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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003717
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240105BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103066
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】田川 芳生
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 謙太
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 健太
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA06
5E051BB05
5E087EE14
5E087FF03
5E087FF06
5E087GG06
5E087LL02
5E087LL12
5E087LL14
5E087MM02
5E087RR04
5E087RR12
5E087RR25
5E087RR47
(57)【要約】
【課題】防水性の良好なコネクタを提供する。
【解決手段】開口部を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容される端子と、前記開口部を閉じる蓋体と、前記蓋体に閉じられた前記開口部を前記ハウジングの外方側から覆う被覆材と、を備え、前記端子は、前記蓋体及び前記被覆材を貫通して前記ハウジングの外方に延びる、コネクタ。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容される端子と、
前記開口部を閉じる蓋体と、
前記蓋体に閉じられた前記開口部を前記ハウジングの外方側から覆う被覆材と、を備え、
前記端子は、前記蓋体及び前記被覆材を貫通して前記ハウジングの外方に延びる、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは第2開口部を有し、
前記端子は、第2開口部から前記ハウジングの外方に臨む、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記蓋体は、弾性体であり、自身の弾性力により側周部が前記開口部の内周部に押し付けられる、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記蓋体は、前記ハウジングの外方に臨む面に凹部を有する、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記蓋体は、前記ハウジングの内方に臨む面に凹部を有する、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記蓋体は、弾性体であり、前記端子が貫通する貫通部を有し、
前記貫通部は、長さ方向の一部で内面が前記端子の外面と弾性的に接触し、長さ方向の他部では内面が前記端子の外面と非接触である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
複数の前記端子と、複数の前記蓋体と、備え、
前記ハウジングは、複数の前記開口部を有し、
前記被覆材は、複数の前記開口部を覆う、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
第1及び第2開口部を有するハウジングの前記第1開口部から端子を前記ハウジング内に挿入し、前記端子が前記第2開口部から前記ハウジング外に臨み、かつ前記端子が前記第1開口部から突出した状態とし、
袋穴を有する弾性体を、前記第1開口部を閉じるように組み付け、前記端子に前記袋穴を突き破らせ、
前記弾性体に閉じられた前記第1開口部を前記ハウジングの外方側から覆うように被覆材を充填する、コネクタの製造方法。
【請求項9】
前記袋穴の底部周囲は、湾曲形状である、請求項8に記載のコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びコネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、コネクタに関し、インサート成形によらず端子をハウジングに挿入保持した構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-305659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インサート成形によらず端子をハウジングに挿入保持した構造では、端子をハウジングに挿入する開口部と、相手方端子との接続のために端子をハウジングの外方に臨ませる開口部と、が必要であり、また相手方端子との接続時に端子が可動するための空間が必要なことから、端子周りに空間が多く、防水性の確保が困難であった。
【0005】
本発明の目的の一例は、防水性の良好なコネクタを提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容される端子と、
前記開口部を閉じる蓋体と、
前記蓋体に閉じられた前記開口部を前記ハウジングの外方側から覆う被覆材と、を備え、
前記端子は、前記蓋体及び前記被覆材を貫通して前記ハウジングの外方に延びる、コネクタである。
【0007】
本発明の一態様は、
第1及び第2開口部を有するハウジングの前記第1開口部から端子を前記ハウジング内に挿入し、前記端子が前記第2開口部から前記ハウジング外に臨み、かつ前記端子が前記第1開口部から突出した状態とし、
袋穴を有する弾性体を、前記第1開口部を閉じるように組み付け、前記端子に前記袋穴を突き破らせ、
前記弾性体に閉じられた前記第1開口部を前記ハウジングの外方側から覆うように被覆材を充填する、コネクタの製造方法である。
【0008】
本発明の上記態様によれば、防水性の良好なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタ1を前方右上から見た斜視図である。
図2】コネクタ1を後方右下から見た斜視図である。
図3】コネクタ1を前方右下から見た斜視図であって、シーリング材70を省略した斜視図である。
図4】コネクタ1の正面図である。
図5】コネクタ1の右側面図である。
図6図4のVI-VI断面図であって、コネクタ1の実装先の基板90を仮想線で示した断面図である。
図7図5のVII-VII断面図であって、蓋体50及びシーリング材70を省略した断面図である。
図8図5のVIII-VIII断面図であって、蓋体50及びシーリング材70を省略した断面図である。
図9】シーリング材70を省略したコネクタ1の一部分解斜視図であって、後方左下から見た一部分解斜視図である。
図10】シーリング材70を省略したコネクタ1の一部分解斜視図であって、後方右上から見た一部分解斜視図である。
図11】コネクタ1の組立て過程において端子30が蓋体50の袋穴61の底部62を貫通する直前を示す断面図である。
図12図11の状態から端子30が蓋体50の袋穴61の底部62を貫通した後を示す断面図である。
図13図11の袋穴61を袋穴161に置換した例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態は、電気的接続に用いるコネクタ1に関する。図1により、コネクタ1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。前後及び左右方向は、コネクタ1の実装先となる基板90(図6)と平行な方向である。上下方向は、基板90と垂直な方向である。左右方向は、端子30が複数の場合の端子30の配列方向である。
【0011】
まずは図1図6を用いてコネクタ1の全体構造を説明する。コネクタ1は、絶縁性のハウジング10と、導電性の端子30と、蓋体50と、被覆材としてのシーリング材70と、を備える。本実施形態では5つの端子30と、5つの蓋体50と、を備えるが各々の数は5つに限らない。
【0012】
ハウジング10は、例えば樹脂成形体であり、5つの端子30を収容して保持する。ハウジング10は、各端子30をハウジング10の内部に挿入するために開口する5つの第1開口部11と、各端子30をハウジング10の外方に臨ませるために開口する5つの第2開口部12と、を有する。第1開口部11及び第2開口部12の数は5つに限らない。
【0013】
図3等に示すように、5つの第1開口部11は、ハウジング10の下面に、左右方向に並んで設けられている。図1等に示すように、5つの第2開口部12は、ハウジング10の前面及び上面に跨がって、左右方向に並んで設けられている。
【0014】
図6図8に示すように、ハウジング10は、各端子30の被保持部32を保持する保持穴13を有する。保持穴13は、各々の第1開口部11の後部上方に設けられ、下方に開口する。また、本実施形態では保持穴13の上方には、左右の溝13aを有する。
【0015】
図2等に示すように、ハウジング10は、囲み部14を有する。囲み部14は、ハウジング10の下端外周部に位置して略長方形状に延びる凸状部であり、5つの第1開口部11の下端部の前後左右を囲むように下方に突出する。
【0016】
図3等に示すように、ハウジング10は、左右両側面に、実装部81、82を保持する保持部15、16を有する。実装部81、82は、例えば板状金属のプレス加工によって形成された板金部品である。実装部81、81は、コネクタ1の実装先となる基板90(図6)に半田付け等により接続され、ハウジング10を基板90に対して固定する。
【0017】
端子30は、例えば、板状金属のプレス加工によって形成された板金部品である。端子30は、成形体や切削加工によって形成されてもよい。本実施の形態では、図7図10に示すように、端子30は、脚部31、被保持部32、板バネ部37、接点部38を有する。
【0018】
脚部31は、コネクタ1の実装先の基板90(図6)上の図示しない導電パターンに半田付け等により電気的に接続される接続部(実装部)である。脚部31は、上下方向と平行に延びる。脚部31は、蓋体50及びシーリング材70を貫通して第1開口部11からハウジング10外の下方に延びる。
【0019】
被保持部32は、脚部31の上部に連なる。被保持部32は、ハウジング10の保持穴13に嵌入され、保持穴13に保持される。本実施の形態では、図7図8等に示すように、被保持部32の左右両端部にそれぞれ凸部33と、被保持部32の上部に2本の角状部39と、を有する。凸部33は、保持穴13の左右内面に食い込み、保持穴13に対する保持力を発生する。角状部39は、保持穴13の左右の溝13aに嵌入し、保持力を向上させる。ただし保持構造はその形態に限定されない。ハウジング10に対する端子30の保持に関し、凸部33や角状部39による保持力に替えて又は加えて、接着を用いてもよい。
【0020】
板バネ部37は、側面視した場合に略逆U字型であり、被保持部32の上部に連なる。板バネ部37は、接点部38に適度な可撓性を持たせるように作用する。接点部38は、板バネ部37に支持され、第2開口部12からハウジング10の外方に臨む。接点部38は、左右に2つに分かれており、その間に図示しない相手方コネクタの端子(プラグ)を差し込んで電気的に接続する。
【0021】
図6及び図9に示すように、蓋体50は、第1開口部11を閉じる。蓋体50は、シリコーンゴム等の弾性体であって、自身の弾性力により側周部(側周面)が第1開口部11の内周部(内周面)に押し付けられ、第1開口部11を塞いだ状態で保持される。
【0022】
図6図9図12に示すように、蓋体50は、第1部分51及び第2部分52を有する。第1部分51は、蓋体50の下部であり、第1開口部11に嵌まる。第2部分52は、蓋体50の上部であって第1部分51の上面から上方に突出する。第2部分52は、第1部分51よりも前後方向の寸法が小さい。第2部分52は、第1開口部11からハウジング10内の空間に突出する。
【0023】
蓋体50は、第1部分51の側周部に傾斜部63を有する。傾斜部63は、上方から下方にかけて広がる傾斜面であり、側周部の一周に渡って設けられる。
【0024】
蓋体50は、傾斜部63の下部に連なる囲み部64を有する。囲み部64は、蓋体50の下面外周部に位置して略長方形状に延びる凸状部である。
【0025】
蓋体50は、下面すなわちハウジング10の外側に臨む面に、凹部53(肉抜き部)を有する。凹部53は、前後左右が囲み部64に囲まれる。
【0026】
第1開口部11に嵌まる前の囲み部64の外寸は、第1開口部11の内寸よりも僅かに大きい。これにより囲み部64の側周部は、第1開口部11に嵌まり込むと第1開口部11の内周部に押圧されて弾性変形し、第1開口部11に対する保持力を発生する。このとき、凹部53が存在することにより、囲み部64は凹部53内に弾性変形して逃げることができ、蓋体50の上下方向への撓みが抑制される。
【0027】
蓋体50は、上面すなわちハウジング10の内方に臨む面に、凹部54を有する。蓋体50は、凹部54の前後にそれぞれ凸部55、56を有する。凹部54は、蓋体50が上方に撓んだ場合に端子30と干渉したり端子30の弾性変形を妨げたりすることを抑制する。凸部55、56は、端子30の過剰な変形を抑制する。
【0028】
図6及び図12に示すように、蓋体50は、第1部分51に、端子30の脚部31が貫通する貫通部57を有する。貫通部57は、上下長さ方向の一部としての下端部で内面が脚部31の外面と弾性的に接触し、上下長さ方向の他部では内面が脚部31の外面と非接触である。すなわち、図12に示すように、貫通部57は、内面が脚部31の外面と弾性的に接触する接触部60と、内面が脚部31の外面と接触しない非接触部58と、を有する。接触部60は、図11に示す袋穴61の底部62が脚部31によって突き破られてできた部分である。非接触部58は、上方に行くほど広がるように傾斜している。
【0029】
シーリング材70は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等であり、蓋体50に閉じられた第1開口部11をハウジング10の外方側から覆う。シーリング材70は、5つの第1開口部11の各々の内部を満たすと共に、第1開口部11を超えて囲み部14の内周部に触れる深さまで充填される。
【0030】
コネクタ1の製造方法は例えば以下のとおりである。
【0031】
ハウジング10の第1開口部11から端子30をハウジング10内に挿入し、端子30の接点部38が第2開口部12からハウジング10外に臨み、かつ端子30の脚部31が第1開口部11から突出した状態とする。続いて、袋穴61(図11)を有する蓋体50を、第1開口部11を閉じるように組み付け、脚部31に袋穴61の底部62を突き破らせる。続いてポッティング加工を行う。具体的には、蓋体50に閉じられた第1開口部11をハウジング10の外方側から覆うようにシーリング材70を充填する。
【0032】
蓋体50の袋穴61は、図13に示すような、底部162周囲を所定の曲率を有する湾曲形状にした袋穴161としても良い。湾曲形状にすることで、脚部31の貫通時に、底部162と側面との境界ではなく、底部162の略中央で貫通するように調整できる。略中央で貫通できるため、貫通後の底部162のバリ発生を抑えられる。
【0033】
本実施の形態は、下記の作用効果を奏する。
【0034】
(1) ハウジング10の第1開口部11を蓋体50で閉じ、更にシーリング材70で覆う構成のため、第2開口部12からハウジング10内に進入した水が第1開口部11から外部に漏出することを抑制できる。よって、コネクタ1に相手方コネクタが嵌合されていない状態においても防水性を良好にできる。また、相手方コネクタの可動域は確保しつつ、防水性を確保できる。
【0035】
(2) 端子30の脚部31は、蓋体50及びシーリング材70を貫通して第1開口部11からハウジング10外の下方に延びる。このため、端子30を蓋体50の周囲、例えば蓋体50の後方に引き出してから下方に延ばす構成と比較して、ハウジング10を小型かつ簡易な構造にでき、また引出部分の防水も不要となる。
【0036】
(3) 蓋体50は、弾性体であって自身の弾性力により第1開口部11に嵌まって第1開口部11に保持される。このため、蓋体50を下方から押さえる構成が不要で、部品点数及びコストの増大を抑制できる。比較として、蓋体50を下方から押さえる板金部品をハウジング10に組み付ける構成の場合、端子30の脚部31が蓋体50を貫通する構成を取ることが難しい。本実施の形態ではそのようなデメリットも解消できる。
【0037】
(4) 蓋体50が弾性体であるため、蓋体50の側周部と第1開口部11の内周部との間の隙間ができにくく、シーリング材70の充填範囲を制御しやすい。すなわち、ポッティング加工時にシーリング材70がハウジング10の内部側に漏れ出して固着することを抑制できる。
【0038】
(5) 蓋体50の下面部に凹部53が設けられるため、囲み部64の側周部が第1開口部11の内周部に押圧されて弾性変形する際に、囲み部64が凹部53内に逃げることができる。このため、蓋体50の上下方向への撓みが抑制される。これにより、蓋体50が下方に撓んでシーリング材70の充填範囲が狭くなることを抑制できる。また、蓋体50が上方に撓んで端子30と干渉したり端子30の弾性変形を妨げたりすることを抑制できる。
【0039】
(6) 蓋体50の上面部に凹部54が設けられるため、蓋体50が上方に撓んだ場合に端子30と干渉したり端子30の弾性変形を妨げたりすることを抑制できる。一方、蓋体50は、凹部54の前後に凸部55、56を有し、凸部55、56により端子30の変形可能量を規定するため、端子30の過剰な変形を抑制できる。
【0040】
(7) 蓋体50の貫通部57は、図12に示すように、内面が脚部31の外面と弾性的に接触する接触部60と、内面が脚部31の外面と接触しない非接触部58と、を有する。接触部60は、コネクタ1の組立時に図11に示す袋穴61の底部62が脚部31によって突き破られて形成される。このため、脚部31が本実施例のような角型の他、薄板や丸型など如何なる形状であっても脚部31の外周部と接触部60との間の隙間を小さくでき、ポッティング加工時にシーリング材70がハウジング10の内部側に漏れ出して固着することを抑制できる。また、脚部31の形状ごとに袋穴61を設計する必要がないため、蓋体50を様々な端子に対して汎用できる。
【0041】
(8) コネクタ1の組立時に蓋体50の袋穴61を端子30の脚部31に突き破らせる構成のため、蓋体50の加工段階では貫通孔を形成する必要がなく、蓋体50の加工時の生産性が高い。仮に、蓋体50の加工段階から貫通孔を形成する場合、金型により蓋体50を製造する方法では、金型の上型と下型とが貫通孔を成す部分で上下金型に相互に圧力が掛かり金型が破損する恐れや、繰り返し接触することでの摩耗が生じるため金型の劣化が早まる恐れがある。これに対し本実施の形態では、蓋体50の加工段階では袋穴61を形成すればよいため、上下金型の圧力による破損や、接触による摩耗を抑制できる。
【0042】
(9) 袋穴61の内寸は端子30の脚部31の外寸よりも大きい。このため、袋穴61を形成するための金型部分も脚部31の外寸よりも大きくてよく、金型の強度、耐久性が高められる。また、例えば、追加工として打ち抜き加工する方法でも、仮に、蓋体50に貫通孔を形成する場合、防水性を確保のために脚部31の外寸よりも貫通孔の内寸を小さく形成する必要があり、緻密な加工技術が求められる。これに対し本実施の形態では、袋穴61の内寸は端子30の脚部31の外寸よりも大きいため、追加工として打ち抜き加工する場合でも貫通孔の場合に比べ緻密な加工技術を要さない。
【0043】
(10) 袋穴61は、上方ほど広がった形状のため、端子30の脚部31を挿入しやすく、組立性が良い。また、図13に示すような湾曲形状の底部162を有する袋穴161とした場合、脚部31の貫通時に底部162の略中央で貫通するように調整できるため、貫通後の底部162のバリ発生を抑えられる。
【0044】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、ハウジング10が有する第1開口部11及び第2開口部12の個数や端子30の個数は、5つに限定されず、任意の個数でよい。
【0045】
本明細書によれば、以下の態様のコネクタ及びコネクタの製造方法が提供される。
【0046】
(態様1)
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容される端子と、
前記開口部を閉じる蓋体と、
前記蓋体に閉じられた前記開口部を前記ハウジングの外方側から覆う被覆材と、を備え、
前記端子は、前記蓋体及び前記被覆材を貫通して前記ハウジングの外方に延びる、コネクタ。
【0047】
態様1によれば、ハウジングの開口部を蓋体で閉じ、更に被覆材で覆う構成のため、防水性が高められる。
【0048】
(態様2)
前記ハウジングは第2開口部を有し、
前記端子は、第2開口部から前記ハウジングの外方に臨む、コネクタ。
【0049】
態様2によれば、ハウジングの開口部を蓋体で閉じ、更に被覆材で覆う構成のため、第2開口部からハウジング内に進入した水が開口部から外部に漏出することを抑制できる。よって、コネクタに相手方コネクタが嵌合されていない状態においても防水性を良好にできる。また、相手方コネクタの可動域は確保しつつ、防水性を確保できる。
【0050】
(態様3)
前記蓋体は、弾性体であり、自身の弾性力により側周部が前記開口部の内周部に押し付けられる、コネクタ。
【0051】
態様3によれば、蓋体を押さえる構成が不要で、部品点数及びコストの増大を抑制できる。
【0052】
(態様4)
前記蓋体は、前記ハウジングの外方に臨む面に凹部を有する、コネクタ。
【0053】
態様4によれば、凹部により蓋体全体の撓みを抑制できる。
【0054】
(態様5)
前記蓋体は、前記ハウジングの内方に臨む面に凹部を有する、コネクタ。
【0055】
態様5によれば、凹部により蓋体と端子との干渉を抑制できる。
【0056】
(態様6)
前記蓋体は、弾性体であり、前記端子が貫通する貫通部を有し、
前記貫通部は、長さ方向の一部で内面が前記端子の外面と弾性的に接触し、長さ方向の他部では内面が前記端子の外面と非接触である、コネクタ。
【0057】
態様6によれば、貫通部が長さ方向の全部で内面が前記端子の外面と弾性的に接触する場合と異なり、蓋体の生産性が高く、組立性も向上する。
【0058】
(態様7)
複数の前記端子と、複数の前記蓋体と、備え、
前記ハウジングは、複数の前記開口部を有し、
前記被覆材は、複数の前記開口部を覆う、コネクタ。
【0059】
(態様8)
第1及び第2開口部を有するハウジングの前記第1開口部から端子を前記ハウジング内に挿入し、前記端子が前記第2開口部から前記ハウジング外に臨み、かつ前記端子が前記第1開口部から突出した状態とし、
袋穴を有する弾性体を、前記第1開口部を閉じるように組み付け、前記端子に前記袋穴を突き破らせ、
前記弾性体に閉じられた前記第1開口部を前記ハウジングの外方側から覆うように被覆材を充填する、コネクタの製造方法。
【0060】
態様8によれば、弾性体の加工段階では貫通孔を形成する必要がなく、袋穴を形成すればよいため、弾性体の生産性が高い。また、弾性体のうち端子が袋穴を突き破った部分は端子の外面と弾性的に接触するため、隙間が生じにくく、被覆材の漏出を抑制できる。
【0061】
(態様9)
前記袋穴の底部周囲は、湾曲形状である、コネクタの製造方法。
【0062】
態様9によれば、端子が貫通した後の袋穴の底部のバリ発生を抑えられる。
【符号の説明】
【0063】
1 コネクタ
10 ハウジング
11 第1開口部
12 第2開口部
30 端子
50 蓋体
53、54 凹部
57 貫通部
58 非接触部
60 接触部
61 袋穴
70 シーリング材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13