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特開2024-37199情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037199
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141829
(22)【出願日】2022-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】一ノ宮 弘樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】高い収益性を実現するための情報を提供できる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電池110等の蓄電部における充放電の運用計画、発電部120における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理部10と、前記運用計画を出力する出力部80と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理部と、
前記運用計画を出力する出力部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、蓄電部の運用設定を用いて前記一次的な運用計画を修正する第一修正部と、を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、需要実績値に基づいて前記一次的な運用計画を修正する第二修正部と、を有する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運用計画に基づいて予測収益を算出する収益算出部であって、前記需要予測値と前記需要実績値との差から、当該差が大きくなった場合又は小さくなった場合における予測収益を算出する収益算出部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、インバランス価格を用いて前記一次的な運用計画を修正する第三修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、容量拠出金が発生すると予測される時間帯に関する情報を用いて前記一次的な運用計画を修正する第四修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、放電指令が発生すると予測される時間帯に関する情報を用いて前記一次的な運用計画を修正する第五修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
処理部によって、ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する工程と、
出力部によって、前記運用計画を出力する工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置にインストールするためのプログラムであって、
プログラムがインストールされた情報処理装置に、
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理機能と、
前記運用計画を出力する出力機能と、
を実現させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電力市場による効率的な電力調整を提供することが試みられている。例えば特許文献1では、配電系統から供給される電力を消費する総需要家群に含まれている、蓄電池が設けられた第1の需要家群の蓄電池を制御することで、電力の需要調整を行う電力管理装置が提案されている。特許文献1の第1の取得部は電力市場から調達された単位時間毎の電力量を取得し、第2の取得部は一日の開始時刻に第1の需要家群の蓄電池の充電量を取得するようになっている。また第1の算出部は需要予測電力量と供給可能な電力量とに基づいて、単位時間毎に指示を行う充放電指示値を算出し、第2の算出部は充放電指示値と一日の開始時刻における蓄電池の充電量とに基づいて充電池の充放電制御を行った場合に、蓄電池の蓄電量が第1の閾値を下回る場合には不足電力量を算出し、第2の閾値を上回る場合には余剰電力量を算出する。時刻特定部は、第1の閾値を下回る場合には第3の閾値を超えない購入予定時刻を特定し、第2の閾値を上回る場合には第4の閾値を下回らない売却予定時刻を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す態様では、電力市場における電力調整をある程度行うことができるかもしれないが、利用者において、高い収益性を実現するための情報を十分に提供できていない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、高い収益性を実現するための情報を提供できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による情報処理装置は、
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理部と、
前記運用計画を出力する出力部と、を備えてもよい。
【0007】
[概念2]
概念1による情報処理装置において、
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、蓄電部の運用設定を用いて前記一次的な運用計画を修正する第一修正部と、を有してもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2による情報処理装置において、
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、需要実績値に基づいて前記一次的な運用計画を修正する第二修正部と、を有してもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる情報処理装置において、
前記運用計画に基づいて予測収益を算出する収益算出部であって、前記需要予測値と前記需要実績値との差から、当該差が大きくなった場合又は小さくなった場合における予測収益を算出する収益算出部を有してもよい。
【0010】
[概念5]
概念1乃至4のいずれか1つによる情報処理装置において、
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、インバランス価格を用いて前記一次的な運用計画を修正する第三修正部を有してもよい。
【0011】
[概念6]
概念1乃至5のいずれか1つによる情報処理装置において、
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、容量拠出金が発生すると予測される時間帯に関する情報を用いて前記一次的な運用計画を修正する第四修正部を有してもよい。
【0012】
[概念7]
概念1乃至6のいずれか1つによる情報処理装置において、
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、放電指令が発生すると予測される時間帯に関する情報を用いて前記一次的な運用計画を修正する第五修正部を有してもよい。
【0013】
[概念8]
本発明による情報処理方法は、
処理部によって、ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する工程と、
出力部によって、前記運用計画を出力する工程と、
を備えてもよい。
【0014】
[概念9]
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールするためのプログラムであって、
プログラムがインストールされた情報処理装置に、
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理機能と、
前記運用計画を出力する出力機能と、
を実現させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い収益性を実現するための情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成を示した概略図。
図2】時間単位ごとの利用態様の例を示した図。
図3】30分毎の電力料金及び市場価格の例を示した図。
図4】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成の一例を示した概略図。
図5】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成の変形例1を示した概略図。
図6】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成の変形例2を示した概略図。
図7】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成の変形例3を示した概略図。
図8】本発明の実施の形態による情報処理装置の構成の変形例4を示した概略図。
図9】本発明の実施の形態による情報処理装置において、第一修正部、第二修正部、第三修正部、第四修正部及び第五修正部を備えた構成を示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
以下、本発明に係る情報処理装置及び情報処理方法の実施の形態について説明する。本実施の形態では、パソコン等のコンピュータにインストールされることで、当該コンピュータによって本実施の形態の情報処理方法を実行できるようにするプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も提供される。
【0018】
本実施の形態の情報処理装置はいずれの場所に設置されてもよく、サーバであってもよく、クラウド環境で利用されてもよい。本実施の形態の情報処理装置は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、各装置が同じ部屋等の同じ空間に設けられる必要はなく、異なる部屋、異なる建物、異なる地域等に設けられてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、その一部を一機関が所有及び/又は管理し、残りを別機関が所有及び/又は管理してもよい。
【0019】
本実施の形態の情報処理装置は、例えばプログラムをインストールすることで生成される。このプログラムは電子メールで配信されてもよいし、所定のURLにアクセスした上でログインすることで入手できてもよいし、記録媒体に記録されてもよい。本実施の形態によるプログラムは以下に示す情報処理装置を生成するために利用され、本実施の形態による記録媒体は当該プログラムを記録するために利用される。また、本実施の形態の情報処理方法は上記プログラムがインストールされた情報処理装置によって実施される。情報処理装置は、情報処理装置にインストールされたアプリケーションを実行することによって、本実施の形態の情報処理方法を実行してもよい。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置100は、ある時間帯における需要家において必要な電力の需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電池110等の蓄電部における充放電の運用計画、発電部120における発電の運用計画又はヒートポンプ130における蓄熱の運用計画を作成する処理部10と、処理部10で作成された運用計画を出力する出力部80と、を有している。計画用モデルでは、単位時間毎の需要予測値と、単位時間毎の電力料金(図3参照)と、複数存在する市場における単位時間毎の市場価格(図3参照)が用いられ、例えば、ある時間帯では電気を購入する際の電力料金が売却する際の市場価格よりも高いことから発電部120で発電した電気を自己利用した方がよく、別の時間帯では電気を購入する際の電力料金が売却する際の市場価格よりも安いことから発電部120で発電した電気や蓄電池110で充電された電気を売却した方がよく、さらに別の時間帯では電気を購入する際の電力料金がその直後の時間帯(例えば直後の30分のコマ又は2つ後の30分のコマ等)における売却する際の市場価格よりも安いことから電気を購入して蓄電池110で蓄積した方がよいといった運用計画を作成する(図2参照)。
【0021】
本願の蓄電部には電力を蓄積できるあらゆる部材や装置が含まれており、例えば典型的な蓄電池110の他にEV等も含まれている。発電部120としては、太陽電池や自家発電機等が含まれている。またヒートポンプ130としては蓄熱式ヒートポンプを用いてもよく、本実施の形態の処理部10では蓄熱及び放熱の運用計画を作成することになる。また、電力の市場価格情報は、各時間帯における複数の市場の電力価格を含んでいる。また、電力の市場価格情報は、実際の価格ではなく予測値であってもよく、例えば各時間帯における複数の市場の電力価格の予測値であってもよい。一例として、蓄電池110等の蓄電部、発電部120及びヒートポンプ130は個人宅等に設置され、電力会社がその運用を行い、挙げられた収益の一部を当該設置者に支払うというようなことが考えられる。この場合には、電力会社が個人宅に設置されている蓄電池110等の蓄電部、発電部120及びヒートポンプ130の運用方法・稼働方法を制御することで、収益を図ることになる。
【0022】
本実施の形態のような情報処理装置100を用いることで、収益の観点から、太陽電池や自家発電装置等の電力を生成する発電部120で発電した電力を自らが利用した方がよいのか又は電力を売却した方がよいのかを含めて計画することができる。またいずれの市場で電力を販売することが有益かも判断することができるようになる。
【0023】
以下では、主に蓄電池110を用いて説明するが、これに限られることはなく、前述した発電部120及びヒートポンプ130でも同様の態様を採用し、同様の効果を得ることができる。但し、発電部120に関しては、蓄電機能がないことから、自己で利用するか又は市場で売却するかの選択肢を採用することになる。ヒートポンプ130で採用する場合には、蓄熱を利用した運用はできるものの電気を貯めて売却することは想定されないことから、どの時間帯で電気を購入し、どの時間帯で熱を自己で消費をするかの制御となり、市場への電気の売却は考慮されなくてもよい。
【0024】
蓄電池110を用いる場合には、処理部10は、利用者の保有する蓄電池運用設定、利用者が利用する電力需要量、利用者が契約している電力料金の内容(消費電力の価格)、電力市場における市場価格(売却電力の価格)を記憶部90から読み出して、計画用モデルに入力して適用することで、蓄電池110における充放電の運用計画を作成してもよい。電力料金が時間帯によって異なる場合には、どの時間帯で充電をし、どの時間帯で放電をするのが収益向上としては好ましいのかの判断が可能となる。
【0025】
一例として電力需要量は、利用者における消費量から利用者における太陽電池等の発電部120による発電量を引いた値であり、プラスであれば外部からの電力の供給が必要となる。他方、当該値がマイナスであれば、余剰の電力が生成されることとなり、当該電力を蓄電池110で蓄電してもよいし、市場で売却してもよいことになる。蓄電するか売却するかは、市場価格の推移を考慮すればよく、例えば電気が生成された時点から閾値以内の時間(例えば2時間)において、最も高い価格になる時間帯まで蓄電池110で蓄電し、当該時間帯で電気を売却するようにしてもよい。他方、蓄電池110の容量による制限にかかる場合には、閾値以内の時間帯において売却価格が最も高く無くても、その容量になる前に市場で売却するようにしてもよい。
【0026】
売却収益に関しては、複数存在する電力市場の各市場における売却収益を導き出し、対象となっている時間帯で最も価格の高い市場を選択するようにしてもよい。電力市場の価格が例えば一日前に確定する場合には、確定した価格を用いて、その日(24時間)において、電気を売却する時間帯、電気を自己利用する時間帯及び電気を蓄電池110に蓄電する時間帯のいずれかを選択するようにしてもよい。この場合には、例えば30分単位で時間を区切り、A時間帯では自己の利用に発電部120で生成される電力を利用し、A時間帯に続くB時間帯では発電部120で生成される電力をX市場で売却し、B時間帯に続くC時間帯では電力会社から供給される電力を購入して蓄電池110に蓄電し、C時間帯に続くD時間帯では蓄電池110に蓄電した電力を最も単位価格の高い市場で売却するというような運用計画を処理部10が作成する(図2参照)。本実施の形態では30分単位の態様を主に用いて説明するが、これに限られることはなく、10分単位、20分単位、60分単位、2時間単位といった様々な単位時間を採用することができる。また、形態としては、一例として、(1)発電部120で発電して、利用、売却又は蓄電する態様、(2)購入して、利用又は蓄電する態様、(3)蓄電池110から放電して、利用又は売却する態様の7パターンが考えられる。
【0027】
本実施の形態では、運用計画がシミュレーションとし出力されることになる。例えば30分以下のコマ単位の細かな充放電制御を再現することもできてもよく、5分単位、15分単位、30分単位でシミュレーション結果を出力するようにしてもよい。また蓄電池110に関して言えば、利用方法によって劣化の度合いが異なることから、蓄電池110の充放電を制御することで、蓄電池110の寿命を延ばしつつ、収益の最大化を図ることができる。蓄電池110を最大容量まで充電することを繰り返すと劣化が早くなることから、余力を持った運用が可能なように、処理部10が計画を生成してもよく、例えば蓄電池110の80%以上は充電しないような運用計画を立てるようにしてもよい。
【0028】
複数の電力市場が存在することから、一般的には電力の価格は大幅に変動する。一例としては日曜日の昼は電力価格が下がる傾向にあることから、日曜日の昼に電力を購入し、蓄電池110に貯めておいて、電力価格が上がったタイミングで電力を売却するというような計画を処理部10が作成することも可能になる。なお、市場によっては事前に放電帯域を売却する場合もあるが、この運用も許容する。当日に中給システムから発動指令が来る想定の場合、当日の収益最大化につながる運用ではなく、優先的に電力を放電するよう運用計画を立ててもよい。
【0029】
計画用モデルは機械学習によって生成部40で生成されてもよいし、別途生成されてもよい。機械学習技術によって、利用する説明変数(要素)と、その係数(重み)を定めてもよい。機械学習の際には様々なモデルを利用でき、例えばツリーモデルやランダムフォレストモデル等のモデルを利用してもよい。また計画用モデルとしては線形計画法を用いてもよい。例えば、生成部40では、過去の電力の需要実績値、過去の電力料金情報及び過去の複数の市場価格情報を、学習データとテストデータに分けて、機械学習を行ってもよい。例えば、ある期間における過去の電力の需要実績値、過去の電力料金情報及び過去の複数の市場価格情報をインプット情報とし、これらに基づいて専門家が作成した運用計画をアウトプット情報とした学習データを用いて機械学習を行って、計画用モデルを生成する。このようにして生成された計画用モデルに対して、別の期間における過去の電力の需要実績値、過去の電力料金情報及び過去の複数の市場価格情報をインプット情報とし、出力された運用計画と当該別の期間に関して専門家が作成した運用計画を比較することで、その精度を確かめ、必要であれば、計画用モデルを修正する。この工程を繰り返し行って、計画用モデルが信頼できるようになるまで機械学習を行ってもよいし、機械学習は予め定められた回数で、当該工程を繰り返して行うようにしてもよい。線形計画法を用いるのであれば、コマに切られた各時間帯において適切な選択肢を選択するようにしてもよい。例えば売却価格が購入価格よりも高い時間帯において、蓄電池110に蓄積された電力が蓄電容量の閾値以上であれば、購入した電力を自己利用し、発電部120で発電した電力及び蓄電池110に溜まった電力を売却するようにしてもよい。他方、蓄電池110に蓄積された電力が蓄電容量の閾値未満であれば、購入した電力を自己利用し、かつ発電部120で発電した電力を蓄電池110に蓄電するようにしてもよい。
【0030】
運用計画に基づいて予測収益を算出する収益算出部70が設けられてもよい。収益算出部70は、需要予測値と需要実績値との差から、当該差が大きくなった場合又は小さくなった場合における予測収益を予測して算出するようにしてもよい。このような収益算出部70を採用することで、例えば電気料金の購入価格及び市場販売価格が安くなった場合、逆に電気料金の購入価格及び市場販売価格が高くなった場合での収益の予測を行うことができる。
【0031】
本実施の形態によれば、蓄電池設置による収益の最大化と、蓄電池性能の条件・劣化等を考慮した最適運用の両立が可能となり、時刻毎の蓄電池110の充放電の具体化が可能となる。これにより、蓄電池設置の投資判断等が可能となり、電力事業の発展を実現できる。なお、蓄電池110の性能が高いものを導入する場合には初期投資は大きくなるが、その分収益が高くなることが見込める。他方、蓄電池110の性能が低いものを導入する場合には初期投資は小さいものの、その分収益が低くなることになる。このため、需要家の発電量や需要量からするとどのレベルの蓄電池110を設置することが収益の観点で優れているかを予測することができる。前述したように蓄電池110を最大容量まで充電することを繰り返すと劣化が早くなることから、余力を持った蓄電池110の選択が望ましく、その観点からもどのような蓄電池性能の蓄電池110を選択するかが計画されることになる。
【0032】
市場価格や需要情報を変化させることにより、短期(コマ毎)のみならず10年以上先の長期にわたる電力環境の変化による収益変化の検証が可能となる。これにより、長期での採算性評価が可能となる。例えば、10年後に定年退職を迎える場合には、需要家自身の消費量が増加し、その場合には電気購入費用削減効果としてどの程度の経済的メリットがでるかというようなシミュレーションを行うことができる。
【0033】
受付部5はユーザが管理する端末400等からの入力を受け付けて記憶部90に入力する。そして、記憶部90に入力された情報は、必要に応じて記憶部90から読み出される。
【0034】
情報処理装置100は、処理部10に様々な情報を入力する入力部20を有してもよい。入力部20は、後述する蓄電池運用設定入力部221、需要予測入力部222、電力料金入力部223、市場価格入力部224、需要実績入力部230、インバランス価格入力部231及び容量拠出金入力部232のいずれか1つ以上を有してもよい。処理部10は、需要予測値、電力料金情報及び市場価格情報を用いて一次的な運用計画(暫定的な運用計画)を作成する作成部200と、作成部200で作成された一次的な運用計画を修正する修正部210とを有してもよい。修正部210は後述する第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214及び第五修正部215を有してもよく、本実施の形態で「一次的な運用計画を修正する」というのは、第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214及び第五修正部215のいずれか1つで修正された後の運用計画をさらに別の1つで修正する態様も含むものである。
【0035】
蓄電池運用設定入力部221は、設置を想定する蓄電池能力を記憶部90から読み出して、処理部10に入力する(図4参照)。
需要予測入力部222は、蓄電池110を設置する需要家の需要予測を記憶部90から読み出して、処理部10に入力する。この際、1コマを30分で設定し、1日で48コマとなるようにしてもよい。
電力料金入力部223は、需要家が契約する電力会社の契約プランの情報、及び託送料金(電力を送電するにあたりかかる料金)を記憶部90から読み出して、処理部10に入力する。この際にも、1コマを30分で設定し、1日で48コマとなるようにしてもよい(図3参照)。
市場価格入力部224は、スポット市場や需給調整市場、容量市場等、電力の取引を予定する市場の過去の市場価格を記憶部90から読み出して、処理部10に入力する。この際にも、1コマを30分で設定し、1日で48コマとなるようにしてもよいが(図3参照)、市場によっては別のコマ設定となってもよい。例えば1年を1コマにする等、市場特性による変動を認めるようにしてもよい。
【0036】
一例として、作成部200は、ある時間帯における電力の需要予測量から、蓄電池110に蓄積されている電力を利用した方がよいのか、それとも電力の供給を受けた方がよいのかを判断する。単純な例で言えば、蓄電池110で蓄積されている電力のいずれかの市場における売却価格が電力の購入価格よりも高い場合には、蓄電池110で蓄積されている電力を売却し、他方で電力を購入して自己で必要な電力の需要を満たすことで、差額の収益を上げるようにしてもよい。この場合には、売却収益から電力購入費用の差分を収益として得ることができる。本実施の形態では、例えば1コマで分割し(例えば1コマ30分として分割し)、コマ毎に自己の電力の需要を満たすために、蓄電池110に蓄積されている電力を利用するのか、又は蓄電池110に蓄積されている電力は利用せずに電力を購入するのかの計画を立てるようにしてもよい。一例としては、1日を48コマに分割し、コマ毎に、太陽電池等の発電部120によって生成された電力をそのまま売却するのか、生成された電力を蓄電池110に蓄積するのか、自己の需要に必要な電力を蓄電池110からの放電で補うのか又は購入して補うのか等がコマ毎に決定されることになる。
【0037】
処理部10は、蓄電池110の運用設定を用いて、一次的な運用計画を修正する第一修正部211を有してもよい。第一修正部211では、蓄電池110へのダメージ(例えば蓄電池110の容量を超えて充電したり、放電したままにしたりすると蓄電池110の寿命が短くなる。)も考慮されて、作成部200で作成された蓄電池運用計画に対し、蓄電池運用設定で設定される情報を考慮して蓄電池運用計画を修正することになり、一例として作成部200で作成された1日48コマのスケジュールが修正されることになる。
【0038】
第一修正部211は、サイクル数の上限に基づき充放電回数を減らすことや、充放電時刻を変更する等を行ってもよい。一例としては、市場での売却価格と電力の利用料金との比較の結果、作成部200で作成された運用計画ではD時間帯では蓄電池110への電力の充電(購入)を行うことになっているが(図2参照)、当該時間に充電を行うと蓄電池110における充電が容量を超えてしまうと判断された場合には、蓄電池110への充電ではなく、蓄電池110からの放電(売却)を行うように運用計画を修正してもよい。蓄電池110の運用設定は、蓄電容量、PCS(充放電性能)、上限使用回数等の蓄電池110の性能に基づくものであり、予め定められた条件を守るようにして蓄電池110を運用することになる。このような運用設定を考慮することで、蓄電池110の高寿命化を実現でき、ひいては投資コストを抑えつつ、長期間にわたる収益を図ることができるようになる。
【0039】
蓄電池110の性能(蓄電容量、PCS(充放電性能)、上限使用回数等)を定義したうえで、複数の電力市場での電力売買を例えば線形計画法等の手法により計算し、蓄電池設置による利益の最大化のためのシミュレーションを行ってもよい。
【0040】
出力部80による出力方法はWeb画面やCSV等のファイル形式で出力されるものでもよい。また、コマ毎の充放電を示すものであってもよいし、1日・1週間等で集約して出力するものであってもよい。また、数字データだけでなく、グラフ等で表示するものであってもよい。またこのデータは、小売事業者が電力広域的運用機関(OCCTO)に前日までに提出する必要のある供給計画の計画値(小売事業者が抱える需要家の需要予測)に使用できるものであってもよい。
【0041】
作成部200は、電力料金や市場価格の料金高低の値差に基づき、託送料金を考慮してもアービトラージの収益が上回るとされる時刻を抽出し、当該時刻で蓄電池110の充放電を行う運用を行う最適化計算の実施し、その結果を記憶部90で保存してもよい。この時、需要家の需要を考慮し、「需要が一定値を上回らないこと」「需要が一定値を下回らないこと」等の条件を付与してもよい。
【0042】
このような態様を採用することで、複数市場への供出を考慮した収益最大化を実現し、短期での運用予測を長期的にも可能にすることで具体的な運用を明確化できるだけではなく、収益の最大化と蓄電池運用の最適化を両立して長期投資の評価を可能とする。
【0043】
処理部10は、需要実績値に基づいて一次的な運用計画を修正する第二修正部212を有してもよい(図5参照)。この際、第二修正部212は、需要実績値に基づいて計画用モデル自体を修正してもよいし、作成部200で作成され、第一修正部211で修正された運用計画を需要実績値に基づいて修正するようにしてもよい。一例としては、予測値として入力していたデータを需要実績値として確定したデータに置き換えて、計画用モデルに適用して、運用計画を出力するようにしてもよい。
【0044】
需要予測入力部222は、需要予測情報を記憶部90から読み出して、作成部200に入力して、予測に基づく電力の売却及び購入の計画を例えば30分毎に1日分(24時間分)作成する。
需要実績入力部230は、需要実績(例えば当日の実際の需要実績)を記憶部90から読み出して、第二修正部212に入力して、実績に基づく電力の売却及び購入の計画を例えば30分毎に1日のうちの残りの時間帯(例えば12時間分)について作成する。第二修正部212は、第一修正部211と同様、蓄電池110の性能等を考慮して、運用計画を修正するようにしてもよい。
一例として太陽電池を利用して発電している場合には天候の良し悪しによって実際の需要実績により当日の蓄電池運用も異なってくることから、当日の状況を考慮した上で、蓄電池110に充電するのか、蓄電池110から放電して売却するのかといった運用の変更を行うことができる。このような運用の見直しは定期的に行われてもよく、1時間毎、2時間毎の単位で行われてもよいし、1コマに該当する30分毎に実績を反映させて計画を修正してもよい。
【0045】
当該態様の一例を挙げると、作成部200で作成され、第一修正部211で修正された運用計画によれば、C時間帯では蓄電池110への電力の充電(購入)を行うことになっているが(図2参照)、その前の時間帯で「曇り」を予測していたものの実際には「晴れ」であった場合には、その結果による蓄電池110への蓄電量が需要実績入力部230から入力され、蓄電池110の蓄電容量の閾値以上の充電が行われると第二修正部212で予測される場合には、市場への電気の売却価格よりも電気の購入価格が高かったとしても、C時間帯において、最も高い価格のα市場へ電気を売却するという計画に修正してもよい。また、別の例としては、A時間帯での自己の電気の利用量が予測していたものよりも多い場合には、続くB時間帯での売却を取りやめ、それ以降の計画を修正することが考えられる。
【0046】
基本構成ではシミュレーションを前提としたものであるために需要予測=需要実績としてもよいが、需要家の需要予測が実績と異なる場合があることから、第二修正部212で需要実績に基づく修正を行うことにより、より精度の高い運用計画を作成することができる。
【0047】
需要実績に関しては、入力される需要実績に対し、人為的に実績を変化させてもよい。この際の変化は%指定による乖離の拡大・縮小を行ってもよい。このような態様を採用することで、実際の運用(リアル運用)時に発生しうる予測と実績の乖離、予測と実績の乖離差の拡大・縮小による収益の影響計算が可能となる。例えば、現時点で5%のずれが予測と実績に存在する場合、その予測幅が10%と拡大した場合の収益予測を算出してもよいし、逆に予測幅が2%に縮小した場合の収益予測を算出してもよい。このような予測は前述した収益算出部70で行われてもよい。
また、予測幅が10%に拡大した場合の修正後計画を第二修正部212が作成し、出力部80で出力するようにしてもよい。
また、各種の市場価格情報は過去の実績値でなくてもよく、何らかの予測値または任意の値を用いてもよい。
【0048】
余剰インバランス及び不足インバランス発生時の単価の入力を受け付けて、記憶部90に入力するインバランス価格入力部231が設けられ、処理部10がインバランス価格を用いて運用計画を修正する第三修正部213を有してもよい(図6参照)。
【0049】
インバランス価格は、需要家が例えば30分毎に設定された予定量の電力を供給できず、電気量の不足が発生した場合に、電力会社が補給する不足分の電気料金をいう。計画よりも不足が出た場合には不足インバランス料金として通常より高額な電気料金を支払い、逆に余剰が出たら余剰インバランス料金として通常よりも低額な料金で電気を購入してもらうことになる。例えば30分間の電気量の3%を超えて不足した場合には、ペナルティ的な意味で通常より高額な電気料金が設定されている。
【0050】
インバランス価格入力部231は、余剰インバランス及び不足インバランス発生時の単価の入力を受け付けて、記憶部90に入力する。この態様でも一例として、1コマを30分で設定してもよい。
第三修正部213は、記憶部90から読み出されるインバランス価格に基づき、充放電の計画を修正する。例えばA時間帯の余剰インバランスとB時間帯の不足インバランスの単価を比較し、B時間帯の余剰インバランスの単価がA時間帯の不足インバランスの単価よりも高い場合には、A時間帯では不足インバランス価格を支払ってでも蓄電池110の充電を行い、B時間帯において余剰インバランスの単価で電気の売却を行うように計画を修正してもよい。
【0051】
このような態様を採用することで、インバランス価格を考慮した上で、充放電の計画を立てることができ、より効率のよい収益を図ることができる。なお、予定は事前(例えば1日前)に提出することになるが、インバランス価格での売却は市場での売却よりも安くなることから、計画をしっかりと立てつつ、実績とのずれが生じそうなときやインバランス価格の時間帯の差額が大きい場合に、インバランス価格での購入・売却を調整することを行うのが第三修正部213である。
【0052】
容量拠出金を予測する容量拠出金入力部232が設けられてもよい。処理部10は、容量拠出金が発生すると予測される時間帯に関する情報を用いて、運用計画を修正する第四修正部214を有してもよい(図7参照)。国全体で確保した必要な供給力への対価(容量確保契約金額)は、供給能力の確保が求められている小売電気事業者が費用負担することとなり、この費用を容量拠出金という。
【0053】
容量拠出金入力部232は、過去の容量拠出金決定時刻を受け付けて、記憶部90に入力する。1時間を1コマとしてもよく、夏/冬での過去の容量拠出金決定時刻及びその時の系統全体の需要を記憶部90に入力する。
第四修正部214は、記憶部90から過去の容量拠出金決定時刻及びその時の系統全体の需要を読み出し、容量拠出金が発生する可能性のある時刻を予測し、その結果に基づいて蓄電池110の運用計画を修正する。一例としては、過去の容量拠出金決定時刻及びその時の系統全体の需要からして、ある時刻で容量拠出金が発生する可能性が閾値(例えば50%)以上であると予測できる場合には、蓄電池110の運用計画を修正する。容量拠出金が発生する可能性(例えばパーセンテージ)については、例えば過去の容量拠出金決定時刻及びその時の系統全体の需要を機械学習することで予め準備した予測モデル又は統計データを用いて予め準備した予測モデルに、系統全体の需要予測を適用することで算出するようにしてもよい。容量拠出金が発生する可能性がある時刻の前には充電を行い、容量拠出金の発生時刻では放電を行うことで、容量拠出金を減少させるための動作を行う。例えば、作成部200及び第一修正部211を用いた予測ではB時間帯では電気を売却する予定であったが(図2参照)、過去の実績からしてC時間帯で容量拠出金が発生する可能性が50%超過であると判断した場合には、B時間帯での電気の売却の計画を修正してB時間帯においては電気の自己利用だけにあて、続くC時間帯で電気の売却を行うように計画を修正する。
【0054】
このような態様を採用することで、容量拠出金を考慮した上で、充放電の計画を立てることができ、より効率のよい収益を図ることができる。
【0055】
図8で示すように容量市場や需給調整市場等、放電指令が来ると予測される場合に充放電動作を修正する第五修正部215が設けられてもよい。第五修正部215は、各種市場の事前の市場取引結果や契約等で、アービトラージよりも優先して放電を行わなければならない事象が発生すると予測される場合に、その放電動作を実現するために事前の充電等を行うよう充放電計画の修正を行う。この態様を採用する場合、過去の放電指令時刻を受け付けて記憶部90に入力する放電指令入力部235が設けられてもよい。
第五修正部215は、記憶部90から過去の放電指令時刻及びその時の系統全体の需要を読み出し、放電指令が発生する可能性のある時刻を予測し、その結果に基づいて蓄電池110の運用計画を修正する。一例としては、過去の放電指令時刻及びその時の系統全体の需要からして、ある時刻で放電指令時刻が出される可能性が閾値(例えば50%)以上であると予測できる場合には、蓄電池110の運用計画を修正する。放電指令時刻が出される可能性(例えばパーセンテージ)については、例えば過去の放電指令時刻及びその時の系統全体の需要を機械学習することで予め準備した予測モデル又は統計データを用いて予め準備した予測モデルに、系統全体の需要予測を適用することで算出するようにしてもよい。
例えば、事前に公開されるある日の需要情報から、容量市場の入札結果による契約に基づく電力拠出指令が発令されると予測される場合は、発動予測時刻以前の放電動作を中止して充電動作を行うよう計画を修正する。この修正では、収益への影響を最小限に抑えるよう長期間にわたる計画修正を行ってもよい。
【0056】
このような態様を採用することで、何らかの制約に基づき放電を行わなければならない事象が発生する場合に、事前の計画により得られる収益への影響を最小限に抑えつつ、放電動作を確実に実行することを可能となる。
【0057】
図9で示すように、第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214及び第五修正部215の全ての機能を情報処理装置が備えてもよい。この場合には、一例として、第五修正部215>第四修正部214>第三修正部213>第一修正部211>第二修正部212の優先順位が付けられ、放電指令に基づく修正がインバランス価格に基づく修正よりも優先され、容量拠出金に基づく修正がインバランス価格に基づく修正よりも優先され、インバランス価格に基づく修正が蓄電池110の運用制限に基づく修正よりも優先され、蓄電池110の制限に基づく修正が実績値に基づく修正よりも優先されるようにしてもよい。この場合には、予測値に基づく運用計画が実績値に基づいて修正され、当該一次修正後の運用計画が蓄電池110の運用制限に基づいて修正され、当該二次修正後の運用計画がインバランス価格に基づいて修正され、当該三次修正後の運用計画が容量拠出金に基づいて修正され、当該四次修正後の運用計画が出力部80から出力されるようにしてもよい。どの情報を優先させるかは、取決めに過ぎないことから適宜変更することができ、蓄電池110の寿命を延ばすことを最優先とするのであれば、第一修正部211>第五修正部215>第四修正部214>第三修正部213>第二修正部212というような優先順位としてもよい。また、事実として確定した内容を優先させつつ、蓄電池110の寿命を延ばすことを優先させるのであれば、第二修正部212>第一修正部211>第五修正部215>第四修正部214>第三修正部213というような優先順位としてもよい。
【0058】
処理部10、入力部20、収益算出部70、出力部80、作成部200、第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214、第五修正部215等は一つのユニット(制御ユニット)によって実現されてもよいし、異なるユニットによって実現されてもよい。複数の「部」による機能が統合されてもよく、例えば処理部10に含まれる作成部200、第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214及び第五修正部215の機能が一つのユニットによって実現されてもよい。また、処理部10、入力部20、収益算出部70、出力部80、作成部200、第一修正部211、第二修正部212、第三修正部213、第四修正部214、第五修正部215等は回路構成によって実現されてもよい。
【0059】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0060】
10 処理部
20 入力部
70 収益算出部
80 出力部
90 記憶部
110 蓄電池(蓄電部)
120 発電部
211 第一修正部
212 第二修正部
213 第三修正部
214 第四修正部
215 第五修正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理部と、
前記運用計画を出力する出力部と、を備え
前記処理部は、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、蓄電池の充電及び放電に関して予め設定された条件を守ることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する第一修正部と、を有し、
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正部は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記需要予測値を需要実績値に置き換えて前記一次的な運用計画を修正する第二修正部を有し、
前記第一修正部は、前記第二修正部によって修正された運用計画を予め設定された条件を守ることで蓄電部に対するダメージを少なくするように修正する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運用計画に基づいて予測収益を算出する収益算出部であって、前記需要予測値と需要実績値との差から、当該差が大きくなった場合又は小さくなった場合における予測収益を算出する収益算出部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記コマ単位で余剰インバランスと不足インバランスの単価を比較し、ある時間帯の余剰インバランスの単価が別の時間帯の不足インバランスの単価よりも高い場合には、前記別の時間帯では蓄電池の充電を行い、前記ある時間帯において電気の売却を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第三修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、ある時刻で容量拠出金が発生する可能性が閾値以上であると予測される場合には、当該ある時刻の前に充電を行い、当該ある時刻では放電を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第四修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、ある時刻で放電指令時刻が出される可能性が閾値以上であると予測される場合には、当該ある時刻の前に充電を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第五修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
作成部によって、ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する工程と、
第一修正部によって、蓄電池の充電及び放電に関して予め設定された条件を守ることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する工程と、
出力部によって、前記運用計画を出力する工程と、
を備え
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正部は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置にインストールするためのプログラムであって、
プログラムがインストールされた情報処理装置に、
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の一次的な運用計画を作成する作成機能と、
蓄電池の充電及び放電に関して予め設定された条件を守ることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する第一修正機能と、
前記運用計画を出力する出力機能と、
を実現させ、
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正機能は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する、プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を作成する処理部であって、前記需要予測値、前記電力料金情報及び前記市場価格情報を用いて一次的な運用計画を作成する作成部と、蓄電池に対して第一閾値を超えて充電したり第二閾値を下回って放電したりしないようにすることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する第一修正部と、を有する処理部と、
修正後の運用計画を出力する出力部と、を備え、
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正部は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記需要予測値を需要実績値に置き換えて前記一次的な運用計画を修正する第二修正部を有し、
前記第一修正部は、蓄電池に対して第一閾値を超えて充電したり第二閾値を下回って放電したりしないように前記第二修正部によって修正された運用計画修正する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運用計画に基づいて予測収益を算出する収益算出部であって、前記需要予測値と需要実績値との差から、当該差が大きくなった場合又は小さくなった場合における予測収益を算出する収益算出部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記コマ単位で余剰インバランスと不足インバランスの単価を比較し、ある時間帯の余剰インバランスの単価が別の時間帯の不足インバランスの単価よりも高い場合には、前記別の時間帯では蓄電池の充電を行い、前記ある時間帯において電気の売却を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第三修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、ある時刻で容量拠出金が発生する可能性が閾値以上であると予測される場合には、当該ある時刻の前に充電を行い、当該ある時刻では放電を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第四修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、ある時刻で放電指令時刻が出される可能性が閾値以上であると予測される場合には、当該ある時刻の前に充電を行うように前記第一修正部によって修正された運用計画を修正する第五修正部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
作成部によって、ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の一次的な運用計画、発電部における発電の一次的な運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の一次的な運用計画を作成する工程と、
第一修正部によって、蓄電池に対して第一閾値を超えて充電したり第二閾値を下回って放電したりしないようにすることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する工程と、
出力部によって、修正後の運用計画を出力する工程と、
を備え、
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正部は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置にインストールするためのプログラムであって、
プログラムがインストールされた情報処理装置に、
ある時間帯における需要家で必要な需要予測値と、当該ある時間帯における電力料金情報と、当該ある時間帯における電力の市場価格情報を、計画用モデルに適用することで、蓄電部における充放電の一次的な運用計画、発電部における発電の一次的な運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の一次的な運用計画を作成する作成機能と、
蓄電池に対して第一閾値を超えて充電したり第二閾値を下回って放電したりしないようにすることで蓄電部に対するダメージを少なくするように前記一次的な運用計画を修正する第一修正機能と、
修正後の運用計画を出力する出力機能と、
を実現させ、
前記ある時間帯は30分以下のコマからなり、
前記第一修正機能は、コマ単位で、蓄電部における充放電の運用計画、発電部における発電の運用計画又はヒートポンプにおける蓄熱の運用計画を修正する、プログラム。