(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037183
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ペット用囲い
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A01K1/01 801J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144450
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2022141489
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137188
【氏名又は名称】株式会社凡美社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】米田 太一
(72)【発明者】
【氏名】森本 ももこ
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101CA06
2B101CA08
(57)【要約】
【課題】嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性を確保すること。
【解決手段】床面に設置されるとともにペットPが乗る底面パネル2と、底面パネル2の縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネル3を備え、壁面パネル3によって外部と仕切られた内部空間Sに対してペットPが出入り可能に内部空間Sの上面および前面に亘って開口する開口部Saを有し、壁面パネル3は、板状のパネル本体3aと、パネル本体3aに対して折り曲げ可能に補強折り目4を介して突出する突出片3bを備え、補強折り目4は、パネル本体3aにおける、開口部Saの縁部51に沿って形成された。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネルと、
該底面パネルの縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネルを備え、
上記壁面パネルによって外部と仕切られた内部空間に対してペットが出入り可能に上記内部空間の上面および前面に亘って開口する開口部を有し、
上記壁面パネルは、板状のパネル本体と、該パネル本体に対して折り曲げ可能に補強折り目を介して突出する突出片を備え、
上記補強折り目は、上記パネル本体における、上記開口部の縁部に沿って形成された
ペット用囲い。
【請求項2】
上記開口縁部を補強する補強部材を該開口縁部に備え、
上記補強部材は、上記突出片が上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持可能に形成された
請求項1に記載のペット用囲い。
【請求項3】
上記壁面パネルには、該壁面パネルを折り曲げ可能とする壁面折り目が形成され、
上記補強部材は、上記開口縁部に対して着脱可能に備えた
請求項2に記載のペット用囲い。
【請求項4】
上記補強部材は、上記突出片に当接する突出片ガイド部と、上記パネル本体の上記開口縁部に当接するパネル本体ガイド部とを備え、
上記突出片ガイド部と上記パネル本体ガイド部とは、互いに鋭角状となる成す角度で互いの基端部において結合され、
上記突出片ガイド部の先端部に、上記パネル本体ガイド部に向けて突出する係合突部が、上記突出片の先端部と係合可能に設けられた
請求項3に記載のペット用囲い。
【請求項5】
上記突出片と上記補強部材のうち少なくとも一方は、上記壁面折り目を跨ぐように上記開口縁部に沿って連続して形成された
請求項3に記載のペット用囲い。
【請求項6】
上記壁面折り目は、上記パネル本体から上記補強折り目を越えて上記突出片に至るまで連続して形成され、
上記突出片と上記補強部材との双方は、上記壁面折り目を跨ぐように上記開口縁部に沿って連続して形成された
請求項5に記載のペット用囲い。
【請求項7】
上記壁面パネルは、上記底面パネルの後縁部から立設された背面パネルと、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、
上記突出片は、上記背面パネル、上記右側面パネルおよび上記左側面パネルの夫々の上記開口縁部の略全長に亘って形成された
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載のペット用囲い。
【請求項8】
上記右側面パネルと上記左側面パネルとのうち、少なくとも一方は、上記開口縁部が上記背面パネルの上記開口縁部と上記底面パネルの上記開口縁部とを結ぶように側面視で傾斜して形成された
請求項7に記載のペット用囲い。
【請求項9】
床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネルと、
該底面パネルの縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネルを備え、
上記壁面パネルによって外部と仕切られた内部空間に対してペットが出入り可能に上記内部空間の上面および前面に亘って開口する開口部を有し、
上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち少なくとも何れかのパネルの上記開口部の縁部には、該開口部の縁部に沿って延びる補強芯材を備えた
ペット用囲い。
【請求項10】
上記補強芯材を内部に挿脱可能に保持する筒状保持部が上記開口部の縁部に沿って形成された
請求項9に記載のペット用囲い。
【請求項11】
上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち、上記筒状保持部を有するパネルには、上記開口部の縁部の側へ折り返し可能に該開口部の縁部から突出する折返し片が形成され、
上記筒状保持部は、折り返した上記折返し片と上記開口部の縁部とで筒状となるように互いに重合して形成された
請求項10に記載のペット用囲い。
【請求項12】
上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち隣接する一対のパネルとの対向縁部において、上記一対のパネルのうち、一方のパネルから他方のパネルへ折り曲げ可能に突出する折曲げ片が形成され、上記折曲げ片は、上記開口縁部に重合するように折り曲げられ、上記補強芯材は、上記折曲げ片を折り曲げ状態に保持可能に上記開口縁部に沿って配置された
請求項9に記載のペット用囲い。
【請求項13】
上記補強芯材は、上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち隣接するパネル間の角部に対応する角度で屈曲形成された屈曲部を有するとともに、上記屈曲部を介して隣接する上記パネルに跨って延在する
請求項9に記載のペット用囲い。
【請求項14】
上記壁面パネルは、上記底面パネルの後縁部から立設された背面パネルと、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、
上記開口部は、上記内部空間の上面が開口する上方開口部を有し、
上記上方開口部の縁部は、上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上方開口縁部であり、
上記補強芯材は、上記上方開口縁部に沿って配置される上側補強芯材を備え、
上記上側補強芯材は、上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上記上方開口縁部に亘って連続して形成された
請求項13に記載のペット用囲い。
【請求項15】
上記壁面パネルは、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、
上記開口部は、上記内部空間の前面が開口する前方開口部を有し、
上記前方開口部の縁部は、上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の前方開口縁部であり、
上記補強芯材は、上記前方開口縁部に沿って配置される前側補強芯材を備え、
上記前側補強芯材は、上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上記前方開口縁部に亘って連続して形成された
請求項13に記載のペット用囲い。
【請求項16】
上記前側補強芯材は、上記底面パネルの上記前方開口縁部に対して下方向へ突出または退避可能に形成された
請求項15に記載のペット用囲い。
【請求項17】
上記壁面パネルは、板状のパネル本体と、該パネル本体に対して折り曲げ可能に補強折り目を介して突出する突出片を備え、
上記補強折り目は、上記パネル本体における、上記開口部の縁部に沿って形成された
請求項9に記載のペット用囲い。
【請求項18】
上記開口縁部を補強する補強部材を該開口縁部に備え、
上記補強部材は、上記突出片が上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持可能に形成された
請求項17に記載のペット用囲い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋内の床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネルと、底面パネルを底面とする内部空間と周囲を仕切る縦壁状の壁面パネルを備えたペット用囲いに関し、屋内で飼育しているペット用のトイレとして適用することが好ましいペット用囲いに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のペット用トイレの中には、底部や壁部の内部が中空状となるように樹脂成形によって形成されたものが知られている。このようなペット用トイレにおいては、底部や壁部が一定の厚みを有するため屋内の床面に設置した状態において嵩張るおそれがある。特に、尿等の排泄物が周囲に飛散しないようにガードする機能を高めるために壁部を高く形成すればする程、このような課題が顕著になるおそれがある。
【0003】
これに対して、ペット用囲いの一態様としてのペット用トイレの中には、特許文献1に例示するように、底面パネルと壁面パネルとを備えたパネル構造で形成されたものも知られている。
【0004】
特許文献1のペット用トイレは、底部や壁部が一定の厚みを有する樹脂成形品と比して嵩張らない構成としながらも、パネル同士を連結したりパネル自体を折り曲げたりすることで床面に自立して設置可能に形成されている。
【0005】
しかし、特許文献1のペット用トイレは、内部空間に対してペットが出入りするための開口が前方から上方に亘って形成され、開口部の縁部(開口縁部)、すなわち、壁面パネルの上縁部が自由端となる。このため、壁面パネルは、開口縁部が外力に対して変形する等して倒れ易く、特に、排泄物の飛散ガード機能を高めるために壁面パネルを高く形成した場合は、このような課題が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性を確保することができるペット用囲いを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のペット用囲いは、床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネルと、該底面パネルの縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネルを備え、上記壁面パネルによって外部と仕切られた内部空間に対してペットが出入り可能に上記内部空間の上面および前面に亘って開口する開口部を有し、上記壁面パネルは、板状のパネル本体と、該パネル本体に対して折り曲げ可能に補強折り目を介して突出する突出片を備え、上記補強折り目は、上記パネル本体における、上記開口部の縁部(開口縁部)に沿って形成されたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、補強折り目において突出片をパネル本体に対して折り曲げることにより、補強折り目が開口縁部に沿って延びる稜線として形成されるため、壁面パネルの自由端である開口縁部の強度を高めることができる。
従って、ペット用囲いは、軽量かつ嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性を確保することができる。
【0010】
このように、ペット用囲いは、優れた自立性を有するため、壁面パネルの高さを高く形成できる。特に、ペット用囲いをペット用トイレとして利用する場合には、排泄物が周辺に飛散しないようにガードする機能を高めることができる。
【0011】
ここで、上記底面パネルおよび上記壁面パネルは、可撓性および撥水性(防水性)を有するパネル部材で形成されることが好ましい。例えば、合成樹脂製のシート(プラスチックシート)、ラミネートシート、厚紙、木材等で形成することができ、適宜、防水加工、撥水加工を施してもよい。
上記ペットは、例えば、犬、猫、ウサギなど主に室内で飼育される飼育動物であれば特に限定しない。
【0012】
この発明の態様として、上記開口縁部を補強する補強部材を該開口縁部に備え、上記補強部材は、上記突出片が上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持可能に形成されたものである。
【0013】
上記構成によれば、開口縁部に取り付けられた補強部材は、上記突出片を上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持することで、開口縁部に沿って補強折り目(稜線)を確実に形成することができる。
【0014】
従って、頑強又は大型の補強部材を備えずとも壁面パネルの自由端である開口縁部周辺の強度を格段に高めることができ、結果として壁面パネルの自立性を高めることができる。
【0015】
上記補強部材は、上記突出片が上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持するにあたり、上記パネル本体に対する上記突出片の屈曲角度が所定の鋭角になるように保持することが好ましいが、これに限らず、直角或いは所定の鈍角になるように上保持してもよい。
【0016】
またこの発明の態様として、上記壁面パネルには、該壁面パネルを折り曲げ可能とする壁面折り目が形成され、上記補強部材は上記開口縁部に対して着脱可能に備えたものである。
【0017】
上記構成によれば、補強部材を開口縁部から取り外し、壁面折り目によって壁面パネルを折り畳むことで、ペット用囲いはコンパクトに折り畳むことができる。
【0018】
またこの発明の態様として、上記補強部材は、上記突出片に当接する突出片ガイド部と、上記パネル本体の上記開口縁部に当接するパネル本体ガイド部とを備え、上記突出片ガイド部と上記パネル本体ガイド部とは、互いに鋭角状となる成す角度で互いの基端部において結合され、上記突出片ガイド部の先端部に、上記パネル本体ガイド部に向けて突出する係合突部が、上記突出片の先端部と係合可能に設けられたものである。
【0019】
上記構成によれば、上記補強部材を壁面パネルの開口縁部に上方から嵌め込むだけで、上記突出片ガイド部が上記突出片に当接するとともに、上記パネル本体ガイド部がパネル本体の開口縁部に当接した状態で係合突部と上記突出片の先端部とを係合させることができる。
【0020】
このため、強部材は、パネル本体に対する上記突出片の屈曲角度が所定の鋭角になるように上記突出片をしっかりと保持することができる。
従って、壁面パネルにおける、自由端である開口縁部周辺の強度を高めることができ、結果として壁面パネルの自立性を高めることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、上記突出片と上記補強部材のうち少なくとも一方は、上記壁面折り目を跨ぐように上記開口縁部に沿って連続して形成されたものである。
【0022】
上述したように、上記突出片と上記補強部材のうち少なくとも一方は、上記壁面折り目を跨ぐように上記開口縁部に沿って連続して形成されているため、壁面パネルは立設時に、上記壁面折り目を起点として不用意に折り畳まれないように保持できる。
従ってペット用囲いは、コンパクトに折り畳み可能としながらも使用時には、自立性を確保することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、上記壁面折り目は、上記パネル本体から上記補強折り目を越えて上記突出片に至るまで連続して形成され、上記突出片と上記補強部材との双方は、上記壁面折り目を跨ぐように上記開口縁部に沿って連続して形成されたものである。
【0024】
上記構成によれば、壁面パネルは立設時に、上記壁面折り目を起点として不用意に折り畳まれないように上記突出片と上記補強部材との双方によって壁面パネルの上記開口縁部を補強できる。
【0025】
一方、上記壁面折り目は、上記突出片に至るまで延びるため、折り畳み時には、上記補強部材を上記開口縁部から取り外すことで、壁面パネルはパネル本体のみならず上記突出片も含めて容易に折り畳むことができる。
【0026】
またこの発明の態様として、上記壁面パネルは、上記底面パネルの後縁部から立設された背面パネルと、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、上記突出片は、上記背面パネル、上記右側面パネルおよび上記左側面パネルの夫々の上記開口縁部の略全長に亘って形成されたものである。
【0027】
上記構成によれば、壁面パネルにおいて自由端となる開口部の縁部全体を補強することができる。従ってペット用囲いの自立性をより一層高めることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、上記右側面パネルと上記左側面パネルとのうち、少なくとも一方は、上記開口縁部が上記背面パネルの上記開口縁部と上記底面パネルの上記開口縁部とを結ぶように側面視で傾斜して形成されたものである。
【0029】
上記構成によれば、排泄物の飛散ガード機能と、外部に対する視界の遮断機能を高めながら側面パネルの自立性と、内部空間に対するペットの開口部を通じた出入りのし易さを高めることができる。
【0030】
また本発明のペット用囲いは、床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネルと、該底面パネルの縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネルを備え、上記壁面パネルによって外部と仕切られた内部空間に対してペットが出入り可能に上記内部空間の上面および前面に亘って開口する開口部を有し、上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち少なくとも何れかのパネルの上記開口部の縁部には、該開口部の縁部に沿って延びる補強芯材を備えたことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易いパネルの開口縁部(開口部の縁部)を、これら開口縁部に沿って連続して形成された補強芯材よって効果的に補強することができる。
従って、壁面パネルの大型化が可能となり、尿の外部への飛散防止効果を高めることができる。
【0032】
加えて、例えば、床面パネルに猫砂が敷き詰められたトレイを設置する等して猫用のトイレとして用いる場合には、猫が爪とぎや、じゃれ合い等の行為をとることで猫砂が飛散しても上述したように、壁面パネルの大型化が可能なため、猫砂の外部への飛散効果も高めることができる。
従って、猫用の囲いとして好適な構成とすることができる。
【0033】
さらに、補強芯材を開口縁部に備えても該開口縁部が嵩張ることがないため、開口縁部をしっかりと補強しつつも広い内部空間を確保したり設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0034】
この発明の態様として、上記補強芯材を内部に挿脱可能に保持する筒状保持部が上記開口部の縁部に沿って形成されたものである。
上記構成によれば、補強芯材を筒状保持部に対して挿脱可能であるため、開口部の縁部に対して容易に装着したり取り外したりすること、すなわち容易に着脱することができる。
【0035】
具体的には、補強芯材を筒状保持部の内部に差し込むことによって、補強芯材と開口縁部との一体性を高めることができるため、開口縁部の補強効果を高めることができるとともに、飛散した排泄物が付着しないように補強芯材を保護することができる。さらに、補強芯材を筒状保持部から抜き出して水洗い等の清掃も可能となるため、衛生的である。
【0036】
また、上述したように、補強芯材を筒状保持部から抜き出すことでペット用囲いを折り畳むことが可能となるため、コンパクトに収納したり持ち運びが容易となる。
【0037】
またこの発明の態様として、上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち、上記筒状保持部を有するパネルには、上記開口部の縁部の側へ折り返し可能に該開口部の縁部から突出する折返し片が形成され、上記筒状保持部は、折り返した上記折返し片と上記開口部の縁部とで筒状となるように互いに重合して形成されたものである。
【0038】
上記構成によれば、開口部の縁部と折返し片とが重合する重合部分を有することで開口部の縁部の強度をより一層高めることができる。
ここで、折返し片と開口部の縁部とを重合状態に固定する固定部は、例えば、熱による溶着部、接着剤や粘着テープによる接着部、縫着部、ファスナ等による固定手段により固定された部位を挙げることができる。
【0039】
またこの発明の態様として、上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち隣接する一対のパネルとの対向縁部において、上記一対のパネルのうち、一方のパネルから他方のパネルへ折り曲げ可能に突出する折曲げ片が形成され、上記折曲げ片は、上記開口縁部に重合するように折り曲げられ、上記補強芯材は、上記折曲げ片を折り曲げ状態に保持可能に上記開口縁部に沿って配置されたものである。
【0040】
上記構成によれば、自由端であるが故に脆弱な開口縁部(パネル自体)に対して折曲げ片を重合することで該開口縁部の強度を高めることができる。
しかも、折曲げ片を開口縁部に重合するように折り曲げた状態に保つ手段を別途備えることがなく、補強芯材によってしっかりと保持することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、上記補強芯材は、上記底面パネルと上記壁面パネルとのうち隣接するパネル間の角部に対応する角度で屈曲形成された屈曲部を有するとともに、上記屈曲部を介して隣接する上記パネルに跨って延在するものである。
【0042】
上記構成によれば、補強芯材は、隣接するパネルを屈曲部を介して一体に補強することができるため、隣接するパネルごとに互いに独立して備える場合と比して隣接するパネルを所定の相対角度にしっかりと保持することができる。よって、立体形状のペット用囲いの補強効果を高めることができる。
ここで、上記隣接するパネルとは、隣接する底面パネルと上記壁面パネルに限らず、例えば、隣接する2枚の壁面パネルであってもよい。
【0043】
またこの発明の態様として、上記壁面パネルは、上記底面パネルの後縁部から立設された背面パネルと、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、上記開口部は、上記内部空間の上面が開口する上方開口部を有し、上記上方開口部の縁部は、上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上方開口縁部であり、上記補強芯材は、上記上方開口縁部に沿って配置される上側補強芯材を備え、上記上側補強芯材は、上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上記上方開口縁部に亘って連続して形成されたものである。
【0044】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易い、上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上方開口縁部を、これら上方開口縁部に沿って連続して形成された上側補強芯材よって効果的に補強することができる。
【0045】
またこの発明の態様として、上記壁面パネルは、上記底面パネルの右縁部から立設された右側面パネルと、上記底面パネルの左縁部から立設された左側面パネルとを備え、上記開口部は、上記内部空間の前面が開口する前方開口部を有し、上記前方開口部の縁部は、上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の前方開口縁部であり、上記補強芯材は、上記前方開口縁部に沿って配置される前側補強芯材を備え、上記前側補強芯材は、上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上記前方開口縁部に亘って連続して形成されたものである。
【0046】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易い上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の前方開口縁部を、これら前方開口縁部に沿って連続して形成された前側補強芯材よって効果的に補強することができる。
【0047】
ここで上記補強芯材は、上側補強芯材(上記背面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の上方開口縁に沿って配置される補強芯材)と、前側補強芯材(上記底面パネルと上記左右の側面パネルとの夫々の前方開口縁部に沿って配置される補強芯材)とのうち少なくとも何れか一方に備えることができる。
【0048】
またこの発明の態様として、上記前側補強芯材は、上記底面パネルの上記前方開口縁部に対して下方向へ突出または退避可能に形成されたものである。
上記構成によれば、上記底面パネルの上記前方開口縁部に対して下方向へ突出する前側補強芯材を床面に設置することで、底面パネルの前後方向における、少なくとも前方開口部の縁部を床面に対して嵩上げした状態で設置することができる。
よって、底面パネル上に有する猫砂が意に反して外部(内部空間の外側)へと前方開口部を通じて飛散することを防ぐことができる。
【0049】
またこの発明の態様として、上記壁面パネルは、板状のパネル本体と、該パネル本体に対して折り曲げ可能に補強折り目を介して突出する突出片を備え、上記補強折り目は、上記パネル本体における、上記開口部の縁部に沿って形成されたものである。
【0050】
上記構成によれば、補強折り目において突出片をパネル本体に対して折り曲げることにより、補強折り目が開口縁部に沿って延びる稜線として形成されるため、壁面パネルの自由端である開口縁部の強度を高めることができる。
従って、ペット用囲いは、軽量かつ嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性をより一層確保することができる。
【0051】
またこの発明の態様として、上記開口縁部を補強する補強部材を該開口縁部に備え、上記補強部材は、上記突出片が上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持可能に形成されたものである。
【0052】
上記構成によれば、開口縁部に取り付けられた補強部材は、上記突出片を上記パネル本体に対して屈曲した状態に保持することで、開口縁部に沿って補強折り目(稜線)を確実に形成することができる。
【0053】
従って、頑強又は大型の補強部材を備えずとも壁面パネルの自由端である開口縁部周辺の強度を格段に高めることができ、結果として壁面パネルの自立性をより一層高めることができる。
なお、上記補強部材は、補強芯材と同じ開口縁部に備えても、異なる開口縁部に備えてもよい。
【発明の効果】
【0054】
この発明によれば、嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性を確保することができるペット用囲いを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本実施形態のペット用トイレの使用状態を示す斜視図
【
図2】本実施形態のペット用トイレを右方、上方および前方から視た斜視図
【
図4】(a)
図2中のA-A線に沿った要部を示す拡大断面図、(b)
図2中のB-B線に沿った要部を示す拡大断面図、(c)
図2中のC-C線に沿った要部を示す拡大断面図
【
図5】(a)は補強部材を取り外した状態の背面パネルおよびその周辺部分を上方、右方かつ前方から視た拡大図、(b)は、同じく右側面パネルおよびその周辺部分を上方、左方かつ前方から視た拡大図
【
図6】
図2中のD-D線に沿った要部を示す拡大断面図
【
図7】本実施形態のペット用トイレを折り畳む途中を示す斜視図
【
図8】本実施形態のペット用トイレを折り畳んだ状態を示す斜視図
【
図9】変形例のペット用トイレを右方、上方および前方から視た斜視図
【
図10】変形例のペット用トイレを左方、上方および後方から視た斜視図
【
図11】(a)は一部平面図で示した
図1のA-A線矢視図,(b)は一部断面で示した
図11(a)のB-B線矢視図
【
図12】(a)は
図11(b)のD-D線断面図,(b)は
図11(a)のC-C線に沿った要部を示す断面図
【
図13】(a)は右側面パネルの前側かつ下側の部位を拡大して示した右側面図、(b)は
図13(a)のE-E線矢視断面図
【
図14】(a)は上側補強芯材を上側筒状保持部に差し込む直前を示す斜視図、(b)は前側補強芯材を前側筒状保持部に差し込む直前を示す斜視図
【
図15】変形例のペット用トイレの他の実施例を
図13(a)に対応して示した側面図
【発明を実施するための形態】
【0056】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。なお、図中、矢印Xはペット用トイレの左右方向(幅方向)、矢印Yはペット用トイレの前後方向、矢印Zはペット用トイレの上下方向(高さ方向)を、夫々示すものとする。さらに、図中、矢印Xaは左方向、矢印Xbは右方向、矢印Yaは前方向、矢印Ybは後方向、矢印Zaは上方向、矢印Zbは下方向を夫々示すものとする。
【0057】
図1、
図2に示すように、ペット用トイレ1は、主として室内の床面に設置されるとともにペットPが乗る板状の底面パネル2と、底面パネル2の縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネル3を備えている。また、ペット用トイレ1は、後述するように折り畳み可能に形成されている。
【0058】
底面パネル2は、ペットPである犬が着座可能な大きさで形成されているとともに、前後方向に対して左右方向が長い平面視矩形状に形成され、
図1に示すように、略全体に亘って市販のトレー型のペット用トイレ100が取り外し可能に設置されている。
【0059】
壁面パネル3は、底面パネル2の後縁部から立設された背面パネル31と、底面パネル2の右縁部から立設された右側面パネル32と、底面パネル2の左縁部から立設された左側面パネル33とを備えている。
【0060】
背面パネル31は底面パネル2と同じ左右方向の長さを有し、上下方向に対して左右方向が長い正面視矩形状に形成されている。背面パネル31は、ペットPとしての犬が片足を上げて排泄した尿をガード可能な上下方向の長さ(高さ)を有している。
【0061】
側面パネル32,33(右側面パネル32および左側面パネル33)は、底面パネル2と同じ前後方向の長さを有している。さらに、側面パネル32,33は、後縁部が背面パネル31と略同じ高さを有するとともに、前縁部が底面パネル2と略同じ高さ(すなわち、ペット用トイレ1の下端に相当する高さ)を有し、上縁部(51b,51c)が後縁部から前縁部に亘って前方程下方に位置するように側面視で傾斜した直角三角形状で形成されている。
【0062】
ペット用トイレ1は底面パネル2を底面とする内部空間Sを内部に有し、該内部空間Sは、壁面パネル3、すなわち背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33によって外部と仕切られている。ペット用トイレ1は、内部空間Sに対してペットPが出入り可能に開口する開口部Saが上面および前面に亘って形成されている。
【0063】
図3に示すように、ペット用トイレ1は、壁面パネル3の上縁部(51)および底面パネル2の前縁部(52)に、開口部Saの縁部(以下、「開口縁部50」と称する)が形成されている。壁面パネル3の開口縁部51は、背面パネル31の開口縁部51a、右側面パネル32の開口縁部51bおよび左側面パネル33の開口縁部51cによって形成される。
【0064】
ペット用トイレ1の各パネル2,31,32,33は、全体が可撓性、撥水性(防水性)、および非透光性を有する樹脂材料から成るシート部材で形成されている。
本実施形態の底面パネル2と背面パネル31は一枚物(単一)の樹脂シート部材で形成され、該樹脂シート部材を両パネル2,31の境界部に沿って形成される折り目11(
図2参照)を介して直角に折り曲げて形成されている。
【0065】
図2、
図4(a)に示すように、底面パネル2は、接合代20aが右縁部と左縁部との夫々の略全長に亘って外側へ突出形成されている。そして、底面パネル2の右縁部に沿って形成された接合代20aは、右側面パネル32の下縁部に接合されるとともに、底面パネル2の左縁部に沿って形成された接合代20aは、左側面パネル33の下縁部に接合されている(
図2、
図4(a)参照)。
【0066】
図2、
図4(b)に示すように、背面パネル31は接合代30aが右縁部と左縁部との夫々の略全長に亘って外側へ突出形成されている。そして、背面パネル31の右縁部に沿って形成された接合代30aは、右側面パネル32の後縁部に接合されるとともに、背面パネル31の左縁部に沿って形成された接合代30aは、左側面パネル33の後縁部に接合されている(
図2、
図4(b)参照)。
【0067】
これにより、ペット用トイレ1は、上述した立体形状に形成されている。
さらに、側面パネル32,33における、背面パネル31と底面パネル2の夫々の境界部付近は、上述したように、接合代20a,30aを重合させることで、ペット用トイレ1のコーナー部の強度を高めることができ、結果としてペット用トイレ1の自立性を高めることができる。
【0068】
また、
図2、
図4(c)に示すように、底面パネル2は、該底面パネル2の開口縁部52(前縁部)から前方へ突出する折返し代20bを開口縁部52の全長に亘って備え、折返し代20bは、底面パネル2の下面(裏面)側へ折り返された状態で一体に接合されている。
【0069】
底面パネル2の開口縁部52は、開口縁部50の一部(開口部Saの前縁部)として自由端であるが、上述したように折返し代20bを重合することで、開口縁部52を補強している。
【0070】
なお、本実施形態において、接合代20a,30aと折返し代20bは、夫々の接合箇所に対して熱溶着により接合されている。熱溶着により接合された溶着部W(
図4(a)(b)(c)参照)は、接合代20a,30aと折返し代20bとの夫々の長手方向に沿って所定間隔ごとに複数が形成されている。
但し、接合代20a,30aと折返し代20bとは、夫々の接合箇所に対して、上述した熱溶着に限定せず、例えば、接着剤、テープ、ホッチキス、面ファスナ、リベット、スナップボタン等他の接合手段により接合してもよい。
【0071】
図1~
図3に示すように、ペット用トイレ1の壁面パネル3における開口縁部50には、該開口縁部50を補強する補強部材8が取り付けられている。
補強部材8は、
図3に示すように、背面パネル31の開口縁部51a(上縁部)を補強する背面側補強部材8aと、右側面パネル32の開口縁部51b(上縁部)を補強する右側補強部材8bと、左側面パネル33の開口縁部51c(上縁部)を補強する左側補強部材8cとを備え、何れも直線状に延びるレール状に形成されている。補強部材8の詳細は後述する。
図3、
図5(a)(b)に示すように、壁面パネル3は、板状のパネル本体3aと、該パネル本体3aに対して突出する突出片3bを備えている。突出片3bは、補強折り目4を介してパネル本体3aに対して折り曲げ可能に形成されている。
【0072】
突出片3bは、壁面パネル3の外側(内部空間Sと反対側)へ折り曲げられ、補強折り目4において上方へ突き出すように山折りされている。補強折り目4は、パネル本体3aにおける、開口部Saの縁部に沿って形成されている。本実施形態の補強折り目4は、壁面パネル3の両面において、板厚方向に凹状であるとともに開口縁部51に沿って延びる凹溝により形成されている。
なお、補強折り目4は、例えば、開口縁部51に沿って所定間隔ごとに貫通する複数の貫通穴で形成するなど周辺に対して折り曲げ易い構成であれば、上述した凹溝に限定せず、他の構成としてもよい。
【0073】
本実施形態において、突出片3bは、壁面パネル3の開口縁部51、すなわち、背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33の夫々のパネル本体3aの開口縁部51a,51b,51c(上縁部)の略全長に亘って備えている。
【0074】
詳しくは、
図3に示すように、背面パネル31に備えた突出片3bを背面側突出片31bとし、右側面パネル32に備えた突出片3bを右側突出片32bとし、左側面パネル33に備えた突出片3bを左側突出片33bとする。
【0075】
図5(a)に示すように、背面側突出片31bは、背面側補強部材8a(
図3参照)に取り外し可能に係合される被係合部312が左右方向(長さ方向)の両端部に形成されている。一対の被係合部312は、背面側突出片31bの長さ方向における、これら一対の被係合部312の間部分311よりも突出方向へ突出して形成されている。
【0076】
ここで、右側面パネル32と左側面パネル33とは互いに左右対称形状に形成されている。このため、夫々の各部の構成は同一の符号を付して右側面パネル32に基づいて説明する。
【0077】
図5(b)に示すように、右側突出片32bは、右側補強部材8bに取り外し可能に係合される被係合部312が長さ方向の両側部分、換言すると、右側補強部材8b(
図3参照)を取り付けた状態において、その取り付け部分の長さ方向の両端部分に形成されている。一対の被係合部312は、右側突出片32bの長さ方向における、これら一対の被係合部312の間部分311よりも突出方向へ突出する。
【0078】
さらに、右側突出片32bの長さ方向の両端部には、右側突出片32bに取り付けられた右側補強部材8bの長さ方向の位置ずれを規制する長さ方向規制部313を備えている。一対の長さ方向規制部313は、一対の被係合部312よりもさらに突出方向へ段状に突出する。
【0079】
長さ方向規制部313は、右側面パネル32の開口縁部51bに取り付けた右側補強部材8bと開口縁部51bの長さ方向において係合する。これにより、開口縁部51bに取り付けられた右側補強部材8bの長さ方向の位置ずれを、長さ方向規制部313によって規制することができる。
【0080】
詳しくは、右側面パネル32の開口縁部51bは、前方程徐々に低くなる傾斜形状であるが、長さ方向規制部313によって、開口縁部51bに取り付けた右側補強部材8bの前下方向への位置ずれが規制される。
【0081】
また、
図2、
図3に示すように、右側面パネル32には、該右側面パネル32を折り曲げ可能とする壁面折り目7が形成されている。壁面折り目7は、側面視で底面パネル2と背面パネル31とのコーナー部(右側面パネル32の下端かつ後端)から開口縁部51bに向けて延びている。
換言すると、壁面折り目7は、直角三角形状の右側面パネル32の直角を成す頂点から斜辺に向けて直線状に延びている。
なお、本実施形態の壁面折り目7は、右側面パネル32における、後端かつ下端に位置する頂点の成す角度(90度)を略2等分する方向へ延びており、背面パネル31と底面パネル2との夫々の接合代20a,30aの間部分に沿って延びている。これにより、右側面パネル32は、折り畳み時に壁面折り目7を起点とした折り曲げが接合代20a,30aによって阻害されないように形成されている。
【0082】
また、
図2、
図5(b)に示すように、壁面折り目7は、パネル本体3aから開口縁部51b(補強折り目4)を越えて右側突出片32bに至るまで連続して直線状に形成されている。すなわち、壁面折り目7と補強折り目4とは、互いに交差するように延びている。換言すると右側突出片32bは、壁面折り目7を跨ぐように開口縁部51bに沿って連続して形成されている。
【0083】
これにより、右側面パネル32は、開口縁部51bに沿って右側突出片32b(補強折り目4)を形成することで該開口縁部51bの強度を高めることができる一方で、壁面折り目7によって、パネル本体3aのみならず右側突出片32bも含めて確実に折り畳み(2つ折り)が可能に形成されている。
【0084】
図2、
図3、
図6に示すように、上述した補強部材8は、パネル本体3aに対して補強折り目4を介して折り曲げた突出片3bを、所定の鋭角(当例では、45度)となる屈曲角度に保持するように開口縁部51に取り付けられる。
【0085】
補強部材8は、ペット用トイレ1の壁面パネル3および底面パネル2を形成する樹脂シートよりも板厚が厚く、強度の高い樹脂材料で硬質(高剛性)に形成されている。本実施形態の補強部材8は、押し出し成形によりレール状に形成しているが、他の製造方法により形成してもよい。
【0086】
また、
図3、
図5(a)(b)に示すように、壁面パネル3の開口縁部51の長手方向の両側には、補強折り目4を起点とした、突出片3bの折り曲げを促進する折り曲げ促進部として貫通溝5が形成されている。
なお貫通溝5は、開口縁部51に沿ってスリット状に形成され、該貫通溝5の両端部は、貫通溝5の溝幅よりも大径となる貫通穴6が形成されている。この貫通穴は、貫通溝5の端部において貫通溝5と連通しており、貫通溝5の端部に集中する荷重を分散する。これにより貫通穴6は、貫通溝5が開口縁部51に沿って不用意に破断しないように規制する。
【0087】
背面側補強部材8a、右側補強部材8bおよび左側補強部材8cは、互いに同一の断面形状に形成され、何れも全長に亘って断面Vの字形状に形成されている。補強部材8の形状について背面側補強部材8aに基づいて説明する。
【0088】
図6に示すように、背面側補強部材8aは、パネル本体3aにおける開口縁部51aに当接可能なパネル本体ガイド部81と、背面側突出片31bに当接可能な突出片ガイド部82とを備え、これら一対のガイド部81,82が所定の鋭角(当例では45度)を成すように互いの基端部80において一体に形成されている。これより、背面側補強部材8aは、基端部80が上方に向けて突状に形成されるとともに、下方に向けて開口する断面V字状の隙間8sをパネル本体ガイド部81と突出片ガイド部82との間に有している。
【0089】
背面側補強部材8aにおける突出片ガイド部82の先端部には、断面V字状の隙間8sの側へ屈曲して突出する曲げ突片82aが形成されている。曲げ突片82aにおける、断面V字状の隙間8sとの対向面には、パネル本体ガイド部81に向けて突出する係合突部83が設けられている。係合突部83は、背面側突出片31bの被係合部312(
図5(a)、
図6参照)と係合可能に設けられている。
【0090】
背面側補強部材8aは、背面パネル31の開口縁部51aの左右方向(長さ方向)の長さと略同じ長さで形成されている。一方、右側補強部材8bは、右側面パネル32の開口縁部51bの長さ方向の両端部を除いた長さで形成され、左側補強部材8cは、左側面パネル33の開口縁部51cの長さ方向の両端部を除いた長さで形成されている。すなわち、右側補強部材8bは、右側面パネル32の壁面折り目7を跨ぐように開口縁部51bに沿って連続して形成されるとともに、左側補強部材8cは、左側面パネル33の壁面折り目7を跨ぐように開口縁部51cに沿って連続して形成されている。
【0091】
なお、背面側補強部材8aは、右側補強部材8bと左側補強部材8cよりも長尺に形成されているのに対して、右側補強部材8bと左側補強部材8cとは互いに同じ長さで形成されている。すなわち、右側補強部材8bと左側補強部材8cとは上述したように、長さのみならず断面形状についても同一に形成されている。
【0092】
補強部材8の壁面パネル3に対する取り付けは、背面側補強部材8a、右側補強部材8b、左側補強部材8cの何れにおいても同じ要領で取り付けられるため、背面側補強部材8aを背面パネル31の開口縁部51aに取り付ける手順を例にとり説明する。
まず作業者は、補強折り目4おいて、背面側突出片31bをパネル本体3aに対して外側(後側)へ軽く折り曲げておき、その状態で背面側補強部材8aにおける断面V字状の隙間8sに開口縁部51aを嵌め込むように背面側補強部材8aを開口縁部51aに対して上方から取り付ける。
【0093】
これにより、背面側補強部材8aのパネル本体ガイド部81は、パネル本体3aの開口縁部51aに前面側(内部空間Sの側)から面接触するとともに、背面側補強部材8aの突出片ガイド部82は、背面側突出片31bに上方から面接触した状態となる。このとき背面側突出片31bの被係合部312は、突出片ガイド部82の先端側において係合突部83に係合される。さらに補強折り目4は、基端部80に対して断面V字状の隙間8sの側から突き当たるように配置される。
これらにより、背面側補強部材8aは、背面側突出片31bがパネル本体3aに対して所定の鋭角(当例では45度)を成すようにガイド(保持)する。
【0094】
なお被係合部312は、上述したように、背面側突出片31bの長さ方向における両端部のみに形成されているため、背面側補強部材8aの取付け部分の全長に亘って形成する場合と比して撓み変形し易くなり、係合突部83に対して係合し易くなる。このため作業者は、背面側補強部材8aを開口縁部51に上方から嵌め込むようにして容易に取り付けることができる。
【0095】
続いて、ペット用トイレ1を折り畳む手順について説明する。
作業者は、ペット用トイレ1の背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33の夫々について、補強部材8の係合突部83に係合された状態の突出片3bの被係合部312周辺を指で押す等して撓ませることで、係合突部83と被係合部312との係合状態を解除することができる。これにより、
図3、
図5(a)(b)に示すように、補強部材8を背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33の夫々の開口縁部51a,51b,51cから取り外すことができる。
【0096】
さらに突出片3bを、補強折り目4を介してパネル本体3aに対して外側(内部空間Sと反対側)へ折り曲げられた状態から略折り曲げられていない状態となるように上方へ突出させる。これにより、背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33を、パネル本体3aと突出片3bとが略同一面上に配置された平板状とすることができる。
【0097】
この状態から作業者は、
図7に示すように、背面パネル31を前方(内部空間Sの側)へ徐々に倒伏させていく(
図7中の白抜き矢印参照)。それに伴って、右側面パネル32と左側面パネル33とを、壁面折り目7を介して内部空間Sの側へ突き出すように山折り(2つ折り)していく。これにより、
図8に示すように、ペット用トイレ1は、折り畳まれた右側面パネル32と左側面パネル33を介して背面パネル31を底面パネル2に重合するまで倒伏させることができ、シート状に折り畳むことができる。
【0098】
なお底面パネル2と背面パネル31とは、
図2に示すように、単一の樹脂シート部材を各パネル2,31の境界部において、折り目11を介して折り曲げて形成したものである。このため、ペット用トイレ1を折り畳み時には、背面パネル31を例えば、底面パネル2に対して上述した接合代20a,30aで接合する場合と比して前方へ容易に倒伏させることができる。
【0099】
上述した実施形態のペット用トイレ1は、
図1、
図2に示すように、床面に設置されるとともにペットPが乗る底面パネル2と、底面パネル2の縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネル3を備え、壁面パネル3によって外部と仕切られた内部空間Sに対してペットPが出入り可能に内部空間Sの上面および前面に亘って開口する開口部Saを有し、
図3、
図5(a)(b)に示すように、壁面パネル3は、板状のパネル本体3aと、パネル本体3aに対して折り曲げ可能に補強折り目4を介して突出する突出片3bを備え、補強折り目4は、パネル本体3aにおける、開口部Saの縁部51に沿って形成されたものである。
【0100】
上記構成によれば、補強折り目4において突出片3bをパネル本体3aに対して折り曲げることにより、突出片3bを、開口縁部51に沿って鍔状に突出する補強曲げ片として形成することができる。すなわち、開口部Saの縁部51において、補強折り目4を、上方へ突出するとともに開口部Saの縁部51に沿って延びる稜線として形成できるため、壁面パネル3の自由端である開口部Saの縁部51の強度を高めることができる。
【0101】
従って、ペット用トイレ1は、軽量かつ嵩張らないパネル構造でありながら優れた自立性を確保することができる。
【0102】
このようにペット用トイレ1は、優れた自立性を有するため、壁面パネル3の高さを高く形成でき、ペットPの排泄物が周辺に飛散しないようにガードする機能を高めることができる。例えば、ペットPである犬が片足を上げて背面パネル31に対して尿を排泄しても背面パネル31は、尿が周辺に飛散しないようにガードすることができる。
その他にもペット用トイレ1は、壁面パネル3の高さを高くできるため、屋内に設置した場合においても、トイレ空間(内部空間S)と屋内空間(内部空間Sの外側)とを視覚的に仕切ることができる。このため、ペットPが神経質であっても安心して排泄物を排泄することができる。
【0103】
この発明の態様として、
図1、
図2に示すように、開口縁部51を補強する補強部材8を該開口縁部51に備え、補強部材8は、
図6に示すように、パネル本体3aに対して屈曲する突出片3bの屈曲角度が所定の鋭角になるように突出片3bを保持可能に形成されたものである。
【0104】
上記構成によれば、開口縁部51に取り付けられた補強部材8は、突出片3bを、パネル本体3aに対する屈曲角度が所定の鋭角になるように保持することで、開口縁部51に、上方へ鋭角状に突出する補強折り目4(稜線)が形成された形態に保つことができる。
【0105】
従ってペット用トイレ1は、軽量な補強部材8によって、自由端である開口縁部51の周辺の強度を効率よく高めることができるため、壁面パネル3の自立性をより一層高めることができる。
【0106】
この発明の態様として、
図1~
図3に示すように、右側面パネル32と左側面パネル33には、これらパネル32,33を折り曲げ可能とする壁面折り目7が形成され、補強部材8b,8cは、開口縁部51b,51cに対して取り外し可能に備えたものである(
図3参照)。
【0107】
上記構成によれば、ペット用トイレ1は、補強部材8b,8cを開口縁部51b,51cから取り外し(
図3、
図5(a)(b)参照)、右側面パネル32と左側面パネル33とを、夫々の壁面折り目7を起点として2つ折りすることで(
図7参照)、
図8に示すように、コンパクトに折り畳むことができる。従って、ペット用トイレ1は、コンパクトに収納することができるとともに、容易に持ち運ぶことができる。
【0108】
この発明の態様として、
図6に示すように、補強部材8は、パネル本体3aの開口縁部51に当接するパネル本体ガイド部81と、突出片3bに当接する突出片ガイド部82とを備え、パネル本体ガイド部81と突出片ガイド部82とは、互いに鋭角状となる成す角度で互いの基端部80において一体に結合され、突出片ガイド部82の先端部にパネル本体ガイド部81に向けて突出する係合突部83が、突出片3bの被係合部312と係合可能に設けられたものである。
【0109】
上記構成によれば、補強部材8を壁面パネル3の開口縁部51に上方から嵌め込むだけで、突出片ガイド部82が突出片3bに当接するとともに、パネル本体ガイド部81がパネル本体3aの開口縁部51に当接し、係合突部83と被係合部312とを係合することができる。
【0110】
しかも突出片3bは、被係合部312が補強部材8の係合突部83に係合した状態において、補強部材8の基端部80と係合突部83との間で突っ張るように補強部材8の突出片ガイド部82に対して当接する。
【0111】
従って補強部材8は、壁面パネル3の開口縁部51に取り付けた状態において、係合突部83と被係合部312との係合が不用意に解除されることがなく、パネル本体3aに対して屈曲する突出片3bの屈曲角度を所定の鋭角にしっかりと保つことができる。
すなわち、補強部材8を、壁面パネル3の開口縁部51に対して、ビス止めしたり、テープ等で接着したりする必要がなく、しっかりとかつ容易に取り付けることができる。
【0112】
この発明の態様として、
図3に示すように、壁面折り目7は、右側面パネル32と左側面パネル33のパネル本体3aから開口縁部51b,51c(補強折り目4)を越えて突出片32b,33bに至るまで連続して形成され、
図2、
図3に示すように、突出片32b,33bと補強部材8b,8cとの双方は、壁面折り目7を跨ぐように開口縁部51b,51cに沿って連続して形成されたものである。
【0113】
上記構成によれば、右側面パネル32と左側面パネル33は立設時に、壁面折り目7を起点として不用意に折り畳まれないように突出片32b,33bと補強部材8b,8cとの双方によって保持できる。
一方、壁面折り目7は、突出片32b,33bに至るまで延びるため、折り畳み時には、補強部材8b,8cを開口縁部51b,51cから取り外し、突出片32b,33bをパネル本体3aに対して折り曲げないように上方向へ突出させることで、壁面パネル3は、パネル本体3aのみならず突出片32b,33bも含めて容易に折り畳むことができる。
【0114】
この発明の態様として、
図2に示すように、壁面パネル3は、底面パネル2の後縁部から立設された背面パネル31と、底面パネル2の右縁部から立設された右側面パネル32と、底面パネル2の左縁部から立設された左側面パネル33とを備え、突出片3bは、背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33の夫々の開口縁部51a,51b,51cの略全長に亘って形成されたものである。
【0115】
上記構成によれば、壁面パネル3において自由端となる開口縁部51a,51b,51cの略全長に亘って補強することができる。従って、ペット用トイレ1は、ペットPが内部空間Sに対して出入り可能に前面部から上面部に亘る大きな開口部Saを形成しても、自立性を高めることができる。
【0116】
この発明の態様として、
図1~
図3、
図5(b)に示すように、右側面パネル32と左側面パネル33は、夫々の開口縁部51b,51cが背面パネル31の開口縁部51a(上縁部)と底面パネル2の開口縁部52(前縁部)とを直線状に結ぶように側面視で前方程下方へ位置するように傾斜して形成されたものである。
【0117】
上記構成によれば、ペットの排泄物の飛散ガード機能と、外部に対する視界の遮断機能を高めながら、側面パネル32,33の自立性と、内部空間Sに対するペットPの開口部Saを通じた出入りのし易さを高めることができる。
【0118】
詳述すると、上述したように、側面パネル32,33の開口縁部51b,51cを背面パネル31の開口縁部51aと底面パネル2の開口縁部52とを直線状に結ぶように側面視で傾斜して形成することで、側面パネル32,33は、底面パネル2の前後方向の全長に亘る十分な足部長さ(直角三角形状の側面パネル32,33における隣辺の長さ)を確保しながら背面パネル31と略同じ高さを有する後側部分によって背面パネル31をしっかりと支持することができる。
【0119】
さらに側面パネル32,33の後側部分においては、背面パネル31と略同じ高さに形成することで、背面パネル31のみならず側面パネル32,33によってもペットPの排泄物をしっかりとガードできるとともに、ペットPの外部に対する視界の遮断効果を高めることができる。
【0120】
一方、側面パネル32,33の前側部分については、後側部分と比して高さを抑えることで、側面パネル32,33の自由端である開口縁部51b,51cの撓みを効果的に抑制することができる。
【0121】
さらに上述したように、側面パネル32,33の前側部分を低く形成することで、開口部Saを通じてペットが内部空間Sに対して出入りし易くなる。
【0122】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、ペット用囲いは、ペット用トイレ1に対応し、同様に、
突出片の先端部は、突出片3bの被係合部312に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0123】
例えば本実施形態において突出片3bは、パネル本体3aに対して外側(内部空間Sと反対側)へ折り曲げ可能に形成したが、この実施形態に限定せず、突出片3bは、パネル本体3aに対して内側(内部空間Sの側)へ折り曲げて形成してもよく、補強部材8は、このような壁面パネル3の開口縁部51に取り付け可能に形成してもよい。
【0124】
但し突出片3bは、パネル本体3aに対して外側へ折り曲げて形成することで、内側へ折り曲げる場合と比して、突出片3bに排泄物が付着し難くなるため水洗い等の清掃が容易となり、清潔に保つことができる。さらに突出片3bは、内部空間Sに向けて突出片3bが突き出さないため、広い内部空間Sを確保できる。このため本発明のペット用トイレは、本実施形態のペット用トイレ1のように、突出片3bをパネル本体3aに対して外側へ折り曲げて形成することが好ましい。
【0125】
また例えば本発明のペット用トイレは、隣接するパネル2,3を単一の部材で形成しても、別部材でしてもよい。後者の場合、図示省略するが、隣接するパネル2,3を、境界部にシリコンやゴムなどの屈曲性に優れた部材を介在させて互いに連結してもよい。この構成により、隣接するパネル同士を所定の角度に屈曲させ易くなる。
【0126】
本実施形態のペット用トイレ1は、
図1に示すように、床面パネルに市販のトレー型のペット用トイレ100を設置したが、本発明のペット用トイレは、これに限らず、吸水マットや、新聞紙等を敷設してもよい。或いは、何も設置せずに用いてもよい。
【0127】
本発明のペット用囲いは、上述したペット用トイレ1として適用するに限らず、ペットが休憩したり、餌を食べたり、水分を補給したりする空間として活用してもよい。この場合、本発明のペット用囲いは、底面パネル2を底面とする内部空間Sを壁面パネル3によって周囲と仕切ることで、神経質なペットであっても安心して休憩したり食事をしたりすることができる。
【0128】
また壁面パネル3は、背面パネル31、右側面パネル32および左側面パネル33のうち、少なくとも一つのパネルで形成してもよい。
さらにまた本発明のペット用囲いは、底面パネル2および壁面パネル3における少なくとも一部を透明又は半透明に形成してもよい。
【0129】
[変形例]
続いて、上述した実施形態のペット用トイレ1の変形例に係るペット用トイレ1Aについて説明する。
但し、上述した実施形態のペット用トイレ1と同一の構成については特に記載する場合を除いてその説明を省略する。
【0130】
図9、
図10に示すように、ペット用トイレ1Aは、ペットが乗る底面パネル2Aと、該底面パネル2Aの外周側から立設する壁面パネル3A(背面パネル31Aおよび左右の側面パネル32A,32A)と、壁面パネル3Aを補強するレール状の補強部材8と、ワイヤ状の補強芯材70とを備え、全体が立体形状となるように組み立てられている。
【0131】
ペットが出入りするための開口部90は、上述した実施形態のペット用トイレ1と同様に、上記内部空間Sの上面が開口する上方開口部90uと、上記内部空間Sの前面が開口する前方開口部90fを有し、互いに区分けされることなくペット用トイレ1Aの前方から上方に亘って開口して形成されている。
【0132】
上方開口部90uの縁部(上方開口部縁部)は、背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の上方開口縁部51a,51b,51bによって形成されるとともに、前方開口部90fの縁部(前方開口部縁部)は、底面パネル2Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の前方開口縁部52a,52b,52bによって形成されている。
【0133】
底面パネル2Aは、猫砂(図示省略)が敷き詰められたトレイなど市販のペット用トイレ(図示省略)が設置可能な底面主面部22と、底面主面部22の前縁から前方へ延設された底面前方延設部23とで一体に形成されたパネル本体21を備えている。底面パネル2Aは、上述した実施形態の底面パネル2と比して底面前方延設部23に相当する分だけ前方へ大きく形成されている。
【0134】
底面主面部22と底面前方延設部23との境界部には、左右方向に直線状に延びる折り目21aが形成されている。
【0135】
左右の側面パネル32A,32A(右側面パネル32Aおよび左側面パネル32A)は、底面パネル2Aと同じ前後方向の長さを有している。
【0136】
ここで、右側面パネル32Aと左側面パネル32Aとは互いに左右対称形状に形成されているため、以下の説明においては特に記載する場合を除いて同一の符号を付して右側面パネル32Aに基づいて説明する。
【0137】
具体的には、右側面パネル32Aは、底面主面部22の右縁部から立設された側面主面部322と、底面前方延設部23の右縁部から立設された側面前方延設部323とで一体に形成されたパネル本体321を備えている。側面主面部322は底面主面部22と、側面前方延設部323は底面前方延設部23と、夫々同じ前後方向の長さを有している。
【0138】
側面主面部322は、右側面視で矩形状に形成されている。側面前方延設部323は、前方開口縁部52b(上端部)が側面主面部322の高さから底面パネル2Aの高さになるまで後端から前端に向けて徐々に低くなるように略直線状に傾斜する右側面視で略直角三角形状に形成されている。
【0139】
右側面パネル32Aは、上述した実施形態の右側面パネル32と比して、側面主面部322における、後上端と前下端とを直線状に結ぶ対角線よりも上方部分と、側面前方延設部323とに相当する分だけ大きく形成されている。
【0140】
このように、変形例のペット用トイレ1Aは、底面パネル2Aおよび左右の側面パネル32A,32Aを上述した実施形態の底面パネル2および左右の側面パネル32,33よりも大きく形成することで、例えば、尿などの排泄物や、底面パネル2A上に設置される市販の猫用トイレ(図示省略)に敷き詰められた猫砂等が外部へ飛散しないようにガードする機能を高めている。
【0141】
なお、底面パネル2Aと背面パネル31Aは、上述した実施形態のペット用トイレ1と同様に一枚物の樹脂シート部材で形成され、該樹脂シート部材を両パネル2A,31Aの境界部に沿って形成される折り目11(
図9参照)を介して直角に折り曲げて形成されている。
【0142】
さらに、底面パネル2Aの左右の縁部に沿って形成された接合代22aは、底面前方延設部23には形成されておらず、底面主面部22のみに形成されている。そして、この接合代22aは、左右の側面主面部322の下縁部に夫々接合されている(
図10参照)。
【0143】
側面主面部322と側面前方延設部323との境界部には、上下方向に直線状に延びる折り目321aが形成され、折り目321aの下端部は、底面パネル2Aの折り目21aの右端部と連結されている。
【0144】
図11(a)(b)に示すように、上述した背面パネル31Aは、板状のパネル本体311と、該パネル本体311に対して上方開口縁部51aから突出する突出片3bとしての背面側突出片31bとを備えている。背面側突出片31bは、上述したとおり、パネル本体311の上端に沿って形成された補強折り目4を起点としてパネル本体311に対して後方へ折り曲げ可能に形成されている。
変形例のペット用トイレ1Aにおいて、突出片3bは背面パネル31Aにのみ、すなわち背面側突出片31bのみが形成されており、左右の側面パネル32A,32Aには形成されていない。
【0145】
なお、
図11(a)中の符号311aは、背面パネル31Aの左右の縁部から幅方向の外方へ突出するとともに、後方へ折り返した折返し代であり、背面パネル31Aの左右の縁部の全長に亘って形成されている。この折返し代311aは、背面パネル31Aのパネル本体311の一部を成し、背面パネル31Aの左右の縁部に後方から重合した状態で接合することで、該左右の縁部の強度を高めている。
【0146】
また、
図9、
図10、
図13(a)(b)に示すように、底面パネル2Aは、上述した底面主面部22と底面前方延設部23とで一体に形成された板状のパネル本体21に加えて、前方突出片24と左右一対の上方折曲げ片25を備えている。
【0147】
なお、
図13(b)中の符号323aは、側面前方延設部323の下縁部から下方へ突出するとともに、幅方向の外側へ折り返した折返し代であり、側面前方延設部323の下縁部の全長に亘って形成されている。この折返し代323aは、右側面パネル32Aのパネル本体321の一部を成し、側面前方延設部323の下縁部に車幅方向外側から重合した状態で接合することで、該下縁部の強度を高めている。
【0148】
図9、
図10、
図13(a)に示すように、前方突出片24は、底面前方延設部23の前縁部から前方へ突出し、該前縁部の幅方向の両端側を除く全長にわたって形成されている。
【0149】
図13(a)に示すように、前方突出片24の突出方向の基端部(底面前方延設部23との境界部)、および突出方向の途中部には、幅方向の全長にわたって直線状に延びる折り目24aが夫々形成されている。
【0150】
図13(a)(b)に示すように、左右一対の上方折曲げ片25のうち右側の上方折曲げ片25は、底面前方延設部23の右縁から右側へ突出し、該右縁の前後方向の全長に亘って形成されている。上方折曲げ片25は、底面前方延設部23の右縁(底面前方延設部23との境界部)に沿って形成された折り目25a(
図13(b)参照)に示すように、を起点として起立するように折り曲げ可能に形成されている。
【0151】
図13(a)(b)に示すように、上方折曲げ片25は、起立するように折り曲げた状態において、側面前方延設部323の下縁部を右側(幅方向の外側)から覆うことが可能に形成されている。さらに、上方折曲げ片25の前縁は、右側面パネル32Aの前方開口縁部52bの下部の一部を形成するように前下後上状に傾斜して形成されている。この上方折曲げ片25の前縁には、該前縁から前方へ突出する第2前側折返し片26が形成されている。この第2前側折返し片26については後述する。なお、左側面パネル32Aの上方折曲げ片25(左側上方折曲げ片25)は、上述した右側面パネル32Aの上方折曲げ片25と左右対称形状に形成されている。
【0152】
また、右側面パネル32Aは、上述した側面主面部322と側面前方延設部323とで一体に形成された板状のパネル本体321に加えて、側方折曲げ片324(
図10、
図11(a)参照)と折返し片325(
図11(a)(b)、
図12(a)、
図13(a)(b)参照)とを備えている。
【0153】
図10、
図11(a)に示すように、側方折曲げ片324は、右側面パネル32Aのパネル本体321の後縁部、すなわち側面主面部322の後縁部から後方へ突出し、該後縁部の全長にわたって形成されている。
【0154】
側方折曲げ片324は、側面主面部322の後縁部(側面主面部322との境界部)に沿って形成された折り目324aを起点として背面パネル31Aの側へ折り曲げ可能に形成されている。
【0155】
側方折曲げ片324は、背面パネル31Aの側へ折り曲げた状態において、背面パネル31Aの右縁部およびその周辺を後方(外側)から覆うことが可能に形成されている。
【0156】
図12(b)に示すように、背面パネル31Aと、該背面パネル31Aの側へ折り返した側方折曲げ片324との重合部分の上下方向の下部には、固定手段としてのネジ式のファスナ40を挿通可能に互いに連通する貫通孔31Ah,324hが背面パネル31Aと側方折曲げ片324との夫々に形成されている。なお、ネジ式のファスナ40は、汎用部品であり、突状のネジ部を有する凸部41と、ネジ部と螺合する凹部42とから成るプラネジとも称する樹脂製のネジである。
【0157】
そして、背面パネル31Aと、該背面パネル31Aの側へ折り返した側方折曲げ片324とは、ネジ式のファスナ40を各貫通孔31Ah,324hに挿通することにより取り外し可能にねじ留め(締結)されている。これにより、側方折曲げ片324は、背面パネル31Aの側へ折り曲げた状態で主に下部周辺が背面パネル31Aに対して固定されている。
【0158】
図9、
図10に示すように、右側面パネル32Aの折返し片325は、主面側折返し片326と第1前側折返し片327とを備えている。
図11(a)(b)、
図12(a)に示すように、主面側折返し片326は、側面主面部322の上方開口縁部51b(上端部)から上方へ突出し、突出方向の基端部、すなわち側面主面部322の上端には、上方開口縁部51bに沿って折り目326a(
図12(a)参照)が形成されている。主面側折返し片326は、折り目326aを起点として屈曲可能に形成されている。主面側折返し片326は、側面主面部322の上方開口縁部51bの略全長にわたって連続して形成されている。
【0159】
第1前側折返し片327は、側面前方延設部323の前方開口縁部52b(上端部)から上方へ突出し、突出方向の基端部、すなわち側面前方延設部323の上端には、前方開口縁部52bに沿って折り目327a(
図13(a)参照)が形成されている。
【0160】
第1前側折返し片327は、折り目327aを起点として屈曲可能に形成されている。第1前側折返し片327は、前方開口縁部52bの下部を除く全長に亘って連続して形成されている。
なお、主面側折返し片326と第1前側折返し片327とは、互いに連続しておらず、側面主面部322と側面前方延設部323ごとに独立して形成されている。
【0161】
ところで、右側面パネル32Aの開口部90の縁部51b,52b(開口縁部51b,52b)は、上記の補強芯材70を内部に挿脱可能に保持する筒状保持部61が開口縁部51b,52bに沿って形成されている。筒状保持部61は、主面側筒状保持部62と前側筒状保持部63とを備えている。
【0162】
図11(a)(b)、
図12(a)に示すように、主面側筒状保持部62は、上記の主面側折返し片326と側面主面部322の上方開口縁部51bとでこれらの内部空間62hを有する筒状に形成されている。主面側筒状保持部62は、延在方向(前後方向)の両端部が開口している。
【0163】
詳しくは、側面主面部322の上端から上方へ突出する上記の主面側折返し片326を折り目326aを起点として側面主面部322に対して右側(外側)へ折り返(屈曲)している。さらに、折り返した主面側折返し片326の突出方向の先端部(下端部)は、上方開口縁部51bとの対向部位に重合されており、この重合部分において、主面側折返し片326あと、該主面側折返し片326と対向する上方開口縁部51bとは、熱溶着により一体に固定されることで(
図11(b)の熱溶着部62a参照)、主面側筒状保持部62が形成される。
【0164】
上述した主面側筒状保持部62は、後述する上側補強芯材71の径よりも若干大きな内径で形成され、内部空間62hに挿入した上側補強芯材71が意に反して抜け出さないように該上側補強芯材71を内面との摩擦によって保持可能である一方で意図的に引き抜くことが可能に嵌挿保持する。
【0165】
主面側筒状保持部62は、側面主面部322の上方開口縁部51bに沿って前後方向に水平に形成されている。すなわち、左右一対の主面側筒状保持部62,62は、互いに平行に形成されている。
【0166】
図13(a)(b)に示すように、前側筒状保持部63は、上記の第1前側折返し片327および第2前側折返し片26と側面前方延設部323の前方開口縁部52bとでこれらの間に内部空間63h(
図13(b)参照)を有する筒状に形成されている。前側筒状保持部63の内部空間63hは、延在方向(前後方向)の両端部が開口している。
【0167】
詳しくは、側面前方延設部323の上端から上方へ突出する上記の第1前側折返し片327を折り目327aを起点として側面前方延設部323に対して右側(外側)へ折り返(屈曲)している。さらに、折り返した第1前側折返し片327の突出方向の先端部(下端部)は、前方開口縁部52bとの対向部位に重合させ、この重合部分において、第1前側折返し片327と、該第1前側折返し片327と対向する前方開口縁部52bとは、熱溶着により一体に固定している(
図13(a)の熱溶着部63a参照)。
【0168】
さらに、
図13(a)(b)に示すように、上方折曲げ片25の前縁から前方へ突出する上記の第2前側折返し片26を折り目26aを起点として上方折曲げ片25に対して右側(外側)へ折り返(屈曲)している。折り返した第2前側折返し片26の突出方向の先端部は、前方開口縁部52bとの対向部位に重合させ、この重合部分において、第2前側折返し片26と、該第2前側折返し片26と対向する前方開口縁部52bとは、熱溶着により一体に固定している(
図13(a)の熱溶着部63a参照)。
【0169】
第1前側折返し片327と、第1前側折返し片327の下方に位置する第2前側折返し片26とは、互いに折り返された状態において前方開口縁部52bに沿って略連続して配設されている。このため、前側筒状保持部63は、このような第1前側折返し片327と第2前側折返し片26とによって、前方開口縁部52bの略全長にわたって連続して形成されている。
なお、上述した主面側筒状保持部62と前側筒状保持部63は、何れも右側面パネル32Aの開口縁部51b,52bに対して熱溶着に限らず、他の固定手段で固定してもよい。
【0170】
上述した前側筒状保持部63は、後述する前側補強芯材72の径よりも若干大きな内径で形成され、内部空間63hに挿入した前側補強芯材72が意に反して抜け出さないように該前側補強芯材72を内面との摩擦によって保持可能である一方で意図的に引き抜くことが可能に嵌挿保持する。
【0171】
前側筒状保持部63は、側面前方延設部323の前方開口縁部52bに沿って前下後上方向に傾斜して形成されている。すなわち、左右一対の前側筒状保持部63,63は、互いに平行に形成されている。
【0172】
続いて変形例に係るペット用トイレ1Aに備えた上記の補強芯材70について説明する。
図9、
図10に示すように、補強芯材70は、上方開口縁部51bに沿って配置される上側補強芯材71と、前方開口縁部52bに沿って配置される前側補強芯材72とを備えている。
【0173】
上側補強芯材71は、背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の上方開口縁部51a,51b,51bに沿うとともにこれら上方開口縁部51a,51b,51bに亘って連続するようにU字形状(コ字状)に形成されている。
【0174】
具体的に、上側補強芯材71は、背面パネル31Aの上方開口縁部51aの略全長にわたって直線状に延びる後背側延在部73と、後背側延在部73の両端部から屈曲部75を介して左右の側面パネル32A,32Aの上方開口縁部51bの略全長にわたって前方へ直線状に延びる左右一対の側方延在部74,74とで一体に形成されている。
【0175】
左側の屈曲部75は、背面パネル31Aと左側面パネル32Aとの間の角部(90度)に対応する角度(90度)で屈曲形成されるとともに、右側の屈曲部75は、背面パネル31Aと右側面パネル32Aとの間の角部(90度)に対応する角度(90度)で屈曲形成されている。
【0176】
そして、上側補強芯材71は、左右一対の側方延在部74,74が左右の側面パネル32A,32Aの主面側筒状保持部62に略全体が嵌挿された状態で装着(保持)されている。
【0177】
これにより、上側補強芯材71は、左右の屈曲部75を介して隣接する背面パネル31Aの上方開口縁部51aと、該背面パネル31Aと隣接する左右の側面パネル32A,32Aの各上方開口縁部51b,51bとに跨って、これら上方開口縁部51a,51b,51bおよび左右の屈曲部75,75に沿うように配置される。
【0178】
このような上側補強芯材71は、上方開口縁部51a,51b,51bおよびその周辺の強度(自立性)を高めるとともに背面パネル31Aと背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々のパネル間の角部を略一定に保持可能な強度を有している。
【0179】
図9、
図10に示すように、前側補強芯材72は、底面パネル2Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の前方開口縁部52a,52b,52bに沿うとともにこれら前方開口縁部52a,52b,52bに亘って連続するようにU字形状(コ字状)に形成されている。
【0180】
具体的に、前側補強芯材72は、底面パネル2Aの前方開口縁部52aの略全長にわたって直線状に延びる下側延在部76と、下側延在部76の両端部から屈曲部78を介して左右の側面パネル32A,32Aの前方開口縁部52b,52bの略全長にわたって後上方向へ直線状に延びる左右一対の側方延在部77,77とで一体に形成されている。
【0181】
左側の屈曲部78は、底面パネル2Aと左側面パネル32Aとの間の角部(90度)に対応する角度(90度)で屈曲形成されるとともに、右側の屈曲部78は、底面パネル2Aと右側面パネル32Aとの間の角部(90度)に対応する角度(90度)で屈曲形成されている。
【0182】
そして、前側補強芯材72は、左右一対の側方延在部77,77が左右の側面パネル32A,32Aの前側筒状保持部63に略全体が嵌挿された状態で装着(保持)されている。
【0183】
これにより、前側補強芯材72は、左右の屈曲部78を介して隣接する底面パネル2Aの前方開口縁部52aと、該底面パネル2Aと隣接する左右の側面パネル32A,32Aの各前方開口縁部52b,52bとに跨って、これら開口縁部52a,52b,52bおよび左右の屈曲部78,78に沿うように配置される。
【0184】
なお、前側補強芯材72を前側筒状保持部63に取り付けた状態において、前側補強芯材72の下側延在部76は、底面パネル2Aの前方突出片24によって上方から覆われるため、ペットが出入りする際に邪魔になることがなく、良好な見栄えに保つことができる。
【0185】
また、このような前側補強芯材72は、前方開口縁部52a,52b,52bおよびその周辺の強度(自立性)を高めるとともに底面パネル2Aと背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aの夫々のパネル間の角部を略一定に保持可能な強度を有している。
【0186】
当例において、補強芯材70(上側補強芯材71と前側補強芯材72)は、何れも金属製の線材(ワイヤ)を曲げ加工して形成されているが、上述した強度を有していれば、金属に限らず、樹脂など他の素材で形成してもよく、また、曲げ加工に限らず、樹脂成形や複数の構成部品を互いに連結して構成するなど形成方法についても特に限定しない。
また、当例においては、上側補強芯材71と前側補強芯材72は、同一の形状、大きさおよび材料で形成されており、互換性を有している。
【0187】
続いて、変形例のペット用トイレ1Aの組み立て手順について説明する。なお、左右の側面パネル32A,32Aの開口縁部51b,52b(上端縁部)には、筒状保持部61が予め形成されているものとする。
【0188】
まず、背面パネル31Aおよび左右の側面パネル32A,32Aを底面パネル2Aに対して起立するように互いの境界部を折り曲げる。そして、左右の側方折曲げ片324を折り目324aを起点として背面パネル31Aの外面側へ折り曲げてファスナ40でネジ留めする(
図14(b)参照)。
【0189】
さらに、
図14(a)に示す状態から
図10に示す状態となるように上側補強芯材71の左右の側方延在部74,74を左右の主面側筒状保持部62の後端から奥まで夫々差し込む。
これにより、上側補強芯材71は、後背側延在部73が背面パネル31Aの上方開口縁部51aに沿って外側から配置された状態に保たれるように左右の主面側筒状保持部62に装着される。
【0190】
ここで、背面パネル31Aの側へ折り返した側方折曲げ片324は、下部がファスナ40により背面パネル31Aに対して固定される一方で、ファスナ40から上方へ離間する上部が、仮に背面パネル31Aに対して不用意に捲れようとしても、後背側延在部73が側方折曲げ片324の上部を背面パネル31Aの側へ後方からしっかりと押さえ付けることができる(
図11(b)参照)。これにより、背面パネル31Aや側方折曲げ片324に形成される貫通孔31Ah,324hの数を最小限に留めつつ、側方折曲げ片324と背面パネル31Aとの一体性を高めることができる。
すなわち、背面パネル31Aの上方開口縁部51aの強度およびペット用トイレ1Aのコーナー部の強度を高めることができる。
【0191】
次に、背面側突出片31bを補強折り目4を起点として後方へ折り、レール状の背面側補強部材8aを上述した実施形態で説明した手順と同じ要領で装着する(
図11(b)、
図12(b)参照)。
これにより、上側補強芯材71の後背側延在部73は、主面側筒状保持部62に覆われることがなく露出した状態で背面パネル31Aの上方開口縁部51aに沿って配置されるが、背面パネル31Aの上方開口縁部51aから後方側へ庇状に垂下するレール状の背面側補強部材8aによって上方かつ後方から覆われた状態となる(
図11(b)、
図12(b)参照)。
【0192】
次に、
図14(b)に示す状態から
図9に示す状態となるようにペット用トイレ1Aを底面パネル2Aが作業者側を向くとともに背面パネル31Aが床面に設置される姿勢(つまり
図14(b)に示す姿勢)とし、前側補強芯材72の左右の側方延在部77,77を左右の前側筒状保持部63における、底面パネル2Aの側の端部から奥まで夫々差し込む。
【0193】
これにより、前側補強芯材72は、下側延在部76が底面パネル2Aの前方開口縁部52aに沿って下側から配置された状態に保たれるように左右の前側筒状保持部63に装着される。
【0194】
ここで、前側補強芯材72の側方延在部77を前側筒状保持部63に差し込んだ状態において、側方延在部77は、側面前方延設部323に形成された前側筒状保持部63のみならず、上方折曲げ片25に形成された前側筒状保持部63にも差し込まれるため、右側面パネル32Aの側へ起立するように折り曲げた上方折曲げ片25が不用意に倒れないように前側補強芯材72の側方延在部77によって保持(ガイド)することができる(
図13(a)(b)参照)。
すなわち、左右の側面パネル32A,32Aの前方開口縁部52bの強度およびペット用トイレ1Aのコーナー部の強度を高めることができる。
1Aなお、上述した変形例のペット用トイレ1Aについても、立体形状から平面状に折り畳み可能に形成されており、ペット用トイレ1Aを立体形状から平面状に展開する際には、上述した組み立て手順と逆の手順で分解すればよい。
【0195】
図9、
図10に示すように、上述した変形例のペット用トイレ1Aは、床面に設置されるとともにペットが乗る底面パネル2Aと、該底面パネル2Aの縁部から縦壁状に立設する板状の壁面パネル3Aを備え、壁面パネル3Aによって外部と仕切られた内部空間Sに対してペットが出入り可能に内部空間Sの上面および前面に亘って開口する開口部90を有し、底面パネル2Aと壁面パネル3Aとの開口部90の縁部51a,51b,52a,52bには、該開口縁部51a,51b,52a,52bに沿って延びる補強芯材70を備えたものである。
【0196】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易い各パネル2A,3Aの開口縁部51a,51b,52a,52bを、これら開口縁部51a,51b,52a,52bに沿って連続して形成された補強芯材70よって効果的に補強することができる。
【0197】
従って、壁面パネル3A等の大型化が可能となり、尿の外部への飛散防止効果を高めることができる。
【0198】
加えて、変形例のペット用トイレ1Aを、例えば底面パネル2Aに、猫砂が敷き詰められたトレイを設置する等して猫用のトイレとして用いる場合において、猫が爪とぎや、じゃれ合い等の行為をとることで猫砂が飛散しようとするが、上述したように、壁面パネル3Aや底面パネル2Aの開口縁部51a,51b,52a,52bを補強することでこれらパネル2A,3Aを大型化することが可能となるため、猫砂等の外部への飛散防止効果も高めることができる。
【0199】
従って、変形例のペット用トイレ1Aは、猫用のトイレとして好適な構成とすることができる。
【0200】
さらに、補強芯材70はワイヤ状であるため、このような補強芯材70を開口縁部51a,51b,52a,52bに沿って備えても該開口縁部51a,51b,52a,52bが嵩張ることがなく効率よく補強できるため、開口縁部51a,51b,52a,52bをしっかりと補強しつつも広い内部空間Sを確保したり設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0201】
図9、
図10に示すように、この発明の態様として、補強芯材70を内部に挿脱可能に保持する筒状保持部61が左右の側面パネル32A,32Aの開口縁部51b,52bに沿って形成されたものである。
【0202】
上記構成によれば、補強芯材70を筒状保持部61に対して挿脱することで、開口縁部51b,52bに対して容易に装着したり取り外したりすることができる。
【0203】
具体的には、補強芯材70を筒状保持部61の内部に差し込むことによって、補強芯材70と開口縁部51b,52bとの一体性を高めることができるため、開口縁部51b,52bの補強効果を高めることができるとともに、飛散した排泄物が付着しないように補強芯材70の略全体を保護することができる。さらに、補強芯材70を筒状保持部61から抜き出して水洗い等の清掃も可能となるため、衛生的である。
【0204】
また、上述したように、補強芯材70を筒状保持部61から抜き出すことでペット用トイレ1Aを折り畳むことが可能となるため、コンパクトに収納したり持ち運びが容易となる。
【0205】
また
図9、
図10に示すように、この発明の態様として、左右の側面パネル32A,32Aには、開口部縁部51b,52bの側へ折り返し可能に該開口部縁部51b,52bから突出する折返し片325が形成され、筒状保持部61は、折り返した折返し片325と開口部縁部51b,52bとで筒状となるように互いに重合して形成されたものである。
【0206】
上記構成によれば、開口部縁部51b,52bと折返し片325(326,327)とが重合する重合部分を有することで開口縁部51b,52bの強度をより一層高めることができる。
【0207】
ここで、折返し片325と開口部縁部51b,52bとを重合状態に固定する固定部は、例えば、熱による溶着部に限らず、接着剤や粘着テープによる接着部、縫着部、ファスナ等の固定手段を採用してもよい。
【0208】
また
図9、
図10に示すように、この発明の態様として、上側補強芯材71は、背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の上方開口縁部51a,51bに亘って連続して形成されたものである。
【0209】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易い、背面パネル31Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の上方開口縁部51a,51bを、これら上方開口縁部51a,51bに沿って連続して形成された上側補強芯材71よって効果的に補強することができる。
【0210】
また
図9、
図10に示すように、この発明の態様として、前側補強芯材72は、底面パネル2Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の前方開口縁部52a,52bに亘って連続して形成されたものである。
【0211】
上記構成によれば、自由端部となるため型崩れし易い底面パネル2Aと左右の側面パネル32A,32Aとの夫々の前方開口縁部52a,52bを、これら前方開口縁部52a,52bに沿って連続して形成された前側補強芯材72よって効果的に補強することができる。
【0212】
さらに、左右の側面パネル32A,32Aの前方開口縁部52bに形成された前側筒状保持部63に対して、コ字状の前側補強芯材72を前方かつ下方から差し込んで容易にかつしっかりと装着することができる。
【0213】
この発明の構成と、上述の変形例との対応において、ペット用囲いは、ペット用トイレ1Aに対応し、同様に、
筒状保持部を有するパネルは、左右の側面パネル32A,32Aに対応し、
折返し片は、第2前側折返し片26または折返し片325(主面側折返し片326および第1前側折返し片327)に対応し、
一対のパネルは、左右の側面パネル32Aと背面パネル31A、または底面パネル2Aと左右の側面パネル32Aに対応し、
一方のパネルは、左右の側面パネル32Aまたは底面パネル2Aに対応し、
他方のパネルは、背面パネル31Aまたは左右の側面パネル32Aに対応し、
折曲げ片は、側方折曲げ片324または上方折曲げ片25に対応し、
背面パネルと左右の側面パネルとの夫々の上方開口縁部は、背面パネルの上方開口部の縁部51a、左右の側面パネルの上方開口部の縁部51b,51bに対応し、
底面パネルと左右の側面パネルとの夫々の前方開口縁部は、底面パネルの前方開口部の縁部52a、左右の側面パネルの前方開口部の縁部52b,52bに対応するもこの発明は、上述の実施形態と同様に上述した変形例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0214】
例えば、
図9、
図13(a)(b)に示すように、前側補強芯材72は、左右の側方延在部77,77が左右各側の側面パネル32A,32Aの前方開口縁部52bに取り付けられた状態においては、左右の前側筒状保持部63に奥まで差し込まれ、これら前側筒状保持部63によって嵌挿保持される。そしてその際、前側補強芯材72の下側延在部76は、底面パネル2Aの前方開口縁部52bに対して近接した状態で設置面としての床面に設置される(
図13(a)参照)。
【0215】
ここで、
図15に示すように、前側補強芯材72は、左右の側方延在部77,77が前側筒状保持部63に対して嵌挿された状態で延在方向に沿ってスライド可能に形成されているため、ペット用トイレ1Aの上述した実施例(設置例)とは異なる実施例として、下側延在部76を底面パネル2Aの前方開口縁部52bに対して下方向へ離間(突出)した状態で床面に設置してもよい。
【0216】
このように、前側補強芯材72を底面パネル2Aの前方開口縁部52bに対して下方向へ突出させた状態で床面に設置することで、その突出量に応じて底面パネル2Aの前後方向における、底面パネル2Aの前後方向の少なくとも前方開口縁部52aを床面に対して嵩上げした状態で支持することができる。
よって、底面パネル2A上に有する猫砂が前方開口部90fを通じて意に反して外部へと飛散することを防ぐことができる。
【0217】
その他にも上述した筒状保持部61は、左右の側面パネル32A,32Aの双方に設けるに限らず、いずれか一方のみに設けたり、側面パネル32A以外の背面パネル31Aや底面パネル2Aに設けてもよい。また、変形例のペット用トイレ1Aにおいてレール状の補強部材8は、必須ではなく設けなくてもよく、また、背面パネル31A以外のパネルに設けてもよい。
【符号の説明】
【0218】
1,1A…ペット用トイレ(ペット用囲い)
2,2A…底面パネル
3,3A…壁面パネル
3a…パネル本体
3b…突出片
32b…右側突出片
33b…左側突出片
4…補強折り目
7…壁面折り目
8…補強部材
8b…右側補強部材
8c…左側補強部材
25…上方折曲げ片
26…第2前側折返し片
31,31A…背面パネル
32,32A…右側面パネル
33,32A…左側面パネル
50…壁面パネルの開口縁部
51a…背面パネルの開口縁部
51b…右側面パネルの開口縁部
51c…左側面パネルの開口縁部
52…底面パネル2Aの開口縁部
51a,51b,52a,52b…開口部の縁部
51a…背面パネルの上方開口部の縁部
51b…左右の側面パネルの上方開口部の縁部
52a…底面パネルの前方開口部の縁部
52b…左右の側面パネルの前方開口部の縁部
61…筒状保持部
70…補強芯材
71…上側補強芯材
72…前側補強芯材
75,78…屈曲部
80…基端部
81…パネル本体ガイド部
82…突出片ガイド部
83…係合突部
310…被係合部(突出片の先端部)
90…開口部
90u…上方開口部
90f…前方開口部
324…側方折曲げ片
325…折返し片
326…主面側折返し片
327…第1前側折返し片
S…内部空間
Sa…開口部