(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037177
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】パイプガイド装置
(51)【国際特許分類】
F16L 3/10 20060101AFI20240311BHJP
F16L 3/18 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16L3/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143957
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】2208899
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】セドリック、フェルゲイラス
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、ル、ジャンティ
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB07
3H023AC08
3H023AC63
3H023AD31
3H023AD54
3H023AD55
3H023AE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非粘着性コーティングの破損のリスクを低減しながら摩擦を制限することを可能にする。
【解決手段】第1の軸Xに沿って移動されるパイプのためのガイド装置10であって、第1の軸Xと実質的に平行な第1の平面P1内で延在する前面を備える受け板を備える支持体51と、受け板の前面に固定されてパイプと第1の線接触部13を形成している非粘着性コーティングフィルム12と、パイプを取り囲む内面15を有するU字形セクションを有する支持カラー14であって、U字形セクションのそれぞれの両側で延在する2つの端部分16,17によって第1の平面P1と実質的に平行な第2の平面P2内で延在される支持カラー14と、それぞれの端部分16,17を支持体51に固定するための固定手段18と、パイプと少なくとも1つの第2の線接触部23を形成する内面15に固定される円形の非粘着性コーティングパッド19と、を備えるガイド装置10。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸(X)に沿って移動されるようになっているパイプ(11)のためのガイド装置(10,20,30,40)であって、
-前面(53)及び後面(54)を備える受け板(52)を備える支持体(51)であって、前記前面(53)が、前記第1の軸(X)と実質的に平行な第1の平面(P1)内で延在する、支持体(51)と、
-前記受け板(52)の前記前面(53)に固定され、前記パイプ(11)と第1の線接触部(13)を形成するようになっている非粘着性コーティングフィルム(12)と、
-前記パイプを取り囲むようになっているいわゆる内面(15)を有するU字形セクションを有する支持カラー(14)であって、前記U字形セクションのそれぞれの両側で延在する2つの端部分(16,17)によって前記第1の平面(P1)と実質的に平行な第2の平面(P2)内で延在される、支持カラー(14)と、
-それぞれの端部分(16,17)に関して、前記端部分(16,17)を前記支持体(51)に固定するための固定手段(18)と、
-前記パイプと少なくとも1つの第2の線接触部(23,24,25)を形成するようになっている前記U字形セクションの前記いわゆる内面(15)に固定される少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッド(19,21,22)と、
を備えることを特徴とするガイド装置(10,20,30,40)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッド(19,21,22)が、前記少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッド(19,21,22)の中心に配置される固定手段(26)によって前記U字形セクションの前記いわゆる内面(15)に固定される、請求項1に記載のガイド装置(10,20,30,40)。
【請求項3】
前記非粘着性コーティングがフルオロポリマー、好ましくはポリテトラフルオロエチレンである、請求項1又は2に記載のガイド装置(10,20,30,40)。
【請求項4】
前記U字形セクションが、前記第1の平面(P1)から距離を隔てて前記第1の平面(P1)と実質的に平行な中央部分(31)と、前記中央部分(31)のそれぞれの両側で前記端部分(16,17)の一方及び他方まで延在する2つの側方部分(32,33)とを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のガイド装置(10,20,30,40)。
【請求項5】
前記2つの側方部分(32,33)のそれぞれが、前記中央部分(31)と鈍角(41)を成す、請求項4に記載のガイド装置(20)。
【請求項6】
前記2つの側方部分(32,33)のそれぞれが、前記中央部分(31)と直角(42)を成す、請求項4に記載のガイド装置(10,30,40)。
【請求項7】
タンク内で延びるようになっているパイプ(11)のためのガイドアセンブリ(50)であって、請求項1から6のいずれか一項に記載のガイド装置(10,20,30,40)と、前記受け板(52)の前記後面(54)に接続される固定タブ(55)とを備え、前記固定タブ(55)が前記タンクの壁に接続されるようになっていることを特徴とする、ガイドアセンブリ(50)。
【請求項8】
液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクにおける壁であって、前記壁は、外部から内部に向かう厚さ方向で連続的に、
-支持構造体に直接的又は間接的に当接するようになっている少なくとも1つの断熱パネル(1)と、
-前記少なくとも1つの断熱パネル(1)に当接し、前記タンク内に収容された前記液化ガスと接触するようになっているシール膜(7)と、
-前記タンク内に前記液化ガスを導入するようになっているパイプ(11)のための請求項7に記載のガイドアセンブリ(50)であって、前記固定タブが前記シール膜(7)に溶接されている、ガイドアセンブリ(50)と、
を含む壁。
【請求項9】
請求項8に記載の少なくとも1つの壁を備える、液化ガスを収容するようになっている船舶の密閉断熱タンク。
【請求項10】
支持構造体を形成する船体と、前記支持構造体上に固定された請求項9に記載のタンクとを含む船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形断面のパイプ用のガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のガイド装置は、より詳細には、スプレーマニホールド型のパイプ又は任意の他のタイプのパイプ(例えば、タイプ排出ライン、フィーダライン又は燃料戻りライン、レーダーのパイプ)を保持して案内するために、液化ガスの輸送及び/又は貯蔵のための密閉断熱タンク内で使用されるようになっている。
【0003】
各タンク壁は、厚さ方向で、タンクの内部から外部に連続的に、タンクに収容された流体と接触するようになっている少なくとも1つのシール膜と、支持構造体に当接するようになっている1つの断熱障壁とを特徴とする。或いは、壁は、2つのレベルのシール及び断熱を等しく含むことができる。
【0004】
タンクは、一般に、液化ガスをタンク内に供給又は注入するための少なくとも1つのパイプ又はスプレーマニホールドを含む。この種のパイプは、タンクの壁に固定された支持体と、パイプを受けて、保持し、案内するようになっているガイド装置とを備えるガイドアセンブリによって壁に沿って案内される。支持体は、一般に、シール膜に溶接される。
【0005】
図1は、既知の従来技術のガイド装置5を表す。ガイド装置5は、嵌合されるとガイド装置5を通過するパイプを案内することを目的としている。第1の軸Xに沿って移動されるようになっているパイプ用のガイド装置5は、前面53及び後面54を備える受け板52を備える支持体51を備え、前面53は、第1の軸Xと実質的に平行な第1の平面P1内で延在する。ガイド装置5は、第1の平面P1内で延在して受け板52の前面53に固定された非粘着性コーティングフィルム12を備える。パイプ(図示せず)がガイド装置内の所定の位置にあるときに、非粘着性コーティングフィルム12がパイプと第1の線接触部を形成する。言い換えれば、パイプ及びフィルム12は、第1の線接触部を形成する直線セグメントに対して接線方向である。
【0006】
ガイド装置5は、円形断面のパイプを取り囲むために、本質的に丸みを帯びた形状の支持カラー4を更に備える。支持カラー4は、支持カラー4のそれぞれの端部で延在する2つの端部分によって、第1の平面P1と実質的に平行な第2の平面P2内で延在する。各端部分において、ガイド装置は、端部分を支持体51に固定するための固定手段18を備える。最後に、ガイド装置5は、カラー4の内面に固定された更なる非粘着性コーティングフィルム12’を備える。更なるフィルム12’は、パイプと表面接触部を形成する。
【0007】
したがって、支持カラー4の丸みを帯びた形状は、支持体のカラーの内面に当て付いて配置された更なるフィルム12’とパイプの外壁との間に形成される表面接触部のおかげで、パイプを確実に案内するべく、パイプの円形形状を可能な限り最適に支持するように設けられる。
【0008】
ガイド装置5は、支持体51によってタンクの壁に固定される。より正確には、非粘着性コーティングフィルム12及び12’は、固定手段18によって、受け板52の前面と支持カラー4の内面との間の位置に保持される。したがって、固定手段18は、支持カラーの端部分、更なる非粘着性コーティングフィルム12’、及び非粘着性コーティングフィルム12を一緒に支持体51に固定する。
【0009】
図2は、第1の軸Xと直交する平面上の断面で従来技術から知られているパイプガイド装置5を見た図を表す。この図では、支持体51がタンクの壁に固定される。より正確には、支持体51がシール膜7に溶接される。パイプ11が示される。
【0010】
フィルム12は、パイプと第1の線接触部13を形成し、フィルム12’は、パイプ11の外側半分の表面の位置で表面接触部を形成する。言い換えれば、フィルム12’は、パイプの外側部分の半分にわたってパイプと接触している。
【0011】
フィルム12、12’は、ガイド装置において重要な機能を有する。実際に、パイプは、一般にステンレス鋼などの金属から形成される支持カラー内で摺動させられる。非粘着性コーティングフィルム12及び12’は、支持カラー又はパイプのいずれも劣化させることなく、パイプがガイド装置内で摺動できるようにする。
【0012】
図2に見られるように、フィルム12’は、支持カラーの内面全体を覆う。支持カラーは、パイプの相補的な形状に対応する丸みを帯びた形状を有する。フィルム12’は、支持カラーの丸みを帯びた形状を支持する。したがって、パイプは、パイプとガイド装置との間の摩擦が最小限に低減されることを保証しながら、支持カラー内で案内されて所定位置に保持される。
【0013】
全体的に満足のいくものであるが、この解決策には欠点がある。すなわち、一般に取り付け誤差に関連するフィルム12及び12’とパイプとの間の機能的クリアランスがない場合、摩擦が高すぎる。ここで、パイプは、ガイド装置内で移動されて、低温で収縮し、高温で膨張する。高すぎる摩擦及びそのガイド装置内でのパイプの反復運動に起因して、これに抵抗するには全体的に薄すぎる非粘着性コーティングフィルムが損傷する。その結果、固定手段18によって支持カラーの端部分の位置においてそれらの端部でのみ固定された非粘着性コーティングフィルムは、破断して支持カラーから離脱する可能性がある。これは、パイプのための摺動機能を正確に与えることができない欠陥のガイド装置をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この問題を解決するために想定される解決策は、特にフィルムを支持カラーの内面に接着することによって、フィルム12’を支持カラーの内面に固定することであり得る。しかしながら、本出願人は、この種の解決策は回避されるべきであると考えている。実際に、非粘着性コーティングフィルム12’(一般に、PTFE又はその商標名Teflon(登録商標)としても知られるポリテトラフルオロエチレンから形成される)は、支持カラー(一般的にはステンレス鋼から形成される)の膨張係数よりも高い膨張係数を有する。したがって、結果として破損するリスクがあるフィルム12’に対するいかなる応力も防止するようにフィルム12’が自由なままであることが好ましい。
【0015】
本発明は、堅牢で、装着が容易であり、非粘着性コーティングの位置の容易な確認を可能にする新しいガイド装置を提案することによって、上記で挙げた問題の一部又は全部を軽減することを目的とする。更に、本発明に係るガイド装置は、非粘着性コーティングの破損のリスクを低減しながら摩擦を制限することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、第1の軸に沿って移動されるようになっているパイプのためのガイド装置を目的のために有し、該ガイド装置は、
-前面及び後面を備える受け板を備える支持体であって、前面が、第1の軸と実質的に平行な第1の平面内で延在する、支持体と、
-受け板の前面に固定され、パイプと第1の線接触部を形成するようになっている非粘着性コーティングフィルムと、
-パイプを取り囲むようになっているいわゆる内面を有するU字形セクションを有する支持カラーであって、U字形セクションのそれぞれの両側で延在する2つの端部分によって第1の平面と実質的に平行な第2の平面内で延在される、支持カラーと、
-それぞれの端部分に関して、端部分を支持体に固定するための固定手段と、
-パイプと少なくとも1つの第2の線接触部を形成するようになっているU字形セクションのいわゆる内面に固定される少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッドと、
を備える。
【0017】
本発明に係るガイド装置の一実施形態において、少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッドは、前記少なくとも1つの円形の非粘着性コーティングパッドの中心に配置された固定手段によってU字形セクションのいわゆる内面に固定される。
【0018】
好適には、非粘着性コーティングは、フルオロポリマー、好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。
【0019】
好適には、U字形セクションは、第1の平面から距離を隔てて第1の平面と実質的に平行な中央部分と、中央部分のそれぞれの両側で端部分の一方及び他方まで延在する2つの側方部分とを備える。
【0020】
本発明に係るガイド装置の一実施形態では、2つの側方部分のそれぞれが中央部分と鈍角を成す。
【0021】
本発明に係るガイド装置の他の実施形態では、2つの側方部分のそれぞれが中央部分と直角を成す。
【0022】
また、本発明は、タンク内で延びるようになっているパイプのためのガイドアセンブリにも関連し、ガイドアセンブリは、ガイド装置と、受け板の後面に接続される固定タブとを備え、固定タブがタンクの壁に接続されるようになっている。
【0023】
また、本発明は、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクにおける壁にも関連し、該壁は、外部から内部に向かう厚さ方向で連続的に、
-支持構造体に直接的又は間接的に当接するようになっている少なくとも1つの断熱パネルと、
-少なくとも1つの断熱パネルに当接し、タンク内に収容された液化ガスと接触するようになっているシール膜と、
-タンク内に液化ガスを導入するようになっているパイプのためのガイドアセンブリであって、固定タブがシール膜に溶接されている、ガイドアセンブリと、
を含む。
【0024】
また、本発明は、そのような壁を備えるとともに、液化ガスを収容するようになっている船舶の密閉断熱タンクにも関する。
【0025】
また、本発明は、支持構造体を形成する船体と、前記支持構造体上に固定された上記種類のタンクとを含む船舶にも関する。
【0026】
更に、本発明に係るガイド装置は、以下の特徴の1つ以上を別々に又は組み合わせて有することができる。
【0027】
記載された本発明の態様は、その組み合わせにおいて又は別個に具体的に記載されているか否か(特許請求の範囲に記載されているものを含む)にかかわらず、1つ以上の例、実施形態又は特徴を別々に又は多様な組み合わせで含むことができる。
【0028】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他のものは、非限定的な例として提供される添付図面に関連して与えられる以下の説明に基づいてより明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術から知られているパイプガイド装置を表す。
【
図2】従来技術から知られているパイプガイド装置の断面図を表す。
【
図3】本発明に係るガイド装置の第1の実施形態を表す。
【
図4】本発明に係るガイド装置の第2の実施形態を表す。
【
図5】本発明に係るガイド装置の第3の実施形態を表す。
【
図6】本発明に係るガイド装置の第4の実施形態を備える本発明に係るガイドアセンブリを表す。
【
図7】本発明に係るガイドアセンブリの側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
明確にするために、同じ要素は、様々な図において同じ参照番号を有する。
【0031】
図1は、従来技術から知られているパイプガイド装置を示す。この図については既に前述した。
【0032】
図2は、従来技術から知られており、既に前述したパイプガイド装置の断面図である。
【0033】
図3は、本発明に係るパイプガイド装置10の第1の実施形態を表す。この種のガイド装置は、より具体的には、液化ガスの輸送及び/又は貯蔵のための密閉断熱タンク内で使用されるようになっており、広い温度変動に晒される。この結果、パイプは、低温で収縮し、高温で膨張する。したがって、パイプは、そのガイド装置内で並進移動する。第1の軸Xに沿って移動されるようになっているパイプ11(図示せず)のためのガイド装置10は、前面53及び後面54を備える受け板52を備える支持体51を備え、前面53は、第1の軸Xと実質的に平行な第1の平面P1内で延在する。ガイド装置10は、受け板52の前面53に固定された非粘着性コーティングフィルム12を備え、非粘着性コーティングフィルム12は、パイプ11と第1の線接触部13を形成するようになっている。パイプは一般に円形断面であり、パイプ及び非粘着性コーティングフィルム12は直線セグメント13に対して接線方向である(第1の軸Xと平行である)。
【0034】
ガイド装置10は、パイプを取り囲むようになっているいわゆる内面15を有するU字形セクション(又はU字形ゾーン)から成る支持カラー14を備える。支持カラー14は、U字形セクションのそれぞれの両側で延在する2つの端部分(又は端部分)16、17によって、第1の平面P1と実質的に平行な第2の平面P2内で延在される。支持カラー14に関して、セクション、ゾーン、及び部分という用語は、図から分かるように、支持カラーの一部を画定する。
【0035】
U字形とは、第1の平面P1から距離を隔てて平面P1と実質的に平行な中央部分31と、中央部分31のそれぞれの両側で一方及び他方の端部分16、17に至るまで中央部分31と交差する平面内でそれぞれ延在する2つの側方部分32、33とを有する形状であると理解されなければならない。
【0036】
図3に示される実施形態では、2つの側方部分32、33のそれぞれが中央部分31と直角42を成す。
【0037】
各端部分16、17に関して、ガイド装置10は、端部分16、17を支持体51に固定するための固定手段18を備える。固定手段18は、ナット・アンド・ボルト・アセンブリ又はリベット又は任意の他の適切な固定手段であってもよい。更に、固定手段18は、2つのナット・アンド・ボルトアセンブリ又は2つのリベットであってもよい。
【0038】
本発明によれば、ガイド装置10は、パイプと第2の線接触部23を形成するようになっている、U字形セクションのいわゆる内面15に固定される円形の非粘着性コーティングパッド19を備える。図から明らかなように、内面15は、非粘着性コーティングフィルム12に面して配置される支持カラーの表面に対応する。円形パッド19は、固定手段26、例えばねじ又はリベットによって支持カラーに固定される。円形パッドとは、円形形状のパッドと理解されなければならない。すなわち、円形パッドは、それが延在する平面(換言すれば、円形パッドが固定される部分(中央部分31又は側方部分32、33)と局所的に平行な平面)内に円形断面を有する。非限定的な例として、円形パッドは、60又は80mm程度の直径及び5mmの厚さを有することができる。明らかに、円形パッドの寸法は、パイプ及び支持カラーの寸法の関数として適合される。円形パッドの直径は、好ましくは、支持カラー14のいわゆる内面15の幅に等しい。
【0039】
本発明との関連で、非限定的な例として、非粘着性コーティングは、フルオロポリマー、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE、商標名テフロン(登録商標)でより良く知られている)、又はパーフルオロアルコキシ(PFA)、又はフルオロエチレンプロピレン(FEP)から形成されてもよい。
【0040】
これらの特徴のおかげで、ガイド装置10は、パイプを2つの線接触部13、23に起因して支持カラーを通じて摺動する際に案内できるようにしつつパイプの保持を可能にする。支持カラー14は、摺動を可能にするために、2つのセグメント13,23間の距離が数ミリメートル(一般的には、この種のパイプでは0.5mm~3mm)の公差を伴ってパイプの外径(一般的には、60mm程度)に対応ように寸法付けられる。
【0041】
非粘着性コーティングパッド19は、好ましくは、前記少なくとも1つの非粘着性コーティングパッド19の中心に配置された固定手段26によってU字形ゾーンのいわゆる内面15に固定される。更に、パッドは円形形状を成しており、パッドは固定手段の周りで全体的に対称である。これらの特徴は、制御された厚さの固定円形パッドに起因して堅牢なガイド装置を得ることを可能にする。更に、パッドの位置決めが保証され、パッドとパイプとの間のクリアランス(0.5mm~3mmとして規定される)は、線接触部に起因して制御が容易である。
【0042】
前述したように、固定手段26は、ねじ又はリベットであってもよい。パッドは、固定手段の通過を可能にするパッドを通る通路チャネルを有する。更に、通路チャネルは、パッドの上面に、固定手段26のヘッド(リベット頭又はねじ頭)を受けるように構成された開口を備え、ヘッドがパッドから突出しないようにする。言い換えれば、パッド内の通路チャネルは、固定手段26がその上面を超えて突出しないようにする。したがって、パイプはパッドと線接触する。
【0043】
これらの特徴のおかげで、パッドは、支持カラーへの取り付けポイントを1つだけ有する。これにより、タンクが冷却されているときの熱収縮の問題が回避される。これは、収縮が支持カラー上のパッドの唯一の取り付けポイントに関して対称的に生じるためである。
【0044】
パイプは一般に円形断面であるが、本発明の特定の特徴は、互いに角度を成す部分を有する(すなわち、丸みを帯びていない全体形状を成す)U字形の支持カラーと円形の非粘着性パッドとの組み合わせに基づく。言い換えれば、従来技術から知られているガイド装置又は各ガイド装置は、パイプ案内機能をもたらしてカラー内のパイプの摺動を可能にするために支持カラーとパイプとの間の接触面積に有利に作用するが、本発明に係るガイド装置は、パイプの良好な案内及び摺動を保証しながらこの接触面積を減少させることを目的とする点で革新的である。円形パッドは、表面接触部よりも線接触部の方が摩擦が少なくなるようにする。本発明に係るガイド装置は、パイプを案内するその機能と、パイプの収縮/伸長中にパイプが摺動する可能性の両方を保証する。
【0045】
図3に示される実施形態では、中央部分31が側方部分32、33よりも幅広い。支持カラー14のこの形態は、第1の平面P1と平行な軸に沿った並進における自由度をパイプに与える自由由空間を可能にする。言い換えれば、軸Xに沿う摺動を許容することに加えて、軸Xに対して垂直な支持カラー内のパイプの並進移動も可能になる。熱収縮に起因して低温時にパイプを位置決めするのに必要であるこの並進における自由度は、タンク内のガイド装置の位置決め構成に従って。タンクの壁に沿ったパイプの位置決めの適合を可能にする。
【0046】
なお、この並進における自由度は任意選択的である。他の実施形態において、中央部分31は、側方部分32、33の高さと同じ幅であってもよい。この形態において、パイプ11は、第1の軸Xに沿って摺動する可能性のみを有する。
【0047】
図4は、本発明に係るガイド装置20の第2の実施形態を表す。ガイド装置20は、ガイド装置10と同じ要素を備える。本発明のこの実施形態では、2つの側方部分32、33のそれぞれは、中央部分31と鈍角41を成す。非限定的な例として、角度41は120°程度であってもよい。
【0048】
更に、ガイド装置20は、側方部分33及び側方部分32の位置でカラー14のいわゆる内面に固定された2つの円形の非粘着性コーティングパッド21、22をそれぞれ備える。この形態において、U字形ゾーンのいわゆる内面15に固定された2つの円形の非粘着性コーティングパッド21、22は、パイプと2つの線接触部24,25を形成するようになっている(線接触部25は示されない)。2つの線接触部24、25及び第1の線接触部13は、非粘着性コーティングによるパイプとガイド装置との間の3つの接触セグメントを保証する。ここでも、支持カラーの正確な寸法及びパッドの厚さは、スプレーマニホールドのガイド装置が機能するために必要な摺動機能を確保しながらガイド装置とパイプとの間の接触面積を低減することを可能にする。更に、パイプの両側に2つの非粘着性コーティングパッド21、22を位置させることにより、パイプを垂直に移動させないようにすることができ、すなわち、第1の平面P1と平行に延びる第1の軸Xに対して垂直な軸に沿うパイプの並進移動がない。したがって、パッド21,22の適切な位置決めは、パイプをその軸Xに対して垂直に移動させないようにしつつ、パイプが第1の軸Xに沿って摺動する可能性を保証する。
【0049】
図5は、本発明に係るガイド装置30の第3の実施形態を表す。ガイド装置30は、ガイド装置20と同じ要素を備える。本発明のこの実施形態において、2つの側方部分32、33のそれぞれは、中央部分31と直角を成す。ガイド装置20と同様に、ガイド装置30において、2つの非粘着性コーティングパッド21,22は、側方部分33及び側方部分32の位置でそれぞれ、カラー14のいわゆる内面に固定される。
【0050】
図5に示される形態(円形パッドが各側方部分32、33に固定される)では、中央部分31の形状にかかわらず、本発明の範囲からの逸脱がないことに留意されたい。中央部分は、
図5に示されるように平面であってもよく、又はより丸みを帯びた形状(例えば、側方部分に隣接する半円筒の形態)をとることができる。
【0051】
この変形実施形態では、中央部分31と非粘着性コーティングフィルム12との間の距離は、パイプの外径よりも数ミリメートル程度、例えば9mm大きくてもよい。支持カラー14のこの形態は、第1の平面P1に対して垂直な軸に沿う並進の自由度をパイプに与える自由空間の提供を可能にする。言い換えれば、軸Xに沿う摺動を許容することに加えて、軸Xに対して垂直な支持カラー内のパイプの並進移動も可能になる。この並進の自由度により、タンクの壁に沿うパイプの位置決めを適合させることが可能になる。それは、熱収縮に起因する低温での必要な付加的自由度である。この種の付加的自由度は、幾つかのガイド装置では、タンク内のパイプの固定ポイントに対するガイド装置の位置の関数として一意的に必要である。
【0052】
図6は、本発明に係るガイド装置40の第4の実施形態を備える本発明に係るガイドアセンブリ50を表す。ガイド装置40は、ガイド装置20と同じ要素を備える。本発明のこの実施形態において、2つの側方部分32、33のそれぞれは、中央部分31と直角を成す。ガイド装置20と同様に、ガイド装置40において、2つの非粘着性コーティングパッド21、22は、側方部分33及び側方部分32の位置でそれぞれ、カラー14のいわゆる内面に固定される。ガイド装置40は、支持カラーの中央部分31のいわゆる内面の位置に非粘着性コーティングパッド19を更に備える。
【0053】
ガイドアセンブリ50は、ガイド装置40と、受け板52の後面54に接続された固定タブ55とを備え、固定タブ55は、タンクの壁に直接的又は間接的に接続されるようになっている。本発明との関連で、ガイドアセンブリは、前述の任意の他のガイド装置10、20、30を備えてもよいことに留意されたい。
【0054】
また、受け板は、タンクの壁に固定されるようにもなっている。固定タブは、受け板52のための補強材を構成する。
【0055】
図7は、本発明に係るガイドアセンブリ50の側面図を表す。特に、前述した本発明に係るガイド装置の他の実施形態における線接触部13,23,24,25を見ることができる。
【0056】
本発明のおかげで、支持カラーの形状にかかわらず、非粘着性コーティングパッドの1つの形態のみを考慮することが可能である。
【0057】
更に、円形パッドを固定することにより、非粘着性コーティングとパイプとの間の機能的クリアランスを制御することが可能になる。これにより、非粘着性コーティングの破損のリスクが低減される。
【0058】
円形パッドを固定することにより、パイプとガイド装置との間の接触面積を低減することも可能になる。非粘着性コーティング面積のこの減少は、パイプとガイド装置との間の摩擦の制限に寄与する。これは、非粘着性コーティングの破損のリスクの低減ももたらす。
【0059】
また、本発明は、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクにおける壁にも関連し、該壁は、外部から内部に向かう厚さ方向で連続的に、
-支持構造体に直接的又は間接的に当接するようになっている少なくとも1つの断熱パネルと、
-少なくとも1つの断熱パネルに当接し、タンク内に収容された液化ガスと接触するようになっているシール膜7と、
-タンク内に液化ガスを導入するようになっているパイプ11のためのガイドアセンブリ50であって、固定タブがシール膜7に溶接されている、ガイドアセンブリ50と、
を備える。
【0060】
また、本発明は、少なくとも1つのそのような壁を備えるとともに、液化ガスを収容するようになっている船舶の密閉断熱タンクにも関する。
【0061】
最後に、本発明は、支持構造体を形成する船体と、前記支持構造体上に固定された前述のタンクとを備える船舶にも関する。
【0062】
今まさに開示された教示内容に照らして、上記の実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者にはより一般的に明らかである。以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書に開示された実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、その背景知識に基づいて当業者の技術の範囲内にあるそれらの定式化及び予測によって特許請求の範囲が網羅することを意図する全ての均等物を含むと解釈されるべきである。
【外国語明細書】