(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037163
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】リレー装置および少なくとも1つのリレー装置を備えた安全スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
G05B 9/02 20060101AFI20240311BHJP
H01H 47/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G05B9/02 E
H01H47/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143130
(22)【出願日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】10 2022 122 527.5
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】バウクネヒト,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ロッツィンガー,フロリアン
【テーマコード(参考)】
5G057
5H209
【Fターム(参考)】
5G057AA02
5G057AA06
5G057AA20
5G057BB07
5G057BC04
5G057XX11
5H209AA07
5H209FF05
5H209GG20
5H209HH04
5H209JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトでコスト効率が高く、すべてのスイッチング経路が安全であるリレー装置および安全スイッチ装置を提供する。
【解決手段】リレー装置(1)に関し、入力端子(2.1~2.4)と、出力端子(3.1~3.4)と、第1の常開接点群を形成し、第1の共通アーマチュア(5)によって開位置から閉位置へ、またはその逆へ移動可能な、n個(n≧2)の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点(9.1,9.3,9.5,9.7)を有する第1のリレー(4)と、共通アーマチュア(8)によって開位置から閉位置へ、またその逆へ移動可能な、m個(m<n)の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点(11.1,11.2)を有する第2のリレー(7)と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子(2.1~2.4)と、
出力端子(3.1~3.4)と、
第1の常開接点群を形成し、第1の共通アーマチュア(5)によって開位置から閉位置へ、またはその逆へ移動可能な、n個(n≧2)の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点(9.1,9.3,9.5,9.7)を有する第1のリレー(4)と、
共通アーマチュア(8)によって開位置から閉位置へ、またその逆へ移動可能な、m個(m<n)の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点(11.1,11.2)を有する第2のリレー(7)と、
を含み、
第1のリレー(4)と第2のリレー(7)とが、入力端子(2.1~2.4)と出力端子(3.1~3.4)との間に互いに電気的に直列に配設され、よって、リレー装置(1)は複数の並列スイッチング経路(S1~S4)を有し、第2のリレー(7)のm個の常開接点(11.1,11.2)に対応する数のスイッチング経路(S3,S4)において、第1のリレー(4)の1つの常開接点(9.5,9.7)と第2のリレー(7)の1つの常開接点(11.1,11.2)とが電気的に直列に配設されたリレー装置(1)において、Anspr1第1のリレー(4)は、ダブルアーマチュアリレーとして実施され、第1の常開接点群の常開接点(9.1,9.3,9.5,9.7)の数に対応する数の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点(9.2,9.4,9.6,9.8)を有し、該常開接点(9.2,9.4,9.6,9.8)は、第2の常開接点群を形成し、第2の共通アーマチュア(6)によって開位置から閉位置へ、またはその逆に移動することができ、第1の常開接点群の常開接点(9.1,9.3,9.5,9.7)と第2の常開接点群の常開接点(9.2,9.4,9.6,9.8)とは電気的に対をなして直列に配設されていることを特徴とする、リレー装置(1)。
【請求項2】
リレー装置(1)は、第1のリレー(4)の第1のアーマチュア(5)に電磁気的に結合される第1のリレーコイルと、第1のリレー(4)の第2のアーマチュア(6)に電磁気的に結合される第2のリレーコイルとを有することを特徴とする、請求項1に記載のリレー装置(1)。
【請求項3】
リレー装置(1)は、第1のリレー(4)の第1のアーマチュア(5)および第1のリレー(4)の第2のアーマチュア(6)に電磁気的に結合されるリレーコイルを有することを特徴とする、請求項1に記載のリレー装置(1)。
【請求項4】
リレー装置(1)は、出力端子の数(3.1~3.4)よりも小さい数の入力端子(2.1~2.4)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のリレー装置(1)。
【請求項5】
第1のリレー(4)が、第1のリレー(4)の第1の常開接点群の常開接点(9.1,9.3,9.5,9.7)のスイッチ位置を検出するよう構成された第1の強制誘導される常閉接点(10.1)と、第2の常開接点群の常開接点(9.2,9.4,9.6,9.8)のスイッチ位置を検出するよう構成された第2の強制誘導される常閉接点(10.2)とを備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のリレー装置(1)。
【請求項6】
第1のリレー(4)の常閉接点(10.1,10.2)が電気的に直列に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のリレー装置(1)。
【請求項7】
第2のリレー(7)が、第2のリレー(7)の常開接点(11.1,11.2)のスイッチ位置を検出するよう構成された、強制誘導される常閉接点(12.1)を備えていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のリレー装置(1)。
【請求項8】
複数の電気負荷または電気消費体をフェイルセーフ方式でスイッチオフするための安全スイッチ装置(100)であって、
少なくとも1つの信号装置(108,108’,108”)から入力信号(111)を受信し、フェイルセーフ方式で評価するように設定された評価・制御装置(20)と、
電気負荷または電気消費体を接続するための複数の出力端子(3.1~3.4)を備えた少なくとも1つのリレー装置(1)であって、評価・制御装置(20)によって制御可能なリレー装置(1)と、を含む安全スイッチ装置(100)において、
リレー装置(1)が請求項1~7のいずれか1項に従って実施され、評価・制御装置(20)が、第1のリレー(4)および第2のリレー(7)を互いに時間的にずらして作動させるように設定されていることを特徴とする、安全スイッチ装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるリレー装置に関し、さらに本発明は、請求項8の上位概念に従った安全スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リレー装置は、様々な実施形態において先行技術から既に知られている。このようなリレー装置の応用分野の1つは、特に、安全スイッチ装置であり、これによって、リレー装置に接続された少なくとも1つの電気負荷またはリレー装置に接続された電気消費体をフェイルセーフ方式でスイッチオフすることができる。このような安全スイッチ装置は典型的には、運転中に人間の身体や生命に危険を及ぼす可能性のある自動化技術設備をフェイルセーフ方式で停止させるか、さもなければ非危険設備状態に変換するために使用される。ここでいうフェイルセーフとは、安全スイッチ装置を含む設備の安全関連構成要素に、たとえば構成要素の故障またはケーブルの損傷などの障害が発生しても、危険な設備のスイッチが確実に切れることを意味する。したがって、安全スイッチ装置には特別な要求事項があり、これらの要求事項は、特にISO13849、IEC61508などの機械安全に関する関連規格で定義されている。これらの規格は、危険度に応じて異なる要件を定義しているので、本発明の意味における安全スイッチ装置は、電気的に作動する機械が安全にスイッチオフされるときに、IEC61508によるSIL3および/またはISO13849によるPLeの意味での単一故障安全(ワン・フォールト・セキュリティー)を保証する装置を主に意図している。
【0003】
典型的なアプリケーションには、非常停止ボタンの作動または安全ゲートの開放に応答して自動機械を停止させることが含まれる。機能的な観点からは、非常停止ボタンおよび安全ゲートは、安全リレーによって信号が処理され評価される信号装置である。他の信号装置は、たとえば、ライトバリア、ライトグリッド、およびそのようなもの、または速度、電流、電圧などのプロセス変数を、指定された制限値に準拠しているかどうかを監視する監視回路である。
【0004】
安全スイッチ装置は、安全スイッチ装置から見て入力信号を形成する信号装置によって生成された信号をフェイルセーフ方式で評価し、これに応じて、少なくとも1つの電気負荷または電気消費体をフェイルセーフ方式でスイッチオフするためのスイッチオフ信号を生成するために使用される。したがって、一般的な安全スイッチ装置は、マルチチャネル冗長性を有して形成され、また、必要な耐故障性を確保するために、定期的な内部のおよび/または外部の機能テストを実施する。多くの国では、本発明の意味における安全スイッチ装置は、テュフやドイツの使用者責任保険協会などの認可された試験機関による対応する認証が必要であり、この認証は安全関連の設計原則に準拠していることを証明する。
【0005】
DE102004033359A1は、電気負荷、特に電気駆動機械のフェイルセーフ切断装置を開示している。この装置は、冒頭で述べたタイプの安全スイッチ装置とリレー装置とを備えている。安全スイッチ装置は、安全スイッチ装置から空間的に離れた位置に配設された2つの外部スイッチ素子を、導電状態から遮断状態(およびその逆)に時間遅れで切り替えるように形成されている。この目的のため、リレー装置は、第1のリレーを備え、該第1のリレーは、強制誘導される常開接点を、n個(n≧2)有し、それら常開接点は、互いに並列に配設され、共通のアーマチュアによって開位置から閉位置(およびその逆)に移動可能である。さらに、リレー装置は、第2のリレーを備え、該第2のリレーは、強制誘導される常開接点を、m個(m<n)有し、それら常開接点は、共通のアーマチュアによって開位置から閉位置(およびその逆)に移動可能である。第2のリレーの常開接点は、第1のリレーの常開接点のm個と電気的に直列に配設されている。このようにして、リレー装置は、たとえば、少なくとも2つの外部電気スイッチ素子(電気負荷)を導電(閉)状態から遮断(開)状態に互いに時間的にずらして切り替えることができるように、互いに時間的にずらして切替えることができる複数の並列スイッチング経路を提供する。ここで紹介するリレー装置によって、機械または技術設備の2つの異なる部分を時間遅延で切り替えることができる。たとえば、制御装置を最初にオンにし、ロボットを時間遅れで作動させることができる。
【0006】
従来技術から知られているこのリレー装置およびそれを備えた安全スイッチ装置は、1つのリレーしか備えていないスイッチング経路が安全でないという欠点を有する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、コンパクトでコスト効率が高く、すべてのスイッチング経路が安全である、冒頭で述べたタイプのリレー装置および安全スイッチ装置を提供することを課題としている。
【0008】
この問題に対する解決策は、請求項1の特徴部分の特徴を有する冒頭で述べたタイプのリレー装置と、請求項8の特徴部分の特徴を有するタイプの安全スイッチ装置とによって提供される。従属請求項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。
【0009】
本発明に従ったリレー装置は、第1のリレーがダブルアーマチュアリレーとして形成され、第1の常開接点群の常開接点の数に対応する数の強制誘導される互いに並列に配設された常開接点を有し、これらの常開接点は第2の常開接点群を形成し、第2の共通のアーマチュアによって開位置から閉位置へ、またはその逆に移動することができ、第1の常開接点群の常開接点と第2の常開接点群の常開接点とは電気的に対をなして直列に配設されていることを特徴とする。
【0010】
上記の特徴を有するダブルアーマチュアリレーとして第1のリレーを形成することにより、とりわけ安全上の利点が得られる。これは、ダブルアーマチュアリレーとして形成された第1のリレーのすべての可動部分、特に常開接点が二重に形成されているからである。この冗長性により、第1のリレーの動作信頼性は、従来技術に比べて大幅に向上する。さらに、ダブルアーマチュアリレーは、電気的に直列に配設された2つの別々のリレーよりも少ないスペースで済み、費用対効果も高くなる。ダブルアーマチュアリレーでは、一緒に配線する必要がある電気スイッチ接点が少ないので、外部配線工数が少なくなる。さらに、ダブルアーマチュアリレーは、互いに電気的に直列に配設された2つのリレーの技術的機能が1つの部品で実現されるので、設置スペースが少なくて済む。第1のリレーと第2のリレーとは、リレー装置に接続された複数の電気負荷または電気消費体のスイッチオン遅延とスイッチオフ遅延とを簡単な方法で実現できるように、有利な方法で制御することができる。
【0011】
有利な実施形態では、リレー装置が、第1のリレーの第1のアーマチュアに電磁気的に結合される第1のリレーコイルと、第1のリレーの第2のアーマチュアに電磁気的に結合される第2のリレーコイルとを有することが提案される。したがって、この実施形態では、リレーコイルがダブルアーマチュアリレーの2つのアーマチュアのそれぞれに割り当てられ、電磁気的結合により、関連するアーマチュアのスライド運動がそれぞれの場合に開始されることができる。
【0012】
特に有利な実施形態では、リレー装置が、第1のリレーの第1のアーマチュアおよび第1のリレーの第2のアーマチュアに電磁気的に結合されるリレーコイルを有することが提供され得る。この実施形態では、ダブルアーマチュアリレーの両方のアーマチュアに割り当てられる単一のリレーコイルのみが設けられるので、追加のリレーコイルが不要となる結果、設置スペースの利点とコストとの利点の両方が得られる。従って、リレー装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
一実施形態では、リレー装置が、出力端子の数よりも少ない数の入力端子を有することが可能である。この実施形態では、少なくとも1つの入力端子が少なくとも2つの出力端子に分かれる。
【0014】
好ましい実施形態では、第1のリレーが、第1の常開接点群の常開接点のスイッチ位置を検出するように形成された第1の強制誘導される常閉接点と、第2の常開接点群の常開接点のスイッチ位置を検出するように形成された第2の強制誘導される常閉接点とを有することが提案される。これにより、第1のリレーの常開接点のスイッチ位置の確認が非常に容易になり、常開接点の固着などの可能性のある故障の検出が非常に容易になる。
【0015】
好ましくは、第1のリレーの常閉接点は電気的に直列に配設することができる。
【0016】
さらに有利な実施形態では、第2のリレーが、第2のリレーの常開接点のスイッチ位置を検出するように形成された強制誘導される常閉接点を含むことが可能である。これにより、第2のリレーの常開接点のスイッチ位置を確認することが非常に容易になり、常開接点の固着などの可能性のある故障を検出することができる。
【0017】
本発明に従った安全スイッチ装置は、請求項8に従えば、リレー装置が請求項1から7の1項に従って形成されており、評価・制御装置が、第1のリレーと第2のリレーとを互いに相対的に時間的にずらして作動させるように設定されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、複数の電気負荷に対してスイッチオンおよびスイッチオフの遅延を提供し、第1のリレーがダブルアーマチュアリレーとして形成されている本発明に従ったリレー装置の使用により、従来の技術に比べて改善された安全特性を有する安全スイッチ装置が提供される。
【0019】
ここで、本発明に従ったリレー装置の適用分野は、本発明に従った安全スイッチ装置に限定されないことが強調しておく。本発明に従ったリレー装置は、技術的観点から見て、複数の電気負荷または電気消費体のためにスイッチオン遅延および/またはスイッチオフ遅延を提供する要件があれば、どこでも使用することができる。
【0020】
ここで紹介するリレー装置を使用すれば、機械または技術設備の2つの異なる部分を時間的にずらして切り替えることも可能である。たとえば、制御装置を最初にオンにし、ロボットを時間遅れで作動させることができる。制御装置とロボットとは、本発明の意味において2つの電気消費体となる。
【0021】
本発明の実施形態のさらなる特徴および利点を、図面を参照して以下に説明する。なお、同一または類似の部品、および同一または類似の機能を有する部品には同一の参照符号を付している。示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に従って形成された安全スイッチ装置を備えた技術設備の概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に従って形成されたリレー装置を備えた安全スイッチ装置である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に従って形成されたリレー装置を備えた安全スイッチ装置である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に従った安全スイッチ装置100および本発明に従ったリレー装置1は、以下に説明するすべての特徴を有する必要はない。本発明に従った安全スイッチ装置100および本発明に従ったリレー装置1が、以下に説明する実施形態の個々の特徴のみを有することも可能である。
【0024】
図1は、技術設備101を示し、この実施例では自動化ロボット102を含む。動作中、ロボット102は、ロボット102の危険領域にいる人を危険にさらす可能性のある動作を行う。ロボット102の安全な動作を保証するために、技術設備101は安全スイッチ装置100を備えている。安全スイッチ装置100は、一般に、フェイルセーフ方式で複数の電気負荷または電気消費体のスイッチを切るように形成されている。技術設備101で使用される電気負荷は、たとえば、電気駆動装置、接触器103,104、または弁、特に電磁弁である。
【0025】
本実施例では、安全スイッチ装置100は、出力側で少なくとも2つの外部スイッチ素子を、すなわち、上記で定義したような電気負荷を、制御できるように形成されている。本実施例では、外部スイッチ素子はコンタクタ103,104として形成されている。コンタクタ103,104はそれぞれ複数のスイッチ接点105,106を有し、これらの接点は好ましくは強制誘導される。つまり、個々のコンタクタ103,104のスイッチ接点105,106は、それぞれが同じスイッチ位置(開または閉)になるように強制されるように、互いに機械的に結合されている。ここに示す実施例では、第1の接触子103のスイッチ接点105は、ロボット102の電力供給経路107において、第2の接触子104のスイッチ接点106と直列に配設されている。
【0026】
安全スイッチ装置100は、入力側で少なくとも1つの信号装置108に接続されており、この信号装置108は、
図1に示す実施例では安全ゲートスイッチとして形成されている。安全ゲートスイッチ108は、安全ゲート110に取り付けられた作動手段109と相互作用する。安全ゲート110が閉じられると、作動手段109は安全ゲートスイッチ108の空間的近接範囲に位置する。安全ゲートスイッチ108は、たとえば、誘導結合、容量結合、磁気結合、機械的結合、またはその他の結合によってこれを検出することができる。そして、安全ゲートスイッチ108は、安全ゲート110の閉鎖状態を表す対応する入力信号111を安全スイッチ装置100に供給する。
【0027】
一方、安全ゲート110が開いている場合、作動手段109はもはや安全ゲートスイッチ108の近傍にはなく、安全ゲートスイッチ108は、現在開いている安全ゲート110に従った安全要求を表す入力信号111を生成する。セーフティリレー100がこの安全要求を認識するとすぐに、または内部機能テストにより装置エラーが検出されるとすぐに、セーフティリレー100はマルチチャンネルスイッチオフ信号112,113を使用して2つのコンタクタ103,104をオフにする。その結果、ロボット102の電力供給経路107のスイッチ接点105,106が脱落し、開放される。これにより、ロボット102がスイッチオフされる。
【0028】
安全スイッチ装置100は、本実施例ではリレーベースであり、接点ベースの無電位出力を有する。
図2および
図3は、安全スイッチ装置100の2つの実施例を示す。2つの安全スイッチ装置100の中心アセンブリはリレー装置1であり、2つの実施例では異なって形成されている。
【0029】
図2を参照すると、安全スイッチ装置100は、リレー装置1と、安全スイッチ装置100に接続された信号装置108,108’,108”からの1つまたは複数の入力信号を受信して評価し、リレー装置1を制御するための評価・制御装置20とを含む。
【0030】
図1に例として示した安全ゲートスイッチ108に加えて、信号装置108,108’,108”は、たとえば、緊急停止ボタン108’、ライトバリアまたはライトグリッド108”、両手ボタン、イネーブルボタン、あるいは速度、電圧、電流などの監視装置からの信号とすることができる。入力信号は、評価・制御装置20に供給されるが、この装置は、耐故障性を高めるために、好ましくはマルチチャンネル冗長性で形成される。これは
図2において、評価・制御装置20の斜めの分割線によって象徴されて記されている。評価・制御装置20は、たとえば、ディスクリート部品で構成された回路とすることができる。あるいは、評価・制御装置20は、マイクロコントローラおよび/または他の高集積部品を用いて実現することもできる。
【0031】
本実施例では、
図2に従った安全開閉装置100のリレー装置1は、合計4つの入力端子2.1~2.4と、合計4つの出力端子3.1~3.4とを含んでいるので、合計4つの並列開閉路S1~S4が設けられている。また、リレー装置1は、2つのアーマチュア5,6を有するダブルアーマチュアリレーとして形成された第1の出力側リレー4と、アーマチュア8を有する第2の出力側リレー7とを含む。2つのリレー4,7のスイッチ位置は、評価・制御装置20によって決定される。
【0032】
2つのリレー4,7の各々は、強制誘導される複数の常開接点9.1~9.8,11.1,11.2および常閉接点10.1,10.2,12.1を有する。4つのスイッチング経路S1~S4において、第1のリレー4の常開接点9.1~9.8および第2のリレー4,7の常閉接点11.1,11.2の一部は、以下に詳述する方法で、入力端子2.1~2.4と出力端子3.1~3.4との間に互いに電気的に直列に配設されている。
【0033】
本実施例では、評価・制御ユニット20は、少なくともコンタクタ103,104によって形成される電気負荷がスイッチオフされるときに、互いに対して時間オフセットをもってリレー4,7を制御することができるように設計されているので、スイッチオフ遅延が利用可能である。好ましくは、コンタクタ103,104はまた、互いに対して時間遅延を伴って再びスイッチオンされ、したがってスイッチオン遅延も提供される。
【0034】
この実施例では、第1のリレー4は、強制誘導される合計8個の常開接点9.1~9.8と、強制誘導される2個の常閉接点10.1,10.2とを有する。
図2に従った図に見られるように、常開接点9.1~9.8はそれぞれ電気的に直列に対になって配設されている。2つの常閉接点10.1,10.2も電気的に直列に配設されている。このようにして、4つのスイッチング経路S1~S4のそれぞれにおける常開接点の対のそれぞれは、安全性の観点から特に有利な、第1のリレー4の関連する常開接点9.1~9.8の冗長性をもたらす。
【0035】
第1のリレー4の2つのアーマチュア5,6の動きは、ここでは明示的に示されていない共通のリレーコイルによって開始することができる。用途によっては、2つのアーマチュア5,6のそれぞれに別個のリレーコイルを割り当てることもできる。
【0036】
第1のアーマチュア5は第1の常開接点群を押しており、ここに示す実施例では常開接点9.1,9.3,9.5,9.7および常閉接点10.1から構成されている。第2のアーマチュア6は第2の常開接点群を押し、ここに示す例では常開接点9.2,9.4,9.6,9.8と常閉接点10.2とから構成されている。
【0037】
第1のリレー4と電気的に直列に配設された第2のリレー7は、強制誘導される2つの常開接点11.1,11.2と、アーマチュア8によって押される常閉接点12.1とを有する。第2のリレー7のアーマチュア8の動きは、これも明示的に図示されていないリレーコイルによって開始される。
【0038】
既に上述したように、本実施例では、リレー装置1は、合計4つの並列スイッチング経路S1~S4を提供する。
【0039】
第1のスイッチング経路S1は、第1の入力端子2.1、電気的に直列に配設された第1のリレー4の2つの常開接点9.1,9.2、および第1の出力端子3.1によって形成される。第2のスイッチング経路S2は、第2の入力端子3.2,電気的に直列に配設された第1のリレー4の2つの常開接点9.3,9.4、および第2の出力端子3.2によって形成される。第3のスイッチング経路S3は、第3の入力端子2.3、電気的に直列に配設された第1のリレー4の2つの常開接点9.5,9.6、第2のリレー7の常開接点11.1、および第3の出力端子3.3によって形成される。第4のスイッチング経路S4は、第4の入力端子2.4、電気的に直列に配設された第1のリレー4の2つの常開接点9.7,9.8、第2のリレー7の常開接点11.2、および第4の出力端子3.4によって形成される。
【0040】
リレー装置1の入力端子2.1~2.4には、2つのコンタクタ103,104の動作に必要な動作電圧UBが印加される。たとえば、動作電圧UB=24Vを入力端子2.1~2.4に印加することができる。出力側では、第1のコンタクタ103が第1の出力端子3.1に接続され、したがってセーフティリレー100のリレー装置1の第1のスイッチング経路S1に接続される。第2のコンタクタ104は、第3の出力端子3.3に接続され、リレー装置1の第3のスイッチング経路S3に接続されている。
【0041】
この実施例では、2つのリレー4,7が時間をずらして作動する可能性があり、コンタクタ103,104が接続されている対応する出力端子3.1,3.3の出力が別々にされるので、コンタクタ103,104のスイッチ接点105,106も、スイッチオフ時に互いに時間的にずらして開かれる。
【0042】
2つのリレー4,7の追加的に設けられた常閉接点10.1,10.2,12.1は、有利には、第1のリレー4の常開接点9.1~9.8と常開接点11のそれぞれのスイッチ位置とを別々に監視することを可能にする。ポジティブガイダンスにより、リレー4,7の常閉接点10.1,10.2,12.1は、それぞれのリレー4,7の常開接点9.1~9.8,11.1,11.2が閉じているときに開かれ、その逆も同様である。2つのリレー4,7の常開接点9.1~9.8,11.1,11.2のうちの1つの固着などの故障は、関連する常閉接点10.1,10.2,12がそのスイッチ位置を変えないので、このように容易に認識することができる。この動作は、たとえば、関連する常閉接点10.1,10.2,12.1の入力端子および出力端子を安全スイッチ装置100の評価および制御ユニット20に接続することにより、評価および制御ユニット20によって非常に簡単に評価することができる。
【0043】
安全スイッチ装置100のスイッチ挙動は、それに接続されたコンタクタ103,104のスイッチ挙動に直接的な影響を及ぼすが、以下により詳細に説明する。技術設備100の安全ゲート110は、第1の状態では閉じており、第2の状態では開いていると仮定すべきである。
【0044】
2つの状態のそれぞれにおいて、対応する入力信号111が信号装置108によって生成され、安全スイッチ装置100に送信される。評価・制御装置20により、入力信号111はフェイルセーフ方式で処理・分析され、2つのリレー4,7がそれに応じて作動できるようになる。
【0045】
安全扉110が閉じていることを表す第1の状態では、入力信号111は第1の(アクティブな)電圧状態U1(たとえばU1>0V)に変化する。安全ゲート110がユーザによって開かれた場合(第2の状態)、および/または安全スイッチ装置100と信号送信機108との間の信号連鎖に欠陥がある場合、入力信号111は、第1の電圧状態U1とは異なる第2の電圧状態U2に変化する(たとえばU2=0V)。
【0046】
安全スイッチ装置100は、評価・制御装置20によってそれ自体既知の方法で入力信号111をフェイルセーフ方式で評価し、その関数としてコンタクタ103,104のための2つの冗長で時間的にずらされたスイッチオフ信号112,113を生成するように設定されている。この場合、第1のコンタクタ103のための第1のスイッチオフ信号112は、第2のコンタクタ104のためのスイッチオフ信号113に対して時間的にずれて起動される。逆に、コンタクタ103,104の対応するスイッチオン信号112’,113’も、スイッチオンプロセスの間、互いに時間的にずれて起動される。これについては以下で詳しく説明する。
【0047】
スイッチオン遅延のために、ダブルアーマチュアリレーとして形成された第1のリレー4が最初に作動される。これは、第1のリレー4の強制誘導される常開接点9.1~9.8が、第1のアーマチュア5と第2のアーマチュア6とによって閉位置に移されることを意味する。その結果、第1のスイッチング経路S1および第2のスイッチング経路S2は閉じられ、一方、第3のスイッチング経路S3および第4のスイッチング経路S4は開いたままである。これにより、第1のスイッチング経路S1に接続された第1の接触子103に対してスイッチオン信号112’(U=UB)が生成される。第1のコンタクタ103には動作電圧UBが供給され、関連するスイッチ接点105が閉じられる。
【0048】
プリセットまたはプリセット可能なスイッチオン遅延時間が経過すると、第2のリレー7が作動する。これは、第2のリレー7の強制誘導される常開接点10.1,10.2が、関連するアーマチュア8によって閉位置に移されることを意味する。その結果、第3のスイッチング経路S3および第4のスイッチング経路S4も閉じられる。これにより、第3のスイッチング経路S2に接続された第2の接触器104に対してスイッチオン信号113’(U=UB)が生成される。第2のコンタクタ104には動作電圧UBが供給され、関連するスイッチ接点106も閉じられる。
【0049】
このようにして、ロボット102の電力供給経路107にあるコンタクタ103,104のすべてのスイッチ接点105,106が閉じられた後、ロボット102には電力が供給されるので、ロボット102も起動することができる。
【0050】
スイッチオフ遅延を提供するために、第2リレー7が最初に非作動化される。第2のリレー7の強制誘導される常開接点10.1,10.2が開かれる。その結果、第3のスイッチング経路S3および第4のスイッチング経路S4が遮断され、第2のコンタクタ104に対してスイッチオフ信号113(特にU=0V)が生成され、これによりロボット102の電力供給経路107の関連するスイッチ接点106が開放される。これにより、ロボット102への電力供給が遮断され、ロボット102は動作不能となる。プリセットまたはプリセット可能なスイッチオフ遅延時間が経過した後、第1のリレー4の常開接点9.1~9.8も開かれる。これにより、第1のスイッチング経路S1と第2のスイッチング経路S2とが遮断され、第1のコンタクタ103にスイッチオフ信号112(特にU=0V)が発生し、ロボット102の電源経路107の関連するスイッチ接点105も開かれる。
【0051】
障害が発生した場合、特に常開接点11.1,11.2のうちの1つが動かなくなった場合、第2のリレー7がもはや切替できない場合、これは第2のリレー7の常閉接点12.1によって認識される。有利な態様では、安全スイッチ装置100は、このような故障が発生すると第1のリレー4がオフになるように形成されている。
【0052】
以下、
図3を参照して、リレー装置1を備えた安全スイッチ装置100の第2実施例についてより詳細に説明する。なお、基本的な構成および動作態様は第1の実施の形態例と同様であるので、以下では相違点のみを説明する。
【0053】
この実施例では、安全スイッチ装置100のリレー装置1は、合計3つの入力端子2.1~2.3と、4つの出力端子3.1~3.4とを含む。
図3に見られるように、第2のリレー7の2つの並列常開接点11.1,11.2は、互いに電気的に直列に配設された2つの常開接点9.5,9.6を共有しており、したがって第3の入力端子2も共有している。第2のリレー7の2つの常開接点11.1,11.2は並列回路を形成しているので、3つの入力端子2.1~2.3と4つの出力端子3.1~3.4との間には、再び合計4つの並列スイッチング経路S1~S4が存在する。第3のスイッチング経路S3と第4のスイッチング経路S4とは、第3の入力端子2.3を共通ルートとして共有している。
【0054】
両実施形態における第1のリレー4がダブルアーマチュアリレーとして形成されていることにより、とりわけ安全上の利点がもたらされる。なぜなら、ダブルアーマチュアリレーとして形成された第1のリレー4のすべての可動部が二重化されているからである。この二重化により、第一リレー4、ひいてはセーフティリレー100全体の動作信頼性が大幅に向上する。第1のリレー4が、第1のスイッチング経路S1に単一の常開接点、第2のスイッチング経路S2に単一の常開接点を有する「単一」リレーとして形成されていた場合、第1のスイッチング経路S1および第2のスイッチング経路S2は安全ではない。さらに、ダブルアーマチュアリレーは、電気的に直列に配設された2つの別個のリレーよりも小さなスペースしか必要とせず、ダブルアーマチュアリレーのスイッチ機能も実現することができる。ダブルアーマチュアリレーでは、一緒に配線する必要がある電気スイッチ接点が少ないので、外部配線工数が少なくなる。さらに、ダブルアーマチュアリレーでは、互いに電気的に直列に配設された2つのリレーの技術的機能が1つの部品で実現されるので、設置スペースが少なくて済む。第1のリレー4が2つのアーマチュア5,6との電磁相互作用のために単一のリレーコイルを有するだけであれば、設置スペースの利点はより大きくなる。
【0055】
ここに示す安全スイッチ装置100により、冗長外部コンタクタ103,104を互いに対して時間遅れをもって開くことにより、ロボット102の安全関連のシャットダウン中に追加のフォールトトレランスが達成される。これにより、コンタクタ103,104が同時に故障する確率が減少し、耐故障性が大幅に向上する。
【0056】
ここで、
図2および
図3に示すリレー装置1の適用分野は、明示的に示した安全スイッチ装置100に限定されないことを強調しておく。リレー装置1は、電気負荷または電気消費体にスイッチオン遅延および/またはスイッチオフ遅延を提供する技術的要件があれば、どこでも使用することができる。ここに示したリレー装置1を使用すると、電気負荷または電気消費体を形成する機械または技術設備の2つの異なる部分を時間的にずらして切り替えることも可能である。たとえば、制御装置を最初にオンにし、次にロボットを時間的にずらして作動させることができる。
【外国語明細書】