(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037188
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】腫瘍の視覚化および除去のためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240311BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20240311BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B34/10
G01N21/64 F
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199730
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2020541946の分割
【原出願日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】62/625,967
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/625,983
(32)【優先日】2018-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,843
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507148294
【氏名又は名称】ユニバーシティー ヘルス ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダコスタ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】オットリノ-ペリー,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】アナンタ,ナヤナ・タランキ
(72)【発明者】
【氏名】ダン,スーザン・ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ウェイ-リアン
(72)【発明者】
【氏名】エアッソン,アレクサンドラ・エム
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043DA02
2G043EA01
2G043JA03
2G043KA02
2G043LA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外科的マージンを評価する方法が開示される。
【解決手段】この方法は、癌組織細胞内で約600nm~約660nmの放射を誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を外科的マージンに隣接して位置決めすることを含む。この方法はまた、手持ち式デバイスによって、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起波長の蛍光放射を実質上同時に励起および検出することを含む。また、外科的マージンの組織細胞内で検出された誘起波長の蛍光放射の存在または量に基づいて、外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することを含む。化合物は、非活性の非標的化合物、例えばALAなどとすることができる。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的マージンを評価する方法であって、
癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を外科的マージンに隣接して位置決めすることと、
前記手持ち式デバイスによって、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を実質上同時に励起および検出することと、
前記外科的マージンの前記組織細胞内で検出された前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の存在または量に基づいて、前記外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することとを含む、方法。
【請求項2】
前記化合物が、非活性の非標的造影剤、単一モード造影剤、または多モード造影剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、5-アミノレブリン酸である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記手持ち式デバイスの前記遠位端を位置決めすることが、前記外科的マージンに接触することなく、前記手持ち式デバイスの前記遠位端を前記外科的マージンに隣接して位置決めすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を実質上同時に励起および検出する前に、前記外科的マージンを取り囲む環境を暗くすることをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記環境を暗くすることが、周囲光を低減させること、人工光をなくすこと、ならびに/または周囲および人工光が前記外科的マージンを取り囲む所定の区域に到達するのを遮断もしくは他の方法で防止することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
周囲および人工光が前記外科的マージンを取り囲む所定の区域に到達するのを遮断または他の方法で防止することが、前記外科的マージンの周りに構造を位置決めすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造が、光の通過を阻止するように構成されたドレープ、シールド、または他の構造を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記構造を位置決めすることが、前記手持ち式デバイスの一部分上に前記構造を位置決めすることを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記構造を位置決めすることが、前記デバイスおよび/または前記外科的マージンに接触することなく、前記手持ち式デバイスおよび前記外科的マージンを少なくとも部分的に取り囲みまたは包囲するように、前記構造を位置決めすることを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記外科的マージンの検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の画像またはビデオを表示することをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
検出および/または表示が、実時間で行われる、請求項1から11のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項13】
前記外科的マージンの前記組織細胞を白色光で照射し、前記外科的マージンの白色光画像またはビデオを捕捉することをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記外科的マージンの検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の少なくとも一部を、前記白色光画像またはビデオ上に重ねて表示し、前記白色光画像、ならびに前記外科的マージンの検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に基づいて、前記外科的マージンの合成画像を実時間で形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記白色光画像を含む第1の画像またはビデオを表示することと、前記外科的マージンの検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を含む第2の画像またはビデオを表示することとをさらに含み、前記第1および第2の画像またはビデオが、並べて表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記外科的マージンの前記白色光画像またはビデオ、検出された前記組織細胞の自家蛍光放射、および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射に関するデータを、前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスから表示デバイスへ伝送することをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記データを伝送することが、前記データを前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスから無線実時間データ記憶および前処理デバイスへ伝送することと、次に前記データをハブから前記表示デバイスへ伝送することとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記データを前記表示デバイスへ伝送する前に、前記実時間データ記憶および前処理デバイス内で前記データを前処理することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記データを前処理することが、前記データを展開すること、前記データからノイズを除去すること、前記データを強化すること、および/または前記データを平滑化することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記データが、ビデオデータまたは画像データである、請求項16から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
実質上同時に励起および検出するステップが、前記化合物が投与されてから約15分~約6時間後に実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
実質上同時に励起および検出する前記ステップが、前記化合物が投与されてから約2時間~4時間後に実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
実質上同時に励起および検出する前記ステップが、前記化合物が投与されてから約2.5時間~3.5時間後に実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、経口で、静脈内に、エアロゾルを介して、洗浄を介して、浸漬を介して、点滴を介して、かつ/または局所的に投与された、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、0mg/kgより大きく60mg/kgより小さい投与量で投与された、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、約15mg/kg~約45mg/kgの投与量で投与された、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、約20mg/kg~約30mg/kgの投与量で投与された、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、約30mg/kg~約55mg/kgの投与量で投与された、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、または約55mg/kgの投与量で投与された、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、60mg/kgより大きい投与量で投与された、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、手術前、手術中、および/または手術後に投与される、請求項1から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記外科的マージンの前記組織細胞内で検出された前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射の量に基づいて、追加の動作のために前記外科的マージンの一部分を識別することをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記追加の動作が、前記外科的マージン内で識別された前記細胞の除去を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
除去が、外科的切除、光の印加、熱アブレーション、焼灼、吸引、標的電離放射、および/または熱の印加もしくは除去によって実現される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起することが、前記外科的マージンを含む手術腔内へ、切除腫瘍もしくは組織の外面上へ、または前記切除腫瘍もしくは組織の1つもしくは複数の区間上へ、少なくとも1つの励起光源からの光を誘導することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約430nmの波長および/または約550nm~600nmの波長を有する光を放射する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの励起光源が、約405nmの波長を有する光を放射する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの励起光源が、約572nmの波長を有する光を放射する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約430nmまたは約405nmの波長を有する第1の励起光を放射する第1の励起光源と、約550nm~約600nmま
たは約572nmの波長を有する第2の励起光を放射する第2の励起光源とを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の励起光源および前記第2の励起光源が、同時にまたは順次動作する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記外科的マージンの組織細胞によって吸収され、前記外科的マージンの組織細胞を標的とし、前記外科的マージンの組織細胞内に含まれた、近赤外染料および/または赤外染料の蛍光を励起および検出することをさらに含む、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記近赤外染料および/または前記赤外染料が、癌組織細胞および/または血管によって吸収されるように構成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
約700nm~約850nm、約760nm~約800nm、または約760nmの波長を有する第3の励起光を放射する第3の励起光源をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つの励起光源からの光を手術腔内へ誘導することが、前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの前記遠位端を前記手術腔内へ挿入することを含む、請求項35から43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記手術腔および前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を周囲および人工光から遮蔽するように構成されたデバイスを位置決めすることをさらに含む、請求項35から44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記シールドデバイスを位置決めすることが、前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの前記遠位端を前記手術腔内へ挿入した後で行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの光源から前記手術腔内へ複数の方向に励起光を放射することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの前記遠位端が、前記手術腔内へ複数の方向に光を誘導するように位置決めされた少なくとも1つの励起光源を含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項49】
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの前記遠位端の周囲に位置決めされた第1の励起光源を作動させて、前記手術腔を照射することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの前記遠位端の周囲に位置決めされた第2の励起光源を作動させて、前記手術腔を照射することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位部分上に位置決めされた第3の励起光源を作動させて、前記手術腔を照射することをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第1、第2、および第3の励起光源のそれぞれが、実質上同時に作動する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1、第2、および第3の励起光源が、順次作動し、または繰返し順次作動する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記外科的マージンからの放射をフィルタにかけることをさらに含み、前記放射は、前記外科的マージンを含む前記手術腔内へ、切除腫瘍もしくは組織の外面上へ、または前記切除腫瘍もしくは組織の1つもしくは複数の区間上へ誘導された少なくとも1つの励起光源による照射に応答する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
放射をフィルタにかけることが、前記手持ち式デバイスの少なくとも1つのスペクトル波長フィルタ機構によって、反射された励起光の通過を防止するが、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光に対応する波長を有する放射の通過は許可することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
放射をフィルタにかけることが、誘起された赤外または近赤外蛍光に対応する波長を有する放射を許可することをさらに含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
放射をフィルタにかけることが、約450nm~約500nm、約500nm~約550nm、約550nm~約600nm、約600nm~約660nm、および/または約660nm~約710nmの波長を有する放射の通過を許可することをさらに含む、請求項54から56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
放射をフィルタにかけることが、約700nm~約1ミクロンまたは約700nm~約750nmおよび約800nm~約1ミクロンの波長を有する放射の通過を許可することをさらに含む、請求項54から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出することが、手術腔内に含まれる前記外科的マージン、切除腫瘍もしくは組織の外面、または前記切除腫瘍もしくは組織の1つもしくは複数の区間の表面からのフィルタにかけられた放射を検出することを含み、前記フィルタにかけられて検出された放射が、前記外科的マージン上へ誘導された少なくとも1つの励起光源による照射に応答する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出することが、前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの画像センサによって、前記フィルタにかけられた放射を検出することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスから離れたディスプレイ上に、前記フィルタにかけられて検出された放射を表示することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記フィルタにかけられて検出された放射が、追加の外科的介入に関する判定を容易にするように表示される、請求項59または60に記載の方法。
【請求項63】
外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出することが、約405nmの波長を有する第1の励起光に応答して放射を検出することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの
蛍光放射を検出することが、約575nmの波長を有する第2の励起光に応答して放射を検出することを含む、請求項59または63に記載の方法。
【請求項65】
前記外科的マージンの組織細胞内の赤外染料または近赤外染料の存在を検出することをさらに含む、請求項59から64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
赤外染料または近赤外染料の前記存在の検出が、前記組織の血管新生、血管灌流、および/または血管貯留を示す、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記外科的マージンの組織細胞内の赤外染料の前記存在を検出することが、約760nm~約800nmの波長を有する第3の励起光に応答して放射を検出することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起することが、前記外科的マージンを含む手術腔内に前記手持ち式デバイスの遠位部分を位置決めすることと、前記手持ち式デバイスの前記遠位部分を動かして、前記外科的マージンの異なる部分を照射することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記手持ち式デバイスの前記遠位部分を動かすことが、前記手持ち式デバイスの関節動作可能な先端を作動させることを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記手持ち式デバイスの前記遠位部分を動かすことが、前記手持ち式デバイスの近位端を動かして、前記手持ち式デバイスの前記遠位端の照射角度を変化させることを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記外科的マージンに癌細胞が実質上ないかどうかを判定することが、前記外科的マージンの前記組織細胞内で検出された誘起ポルフィリンの量が閾値を超過するかどうかを判定することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記外科的マージンの検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の画像またはビデオを表示することが、前記画像またはビデオを2Dまたは3Dで表示することを含み、テレビジョン、モニタ、ヘッド実装モニタ、タブレット、眼鏡、3Dヘッドセット、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、および/または紙もしくは他の貯蔵材料上の印刷画像として、前記画像またはビデオを表示することをさらに含む、請求項11から71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記外科的マージンが、1つまたは複数の外科的マージンを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記外科的マージンのうちの1つが、腫瘍を含む切除組織の外面を形成する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記外科的マージンのうちの1つが、腫瘍および/または癌細胞を含む組織が切除された手術組織層である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記外科的マージンの組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射が赤色である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記外科的マージンの結合組織細胞の自家蛍光放射が緑色である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記外科的マージンの脂肪組織細胞の自家蛍光放射が、茶色がかったピンク色である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記癌組織細胞が、乳癌組織、脳腫瘍組織、大腸癌組織、扁平上皮癌組織、皮膚癌組織、前立腺癌組織、黒色腫組織、甲状腺癌組織、卵巣癌組織、癌性リンパ節組織、子宮頚癌組織、肺癌組織、膵癌組織、頭頚部癌組織、胃の癌組織、肝臓癌組織、または食道癌組織を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
患者内の関心組織を視覚化する方法であって、
(a)診断投与量において、癌組織内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物を前記患者に投与することと、
(b)前記化合物の投与から約15分~約6時間後、前記誘起ポルフィリンを含む組織を前記患者から除去することであり、前記組織を除去することで手術腔が生じる、除去することと、
(c)手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスによって、前記除去組織細胞、前記除去組織細胞の1つまたは複数の区間、および前記手術腔のうちの少なくとも1つの外科的マージンを見て、前記外科的マージンの組織内に含まれるあらゆる誘起ポルフィリンを視覚化することとを含む、方法。
【請求項81】
前記癌組織が、乳癌組織、脳腫瘍組織、大腸癌組織、扁平上皮癌組織、皮膚癌組織、前立腺癌組織、黒色腫組織、甲状腺癌組織、卵巣癌組織、癌性リンパ節組織、子宮頚癌組織、肺癌組織、膵癌組織、頭頚部癌組織、胃癌組織、肝臓癌組織、または食道癌組織である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記除去癌組織が乳癌組織である、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記乳癌組織が、湿潤性乳管内癌、乳管内癌、湿潤性小葉癌、および多病変疾患のうちの1つである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記癌組織が癌性リンパ節組織である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記外科的マージン内の誘起ポルフィリンを含む前記あらゆる組織を外科的に除去することをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記除去組織から組織サンプルを準備することをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記除去癌組織のステージ分類および/または診断を行うことをさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記視覚化を使用して、手術の案内、癌組織のステージ分類、またはリンパ節のステージ分類を行う、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記視覚化により、外科医が、健康な組織の前記除去を最小にすることが可能になる、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記化合物がアミノレブリン酸である、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記化合物が5-アミノレブリン酸である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスであって、
使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成された第2の端部を有する本体を備え、前記本体が、
前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、
反射された励起光の通過を防止するが、組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたフィルタと、
撮像レンズと、
前記外科的マージンのフィルタにかけられた前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出するように構成された画像センサと、
検出された前記放射を受け取り、前記外科的マージンのフィルタにかけられて検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサとを収容する、デバイス。
【請求項93】
前記デバイスの前記本体が、滅菌可能な材料を含み、前記デバイスが、滅菌されるように構成される、請求項92に記載のデバイス。
【請求項94】
前記遠位端部が、前記外科的マージンに接触することなく、前記外科的マージンに隣接して位置決めされるように構成される、請求項92または93に記載のデバイス。
【請求項95】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約800nmの波長を有する光を放射する、請求項92から94のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項96】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約600nmの波長を有する励起光を放射する、請求項92から95のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項97】
前記少なくとも1つの励起光源が、約550nm~600nmの波長を有する光を放射する、請求項92から96のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項98】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約430nmの波長を有する第1の励起光を放射する第1の励起光源と、約550nm~約600nmの第2の波長を有する励起光を放射する第2の励起光源とを含む、請求項92から96のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項99】
第3の励起光源をさらに備え、前記第3の励起光源が、約700nm~約850nmの波長を有する第3の励起光を放射する、請求項92から98のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項100】
前記少なくとも1つの光源が、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の先端部上に位置決めされる、請求項92から99のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項101】
前記少なくとも1つの光源が、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の周囲および/または前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の端面上に位置決めされる、請求項100に記載のデバイス。
【請求項102】
前記少なくとも1つの励起光源が、第1の波長の光を放射するように構成された複数のLEDを備える第1の光源を含む、請求項92から101のいずれか1項に記載のデバイ
ス。
【請求項103】
前記少なくとも1つの励起光源が、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を放射するように構成された第2の複数のLEDを備える第2の光源を含む、請求項102に記載のデバイス。
【請求項104】
前記第1の複数のLEDが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の前記先端部の周囲に位置決めされる、請求項103に記載のデバイス。
【請求項105】
前記第2の複数のLEDが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の前記先端部の前記周囲に位置決めされる、請求項104に記載のデバイス。
【請求項106】
前記第1の複数のLEDが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の前記先端部の前記周囲に、前記第2の複数のLEDと交互に位置決めされる、請求項105に記載のデバイス。
【請求項107】
前記手術腔の白色光撮像を容易にするための白色光源をさらに備える、請求項92から106のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項108】
前記白色光源が、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の前記先端部上に位置決めされる、請求項107に記載のデバイス。
【請求項109】
前記白色光源が、白色光を放射するように構成された複数のLEDを含み、前記複数の白色光LEDが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の前記先端部の前記周囲および/または前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の端面上に位置決めされる、請求項108に記載のデバイス。
【請求項110】
前記複数の白色光LEDが、前記少なくとも1つの励起光源と交互に位置決めされる、請求項109に記載のデバイス。
【請求項111】
前記少なくとも1つの励起光源が、前記第1の波長および前記第2の波長とは異なる第3の波長の光を放射する第3の励起光源をさらに含む、請求項102から110のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項112】
前記第3の励起光源が、前記第1および第2の励起光源に隣接して位置決めされる、請求項111に記載のデバイス。
【請求項113】
前記第3の励起光源が、近赤外または赤外染料を含む前記外科的マージンの組織細胞を励起するように構成される、請求項112に記載のデバイス。
【請求項114】
前記第3の励起光源が、前記外科的マージン内の血管新生または血管貯留を識別するように構成される、請求項112に記載のデバイス。
【請求項115】
電源をさらに備える、請求項92から114のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項116】
前記電源が、前記少なくとも1つの励起光源に電力を提供するように構成される、請求項115に記載のデバイス。
【請求項117】
前記電源が、すべての光源に電力を提供するように構成される、請求項116に記載のデバイス。
【請求項118】
各光源が、個々に作動可能である、請求項92から117のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項119】
2つ以上の光源が、同時に作動可能である、請求項92から118のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項120】
2つ以上の光源が、順次作動可能である、請求項92から119のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項121】
前記デバイスの前記本体の前記第2の端部が細長く、前記外科的マージンを含む手術腔内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される、請求項92から120のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項122】
前記デバイスの前記本体が、長手方向軸を有し、前記本体の前記第2の端部が、前記長手方向軸に対して湾曲している、請求項92から121のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項123】
前記デバイスの前記第1の端部が、第1の周囲長さを有し、前記デバイスの前記第2の端部が、第2の周囲長さを有し、前記第1の周囲長さが、前記第2の周囲長さより大きい、請求項92から122のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項124】
前記デバイスの前記第1の端部が、前記デバイスを直立位置で支持するように構成される、請求項92から123のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項125】
前記デバイスを充電するための誘導充電コイルをさらに備える、請求項92から124のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項126】
前記デバイスの前記本体の前記第1の端部が、前記デバイスの基部を形成し、前記誘導充電コイルが、前記デバイスの無線充電のために前記デバイスの前記基部内に位置決めされる、請求項125に記載のデバイス。
【請求項127】
前記フィルタが、約600nm~約660nmの波長を有する放射の通過を許可するようにさらに構成される、請求項92から126のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項128】
前記フィルタが、約500nm~550nmの波長を有する放射の通過を許可するようにさらに構成される、請求項89から127のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項129】
前記フィルタが、約660nm~約800nmの波長を有する放射の通過を許可するようにさらに構成される、請求項127または128に記載のデバイス。
【請求項130】
前記フィルタが、赤色、緑色、および近赤外から赤外のフィルタ帯域を含む、請求項92から126のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項131】
撮像レンズが、広角撮像レンズまたは魚眼レンズである、請求項92から130のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項132】
前記撮像レンズが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の先端部上に位置決めされる、請求項92から131のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項133】
前記画像センサが、単一細胞分解能を有する、請求項92から132のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項134】
少なくとも1つのヒートシンクをさらに備える、請求項92から133のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項135】
各光源または各LEDを伴うヒートシンクをさらに備える、請求項92から134のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項136】
電力オン/電力オフ、画像モード/ビデオモード、励起光/白色光、およびフィルタオン/フィルタオフのうちの少なくとも1つに対する制御をさらに備える、請求項92から135のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項137】
蛍光撮像状態が適当であることを示すように構成された周囲光センサをさらに備える、請求項92から136のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項138】
充電ケーブルまたは接続ケーブルを受け取るように構成された少なくとも1つのポートをさらに備える、請求項92から137のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項139】
前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の少なくとも一部が、撮像角度および/または励起光の角度(入射角)を変化させるように関節動作可能である、請求項92から138のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項140】
前記第2の端部の関節動作が、機械的または電子的に作動する、請求項139に記載のデバイス。
【請求項141】
前記デバイスが、前記外科的マージンのフィルタにかけられて検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に関する前記データを無線で伝送するように構成される、請求項92から140のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項142】
前記デバイスが、前記デバイスの異なる機能および/または構成要素を伴うセンサをさらに備え、前記センサが、前記機能または構成要素が現在活動中であるかどうかの表示を提供するように構成され、前記センサが、温度センサ、湿度センサ、加速度計、および周囲光センサのうちの1つまたは複数を含む、請求項92から141のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項143】
前記画像センサが、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の先端部内に位置決めされる、請求項92から142のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項144】
前記画像センサが、前記デバイス本体内に位置決めされ、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の先端部から隔置される、請求項92から143のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項145】
前記撮像レンズから前記画像センサへ光および/または画像データを伝送するように前記本体内に位置決めされた1つまたは複数の画像保存ファイバまたはファイバ束をさらに備える、請求項144に記載のデバイス。
【請求項146】
少なくとも1つの励起光源が、前記デバイス本体内に位置決めされ、前記デバイスの前記本体の前記第2の端部の先端部から隔置される、請求項92から145のいずれか1項
に記載のデバイス。
【請求項147】
前記デバイス本体内に位置決めされた1つまたは複数のライトガイドライトパイプをさらに備え、前記1つまたは複数のライトガイドライトパイプが、前記少なくとも1つの励起光源から前記デバイス本体の前記第2の端部の1つまたは複数の端面へ励起光を案内するように構成される、請求項146に記載のデバイス。
【請求項148】
前記デバイスが、無線通信に対応する、請求項92から147のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項149】
前記デバイスが、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fiとの使用に対応する、請求項92から148のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項150】
前記デバイスが、マイクロフォンを含む、請求項92から149のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項151】
前記デバイスが、癌組織内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物の治療投与量の投与を介して誘起されたポルフィリンを含む癌細胞を検出するように構成される、請求項92から150のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項152】
前記デバイスが、癌組織内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物の診断投与量の投与を介して誘起されたポルフィリンを含む癌細胞を検出するように構成される、請求項92から150のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項153】
前記非活性の非標的化合物が、外科的処置の前、間、または後に投与される、請求項151または152に記載のデバイス。
【請求項154】
外科的マージン内の癌細胞を視覚化するための多スペクトルシステムであって、
請求項92から153のいずれか1項に記載の手持ち式デバイスと、
前記手持ち式デバイスの前記プロセッサによって出力されたデータを表示するように構成された表示デバイスと、
無線実時間データ記憶および前処理デバイスとを備える、システム。
【請求項155】
前記手持ち式デバイスを受け取るように構成された滅菌ケースをさらに備える、請求項154に記載のシステム。
【請求項156】
前記手持ち式デバイスを無線で充電するための充電ドックをさらに備える、請求項154または155に記載のシステム。
【請求項157】
前記無線実時間データ記憶および前処理デバイスが、前記手持ち式デバイスから伝送されたビデオおよび/または画像データを受け取るように構成される、請求項154から156のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項158】
前記無線実時間データ記憶および前処理デバイスが、音声を記録するようにさらに構成される、請求項157に記載のシステム。
【請求項159】
前記無線実時間データ記憶および前処理デバイスが、記録された音声と前記手持ち式デバイスから受け取ったビデオデータおよび/または画像データとを同期するように構成される、請求項158に記載のシステム。
【請求項160】
前記無線実時間データ記憶および前処理デバイスが、前記手持ち式デバイスから受け取ったデータを前処理するように構成される、請求項154から159のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項161】
前記前処理が、前記データの展開、前記データからのノイズの除去、前記データの強化、および/または前記データの平滑化を含む、請求項160に記載のシステム。
【請求項162】
前記無線実時間データ記憶および前処理デバイスが、前記手持ち式デバイスから受け取った前記データを、有線接続を介して前記表示デバイスへ伝送するように構成される、請求項154から161のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項163】
前記表示デバイスが、横並び形式で、または蛍光データが白色光データの上に重ねられる重合せ形式で、異なる光源からの画像を表示するように構成される、請求項154から162のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項164】
前記手持ち式デバイスおよび前記オートクレーブケースが、充電ドックと協働して、滅菌後に前記手持ち式デバイスの無線充電を可能にするように構成される、請求項155から163のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項165】
外科的マージン内の癌細胞の白色光および蛍光ベースの視覚化のためのキットであって、
請求項92から153のいずれか1項に記載の手持ち式デバイスと、
癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物とを備える、キット。
【請求項166】
前記非活性の非標的化合物が、局所的に、経口で、静脈内に、エアロゾルを介して、浸漬を介して、かつ/または洗浄を介して投与されるように構成される、請求項165に記載のキット。
【請求項167】
前記非活性の非標的化合物が、0mg/kgより大きく60mg/kgより小さい診断投与量または60mg/kg以上の治療投与量で投与されるように構成される、請求項165または166に記載のキット。
【請求項168】
前記非活性の非標的化合物が、外科的マージンの視覚化の約15分~約6時間前に投与されるように構成される、請求項165から167のいずれか1項に記載のキット。
【請求項169】
前記非活性の非標的化合物が、外科的マージンの視覚化の約2時間~約4時間前に投与されるように構成される、請求項168に記載のキット。
【請求項170】
前記非活性の非標的化合物がアミノレブリン酸である、請求項165から169のいずれか1項に記載のキット。
【請求項171】
外科的マージンを評価する方法であって、
癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物の患者への投与後、請求項92から153のいずれか1項に記載のデバイスによって、
前記患者内の外科的マージンの組織細胞を励起光で照射することと、
誘起ポルフィリンを含む前記外科的マージン内の組織細胞からの蛍光放射を検出することと、
蛍光放射が検出された前記組織細胞を実時間で表示して、前記外科的マージンの外科的評価および/または治療を案内することとを含む、方法。
【請求項172】
蛍光放射が検出された前記組織細胞を実時間で表示することが、癌組織細胞の位置を表示することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記外科的マージンの前記組織細胞を照射することが、前記患者のリンパ節を照射することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射をリンパ節から検出したことが、癌細胞が転移していることを示す、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射をリンパ節から検出できないことが、癌細胞が転移していないことを示す、請求項173に記載の方法。
【請求項176】
前記外科的マージンの組織細胞を照射することが、前記患者から切除された組織の外面を照射することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項177】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射を前記切除組織の前記外面上で検出できないことが、前記外科的マージンに癌細胞がない可能性があることを示す、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射を前記切除組織の前記外面上で検出したことが、前記組織が切除された前記手術腔内に癌細胞が残っている可能性があることを示す、請求項176に記載の方法。
【請求項179】
前記外科的マージンの前記組織細胞を照射することが、組織が切除された手術腔の組織を照射することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項180】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射を前記手術腔内で検出できないことが、前記外科的マージンに癌細胞がない可能性があることを示す、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
ポルフィリンに誘起された蛍光放射を前記手術腔内で検出したことが、すべての癌細胞が切除されたとは限らないこと、および前記手術腔内に癌細胞が残っている可能性があることを示す、請求項179に記載の方法。
【請求項182】
リンパ節を評価する方法であって、
癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与後、標的リンパ節の組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光を実質上同時に励起および検出することと、
前記標的リンパ節の前記組織細胞内で検出された前記誘起ポルフィリンの蛍光の量に基づいて、前記リンパ節に癌細胞が実質上ないかどうかを判定することとを含む、方法。
【請求項183】
前記リンパ節内で検出された前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射の量を使用して、前記リンパ節に関連する腫瘍内の癌細胞のステージを分類することをさらに含む、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記外科的マージン内の組織細胞の自家蛍光放射を実質上同時に励起および検出することをさらに含む、請求項182または183に記載の方法。
【請求項185】
外科的マージン内の癌細胞の白色光および蛍光ベースの視覚化のためのキットであって、
請求項92から153のいずれか1項に記載の手持ち式デバイスと、
前記手持ち式デバイス上の先端部と交換可能になるように構成された複数の先端とを備え、各先端が、少なくとも1つの光源を含む、キット。
【請求項186】
第1の先端が、第1の励起光源を含み、第2の先端が、第2の励起光源を含み、前記第1および第2の励起光源が、異なる波長の光を放射する、請求項185に記載のキット。
【請求項187】
前記第1および第2の先端のうちの少なくとも1つが、スペクトルフィルタをさらに含む、請求項186に記載のキット。
【請求項188】
外科的マージンを評価する方法であって、
癌組織細胞内で約600nm~約660nmの放射を誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を外科的マージンに隣接して位置決めすることと、
前記手持ち式デバイスによって、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起波長の蛍光放射を実質上同時に励起および検出することと、
前記外科的マージンの前記組織細胞内で検出された前記誘起波長の蛍光放射の存在または量に基づいて、前記外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することとを含む、方法。
【請求項189】
外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスであって、
使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成された第2の端部を有する本体備え、前記本体が、
撮像または造影剤への露出後、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射、ならびに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変内の約600nm~約660nmの波長を有する蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、
反射された励起光の通過を防止するが、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたフィルタと、
撮像レンズと、
前記外科的マージンのフィルタにかけられた前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射を検出するように構成された画像センサと、
検出された前記放射を受け取り、前記外科的マージンのフィルタにかけられて検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサとを収容する、デバイス。
【請求項190】
前記外科的マージンが、人間を除く動物である、請求項1から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項191】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記患者が、人間を除く動物である、請求項80から91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項193】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮
膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項92から153のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項195】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項194に記載のデバイス。
【請求項196】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項154から164のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項197】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項196に記載のデバイス。
【請求項198】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項165から170のいずれか1項に記載のキット。
【請求項199】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項198に記載のキット。
【請求項200】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項171から181のいずれか1項に記載の方法。
【請求項201】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
前記組織細胞が、人間を除く動物内にある、請求項182から184のいずれか1項に記載の方法。
【請求項203】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項185から187のいずれか1項に記載のキット。
【請求項205】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項204に記載のキット。
【請求項206】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項188に記載の方法。
【請求項207】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮
膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記外科的マージンが、人間を除く動物内にある、請求項189に記載の方法。
【請求項209】
前記癌組織が、肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫である、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
患者内の疾患を視覚化する方法であって、
疾患組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を手術部位に隣接して位置決めすることと、
前記手持ち式デバイスによって、前記手術部位の組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起および検出することと、
前記手持ち式の撮像デバイスのプロセッサで、検出された前記放射を受け取り、検出された前記放射に基づいて、前記手術部位の初期蛍光画像を出力することとを含み、前記蛍光画像が、前記手術部位における疾患の有無の視覚的表示を含む、方法。
【請求項211】
前記画像の色、パターン、およびテキスチャを分析して、疾患が存在するかどうかを判定することをさらに含み、前記初期画像内で赤色蛍光によって疾患が示される、請求項210に記載の方法。
【請求項212】
前記画像の色、パターン、およびテキスチャを分析して、限局性疾患が存在するかどうかを判定することをさらに含み、初期画像内で赤色蛍光の大きい一様の区域によって限局性疾患が示される、請求項210に記載の方法。
【請求項213】
前記画像の色、パターン、およびテキスチャを分析して、多病変疾患が存在するかどうかを判定することをさらに含み、前記初期画像内で明赤色蛍光の複数の小さい区域によって多病変疾患が示される、請求項210に記載の方法。
【請求項214】
前記画像の色、パターン、およびテキスチャを分析して、存在する疾患の程度を判定することをさらに含み、前記画像内の非赤色蛍光の量と比較して、前記初期画像内の赤色蛍光の全体的な量によって、存在する疾患の程度が示される、請求項210に記載の方法。
【請求項215】
前記手術部位の前記初期蛍光画像を出力した後、前記手術部位で介入を案内することをさらに含み、前記介入を案内することが、前記初期画像内の赤色蛍光の区域を介入の区域として識別することを含む、請求項210に記載の方法。
【請求項216】
前記介入が、放射線療法、アブレーション、凍結治療、光線力学的療法、腹腔鏡検査、切除、生検、掻爬、小線源治療、高周波超音波アブレーション、無線周波アブレーション、陽子治療、腫瘍溶解性ウイルス、電界治療、および熱アブレーションのうちの1つまたは複数を含む、請求項215に記載の方法。
【請求項217】
介入の有効性を判定することをさらに含み、前記介入の有効性を判定することが、
前記介入の後または間、前記手持ち式デバイスによって、前記手術部位の組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起および検出することと、
前記手持ち式の撮像デバイスの前記プロセッサで、前記介入の後または間に検出された前記放射を受け取り、検出された前記放射に基づいて、前記手術部位の新しい蛍光画像を出力することであり、前記新しい蛍光画像が、前記手術部位における疾患の有無の視覚的
表示を含む、出力することと、
前記新しい蛍光画像を前記初期画像と比較して、前記介入の有効性を判定することとを含む、請求項210に記載の方法。
【請求項218】
前記新しい蛍光画像を前記初期画像と比較して、前記介入の有効性を判定することが、前記新しい画像内の赤色蛍光の量と前記初期画像内の赤色蛍光の量とを比較することを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記以前の画像と比較して前記新しい画像内の前記赤色蛍光の量が低減していることが、前記介入の有効性を示す、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
前記手術部位の前記蛍光画像を出力した後、前記手術部位で生検または掻爬を案内することをさらに含み、前記生検または掻爬を案内することが、前記画像内の赤色蛍光の区域を生検または掻爬の区域として識別することを含む、請求項219に記載の方法。
【請求項221】
前記手術部位の前記初期蛍光画像を出力した後、前記手術部位で小線源治療を案内することをさらに含み、小線源治療を案内することが、前記初期画像内の赤色蛍光の区域に隣接して放射性シードの注入の潜在的な位置を識別することを含む、請求項210に記載の方法。
【請求項222】
前記化合物が、非活性の非標的造影剤、単一モード造影剤、または多モード造影剤である、請求項210から221のいずれか1項に記載の方法。
【請求項223】
前記化合物が、5-アミノレブリン酸である、請求項210または211に記載の方法。
【請求項224】
前記手持ち式デバイスの前記遠位端を位置決めすることが、前記手術部位に接触することなく、前記手持ち式デバイスの前記遠位端を前記手術部位に隣接して位置決めすることを含む、請求項210に記載の方法。
【請求項225】
手術部位の組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起および検出する前に、前記手術部位を取り囲む環境を暗くすることをさらに含む、請求項210から224のいずれか1項に記載の方法。
【請求項226】
前記環境を暗くすることが、周囲光を低減させること、人工光をなくすこと、ならびに/または周囲および人工光が前記手術部位を取り囲む所定の区域に到達するのを遮断もしくは他の方法で防止することを含む、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
周囲および人工光が前記手術部位を取り囲む所定の区域に到達するのを遮断または他の方法で防止することが、前記手術部位の周りに構造を位置決めすることを含む、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記構造が、前記光の通過を阻止するように構成されたドレープ、シールド、または他の構造を含む、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
前記構造を位置決めすることが、前記手持ち式デバイスの一部分上に前記構造を位置決めすることを含む、請求項227または228に記載の方法。
【請求項230】
前記構造を位置決めすることが、前記デバイスおよび/または手術部位に接触することなく、前記手持ち式デバイスおよび前記手術部位を少なくとも部分的に取り囲みまたは包
囲するように、前記構造を位置決めすることを含む、請求項227または228に記載の方法。
【請求項231】
前記手術部位の検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の画像またはビデオを表示することをさらに含む、請求項210から230のいずれか1項に記載の方法。
【請求項232】
検出および/または表示が、実時間で行われる、請求項210から231のいずれか1項に記載の方法。
【請求項233】
前記手術部位の前記組織細胞を白色光で照射し、前記手術部位の白色光画像またはビデオを捕捉することをさらに含む、請求項210から232のいずれか1項に記載の方法。
【請求項234】
前記手術部位の検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の少なくとも一部を、前記白色光画像またはビデオ上に重ねて表示し、前記白色光画像、ならびに前記手術部位の検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に基づいて、前記手術部位の合成画像を実時間で形成することをさらに含む、請求項233に記載の方法。
【請求項235】
前記白色光画像を含む第1の画像またはビデオを表示することと、前記手術部位の検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を含む第2の画像またはビデオを表示することとをさらに含み、前記第1および第2の画像またはビデオが、並べて表示される、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記手術部位の前記白色光画像またはビデオ、検出された前記組織細胞の自家蛍光放射、および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射に関するデータを、前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスから表示デバイスへ伝送することをさらに含む、請求項210から235のいずれか1項に記載の方法。
【請求項237】
前記データを伝送することが、前記データを前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスから無線実時間データ記憶および前処理デバイス(例えば、ハブ)へ伝送することと、次に前記データを前記ハブから前記表示デバイスへ伝送することとを含む、請求項236に記載の方法。
【請求項238】
前記データを前記表示デバイスへ伝送する前に、前記実時間データ記憶および前処理デバイス内で前記データを前処理することをさらに含む、請求項237に記載の方法。
【請求項239】
前記データを前処理することが、前記データを展開すること、前記データからノイズを除去すること、前記データを強化すること、および/または前記データを平滑化することを含む、請求項238に記載の方法。
【請求項240】
前記データが、ビデオデータまたは画像データである、請求項236から239のいずれか1項に記載の方法。
【請求項241】
実質上同時に励起および検出するステップが、前記化合物が投与されてから約15分~約6時間後に実行される、請求項210から240のいずれか1項に記載の方法。
【請求項242】
実質上同時に励起および検出する前記ステップが、前記化合物が投与されてから約2時間~4時間後に実行される、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
実質上同時に励起および検出する前記ステップが、前記化合物が投与されてから約2.5時間~3.5時間後に実行される、請求項241に記載の方法。
【請求項244】
前記化合物が、経口で、静脈内に、エアロゾルを介して、洗浄を介して、浸漬を介して、点滴を介して、かつ/または局所的に投与された、請求項210から243のいずれか1項に記載の方法。
【請求項245】
前記化合物が、0mg/kgより大きく60mg/kgより小さい投与量で投与された、請求項210から244のいずれか1項に記載の方法。
【請求項246】
前記化合物が、約15mg/kg~約45mg/kgの投与量で投与された、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
前記化合物が、約20mg/kg~約30mg/kgの投与量で投与された、請求項245に記載の方法。
【請求項248】
前記化合物が、約30mg/kg~約55mg/kgの投与量で投与された、請求項245に記載の方法。
【請求項249】
前記化合物が、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、または約55mg/kgの投与量で投与された、請求項245に記載の方法。
【請求項250】
前記化合物が、60mg/kgより大きい投与量で投与された、請求項210から244のいずれか1項に記載の方法。
【請求項251】
前記化合物が、手術前、手術中、および/または手術後に投与される、請求項210から250のいずれか1項に記載の方法。
【請求項252】
前記手術部位の前記組織細胞内で検出された前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射の量に基づいて、追加の動作のために前記手術部位の一部分を識別することをさらに含む、請求項210から251のいずれか1項に記載の方法。
【請求項253】
前記追加の動作が、前記手術部位内で識別された前記細胞の除去を含む、請求項252に記載の方法。
【請求項254】
除去が、外科的切除、光の印加、熱アブレーション、焼灼、吸引、標的電離放射、および/または熱の印加もしくは除去によって実現される、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記手術部位の組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起することが、前記手術部位を含む手術腔内へ、切除腫瘍もしくは組織の外面上へ、または前記切除腫瘍もしくは組織の1つもしくは複数の区間上へ、少なくとも1つの励起光源からの光を誘導することを含む、請求項210から254のいずれか1項に記載の方法。
【請求項256】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約430nmの波長および/または約550nm~600nmの波長を有する光を放射する、請求項255に記載の方法。
【請求項257】
前記少なくとも1つの励起光源が、約405nmの波長を有する光を放射する、請求項
255に記載の方法。
【請求項258】
前記少なくとも1つの励起光源が、約572nmの波長を有する光を放射する、請求項255に記載の方法。
【請求項259】
前記少なくとも1つの励起光源が、約375nm~約430nmまたは約405nmの波長を有する第1の励起光を放射する第1の励起光源と、約550nm~約600nmまたは約572nmの波長を有する第2の励起光を放射する第2の励起光源とを含む、請求項255に記載の方法。
【請求項260】
前記第1の励起光源および前記第2の励起光源が、同時にまたは順次動作する、請求項259に記載の方法。
【請求項261】
前記手術部位の組織細胞によって吸収され、前記手術部位の組織細胞を標的とし、前記手術部位の組織細胞内に含まれた、近赤外染料および/または赤外染料の蛍光を励起および検出することをさらに含む、請求項259または260に記載の方法。
【請求項262】
前記近赤外染料および/または前記赤外染料が、癌組織細胞および/もしくは血管によって吸収され、癌組織細胞および/もしくは血管を標的とし、または癌組織細胞および/もしくは血管内に含まれるように構成される、請求項261に記載の方法。
【請求項263】
約700nm~約850nm、約760nm~約800nm、または約760nmの波長を有する第3の励起光を放射する第3の励起光源をさらに含む、請求項259に記載の方法。
【請求項264】
前記蛍光画像が、腫瘍内のPpIXの蛍光画像の形態で前記手術部位における疾患の存在の視覚的表示を含むとき、処方学的に腫瘍PpIX蛍光を表す前記画像内の蛍光を使用して、光線力学的療法のために前記腫瘍内のPpIXの量を判定し、光線力学的療法の光送達の適当なタイミングを判定することをさらに含む、請求項210に記載の方法。
【請求項265】
組織サンプル内の線維症の量を予測する方法であって、
励起光による照射に応答して、前記組織サンプルの蛍光のRGBデータを受け取ることと、
前記組織サンプルによって放射された蛍光の存在または量に基づいて、前記組織サンプル内の緑色蛍光の百分率、前記緑色蛍光の密度、および前記緑色蛍光の平均緑色チャネル強度を計算することとを含む、方法。
【請求項266】
前記励起光の波長が、約350nm~450nmである、請求項265に記載の方法。
【請求項267】
前記波長が、約375nm~約430nmおよび/または約550nm~600nmである、請求項266に記載の方法。
【請求項268】
前記波長が、約405nmである、請求項266に記載の方法。
【請求項269】
前記波長が、約572nmである、請求項266に記載の方法。
【請求項270】
前記組織サンプル内の前記緑色蛍光の百分率、前記緑色蛍光の前記密度、および前記緑色蛍光の前記平均緑色チャネル強度を相関させて、前記組織サンプル内の前記線維症の量を予測することをさらに含む、請求項265に記載の方法。
【請求項271】
前記組織サンプル内の予測された前記線維症の量に基づいて、患者の治療計画を拡張することをさらに含む、請求項265から270のいずれか一項に記載の方法。
【請求項272】
前記組織が、非活性の非標的造影剤、単一モード造影剤、または多モード造影剤に事前に露出された、請求項265から271のいずれか一項に記載の方法。
【請求項273】
前記化合物が、5-アミノレブリン酸である、請求項272に記載の方法。
【請求項274】
前記組織サンプル内の計算された前記緑色蛍光の百分率、前記緑色蛍光の前記密度、および前記緑色蛍光の前記平均緑色チャネル強度に基づいて、前記組織を分類することをさらに含む、請求項265に記載の方法。
【請求項275】
前記組織が、線維症組織として分類される、請求項274に記載の方法。
【請求項276】
前記組織サンプルによって放射された前記蛍光が、自家蛍光放射含む、請求項265から275のいずれか1項に記載の方法。
【請求項277】
サンプル内で識別された組織タイプを相関させる方法であって、
組織染料および組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物に露出された手術層、外科的マージン、または切除組織標本からの組織サンプルのデジタル区間を受け取ることと、
前記組織サンプルを分析するための組織カテゴリを選択することと、
前記組織サンプル内の1つまたは複数の染色部分に対する第1の面積値を判定することと、
励起光によって照射されたときに前記組織サンプルによって放射された蛍光に基づいて第2の面積値を判定することであり、前記第1の面積値および前記第2の面積値が、選択された前記組織カテゴリに対応する、判定することと、
前記第1の面積値を前記第2の面積値と比較することとを含む、方法。
【請求項278】
前記第1の面積値が、前記組織サンプルの前記1つまたは複数の染色部分内で識別された選択された前記組織カテゴリの量に対応する、請求項277に記載の方法。
【請求項279】
前記第2の面積値が、蛍光放射を介して前記組織サンプル内で識別された選択された前記組織カテゴリの量に対応する、請求項276または278に記載の方法。
【請求項280】
前記組織サンプルが、前記蛍光放射を生じさせるように手持ち式の撮像デバイスによって放射された励起光によって励起された、請求項277から279のいずれか1項に記載の方法。
【請求項281】
前記第1の面積値と前記第2の面積値の前記比較に基づいて、選択された前記組織カテゴリと前記手持ち式の撮像デバイスによって検出された蛍光放射の色との間の相関の精度を判定することをさらに含む、請求項277から280のいずれか1項に記載の方法。
【請求項282】
選択された前記組織カテゴリが結合組織であり、前記蛍光放射の色が緑色である、請求項277から281のいずれか1項に記載の方法。
【請求項283】
選択された前記組織カテゴリが、腫瘍、癌細胞、前癌細胞、良性病変、またはリンパ節であり、前記蛍光放射の色が赤色である、請求項277から281のいずれか1項に記載の方法。
【請求項284】
選択された前記組織カテゴリが脂肪組織であり、前記蛍光放射の色が、ピンク色、ピンク色がかった茶色、または茶色である、請求項277から281のいずれか1項に記載の方法。
【請求項285】
選択された前記組織カテゴリが血液であり、前記蛍光放射の色が、暗赤色、バーガンディ色、または茶色である、請求項277から281のいずれか1項に記載の方法。
【請求項286】
組織カテゴリを選択することが、結合組織、脂肪組織、血液、および異常な組織の1つを選択することを含む、請求項277から281のいずれか1項に記載の方法。
【請求項287】
異常な組織が、炎症組織、腫瘍、癌細胞、病変、良性腫瘍、および増殖性病変を含む、請求項285に記載の方法。
【請求項288】
前記デジタル区間内の1つまたは複数の部分の周りに関心領域を作成して、前記第1の面積値または前記第2の面積値を洗練することをさらに含む、請求項277から287のいずれか1項に記載の方法。
【請求項289】
前記第1の面積値または前記第2の面積値を増大または減少させることをさらに含む、請求項277から288のいずれか1項に記載の方法。
【請求項290】
前記手持ち式の撮像デバイスによって、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および前記組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起し、次に検出することをさらに含む、請求項280から289のいずれか1項に記載の方法。
【請求項291】
前記誘起ポルフィリンの前記蛍光放射が、癌組織に対応する、請求項277から290のいずれか1項に記載の方法。
【請求項292】
前記組織サンプルの前記蛍光放射が、約400nm~約450nmの波長を有する励起光によって励起される、請求項277から291のいずれか1項に記載の方法。
【請求項293】
前記組織サンプル内の前記1つまたは複数の染色部分に対する前記第1の面積値を判定することが、選択された前記組織カテゴリに対応する前記1つまたは複数の染色部分の面積を判定することを含む、請求項277から292のいずれか1項に記載の方法。
【請求項294】
前記第1の面積値が前記第2の面積値に等しい場合、前記撮像デバイスが前記第2の面積値を正確に判定していると判定する、請求項280から293のいずれか1項に記載の方法。
【請求項295】
前記第1の面積値が前記第2の面積値に等しくない場合、前記撮像デバイスが前記第2の面積値を正確に判定していないと判定する、請求項280から294のいずれか1項に記載の方法。
【請求項296】
第2の組織カテゴリを選択することと、
前記組織サンプル内の1つまたは複数の染色部分に対する新しい第1の面積値を判定することと、
励起光によって照射されたときに前記組織サンプルによって放射された蛍光に基づいて、新しい第2の面積値を判定することであり、前記新しい第1の面積値および前記新しい第2の面積値が、前記第2の選択された組織カテゴリに対応する、新しい第2の面積値を判定することと、
前記新しい第1の面積値を前記新しい第2の面積値と比較することと、
前記新しい第1の面積値と前記新しい第2の面積値との前記比較に基づいて、前記第2の選択された組織タイプと前記手持ち式の撮像デバイスによって検出された蛍光放射の色との間の相関の精度を判定することと
をさらに含む、請求項280に記載の方法。
【請求項297】
前記第2の選択された組織カテゴリが結合組織であり、前記蛍光放射の色が緑色である、請求項296に記載の方法。
【請求項298】
前記第2の選択された組織カテゴリが、腫瘍、癌細胞、または病変であり、前記蛍光放射の色が赤色である、請求項296に記載の方法。
【請求項299】
前記第2の選択された組織カテゴリが脂肪組織であり、前記蛍光放射の色が、ピンク色、ピンク色がかった茶色、または茶色である、請求項296に記載の方法。
【請求項300】
前記第2の選択された組織カテゴリが血液であり、前記蛍光放射の色が、暗赤色、バーガンディ色、または黒色である、請求項296に記載の方法。
【請求項301】
第2の組織カテゴリを選択することが、結合組織、脂肪組織、血液、および異常な組織の1つを選択することを含む、請求項296に記載の方法。
【請求項302】
異常な組織が、炎症組織、腫瘍、癌細胞、病変、良性腫瘍、および増殖性病変を含む、請求項301に記載の方法。
【請求項303】
前記組織サンプルの前記蛍光放射が、約400nm~約450nmの波長を有する励起光によって励起される、請求項296から302のいずれか1項に記載の方法。
【請求項304】
組織サンプルの蛍光放射内のカラーコントラストを定量化する方法であって、
前記組織サンプルのRGB画像を入力することであり、前記組織サンプルが、組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物に事前に露出される、入力することと、
前記RGB画像をデータセットに変換することと、
前記組織サンプル内の第1の平均色強度および前記データセット内の対応する値を計算することと、
前記組織サンプル内の第2の平均色強度および前記データセット内の対応する値を計算することと、
前記第1の平均色強度に対するxおよびy座標を計算することと、
前記第2の平均色強度に対するxおよびy座標を計算することと、
前記第1の平均色強度および前記第2の平均色強度に対する色度図上に前記xおよびy座標を描くことと、
前記座標をベクトルで接続することとを含む、方法。
【請求項305】
前記ベクトルの距離を判定して、前記第1の平均色強度と前記第2の平均色強度との間の前記カラーコントラストを定量化することをさらに含む、請求項304に記載の方法。
【請求項306】
前記外科的マージン内の関心領域を画定することをさらに含み、前記第1の平均色強度および前記第2の平均色強度がそれぞれ、前記関心領域内の色の平均色強度である、請求項304または305に記載の方法。
【請求項307】
前記関心領域を手動で画定することをさらに含む、請求項306に記載の方法。
【請求項308】
制御群、低用量ALA群、および高用量ALA群に対してプロセスを繰り返すことをさらに含む、請求項304から307のいずれか1項に記載の方法。
【請求項309】
前記外科的マージンが、撮像デバイスからの前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を有する、請求項304から308のいずれか1項に記載の方法。
【請求項310】
前記撮像デバイスが、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を実質上同時に励起および検出する手持ち式デバイスである、請求項309に記載の方法。
【請求項311】
前記第1の平均色強度が、前記外科的マージン内の癌組織に対応し、前記第2の平均色強度が、前記外科的マージン内の正常組織に対応する、請求項304から310のいずれか1項に記載の方法。
【請求項312】
前記第1の平均色強度が、前記外科的マージン内の癌組織に対応し、前記第2の平均色強度が、前記外科的マージン内の癌組織に対応する、請求項304から310のいずれか1項に記載の方法。
【請求項313】
前記第1の平均色強度が、前記外科的マージン内の結合組織に対応し、前記第2の平均色強度が、前記外科的マージン内の結合組織に対応する、請求項304から310のいずれか1項に記載の方法。
【請求項314】
前記第1の平均色強度が、緑色の第1の濃淡であり、前記第2の平均色強度が、緑色の第2の濃淡である、請求項304から310のいずれか1項に記載の方法。
【請求項315】
前記第1の平均色強度が、赤色の第1の濃淡であり、前記第2の平均色強度が、赤色の第2の濃淡である、請求項304から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項316】
前記第1の平均色強度が、緑色の濃淡であり、前記第2の平均色強度が、赤色の濃淡である、請求項304から310のいずれか1項に記載の方法。
【請求項317】
サンプル内の組織タイプを定量化する方法であって、
組織染料および組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物に露出された手術層、外科的マージン、または切除組織標本からの組織サンプルのデジタル区間を受け取ることと、
前記組織サンプルを分析するための組織カテゴリを選択することと、
前記組織サンプル内の選択された前記組織カテゴリに対応する前記組織の数量を判定することとを含む、方法。
【請求項318】
前記組織サンプルが、蛍光放射を生じさせるように手持ち式の撮像デバイスによって放射された励起光によって励起された、請求項317に記載の方法。
【請求項319】
第2の組織カテゴリを選択することと、前記組織サンプル内の前記第2の組織カテゴリに対応する前記組織の数量を判定することとをさらに含む、請求項317または318に記載の方法。
【請求項320】
選択された前記組織カテゴリが、結合組織である、請求項317から319のいずれか1項に記載の方法。
【請求項321】
選択された前記組織カテゴリが、腫瘍、癌細胞、前癌細胞、良性病変、またはリンパ節
である、請求項317から320のいずれか1項に記載の方法。
【請求項322】
選択された前記組織カテゴリが、脂肪組織である、請求項317から321のいずれか1項に記載の方法。
【請求項323】
選択された前記組織カテゴリが、血液である、請求項317から322のいずれか1項に記載の方法。
【請求項324】
前記組織カテゴリを選択することが、結合組織、脂肪組織、血液、および異常な組織の1つを選択することを含む、請求項317から323のいずれか1項に記載の方法。
【請求項325】
異常な組織が、炎症組織、腫瘍、癌細胞、病変、良性腫瘍、および増殖性病変を含む、請求項324に記載の方法。
【請求項326】
前記デジタル区間内の1つまたは複数の部分の周りに関心領域を作成して、判定された前記組織の数量を洗練することをさらに含む、請求項317から325のいずれか1項に記載の方法。
【請求項327】
前記組織サンプルの蛍光放射が、約400nm~約450nmの波長を有する励起光によって励起される、請求項317から326のいずれか1項に記載の方法。
【請求項328】
前記非活性の非標的化合物が、アミノレブリン酸である、請求項151または152に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれ内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、2018年2月2日出願の米国仮特許出願第62/625,967号、2018年2月3日出願の米国仮特許出願第62/625,983号、および2019年1月17日出願の米国仮特許出願第62/793,843号に対する優先権を主張する。
技術分野
本開示は、腫瘍の視覚化および除去のためのデバイス、システム、および方法に関する。また、開示するデバイス、システム、および方法を使用して、腫瘍のステージを分類し、外科的マージンおよび標本、例えば組織マージン、切除組織標本、ならびに腫瘍および/または組織が除去された組織層/手術層上の切除腫瘍およびマージンの組織切片などを評価することができる。また、開示するデバイス、システム、および方法を使用して、残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病変の1つまたは複数を識別し、その除去および/または治療のための案内を提供することができる。開示するデバイスを使用して、診断および計画の目的で使用すべき材料を取得することもできる。
【背景技術】
【0002】
序論
手術は、最も古いタイプの癌治療の1つであり、多くのタイプの癌にとって有効な治療である。腫瘍手術では、手術の目標に応じて、様々な形態をとることができる。例えば、腫瘍手術は、癌のタイプまたはステージを診断または判定するための生検、腫瘍または癌組織の一部または全部を除去するための腫瘍除去、腫瘍または癌組織を特定または識別するための診査手術、他の身体構造に悪影響を及ぼすことなく腫瘍のサイズの低減または可能な限り多くの腫瘍の除去を行うための腫瘍減量手術、および腫瘍によって引き起こされる症状、例えば体器官に対する痛みまたは圧力などに対処するための緩和的手術を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目標が腫瘍または癌組織を除去することである手術では、外科医は、すべての癌が除去されたかどうかを判定する上で不確実性に直面することが多い。腫瘍が除去された手術層すなわち組織層は、残存癌細胞、すなわち腫瘍が除去された区域の外科的マージン内に残っている癌細胞を含む可能性がある。これらの残存癌細胞が体内に残っている場合、再発および転移の可能性が高まる。多くの場合、腫瘍の病理学的分析中の切除組織の外科的マージンの検査に基づいて、残存癌細胞の存在が疑われる場合、外科的マージンから追加の組織を除去するために2次手術が行われる。
【0004】
例えば、女性で最も多い癌である乳癌は一般的に、可能な限り多くの健康な乳房組織を残したまま腫瘍を除去する乳房温存手術(BCS)、例えば乳腺腫瘤摘出術によって治療される。BCSの治療の有効性は、適当な乳房再建術を保障するために十分な健康な乳房組織を残したまま、悪性組織を完全に除去することに依存しており、乳房組織を除去しすぎた場合、乳房再建術が不十分になる可能性がある。標準的な白色光(WL)の手術室条件下で腫瘍マージンを視覚化することは、腫瘍と正常組織とのコントラストが低いために困難であり、その結果、初期湿潤性乳癌の患者の約23%および乳管内癌の患者の36%で再手術(すなわち、2次手術)が行われている。再切除には、再発リスクの増加、乳房の整容性の低下を含む患者の治療結果の悪化、および医療コストの増加が伴う。BCS後の陽性外科的マージン(すなわち、癌細胞を含むマージン)には、疾患特異的生存率の低下も伴う。
【0005】
BCSにおける現在の最善の慣行は、触診および/または標本放射線撮影を含み、切除を案内するための術中組織病理学はまれである。標本放射線撮影は、X線画像を使用して切除組織マージンを評価し、術中組織病理学(タッチプレップまたは凍結)は、癌細胞に関して標本組織の小さいサンプルを評価し、どちらも、これらが引き起こす時間遅延(約20分)、および手術層に対する切除組織上の陽性マージンの不正確な共局在によって制限される。したがって、切除標本および手術層マージンを評価し、残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病変の1つまたは複数の視覚化および除去のための案内を提供するための実時間の術中撮像技術が、臨床上緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、上述した課題の1つもしくは複数を解決することができ、かつ/または上述した望ましい特徴の1つもしくは複数を実証することができる。他の特徴および/または利点は、以下の説明から明らかにすることができる。
【0007】
本開示の一態様によれば、外科的マージンおよび/または標本を評価する方法が開示される。この方法は、癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を外科的マージンに隣接して位置決めすることを含む。この方法はまた、手持ち式デバイスによって、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を実質上同時に励起および検出することを含む。また、外科的マージンの組織細胞内で検出された誘起ポルフィリンの蛍光放射の存在または量に基づいて、外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することを含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、患者内の関心組織を視覚化する方法が開示される。この方法は、診断投与量において、癌組織内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物を患者に投与することを含む。この方法は、化合物の投与から約15分~約6時間後、誘起ポルフィリンを含む組織を患者から除去することをさらに含み、組織を除去することで手術腔が生じる。この方法はまた、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスによって、除去組織細胞、除去組織細胞の1つまたは複数の区間、および手術腔のうちの少なくとも1つの外科的マージンを見て、外科的マージンの組織内に含まれるあらゆる誘起ポルフィリンを視覚化することを含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様によれば、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスが開示される。デバイスは、使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成された第2の端部を有する本体を備える。本体は、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源を収容する。本体はまた、反射された励起光の通過を防止するが、組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたフィルタを収容する。本体は、撮像レンズと、外科的マージンのフィルタにかけられた組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出するように構成された画像センサと、検出された放射を受け取り、外科的マージンのフィルタにかけられて検出された組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサとをさらに収容する。1つの例示的な実施形態によれば、本体内のフィルタは、画像センサの前の位置に機械的に出し入れすることができる。
【0010】
本開示のさらなる態様によれば、外科的マージン内の癌細胞の白色光および蛍光ベースの視覚化のためのキットが開示される。キットは、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスと、癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物とを備える。
【0011】
本開示の別の態様によれば、外科的マージン内の癌細胞を視覚化するための多スペクトルシステムが開示される。システムは、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスと、手持ち式デバイスのプロセッサによって出力されたデータを表示するように構成された表示デバイスと、無線実時間データ記憶および前処理デバイスとを備える。
【0012】
本開示のさらに別の態様によれば、外科的マージン内の癌細胞の白色光および蛍光ベースの視覚化のためのキットは、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスと、手持ち式デバイス上の先端部と交換可能になるように構成された複数の先端とを含み、各先端は、少なくとも1つの光源を含む。
【0013】
本開示の別の態様によれば、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスが開示される。デバイスは、使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成された第2の端部を有する本体を備える。本体は、撮像または造影剤への露出後、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射、ならびに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変内で約600nm~約660nmの波長を有する蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源を収容する。本体はまた、反射された励起光の通過を防止するが、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたフィルタを収容する。本体は、撮像レンズと、外科的マージンのフィルタにかけられた組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射を検出するように構成された画像センサと、検出された放射を受け取り、外科的マージンのフィルタにかけられて検出された組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサとをさらに収容する。
【0014】
本開示のさらなる態様によれば、外科的マージンを評価する方法が開示される。この方法は、癌組織細胞内で約600nm~約660nmの放射を誘起するように構成された化合物の投与後、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端を外科的マージンに隣接して位置決めすることを含む。この方法はまた、手持ち式デバイスによって、外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起波長の蛍光放射を実質上同時に励起および検出することを含む。また、外科的マージンの組織細胞内で検出された誘起波長の蛍光放射の存在または量に基づいて、外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することを含む。
【0015】
本開示のさらに別の態様によれば、外科的マージンを評価する方法が開示される。この方法は、癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物の患者への投与後、外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための白色光および蛍光ベースの撮像デバイスによって、患者内の外科的マージンの組織細胞を励起光で照射することを含む。この方法は、誘起ポルフィ
リンを含む外科的マージン内の組織細胞からの蛍光放射を検出することと、蛍光放射が検出された組織細胞を実時間で表示して、外科的マージンの外科的評価および/または治療を案内することとをさらに含む。本開示のさらに別の態様によれば、リンパ節を評価する方法が開示される。この方法は、癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与後、標的リンパ節の組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光を実質上同時に励起および検出することを含む。この方法は、標的リンパ節の組織細胞内で検出された誘起ポルフィリンの蛍光の量に基づいて、リンパ節に癌細胞が実質上ないかどうかを判定することをさらに含む。
【0016】
本開示のさらに別の態様によれば、組織サンプル内の線維症の量を予測する方法が開示される。この方法は、励起光による照射に応答して、組織サンプルの蛍光のRGBデータを受け取ることと、組織サンプルによって放射された蛍光の存在または量に基づいて、組織サンプル内の緑色蛍光の百分率、緑色蛍光の密度、および緑色蛍光の平均緑色チャネル強度を計算することとを含む。
【0017】
本開示のさらに別の態様によれば、サンプル内で識別された組織タイプを相関させる方法の方法が開示される。この方法は、組織染料および組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物に露出された手術層、外科的マージン、または切除組織標本からの組織サンプルのデジタル区間を受け取ることを含む。この方法は、組織サンプルを分析するための組織カテゴリを選択することと、組織サンプル内の1つまたは複数の染色部分に対する第1の面積値を判定することと、励起光によって照射されたときに組織サンプルによって放射された蛍光に基づいて第2の面積値を判定することであり、第1の面積値および第2の面積値が、選択された組織カテゴリに対応する、判定することと、第1の面積値を第2の面積値と比較することとをさらに含む。
【0018】
本開示のさらに別の態様によれば、組織サンプルの蛍光放射内のカラーコントラストを定量化する方法が開示される。この方法は、組織サンプルのRGB画像を入力することを含み、組織サンプルは、組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物に事前に露出される。この方法は、RGB画像をデータセットに変換することと、組織サンプル内の第1の平均色強度およびデータセット内の対応する値を計算することと、組織サンプル内の第2の平均色強度およびデータセット内の対応する値を計算することと、第1の平均色強度および第2の平均色強度に対する色度図上にxおよびy座標を描くことと、座標をベクトルで接続することとをさらに含む。
【0019】
本開示は、以下の詳細な説明から、単独で、または添付の図面とともに、理解することができる。図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれており、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態を示し、本説明とともに、様々な原理および動作について説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】腫瘍細胞内のALAからPpIXへの変換の図である。
【
図1B】PpIXに対するピーク吸収および放射を示す図である。
【
図2A】405nmの励起光によって励起された放射を検出するように構成され、本開示による手持ち式の多スペクトルデバイスの例示的な実施形態内へ組み込まれたmCherryフィルタの例示的な帯域を示すチャートである。
【
図2B】405nmの励起光に露出された例示的な手術腔の横断面図である。
【
図3A】405nmの励起光および572nmの励起光によって励起された放射を検出するように構成され、本開示による手持ち式の多スペクトルデバイスの例示的な実施形態内へ組み込まれたmCherryフィルタの例示的な帯域を示すチャートである。
【
図3B】本教示による励起光の異なる波長の様々な侵入深さを示す、405nmの励起光および572nmの励起光に露出された例示的な手術腔の横断面図である。
【
図4A】760nmならびにIRdye800の吸収および放射波長の励起光によって励起された放射を検出するように構成され、本開示による手持ち式の多スペクトルデバイスの例示的な実施形態内へ組み込まれたmCherryフィルタの例示的な帯域を示すチャートである。
【
図4B】IRdye800の吸収および放射波長、ならびに760nmの励起光によって励起された放射を検出するように構成され、本開示による手持ち式の多スペクトルデバイスの例示的な実施形態内へ組み込まれたロングパスフィルタの例示的な帯域を示すチャートである。
【
図5A】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第1の実施形態のそれぞれ側面図、斜視図、および拡大先端図である。
【
図5B】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第1の実施形態のそれぞれ側面図、斜視図、および拡大先端図である。
【
図5C】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第1の実施形態のそれぞれ側面図、斜視図、および拡大先端図である。
【
図5D】
図5Aおよび
図5Bのデバイスとともに使用するための先端の代替実施形態を示す図である。
【
図5E】
図5Aおよび
図5Bのデバイスとともに使用するための先端の代替実施形態を示す図である。
【
図7A】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第2の実施形態の本体の横断面図および取外し可能な先端の横断面図である。
【
図7B】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第2の実施形態の本体の横断面図および取外し可能な先端の横断面図である。
【
図8A】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第3の実施形態の本体の横断面図および先端の横断面図である。
【
図8B】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第3の実施形態の本体の横断面図および先端の横断面図である。
【
図9A】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第4の実施形態の本体の横断面図および取外し可能な先端の横断面図である。
【
図9B】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第4の実施形態の本体の横断面図および取外し可能な先端の横断面図である。
【
図10】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第5の実施形態の横断面図である。
【
図11】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスの第6の実施形態の横断面図である。
【
図12A】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスとともに使用される無線ハブの斜視図である。
【
図12B】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスとともに使用される無線ハブの斜視図である。
【
図13】本教示による腫瘍および外科的マージンの術中視覚化のためのシステムの斜視図である。
【
図14】本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイスとともに使用するための滅菌システムの斜視図である。
【
図15】正常組織の自家蛍光プロファイルを示す一連の写真画像およびグラフである。
【
図16】代表的な湿潤性乳癌の乳腺腫瘤摘出術/乳房切断標本内の5-ALA蛍光を示す一連の写真画像およびグラフである。
【
図17】乳癌手術中に除去された節のWLおよびFL画像である。
【
図18】乳房切断標本のWLおよびFL画像である。
【
図19】5%の線維症を含む乳房組織を示すALA乳房検査中に撮られた乳房組織の蛍光画像である。
【
図20】40%の線維症を含む乳房組織を示すALA乳房検査中に撮られた乳房組織の蛍光画像である。
【
図21】80%の線維症を含む乳房組織を示すALA乳房検査中に撮られた乳房組織の蛍光画像である。
【
図22】画像内の緑色蛍光を定量化し、画像内の緑色蛍光の量を乳腺腫瘤摘出標本内の線維症の百分率に相関させる方法を示す流れ図である。
【
図23】H&Eで染色されているホルマリン固定された組織サンプルの相対組成を判定する方法を示す流れ図である。
【
図24】腫瘍と正常組織とのFLカラーコントラストを判定する方法を示す流れ図である。
【
図25】制御群、低用量群、および高用量群に対する色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な例示的な実施形態の説明
既存のマージン評価技術では、外科的マージンが残存癌細胞を含むかどうかを判定するために、切除サンプルに注目する。これらの技術は、切除サンプル上で検出された陽性マージンを手術層に正確に空間的に共局在化することができないことによって制限されており、本開示は、手術腔を直接撮像するによってこの制限を克服する。
【0022】
再切除を低減させるための他の非標的技法は、非標的マージンのシェービングと標準治療BCSとを組み合わせた研究を含む。この技法は再切除の全体的な数を低減させることができるが、この手法にはいくつかの潜在的な欠点がある。例えば、切除が大きければ大きいほど、整容的結果が乏しくなり、追加の組織の非標的除去は、BCSの意図に矛盾する。追加として、そのような技法を使用した最終結果は、最近更新されたASTRO/SSO指針と対立すると考えられており、そのような指針では、陽性マージンを「インク付き腫瘍」と定義し、より広いマージンには追加の利益を見出さなかった(Moran MS、Schnitt SJ、Giuliano AE、Harris JR、Khan SA、Horton Jら、「Society of Surgical Oncology-American Society for Radiation Oncology consensus guideline on margins for breast-conserving surgery with whole-breast irradiation in stages I and II invasive breast cancer」、Ann Surg Oncol.2014.21(3):704-716)。最近の回顧的研究では、標準的なBCSに対して、手術腔のシェービングの再切除に大きな違いを見出さなかった(Pata G、Bartoli M、Bianchi A、Pasini M、Roncali S、Ragni F.、「Additional Cavity Shaving at the Time of
Breast-Conserving Surgery Enhances Accuracy of Margin Status Examination」、Ann Surg Oncol.2016.23(9):2802-2808)。最終的にマージンシェービングが有効であることが見出された場合、FL案内手術を使用して、外科的マージン内の特有の区域をシェービングの標的とする能力を追加し、したがって追加の組織を無差別に除去する非標的手法を、BCSの意図により一致した標的手法にすることによって、プロセスを洗練することができる。
【0023】
本出願は、腫瘍、多病巣疾患、および外科的マージンの生体内および生体外の視覚化および/または評価、ならびに外科的マージン内の残存腫瘍、衛星病変、前癌細胞、および
/または癌細胞の除去のための術中案内を含む、腫瘍の蛍光ベースの視覚化のためのデバイス、システム、および方法を開示する。特定の実施形態では、本明細書に開示するデバイスは、手持ち式であり、手術腔内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される。他の実施形態では、デバイスは携帯式であり、有線接続を有していない。しかし、デバイスを手持ち式デバイスより大きくすることができ、代わりに手持ち式の構成要素を含むことができることは、本開示の範囲内である。そのような実施形態では、手持ち式の構成要素は、より大きいデバイスハウジングまたはシステムに有線接続によって接続することができることが企図される。
【0024】
また、デバイスおよび/またはシステムを使用する術中の生体内撮像のための方法も開示される。撮像デバイスは、多スペクトルとすることができる。デバイスは、ハイパースペクトルとすることができることも企図される。外科的マージン内に含まれる細胞のタイプに関する情報を提供することに加えて、開示するデバイスおよびシステムはまた、外科的マージン内に含まれる細胞の位置(すなわち、細胞学的状況)に関する情報を提供する。追加として、デバイスを使用して外科的マージンの術中治療のための案内、例えば外科的マージンの切除の蛍光ベースの画像案内を提供する方法が開示される。本明細書に開示するデバイス、システム、および方法は、人間および動物を含む被験者で使用することができる。
【0025】
本開示の一態様によれば、いくつかの開示する方法は、開示するデバイスおよび/またはシステムの使用と、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病変内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物の投与とを組み合わせる。例えば、化合物(撮像/造影剤)、例えばプロドラッグアミノレブリン酸(ALA)などの診断用量(すなわち、治療用量ではない)を、被験者に与えることができる。当業者には理解されるように、60mg/kgより小さいALAの投与量は、概して診断と見なされ、60mg/kgより大きい投与量は、概して治療と見なされる。本明細書に開示するように、ALAの診断投与量は、0mg/kgより大きく60kg/mgより小さく、約10mg/kg~約50mg/kg、約20mg/kg~40mg/kgとすることができ、約5mg/kg、約10mg/kg、約15kg/mg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、または約55mg/kgの投与量で被験者に投与することができる。ALAは、経口で、静脈内に、エアロゾルを介して、浸漬を介して、洗浄を介して、かつ/または局所的に投与することができる。残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病変の視覚化のための診断投与量が企図されるが、開示するデバイス、システム、および方法を使用して、これらの細胞および/または病変の治療および/または除去中に案内を提供することは、本開示の範囲内である。そのような場合、外科医にとって好ましい治療方法は、個々の外科医の好みに基づいて変動することがある。そのような治療は、例えば、光線力学的療法(PDT)を含むことができる。PDTまたは他の光ベースの療法が可能性として企図される場合、より大きい投与量のALA、すなわち診断投与量ではなく治療投与量の投与が望ましいことがある。これらの場合、約60mg/kgより大きいALAの投与量を被験者に処方することができる。
【0026】
ALAは、腫瘍/癌細胞内でポルフィリン形成(プロトポルフィリンIX(PpIX))を誘起し(
図1Aは、腫瘍細胞内のALAからPpIXへの変換を示す)、腫瘍/癌細胞は、適当な励起光によって励起されると、PpIXを含む細胞から赤色蛍光放射が生じ、それによりデバイスによって撮像された腫瘍/癌組織細胞と正常組織細胞(例えば、コラーゲン)との間の赤色と緑色との蛍光コントラストを強化する。ALA自体は非蛍光性であるが、PpIXは、約630nm、約680nm、および約710nmで蛍光性を有し、630nmの放射が最も強い。
図1Bは、405nmの波長を有する励起光によって励起されたときのPpIXの蛍光放射を示す。別法として、撮像/造影剤を用いることな
く、腫瘍/癌細胞または前癌細胞と正常/健康な細胞との間の内因性の蛍光差を使用することもできる。
【0027】
例示的な実施形態では、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病変内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物が、手術の約15分~約6時間前、手術の約1時間~約5時間前、手術の約2時間~約4時間前、または手術の約2.5時間~約3.5時間前に、被験者に投与される。これらの例示的な時間枠により、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病変内でALAをポルフィリンに変換するための十分な時間が可能になる。ALAまたは他の好適な化合物は、経口で、静脈内な、エアロゾルを介して、浸漬を介して、洗浄を介して、かつ/または局所的に投与することができる。
【0028】
化合物の投与が望ましいまたは好ましい時間枠外に行われた場合、例えばエアロゾル組成を介して化合物を適用すること、すなわち手術腔内または切除組織上へ噴霧することによって(検査のための薄切の前または後)、PpIXをさらに誘起する(または、化合物が手術前に投与されなかった場合は初めて誘起する)ことが可能である。追加または別法として、化合物は、液体状で、例えば手術腔の洗浄として投与することができる。追加または別法として、除去された標本の場合、ほぼ切除直後に液体化合物、例えば液体ALAなどの中に浸漬された場合、切除標本内でPpIXを誘起することができる。切除組織が早く浸漬されるほど、切除組織内でPpIXまたは追加のPpIXが誘起される可能性が高まる。
【0029】
手術中、腫瘍は、可能な場合、外科医によって除去される。次いで、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスを使用して、腫瘍が除去された手術層内のあらゆる残存癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病変の治療を識別、特定、および案内する。デバイスを使用して、切除腫瘍/組織標本を検査し、切除標本の外側マージン上に何らかの腫瘍/癌細胞および/または前癌細胞が存在するかどうかを判定することもできる。そのような細胞の存在は、陽性マージンを示すことができ、これは、手術層のさらなる切除を実行するべきかどうかを判定する際、外科医によって考慮されるべきである。切除標本の外側マージン上で識別された腫瘍/癌細胞の位置を使用して、手術層上の対応する位置を識別することができ、この位置をさらなる切除および/または治療の標的とすることができる。これは、手術層自体の視覚化ではいかなる残存腫瘍/癌細胞、前癌細胞、または衛星病変も識別されない状況で特に有用となりうる。
【0030】
本開示の一態様によれば、腫瘍/癌細胞の視覚化のための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスが提供される。白色光および蛍光ベースの撮像デバイスは、使用者の片手で保持および操作されるようなサイズおよび形状の本体を含むことができる。手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの例示的な実施形態が、
図5A~
図5Cに示されている。図示のように、いくつかの例示的な実施形態では、本体は、略細長形状を有することができ、切除腫瘍の外面上、切除腫瘍の1つもしくは複数の区間上、腫瘍/組織が切除された手術腔内、または露出された手術層上に、使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成された第2の端部を含むことができる。第2の端部は、外科的マージンを含む手術腔内に位置決めされるようにさらに構成することができる。デバイスの本体は、滅菌に好適な1つまたは複数の材料を含むことができ、したがってデバイスの本体は、例えばオートクレーブ内などで、滅菌を受けることができる。好適な材料の例には、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、エチレンクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ペルフルオロアルコキシ、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、およびポリエーテルイミドが含まれる。他の好適な材料も、当業者に
はよく知られているであろう。オートクレーブ、例えば電子機器などの条件に耐えることが可能でないデバイスの本体内の構成要素は、保護用のハウジング、例えば金属またはセラミックのハウジング内に、固定または他の方法で収容することができる。
【0031】
デバイスは、外科用ドレープまたはシールドとともに使用されるように構成することができる。例えば、本発明者らは、撮像区域内で周囲および人工光が低減されたとき、画像品質が改善されることを見出した。これは、使用中の周囲および/または人工光源を削減または除去することによって実現することができる。別法として、ドレープまたはシールドを使用して、撮像が行われている手術部位から周囲および/または人工光の少なくとも一部分を阻止することができる。1つの例示的な実施形態では、シールドは、デバイスの第2の端部の上に嵌り、デバイス上を手術腔の方へかつ手術腔から離れる方へ動いて、手術腔に入りうる周囲および/または人工光の量を変動させるように構成することができる。シールドは、円錐または傘形状とすることができる。別法として、手術部位を白色光および励起光で照射するように構成されたデバイスの端部を覆う透明のシース部分によって、デバイス自体をドレープ内に密閉することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの滅菌状態を支持するように、ドレープの取付けを容易にするための提供を含むことができる。例えば、ドレープは、ドレープ内に収容された滅菌されていないデバイスと滅菌された手術領域との間に滅菌された障壁を提供し、それによって滅菌されたドレープ内に完全に収容された滅菌されていないデバイスを、滅菌された環境で使用することを可能にすることができる。ドレープは、デバイスを覆うことができ、デバイスの遠位端から延びて手術腔に隣接する区域を覆い、デバイス以外の光源からの光の侵入から手術腔区域を保護する減光シールドを提供することもできる。
【0033】
ドレープまたはシールドは、ポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリウレタン、または他のポリマー材料などを含むことができる。いくつかの実施形態では、ドレープまたはシールドは、保持デバイスによってデバイスに結合することができる。例えば、デバイスは、ドレープまたはシールドをデバイス上で保持するために、ドレープまたはシールド上の1つまたは複数の特徴と相互作用するように構成された1つまたは複数の溝を含むことができる。追加または別法として、ドレープまたはシールドは、ドレープまたはシールドをデバイス上で保持するために、保持リングまたはバンドを含むことができる。保持リングまたはバンドは、弾性バンド、スナップリング、または類似の構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドレープまたはシールドは、1回だけの使用に好適なものとすることができる。
【0034】
ドレープまたはシールドはまた、デバイスから放射された光の正確な伝送を確保するために、デバイスの遠位端を覆う堅い光学窓を含むことができ、またはそのような光学窓に結合することができる。窓は、材料、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)または他の剛性の光透過性ポリマー、ガラス、シリコーン、石英、または他の材料などを含むことができる。
【0035】
ドレープまたはシールドは、デバイスの励起光に影響を与えたり変更したりしない。ドレープまたはシールドの窓は、405nmまたはIR/NIR励起下では自家蛍光しない。追加として、ドレープまたはシールドの材料は、デバイスとの間の無線信号伝達に干渉しない。
【0036】
当業者には理解されるように、周囲および/または人工光を低減または除去するように構成されたドレープまたはシールドの他の変形形態を使用することもできる。
【0037】
追加または別法として、手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスは、照明状態が撮像にとって満足であるかどうかを識別するように構成されたセンサを含むことができる。例えば、蛍光撮像は十分に暗い環境でのみ有効になることができるため、デバイスは、周囲照明状態が蛍光撮像を可能にするのに十分であることを示すように構成された周囲光センサを含むことができる。周囲光センサは、周囲光レベルに関するフィードバックを臨床医へ提供することができる。追加として、システムが蛍光撮像モードになる前の周囲光レベルを、ピクチャメタデータ内に記憶することができる。光レベルは、事後分析中に有用になる可能性がある。周囲光センサはまた、白色光撮像モード中に、白色光LEDのイネーブルまたはその強度の制御のために有用になる可能性がある。
【0038】
デバイスは、外科的マージン、手術層、または切除組織標本の組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源をさらに含むことができ、これはデバイスの本体内に収容される。本明細書では、組織が切除された後、切除組織標本を検査するために、外科的マージンおよび/または手術層を検査する目的で、デバイスの使用について論じるが、デバイスは、原発腫瘍の切除中に、例えば腫瘍と非癌組織とを区別するための案内として使用することができることが、本発明者らには企図され、本出願の範囲内である。追加または別法として、本出願のデバイスはまた、衛星病変および/または腫瘍の除去を案内するために使用することもできる。したがって、デバイスはまた、外科的処置中に実時間調整を行うために使用することができる。
【0039】
図5A~
図5Cに示すように、少なくとも1つの励起光源は、デバイスの一端の上、周り、および/または近傍に位置決めすることができる。各光源は、例えば、選択された波長で光を放射するように構成された1つまたは複数のLEDを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、デバイスが複数の方向に光を放射するように、同じ波長で光を放射するように構成されたLEDを位置決めすることができる。これにより、手術腔内により良好でより一貫した照射が提供される。
【0040】
励起光源は、組織の自家蛍光放射、他の生体成分、例えば流体などの自家蛍光、ならびに切除腫瘍/組織の外科的マージン内および/または腫瘍/組織細胞が切除された手術層の外科的マージン内に含まれる腫瘍/癌細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起するように選択された単一の波長の励起光を提供することができる。一例では、励起光は、約350nm~約600nm、もしくは約350nm~約450nm、および約550nm~約600nm、または例えば405nmもしくは例えば572nmの範囲内の波長を有することができる。
図2Aおよび
図2Bを参照されたい。励起光源は、約350nm~約400nm、約400nm~約450nm、約450nm~約500nm、約500nm~約550nm、約550nm~約600nm、約600nm~約650nm、約650nm~約700nm、約700nm~約750nm、約750nm~約800nm、約800nm~約850nm、約850nm~約900nm、および/またはこれらの組合せの波長を有する励起光を放射するように構成することができる。
【0041】
励起光源は、2つ以上の波長の励起光を提供するように構成することができる。励起光の波長は、当業者には理解されるように、異なる目的で選択することができる。例えば、励起光の波長を変動させることによって、励起光が手術層を侵入する深さを変動させることが可能である。侵入深さは、波長の対応する増大とともに増大するため、異なる波長の光を使用して、手術層/外科的マージンの表面下の組織を励起することが可能である。一例では、350nm~450nmの範囲内、例えば約405nm±10nmの波長を有する励起光、および550nm~600nmの範囲内、例えば約572nm±10nmの波長を有する励起光が、手術層/外科的マージンを形成する組織に異なる深さまで、例えばそれぞれ約500μm~約1mmおよび約2.5mmまで侵入することができる。これに
より、デバイスの使用者、例えば外科医または病理学者が、手術層/外科的マージンの表面および手術層/外科的マージンの表面下の腫瘍/癌細胞を視覚化することが可能になる。
図3Aおよび
図3Bを参照されたい。励起光源はそれぞれ、約350nm~約400nm、約400nm~約450nm、約450nm~約500nm、約500nm~約550nm、約550nm~約600nm、約600nm~約650nm、約650nm~約700nm、約700nm~約750nm、約750nm~約800nm、約800nm~約850nm、約850nm~約900nm、および/またはこれらの組合せの波長を有する励起光を放射するように構成することができる。
【0042】
追加または別法として、近赤外/赤外範囲内の波長を有する励起光を使用することができ、例えば約760nm~約800nm、例えば約760nm±10nmまたは約780nm±10nmの波長を有する励起光を使用することができる。追加として、より深いレベルまで組織に侵入するために、このタイプの光源の使用は、第2のタイプの撮像/造影剤、例えば赤外(IR)染料(例えば、IRdye800、インドシアニングリーン(ICG))などとともに使用することができる。
図4Aおよび
図4Bを参照されたい。これにより、例えば外科的マージン/手術層内の血管新生、血管灌流、および血管貯留の視覚化が可能になり、外科医は、残存腫瘍/癌細胞が手術層内に残っている可能性に関する判定を行う際に、この情報を使用することができる。追加として、再建中の吻合を改善するために血管灌流を視覚化する有用性も有益になるはずである。
【0043】
したがって、励起光は、誘起ポルフィリンを含む標的組織を蛍光させる励起光を放射するように構成された1つまたは複数の光源を構成することができ、デバイスの使用者、例えば外科医などは、その蛍光の色によって標的組織(例えば、腫瘍、癌細胞、衛星病変など)を識別することが可能になる。追加の組織成分が、励起光による照射に応答して蛍光することもできる。少なくともいくつかの例では、追加の組織成分は、誘起ポルフィリンを含む標的組織とは異なる色で蛍光し、デバイスの使用者(例えば、外科医)は、標的組織と他の組織とを区別することが可能になる。例えば、励起光が約405nmの波長を有する光を放射したとき、誘起ポルフィリンを含む標的組織は、明赤色で蛍光する。標的組織を取り囲みかつ/または標的組織に隣接する同じ手術部位、マージン、手術層、または切除標本内の結合組織(例えば、コラーゲン、エラスチンなど)は、同じ励起光によって照射されたとき、緑色で蛍光する。さらに、標的組織および/もしくは結合組織を取り囲みかつ/または標的組織および/もしくは結合組織に隣接する同じ手術部位、マージン、手術層、または切除標本内の脂肪組織は、同じ励起光によって照射されたとき、ピンク色がかった茶色で蛍光する。他の波長の励起光を追加することで、手術部位、マージン、手術層、または切除標本に関するさらなる情報を使用者(例えば、外科医)に提供することができる。例えば、約572nmの励起光を放射するように構成された励起光源を追加することで、上記の組織を同じ色であるが、手術部位、外科的マージン、手術層、または切除標本の表面下の深さで見せる。別法または追加として、別の励起光、約760nmの励起光を放射するように構成された励起光を追加することで、使用者(例えば、外科医)は、手術部位、外科的マージン、手術層、または外科的標本内で血管新生の区域を識別することが可能になる。NIR染料(例えば、IRdye800またはICG)の使用により、血管新生は、NIR染料を含まない周辺組織とは対照的に、近赤外(NIR)波長帯域で蛍光して見える。例えば、血管新生は、暗黒色の背景とは対照的に、明白色、灰色、または紫色に見えることができる。デバイスは、追加の光源、例えば外科的マージン/手術層/組織標本/乳腺腫瘤摘出サンプルの白色光(WL)撮像のための白色光源などを含むことができる。少なくともいくつかの事例では、例えばBCS、例えば乳腺腫瘤摘出術中など、腫瘍の除去により、手術層/外科的マージンを含む手術腔が生じる。WL撮像は、手術腔および/または外科的マージンの内部の画像またはビデオを取得し、手術腔の視覚化を提供するために使用することができる。WL撮像はまた、手術層または切除組織サンプルの画像またはビデオを取得するために使用することができる。WL画像および/また
はビデオは、使用者(例えば、外科医)に対して細胞学的および地形学的な基準点を提供する。WL撮像下で、手術層または切除組織は、有用な情報を使用者(例えば、外科医および/または病理学者)に提供する。例えば、WL画像は、組織のうち、黄色に見える脂肪(脂質)組織、典型的には白色に見える結合組織、ならびに明赤色または暗赤色に見える血液区域を含む区域を示すことができる。追加として、WL画像内では、湿気、焼灼からの炭化、発色性染料による染色、術中または他の外因的目的(例えば、マージンのマーク付け、ワイアガイドの配置)を視覚化することができる。さらに、WL画像は、対応するFL画像を解釈するための状況を提供することができる。例えば、FL画像は、「細胞学的状況」(すなわち、背景組織の自家蛍光)を提供することができ、対応するWL画像は、何がFL画像(例えば、切除標本ではなく手術腔の画像)に示されているかを使用者がより良好に理解することを可能にすることができる。WL画像もまた、使用者がFL画像内の蛍光特徴を白色光照射下の細胞学的位置に共局在化することを可能にする。
【0044】
白色光源は、1つまたは複数の白色光LEDを含むことができる。他の白色光源も適宜使用することができる。当業者には理解されるように、白色光源は、長期使用中に過熱をもたらすことなく、安定した信頼できるものであるべきである。
【0045】
デバイスの本体は、白色光撮像と蛍光撮像との間の切換え/トグルを可能にするための制御を含むことができる。制御はまた、ともにもしくは別個に、様々な組合せで、かつ/または順次、様々な励起光源の使用を可能にすることができる。制御は、様々な異なる光源の組合せを繰り返すことができ、これらの光源を順次制御することができ、これらの光源を明滅させることができ、または他の方法で光源使用のタイミングおよび持続時間を制御することができる。制御は、当業者には理解されるように、自動、手動、またはこれらの組合せとすることができる。
【0046】
デバイスの本体はまた、反射された励起光の通過を防止するが、組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたスペクトルフィルタを収容することができる。1つの例示的な実施形態では、赤色蛍光放射(自家蛍光および誘起ポルフィリン放射の両方)および緑色自家蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過を許可することができるmCherryフィルタを使用することができ、赤色帯域は、脂肪組織の自家蛍光放射およびPpIX放射を捕捉し、緑色帯域は、結合組織の自家蛍光放射を捕捉する。
図2A~
図2Bおよび
図3A~
図3Bに示すように、緑色帯域は、約500nm~約550nmの波長を有する放射の通過を許可することができ、赤色帯域は、約600nm~660nmの波長を有する放射の通過を許可することができる(赤色帯域は約600nm~約725nmに延びることができることも可能である)。mCherryフィルタは、赤外励起光による励起、例えば約790nm以上の波長を有する放射に応答して、放射の通過を許可するように構成された帯域をさらに含むことができる。
図4Aを参照されたい。別法として、mCherryフィルタではなく、複数のフィルタを使用することもでき、各フィルタは、1つまたは複数の帯域の放射の通過を許可するように構成される。一例では、800nmのロングパスフィルタを使用して、800nm以上の波長を有する放射を捕捉することができる。
図4Bを参照されたい。追加または別法として、フィルタホイールを使用することができる。当業者には理解されるように、フィルタは、他の関心組織成分、例えば流体などの検出を可能にするように、さらにカスタマイズすることができる。
【0047】
手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスはまた、撮像レンズおよび画像センサを含む。撮像レンズまたはレンズアセンブリは、フィルタにかけられた自家蛍光放射および蛍光放射を画像センサ上に集束させるように構成することができる。広角撮像レンズまたは魚眼撮像レンズが、好適なレンズの例である。広角レンズは、180度の視野を提供することができる。レンズはまた、光学倍率を提供することができる。撮像デバイスに
は、非常に小さい細胞群を区別することが可能になるように、非常に高い分解能(例えば、マイクロメートルレベル)が望ましい。これは、手術中に保持される健康な組織の量を最大にしながら、実質上すべての残存癌細胞、前癌細胞、衛星病変を除去する可能性を最大にするという目標を実現するために望ましい。画像センサは、外科的マージンのフィルタにかけられた組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出するように構成され、画像センサは、ポルフィリン蛍光および組織の自家蛍光のスペクトル色を正確に表すように調整することができる。画像センサは、4Kビデオ能力ならびに自動焦点および光学ズーム能力を有することができる。CCDまたはCMOS撮像センサを使用することができる。一例では、フィルタと組み合わせたCMOSセンサ、すなわちハイパースペクトル画像センサ、例えばXimea社から販売されているセンサなどを使用することができる。例示的なフィルタには、可視光フィルタ(https://www.ximea.com/en/products/hyperspectral-cameras-based-on-usb3-xispec/mq022hg-im-sm4x4-vis)およびIRフィルタ(https://www.ximea.com/en/products/hyperspectral-cameras-based-on-usb3-xispec/mq022hg-im-sm5x5-nir)が含まれる。手持ち式デバイスはまた、検出された放射を受け取り、外科的マージンのフィルタにかけられて検出された組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサを収容することができる。プロセッサは、同時プログラムを継ぎ目なく実行する能力を有することができる(それだけに限定されるものではないが、無線信号の監視、電池の監視および制御、温度の監視、画像の受入れ/圧縮、ならびにボタン押下の監視を含む)。プロセッサは、内部記憶装置、ボタン、光学系、および無線モジュールとインターフェースする。プロセッサはまた、アナログ信号を読み取る能力を有する。
【0048】
デバイスはまた、無線モジュールを含むことができ、完全に無線で動作するように構成することができる。デバイスは、ハイスループット無線信号を利用することができ、最小の待ち時間で高精細度ビデオを伝送する能力を有することができる。デバイスは、Wi-FiおよびBluetoothの両方に対応することができ、Wi-Fiはデータ伝送のために、Bluetoothは高速接続のために使用される。デバイスは、他のデバイスからの分離のために、5GHzの無線伝送帯域の動作を利用することができる。さらに、デバイスは、ソフトアクセスポイントとして実行することが可能であり、それによりインターネットへの接続の必要をなくし、患者データのセキュリティに関連する他のデバイスから分離して接続された状態でデバイスおよびモジュールを維持する。
【0049】
デバイスは、無線で充電するように構成することができ、誘導充電コイルを含むことができる。追加または別法として、デバイスは、充電接続を受け取るように構成されたポートを含むことができる。
【0050】
本開示の一態様によれば、本教示による手持ち式の多スペクトル撮像デバイス100の例示的な実施形態が、
図5A~
図5Cに示されている。デバイス100は、第1の端部112および第2の端部114を有する本体110含む。第1の端部112は、デバイスの使用者によって片手で保持されるようなサイズおよび形状である。図示されていないが、第2の端部が関節動作可能な構造として実施されるとき、第1の端部は、デバイスの作動、異なる光源間のトグルおよび/または他の方法による異なる光源の制御、ならびに第2の端部114の操作を行うように構成された制御を含むことができる。
【0051】
図5A~
図5Cに示すように、デバイス100の第2の端部114は、腫瘍または癌組織が除去された手術腔内へ、2~3cmのサイズの外科的切開を通って第2の端部の端部または先端116の挿入を容易にするために、先細り状および/または細長形にすること
ができる。端部または先端116は、端部の周囲もしくは円周および/またはデバイス100の端面118に、光源を含む。端面118は、例えば、広角レンズ162を含む。1つの例示的な実施形態では、白色光LED122を備える第1の白色光源120が、デバイスの先端116および端面118上に位置決めされる。例えばLED126の形態の405nmの励起光源を備える第2の光源124がまた、デバイス100の先端116および端面118上に位置決めされる。いくつかの実施形態では、LED122および126は、交互のパターンで配置することができる。
図5Dに示す別の例示的な実施形態では、例えばLED130の形態の575nmの励起光源を備える第3の光源128がまた、先端116および端面118上に位置決めされる。
図5Eに示すさらに別の代替実施形態では、760nmの励起光を放射するように構成されたLED134を備える赤外光源132の形態の第4の光源が、デバイス100の先端116および端面118上に位置決めされる。当業者には理解されるように、これらの様々な光源は、様々な組合せで設けることができ、すべての光源を設ける必要はない。1つの例示的な実施形態では、デバイスの先端部116は取外し可能であり、他の先端と交換可能になるように構成される。そのような実施形態では、
図5C~
図5Eに示す先端は、単一のデバイス上で交換可能な異なる先端を構成することができる。他の組合せの光源およびフィルタを備える追加の先端も、本開示によって企図される。例示的な先端は、405nmの光およびmCherryフィルタ、フィルタなしの白色光、IR/NIR光および800nmロングパスフィルタ、IR/NIR光およびmCherryフィルタ、405nmの光、IR/NIR光、およびmCherryフィルタ、572nmの光およびmCherryフィルタ、405nmの光、572nmの光、およびmCherryフィルタ、405nmの光、572nmの光、IR/NIR光、およびmCherryフィルタ、ならびに572nmの光、IR/NIR光、およびmCherryフィルタという組合せの光源およびフィルタを含むことができる。交換可能な先端の使用により、フィルタ間でトグルしなければならないという設計上の課題が解消される。当業者には理解されるように、本開示に基づいて、他の組合せを形成することもできる。
【0052】
先端116が取外し可能および交換可能であるデバイス100の実施形態では、交換用先端を収容するキットを販売することもできることが考えられる。そのようなキットは、デバイス自体と組み合わせて提供することができ、またはキット内に収容された先端上に含まれるタイプの光源とともに使用される1つもしくは複数の化合物もしくは染料を含むことができる。例えば、405nmの光源先端を有するキットは、ALAを含む可能性があり、405nmの光源および760nmの光源先端を有するキットは、ALAならびにIRdye800および/またはICGの両方を含む可能性がある。他の組合せの光源および化合物も、当業者には明らかであろう。
【0053】
図6Aおよび
図6Bは、
図5A~
図5Cの実施形態のデバイスならびにデバイス600の先端616および端面618の横断面図を示す。端面618は、例えば、広角レンズ662を含む。
図6Aに示すように、デバイス600は、デバイス本体またはハウジング610を含み、本体610は、誘導充電コイル640と、電子機器基板642と、様々な光源および電子機器基板に給電するための電池644と、カメラモジュール/画像センサ648ならびにデバイスの本体に取り付けられた先端内に存在することができる光源120、124、128、および132のいずれかに電子機器基板642を接続するための電気的接続646とを収容する。光源は、光学的に透明の窓650によって覆われる。光源には、ヒートシンク654も設けられる。カメラモジュール/画像センサ648の前に、スペクトルフィルタ/撮像フィルタ652が位置決めされる。フィルタ652は、機械的にまたは手動で可動とすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、デバイスは、偏光フィルタを含むことができる。偏光特徴は、スペクトルフィルタの一部またはスペクトルフィルタ内へ組み込まれた分離フィルタと
することができる。スペクトルフィルタ/撮像フィルタは、偏光フィルタ、例えば波長板と組み合わせた直線または円偏光フィルタとすることができる。これにより、最小の鏡面反射による組織の撮像(例えば、白色光撮像からのグレア)を防止することができ、ならびに結合組織(例えば、コラーゲンおよびエラスチン)内の蛍光偏光および/または異方性に依存する変化の撮像を可能にすることができる。追加として、偏光フィルタは、使用者が、異なる蛍光色間のコントラストをより良好に視覚化し、したがって異なる組織成分(例えば、結合と脂肪と腫瘍)間の境界をより良好に視覚化することを可能にすることができる。言い換えれば、偏光フィルタは、FL撮像下におけるより良好な境界の画定のために使用することができる。偏光フィルタはまた、WLおよびFL画像に対して組織成分間の画像コントラストを改善することができる。
【0055】
図7Aおよび
図7Bは、デバイスの第2の代替実施形態の本体、ならびにその先端部、デバイス700、および端面718の横断面図を示す。端面718は、例えば、
図7Aに示す広角レンズ762を含み、デバイス700は、デバイス本体またはハウジング710を含み、本体710は、誘導充電コイル740または充電ポート(図示せず)と、電子機器基板742と、様々な光源に供電するための電池744と、カメラモジュール/画像センサ748ならびにデバイスの本体に取り付けられた先端内に存在することができる光源120、124、128、および132のいずれかに電子機器基板742を接続するための電気的接続746とを収容する。光源は、1つまたは複数の光学的に透明の窓750によって覆われる。カメラモジュール/画像センサ748の前には、取外し可能なスペクトルフィルタ/撮像フィルタ752が位置決めされ、フィルタ752は、上述した先端116と交換可能になるように、取外し可能な先端部の一部を形成する。各先端は、別個の光源720、724、728、および732を含み、付随するフィルタ752a、752b、752c、752dが、(先端上に収容された光源に基づいて)反射された励起光の通過を防止するが、特有の先端に関連する特定の励起光波長に応答して放射の通過を許可するように構成される。追加として、本体710の先端内の各LEDに対して、ヒートシンク754が設けられる。本体710の先端は、電気接点756aをさらに含み、電気接点756aは、デバイス700の本体710上の対応する電気接点756bに接触するように構成される。いくつかの事例では、各先端上に単一の光源のみが含まれており、そのような事例では、先端はフィルタを含まなくてもよいことも企図される。
【0056】
図8Aおよび
図8Bは、デバイスの第3の代替実施形態の本体、ならびにその先端部、デバイス800、および端面818の横断面図を示す。
図8Aに示すように、デバイス800は、デバイス本体またはハウジング810を含み、本体810は、誘導充電コイル840または充電ポート(図示せず)と、電子機器基板842と、様々な光源に給電するための電池844と、カメラモジュール/画像センサ848に電子機器基板842を接続するための電気的接続846とを収容する。光源は、ハウジング810の周囲および/またはデバイス800の先端の端部上に設けられるのではなく、デバイス800のハウジング810内に収容される。この実施形態では、各光源は、単一のLED120’、124’、128’、および/または132’を利用することができる。各光源は、ヒートシンクを伴う。追加として、光源からの光をデバイス800の端面818へ伝えるために、各光源は、それぞれのライトパイプ860を伴う。デバイスの先端は、光学的に透明の窓850、広角レンズ862、内側ライトパイプリング864a、および外側ライトパイプリング864bを含む。固体ライトパイプは、次のようにリングに接続するはずである。別のより小さいライトパイプリングが内側に同心円状に嵌るように、リングの2分の1(例えば、左半分)が固体部分に接続されるはずである。この他方のライトパイプの固体端は、例えば、内側リングの右半分に接続されるはずである。各リング全体が、光を均一に投影するが、光は本質的に、リングが均一に放射するのに十分な拡散で、リングの一部分へ送達されるはずである。この設計は、より多くの同心円状のリングを追加することによって、追加の光源のために修正することもできる(このモデルでは、各ライトパイプは、1つ
の源からの光のみを伝送する)。カメラモジュール/画像センサ848の前には、本体810の先端部の一部を形成するスペクトルフィルタ/撮像フィルタ852が位置決めされる。フィルタ852は、機械的にまたは手動で可動とすることができる。
【0057】
図9Aおよび
図9Bは、デバイスの第4の代替実施形態の本体、ならびにその先端部、デバイス900、および端面918の横断面図を示す。
図9Aに示すように、デバイス900は、デバイス本体またはハウジング910を含み、本体910は、誘導充電コイル940または充電ポート(図示せず)と、電子機器基板942と、様々な光源に給電するための電池944と、カメラモジュール/画像センサ948に電子機器基板942を接続するための電気的接続946とを収容する。光源は、ハウジング910の周囲および/またはデバイス900の先端の端部上に設けられるのではなく、デバイス900のハウジング910内に収容される。この実施形態では、各光源は、複数のLED122、126、130、134を利用することができる。各光源に対するLEDは、存在するすべての光源を表すLED群を形成するように存在するそれぞれ他方の光源に対するLEDに隣接して位置決めされる。各LEDにヒートシンク954が設けられる。光源からの光をデバイス900の先端へ伝えるために、各LED群は、それぞれのライトパイプ960を伴う。デバイスの先端は、光学的に透明の窓950、広角レンズ962、ならびに各ライトパイプの遠位端、例えば端部964a、964b、964c、および964dを含む。カメラモジュール/画像センサ948の前には、本体910の先端部の一部を形成するスペクトルフィルタ/撮像フィルタ952が位置決めされる。フィルタ652は、機械的にまたは手動で可動とすることができる。
【0058】
図10は、デバイスの第5の代替実施形態の本体、ならびにその先端部、デバイス1000、および端面1018の横断面図を示す。
図10に示すように、デバイス1000は、デバイス本体またはハウジング1010を含み、本体1010は、広角レンズ1062と、誘導充電コイル1040または充電ポート(図示せず)と、電子機器基板1042と、様々な光源に給電するための電池1044と、カメラモジュール/画像センサ1048ならびにデバイスの本体に取り付けられた先端内に存在することができる光源120、124、128、および132のいずれかに電子機器基板1042を接続するための電気的接続1046とを収容する。光源は、光学的に透明の窓1050によって覆われる。追加として、各LEDに対して、本体1010の先端内にヒートシンク1054が設けられる。この実施形態では、カメラモジュール/画像センサ1048は、デバイス1000の先端から隔置される。カメラモジュール/画像センサ1048の前には、カメラモジュール/画像センサ1048とスペクトルフィルタ/撮像フィルタ1052との間に、画像保存ファイバ1070が位置決めされる。画像保存ファイバ1070は、デバイスの遠位端からの放射光を、画像が形成される場所の内側に埋設されたカメラへ送達するために使用される。フィルタ1052は、機械的にまたは手動で可動とすることができる。
【0059】
図11は、デバイスの第6の代替実施形態の本体、ならびにその先端部、デバイス1100および端面1118の横断面図を示す。
図11に示すように、デバイス1100は、デバイス本体またはハウジング1110を含み、本体1110は、誘導充電コイル1140または充電ポート(図示せず)と、電子機器基板1142と、様々な光源に給電するための電池1144と、2つのカメラモジュール/画像センサ1148aおよび1148bならびにデバイスの本体上の先端内に存在することができる光源120、124、128、および132のいずれかに電子機器基板1142を接続するための電気的接続1146とを収容する。各光源は、ヒートシンク1154を伴う。光源は、光学的に透明の窓1150によって覆われる。
図10の実施形態と同様に、この第6の実施形態は、ライトガイド/画像保存ファイバ1170を使用する。図示のように、ライトガイド/画像保存ファイバ1170は、広角撮像レンズ1162からビームスプリッタ1172へ延びる。ビームスプリッタ1172のうちライトガイド1170の反対側では、第1のカメラモジュー
ル/画像センサ1148aが、ビームスプリッタに直接隣接している。ビームスプリッタ1170の第2の側では、第1のカメラモジュール/画像センサ1148aとライトガイド1170との間に、スペクトルフィルタ/撮像フィルタ1152が、ビームスプリッタ1172に直接隣接して位置決めされる。スペクトルフィルタ/撮像フィルタ1152に隣接して、第2のカメラモジュール/画像センサ1148bが、スペクトルフィルタ/撮像フィルタ1152によってビームスプリッタ1172から隔置される。第2のカメラモジュール/画像センサ1148bの前に位置決めされたスペクトルフィルタ/撮像フィルタ1152は、励起光源に応答して蛍光放射の通過を許可するように構成される。フィルタ1152は、機械的にまたは手動で可動とすることができる。
【0060】
この実施形態により、蛍光(フィルタあり)と白色光(フィルタなし)との間の撮像の容易な切換えが可能になる。追加として、どちらのセンサも、ちょうど同じ視野の画像を同時に捕捉することができ、ディスプレイ上に並べて表示することができる。第2のセンサからのフィルタを除去した状態で、両方の画像センサを同時に使用することで、3D立体撮像が可能であり、手術腔の3D表現を提供することが可能になる。追加として、第2のセンサからのフィルタを除去した状態で、他の機能、例えばモノクロームおよびフルカラー撮像なども可能である。モノクロームおよびフルカラー画像を組み合わせることもでき、モノクロームセンサは、フルカラー画像と組み合わせたとき、強化された詳細を提供するという利益がある。
【0061】
上述した実施形態のそれぞれにおいて、カメラモジュール/画像センサは、デバイスのプロセッサ上に含まれているカメラファームウェアを伴うことができる。プロセッサは、上述した無線モジュールと同様に、デバイスの電子機器基板内へ組み込まれる。カメラファームウェアは、撮像センサからデータを収集し、必要に応じて無損失データ圧縮およびリサンプリングを実行し、ソフトアクセスポイントによって定義された伝送プロトコルに適当に画像およびビデオデータをパッケージ化し、音声注釈データと同期してデータパッケージを適宜タイムスタンプし、無線ハブによって実時間で受け取られるべきデータを伝送する。
【0062】
手持ち式の多スペクトル撮像デバイスは、無線ハブ1200と動作可能に結合されるように構成される。
図11Aに示すように、無線ハブ1200は、デバイス100からデータを受け取り、有線接続を介してデータを表示デバイス1280へ伝送するように構成され、表示デバイス1280は、デバイスの操作者または付近の他の人が見るように位置決め可能である。無線ハブ1200は、画像および音声を記憶するためのメモリを含む。無線ハブは、デバイス100の使用中に音声を記録し、デバイスによって伝送される画像/ビデオデータと後に同期するために音声にタイムスタンプするためのマイクロフォンを含むことができる。無線ハブ1200は、カメラモジュールから実時間でデータを受け取り、画像およびビデオデータを展開し、必要に応じてデータを前処理し(ノイズ除去、平滑化)、タイムスタンプ情報に基づいて音声およびビデオを同期させ、ディスプレイへの有線伝送のためにデータを準備するように構成されたファームウェアを含む。ハブは、デバイスに有線接続することができ、かつ/またはデバイス自体が無線でないとき、デバイスの回路の一部分を形成することができることも企図される。追加として、手術室における外科的処置の完了後、無線ハブ1200は、カタログ化および分析ソフトウェアを実行して画像/ビデオをインポートするコンピュータ1290内へ差し込むことができる(
図12B参照)。
【0063】
ディスプレイ1280は、手術室または研究室内で利用することができる任意のディスプレイとすることができる。ディスプレイ1280は、有線接続を介して外部表示モニタへ画像、ビデオ、および音声データを伝送し、ビデオデータを画像捕捉の表示とともに実時間で表示し、コマンドによって異なる光源からの画像を並べて表示し、外部の拡張現実
および仮想現実システムと統合し、使用者の好みに関して表示設定を準備/調整するように構成されたファームウェアを含む。
【0064】
手持ち式の多スペクトル撮像デバイス100、無線ハブ1200、およびディスプレイ1280はともに、腫瘍および外科的マージンの術中視覚化を可能にするように構成されたシステム1300を形成する。システムは、他の構成要素も同様に含むことができる。例えば、
図13に示すように、腫瘍および外科的マージンの術中視覚化を可能にするように構成されたシステム1300が、手持ち式の多スペクトル撮像デバイス100、無線ハブ1200、ディスプレイ1280、無線充電ドック1285、およびオートクレーブ容器1291を含むことができる。図示されていないが、システムは、腫瘍/癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物をさらに含むことができる。
【0065】
図14に示すように、オートクレーブ容器1291は、デバイス100とともに使用するための滅菌システムの一部として設けることができる。
図14は、円筒形のオートクレーブ容器1291を示すが、他の形状の容器も企図される。容器1291は、デバイス100の基部を受け取って支持するように構成された基部1292を有することができる。すでに上述したように、デバイス100の基部は、無線充電のための誘導充電コイルを含むことができる。容器の基部1292は、無線充電ドック1285内に嵌り、デバイス100の無線充電を可能にしながら、デバイス100を滅菌されたすぐに使用できる状態で維持するように構成することができる。例えば、容器は、透明の筐体を形成することができ、したがって筐体を開くことなく、したがって滅菌状態を損なうことなく、デバイス100およびインジケータストリップを見ることができる。一例では、デバイス100は撮像に利用され、次いでその表面は消毒され、オートクレーブインジケータストリップとともにオートクレーブケース内に配置される。デバイス100を有するケースは、オートクレーブ内に配置されて滅菌され、次いでケースは、オートクレーブから取り出されて封止され、充電ドック1285上に配置され、次の手術の準備ができるまで充電ドック1285上に載置される。こうして滅菌および充電を統合したプロセスは、世界中の病院環境におけるバイオセーフティ要件への順守を確実にする。
【0066】
本教示によって、デバイス100を使用する例示的な方法について次に説明する。手術前、患者には、腫瘍/癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された非活性の非標的化合物、例えばALAなどの診断投与量が処方される。投与量は、例えば、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、または約55mg/kgを含むことができる。上記でも論じたように、約60mg/kgより大きい投与量を投与することが可能である。患者には、手術の約15分~約6時間前、手術の約1~約5時間前、または手術の約2~約4時間前に、化合物を摂取するように指示が提供される。患者が化合物を経口で摂ることができなき場合、静脈内に投与することができる。追加または別法として、すでに論じたように、化合物を手術中にエアロゾルまたは洗浄として投与することも可能である。
【0067】
プロドラッグアミノレブリン酸(ALA)は、
図1に示すプロセスを介して、腫瘍/癌組織細胞内のポルフィリン形成を誘起する。適当なALA製剤の一例は、Photonamic GmbH and Co.製のGliolan(アミノレブリン酸塩酸塩)の名称で市販されている。この化合物は、一般に5-ALAと呼ばれる。別の例示的なALA源は、Dusa Pharmaceuticals Inc.製のLevulan(登録商標)Kerastick(登録商標)である。上記で論じたように、診断用量のALAまたは5-ALAの使用により、腫瘍/癌組織細胞内にPpIX形成を誘起することができ、したがって赤色蛍光放射を増大させることができ、デバイスによって撮像される腫瘍
/癌組織細胞と健康な組織との間の赤色と緑色との蛍光コントラストを強化することができる。
【0068】
一例では、経口5-ALAは水に溶解され、15または30mg/kgの5-ALAの投与量で、スタディナースによって手術の2~4時間前に患者に投与された。本明細書に記載する臨床試験で使用されるPRODIGIデバイスは、全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Device and method for wound imaging and monitoring」という名称の米国特許第9,042,967号にも記載されている。
【0069】
5-ALAまたは類似の化合物が投与されてから約2~4時間後、手術が開始される。本出願では、BCSに対する外科的プロセスについて説明する。しかし、本出願の範囲は、そのように限定されるものではなく、例えば、乳癌、脳腫瘍、大腸癌、扁平上皮癌、皮膚癌、前立腺癌、黒色腫、甲状腺癌、卵巣癌、癌性リンパ節、子宮頚癌、肺癌、膵癌、頭頚部癌、または食道癌を含むすべてのタイプの癌に対する手術および病理学的分析に適用可能である。追加として、本明細書に開示する方法およびシステムは、人間を除く動物の癌、例えばイヌ科またはネコ科の動物に関連して使用することができる。方法およびシステムは、例えば、イヌ科およびネコ科の動物における肥満細胞腫、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞腫、皮膚腺腫瘍、毛包腫瘍、表皮向性リンパ腫、間葉腫、良性線維芽細胞性腫瘍、血管腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、皮膚のリンパ腫、脂漏腺腫瘍、および軟部組織肉腫に適用可能とすることができる。
【0070】
外科医は、腫瘍を特定し、次に腫瘍を除去することから始める。上記で論じたように、外科医は、特に腫瘍が多くの腫瘍結節を含む場合、腫瘍を特定するために撮像デバイスを使用することができる。追加として、外科医はまた、腫瘍の切除中に撮像デバイスを使用して、切除を行いながらマージンを見ることができる(後述する方法と実質上同じ)。外科医が腫瘍/癌組織を除去した後、少なくとも先端116および端面118を含むデバイス100の遠位端114が、腫瘍/癌組織が除去された手術腔内へ、外科的切開を通って挿入される。外科医は、外科医の手に保持されたデバイスの近位部分上で制御を動作させて、白色光源を作動させ、手術腔および手術層の白色光撮像(WL撮像)を開始する。WL撮像中、スペクトルフィルタは係合されておらず、手術腔の表面から反射した光は、広角撮像レンズを通過し、デバイス100の本体110内のカメラモジュール/画像センサ上に集束される。プロセッサおよび/または電子機器基板上の他の回路が、画像データ(またはビデオデータ)を無線ハブ1200へ伝送し、データは記憶および/または前処理され、ディスプレイ1280へ伝送される。外科医/デバイスの操作者は、手術腔全体(または手術腔のうち外科医が撮像したいと考える部分)を撮像するための必要に応じて、手術腔内でデバイスの先端をあちこちに動かすことができる。いくつかの実施形態では、デバイスの遠位端部は関節動作可能とすることができ、手術腔全体を撮像するための必要に応じて、遠位端部を関節動作させ、それによって手術腔内の白色光入射の角度および方向を変化させるように制御される。当業者には理解されるように、遠位端部の関節動作は様々な手段によって実現することができる。例えば、遠位端は、手動で関節動作可能とすることができ、または機械的、電気機械的、もしくは他の手段によって関節動作可能とすることができる。
【0071】
WL撮像後、外科医/デバイスの操作者は、スイッチのトグルまたは他の方法による制御を使用して、白色光源を切り、デバイス100上の励起光源の1つまたは複数を作動させる。励起光源は、個々に、群として、またはすべて一度に、係合することができる。励起光源は、順次、時限的に、または所定のパターンに応じて、係合することができる。励起光源が作動すると、励起光が手術腔の手術層上へ誘導され、外科的マージン内に位置する組織からの自家蛍光放射および腫瘍/癌組織細胞内の誘起ポルフィリンからの蛍光放射
を励起する。デバイス100の端面118上の撮像レンズが、放射を集束させ、スペクトルフィルタによって通過が許可された波長範囲内に入る放射が、フィルタを通過し、デバイス本体110内のカメラモジュール/画像センサによって受け取られる。プロセッサおよび/または電子機器基板上の他の回路が、画像データ(またはビデオデータ)を無線ハブ1200へ伝送し、データは、記憶および/または前処理され、ディスプレイ1280へ伝送される。したがって、外科医は、手術腔が励起光で照射されている間に、捕捉された蛍光画像をディスプレイ上で、実時間で観察することができる。これは、蛍光放射の励起および検出が実質上同時であるために可能になる。外科医は、蛍光画像を観察しながら、ディスプレイ上に横並びの提示で、同じ位置の白色光画像の表示を指示することが可能である。このようにして、外科医は、見ている手術腔/手術層またはマージンの位置/部分に関する状況を得ることが可能である。これにより、外科医は、手術腔/マージン内の残存癌細胞に起因すると考えられる手術腔/マージン内の赤色蛍光の位置を識別する可能になる。赤色蛍光に加えて、FL撮像はまた、結合組織、例えばコラーゲンなどを表す緑色蛍光を捕捉することができる。いくつかの場合、乳房内に高密性結合組織を形成する自家蛍光放射は、明緑色に蛍光する。これにより、外科医は、より高度に血管化された組織は、癌細胞に伴う血管新生を潜在的に表す可能性があるため、密性結合組織の区域を識別し、血管構造/血管新生を表しうる暗い区域(光の吸収のために暗い)から区別することが可能になる。追加として、赤色蛍光に関連して結合組織の自家蛍光を見ることによって、残存癌細胞を表しうる赤色蛍光の位置に関する状況が外科医に与えられる。この状況を使用して、手術層/外科的マージンのさらなる治療および/または切除に関する外科医の決定ならびに再建処置に関する決定に情報を与えることができる。
【0072】
WL撮像と同様に、FL撮像中、外科医/デバイスの操作者は、手術腔全体(または手術腔のうち外科医が撮像したいと考える部分)を撮像するための必要に応じて、手術腔内でデバイスの先端をあちこちに動かすことができる。いくつかの実施形態では、デバイスの遠位端部は関節動作可能とすることができ、手術腔全体を撮像するための必要に応じて、遠位端部を関節動作させ、それによって手術腔内の白色光入射の角度および方向を変化させるように制御される。当業者には理解されるように、遠位端部の関節動作は様々な手段によって実現することができる。例えば、遠位端は、手動で関節動作可能とすることができ、または機械的、電気機械的、もしくは他の手段によって関節動作可能とすることができる。
【0073】
このプロセスについて、FL撮像前に行われるWL撮像に関して説明するが、プロセスを逆にすることおよび/またはWL撮像なしでFL撮像を実行することも可能である。
【0074】
手術腔の外科的マージンを見ることに加えて、開示する手持ち式の多スペクトル撮像デバイスはまた、外科的処置中に露出させることができるリンパ節を観察するために使用することができる。被験者の身体からの除去前にリンパ節を見ることによって、デバイス100を使用して、リンパ節内の誘起ポルフィリンを含む細胞からの赤色蛍光放射を観察することが可能である。そのような観察は、腫瘍/癌細胞が転移したという兆候であり、リンパ節を除去しなければこと、および追加の治療が必要な可能性があることを示す。このようにして撮像デバイスを使用することで、デバイスは、ステージ分類ツールとして作用し、癌のステージを検証し、かつ/またはリンパ節内の誘起ポルフィリンによる赤色蛍光放射の有無に応じて癌のステージを分類することが可能になる。そのようなプロセスはまた、被験者からすでに除去されたリンパ節で使用して、除去リンパ節内に腫瘍/癌細胞が含まれるかどうかを判定することができる。使用されるプロセスが生体内、生体外、それとも試験管内であるかにかかわらず、取得した情報を使用して、さらなる治療および/または介入に関する外科医の決定に情報を与えることができる。
図17は、乳癌手術中に除去された結節のWLおよびFL画像を示す。
図17で、切除リンパ節のWL(上)およびFL(下)画像は、a)3人の高用量ALA患者からの腫瘍陽性センチネル節内で検出さ
れたPpIX FL(左側パネル:極めて明白;中央/右側パネル:極めて微量)、b)それぞれ正常な結合および脂肪組織の特徴的な緑色およびピンク色のFL署名を示す5-ALA患者からの腫瘍陰性節である。スケールバー=0.5cmである。
【0075】
手術腔およびリンパ節を見ることに加えて、除去腫瘍を撮像した際の値も示されている。癌細胞、前癌細胞、および衛星病変を識別するために、腫瘍の外面(外科的マージン)を撮像することができる。除去組織はまた、薄切後に撮像デバイスによって見ることができる。
図18は、乳癌手術中に除去された乳房切断標本のWLおよびFL画像を見る。
図18には、30mg/kgの5-ALAを投与された患者からの(a)そのままの乳房切断標本および(b)連続して薄切した乳房切断標本のWL(左側)およびFL(右側)画像が示されている。青色の線は、明白な腫瘍の辺縁を区切っている。
【0076】
本開示の別の態様によれば、検出された誘起ポルフィリンの強度は、PDTに対する最適の時間枠を判定するための案内として使用することができることが企図される。例えば、ポルフィリンによって放射された蛍光の強度を監視し、ピークになるときを判定し、最適の結果のためにその時点でPDTを実行することが可能である。
【0077】
標準的なWL下では、乳房脂肪組織の領域と結合組織の領域とを区別することは困難である。FL撮像は、組織学的に認証された脂肪および結合組織の一貫した自家蛍光(AF)特徴を明らかにし、405nmの励起下でそれぞれ淡いピンク色および明緑色に見える。5-ALA赤色FLと組み合わせたとき、正常組織のAFとPpIXとの異なる放射スペクトルは、視覚的に容易に区別可能である(
図15および
図16参照)。乳房結合組織の主成分であるコラーゲンおよびエラスチンは、AF特性に関してよく知られており、405nmで励起されると可視光スペクトルの緑色(490~530nm)範囲を放射することが示されてきた。5-ALAを使用する乳房腫瘍撮像では、赤色のPpIXおよび緑色の結合組織のFLと、脂肪組織の広い緑色から赤色のFL(ピンク色に見える)とから構成された合成画像を提供するため、405nmの励起LEDおよびデュアルバンド放射フィルタ(500~545nmおよび600~660nm)が好適である。正常組織から癌組織を区別する主目的に対して2次的であるが、脂肪および結合組織の空間位置確認は、残存癌の外科的切除中に細胞学的状況による画像案内を提供し、したがって健康な組織を残して整容性を維持する。
【0078】
青色光照射を使用するAF乳管内視鏡は、健康な管腔組織AF(明緑色)と湿潤性乳房腫瘍組織とをスペクトル的に区別することができる。臨床医の撮像データは、健康な乳房組織の区域内で明緑色AFを実証している。さらに、5-ALAによる臨床所見は、アンフェスFL撮像および内視鏡FL撮像の両方が臨床的に実行可能であることを実証している。
【0079】
1つの臨床試験中、腫瘍AFの強度および分布は不均一であった。定性的に、強度は、周辺の正常な乳房組織と比較すると、視覚的により明るい、より暗い、または低コントラストからの範囲であった。追加として、おそらく結合組織が点在していたため、薄切腫瘍内ならびに正常組織の区域内の両方の標本でまだらの緑色FLが共通していた。内因性腫瘍AFは、異なる患者切除標本間で一貫しておらず、したがって外科的乳房腫瘍標本内の腫瘍の視覚的識別にとって信頼性できる内在FLバイオマーカではない(すなわち、周辺の正常組織と比較してすべての腫瘍が明るいわけではない)。
【0080】
全体的に、腫瘍AF信号の違いは、各腫瘍および周辺の正常領域の組成の違いを表すことができる。より明るい腫瘍は、より多くの線維結合組織を含み、その結果、特徴的な明緑色のAF署名を有する可能性がある。しかし、健康な周辺組織もまた、密性結合組織に対して非常に線維である場合、腫瘍および正常なAF信号は類似しており、互いを区別す
ることができず、その結果、正常組織に対する腫瘍のコントラストが低くなった。
【0081】
血液は、405nm光の吸収を増大させることが知られており、その結果、放射が減少する。撮像前に、そのままの標本を生理食塩水で洗って表面の血液を除去したが、ブレッドローフィング(bread-loafed)後、腫瘍血管内の血液は、腫瘍区間のAF強度に影響を与えた可能性がある。したがって、より暗い腫瘍は、より少ない結合組織含量およびより高い血管分布を有した可能性がある。
【0082】
5-ALAを受けた患者では、PpIX FLは、腫瘍組織に比べて、正常な結合および脂肪組織の区域でより低い。より高い5-ALA群で、腫瘍を検出するための診断測定値が大幅に改善されなかったのに対して、本発明者らは、より低い5-ALA群に対して中濃度の腫瘍PpIXの増大を認めた。
【0083】
本発明者らは、405nmの光によって励起されたとき、結合組織(コラーゲン)が緑色AF(ピーク525nm)によって特徴付けられることを見出した。したがって、高線維でもある壊死区域は、緑色AFによって特徴付けられた。追加として、腫瘍を伴う血管構造の内膜および外膜層内に見られるコラーゲンおよびエラスチンは、明緑色のAFを呈した。健康な組織および腫瘍組織の両方に位置する脂肪細胞において、500nm~600nmの広いAF放射が観察された。これは、リポ色素の広い放射スペクトルによる可能性が高い。撮像デバイスの代替実施形態による巨視的撮像下で、脂肪細胞の広い500~600nmのFL放射特徴は、PpIXから位置確認された腫瘍の狭い赤色(ピーク635nm)のFL放射特徴とは、スペクトル的かつ視覚的に異なる。したがって、PpIXを含む腫瘍細胞は、脂肪質の乳房組織の背景から区別可能である。
【0084】
405nm(例えば、±5nm)の励起を使用し、600~750nmのALA誘起ポルフィリンFLを検出する多スペクトルまたはマルチバンドの蛍光画像を使用して、結合組織、脂肪組織、筋肉、骨、血液、神経、疾患、前癌性、および癌組織を区別することができる。
【0085】
デバイスおよび方法を使用して、切除標本(乳腺腫瘤摘出術、乳房切断術、リンパ節)および/または手術腔の表面または表面直下の顕微鏡的および巨視的な腫瘍病巣(1群の細胞からmmサイズ以上の病変まで)を視覚化することができ、これは、次のことを招くことができる。
【0086】
健康な組織または炎症性もしくは血性組織の背景に対して腫瘍病巣/病変をより良好に視覚化する。
【0087】
従来の方法と比較して、FL撮像を使用して顕微鏡的腫瘍病巣/病変をより速く検出する。
【0088】
臨床医が手術中にFL腫瘍病巣/病変を除去するために、FL画像/ビデオから実時間で視覚的に案内する。
【0089】
FL撮像後のより完全な腫瘍除去を確認する(FL案内手術後のポルフィリンFLの低減またはその欠如は、より多く(またはすべて)の腫瘍が除去されたことを示すことができる)。
【0090】
FL画像を使用して、疑わしい前悪性または悪性組織の生検を実時間で標的とすることができる。
【0091】
FL撮像は、手術中にリンパ節を含むリンパ組織内の巨視的および顕微鏡的な腫瘍病巣/病変を識別することもできる。
【0092】
PpIX赤色蛍光の区域は、リンパ節内に埋まった腫瘍の程度を示す。
外科的処置の間または後に表面下の腫瘍病変を検出する。
【0093】
ポルフィリンFL強度および色に基づいて、低、中、および高分裂指数の腫瘍病変を区別する。
【0094】
音声注釈付きのFL画像およびビデオによって、腫瘍除去の完全性を文書化する。
病理学報告と相関させ、再切除、再構築手術を計画するために使用することができる。
【0095】
FL画像/ビデオを使用して、乳房または他のタイプの癌における焦点X線放射またはブラキセラピーシード治療の注入の治療を計画することができる。
【0096】
顕微鏡的な残存腫瘍病巣/病変を検出することによってマージン評価を改善する。
結合組織FL緑色、前悪性および悪性組織(赤色)。
【0097】
FL撮像は、疾患組織の検出、前記疾患組織の診断、健康な組織の存在の確認、手術の案内(または癌患者の場合は放射もしくは化学療法もしくは細胞療法)の目的で生体外組織および/または手術腔を検査するために、FL点分光法、ラマン分光法および撮像、質量分光測定、ハイパースペクトル撮像、組織病理学、MRI、CT、超音波、光音響撮像、テラヘルツ撮像、赤外FL撮像、OCT撮像、偏光撮像、飛行時間撮像、生物発光撮像、FL顕微鏡法と組み合わせて使用することができる。
予測値および画像データの使用
癌または前癌細胞を識別する能力に加えて、本明細書に開示するデバイスおよび方法の使用によって集められた画像データは、いくつかの目的で使用することができる。
線維症
本開示の一態様によれば、本明細書に開示するデバイスおよび方法を使用して集められた画像データは、線維症の識別に有用となりうる。線維症は、乳房結合組織の肥厚または密度の増大を指す。線維乳房組織は、靱帯、支持組織(ストロマ)、および瘢痕組織を含む。乳房線維症は、特にエストロゲンのレベルにおいて、ホルモン変動によって引き起こされ、月経周期が始まる直前により深刻になる可能性がある。これらの線維組織は、乳房の区域内の脂肪組織より顕著になることがあり、その結果、堅いまたはゴム状の隆起が生じる場合がある。線維症はまた、乳房手術または放射線療法後に現れることもある。乳房は、炎症の発生、タンパクの漏れ、死んだ乳房細胞の除去、および余分の線維組織の貯蔵によって、これらの事象に反応する。線維組織は、閉経後、年齢および線維嚢胞性変化の後退とともにより薄くなる。
【0098】
乳房ALA研究においてPRODIGIカメラによって収集された蛍光RGB画像では、乳房内の結合組織は、緑色蛍光に見える。これは、405nmの光で励起されたときにコラーゲンによって放射される波長を反映すると予期され、コラーゲンは、結合組織の主成分である。したがって、画像内の緑色自家蛍光の特徴付けおよび定量化によって、結合組織の線維症との相関を実行することができる。
【0099】
図19は、ALA乳房検査中の患者の治療中に撮られた第1の例示的な画像である。臨床医は研究において、5パーセント(5%)の線維症の量が、
図19に示す乳腺腫瘤摘出標本内に見られる線維症の百分率に対応すると報告した。
図19に見ることができるように、可視の緑色蛍光の量は、画像内の組織の約5%にほぼ相関する。
【0100】
図20は、ALA乳房検査中の患者の治療中に撮られた第2の例示的な画像である。臨床医は研究において、40パーセント(40%)の線維症の量が、
図20に示す乳腺腫瘤摘出標本内で見られる線維症の百分率に対応すると報告した。
図20に見ることができるように、可視の緑色蛍光の量は、画像内の組織の約40%にほぼ相関する。
【0101】
図21は、ALA乳房検査中の患者の治療中に撮られた第2の例示的な画像である。臨床医は研究において、80パーセント(80%)の線維症の量が、
図21に示す乳腺腫瘤摘出標本内に見られる線維症の百分率に対応すると報告した。
図21に見ることができるように、蛍光画像内で視覚的に観察可能な緑色蛍光の量は、画像内の組織の約80%にほぼ相関する。
【0102】
乳腺腫瘤摘出標本の臨床医検査と撮像組織内の緑色蛍光との間の上記で観察した相関に基づいて、乳房組織のそのような画像を利用して、組織内の線維症の量を予測することが可能である。
図22の流れ図は、画像内の緑色蛍光を定量化し、画像内の緑色蛍光の量を乳腺腫瘤摘出標本内の線維症の百分率に相関させる方法について説明する。カスタム/専有のプログラムは、MATLAB(登録商標)で実行された。この方法は、以下でさらに論じるように、画像内の緑色自家蛍光の百分率、緑色自家蛍光の密度、および平均緑色チャネル強度を判定して線維症の百分率を予測することを含む。この方法は、本開示による手持ち式の撮像デバイス上で実行されるソフトウェアを使用して実行することができ、または別法として、撮像デバイスとは別個のデバイス上で後に実行することができる。
【0103】
本教示によれば、関心RGB画像が入力される。次に、青色で示すように、ソフトウェアは、RGB画像をHSV形式(色相、彩度、および明度)に変換する。また、他の色空間、例えばCMYKおよびHSLを使用することもできることが企図される。他の色空間も同様に可能であることが、当業者には理解されよう。さらに論じるように、HSV形式は、画像内の緑色自家蛍光の百分率および緑色自家蛍光の密度を判定するために使用することができる。次いで、色相、彩度、および明度チャネルが、HSV画像から分離される。色相チャネル内のすべての値に360を掛けて、0度~360度の色相の放射値を取得する。RGB画像上では、MATLABでフリーハンド描画ツールを使用して、関心領域(ROI)を識別することができる。使用者は、画像内の標本切片全体から背景および隣接切片を引いた部分を覆う関心領域を描くことができる。次いで、ソフトウェアは、関心領域のバイナリマスクを作成することができる。次に、ソフトウェアは、画像内のルーラタグを使用してその画像内の各画素の絶対面積を較正して切片全体の面積を判定することによって、関心領域の面積をmm2単位で計算することができる。次いで、ソフトウェアは、自家蛍光性の結合組織によって観察される色相の範囲である色相値(70<色相<170)を閾値処理することによって、自家蛍光性の緑色を有するすべての画素を特定することができる。
【0104】
次に、
図22に黄色で示すように、ソフトウェアは、画像内で閾値処理された色相を有する画素の数を計算し、検出された緑色画素の面積をmm
2単位で計算して、緑色蛍光の面積を判定することができる。次いで、ソフトウェアは、切片全体の面積に対する緑色蛍光の面積の比を計算することによって、全標本切片面積に対する緑色面積の比を計算することができる。この比は、緑色自家蛍光の百分率を提供し、これはサンプル内の画素の数に対応しており、これを使用して、サンプル内の線維症の百分率を判定することができる。
【0105】
図22にピンク色で示すように、システムはまた、画定された関心領域のmm
2ごとの緑色画素の数(色相閾値)を計算することができる。次いで、システムは、関心領域全体における単位面積当たりの緑色画素の平均を計算して、緑色自家蛍光の密度を取得することができる。緑色自家蛍光の密度は、サンプル内の緑色画素の密度に対応しており、これ
を使用して、サンプル内の線維症の百分率を判定することができる。
【0106】
別法として、HSVを使用するのではなく、
図22に緑色で示すように、入力されたRGB蛍光画像を、その対応する赤色、緑色、および青色のチャネルに分離することができる。次いで、ソフトウェアは、関心領域のバイナリマスクを使用して、画像の緑色チャネル内のROIを画定することができる。次に、ソフトウェアは、緑色チャネル関心領域の強度ヒストグラムをマッピングし、緑色チャネル関心領域の平均強度分布を計算して、平均緑色チャネル強度を判定することができる。次いで、ソフトウェアは、この最後のステップを繰り返して、緑色自家蛍光として閾値処理された画素の位置のみで緑色チャネルの平均強度分布を計算し、緑色自家蛍光の平均緑色チャネル強度を判定することができる。緑色自家蛍光の平均緑色チャネル強度は、サンプル内の緑色画素の強度に対応することができ、これを使用して、サンプル内の線維症の百分率を判定することができる。
【0107】
図22に灰色で示すように、ソフトウェアは、緑色自家蛍光の百分率、緑色自家蛍光の密度、および緑色自家蛍光の平均緑色チャネル強度を、臨床医によって評価される標本内の線維症の百分率と相関させることができる。これを使用して、患者内の線維症のパーセントを予測および判定し、適切な診断を患者に提供することができる。例えば、線維症の百分率がより高い女性は、BCS後に不十分な整容的結果を有する可能性がある。
【0108】
線維症に加えて、画像内の色に基づいて、組織の組成または画像内の他のタイプの組織の百分率に関する予測判定を行うことができる。
色
デバイスによって収集された画像は、合成カラー画像として表示される。撮像が蛍光モードで実行されたとき(405nmの照射で500~550nmおよび600~660nmの範囲内の放射光を捕捉する)、合成画像は、緑色光(500~550nm)および赤色光(600~660nm)またはこれらの組合せの放射に起因する色スペクトルを含む。標的から放射される光の波長(色に対応)は、特有の蛍光分子の存在の結果である。例えば、腫瘍内に存在するPpIX(5-ALA代謝の生成物)は、赤色蛍光に見えるのに対して、正常な結合組織の成分であるコラーゲンは、緑色蛍光に見える。異なる蛍光分子の混合物が組織内に存在するとき、その結果として合成画像内に生じる色は、異なる放射波長の組合せによる。標的組織内に存在する各タイプの蛍光分子の濃度/密度および内在蛍光特性(いくつかの蛍光分子は、より強い内在蛍光強度を有する)は、結果として生じる蛍光色に影響を与える。
【0109】
色を使用して、収集された画像内に含まれる異なるタイプの組織の分類を助けることができる。
組織の分類
蛍光色の分析(特徴、例えば色相、光度、彩度などを含む)は、標的組織内の異なる組織のタイプおよび相対量(すなわち、腫瘍と結合組織と標的組織の比率が何であるか)に関する情報を提供することができる。光度は特に、類似の色相を有する組織を光度の差によって視覚的に区別することができる(画像分析によって)ことを条件として、蛍光画像を解釈する際に有用である。例えば、乳房組織標本で、脂肪は淡いピンク色に見えるのに対して、PpIX蛍光腫瘍は、赤色の強度範囲として見える。いくつかの場合、PpIX腫瘍蛍光は、背景の正常な脂肪組織と同じ色相を有するが、光度の違いにより、腫瘍内のPpIXが「より明るく」見える。追加として、画像分析ソフトウェアを使用して、合成画像内で視覚的に知覚可能でない色特性のわずかな違いを計算し、組織組成の違いの解釈または特有の組織成分の存在の識別を行うこともできる。
画像の解釈
蛍光色と組織組成との関係により、使用者は、合成カラー画像/ビデオを解釈することが可能になり(すなわち、使用者は、どのタイプの組織を自身が見ているかが分かる)、
ならびに臨床的決定を案内するために、白色光検査下で普通なら明白でない追加の情報が、使用者に提供される。例えば、標的組織が使用者(例えば、外科医)には明赤色蛍光に見えた場合、使用者は、これはその区域内の腫瘍細胞の密度が高いことを意味すると理解し、手術腔からの追加の組織を除去することによってこの情報に作用することを選ぶことができる。逆に、組織が弱赤色蛍光に見えた場合、使用者は、追加の組織を除去するのではなく、小さい組織片を取って、腫瘍の存在を顕微鏡的に確認することを決定することができる。
【0110】
したがって、この意味で、蛍光の赤さは、組織タイプおよび疾患の存在を予測すると見なすことができる。画像内に含まれる色を見ることに加えて、画像を見ている臨床医、外科医、または他の医療従事者はまた、画像のパターンまたは「テキスチャ」を見ることができる。さらに、関連する単一の色の強度だけでなく、色の組合せもともに、臨床医に情報を提供する。例えば、画像内の緑色の識別は、画像内の正常で健康な結合組織、例えばコラーゲンまたはエラスチンなどの識別子とすることができる。色が形成するパターンもまた、組織の密度に関する表示を提供することができる。例えば、一様でないまたはまだらの緑色は、結合組織の拡散を示すことができるのに対して、一様の緑色は、密性結合組織を示すことができる。同様に、大きい一様の塊の赤色は、病巣の腫瘍または疾患を示すことができるのに対して、画像全体に広がった赤色の点は、多病変疾患を示すことができる。
【0111】
上述したように、互いに対する色の相互作用または位置を見ることで、臨床医に情報を提供することもできる。赤色蛍光および緑色蛍光がともに画像内にあるとき、健康な組織(緑色蛍光)内の疾患(赤色蛍光)の程度を見ることが可能である。さらに、緑色(健康な組織)に対して赤色(疾患)を位置決めすることで、疾患を除去または切除するように介入中に臨床医を案内することができる。赤色および緑色はともに、疾患組織と健康な組織との間の境界を示し、健康な組織の細胞学的組織の状況を提供して、切除を案内することができる。これらの色の組合せはまたともに、介入、例えば切除などの間に、外科医/臨床医にフィードバックを提供する。すなわち、疾患組織が除去または他の方法で破壊されたとき、赤色および緑色の視覚的表現が変化する。赤色が見えなくなり、緑色がより優勢になったとき、外科医は、疾患が除去されているという肯定的フィードバックを受け取り、それにより外科医は、介入の有効性を実時間で評価することが可能になる。これは、例えば、腹腔鏡検査、切除、生検、掻爬、小線源治療、高周波超音波アブレーション、無線周波アブレーション、陽子治療、腫瘍溶解性ウイルス、電界治療、熱アブレーション、光線力学的療法、放射線療法、アブレーション、および/または凍結治療を含む多くのタイプの画像案内介入に適用可能である。
【0112】
画像の色/テキスチャ/パターンを見たとき、臨床医は、組織成分、例えば結合組織、脂肪組織、腫瘍、および良性腫瘍(増殖性病変)などを区別することが可能である。一態様では、臨床医は、健康な組織と疾患組織(緑色と赤色)の全体的な図を得ることができ、次いで、疾患組織内で、赤色蛍光の強度に基づいて(良性=弱い強度、悪性=強い強度)、良性疾患と悪性疾患とを潜在的に区別することができる。識別することができる良性疾患の非限定的な例には、線維性腺腫、過形成、上皮内小葉癌、腺疾患、脂肪壊死、乳頭腫、線維嚢胞症、および乳腺炎が含まれる。
【0113】
赤色および緑色蛍光をともにみることで、生検および掻爬を標的とする際に臨床医を助けることもできる。
【0114】
リンパ節を見たとき、無症候性疾患および/または顕性疾患を識別することが可能となりうる。蛍光画像を使用して、湿潤疾患を含むリンパ系、血管系、および間質空間内で転移性疾患を識別することができる。
【0115】
上記の例に基づいて、多スペクトル画像内に存在する特徴を使用して、組織の分類および介入の有効性の判定を行うことができる。特に、多スペクトル画像内に見られる特徴を使用して、以下を行うことが可能である。
【0116】
・異なる組織タイプを分類する
・撮像組織内に存在または不在の疾患の程度を判定する
・所与の区域のサンプリングを案内する
・診断を行う
・介入への応答に関する予知を行う(蛍光原発腫瘍が除去されたか? リンパ節転移がないか? 事前に知られていなかったリンパ節転移の識別)
・治療計画
・治療を案内するための使用(例えば、前立腺癌に対する放射性シードの計画、放射線治療のための腫瘍の標的化)
・疾患(乳房組織(例えばコラーゲン)の密度)を予測する
・治療に関して患者をトリアージ/階層化し、画像に基づいて継続治療を判定する
本明細書で取得した画像の分析は、本明細書に記載するデバイスまたは別個のプロセッサ上で実行されるソフトウェアによって実行することができる。画像分析および適当なソフトウェアの例は、例えば、内容全体がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている、「Wound Imaging and Analysis」という名称の2018年2月2日出願の米国仮特許出願第62/625,611号、および「Wound Imaging and Analysis」という名称の2019年1月15日出願の国際特許出願第PCT/CA2019/000002号に見ることができる。
【0117】
本出願記載する方法によれば、本出願に開示するデバイスによって収集される多スペクトル画像は、以下を行う能力をもたらすことができる。
【0118】
1.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、異なる組織成分を区別し、撮像視野内の所与の組織成分と他の成分との相対量を判定することができる。
【0119】
2.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、健康な組織と異常な組織とを定性的または定量的に(例えば、相対的な蛍光特徴に基づいて)分類し、ならびに様々な組織タイプの分類/特徴付けを行うことができる。
【0120】
3.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を訓練または教育目的で使用して、使用者による標的の蛍光画像の解釈を改善することができる。
【0121】
4.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、訓練用コンピュータアルゴリズム(例示的な機械学習、ニューラルネットワーク、人工知能)で、上記の項目1および2を自動的に実時間で実現することができる。
【0122】
5.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、PpIXの濃度を(半定量的に)判定することができる。
【0123】
6.PpIX蛍光腫瘍の多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を、線量測定(例えば、光線力学的療法)または腫瘍の治療の計画に使用することができる。
【0124】
7.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、乳房内の線維症を識別することができる。AF結合組織のパターン、強度、分布、拡散率などは、組織の線維症、剛性、および引張り強度のインジケータである。本明細書に開示する多スペクトルまたはマ
ルチバンド蛍光画像は、所与の蛍光特徴の光度に関する情報を提供することができ、使用者はそこから、腫瘍PpIX FLを、類似の色相を有するがルミネセンスのない脂肪組織から区別することができる。
【0125】
8.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光撮像(5-ALAによる)は、撮像組織表面下で、例えば約2.6mm以下の疾患(普通なら臨床的に微量)を検出することが可能である(
図4の原稿参照)。
【0126】
9.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像は、疾患と正常組織との間の色差を提供し、したがってこれらの組織間の境界を画定および視覚化することができる。
【0127】
10.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光を、画像案内生検、外科的切除、またはアブレーションもしくは凍結治療に使用することができる。
【0128】
11.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光を原発腫瘍標本の実時間画像案内切除(例えば、乳腺腫瘤摘出術)に使用して、追加の組織切除の必要および原発腫瘍の解剖のリスクを最小にすることができる。原発腫瘍標本を追加の組織切除に空間的/細胞学的に相関させることは困難である。単一の標本の除去により、乳腺腫瘤摘出表面と手術腔表面との重ね合わせを改善することができる。さらに、原発腫瘍の解剖は、手術腔内の腫瘍細胞の播種および再発リスクの増大に寄与する可能性がある。
【0129】
12.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像は、視野内の非組織成分(例えば、開創器、外科用/血管用クリップ、外科用ツール)を識別することができ、それにより撮像および蛍光案内切除中の空間状況(例えば、暗い室内)の視覚的フィードバックが提供される。
【0130】
13.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、画素、ROI、または視野に基づいて色(例えば、RGB)チャネル、スペクトル成分(例えば、波長ヒストグラム)を抽出する方法。
【0131】
14.抽出された色チャネルを算術的に処理して(例えば、緑色チャネルに対する赤色チャネルの比、アーティファクト/ノイズの低減、ヒストグラムの強化)、生画像内では普通なら知覚できない生物学的特徴(例えば、構造、濃度差、組織区別境界、深さ)を視覚化および/または定量化する方法。
【0132】
15.生画像内では普通なら知覚できない生物学的特徴(例えば、構造、濃度差、組織区別境界、深さ)の視覚化および/または定量化の目的で、多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を代替の色空間(例えば、CIE1931Lab空間)に変換することができる方法。例えば、RGB画像では区別可能でなかったLab空間色に変換することで、Lab空間内で視覚的にも算術的にも区別可能にすることができる。
【0133】
16.多スペクトルまたはマルチバンド蛍光画像を使用して、デバイスの指定の焦点範囲内の焦点距離で、手動/自動で画定されたROI(例えば、標本全体、緑色AFの区域)の面積、または手動/自動で画定されたROIもしくは組織区別境界間の距離(例えば、連続して薄切した標本上の赤色蛍光腫瘍病巣と標本マージンとの距離)を含むサイズを、定量的に測定することができる。
【0134】
17.カメラの視野内に物理的または光学的較正タグが配置される方法。
本開示の別の態様によれば、開示する手持ち式の多スペクトルデバイスによって取得した蛍光画像を定量化する方法(
図23の第1の方法)が開示される。追加として、開示す
る手持ち式の多スペクトルデバイスによって取得した蛍光画像の精度を判定する方法(
図23の第2の方法)も開示される。これらの方法は、
図23の流れ図に示されている。これらの方法は、例えば、HALO撮像ソフトウェア上で実行される。他のよく知られているソフトウェアを使用することができることも企図される。
【0135】
蛍光画像を定量化する方法(本明細書では、第1の方法と呼ぶ)について最初に論じ、
図23内で識別される様々なステップを参照する。第1の方法は、
図23に示すように、撮像ソフトウェア内に、患者の組織生検材料のデジタル区間を入力するステップを含み、したがって組織が組織染料、例えばヘマトキシリン-エオシン染料(H&E染料)で染色され、患者は手術前に5-ALAを受けた(ステップ1)。
【0136】
例えば、
図23の第1の方法では、乳腺腫瘤摘出術前に5-ALAを受けた患者において、乳腺腫瘤摘出標本から腫瘍生検材料がまず除去される。生検材料、例えばコア生検材料は、例えば手持ち式デバイスによる撮像中に赤色に蛍光した区域から得られ、これはポルフィリンを含む組織(すなわち、腫瘍)が存在することを示す。次いで、腫瘍生検材料の1つまたは複数の部分が、H&E染料によって染色され、処理されて1つまたは複数のデジタル画像になる。以下でさらに論じるように、撮像ソフトウェアは、デジタル画像を分析して、腫瘍生検材料を定量化する。例えば、ソフトウェアは、腫瘍生検材料が、40%の腫瘍組織、10%の脂肪組織、10%の結合組織、および40%の他の組織を含むと判定することができる。これにより、使用者は、生検材料内の各タイプの組織の特有の量を判定することによって、腫瘍生検材料を定量化することが可能になる。これにより、手持ち式デバイスによって撮像されたときに赤色に蛍光した区域内に腫瘍が存在したという確認が可能になる。
【0137】
図23に示すように、第1の方法のステップ2および3で、使用者は、撮像ソフトウェア内の所望のファイルを開き、次いで、例えば撮像ソフトウェア内の組織分類モジュールを開く。組織分類モジュール内で、1つまたは複数の特有の組織カテゴリを選択することができる(ステップ4)。例示的な組織カテゴリには、例えば、腫瘍組織、脂肪組織、結合組織、背景非組織、および炎症組織が含まれる。次いで、撮像ソフトウェアは、選択された組織カテゴリに基づいて、組織サンプルを評価する。
【0138】
図23のステップ5~8に示すように、撮像ソフトウェアを洗練/改善して、より正確なプログラムを提供することができる。例えば、使用者は、選択された組織カテゴリのそれぞれに対応してH&Eで染色された組織サンプルの特有の区域を強調することができる(ステップ5)。これにより、特有の組織タイプを識別するための撮像ソフトウェアの訓練を助けることができる。例えば、使用者は、H&Eで染色された組織サンプル内の結合組織を強調して、撮像ソフトウェアによるあらゆる結合組織の識別を助けることができる。
【0139】
撮像ソフトウェアはまた、使用者が、実時間調整を介して、撮像ソフトウェアによる組織サンプルの分類を修正することを可能にすることができる。例えば、使用者は、撮像ソフトウェアによる組織サンプルの分類を見ることができる(ステップ6)。一例では、撮像ソフトウェアは、組織サンプル内の区域を結合組織を含むものとして、残りの区域を背景非組織として分類することができる。次いで、使用者は、誤って分類された組織学的に正常な構造の周りに関心領域(ROI)を作成することができる(ステップ7)。例えば、使用者は、結合組織として分類された区域のうち、実際には背景非組織である1つまたは複数の部分を識別することができる。したがって、使用者は、撮像デバイスがこれらの部分を結合組織として誤って分類した1つまたは複数の区域を識別することができる。そのような識別を使用して、撮像デバイスを洗練/改善し、正確に識別する組織内のその精度を改善することができる。使用者はまた、組織サンプル内で追加の関心区域を強調して
、各組織カテゴリの精度をさらに洗練/改善することができる(ステップ8)。
【0140】
図23の第1の方法のステップ9で、使用者は、組織分類モジュールを撮像ソフトウェア内で実行することができる。したがって、撮像ソフトウェアは、デジタル画像(例えばH&Eで染色された組織)を分析して、異なる組織成分を定量化することができる。上記で論じたように、これにより、使用者は、腫瘍生検材料内の異なる組織成分を判定することが可能になる。したがって、例えば腫瘍生検材料を切除組織標本から除去することができる。腫瘍生検材料の1つまたは複数の部分をH&E染料で染色し、処理してデジタル画像にすることができる。これらの1つまたは複数の部分は、開示する多スペクトルデバイスからの蛍光放射の検出された区域に基づくことができる。例えば、より大きいパーセントの赤色蛍光(癌組織)を有する腫瘍生検材料の一部分を、デジタル区間画像のために処理することができる。次いで、ソフトウェア(
図23のステップ9)は、デジタル画像を分析して、腫瘍生検材料の部分内の特有の組織成分(およびその数量)を判定することができる。したがって、ソフトウェアは、より大きいパーセントの赤色蛍光を有する腫瘍の部分が、平均以上の量の脂肪組織を有すると判定することができる。腫瘍生検材料内の異なる組織成分を定量化することによって、使用者は、腫瘍についてより良好に研究および理解することができる(例えば、腫瘍がどのように患者の健康に影響を与えているか)。
【0141】
撮像デバイスは、ステップ9(第1の方法)で、組織サンプルの特有の部分のみ、例えば組織サンプル内の特有の関心領域で分析を実行することができることも企図される。いくつかの実施形態では、関心領域は、組織サンプルの特定の区域、すなわち例えば全組織サンプルの約3分の1のサイズとすることができる。他の実施形態では、関心領域は、組織サンプルのうち、撮像面から特有の距離内の区域とすることができる。
【0142】
撮像ソフトウェアは、
図23(ステップ10)の選択された組織カテゴリのそれぞれに対する面積値(例えば、mm
2)を抽出することができる。例えば、第1の方法の場合、ソフトウェアは、組織サンプル内の選択された組織カテゴリのそれぞれの面積値を判定することができる。次いで、ソフトウェアは、組織サンプル内の特有の組織成分の相対パーセントを計算することができる(ステップ11)。
【0143】
図23の第2の方法では、以下でさらに論じるように、撮像ソフトウェアを使用して、H&E染料によって検出された組織と、開示する多スペクトルデバイスによって検出されたものとを比較することもできる。次いで、撮像ソフトウェアは、この比較に基づいて、開示する多スペクトルデバイスの精度を判定することができる。この場合、デジタル画像区間に使用されるサンプルのタイプは異なってもよい。例えば、コアサンプルを得るのではなく、ホールマウントプロセスを使用することができる。これにより、染色された組織サンプルと手持ち式の撮像デバイスを使用して撮像された組織サンプルとの間の1対1または画素対画素の比較が可能になる。例えば、撮像ソフトウェアは、同じ組織サンプル内で、H&E染料でピンク色に染色された結合組織と、開示する多スペクトルデバイスによって検出された緑色自家蛍光とを比較する。上記で論じたように、緑色自家蛍光の存在および量は、組織サンプル内の結合組織の存在および量を表すことができる。次いで、撮像ソフトウェアは、ピンク色染料(H&E染料から)と緑色自家蛍光(開示する多スペクトルデバイスから)とを比較することによって、開示する多スペクトルデバイスの精度を判定することができる。
【0144】
開示する手持ち式の多スペクトルデバイスによって取得された蛍光画像の精度を判定する方法(
図23の第2の方法)について、
図23内で識別された様々なステップを参照して次に論じる。第2の方法は、
図23に示すように、撮像ソフトウェア内に、切除組織標本、例えば乳癌手術中に除去された乳腺腫瘤摘出組織標本などの組織生検材料のデジタル区間を入力するステップを含む。上述したように、ホールマウント染色を使用することが
できる。デジタル組織区間は、組織染料、例えばヘマトキシリン-エオシン染料(H&E染料)で染色された組織のものである。さらに、デジタル組織区間は、本明細書に開示する手持ち式の撮像デバイスによって撮像された組織から得た生検のものであり、患者は、手術前に5-ALAを受けた(ステップ1)。
【0145】
図23に示すように、第2の方法のステップ2および3で、使用者は、撮像ソフトウェア内の所望のファイルを開き、次いで、例えば撮像ソフトウェア内の組織分類モジュールを開く。組織分類モジュール内で、1つまたは複数の特有の組織カテゴリを選択することができる(ステップ4)。例示的な組織カテゴリには、例えば、腫瘍組織、脂肪組織、結合組織、背景非組織、および炎症組織が含まれる。次いで、撮像ソフトウェアは、選択された組織カテゴリに基づいて、組織サンプルを評価する。
【0146】
図23のステップ5~8に示すように、撮像ソフトウェアを洗練/改善して、より正確なプログラムを提供することができる。例えば、使用者は、選択された組織カテゴリのそれぞれに対応してH&Eで染色された組織サンプルの特有の区域を強調することができる(ステップ5)。これにより、特有の組織タイプを識別するための撮像ソフトウェアの訓練を助けることができる。例えば、使用者は、H&Eで染色された組織サンプル内の結合組織を強調して、撮像ソフトウェアによるあらゆる結合組織の識別を助けることができる。
【0147】
撮像ソフトウェアはまた、使用者が、実時間調整を介して、撮像ソフトウェアによる組織サンプルの分類を修正することを可能にすることができる。例えば、使用者は、撮像ソフトウェアによる組織サンプルの分類を見ることができる(ステップ6)。一例では、撮像ソフトウェアは、組織サンプル内の区域を結合組織を含むものとして、残りの区域を背景非組織として分類することができる。次いで、使用者は、誤って分類された組織学的に正常な構造の周りに関心領域(ROI)を作成することができる(ステップ7)。例えば、使用者は、結合組織として分類された区域のうち、実際には背景非組織である1つまたは複数の部分を識別することができる。したがって、使用者は、撮像デバイスがこれらの部分を結合組織として誤って分類した1つまたは複数の区域を識別することができる。そのような識別を使用して、撮像デバイスを洗練/改善し、正確に識別する組織内のその精度を改善することができる。使用者はまた、組織サンプル内で追加の関心区域を強調して、各組織カテゴリの精度をさらに洗練/改善することができる(ステップ8)。
【0148】
図23の第2の方法のステップ9で、ソフトウェアは、選択された組織カテゴリの状況において、H&E染料および緑色自家蛍光に対して組織サンプルを比較することができる。この方法では、ソフトウェアは、組織サンプルを比較して、開示する手持ち式の多スペクトルデバイスによって取得された蛍光画像の精度を判定する。一例では、使用者が結合組織の組織カテゴリを選択した場合、H&E染色組織内でソフトウェアによって検出される結合組織の量が、蛍光組織内のソフトウェアによって検出された結合組織の量と比較される(
図23のステップ9)。次いで、この比較を使用して、開示する手持ち式の多スペクトルデバイスが組織サンプル内の結合組織を十分に捕捉したかどうかを判定する。または言い換えれば、H&E染料で染色されたとき、同じサンプル内(画素分析による画素内)の組織タイプを判定することによって、特定の組織タイプに対応すると理解される所与の色の蛍光の量を相関させることができるかどうかを判定する。
【0149】
撮像デバイスは、ステップ9(第2の方法)で、組織サンプルの特有の部分のみ、例えば組織サンプル内の特有の関心領域で分析を実行することができることも企図される。いくつかの実施形態では、関心領域は、組織サンプルの特定の区域、すなわち例えば全組織サンプルの約3分の1のサイズとすることができる。他の実施形態では、関心領域は、組織サンプルのうち、撮像面から特有の距離内の区域とすることができる。
【0150】
撮像ソフトウェアは、
図23の第2の方法(ステップ10)では、選択された組織カテゴリのそれぞれに対する面積値(例えば、mm
2)を抽出することができる。第2の方法の場合、撮像ソフトウェアは、H&E染料で識別された結合組織に対する第1の面積値と、開示する多スペクトルデバイスによって識別された結合組織に対する第2の面積値とを計算することができる。撮像ソフトウェアは、H&E染料で識別された腫瘍組織に対する第3の面積値と、開示する多スペクトルデバイスによって識別された腫瘍組織に対する第4の面積値とをさらに計算することができる。次いで、撮像ソフトウェアは、計算された面積値を使用して、開示する多スペクトルデバイスの精度を判定することができる(ステップ11)。例えば、撮像ソフトウェアは、第1および第2の面積値を使用して、H&E染料および開示する多スペクトルデバイスによって識別された結合組織のパーセントを判定することができる。したがって、撮像ソフトウェアは、例えば、H&E染料が、組織サンプルが45%の結合組織を含むことを示し、開示する多スペクトルデバイスが、組織サンプルが45%の結合組織を含むことを示すと判定することができる。この例では、次いで、撮像ソフトウェアは、結合組織を識別するその判定において、開示する多スペクトルデバイスが正確であると判定することができる(第1の面積値が第2の面積値に等しいため)。
【0151】
別の例では、撮像ソフトウェアは、例えば、H&E染料が、組織サンプルが35%の結合組織を含むことを示し、開示する多スペクトルデバイスが、組織サンプルが25%の結合組織を含むことを示すと判定することができる。この例では、次いで、撮像ソフトウェアは、結合組織を識別するその判定において多スペクトルデバイスが正確ではなく、洗練を必要とし、または撮像ソフトウェア自体が、結合組織を識別する判定において、洗練を必要とすると判定することができる(第1の面積値が第2の面積値に等しいため)。
【0152】
上記で論じたように、組織サンプル内の各組織カテゴリのパーセントを判定するために、撮像デバイスは、面積値を使用することができる。例えば、所与の組織カテゴリの相対百分率を計算するために、撮像デバイスは、その組織カテゴリの面積値を、正常組織として分類された面積で割ることができる。上記で論じたように、正常組織として分類された面積はまた、使用者によって正常組織として特別に識別された関心領域を含むこともある。
【0153】
撮像デバイスはまた、上記で論じたように、面積値を使用して、2つの成分の比を判定することができる。例えば、結合組織に対する腫瘍組織の比を判定することができる。したがって、撮像デバイスは、腫瘍組織として分類された組織の面積値を、結合組織として分類された組織の面積値で割ることができる。
【0154】
上記で論じたように、H&E染料からのデータは、蛍光画像と比較/相関される(ステップ12)。これを使用して、開示する多スペクトルデバイスの精度を判定することができる。したがって、使用者は、多スペクトルデバイスが腫瘍組織の存在および量を正確に検出したが、結合組織の存在および/または量の正確な検出に失敗したと判定することができる。これは、多スペクトルデバイスの洗練に役立つことができる。
【0155】
開示する多スペクトルデバイスは、デバイスの光学フィルタを変えることによって洗練することができる。例えば、光学フィルタの伝送帯域を変更して、検出される蛍光を変えることができる。これにより、例えば、より少ない緑色蛍光を見ることが可能になり、これは、生検材料内の結合組織の実際の存在により正確に相関することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、開示する撮像デバイスは、例えばピンク色がかった茶色の蛍光放射を生じさせる脂肪組織とともに使用することができる。この例では、使用者は、脂
肪組織の組織カテゴリを選択するはずである。他の実施形態では、組織カテゴリ、例えば血液および異常な組織(例えば、腫瘍、癌細胞、病変、良性腫瘍、および増殖性病変)などを選択することができる。
【0157】
第1の組織カテゴリが選択された後、使用者は、第2の組織カテゴリを選択することができる。次いで、撮像ソフトウェアは、第2の組織カテゴリに対して新しい第1の面積値および新しい第2の面積値を生じさせるはずである。次いで、ソフトウェアは、第1および第2の面積値に関して上記で論じたように、新しい第1の面積値と新しい第2の面積値とを比較することができる。
【0158】
開示する撮像ソフトウェアにより、使用者は、使用者による高レベルの専門技術なしに、多スペクトルデバイスが洗練を必要とするかどうかを判定することが可能になることも企図される。したがって、撮像デバイスは、多スペクトルデバイスが洗練を必要とするかどうかを判定するための容易な自動システムを提供する。
【0159】
撮像ソフトウェアは、開示する多スペクトルデバイス以外の他のデバイスとともに使用することができる。したがって、撮像デバイスを様々なデバイスとともに使用して、デバイスの精度、および洗練を必要とするかどうかを判定することができる。
【0160】
図23のステップを入れ替えて、本明細書に開示したもの以外の順序で適用することができることが企図される。追加として、1つまたは複数のステップを省略することができる。
【0161】
本開示の別の態様によれば、カラーコントラストを定量化する方法が開示される。例えば、この方法を使用して、腫瘍組織と正常組織との間の蛍光色コントラストを定量化することができる。したがって、腫瘍組織の平均色強度が、正常組織の平均色強度と比較される。いくつかの実施形態では、この方法を使用して、結合組織の異なる強度間の蛍光色コントラストを定量化することができる。したがって、結合組織の第1の区域の平均色強度が、結合組織の第2の区域の平均色強度と比較される。そのようなカラーコントラストは、使用者の目で知覚されたときは信頼できない可能性がある。例えば、第1および第2の区域の両方が、そのように類似した緑色自家蛍光を有することがあり、使用者の目は、これら2つの区域間の色の違いを見分けることができない。したがって、
図24の方法は、そのようなカラーコントラストを識別するための正確なプロセスを提供する。
図24の方法を使用して、H&E染色組織サンプルとのカラーコントラストを定量化することもできる。
【0162】
この方法は、
図24の流れ図に示されている。この方法は、例えばMATLABソフトウェアを使用して、専有/カスタムのソフトウェア上で実行することができる。MATLABの代わりに、他のよく知られているソフトウェアを使用することができることも企図される。
【0163】
図24のステップ1に示すように、この方法は、撮像ソフトウェア内へ、RGB画像、例えばRGB蛍光画像を入力することを含む。したがって、RGB蛍光画像は、上記で論じたように、緑色および/または赤色蛍光を含む組織サンプルの画像とすることができる。次に、ステップ2で、撮像ソフトウェアは、RGB画像をデータセットに変換して、画像に対する3刺激値を取得することができる。例えば、撮像ソフトウェアは、RGB画像を色度図(CIE表色系)のXYZ値に変換して、RGB画像内の各画素の空間位置を提供することができる。
【0164】
撮像ソフトウェアはまた、組織サンプル内の関心領域(ROI)を表示することができ
る(ステップ3)。例えば、関心領域は、使用者が、組織の対応する白色光画像上で区切ることができる。次いで、撮像ソフトウェアは、RGB画像内にこの同じ関心領域を表示することができる。一例では、関心領域は、高レベルの結合組織または腫瘍組織を含む特有の区域とすることができる。別の例では、関心領域は、腫瘍組織および正常組織の両方を含むことができる。2つ以上の関心領域を使用することができることも企図される。
【0165】
図24のステップ4に示すように、使用者は、撮像ソフトウェア上のフリーハンド描画ツールによって、関心領域を手動で画定/再画定することができる。これにより、使用者は、特有の用途に対して関心領域を修正および調整することが可能になる。
【0166】
ステップ5で、撮像ソフトウェアは、RGB画像のバイナリマスクを作成することができる。以下でさらに論じるように、バイナリマスクを使用して、RGB画像からXYV値を判定することができる。バイナリマスクは、関心領域によって指定された区域のみに対して作成することができる。次に、撮像ソフトウェアは、平均RGB値および平均XYZ値を計算することができる(ステップ6)。例えば、撮像ソフトウェアは、結合組織の緑色蛍光部分の平均RGB値および対応するXYZ値を作成することができる。平均値は、例えば、関心領域内の平均緑色強度とすることができ、平均XYV値は、例えば、対応する3刺激値とすることができる。
【0167】
次に、ステップ7で、撮像ソフトウェアは、ステップ6で計算された3刺激値から、平均「x」および「y」パラメータを導出することができる。「x」の値は、式:x=X/(X+Y+Z)に応じて計算することができ、「y」の値は、式:y=Y/(X+Y+Z)に応じて計算することができる。ステップ8で、使用者は、「x」および「y」座標を色度図上に描いて、指定の組織サンプルの平均色を表すことができる。例えば、指定の組織サンプルは、色度図上で520nmの波長を有する緑色蛍光色を有することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、撮像ソフトウェアは、2つの「x」および「y」座標を色度図上に作成することができる。2つの座標は、同じ組織サンプルから発生することができ、したがって一方の座標が、腫瘍組織に相関し、他方の座標が、正常組織に相関する。他の実施形態では、一方の座標が、腫瘍の第1の区域内の腫瘍組織に相関することができ、他方の座標が、同じ腫瘍の第2の区域内の腫瘍組織に相関する。
【0169】
次いで、ステップ9に示すように、撮像ソフトウェアは、2つの座標をベクトルで接続することができる。一例では、色度図上で、第1の座標は520nmの波長(緑色)を有し、第2の座標は640nmの波長(赤色)を有する(したがって、これらの座標はそれぞれ健康な組織および腫瘍組織を表す)。ベクトルが、これら2つの座標を接続することができる。次いで、ステップ10で、撮像ソフトウェアは、第1および第2の座標間のユークリッド距離ベクトルを測定することができる。ユークリッド距離ベクトルは、RGB画像内の緑色蛍光色と赤色蛍光色との間のカラーコントラストに関する表示を提供することができる。したがって、ユークリッド距離ベクトルは、緑色(正常組織)と赤色(腫瘍組織)との間のカラーコントラストを定量化するための方法/システムを提供する。これにより、使用者は、健康な組織と比較すると、標本内の正常組織を容易に判定することが可能になる。追加として、これにより、使用者は、この違いを定量化することが可能になる。より大きい違いは、より高密度の腫瘍組織を示すことができるのに対して、より小さい違いは、より低密度の腫瘍組織を示すことができる。追加または別法として、より大きい違いは、患者内のALAの用量がより大きいことを示すことができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、第1および第2の座標はどちらも、腫瘍組織を表すことができる。したがって、第1の座標は、色度図上に640nmの波長を有することができ、第2の座標は、色度図上に700nmの波長を有することができる。したがって、第2の座
標は、第1の座標より暗い赤色の外観を有する組織に相関することができる。これら2つの座標間のユークリッド距離ベクトルにより、使用者は、カラーコントラストが2つのサンプル間に実際に存在することを確認することが可能になる(使用者の視覚のみに基づいて確かめるのは難しい可能性がある)。より具体的には、ユークリッド距離ベクトルは、2つの組織サンプルが実際には異なる濃淡の赤色であることを確認することができる。追加として、ユークリッド距離ベクトルに基づいて、撮像ソフトウェアは、より暗い濃淡の赤色を有する組織サンプル(第2の座標)が、より明るい濃淡の赤色を有する組織サンプル(第1の座標)より高密度の腫瘍細胞を有すると判定することができる。これにより、使用者は、1つまたは複数の指定区域内の腫瘍細胞の相対密度を定量的に判定することが可能になる。いくつかの例では、より明るい濃淡の赤色を有する組織サンプルは、良性の組織に対応することができるのに対して、より暗い濃淡の赤色を有する組織サンプルは、悪性の組織に対応することができる。したがって、撮像システムにより、使用者は、組織サンプルが良性であるか、それとも悪性であるかを、定量的に判定することが可能になる。
【0171】
図24のステップ11に示すように、方法は、制御群、低用量ALA群、および高用量ALA群に対して、上記のステップのすべてを繰り返すことをさらに含むことができる。次いで、撮像ソフトウェアは、上記(ステップ12)で論じたように、各群によって、一例として腫瘍および正常組織に対する平均「x」および「y」の値を計算することができる。次いで、撮像ソフトウェアは、上記で論じたように、平均腫瘍組織と平均正常組織との間のユークリッド距離ベクトルを計算することができる。
【0172】
ステップ13で、撮像システムは、
図25に示すように、3つの群(制御群、低用量ALA、および高用量ALA)のそれぞれに対する色度図を出力することができる。各色度図は、各群内の平均腫瘍色と平均正常組織色との間の距離を示すベクトルによって接続された2つの点を含むことができる。次いで、使用者は、3つの群に対する色度図を比較して、違いを定量的に評価することができる。
【0173】
図24のステップを入れ替えて、本明細書に開示したもの以外の順序で適用することができることが企図される。追加として、1つまたは複数のステップを省略することができる。
【0174】
本開示は、外科的マージン上の腫瘍および/または残存癌細胞の術中または生体外の視覚化のための様々な例示的なデバイス、システム、および方法を提供することが、本開示の利益を有する当業者には理解されよう。本説明を読めば、本開示の様々な態様のさらなる修正形態および代替実施形態が、当業者には明らかであろう。
【0175】
さらに、デバイスおよび方法は、説明および/または動作が分かりやすいように図面から省略された追加の構成要素またはステップを含むことができる。したがって、本説明は、単なる説明であると解釈されるべきであり、本開示を実施する一般形態を当業者に教示することを目的とする。本明細書に図示および記載する様々な実施形態は、例示的であると見なされるべきであることを理解されたい。すべて本明細書の説明の利益を得た後に当業者には明らかになるように、要素および材料、ならびにそれらの要素および材料の配置は、本明細書に図示および記載したものを置き換えることができ、部分およびプロセスを逆にすることができ、本開示の特定の特徴を独立して利用することができる。その均等物を含めて、本開示および以下の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する要素に変更を加えることができる。
【0176】
本明細書に記載する特定の例および実施形態は非限定的であり、本開示の範囲から逸脱することなく、構造、寸法、材料、および方法に修正を加えることができることを理解さ
れたい。
【0177】
さらに、本説明の術語は、本開示を限定することを意図したものではない。例えば、空間的な相対用語、例えば「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(upper)」、「底部(bottom)」、「右(right)」、「左(left)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、「前(front)」、などは、図に示す1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用することができる。これらの空間的な相対用語は、図面に示す位置および向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる位置(すなわち、場所)および向き(すなわち、回転位置)を包含することを意図したものである。
【0178】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的で、別途指示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される数量、百分率または比率、および他の数値を表すすべての数字は、すべての事例において、すでにそうなっていない場合でも、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、逆の内容が指示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示によって取得したいと考える所望の特性に応じて変動しうる近似である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数字に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0179】
本開示の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似であるにもかかわらず、特有の例に記載の数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定に見られる標準偏差に起因する特定の誤りを必然的に含む。さらに、本明細書に開示するすべての範囲は、その中に含まれるあらゆる下位範囲を包含することを理解されたい。
【0180】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形の「a」、「an」、および「the」、ならびにあらゆる単語のあらゆる単数形の使用は、1つの指示対象に明示的かつ明快に限定されない限り、複数の指示対象も含むことに留意されたい。本明細書では、「含む(include)」という用語およびその文法的変種は、非限定的であることが意図され、したがって一覧内の項目の記載は、記載の項目に対して置換えまたは追加することができる他の同様の項目を除外するものではない。
【0181】
本開示について、その様々な例示的な実施形態に対して詳細に記載したが、そのように限定されると見なされるべきではなく、包含される均等物を含む添付の特許請求の範囲の広い範囲から逸脱することなく、多数の修正が可能であることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的マージン内の前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つを視覚化するための手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの作動方法であって、
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスは、
使用者の手の中に保持されるように構成された第1の端部および外科的マージン上へ光を誘導するように構成され、および手術腔内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成された第2の端部を有する本体と、
前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の誘起ポルフィリンの蛍光放射を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、前記少なくとも1つの励起光源は、前記本体の前記第2の端部中に、または前記本体の前記第2の端部上に位置決めされ、
反射された励起光の通過を防止するが、組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に対応する波長を有する放射の通過は許可するように構成されたフィルタと、
撮像レンズと、
前記外科的マージンのフィルタにかけられた前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出するように構成された画像センサと、
検出された前記放射を受け取り、前記外科的マージンのフィルタにかけられて検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサとを収容し、
前記手持ち式の白色光および蛍光ベースの撮像デバイスの遠位端が、外科的マージンに隣接する手術腔内で少なくとも部分的に位置決めされた場合、前記手持ち式の撮像デバイスの遠位端に隣接して配置された少なくとも1つの励起光源は、前記外科的マージンを照射して癌組織細胞内のポルフィリンを誘起するように構成された化合物の投与により前記外科的マージンの組織細胞において誘起されたポルフィリンからの蛍光を励起し、
前記少なくとも1つの励起光源による前記外科的マージンへの照射に応答して、前記手持ち式の撮像デバイスの画像センサは、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および前記組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射を検出し、
前記手持ち式のデバイスのプロセッサが、前記撮像デバイスの前記画像センサから前記自家蛍光放射を受けとった場合、前記手持ち式のデバイスのプロセッサは、前記外科的マージンの前記組織細胞内で検出された前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の位置、量または強度を示すデータを出力する、方法。
【請求項2】
前記化合物は、非活性の非標的造影剤、単一モード造影剤、または多モード造影剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物は、5-アミノレブリン酸である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記手持ち式デバイスの前記遠位端が位置決めされた場合、前記外科的マージンに接触することなく、前記手持ち式デバイスの前記遠位端は、前記外科的マージンに隣接して位置決めされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの励起光源は、約375nm~約430nmの波長および/または約550nm~600nmの波長を有する光を放射する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの励起光源は、約405nmの波長を有する光を放射する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの励起光源は、約572nmの波長を有する光を放射する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの励起光源は、約375nm~約430nmまたは約405nmの波長を有する第1の励起光を放射する第1の励起光源と、約550nm~約600nmまたは約572nmの波長を有する第2の励起光を放射する第2の励起光源とを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の励起光源および前記第2の励起光源は、同時にまたは順次動作する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記外科的マージンの組織細胞によって吸収され、前記外科的マージンの組織細胞を標的とし、前記外科的マージンの組織細胞内に含まれた、近赤外染料および/または赤外染料の蛍光は検出される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記近赤外染料および/または前記赤外染料は、癌組織細胞および/または血管によって吸収されるように構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
約700nm~約850nm、約760nm~約800nm、または約760nmの波長を有する第3の励起光を放射する第3の励起光源をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記自家蛍光放射および前記蛍光放射は、フィルタにかけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記手持ち式デバイスの少なくとも1つのスペクトル波長フィルタ機構によって、反射された励起光の通過を防止するが、前記外科的マージンの組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光に対応する波長を有する放射の通過は許可される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
誘起された赤外または近赤外蛍光に対応する波長を有する放射の通過は、さらに許可される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
約450nm~約500nm、約500nm~約550nm、約550nm~約600nm、約600nm~約660nm、および/または約660nm~約710nmの波長を有する放射の通過は、さらに許可される、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
約700nm~約1ミクロンまたは約700nm~約750nmおよび約800nm~約1ミクロンの波長を有する放射の通過は許可される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
外科的マージンを評価する方法であって、
外科的マージンの組織細胞内で既に検出された誘起ポルフィリンの蛍光放射の存在または量に基づいて、前記外科的マージンに前癌細胞、癌細胞、および衛星病変のうちの少なくとも1つが実質上ないかどうかを判定することを含む、方法。
【請求項19】
前記外科的マージンの組織細胞内で既に検出された誘起ポルフィリンの蛍光放射の存在または量を受け取り、前記外科的マージンの前記組織細胞のフィルタにかけられて検出された自家蛍光放射および組織細胞内の前記誘起ポルフィリンの蛍光放射に関するデータを出力するように構成されたプロセッサを用いる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記外科的マージンの前記組織細胞内で既に検出された前記誘起ポルフィリンの蛍光放射の位置、量または強度を示すデータを出力するように構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記外科的マージンの組織細胞内で既に検出された誘起ポルフィリンの蛍光放射の存在または量を受け取り、前記外科的マージンのフィルタにかけられて検出された前記組織細胞の自家蛍光放射および組織細胞内の約600nm~約660nmの蛍光放射に関するデータを出力するように構成される、請求項20に記載の方法。
【外国語明細書】