(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037218
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ダブルニット編地およびダブルニット編地を生産する方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20240312BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
D04B1/00 B
D04B1/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141886
(22)【出願日】2022-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】519087697
【氏名又は名称】株式会社ノリタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 三郎
(72)【発明者】
【氏名】金城 秀侑
(72)【発明者】
【氏名】那須 竜太
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002AA02
4L002AA05
4L002AA06
4L002AB01
4L002AB02
4L002AB04
4L002AC01
4L002BA01
4L002BB01
4L002BB02
4L002EA00
4L002EA03
4L002EA06
4L002FA00
(57)【要約】
【課題】組織全体が5層構造とされ、かつそのハリが低減されたダブルニット編地を提供する。
【解決手段】ダブルニット編地10において、一方側編地11は、一方側に露出された一方側組織11Aと、その他方側の面に沿って引きそろえられた一方側プレーティング組織11Eとを備える。同じく他方側編地12は、他方側に露出された他方側組織12Aと、その一方側の面に沿って引きそろえられた他方側プレーティング組織12Eとを備える。一方側組織11Aおよび他方側組織12Aは紡績糸10Cによって構成される。一方側プレーティング組織11Eおよび他方側プレーティング組織12Eは紡績糸10C、10Eよりも弾性変形しやすい弾性糸10D、10Fによって構成される。外力がかかっていない自然状態においては、弾性糸10D、10Fにかかる張力の大きさが、紡績糸10C、10Eにかかる張力の大きさよりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の表面を構成する一方側編地と、他方側の表面を構成する他方側編地とがつなぎ糸によって1枚につなぎ合わされた構成のダブルニット編地であって、
前記一方側編地は、前記一方側に露出された一方側組織と、当該一方側組織における前記他方側の面に沿って引きそろえられた一方側プレーティング組織とを備え、
前記他方側編地は、前記他方側に露出された他方側組織と、当該他方側組織における前記一方側の面に沿って引きそろえられた他方側プレーティング組織とを備え、
前記一方側組織および前記他方側組織は紡績糸によって構成され、
前記一方側プレーティング組織および前記他方側プレーティング組織は前記紡績糸よりも弾性変形しやすい弾性糸によって構成され、
外力がかかっていない自然状態において、前記弾性糸にかかる張力の大きさが、前記紡績糸にかかる張力の大きさよりも小さい、
ダブルニット編地。
【請求項2】
請求項1に記載されたダブルニット編地であって、
前記一方側組織は、オモテメの面を前記一方側に向け、ウラメの面を前記他方側に向けた天竺組織であり、
前記他方側組織は、オモテメの面を前記他方側に向け、ウラメの面を前記一方側に向けた天竺組織である、
ダブルニット編地。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたダブルニット編地であって、
前記つなぎ糸は、縮れた状態の長尺のフィラメントを有する仮撚糸である、
ダブルニット編地。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載されたダブルニット編地を生産する方法であって、
前記弾性糸および前記紡績糸がそれぞれ編み込まれて前記一方側編地または前記他方側編地とされる組織をベース組織とし、当該ベース組織の表面が広がる方向を面内方向とし、
前記弾性糸を前記面内方向に沿う方向から編み込み、
前記紡績糸を前記面内方向に交差する面外方向から編み込む、
ダブルニット編地を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダブルニット編地およびダブルニット編地を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示において、「ダブルニット編地」とは、一方側の表面を構成する一方側編地と、他方側の表面を構成する他方側編地とがつなぎ糸によってつなぎ合わされた構成の編地のことをいう。このダブルニット編地には、一方側編地および他方側編地のそれぞれを、綿が紡がれた紡績糸からなる組織に、ポリエステルの弾性糸からなるプレーティング組織を引き合わせたものとすることで、組織全体を5層構造としたものが存在する(例えば下記の特許文献1を参照)。ここで、特許文献1に記載のダブルニット編地は、丸編み機を使用することで編成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のダブルニット編地は、口および鼻を覆うマスクに使用される素材であり、会話などで口を動かしたとしてもズレが生じにくいハリのある素材である。このようなダブルニット編地に対しては、衣料品に使用した場合の着心地を向上させるため、そのハリを低減させることについてのニーズがあった。
【0005】
本開示は、組織全体が5層構造とされ、かつそのハリが低減されたダブルニット編地を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における1つの特徴によると、一方側の表面を構成する一方側編地と、他方側の表面を構成する他方側編地とがつなぎ糸によって1枚につなぎ合わされた構成のダブルニット編地が提供される。ここで、一方側編地は、一方側に露出された一方側組織と、この一方側組織における他方側の面に沿って引きそろえられた一方側プレーティング組織とを備える。また、他方側編地は、他方側に露出された他方側組織と、この他方側組織における一方側の面に沿って引きそろえられた他方側プレーティング組織とを備える。また、一方側組織および他方側組織は紡績糸によって構成される。また、一方側プレーティング組織および他方側プレーティング組織は紡績糸よりも弾性変形しやすい弾性糸によって構成される。また、上記のダブルニット編地においては、外力がかかっていない自然状態において、弾性糸にかかる張力の大きさが、紡績糸にかかる張力の大きさよりも小さい。
【0007】
上記のダブルニット編地によれば、外力がかかっていない自然状態において、一方側プレーティング組織および他方側プレーティング組織を構成する弾性糸の伸びが紡績糸によって抑えられる。したがって、上記のダブルニット編地に外力がかかった際には、弾性糸は、より伸びの少ない状態から変形することになり、その分ダブルニット編地の変形性が向上される。これにより、組織全体が5層構造とされ、かつそのハリが低減されたダブルニット編地を提供することができる。
【0008】
他の側面によると、一方側組織は、オモテメの面を一方側に向け、ウラメの面を他方側に向けた天竺組織である。また、他方側組織は、オモテメの面を他方側に向け、ウラメの面を一方側に向けた天竺組織である。
【0009】
上記のダブルニット編地は、その一方側および他方側の表面が、それぞれ天竺組織のオモテメの面によって構成される。ここで、天竺組織のオモテメの面は、同じくウラメの面と比べて糸の向きがそろっていて面の凹凸が少ないという性質を有する。これにより、ダブルニット編地の意匠性および肌ざわりの向上を図ることができる。
【0010】
他の側面によると、つなぎ糸は、縮れた状態の長尺のフィラメントを有する仮撚糸である。
【0011】
本開示において、「仮撚糸」とは、長尺のフィラメントをよって撚糸とし、しかるのちにこの撚糸のよりを戻すことによって生産される糸のことをいう。この仮撚糸は、縮れた状態のフィラメントによって構成されるため、外力に対して柔軟に変形する。さらに、仮撚糸は、そのフィラメントが長尺のため、糸に必要なフィラメントの本数が少なく、その端部がダブルニット編地から飛び出して刺激物となるおそれが低い。したがって、上記のダブルニット編地は、その肌ざわりが向上される。
【0012】
他の側面によると、上記のダブルニット編地を生産する方法が提供される。この方法においては、弾性糸および紡績糸がそれぞれ編み込まれて一方側編地または他方側編地とされる組織をベース組織とし、このベース組織の表面が広がる方向を面内方向とする。さらに、弾性糸を上記面内方向に沿う方向から編み込み、紡績糸を上記面内方向に交差する面外方向から編み込む。
【0013】
上記のダブルニット編地を生産する方法によれば、弾性糸がベース組織から面外方向に引っ張られる力を抑えながら、この弾性糸をベース組織に編み込むことができる。これにより、生産されるダブルニット編地において、弾性糸にかかる張力の大きさをより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、組織全体が5層構造とされ、かつそのハリが低減されたダブルニット編地を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態にかかるダブルニット編地の概略構成を表した要部拡大断面図である。
【
図2】
図1のダブルニット編地を生産するための編成図である。
【
図3】
図1のダブルニット編地の生産における紡績糸および弾性糸の編み込みを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本開示を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
始めに、一実施形態にかかるダブルニット編地10の構成について、
図1ないし
図5を用いて説明する。このダブルニット編地10は、
図1に示すように、一方側の表面を構成する一方側編地11と、他方側の表面を構成する他方側編地12とがつなぎ糸10Aによって1枚につなぎ合わされた5層構造の構成である。
【0018】
一方側編地11は、よこ編みの組織をなす一方側組織11Aを、一方側に露出された状態に備えている。本実施形態においては、一方側組織11Aは、オモテメの面11Bを一方側に向け、ウラメの面11Cを他方側に向けた丸編みの天竺組織である。この天竺組織は、紡績糸10Cによって構成されている。
【0019】
紡績糸10Cは、部分的に太い部分と細い部分とがある意匠糸としての性質を有する。このため、一方側組織11Aの天竺組織における輪奈11Dには、その穴の大きさにばらつきができる。本実施形態においては、紡績糸10Cは、天然の短繊維である木綿(cotton)を紡績してなる糸であり、この木綿の素材に由来する糸節(図示せず)を、上記太い部分として有する。また、紡績糸10Cは、その繊維の紡績のむらに起因する糸節も有する。
【0020】
さらに、一方側編地11は、一方側組織11Aにおける他方側の面(すなわちウラメの面11C)に沿って引きそろえられた一方側プレーティング組織11Eを備えている。この一方側プレーティング組織11Eは、一方側組織11Aを構成する紡績糸10Cよりも弾性変形しやすい弾性糸10Dによって構成されている。本実施形態においては、弾性糸10Dは、ポリウレタン系のフィラメントを有するフィラメントヤーンである。
【0021】
他方側編地12は、よこ編みの組織をなす他方側組織12Aを、他方側に露出された状態に備えている。本実施形態においては、他方側組織12Aは、オモテメの面12Bを他方側に向け、ウラメの面12Cを他方側に向けた丸編みの天竺組織である。この天竺組織は、一方側組織11Aを構成する紡績糸10Cと同種の紡績糸10Eによって構成されている。このため、他方側組織12Aの天竺組織における輪奈12Dには、その穴の大きさにばらつきができる。
【0022】
さらに、他方側編地12は、他方側組織12Aにおける一方側の面(すなわちウラメの面12C)に沿って引きそろえられた他方側プレーティング組織12Eを備えている。本実施形態においては、他方側プレーティング組織12Eは、一方側プレーティング組織11Eを構成する弾性糸10Dと同種の弾性糸10Fによって構成されている。すなわち、他方側プレーティング組織12Eを構成する弾性糸10Fは、他方側組織12Aを構成する紡績糸10Eよりも弾性変形しやすいものである。
【0023】
つなぎ糸10Aは、縮れた状態の長尺のフィラメントを有する仮撚糸である。本実施形態においては、つなぎ糸10Aは、ナイロンのフィラメントを複数本束ねられた状態に有する仮撚糸である。
【0024】
ダブルニット編地10は、インターロック出会いのダブルニット丸編み機に、
図2にてF1~F6として示すフィーダーの設定をすることで生産することができる。ここで、F1およびF4には、つなぎ糸10Aが供給される。また、F2およびF5には、紡績糸10Cおよび弾性糸10Dが供給される。また、F3およびF6には、紡績糸10Eおよび弾性糸10Fが供給される。本実施形態においては、上記ダブルニット丸編み機として、株式会社福原精機製作所製のダブルニット丸編み機を使用する。このダブルニット丸編み機は、筒状の組織をその周方向に回転移動させながら編み込みを進めていくことで、筒状の編地を連続的に生産するものである。
【0025】
ダブルニット編地10の生産方法においては、紡績糸10C、10Eの張力を比較的強くし、弾性糸10D、10Fの張力を比較的弱くした状態で、一方側編地11または他方側編地12とされる組織(以下、「ベース組織10B」とも称する。)に編み込む。この編み込みの設定により、生産されるダブルニット編地10においては、外力がかかっていない自然状態において弾性糸10D、10Fにかかる張力の大きさが比較的小さくされる。
【0026】
上記の編み込みに際しては、
図3ないし
図5に示すように、弾性糸10D、10Fを、ベース組織10Bの表面が広がる方向(以下、「面内方向」とも称する。)に沿う方向から編み込む。さらに、紡績糸10C、10Eを、上記面内方向に交差する面外方向から編み込む。これにより、弾性糸10D、10Fは、ベース組織10Bから面外方向に引っ張る力が抑えられた状態で、ベース組織10Bに編み込まれる。したがって、上記生産方法により生産されるダブルニット編地10においては、弾性糸10D、10Fにかかる張力の大きさがさらに小さくなる。そして、上記ダブルニット編地10の自然状態においては、弾性糸10D、10Fにかかる張力の大きさが、紡績糸10C、10Eにかかる張力の大きさよりも小さくなる。
【0027】
本実施形態においては、弾性糸10D、10Fは、ベース組織10Bの編み込みにおける組織の移動方向(
図3参照)とは反対側(
図3では左側)に傾いた上記面内方向から編み込まれる。また、紡績糸10C、10Eは、上記組織の移動方向とは反対側(
図3では左側)に傾き、かつ弾性糸10D、10Fが編み込まれる側(
図5では上側)に傾いた上記面外方向から編み込まれる。また、つなぎ糸10Aは、上記組織の移動方向に沿い、かつこの組織の移動方向とは反対側(
図3では左側)に傾いた上記面外方向から編み込まれる。また、ダブルニット編地10においては、弾性糸10D、10Fは上記自然状態でたるみが出るように、紡績糸10C、10Eは上記自然状態でたるみが出ないように編み込まれる。
【0028】
なお、
図3ないし
図5においては、図面の簡略化のため、ベース組織10Bを平面状に描いた上で、ダブルニット丸編み機の各構成およびベース組織10B以外の組織の図示を省略している。
【0029】
上述したダブルニット編地10によれば、外力がかかっていない自然状態において、一方側プレーティング組織11Eおよび他方側プレーティング組織12Eを構成する弾性糸10D、10Fの伸びが紡績糸10C、10Eによって抑えられる。したがって、ダブルニット編地10に外力がかかった際には、弾性糸10D、10Fは、より伸びの少ない状態から変形することになり、その分ダブルニット編地10の変形性が向上される。これにより、組織全体が5層構造とされ、かつそのハリが低減されたダブルニット編地10を提供することができる。
【0030】
また、ダブルニット編地10は、その一方側および他方側の表面が、それぞれ天竺組織のオモテメの面11B、12Bによって構成される。これらオモテメの面11B、12Bは、ウラメの面11C、12Cと比べて糸の向きがそろっていて面の凹凸が少ないという性質を有する。これにより、ダブルニット編地10の意匠性および肌ざわりの向上を図ることができる。
【0031】
また、ダブルニット編地10のつなぎ糸10Aは、縮れた状態のフィラメントによって構成される仮撚糸であるため、外力に対して柔軟に変形する。さらに、つなぎ糸10Aは、そのフィラメントが長尺のため、糸に必要なフィラメントの本数が少なく、その端部がダブルニット編地10から飛び出して刺激物となるおそれが低い。したがって、ダブルニット編地10は、その肌ざわりが向上される。
【0032】
また、ダブルニット編地10によれば、紡績糸10C、10Eに意匠糸としての性質を持たせて、一方側および他方側の輪奈11D、12Dの穴の大きさをばらつかせることで、ダブルニット編地10の表面の意匠に変化をつけることができる。
【0033】
また、上述した生産方法によれば、弾性糸10D、10Fがベース組織10Bから面外方向に引っ張られる力を抑えながら、この弾性糸10D、10Fをベース組織10Bに編み込むことができる。これにより、生産されるダブルニット編地10において、弾性糸10D、10Fにかかる張力の大きさをより小さくすることができる。
【0034】
また、上述した生産方法によれば、生産されるダブルニット編地10において、弾性糸10D、10Fが面外方向に引っ張られる力が抑えられる。これにより、上述した輪奈11D、12Dにおいて穴の大きさが弾性糸10D、10Fのサイズに比して大きいものができたとしても、この弾性糸10D、10Fが輪奈11D、12Dの穴を通って飛び出すおそれを低減させることができる。
【0035】
本開示は、上述した一実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0036】
(1)ダブルニット編地の一方側組織および他方側組織に使用される紡績糸の構成は上述したものに限定されない。例えば、紡績糸は、ビスコースレーヨンなどの化学繊維のフィラメントを短くカットした人造短繊維を紡績してなる糸であってもよい。また、紡績糸は、複数種類の繊維を混紡してなる糸であってもよい。また、紡績糸が有する太い部分と細い部分とは、その繊維の素材に由来する糸節によるものに限定されず、繊維の紡績方法によって形成されるものであってもよい。すなわち、紡績糸は、その紡績のむらによって太い部分と細い部分とが形成された糸であってもよい。また、紡績糸は、例えば繊維の塊であるネップが、糸における部分的に太い部分として形成された意匠糸(すなわちネップ糸)であってもよい。また、紡績糸は、例えば部分ごとのよりの強さに強弱がつけられることで太い部分と細い部分とが形成された意匠糸(すなわちスラブ糸)であってもよい。また、紡績糸は、例えば複数本の糸がつぎ合わせられて構成されることで、この継ぎ合わせの部分が部分的に太くされた糸であってもよい。また、ダブルニット編地の一方側組織および他方側組織は、それぞれ異なる構成の紡績糸によって形成されるものであってもよい。
【0037】
(2)ダブルニット編地において一方側編地と他方側編地とをつなぎ合わせるつなぎ糸は、ナイロンのフィラメントを複数本束ねられた状態に有する仮撚糸に限定されない。すなわち、つなぎ糸を構成する繊維は、例えばポリエステル系のエラストマーからなるフィラメントなど、適宜に変更することができる。また、つなぎ糸は、撚糸によって構成されるものであってもよい。
【0038】
(3)ダブルニット編地の一方側プレーティング組織および他方側プレーティング組織に使用される弾性糸は上述したものに限定されず、例えばゴム糸など、適宜に変更することができる。また、ダブルニット編地の一方側プレーティング組織および他方側プレーティング組織は、それぞれ異なる構成の弾性糸によって形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 ダブルニット編地
10A つなぎ糸
10B ベース組織
10C 紡績糸
10D 弾性糸
10E 紡績糸
10F 弾性糸
11 一方側編地
11A 一方側組織
11B オモテメの面
11C ウラメの面(他方側の面)
11D 輪奈
11E 一方側プレーティング組織
12 他方側編地
12A 他方側組織
12B オモテメの面
12C ウラメの面(一方側の面)
12D 輪奈
12E 他方側プレーティング組織
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の表面を構成する一方側編地と、他方側の表面を構成する他方側編地とがつなぎ糸によって1枚につなぎ合わされた構成のダブルニット編地であって、
前記一方側編地は、前記一方側に露出された一方側組織と、当該一方側組織における前記他方側の面に沿って引きそろえられた一方側プレーティング組織とを備え、
前記他方側編地は、前記他方側に露出された他方側組織と、当該他方側組織における前記一方側の面に沿って引きそろえられた他方側プレーティング組織とを備え、
前記一方側組織および前記他方側組織は紡績糸によって構成され、
前記一方側プレーティング組織および前記他方側プレーティング組織は前記紡績糸よりも弾性変形しやすい弾性糸によって構成され、
外力がかかっていない自然状態において、前記弾性糸にかかる張力の大きさが、前記紡績糸にかかる張力の大きさよりも小さい、
ダブルニット編地。
【請求項2】
請求項1に記載されたダブルニット編地であって、
前記一方側組織は、オモテメの面を前記一方側に向け、ウラメの面を前記他方側に向けた天竺組織であり、
前記他方側組織は、オモテメの面を前記他方側に向け、ウラメの面を前記一方側に向けた天竺組織である、
ダブルニット編地。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたダブルニット編地であって、
前記つなぎ糸は、縮れた状態のフィラメントを有する仮撚糸である、
ダブルニット編地。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載されたダブルニット編地を生産する方法であって、
前記弾性糸および前記紡績糸がそれぞれ編み込まれて前記一方側編地または前記他方側編地とされる組織をベース組織とし、当該ベース組織の表面が広がる方向を面内方向とし、
前記弾性糸を前記面内方向に沿う方向から編み込み、
前記紡績糸を前記面内方向に交差する面外方向から編み込む、
ダブルニット編地を生産する方法。