(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037219
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】角落し用遮水部材
(51)【国際特許分類】
E02B 7/22 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
E02B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141889
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢真
【テーマコード(参考)】
2D019
【Fターム(参考)】
2D019AA72
(57)【要約】
【課題】角落し式水門の設置時や水量調整時の作業性を向上できる角落し用遮水部材を提供する。
【解決手段】水路を堰止める複数の角材1と、前記複数の角材1を、平行かつ一列に連結する連結板2とを有し、前記連結板2は、前記角材1の、前記水路の上流側を臨む側面上及び前記水路の下流側を臨む側面上の一方又は両方に存在する、角落し用遮水部材10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を堰止める複数の角材と、
前記複数の角材を、平行かつ一列に連結する連結板とを有し、
前記連結板は、前記角材の、前記水路の上流側を臨む側面上及び前記水路の下流側を臨む側面上の一方又は両方に存在する、角落し用遮水部材。
【請求項2】
前記連結板に吊具取り付け部が存在する、請求項1に記載の角落し用遮水部材。
【請求項3】
前記角材と前記連結板とを締結する締結具を有する、請求項1に記載の角落し用遮水部材。
【請求項4】
前記角材の側面のうち、前記連結板が存在する側面と反対側の側面上に過締防止板が存在し、前記締結具は前記角材を貫通して前記連結板と前記角材と前記過締防止板とを締結する、請求項3に記載の角落し用遮水部材。
【請求項5】
前記複数の角材の総質量が300~1000kgである、請求項1に記載の角落し用遮水部材。
【請求項6】
前記角材が長繊維強化樹脂成形体である、請求項1に記載の角落し用遮水部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角落し用遮水部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水道施設、農業用水路施設及び栽培漁業施設等の水路の保守、点検や水量調整等を行う際に水路を堰止める設備として、角落し式水門が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-238946号公報
【特許文献2】特開平11-166225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な角落し式水門は、水路の両側壁部に鉛直方向に延びるガイド溝を設け、角材の両端部をガイド溝に挿入して落し込む方法で、水路内に複数の角材を積み上げて遮水壁を形成する。
角落し式水門を設置する際や水量調整を行う際には、遮水壁が所定の高さとなるように、角材を1本ずつ積み上げたり、1本ずつ吊り上げて取り除いたりするため、作業性が良くない。
また、角材を軽量化すると扱いやすくなるが、例えば比重が1以下であると水に沈まずに浮かんできてしまうため、重り部材を取り付ける必要があり作業性が悪くなる。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、角落し式水門の設置時や水量調整時の作業性を向上できる角落し用遮水部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 水路を堰止める複数の角材と、前記複数の角材を、平行かつ一列に連結する連結板とを有し、前記連結板は、前記角材の、前記水路の上流側を臨む側面上及び前記水路の下流側を臨む側面上の一方又は両方に存在する、角落し用遮水部材。
[2] 前記連結板に吊具取り付け部が存在する、[1]に記載の角落し用遮水部材。
[3] 前記角材と前記連結板とを締結する締結具を有する、[1]又は[2]の角落し用遮水部材。
[4] 前記角材の側面のうち、前記連結板が存在する側面と反対側の側面上に過締防止板が存在し、前記締結具は前記角材を貫通して前記連結板と前記角材と前記過締防止板とを締結する、[3]の角落し用遮水部材。
[5] 前記複数の角材の総質量が300~1000kgである、[1]~[4]のいずれかに記載の角落し用遮水部材。
[6] 前記角材が長繊維強化樹脂成形体である、[1]~[5]のいずれかに記載の角落し用遮水部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の角落し用遮水部材は、複数の角材を一体的に取り扱うことができるため、角落し式水門の設置時や水量調整時の作業性を向上できる。
また、連結板が重り部材を兼ねることができるため、角材が軽量であるときに重り部材を取り付ける手間が省け、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の角落し用遮水部材の一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
なお、以下の図は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
【0010】
図1~3は本実施形態の角落し用遮水部材を示すもので、
図1は水路に設置された状態を示す正面図、
図2は
図1を上方から見た平面図、
図3は
図2中のA-A線に沿う断面図である。
図中符号20は、水路の堰止め部分に設けられる角落し式水門である。角落し式水門20は、水路の幅方向の両側壁部に存在する一対のガイド溝21と、角落し用遮水部材10とを有する。ガイド溝21は、角落し用遮水部材10の両端部を案内保持する。
角落し用遮水部材10は、水路を堰き止める角材1と、複数の角材1を平行かつ一列に連結する連結板2及び過締防止板5と、連結板2及び過締防止板5を角材1に固定する締結具4とを有する。角材1の長手方向が水路の幅方向である。
本実施形態の角落し式水門20では、下から順に、下段の角落し用遮水部材10、中段の角落し用遮水部材10、及び上段の角落し用遮水部材10を積み上げて遮水壁を形成している。
図1中のWは水路の幅を示し、Hは遮水壁の高さを示す。
図2中の矢印Pは角落し用遮水部材10にかかる水圧方向(水路の流れ方向)を示す。
【0011】
(角材1)
角材1は略直方体形状である。角落し用遮水部材10を構成する複数の角材1は、互いに平行であり、水路の下流側を臨む側面(以下、「下流側面ともいう」)1c及び上流側を臨む側面(以下、「上流側面ともいう」)1dはそれぞれ面一である。
角落し用遮水部材10の遮水機能向上、および積み上げる際のズレ防止を目的として、角材1どうしが接する面は凹凸の嵌め合い構造となっている。
本実施形態において、角材1の上面には、長手方向に延びる凸条1aが存在し、角材1の下面には、他の角材1の凸条1aが下方から嵌合する凹溝1bが存在する。
角材1は、角材1を持ち運ぶための取手6を有する。1つの角材1において、取手6は、下流側面1c上に1つ及び上流側面1d上に1つ存在する。この2つの取手6は角材1の重心に対して対称である。
角材1の長手方向の両端部において、下流側面1cにはゴム等からなるシール部材7が固着されている。
【0012】
角材1のサイズは、水路の幅方向(長手方向)の長さが750~8000mm、水路の高さ方向の高さが150~600mm、前記幅方向及び高さ方向に垂直な方向(以下「水路の流れ方向」ともいう)における厚みが50~350mmであることが好ましい。
【0013】
角材1の材質は、ステンレス、木材、繊維強化樹脂(FRP)が例示できる。軽量性の観点からはFRPが好ましい。
FRPは、平均繊維長50mm以上の長繊維と、長繊維を結合する樹脂とを含む長繊維強化樹脂が好ましい。
長繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が例示できる。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0014】
FRPからなる角材1は、長繊維と、長繊維を結合する樹脂組成物の硬化物とからなる長繊維強化樹脂成形体が好ましい。前記樹脂組成物が発泡剤を含み、硬化物が空隙を含む発泡体であってもよい。
長繊維強化樹脂成形体は、例えば、連続する繊維を一方向に引き揃えた長繊維束に、発泡剤を含む樹脂組成物を散布し含浸させた後、金型内で樹脂組成物を発泡させ硬化させる方法で製造できる。
長繊維が連続するガラス繊維であり、樹脂組成物がウレタン樹脂と発泡剤を含む長繊維強化樹脂成形体の例として、積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU(商品名)が挙げられる。
【0015】
長繊維強化樹脂成形体の比重は、0.50~0.80g/cm3が好ましい。長繊維強化樹脂成形体の比重が上記範囲の下限値以上であると、曲げ強度に優れ、角落し用遮水部材の耐久性能に優れる。上限値以下であると、樹脂に対する長繊維の割合が多すぎず、成形体を製造しやすい。
長繊維強化樹脂成形体の圧縮強度(許容圧縮応力)は、例えば5~8N/mm2が好ましい。前記長繊維強化樹脂成形体の圧縮強度はJIS Z 2101に準拠する方法で測定した値である。
【0016】
長繊維強化樹脂成形体である角材1は、角材1よりも厚みが小さい長繊維強化樹脂成形体からなる板状部材を積層し、接着剤を用いて貼り合わせて一体化した積層体であってもよい。板状部材の積層体である角材1は、板状部材の積層方向が水路の流れ方向となる向きで用いる。
接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、ウレタン樹脂、変成シリコーン、エポキシ樹脂等が例示できる。
【0017】
連結板2は、1つの角落し用遮水部材10において、角材1の下流側面1c上に1つ及び上流側面1d上に1つ存在する。この2つの連結板2は角落し用遮水部材10の重心に対して対称である。
連結板2の構造は、複数の角材1の下流側面1c及び上流側面1dに密着する帯状の平板部2aと、平板部2aから立ち上がる立ち上がり部2bを有する形状が好ましい。
本実施形態の連結板2は、等辺山形鋼(Lアングル)からなる。その他、不等辺山形鋼、溝形鋼等でもよい。
【0018】
連結板2の平板部2aのサイズは、水路の高さ方向(長手方向)の長さが1000~1400mm、水路の幅方向の幅が75~100mm、水路の流れ方向の厚みが6~10mmであることが好ましい。立ち上がり部2bの、水路の流れ方向の高さは75~100mmが好ましい。
平板部2aには、連結板2と複数の角材1とを締結具4で締結するための貫通孔が複数存在する。この貫通孔の孔径は14~20mmが好ましい。
【0019】
連結板2の材質は、アルミ、鉄、プラスチック、ステンレスが挙げられ、耐食性の観点から、ステンレスが好ましく、SUS304がより好ましい。
【0020】
連結板2の立ち上がり部2bには、吊具3を取り付けるための吊具取り付け部2cが存在する。
吊具3は、角落し用遮水部材10の吊り上げ時に、ワイヤーロープを掛ける部材である。
本実施形態において、吊具3はシャックルであり、吊具取り付け部2cはシャックルのボルトが貫通する貫通孔である。シャックルの呼びサイズは14~20mmが好ましい。
吊具3の材質は、鉄、プラスチック、ステンレスが挙げられ、耐食性の観点から、ステンレスが好ましく、SUS304がより好ましい。
【0021】
締結具4は、六角ボルトおよびナットであり、サイズは呼び径M12~M16mm、長さは160~210mmが好ましい。
締結具4の材質は、鉄、プラスチック、ステンレスが挙げられ、耐食性の観点から、ステンレスが好ましく、SUS304がより好ましい。
【0022】
締結具4の締め過ぎによる角材1の陥没防止のため、連結板2が存在する側面と反対側の側面上に過締防止板5を設けることが好ましい。すなわち、過締防止板5と連結板2の平板部2aとで角材1を挟み、過締防止板5と角材1と連結板2とを締結具4で締結する。締結具4は角材1を貫通して連結板2と角材1と過締防止板5とを締結する。
過締防止板5のサイズは、連結板2の平板部2aと同じでよい。具体的には、水路の高さ方向(長手方向)の長さが1000~1400mm、水路の幅方向の幅が75~100mm、水路の流れ方向の厚みが6~10mmであることが好ましい。
過締防止板5の材質は、鉄、プラスチック、ステンレスが挙げられ、耐食性の観点から、ステンレスが好ましく、SUS304がより好ましい。
本実施形態において、過締防止板5は鋼板である。
【0023】
1つの角落し用遮水部材10を構成する角材1の数は、2~4個が好ましい。
1つの角落し用遮水部材10を構成する複数の角材1の総質量は300~5600kgが好ましく、300~1000kgがより好ましい。300kg未満の角落し用遮水部材は、比較的小さい水路で使用され、積み上げる数も少ないため、1本の角材で構成することができる。
角材1の総質量が5600kgを超えると、吊り上げ時に吊具取り付け部2cにかかる圧縮応力が、角材1の材質の許容圧縮応力を超え、角材1が破損しやすい。
角材1の総質量が1000kg以下であると、吊り上げ時の連結板2の曲げ強度及び引張強度、吊具及び締付具のせん断強度などの、各部材の強度を確保しやすい。
【0024】
角落し用遮水部材10を施工する方法は、まず、下段の角落し用遮水部材10の吊具3にワイヤーロープ8を装着し、適宜装置を使用して吊り上げ、角落し用遮水部材10の両端部を一対のガイド溝21内に落とし込む。
予め、水路の底部に、一対のガイド溝21の下端を連結する底部材22を設けるとともに、下段の角落し用遮水部材10の底面上に、ゴム等からなるシール部材(図示略)を固着してもよい。
【0025】
次いで、中段の角落し用遮水部材10及び上段の角落し用遮水部材10を、順に、吊具3にワイヤーロープ8を装着して吊り上げ、ガイド溝21内に落とし込む方法で、角落し用遮水部材10を積み上げる。下段、中段及び上段の角落し用遮水部材10どうしは、自重によって互いに密着する。
最上部の角材1の上流側面1dと、ガイド溝21との間にくさび9を打ち込み、ガイド溝21内に角落し用遮水部材10を固定する。
このようにして複数の角材1が積み重なった遮水壁を形成する。
なお、最上段となる角落し用遮水部材10の上面には凸条1aを設けなくてもよい。
【0026】
本実施形態の角落し用遮水部材10によれば、複数の角材1を一体的に取り扱うことができるため、角落し式水門の設置時や水量調整時の作業性を向上できる。
また、角落し用遮水部材10は、角材1のほかに連結板2等の部材を有するため、角材1の比重が1よりも小さい場合であっても、重り部材を取り付けずに比重を調整できる。例えば、連結板等の角材1以外の部材を、鋼材等の比重が大きい材料で構成して、重り部材を兼ねることができる。したがって、角材1を軽量化した場合も、比重調整用の重り部材を取り付ける手間が省け、作業性を向上できる。
【0027】
なお、本実施形態では、1つの角落し用遮水部材10に2個の連結板2を設けたが、連結板2は1個でもよく、3個以上でもよい。角落し用遮水部材10をバランス良く吊り上げやすい点で、1つの角落し用遮水部材10に対して、2つ以上の連結板2を設けることが好ましい。
また、角材1の側面のうち、連結板2を取り付ける面は、下流側面1c及び上流側面1dの一方でもよく両方でもよい。
また、本実施形態では、下段、中段及び上段の、3つの角落し用遮水部材10を積み重ねて遮水壁を構成したが、角落し式水門の大きさ等に応じて、角落し用遮水部材10の数は変更可能である。
また、本実施形態では、角材1の長手方向を水路の幅方向としたが、角材1の長手方向を水路の高さ方向としてもよい。
【実施例0028】
<実施例1>
図1に示す構成で、角材1と、連結板2と、過締防止板5と、吊具3を備える角落し用遮水部材10を作製した。
下段、中段及び上段の角落し用遮水部材10のうち、最も重い下段の角落し用遮水部材10の構成において、吊り上げ時に角材1に加わる圧縮応力σを下記の計算で調べた。
角材1の材質は、許容圧縮応力が5N/mm
2である長繊維強化樹脂成形体とした。
【0029】
[FFUの強度計算]
吊り上げ時に最も負荷がかかる箇所は、連結板を固定している締結具と角材との接触部であるため、締結具による角材の圧縮強度計算を行った。
(角落し用遮水部材の仕様)
角材の厚み:166[mm]・・・(1)
角材の高さ:370[mm]・・・(2)
角材の長さ:3660[mm]・・・(3)
角材の比重:0.74[g/cm3]・・・(4)
水路の幅:3400[mm]・・・(5)
角落し用遮水部材の高さ:1480[mm]・・・(6)
【0030】
(角落し用遮水部材の重量荷重W[N]の算出)
角材(4本)の質量:665[kg]・・・(7)
連結板(2個)の質量:42[kg]・・・(8)
過締防止板(2個)の質量:22[kg]・・・(9)
吊具(2個)の質量:2[kg]・・・(10)
角落し用遮水部材の重量荷重W=((7)+(8)+(9)+(10))×重力加速度
=(665+42+22+2)×9.81
=7171[N]・・・(11)
【0031】
(角落し用遮水部材にかかる水圧荷重P[N]の算出)
水の単位体積荷重:10.1×10-6[N/mm3]・・・(12)
水圧は、角落し用遮水部材の全体で受けるものとし、水圧の平均がかかるものとする。
水圧荷重P=((12)×((6)/2))×((5)×(6))
={10.1×10-6×(1480/2)}×(3400×1480)
=37740[N]・・・(13)
【0032】
(角落し用遮水部材の吊り上げ時の総荷重Pt[N]の算出)
角材1と水路との摩擦係数を0.75とする。
Pt=(角落し用遮水部材の重量荷重W)+(水圧荷重P)×0.75
=(11)+(13)×0.75
=7171+37740×0.75
=35476[N]・・・(14)
【0033】
(角材に発生する圧縮応力σ[N/mm2]の算出)
角落し用遮水部材の吊り上げ時、締結具の六角ボルトネジ部の円周の8分の1が角材に接するとする。
六角ボルトサイズはM16であるため、接する面積は、
{2×(円周率)×(半径)}/8×(角材の厚み)=(2×π×8)/8×166
=1043[mm2]・・・(15)
また、1つの角落し用遮水部材において、締結具の固定箇所は16箇所であるため、角材に発生する圧縮応力σは
σ={(吊り上げ時の総荷重Pt)/(締結具の個数)}/(角材と締結具の接する面積)
=((14)/16)/(15)
=35476/16/1043
=2.13[N/mm2]・・・(16)
【0034】
上記の計算結果によれば、角材に発生する圧縮応力σは2.13[N/mm2]であり、角材の許容圧縮応力σa[N/mm2](=5[N/mm2])と比べて、十分小さいため、問題ないと判定できる。
【0035】
<実施例2>
本例では、角落し用遮水部材の質量を950kgとする。
(角落し用遮水部材の重量荷重W[N]の算出)
角落し用遮水部材の重量荷重W=950×9.81
=9320[N]・・・(17)
(角落し用遮水部材吊り上げ時の総荷重Pt[N]の算出
Pt=(17)+(13)×0.75
=9320+37740×0.75
=37625[N]・・・(18)
(角材に発生する圧縮応力σ[N/mm2]の算出
σ=((18)/16)/(15)
=37625/16/1043
=2.25[N/mm2]・・・(19)
上記の計算結果によれば、角材に発生する圧縮応力σは2.25[N/mm2]であり、角材の許容圧縮応力σa[N/mm2](=5[N/mm2])と比べて、十分小さいため、問題ないと判定できる。