(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037171
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】機械用の安全システム
(51)【国際特許分類】
F15B 20/00 20060101AFI20240311BHJP
E02F 3/40 20060101ALI20240311BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F15B20/00 D
E02F3/40 E
E02F3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143579
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】22194155
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】505287254
【氏名又は名称】オイルクイック アーベー
【氏名又は名称原語表記】OILQUICK AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エリック ニランデル
【テーマコード(参考)】
2D012
3H082
【Fターム(参考)】
2D012HA02
3H082AA01
3H082CC02
3H082DA06
3H082DA18
3H082EE01
(57)【要約】
【課題】機械用の改良された安全システムを提供する。
【解決手段】加圧装置(28)と、少なくとも1つの液圧シリンダ(8)であって、圧力チャンバ(46)と、ヘッド(22)及びロッド(24)を有するピストン(20)とを備える少なくとも1つの液圧シリンダ(8)と、第1の圧力センサ(42)及び第2の圧力センサ(44)と、ピストン(24)のヘッド(22)の周囲に周方向に配置されるシール装置(52)と、少なくとも1つの液圧シリンダ(8)のヘッド側(64)及びロッド側(62)に流体接続される液圧システム(18)であって、作動流体リザーバ(26)及び加圧装置(28)に流体接続される液圧システム(18)と、を備える機械用の安全システム(6)が開示される。安全システムの少なくとも1つの状態、即ちピストンがロックされた状態を第1及び第2の圧力センサ(42、44)を介して検出することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械用の安全システム(6)であって、
-加圧装置(28)と、
-連結機構(4)に連結される少なくとも1つの液圧シリンダ(8)であって、前記少なくとも1つの液圧シリンダ(8)は、圧力チャンバ(46)と、ヘッド(22)及びロッド(24)を有するピストン(20)とを備え、前記ピストン(20)は、前記液圧シリンダ(8)の長手方向に沿って移動可能である、少なくとも1つの液圧シリンダ(8)と、
-第1の圧力センサ(42)及び第2の圧力センサ(44)であって、前記第1及び第2の圧力センサ(42、44)は、第1及び第2の開口部(54、56)を有する第1のチャネル(48)及び第2のチャネル(50)を介して前記圧力チャンバ(46)内部の圧力を測定するよう設計され、前記第1及び第2のチャネル(48、50)は両方とも前記圧力チャンバ(46)内に延在し、前記第1の開口部(54)及び前記第2のチャネル(56)は、前記少なくとも1つの液圧シリンダ(8)の前記長手方向において見て互いから離間される、第1の圧力センサ(42)及び第2の圧力センサ(44)と、
-前記ピストン(24)の前記ヘッド(22)の周囲に周方向に配置されるシール装置(52)と、
-前記少なくとも1つの液圧シリンダ(8)のヘッド側(64)及びロッド側(62)に流体接続される液圧システム(18)であって、作動流体リザーバ(26)及び前記加圧装置(28)に流体接続される液圧システム(18)と、を備え、
前記シール装置(52)は、前記第1及び第2の開口部(54、56)上を複数回移動するよう設計され、前記安全システムの少なくとも1つの状態、即ちピストンがロックされた状態を、前記第1及び第2の圧力センサ(42、44)を介して検出することができる、安全システム(6)。
【請求項2】
前記第1の圧力センサ(42)は圧力P1を感知し、前記第2の圧力センサ(44)は圧力P2を感知し、前記ピストンがロックされた状態は、P1<P2である場合に検出される、請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記作動流体リザーバ(26)は、前記加圧装置(28)によって生成される圧力よりも低いタンク圧力Presを有し、ピストンが作動しているがブロックされている状態は、P1=P2=Presである場合に検出される、請求項1又は2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記加圧装置は、Presよりも高いシステム圧力Psystを提供し、P1=P2=Psystである場合に、ピストンが完全に後退した状態及びピストンが完全に伸長した状態を検出することができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項5】
前記液圧システム(18)は、逆転弁(34)の位置を特定するための読取装置に接続される逆転弁(34)をさらに備え、前記逆転弁(34)は、
前記液圧システム(18)が前記ヘッド側(64)を前記加圧装置(28)と接続し、前記ロッド側(62)を前記作動流体リザーバ(26)と接続する第1の位置と、
前記液圧システム(18)が前記ロッド側(62)を前記加圧装置(28)と接続し、前記ヘッド側(64)を前記作動流体リザーバ(26)と接続する第2の位置であって、前記逆転弁(34)及び前記読取装置は、前記ピストンが完全に伸長した状態と前記ピストンが完全に後退した状態との区別を可能にする、第2の位置と、の間で移動させることができる、請求項1~4のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項6】
前記ピストンが完全に後退した状態は、P1=P2である場合且つ前記逆転弁(34)が前記第2の位置にある場合に検出される、請求項5に記載の安全システム。
【請求項7】
前記ピストンが完全に伸長した状態は、P1=P2である場合且つ前記逆転弁(34)が前記第1の位置にある場合に検出される、請求項5に記載の安全システム。
【請求項8】
前記液圧システムは、圧力P3を感知するための第3の圧力センサを備え、前記第3の圧力センサは、前記ヘッド側(64)に又は少なくとも前記ヘッド側(64)に近接して配置され、前記第3の圧力センサは、前記ピストンが完全に伸長した状態と前記ピストンが完全に後退した状態との区別の検出のために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項9】
前記ピストンの完全に後退した状態は、P1=P2及びP3<P2,P1である場合に検出される、請求項8に記載の安全システム。
【請求項10】
前記ピストンの完全に伸長した状態は、P1=P2=P3である場合に検出される、請求項8に記載の安全システム。
【請求項11】
前記ピストンが作動しているがブロックされている状態は、前記第3の圧力センサを用いて、P1=P2及びP3>P1,P2である場合に、さらに検証することができる、請求項8に記載の安全システム。
【請求項12】
前記加圧装置(28)は、Presよりも高いシステム圧力Psystを提供し、前記ピストンが完全に伸長した状態にある場合、P1=P2=P3=Psystである、請求項8に記載の安全。
【請求項13】
前記安全システムは、2つ以上の液圧シリンダ(8)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項14】
前記第1の圧力センサ(42)、前記第2の圧力センサ(44)、並びに前記逆転弁(34)の前記読取装置及び前記第3の圧力センサの少なくとも一方に接続されるプロセッサをさらに備え、前記プロセッサ(66)によって、前記ピストンが完全に伸長した状態、前記ピストンが完全に後退した状態、及び前記ピストンが作動しているがブロックされている状態は偽として識別され、前記ピストンがロック位置にある状態は真として識別される、請求項4~13のいずれか一項に記載の安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設機械、林業機械、又は他の任意の産業車両若しくは機械のための工具が傾斜ローテータ又はクイックカップリング等に連結される場合に連結機構の異なる状態を検出するよう設計される機械用の安全システムの技術分野に関する。別の実施形態において、本発明は、機械又は装置の液圧システムに関し、その一部であってもよい。
【背景技術】
【0002】
重機が、建設、林業、取り壊し、又は解体等の用途に用いられる場合には往々にして、様々な工具が、異なる目的のためにそのような機械に接続される必要がある。多くの場合、工具ホルダは、そのような用途に用いられ、工具ホルダは、より恒久的な方法、例えば、ねじ留め及びボルト留めで機械に連結し、例えば、本明細書中に説明するような液圧又は空気圧システムを用いて、解放可能な方法で種々の工具に連結する中間装置として作用する。そのような工具ホルダは、通常、機械の液圧システム及び/又は電気システムと共に用いられるよう設計され、多くの場合、これらの工具は、機械の液圧システム及び/又は電気システムを工具の液圧部品及び/又は電子部品に接続する。これらの工具ホルダはまた、特に機械と工具との間の機械的連結を提供するため、特にこれらの機械的連結は通常、オペレータによって機械のキャビンから自動的に行われるため、安全性、特に機械的連結の安全性が常に懸念される。これは、たとえオペレータが、少なくともある距離/キャビンから、工具ホルダとの間の接続を目視で確認することができたとしても、機械的接続が安全な方法で確立されないリスクが常に存在することを意味する。そのような工具ホルダの機械的接続は、通常、連結機構を有する液圧システムを用いることによって確立され、連結機構は、少なくとも1つの液圧シリンダに連結される。多くの場合、ロック機構はフック形状要素をさらに備え、液圧シリンダはアームに接続される。工具は、通常、例えばロッドの形態の2つのブラケットを備え、これらのブラケットは、液圧シリンダの移動時に伸長することによって、ロック機構のフック形状要素が一方のブラケットに係合し、アームが他方のブラケットに係合することができるように、互いに距離を置いて配置される。アームの伸長動作中にエラーが発生する可能性があり、このエラーは、工具と工具ホルダとの間の安全ではない接続をもたらす可能性があり、それと共に、人員の負傷又は機器の損傷を引き起こすおそれがある。特許文献1及び特許文献2に開示されているように、工具ホルダと工具との間の機械的連結を調査する試みがなされてきた。
【0003】
特許文献1は、上で説明したように構成され、工具ホルダは、フック形状要素又は切欠きと、液圧シリンダ(
図5参照)によって移動可能なアーム又はロックプレートとを備えており、ロッドがシリンダに接続されている。ロッドは、液圧シリンダ及びロック要素が
図5に示すような閉位置にある場合に誘導センサを作動させる金属製リングを備える。第2の固定ピンが正しく係合されていることを検出するために、第2の固定ピンが受け部にぴったりと埋め込まれているかどうかを検出する別の誘導センサが存在する。特許文献1に開示された解決策は、金属製リングを備えるロッドとの特別なセットアップを必要とし、ロッドは液圧シリンダにも接続される。加えて、シリンダが完全に伸長され、完全に後退する状況は検出することができず、両方の位置において、センサのいずれも接触を示さない。
【0004】
特許文献2は、移動する作動流体(hydraulic fluid)の量を測定することによって液圧シリンダのピストンの位置を特定することを目的とする、そのような工具ホルダのための別の安全システムを開示している。移動する作動流体の量は、ピストンのストローク長に正比例する。変位した作動流体を測定するために、液圧供給ラインには、制限部と、制限部の両側の圧力センサとが設けられる。ベルヌーイの式に基づいて、制限部を通る流れを特定することができ、それと共に、変位した作動流体の体積、最終的にはストローク長さを特定することができる。この制限部は、ある特定の課題を伴い、その1つは、それがシステム内の液圧を増加させ、それと共に液圧システムがより多くのエネルギーを必要とすることである。
【0005】
圧力センサを介して液圧シリンダのストローク長を観察するためのシステムが、特許文献3にさらに示されているが、センサは液圧システムに配置されており、圧力チャンバへのチャネルを有する液圧シリンダに直接配置されていないため、圧力はピストンの両側で検出することができない。これはまた、特許文献3におけるシールが、圧力センサに接続されるチャネルの開口部上を移動しないことを意味する。加えて、特許文献3は、安全システムの4つの異なる状態を検出することはできず、2つの異なる状態しか検出することができない。
【0006】
上記に鑑みて、本発明は、機械用の改良された安全システムを提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/058380号
【特許文献2】国際公開第2011/019312号
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0244575号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、堅牢で、汎用性があり、正確で、信頼性のある機械用の安全システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題に鑑みて、本発明の発明者らは、圧力チャンバ内への第1のチャネルを介する液圧シリンダの圧力チャンバ内の圧力を測定する少なくとも1つの圧力センサを用いることによって、工具ホルダ等における液圧シリンダ対連結機構の異なる状態を検出することが可能であることを見出した。本発明者らは、高圧に耐えることができ、液圧シリンダの圧力チャンバに通じる開口部上を又はそれを横切って移動することができるシール装置を用いれば、これが可能であることを見出した。シール装置は、液圧シリンダのピストンが工具等を工具ホルダにロック又はロック解除するために移動する場合に、チャネルの開口部上を移動する。記載した目的のために、本発明者らは、チャネルを介して圧力チャンバにも直接連結される第2の圧力センサを用いることが可能であり、第1の圧力センサの第1のチャネル及び第2の圧力センサの第2のチャネル、特に液圧シリンダの圧力チャンバへの第1及び第2のチャネルの開口部が、液圧シリンダの長手方向において見て離間されることを見出した。代替として、本発明者らは、第1の圧力センサと組み合わせたバイパスチャネルを用いて、連結機構及びピストンそれぞれの様々な状態を検出することができることを見出した。液圧シリンダの圧力チャンバ内へのバイパスチャネルの2つの開口も、互いに且つ第1のチャネルから長手方向に間隔を置いて配置される。最後に、本発明者らは、液圧システム内に配置される逆転弁上の読取装置と組み合わせて、連結機構の様々な状態、特に4つの状態、即ち、ピストンがロック位置にある状態、ピストンが作動しているがブロックされている状態、ピストンが完全に後退した状態、及びピストンが完全に伸長した状態を検出することが可能であることを見出した。読取装置の代替として、本発明者らは、圧力チャンバのヘッド側の液圧供給ラインに近接して又はそこに配置される第3の圧力センサを用いて、ピストンが完全に伸長した状態とピストンが完全に後退した状態とを区別することができることをさらに見出した。
【0010】
本明細書中に開示されるのは、機械用の安全システム又は工具ホルダであって、
-加圧装置と、
-ロック機構に連結される少なくとも1つの液圧シリンダであって、前記少なくとも1つの液圧シリンダは、圧力チャンバと、ヘッド及びロッドを有するピストンとを備え、ピストンは、液圧シリンダの長手方向に沿って移動可能である、少なくとも1つの液圧シリンダと、
-第1の圧力センサ及び第2の圧力センサであって、第1及び第2の圧力センサは、両方とも圧力チャンバ内に延在する第1のチャネル及び第2のチャネルを介して圧力チャンバ内部の圧力を測定するよう設計され、前記第1のチャネル及び第2のチャネル、並びに圧力チャンバ内へのそれらそれぞれの開口部は、少なくとも1つの液圧シリンダの長手方向において見て離間される、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサと、
-ピストンのヘッドの周囲に周方向に配置されるシール装置と、
-少なくとも1つの液圧シリンダのヘッド側及びロッド側に流体接続される液圧システムであって、作動流体リザーバ及び加圧装置にさらに流体接続される液圧システムと、を備える安全システム又は工具ホルダである。
【0011】
シール装置は、第1及び第2のチャネルの開口部上を複数回移動するよう設計され、安全システムの少なくとも1つの異なる状態、即ちピストンがロック位置にある状態を、第1及び第2の圧力センサを介して検出することができる。
【0012】
この解決策を用いると、工具ホルダの連結機構の位置を特定するための追加又は別途のシステムを必要としない。また、変位した作動流体の体積を介してシリンダの位置を検出するために、液圧システムにおける制限部は必要とされず、これは、より効率的なシステムが用いられ、採用されることを意味する。安全システムをそのまま液圧システムに直接用いることにより、安全システムの簡素化及びそれに伴う信頼性がさらに向上する。
【0013】
一実施形態において、第1の圧力センサは圧力P1を感知し、第2の圧力センサは圧力P2を感知し、ピストンがロック位置にある状態は、P1<P2である場合に検出される。
【0014】
工具ホルダへの工具の接続中、これは、工具が工具ホルダに首尾よく且つ安全に連結される場合を、機械のオペレータ又は電子システムが検出することに役立つ可能性がある。
さらなる実施形態において、作動流体リザーバは、加圧装置によって生成される圧力よりも低いリザーバ圧力Presを有し、ピストンが作動しているがブロックされている状態は、P1=P2=Presである場合に検出される。
【0015】
これは、検出する必要がある危険な使用事例の1つである。オペレータは、この状態を見つけることができず、工具が工具ホルダに正しくロックされていると仮定することができない。
【0016】
上記の状態の検出は、工具ホルダの安全性を向上させ、それと共に、用途全体の安全性を向上させる。さらなる状態の区別及び検出が、図を参照して説明される。
ここで、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0017】
ここで、例示的な目的のため、実施形態によって、及び開示図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】工具ホルダと工具アダプタ又は工具との間の連結配置の概略図である。
【
図2】本発明による安全システムの第1の実施形態の液圧プランの概略図である。
【
図3】ピストンがロックされた状態の工具ホルダ、及び安全システムの第1の実施形態の概略図である。
【
図4】ピストンが作動しているがブロックされている状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第1の実施形態の概略図である。
【
図5】ピストンが完全に伸長した状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第1の実施形態の概略図である。
【
図6】ピストンが完全に後退した状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第1の実施形態の概略図である。
【
図7】本発明による安全システムの第2の実施形態の別の液圧プランの概略図である。
【
図8】ピストンがロックされた状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第2の実施形態の概略図である。
【
図9】ピストンが作動しているがブロックされている状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第2の実施形態の概略図である。
【
図10】ピストンが完全に伸長した状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第2の実施形態の概略図である。
【
図11】ピストンが完全に後退した状態にある工具ホルダ、及び安全システムの第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、連結システム4を介して互いに接続することができる工具ホルダ1及び工具2を概略的に示している。工具ホルダ1は、通常、機械、例えば掘削機又は林業機械等に連結される。工具2又は工具アダプタ2は、通常、ショベル、林業用工具、カッター、コンパクタ等の工具に配置される。工具2又は工具アダプタ2は、実際の工具2又は工具ホルダ1においてオペレータが手動で操作することなく、自動的に工具ホルダ1に連結することができるように設計される。工具ホルダ1の工具2への連結は、工具ホルダ1上のロックフィンガ10又はロック突出部及びフック形状の切欠き16及び少なくとも部分的にフック形状の切欠き16’に接続される少なくとも1つの液圧又は空気圧シリンダ8(
図2及び
図3を参照)と、工具2又は工具アダプタ2上の一対のブラケット12とを備える連結機構4によって確立される。
図1において、ロックフィンガ10は、少なくとも部分的に伸長した状態で、従って液圧シリンダ8が少なくとも部分的に伸長した状態で示されている。工具アダプタ2が工具ホルダ1に接続されると、フック形状の切欠き16がまずブラケット12の1つに係合する。フック形状の切欠き16が工具アダプタ2に確実に係合するとすぐに、工具アダプタ2又は工具2は、ロックフィンガ10が後退させられる場合、通常、重力の助けを借りて、少なくとも部分的にフック形状の切欠き16’が一対のブラケット12の他方に係合することができるように、工具ホルダ1を介して機械によって持ち上げられ、傾けられ得る。一対のブラケット12の他方が少なくとも部分的にフック形状の切欠き16’に係合すると、ロックフィンガ10は、一対のブラケット12の両方のブラケット12を確実にロックするように伸長させることができ、工具は、オペレータによって用いられることができる。連結は、必ずしも工具2を持ち上げたり、地面に対して傾けたりして行う必要はなく、工具を地面上に寝かせた状態で滑らかに連結するだけでも、一対のブラケット12の両方を連結機構4を介して工具ホルダ1に連結するのに十分である。
【0020】
加圧装置28によって提供される圧力は、システム圧力Psystと呼ばれる。タンク26又はリザーバ内に存在する圧力は、リザーバ圧力Presと呼ばれる。システム圧力Psystは、システムに動力を供給し、シリンダを出し入れするために用いられるため、通常、リザーバ圧力Presよりも高い。
【0021】
工具ホルダ1と工具アダプタ2の接続中、工具2が工具ホルダ1に確実に連結されているか否か、又は問題があるかどうかを特定することができるように、オペレータが連結機構4の状態を実際に見て観察することができれば有益である。本発明は、工具2と工具ホルダ1との接続に関するそのような問題及び潜在的な問題に向けられている。工具ホルダ1と工具2との間の接続をより良好に調査し、観察するために、機械又は工具ホルダ1用の安全システムの実施形態が、
図2~
図11を参照して本明細書中に説明される。
【0022】
図2は、機械用の液圧システム18を概略的に示し、
図1によるロックフィンガ10のための液圧シリンダ8を示している。これは、ピストン又はプランジャ20を形成するロッド22及びヘッド24をそれぞれ有する2つの液圧シリンダ8からなる。各ロッド20は、それぞれのロックフィンガ10(
図1参照)と接続されている。液圧媒体供給手段は、タンク26と、例えばポンプ又は液圧ポンプの形態での加圧装置28と、供給ライン30と、戻りライン32とを備える。逆転弁34は、加圧装置28を供給ライン30又は戻りライン32のどちらか一方と接続する。逆転弁34の図示の位置において、加圧装置28は供給ライン30に接続されている。通常は油である作動流体は、供給ライン30から、それぞれの逆止弁38を介してそれぞれの分岐ライン36に分配され、液圧シリンダ8の各圧力側に供給される。それぞれの分岐ライン40を介して、戻りライン32は、液圧シリンダ8の各戻り側と接続される。分岐ライン36、40はまた、第1及び第2の液圧ライン36、40として表記される場合もある。
【0023】
図2は、第1の圧力センサ42及び第2の圧力センサ44を備える安全システム6をさらに示している。第1及び第2の圧力センサ42、44は、第1の圧力センサ42用の第1のチャネル48及び第2の圧力センサ44用の第2のチャネル50を介して液圧シリンダ8の圧力チャンバ46と連通するように配置される。第1及び第2の圧力センサ42、44は、それぞれ、ピストン及びヘッド24の位置に応じて、圧力チャンバ46内におけるピストン20のヘッド24の両側の圧力を検出するように設計されている。圧力チャンバ46内の圧力を検出することによって、本明細書でさらに説明するように、連結機構4の様々な状態を検出することができる。これらの様々な状態を検出するために、第1の圧力センサ42の第1のチャネル48の第1の開口部54(
図3参照)及び第2の圧力センサ46の第2のチャネル50の第2の開口部56(
図3参照)は、液圧シリンダ8によって規定される長手方向軸に沿って見て、長手方向に離間される必要がある。安全システム6は、連結機構4の幾つかの状態を検出することが可能になり、これらの状態は、ここで
図3~
図6を参照して説明する。
図2において、安全システム6は、液圧シリンダ8の対の一方に配置されるよう示されていることに留意されたい。しかし、安全システム6は、冗長性及び/又は追加の安全目的のために、両方のシリンダ8に設置されてもよい。さらに連結機構6は、1つのみの液圧シリンダ(図示せず)又は2つを超える液圧シリンダ(図示せず)を備えてもよい。
【0024】
図2は、第1の圧力センサ42と、第2の圧力センサ44と、逆転弁34の読取装置若しくは逆転弁34(
図2の破線)及び/又は第3の圧力センサ(
図2には図示せず)とに接続されるプロセッサ66をさらに示している。
【0025】
図3を参照すると、同様の参照番号は、それぞれ
図1及び
図2と同じ又は同様のコンポーネントを示しており、連結機構4及び安全システム4が示されている。図において、連結機構4及びピストン20はそれぞれ、ロック位置において示されている。
図3に見られるように、ロックフィンガ10は、工具アダプタ2又は工具2のブラケット12の一方をロックし、係合し、それを部分的なフック形状の切欠き16’にぴったりと押し込む一方で、ブラケット12の他方は、工具2の確実な連結のためにフック形状の切欠き16に完全に係合される。
【0026】
ヘッド24は、圧力チャンバ46を2つの区画に分割するよう設計され、且つ、第1及び第2の圧力センサ42、44を圧力チャンバ46と接続する第1及び第2のチャネル48、50の開口部54、56の上を移動できるよう設計されるシール装置52を備える。
図3に示す状態、即ちピストン20がロックされた状態において、ピストン20は伸長するが、完全には伸長しておらず、ロックフィンガ10はブラケット12に係合する一方で、他方のブラケット12はフック形状の切欠き16に完全に係合している。ピストンがロックされた状態において、液圧がピストン20を圧力チャンバ46のヘッド側64に向かって押圧する。ヘッド側とは、ロックフィンガ10に最も近い圧力チャンバ46の側である。ブラケット12は、ロックフィンガ10とブラケット12との間の形状嵌合によりロックフィンガ10がさらに伸長することを阻止することによって、ピストン20のさらなる移動を禁止する。この状況において、第1の圧力センサ42において感知される第1の圧力P1は、第2の圧力センサ44において感知される第2の圧力P2よりも小さい。
【0027】
圧力感知が円滑に機能するためには、シールが第1及び第2のチャネル48、50の開口部54、56上をそれぞれ摺動できるよう設計されることが重要である。シール装置52は、最大60Mpa(600bar)の圧力に対応することができ、Oリング及びシールリングを備える。Oリング及びシールリングは、Oリングが溝の底部に又はそれに近接して配置され、シールリングがOリングの外側に配置されるように、ヘッド24内の溝に埋め込まれる。移動中、Oリングは、ヘッド24が開口部54、56の一方の上を摺動している場合に移動し、シールリングに空間を提供することができる。通常、Oリングは、シールリングよりも軟質の材料でできている。液圧シリンダのプランジャ又はピストンが移動している場合に液圧シリンダの開口部上を複数回摺動するのに適した他の任意の種類のシール装置は、本明細書中に存在する本発明において採用し、用いることができる。
【0028】
図3を考慮して、ピストンがロックされた状態は、それと共に、P1<P2によって検出することができる。逆転弁34は、逆転弁の位置を特定するための読取装置に接続され、逆転弁を、液圧システムがヘッド側を加圧装置28と接続し、ロッド側62を作動流体リザーバ26又はタンク26と接続する第1の位置と、液圧システムがロッド側62を加圧装置28と接続し、ヘッド側を作動流体リザーバ26と接続する第2の位置と、の間で移動させることができることに留意されたい。
【0029】
従って、
図3による状況において、逆転弁34は、ブラケット12をフック形状の切欠き16にロックするために、ヘッド側を供給ライン30(
図3には図示せず)及び加圧装置28(
図3には図示せず)と接続する第1の位置にある。第1の圧力P1はタンク圧力P
resに対応し、第2の圧力P2はシステム圧力P
systに対応する。しかし、逆転弁34は、ピストン20がロックされた状態にあることを特定するには必要とされない。
【0030】
図4~
図6を参照して、ピストン20の他の状態又は位置をここで説明する。しかし、他の状態は基本的に全て、フック形状の切欠き16及び少なくとも部分的にフック形状の切欠き16’におけるブラケット12の不正確なロックを指すと要約することができる。
【0031】
図4は、第1の圧力センサ42において感知される第1の圧力P1が第2の圧力センサ44において感知される第2の圧力P2と同じであり、第1の圧力P1及び第2の圧力P2が加圧装置28によって提供されるリザーバ圧力P
res(
図2参照)に対応するように、ピストン20が伸長されることになっているがロックフィンガ10がブラケット12によってブロックされる、ピストン20が作動しているがブロックされている状態を示している。この状態、即ち、ピストン20が作動しているがブロックされている状態は危険であり、それに応じて、例えば、ディスプレイを介して、及び/又は音響的に、及び/又は触覚的に、操作されるよう信号が送信される。加えて、逆転弁34は、ヘッド側を加圧装置28及び供給ライン30とそれぞれ接続する第1の位置にある(
図2参照)。
【0032】
図5は、ピストン20が完全に伸長した状態を示しており、感知された第1の圧力P1及び感知された第2の圧力P2は同じ値を有し、且つ、システム圧力P
systにも対応し、逆転弁34は、ヘッド側を加圧装置28及び供給ライン30とそれぞれ接続する第1の位置にある。
【0033】
最後に、
図6は、ピストン20が完全に後退した状態を示しており、第1の圧力P1及び第2の圧力P2は同じであり、システム圧力P
systに対応する。逆転弁34は、ロッド側62を加圧装置28及び供給ライン30とそれぞれ接続する第2の位置にある。
【0034】
図4に戻って参照すると、逆転弁34における読取装置の代替として、第3の圧力P3を感知するための第3の圧力センサ70が、液圧シリンダ8の圧力チャンバ46内部ではなく、ヘッド側に近接して又はヘッド側に直接、設置されてもよい。第3の圧力センサ70は、図示する実施形態のいずれかに設置されてもよいが、簡略化するために、また、本明細書中に記載するようなピストン状態検出の変形例に応じて全ての実施形態において必要とされるわけではないことを示すよう、
図3にのみ示している。
【0035】
第3の圧力70センサは、ピストンが完全に伸長した状態とピストンが完全に後退した状態とを区別するために用いられてもよく、P1がP2に等しく、第3の圧力センサ70において感知される圧力P3がP1及びP2よりも小さい場合に、ピストンの完全後退状態が検出される。
【0036】
ピストンの完全伸長状態は、P1がP2に等しく、P2がP3に等しい場合に検出することができる。
上記に加え、P1がP2に等しいが、P3がP1及びP2よりも大きい場合に、ピストンが作動しているがブロックされている状態を検出することもできる。
【0037】
ピストンのロック状態は、P1がP2よりも小さく、P2がP3に等しい場合に検出することができる。
上記の例は、図示するように、第1の圧力センサ42と第2の圧力センサ44との間のある特定の距離に基づいている。第1の圧力センサ42の第1のチャネル48の第1の開口部54と第2の圧力センサ44の第2のチャネル50の第2の開口部56との間の選択された距離に応じて、4つの異なる状態に対する他の条件が適用されてもよい。本発明は、ピストンのヘッド24におけるシール装置52を用いて、液圧(又は空気圧)シリンダ8の圧力チャンバ46を圧力センサ42、44に接続するために、チャネル及びそれらの開口部を用いることができ、シール装置52は、そのようなチャネルの開口部の上を滑動するよう設計されるという認識に基づいている。
【0038】
プロセッサ66によって、ピストンが完全に伸長した状態、ピストンが完全に後退した状態、及びピストンが作動しているがブロックされている状態を偽と識別し、ピストンがロック位置にある状態を真と識別してもよい。対応する視覚、触覚、及び/又は音響信号が、機械のオペレータに送信されてもよい。
【0039】
ここで
図7~
図11を参照して、本発明の別の実施形態をこれと共に説明する。
図7は、
図2と同様の液圧システム18’を示しており、同様又は同一のコンポーネントには同一の参照番号が付されている。
図2に関する機能及び説明並びにコンポーネントはまた、安全システム6’における相違と共に、
図7の説明にも適用される。
図7による安全システム6’と
図2による安全システム6との相違は、
図7に示す安全システム6’が、第2の圧力センサの代わりにバイパスチャネル58を備えることである。バイパスチャネル58又はバイパス58は、液圧シリンダ8の圧力チャンバ46への2つの開口部60、60’を有するU字型ブリッジ接続部として設計される。開口部60、60’は、ピストン20のある特定の位置においてシール装置52を橋絡することができるように、液圧シリンダ8の長手方向に見て離間して配置されている。
【0040】
バイパスチャネルは、
図8~
図11に関連して説明するように、ピストン20の状態を特定するために用いることができる。この場合も、バイパスチャネル58が適正に機能するためには、先に説明したようなシール装置52を設置する必要があり、このシール装置52は、バイパスチャネル58の開口部60、60’及び第1の圧力センサ42を圧力チャンバ46と接続するチャネルの開口部を横切って移動することができる。
【0041】
図8は、工具ホルダ1’及び工具2又は工具アダプタ2を示し、ピストン20は、ロックフィンガ10がブラケット12のうちの1つに確実に係合するロックされた状態にある。バイパス58チャネル又はバイパス58は、液圧シリンダ8の長手方向に沿って見て、第1の圧力センサ42から距離を置いて配置される。バイパスチャネル58は、液圧シリンダ8の圧力チャンバ46へ通じる2つの開口部60、60’を有する。
図7~
図11に示す実施形態において、バイパスチャネル58は、液圧シリンダ8のロッド側62に近接して配置される一方で、第1の圧力センサ42は、ヘッド側64に近接して配置される。
【0042】
バイパス58は、ピストンが完全に伸長した状態(
図10に示す)でシール装置52を橋絡するように配置される。
ピストン20の様々な状態を検出するために、制限された圧力P1
limitの値が規定され、P1
limitはバイパスチャネルの直径に関連して特定され、加圧装置28によって提供されるシステム圧力P
systは常にP1
limitよりも大きく、作動流体リザーバ又はタンク26内に存在するリザーバ圧力P
resは常にP1
limitよりも低い。
【0043】
図8において、ピストン20がロックされた状態にあり、これは、第1の圧力センサ42によって感知される感知圧力P1がP1
limitよりも高い場合に検出することができる。この状態において、逆転弁34は、ヘッド側64を加圧装置28及び供給ライン30とそれぞれ接続する第1の位置にある。
【0044】
図9は、ピストン20が作動しているがブロックされている状態を示しており、従って、ロックフィンガ10が、ピストン20及び液圧システム18’それぞれからの圧力によって伸長しようとするが、ブラケット12によってブロックされている場合を示す。第1の圧力センサ42において感知された圧力P1がP1
limitよりも低く、感知された圧力P1がリザーバ圧力P
resに等しい場合に、このピストン20が作動しているがブロックされている状態を検出することができる。これにより、逆転弁34は、ヘッド側64を供給ライン30に接続する第1の位置にある。この場合も、逆転弁34の位置は、ピストン20が作動しているがブロックされている位置にあることを検出するには必要とされない。
【0045】
図10は、第1の圧力センサ42によって感知される感知圧力P1が、P1
limitよりも低いがリザーバ圧力P
resよりも高い場合に検出することができる、ピストン20が完全に伸長した状態を示している。この状態、従ってピストン20が完全に伸長した状態において、逆転弁34は、ヘッド側34を供給ライン30と接続する第1の位置にある。逆転弁34の位置は、ピストン20が完全に伸長した状態を特定するには必要とされない。
【0046】
最後に、
図11は、ピストン20が完全に後退した状態を示しており、これは、第1の圧力センサ42によって感知される感知圧力P1がP1
limitよりも高い場合、及び逆転弁34がロッド側62を供給ライン30(図示せず)と接続する第2の位置にある場合に検出することができる。
【0047】
本明細書中にさらに開示するのは、以下である。
i)本発明による別の実施形態において、機械用の安全システムは、
-加圧装置と、
-ロック機構に連結される少なくとも1つの液圧シリンダであって、前記少なくとも1つの液圧シリンダは、圧力チャンバと、ヘッド及びロッドを有するピストンとを備え、ピストンは、液圧シリンダの長手方向に沿って移動可能である、少なくとも1つの液圧シリンダと、
-圧力チャンバへのチャネル及び開口部を介して圧力チャンバ内部の圧力を測定するよう設計される圧力センサと、
-ピストンのヘッドの周囲に周方向に配置されるシールと、
-少なくとも1つの液圧シリンダのヘッド側及びロッド側に接続される液圧システムであって、作動流体リザーバ及び加圧装置に接続される液圧システムと、
-圧力チャンバへの2つの開口部を有するバイパスチャネルであって、バイパスチャネル及びその開口部はそれぞれ、チャネル及びその開口部よりも少なくとも1つの液圧シリンダのロッド側に近接して配置され、バイパスチャネルの開口部は、液圧シリンダの長手方向において見て、圧力センサのチャネルの開口部から距離を置いて配置される、バイパスチャネルと、を備え、
シールは、少なくとも1つの液圧シリンダが伸長及び収縮している場合に、チャネルの開口部及びバイパスチャネルの開口部上を複数回移動するよう設計され、その結果、安全システムの少なくとも3つの異なる状態、例えば、ピストンが完全に伸長した状態、ピストンがロックされた状態、及びピストンが作動しているがブロックされている状態を検出することができる。
【0048】
ii)バイパスチャネルは、ピストンが完全に伸長した状態のピストンである場合にシールを橋絡するように配置される、i)に記載の実施形態。
iii)制限された圧力P1limitの値が規定され、P1limitはバイパスチャネルの直径に関連して特定され、加圧装置によって提供されるシステム圧力Psystは常にP1limitよりも大きく、作動流体リザーバ内に存在するリザーバ圧力Presは常にP1limitよりも低い、i)又はii)に記載の実施形態。
【0049】
iv)ピストンが完全に伸長した状態は、第1の圧力センサによって感知される感知圧力P1がP1limitよりも低いが、リザーバ圧力Presよりも高い場合に検出される、iii)に記載の実施形態。
【0050】
v)ピストンが作動しているがブロックされている状態は、感知圧力P1がP1limitよりも低い場合に検出され、感知圧力P1は、リザーバ圧力Presと少なくとも略等しい、iii)~v)のいずれかに記載の実施形態。
【0051】
vi)液圧システムは、弁の位置を特定するための読取装置に接続される弁をさらに備え、弁は、
液圧システムがヘッド側を加圧装置と接続し、ロッド側を作動流体リザーバと接続する第1の位置、又は、
液圧システムがロッド側を加圧装置と接続し、ヘッド側を作動流体リザーバと接続する第2の位置であって、弁及び読取装置が、安全システムの2つのさらなる状態の検出を可能にし、これらの2つの状態は、ピストンが完全に伸長した状態及びピストンが完全に後退した状態である、第2の位置、に設定することができる、i)~vi)のいずれかに記載の実施形態。
【0052】
vii)ピストンがロックされた状態は、第1の圧力センサによって感知される感知圧力P1がP1limitよりも高く、且つ逆転弁が第1の位置にある場合に検出される、vi)に記載の実施形態。
【0053】
viii)ピストンが完全に後退した状態は、圧力センサによって感知される感知圧力P1がP1limitよりも高く、且つ弁が第2の位置にある場合に検出することができる、vi)に記載の実施形態。
【0054】
本発明は、ここに、種々の実施形態を用いて説明してきた。特に、
図7~
図11に示す実施形態は、例えばヘッド側に近接して配置される第2の圧力センサと組み合わせることもできる。加えて、第1の圧力センサ42及びバイパスチャネル58の位置は、ピストン20が完全に後退した状態にある場合にバイパスチャネル58がシール装置52を橋絡するように切り替えられてもよい。当業者であれば、そのような変更が本発明の適用範囲に含まれることを理解する。
【外国語明細書】