊維を混合した生地とすることができる。
【0067】
第3の前身頃部20A3つまり中間生地における伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。伸縮生地は、メッシュ生地とすることができ、メッシュ生地は、パワーネットとすることができる。
【0068】
左身頃部20Bは、
図11に示すように、第1の左身頃部20B1(
図11(a))および第2の左身頃部20B2(
図11(b))を有している。左身頃部20Bは、第1の左身頃部20B1を表生地とし、第2の左身頃部20B2を裏生地として、第1の左身頃部20B1と第2の左身頃部20B2を重ね合わせて設けている(
図11(c))。
【0069】
また、右身頃部20Cは、
図12に示すように、第1の右身頃部20C1(
図12(a))および第2の右身頃部20C2(
図12(b))を有している。右身頃部20Cは、第1の右身頃部20C1を表生地とし、第2の右身頃部20C2を裏生地として、第1の右身頃部20C1と第2の右身頃部20C2を重ね合わせて設けている(
図12(c))。第1の左身頃部20B1と第1の右身頃部20C1は相互に対称な形状となっており、第2の左身頃部20B2と第2の右身頃部20C2についても相互に対称な形状となっている。
【0070】
第1の左身頃部20B1は、上辺20b11、側辺20b12,20b13、および下辺20b14を有しており、第1の右身頃部20C1は、上辺20c11、側辺20c12,20c13、および下辺20c14を有している。
【0071】
上辺20b11,20c11は、横方向(側方)に斜めに延びる線となっている。
第1の左身頃部20B1の側辺20b12,20b13は、第1の側辺20b12および第2の側辺20b13を有し、第1の右身頃部20C1の側辺20c12,20c13は、第1の側辺20c12および第2の側辺20c13を有している。これら第1の側辺20b12,20c12および第2の側辺20b13,20c13は、上方から下方にかけて相互に間隔が漸次大きくなるように略ハの字状に傾斜する傾斜線となっている。第2の側辺20b13,20c13は、上方から下方にかけて湾曲しながら傾斜する傾斜線となっている。
【0072】
第1の左身頃部20B1の下辺20b14は、第1の下辺20b14´、第2の下辺20b14´´、および第3の下辺20b14´´´を有し、第1の右身頃部20C1の下辺20c14は、第1の下辺20c14´、第2の下辺20c14´´、および第3の下辺20c14´´´を有している。
【0073】
第1の下辺20b14´,20c14´は、下辺20b14,20c14の前部側であり、上方に突出して円弧状に湾曲する湾曲線となっている。
第2の下辺20b14´´,20c14´´は、下辺20b14,20c14の中間部であり、後部側に行くにしたがって下降するように傾斜する傾斜線となっている。
【0074】
第3の下辺20b14´´´,20c14´´´は、下辺20b14,20c14の後部側であり、後端に行くにしたがって上昇するように傾斜する傾斜線となっている。
【0075】
第1の左身頃部20B1の上辺20b11は、左腰天部10Bの下端と連結し、第1の右身頃部20C1の上辺20c11は、右腰天部10Cの下端と連結し、第1の左身頃部20B1の第1の側辺20b12は、前身頃部20Aの側辺20a2と連結し、第1の右身頃部20C1の第1の側辺20c12は、前身頃部20Aの側辺20a3と連結し、第1の左身頃部20B1の第2の側辺20b13と第1の右身頃部20C1の第2の側辺20c13が連結し、第2の左身頃部20B2の第2の側辺20b23と第2の右身頃部20C2の第2の側辺20c23が連結し、身頃部20は、周回するように構成されている。
【0076】
また、第1の下辺20b14´,20c14´と第2の下辺20b14´´,20c14´´は、脚部挿通口50を形成し、第3の下辺20b14´´´,20c14´´´は、クロッチ部40の後辺40dと連結している。
【0077】
第2の左身頃部20B2は、上辺20b21、側辺20b22,20b23、下辺20b24、および湾曲線20b25を有しており、第2の右身頃部20C2は、上辺20c21、側辺20c22,20c23、下辺20c24、および湾曲線20c25を有している。
【0078】
側辺20b22,20b23,20c22,20c23は、第1の側辺20b22,20c22および第2の側辺20b23,20c23を有している。下辺20b24,20c24は、第2の下辺20b24´´,20c24´´および第3の下辺20b24´´´,20c24´´´を有している。
【0079】
上辺20b21,20c21は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の上辺20b11,20c11と対応するように、かつ、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の上辺20b11,20c11の前端から中間部まで達するように横方向(側方)に斜めに延びる線となっている。
【0080】
第1の側辺20b22,20c22は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の側辺20b12,20c12と第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の下辺20b14´,20c14´との間で略三角形を描いて前部側を略三角形状に欠損させるように第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の側辺20b12,20c12と反対向きに傾斜する傾斜線となっている。
【0081】
すなわち、欠損する略三角形状の前部側は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1との非重ね合わせ領域としており、この領域では、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2を有することなく、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1のみを有する構成となっている。
【0082】
第2の側辺20b23,20c23は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第2の側辺20b13,20c13と対応するように、かつ、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第2の側辺20b13,20c13の下端から中間部まで達する傾斜線となっている。
【0083】
下辺20b24,20c24は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第2の下辺20b14´´,20c14´´および第3の下辺20b14´´´,20c14´´´と対応するように、第2の下辺20b24´´,20c24´´および第3の下辺20b24´´´,20c24´´´を有するとともに、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の下辺20b14´,20c14´と対応する第1の下辺は欠損した構成となっている。
【0084】
第2の下辺20b24´´,20c24´´は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第2の下辺20b14´´,20c14´´と一致し、下辺20b24,20c24の中間部として、後部側に行くにしたがって下降するように傾斜する傾斜線となっている。
【0085】
第3の下辺20b24´´´,20c24´´´は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第3の下辺20b14´´´,20c14´´´と一致し、下辺20b24,20c24の後部側として、後端に行くにしたがって上昇するように傾斜する傾斜線となっている。
【0086】
湾曲線20b25,20c25は、人体100の臀部の下端と対応するように、かつ、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの後部の上部側を略円弧状に欠損させるように、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の上辺20b21,20c21の後端から第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の第2の側辺20b23,20c23の上端に達し円弧状に湾曲する湾曲線となっている。
【0087】
すなわち、欠損する略円弧形状の上部側は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1との非重ね合わせ領域として、この領域では、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2を有することなく、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1のみを有する構成となっている。
【0088】
上辺20b21,20c21は、左腰天部10Bおよび右腰天部10Cの下端10B1,10C1と連結し、第2の左身頃部20B2の第2の側辺20b23と第2の右身頃部20C2の第2の側辺20c23が連結している。
【0089】
なお、第1の左身頃部20B1の第2の側辺20b13と第1の右身頃部20C1の第2の側辺20c13との連結および第2の左身頃部20B2の第2の側辺20b23と第2の右身頃部20C2の第2の側辺20c23との連結は、後部の中央において、ゴム状の糸20Dで縫合して行われている。このゴム状の糸20Dは、ラバースレッドとすることができる。ゴム状の糸20Dの縫合は伸縮方向が上下方向となるように行うことができる。
【0090】
また、ゴム状の糸20Dの縫合位置と重なる位置に伸縮可能な伸縮生地20Eを設けることができる。伸縮生地20Eは、ポリウレタン繊維により構成することができる。伸縮生地20Eの伸縮方向は、上下方向とすることができる。伸縮生地20Eは、伸縮方向を一方向より詳しくは上下方向とする1WAY生地とすることができる。この伸縮生地20Eは、ストレッチ生地とすることができ、ストレッチ生地は、ストレッチテープとすることができる。
【0091】
第2の下辺20b24´´,20c24´´は、第1の左身頃部20B1の第2の下辺20b14´´および第1の右身頃部20C1の第2の下辺20c14´´とともに、脚部挿通口50を形成し、第3の下辺20b24´´´,20c24´´´は、第1の左身頃部20B1の第3の下辺20b14´´´および第1の右身頃部20C1の第3の下辺20c14´´´とともに、クロッチ部40の後端(後辺40d)と連結している。
【0092】
第1の左身頃部20B1、第2の左身頃部20B2、第1の右身頃部20C1、および第2の右身頃部20C2は、伸縮可能な伸縮生地とすることができる。
【0093】
第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の伸縮生地は、トリコット編みにより形成された2WAYトリコット生地により構成することができる。
第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1は、伸縮方向を図において一点鎖線の矢印で示すように横方向(側方)および縦方向(上下方向)とし、伸縮方向を直交するように交差させることとしている。
【0094】
第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。また、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の伸縮生地は、メッシュ生地とすることができ、メッシュ生地は、パワーネットとすることができる。
【0095】
更に、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。伸縮方向は図において一点鎖線の矢印で示すように、第2の下辺20b24´´,20c24´´の傾斜に沿うように、かつ、左腰天部10Bおよび右腰天部10Cの傾斜に沿うように後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向とすることができる。
【0096】
骨盤ベルト部30は、
図14(a)に示すように、帯状の構成となっており、より詳しくは、身頃部20の上部側に骨盤の回りを周回するように覆う帯状の構成となっており、
図14(b)および
図15に示すように、身頃部20に対し更に重ねて設けられている。
【0097】
より詳しくは、骨盤ベルト部30は、身頃部20の裏面側の上部側に設けられており、前骨盤ベルト部30A、左骨盤ベルト部30B、および右骨盤ベルト部30Cを有している。
【0098】
前骨盤ベルト部30Aは、骨盤ベルト部30の前部に設けられるとともに、前身頃部20Aの裏面側の上部側に対し更に重ねて設けられている。左骨盤ベルト部30Bは、骨盤ベルト部30の左側部から後部にかけて設けられるとともに、左身頃部20Bの裏面側の上部側に対し更に重ねて設けられている。右骨盤ベルト部30Cは、骨盤ベルト部30の右側部から後部にかけて設けられるとともに、右身頃部20Cの裏面側の上部側に対し更に重ねて設けられている。
【0099】
骨盤ベルト部30は、伸縮可能な伸縮生地とすることができ、伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。骨盤ベルト部30の伸縮方向は図において一点鎖線の矢印で示すように、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向を含み、この方向(後部の中央に向かって下方に傾斜する方向)は、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの伸縮方向と重畳する方向とすることができる。
【0100】
より詳しくは、前骨盤ベルト部30Aの伸縮方向は図において一点鎖線の矢印で示すように、前身頃部20Aの伸縮方向のうち横方向(側方)の伸縮方向と重畳する横方向(側方)となっている。左骨盤ベルト部30Bの伸縮方向は同じく図において一点鎖線の矢印で示すように、左腰天部10Bの傾斜に沿うように後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向としており、左身頃部20Bの伸縮方向と重畳する方向となっている。右骨盤ベルト部30Cの伸縮方向は同じく図において一点鎖線の矢印で示すように、右腰天部10Cの傾斜に沿うように後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向としており、右身頃部20Cの伸縮方向と重畳する方向なっている。
【0101】
なお、伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。伸縮生地は、メッシュ生地とすることができ、メッシュ生地は、パワーネットとすることができる。
【0102】
クロッチ部40は、
図16に示すように、人体100の股間と対応するように、前後方向に延びるように設けられている。クロッチ部40は、第1のクロッチ部41(
図16(a))と第2のクロッチ部42(
図16(b))を有しており、第2のクロッチ部42は、第1のクロッチ部41と同形となっている。クロッチ部40は、第1のクロッチ部41を表生地とし、第1のクロッチ部42を裏生地として、第1のクロッチ部と第2のクロッチ部を位置が一致するように重ね合わせて構成されている(
図16(c))。
【0103】
クロッチ部40は、前辺40a、第1の側辺40b、第2の側辺40c、および後辺40dを有している。
【0104】
前辺40aは、前方に突出し円弧状に湾曲する湾曲線となっている。第1の側辺40bおよび第2の側辺40cは、内側に突出し、前方から後方にかけて相互に間隔が漸次大きくなるように円弧状に湾曲する湾曲線となっている。後辺40dは、後方に突出し円弧状に湾曲する湾曲線となっている。
【0105】
前辺40aは、前身頃部20Aの下辺20a4と連結し、第1の側辺40bおよび第2の側辺40cは、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの第1の下辺20b14´,20b24´,20c14´,20c24´および第2の下辺20b14´´,20b24´´,20c14´´,20c24´´とともに、脚部挿通口50を形成し、後辺40dは、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの第3の下辺20b14´´´,20b24´´´,20c14´´´,20c24´´´と連結している。
【0106】
第1のクロッチ部41および第2のクロッチ部42は、伸縮可能な伸縮生地とすることができる。第1のクロッチ部41の伸縮生地は、トリコット編みにより形成された2WAYトリコット生地により構成することができる。
第1のクロッチ部41は、伸縮方向を図において一点鎖線の矢印で示すように横方向(側方)および縦方向(上下方向)とし、伸縮方向を直交するように交差させることとしている。
【0107】
第2のクロッチ部42の伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。第1のクロッチ部41は、伸縮方向を図において一点鎖線の矢印で示すように横方向(側方)としている。
【0108】
第2のクロッチ部42の伸縮生地つまり裏生地における伸縮生地は、綿混生地(天竺編)とすることができる。裏生地を綿混生地とすることにより、優れた肌触りを提供することができる。なお、綿混生地は、綿とポリエステル繊維を混合した生地とすることができる。
【0109】
クロッチ部40は、上記から明らかなように、伸縮可能な伸縮生地を複数重ねて形成されている。クロッチ部40は、重ねられている一の伸縮生地の伸縮方向が、横方向一方向となっている。また、クロッチ部40は、重ねられている他の伸縮生地の伸縮方向は、相互に交差する二つの方向となっている。
【0110】
脚部挿通口50は、人体100の脚部101の付根と対応するように設けられている。脚部挿通口50は、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの第1の下辺20b14´,20b24´,20c14´,20c24´と第2の下辺20b14´´,20c14´´、クロッチ部40の第1の側辺40bおよび第2の側辺40cにより囲まれるように形成することができる。
【0111】
脚部挿通口50は、脚部挿通部60と接続している。脚部挿通部60は、脚部挿通口50の下方側に延びている。脚部挿通部60は、上下方向の寸法を2~10cmとしており、伸縮可能な伸縮生地により形成されている。
【0112】
脚部挿通部60の伸縮生地は、ポリウレタン繊維により構成することができる。脚部挿通部60の伸縮生地は、ストレッチ生地とすることができる。ストレッチ生地は、ストレッチレースとすることができる。脚部挿通部60の伸縮生地は、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とすることができる。
【0113】
以上説明したように本発明によれば、腰天部10の後部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部11を有することとしたので、腰天部10の前部の中央部側において下方から上方に押し上げるように、腰天部10の後部の中央部側において仙骨に沿って上方から下方に押し下げるように矯正することが可能となる。これにより、人体100の腰部102を後方の下方側に引っ張るように矯正することができ、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる(
図17)。
【0114】
また、腰天部10の前部の上端縁部10A´は、人体100への装着時に人体100の臍よりも上方に位置することとしたので、人体100の臍よりも上方側が腰部102の後方の下方側に引っ張られ、前傾した骨盤を起こすことが可能となる。
【0115】
更に、腰天部10の前部の上端縁部10A´は、人体100への装着時に人体100の第3腰椎100Cから第4腰椎100Dの間に位置するように構成することとしたので、より詳しくは、人体100への装着時に人体100の第3腰椎100Cの下部から第4腰椎100Dの上部の間に位置するように構成することとしたので、骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができ、前傾した骨盤を起こすことが可能となる。
【0116】
更にまた、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dは、人体100の装着時に人体100の第4腰椎100Dの下部から仙骨100Fの上部の間に位置するように構成することとしたので、より詳しくは、人体100の装着時に人体100の第5腰椎100Eの上方に隣接する椎間板100E´から第5腰椎100Eの下方に隣接する椎間板100F´の間に位置するように構成することとしたので、骨盤の前傾により増強した過度な腰椎前腕を正常な腰椎前腕に更に近づけるように矯正することができる。
【0117】
また更に、後窪み部11の深さ寸法Xは、4~13cmとすることとしたので、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dを、人体100の装着時に人体100の第5腰椎よりも下方に位置させることができる。
【0118】
また、後窪み部11は、V字状に形成され、V字状の相互に対向する傾斜線11aの角度αは、水平方向に対し15°~45°とすることとしたので、傾斜線11aが作用して前傾した骨盤を無理なく起こすことができる。
【0119】
更に、身頃部20は、伸縮可能な伸縮生地により形成され、伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含むこととしたので、更に腰部102を後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となる。
【0120】
更にまた、骨盤ベルト部30は、伸縮可能な伸縮生地とし、骨盤ベルト部30の伸縮方向は、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った方向を含み、前記方向は、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの伸縮方向と重畳する方向とすることとしたので、更に一層腰部102を後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となる。
【0121】
また更に、腰天部10の前部の中央部の上部に、下方に向かって窪む窪み部12を設けることとしたので、前部の窪み部12に応力を掛けながら腰天部10の後部において腰部102を更に後方の下方側に引っ張るように矯正することが可能となり、腰部102の矯正の効果を向上させることができる。
【0122】
また、腰天部10の後窪み部11の深さ寸法Xは、腰天部10の前窪み部12の深さ寸法Yよりも大きい寸法に設定することとしたので、腰部102の矯正を確実に行うことができる。
【0123】
更に、前窪み部12の深さ寸法Yは、0.1~1cmとすることとしたので、腰部102の矯正の効果を大きくすることができる。
【0124】
更にまた、前窪み部12は、V字状に形成され、V字状の対向する傾斜線12aの角度βは、水平方向に対し0.5°~5°とすることとしたので、腰部102の矯正の効果を更に大きくすることができる。
【0125】
また更に、腰天部10は、前部に設けられる前腰天部10A、左側部から後部にかけて設けられる左腰天部10B、右側部から後部にかけて設けられる右腰天部10Cを有し、前腰天部10Aは、少なくとも2枚の生地を下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前窪み部12を形成し、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10A´側を対向する生地に対し非接続とすることとしたので、装着時に前部の非接続の部分が体形に応じてずれることが可能となり、フィット感を向上させることができる。また、前部の非接続の部分により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる。
【0126】
また、左腰天部10Bは、生地を左側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けるとともに、右腰天部10Cは、生地を右側部から後部の中央に向かって下方に傾斜するように設けて、左腰天部10Bの端部10B´と右腰天部10Cの端部10C´を相互に交差するように前後に重ね合わせて後窪み部11を形成し、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10B´´,10C´´側を対向する生地に対し非接続とすることとしたので、装着時に後部の非接続の部分が体形に応じてずれることが可能となり、フィット感を向上させることができる。また、後部の非接続の部分により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる。
【0127】
更に、前部における非接続の部分の長さは、10~30cmとすることとしたので、フィット感および履き心地を確実に向上させることができる。
【0128】
更にまた、前部における非接続の部分は、前腰天部10Aの左右方向の全域に渡って形成されていることとしたので、フィット感および履き心地を一層向上させることができる。
【0129】
また更に、前部における非接続の部分の左右方向の長さの後部における非接続の部分の左右方向の長さに対する比は、5~20とすることとしたので、フィット感および履き心地を更に一層向上させることができる。
【0130】
また、身頃部20は、伸縮可能な伸縮生地を複数重ねて形成され、一の伸縮生地の伸縮方向を、後部の中央に向かって下方に傾斜する方向に沿った一つの方向とし、他の伸縮生地の伸縮方向を、相互に交差する二つの方向とする部分を含むこととしたので、一つの方向に伸縮する一の伸縮生地の伸縮力を大きくして更に一層腰部102を下方に引っ張るように矯正することが可能となるとともに、二つの方向に伸縮する他の伸縮生地により体形に応じて伸縮し易くなりフィット感も向上させることができる。また、二つの方向に伸縮する他の伸縮生地により過度の締め付けとなることを防止して履き心地を向上させることができる(伸縮方向を一つの方向とする1WAY生地では、伸縮力が複数の方向に分散することなく集中し、伸縮力が相対的に大きくなり、伸縮させるために相対的に大きな力を要する、一方、伸縮方向を二つの方向とする2WAY生地では、伸縮力が複数の方向に分散し、伸縮力が相対的に小さくなり、伸縮させるために相対的に小さな力で済む)。
【0131】
更に、脚部挿通口50は、脚部挿通部60と接続し、脚部挿通部60は、脚部挿通口50の下方側に延びて、幅寸法を2~10cmとした伸縮生地とすることとしたので、腰部102の矯正の際に脚部挿通口50にかかる力を脚部挿通部60に分散させることができる。これにより、脚部挿通口50における過度の締め付けを緩和し履き心地を向上させることができる。
【0132】
更に、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2の第1の側辺20b22,20c22は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の側辺20b12,20c12と第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の下辺20b14´,20c14´との間で略三角形を描いて前部側を略三角形状に欠損させるように第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1の第1の側辺20b12,20c12と反対向きに傾斜する傾斜線とし、欠損する略三角形状の前部側を第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1との非重ね合わせ領域として、この領域は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1のみを有する構成とすることとしたので、伸縮力を少なくして、欠損する略三角形状の前部側において下肢用衣料1を装着するユーザの動作を規制することを少なくすることができる。
【0133】
更にまた、第2の左身頃部20B2および第2の右身頃部20C2は、湾曲線20b25,20c25を有するとともに、湾曲線20b25,20c25は、人体100の臀部の下端と対応するように、かつ、左身頃部20Bおよび右身頃部20Cの後部の上部側を略円弧状に欠損させるように円弧状に湾曲する湾曲線20b25,20c25とし、欠損する略円弧形状の上部側を第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1との非重ね合わせ領域として、この領域は、第1の左身頃部20B1および第1の右身頃部20C1のみを有する構成とすることとしたので、伸縮力を少なくして、欠損する略円弧形状の上部側において下肢用衣料1を装着するユーザの臀部の動作を規制することを少なくすることができるとともに、湾曲線20b25,20c25によって臀部を持ち上げるように保持することができる(
図17)。
【0134】
更にまた、第1の左身頃部20B1の第2の側辺20b13と第1の右身頃部20C1の第2の側辺20c13との連結を、ゴム状の糸20Dで縫合して行うとともに、ゴム状の糸20Dの縫合位置と重なる位置に上下方向に伸縮可能な伸縮生地20Eを設けることとしたので、更に一層腰部102を下方に引っ張るように矯正することが可能となる。
【0135】
また、伸縮生地を、伸縮方向を一方向とする1WAY生地とする部位においては、伸縮力が複数の方向に分散することなく、伸縮力を向上させることができる。
【0136】
更に、本発明の下肢用衣料1を上記の実施形態の如く構成することで、
図18に示すように、数1に示す人体100の装着前における第1腰椎100Aの棘突起100A1の先端から第5腰椎100Eの棘突起100E1の先端を結ぶ曲線に近似される円弧形状の曲率半径R1に対する人体の装着後における第1腰椎100Aの棘突起100A1の先端から第5腰椎100Aの棘突起100E1の先端を結ぶ曲線に近似される円弧形状の曲率半径R2の比Rを1.3から2.5に増加させる構成とすることができる。これにより、前傾した骨盤を無理なく起こすことができる。
[数1]
R=R2/R1
【0137】
ここで、本発明は、上述した実施形態に限定されず特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0138】
例えば、上述した実施形態にあっては、前腰天部10Aは、2枚の折り返し生地10a1´´,10a2´´を相互に反対向きに下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前部の前窪み部12を形成することとしているが、2枚以上の折り返し生地を重ね合わせることとしても所要の効果を奏する。すなわち、前腰天部10Aは、少なくとも2枚の折り返し生地10a1´´,10a2´´を相互に反対向きに下方に傾斜させつつ相互に交差するように前後に重ね合わせることにより前部の前窪み部12を形成することとしても所要の効果を奏することができる。
【0139】
[比較例]
本発明の比較例を
図19および
図20に示す。すなわち、本発明の比較例は、
図19(a)および
図20(a)の本発明の下肢用衣料1と
図19(a)および
図20(a)の従来の下肢用衣料1の一例との比較を示している。
【0140】
つまり、
図19(a)および
図20(a)の本発明の下肢用衣料1は、
図19(a)および
図20(a)の従来の下肢用衣料1に対し、高さ(腰天部10の前窪み部12の下端部12cの上端縁部10A´の高さ方向の位置)が5cm高く、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dが3cm低することとしている。
【0141】
これにより、腰天部10の前部の上端縁部10A´が、人体100への装着時に人体100の第3腰椎よりも上方に位置し、後窪み部11の下端部11cの上端縁部11dが、人体100の装着時に人体100の第5腰椎よりも下方に位置し、従来の下肢用衣料1に対し矯正効果を向上させることができた(従来の下肢用衣料1においては、矯正効果の更なるアップの要請があった)。
【0142】
ただし、このように矯正効果を向上させた結果、人体100に対する締め付け感が大きくなり、フィット感や履き心地に影響を与える結果となった。
【0143】
このため、本発明の下肢用衣料1においては、後窪み部11および前窪み部12において、前後の重ね合わせ部分の上端縁部10A´,10B´,10C´側を対向する生地に対し非接続とした。これにより、装着時に非接続の部分が体形に応じてずれることが可能となり、フィット感や履き心地を向上させることができた。
【0144】
更に、本発明の下肢用衣料1においては、身頃部20およびクロッチ40において伸縮方向を相互に交差する二つの方向の2WAY生地をとすることとした。これにより、体形に応じて伸縮し易くなりフィット感や履き心地を更に向上させることができた。
【0145】
更にまた、本発明の下肢用衣料1においては、2~10cmの幅寸法の脚部挿通部60を設けることとし、脚部挿通部60は、伸縮生地とすることとした。これにより、脚部挿通口50における過度の締め付けを緩和し履き心地を向上させることができた(従来の下肢用衣料1においては、矯正効果の影響で脚部挿通口50の締め付け力が大きいとの指摘があった)。
【0146】
なお、本発明の下肢用衣料1をユーザが装着した状態で、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12c(
図19(a)の位置a)、後部の窪み部11の下端部11cと上下方向において同一位置となる前部の位置(
図19(a)の位置b)、腰天部10の後部における窪み部11の下端部11c(
図20(a)の位置b´)において、
図21に示すように、単位長さ伸ばした時に発生する力(バネ定数)を測定した。
【0147】
その結果、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12c(
図19(a)の位置a)の単位長さ伸ばした時に発生する力(バネ定数ka)は、0.233N/mm、後部の窪み部11の下端部11cと上下方向において同一位置となる前部の位置(
図19(a)の位置b)の単位長さ伸ばした時に発生する力(バネ定数kb)は、0.197N/mm、
後部の窪み部11の下端部11c(
図20(a)の位置b´)の単位長さ伸ばした時に発生する力(バネ定数kb’)は、0.273N/mmであった。また、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12cと上下方向において同一位置となる後部の位置(
図20(a)の位置a´)における単位長さ伸ばした時に発生する力ka’は当該同一位置において布が設けられておらず勿論0となる。
【0148】
すなわち、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12c(
図19(a)の位置a)における単位長さ伸ばした時に発生する力kaが、後部の窪み部11の下端部11cと上下方向において同一位置となる前部の位置(
図19(a)の位置b)における単位長さ伸ばした時に発生する力kbよりも大きく、かつ、後部の窪み部11の下端部11c(
図20(a)の位置b´)における単位長さ伸ばした時に発生する力kb’が、後部の窪み部11の下端部11cと上下方向において同一位置となる前部の位置(
図19(a)の位置b)における単位長さ伸ばした時に発生する力kbよりも大きく、更に、後部の窪み部11の下端部11c(
図20(a)の位置b´)における単位長さ伸ばした時に発生する力kb’が、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12c(
図19(a)の位置a)における単位長さ伸ばした時に発生する力kaよりも大きく、更にまた、腰天部10の前部における前窪み部12の下端部12c(
図19(a)の位置a)における単位長さ伸ばした時に発生する力kaが、前窪み部12の下端部12cと上下方向において同一位置となる後部の位置(
図20(a)の位置a´)における単位長さ伸ばした時に発生する力ka’よりも大きくなっており、これにより、前傾した骨盤を起こして正しい姿勢を維持し反り腰を解消することが可能となる。
【0149】
ここで、ka,kbは、本発明の下肢用衣料1をユーザが装着した状態において位置a,bにおいて所定の長さM1前方に引っ張ったときの位置a,bに発生する力B1から所定の長さM1を除して得ることができる。また、kb’は、本発明の下肢用衣料1をユーザが装着した状態において位置b’において所定の長さM2後方に引っ張ったときの位置b’に発生する力B2から所定の長さM2を除して得ることができる。
[数2]
ka,kb=B1/M1
kb’=B2/M2
【符号の説明】
【0150】
α:角度
β:角度
L1,L2:長さ
X:後窪み部11の上下方向の深さ寸法
Y:前窪み部11の上下方向の深さ寸法
1:下肢用衣料
10:腰天部
10A:前腰天部
10A´:重ね合わせ部分の上端縁部
10B:左腰天部
10B´´:重ね合わせ部分の上端縁部
10C:右腰天部
10C´´:重ね合わせ部分の上端縁部
10a1,10a2,10b,10c,10d:生地
10a1´,10a2´,10b´,10c´:折り返し部分
10a1´´,10a2´´,10b´´,10c´:折り返し生地
11:後窪み部
11a:傾斜線
11c:下端部
12:前窪み部
12a:傾斜線
12c:下端部
20:身頃部
20A:前身頃部
20A1:第1の前身頃部
20A2:第2の前身頃部
20A3:第3の前身頃部
20a1:上辺
20a2:左側辺
20a3:右側辺
20a4:下辺
20B:左身頃部
20B1:第1の左身頃部
20b11:上辺
20b12:第1の側辺
20b13:第2の側辺
20b14:下辺
20b14´:第1の下辺
20b14´´:第2の下辺
20b14´´´:第3の下辺
20B2:第2の左身頃部
20b21:上辺
20b22:第1の側辺
20b23:第2の側辺
20b24:下辺
20b24´´:第2の下辺
20b24´´´:第3の下辺
20b25:湾曲線
20C:右身頃部
20C1:第1の右身頃部
20c11:上辺
20c12:第1の側辺
20c13:第2の側辺
20c14:下辺
20c14´:第1の下辺
20c14´´:第2の下辺
20c14´´´:第3の下辺
20C2:第2の右身頃部
20c21:上辺
20c22:第1の側辺
20c23:第2の側辺
20c24:下辺
20c24´´:第2の下辺
20c24´´´:第3の下辺
20c25:湾曲線
20D:ゴム状の糸
20E:伸縮生地
30:骨盤ベルト部
30A:前骨盤ベルト部
30B:左骨盤ベルト部
30C:右骨盤ベルト部
40:クロッチ部
40a:前辺
40b:第1の側辺
40c:第2の側辺
40d、後辺
41:第1のクロッチ部
42:第2のクロッチ部
50:脚部挿通口
60:脚部挿通部
100:人体
100A:第1腰椎
100A´:椎間板
100A1:棘突起
100B:第2腰椎
100B´:椎間板
100B1:棘突起
100C:第3腰椎
100C´:椎間板
100C1:棘突起
100D:第4腰椎
100D´:椎間板
100D1:棘突起
100E:第5腰椎
100E´:椎間板
100E1:棘突起
100F:仙骨
100F´:椎間板
101:脚部
102:腰部