(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037220
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20240312BHJP
E06B 9/54 20060101ALI20240312BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E06B9/42 Z
E06B9/54
E06B9/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141890
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】澤口 直人
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕也
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA01
2E042CA03
2E042DB12
(57)【要約】
【課題】プーリから垂下する操作紐の長さを簡単な手段によって調整可能とすることにより、スクリーン装置の見栄えを良くすると同時に安全性を高める。
【解決手段】操作紐1の操作によりスクリーン支持軸10を回転させてスクリーン2を上げ下げするスクリーン装置において、前記操作紐1の下端部に取っ手27を取り付け、該取っ手27に前記操作紐1を押し込んで止めるための止め溝28を形成し、該取っ手27を持ち上げることにより前記操作紐1の下部を上方に折り返した状態にし、その状態で前記取っ手27の止め溝28に前記操作紐1の上方部分を押し込んで該取っ手27をその位置に止め置くことにより、前記プーリ20から垂下する操作紐1の長さを調節可能とした。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを支持するスクリーン支持軸と、該スクリーン支持軸の端部に取り付けられたプーリと、該プーリに巻き掛けられた操作紐とを有し、該操作紐で前記プーリを回転操作することにより前記スクリーン支持軸が回転して前記スクリーンが上げ下げされるように構成されたスクリーン装置において、
前記操作紐の下端部に取っ手を取り付け、該取っ手に前記操作紐を押し込んで止めるための止め溝を形成し、該取っ手を持ち上げることにより前記操作紐の下部を上方に折り返した状態にし、その状態で前記取っ手の止め溝に前記操作紐の上方部分を押し込んで該取っ手をその位置に止めることにより、前記プーリから垂下する操作紐の長さを調節可能とした、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
前記取っ手の溝部に前記操作紐を押し込んだ時の保持力は、前記取っ手に該取っ手及び操作紐の折り返した部分の自重が作用しても該取っ手が前記操作紐から外れないが、該取っ手及び前記操作紐の折り返した部分に前記係止力を上回る外力が作用すると該取っ手が前記操作紐から外れる大きさである、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記取っ手は、上端部の直径が下端部の直径より小さい円錐台状をなし、
前記溝部は、前記取っ手の側面に該取っ手の軸線に沿うように形成され、該溝部の溝幅は、前記操作紐の紐幅と同等か又はそれ以下である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記取っ手は円柱状をなし、
前記溝部は、前記取っ手の側面に該取っ手の軸線に沿うように形成され、該溝部の溝幅は、前記操作紐の紐幅と同等か又はそれ以下である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンを支持するスクリーン支持軸にプーリを取り付けると共に、該プーリに操作紐を巻き掛け、該操作紐による操作で前記スクリーン支持軸を回転させて前記スクリーンを上げ下げするようにしたスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーンを吊支するスクリーン支持軸にプーリを取り付けると共に、該プーリにボールチェーン等の操作紐を巻き掛け、該操作紐による操作で前記スクリーン支持軸を回転させて前記スクリーンを上げ下げ(開閉)するようにしたスクリーン装置は、例えば特許文献1に開示されているように公知である。この種のスクリーン装置においては、前記操作紐として、通常、ループ状をしたものと、一連の線状をしたものとが使用されている。
【0003】
このうち、ループ状をした操作紐の場合は、スクリーンを上げ下げ操作する際に、該操作紐がループに沿って移動するだけで、プーリから下方に垂下する操作紐の長さは変化しないが、一連の線状をした操作紐の場合は、スクリーンを上げ下げ操作する際にプーリから垂下する操作紐の長さは変化し、該操作紐を引き下げてスクリーンを上昇(開放)させた場合にその垂下長さは最大になる。このとき、該操作紐の下端部が床に着いた状態になり易いため、見栄えが悪いだけでなく、垂下した操作紐が、室内を清掃する際の邪魔になったり、子供の手足に絡まることによって不測の事故を招きかねない等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、プーリから垂下する操作紐の長さを簡単な手段によって調整可能とすることにより、スクリーン装置の見栄えを良くすると同時に安全性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スクリーンを支持するスクリーン支持軸と、該スクリーン支持軸の端部に取り付けられたプーリと、該プーリに巻き掛けられた操作紐とを有し、該操作紐で前記プーリを回転操作することにより前記スクリーン支持軸が回転して前記スクリーンが上げ下げされるように構成されたスクリーン装置において、前記操作紐の下端部に取っ手を取り付け、該取っ手に前記操作紐を押し込んで止めるための止め溝を形成し、該取っ手を持ち上げることにより前記操作紐の下部を上方に折り返した状態にし、その状態で前記取っ手の止め溝に前記操作紐の上方部分を押し込んで該取っ手をその位置に止めることにより、前記プーリから垂下する操作紐の長さを調節可能としたことを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記取っ手の溝部に前記操作紐を押し込んだ時の保持力は、前記取っ手に該取っ手及び操作紐の折り返した部分の自重が作用しても該取っ手が前記操作紐から外れないが、該取っ手及び前記操作紐の折り返した部分に前記係止力を上回る外力が作用すると該取っ手が前記操作紐から外れる大きさである。
【0008】
本発明において、前記取っ手は、上端部の直径が下端部の直径より小さい円錐台状をなし、前記溝部は、前記取っ手の側面に該取っ手の軸線に沿うように形成され、該溝部の溝幅は、前記操作紐の紐幅と同等か又はそれ以下であることが望ましいが、前記取っ手は円柱状をなしていても良い。
【発明の効果】
【0009】
スクリーンの閉鎖時に操作紐がプーリから下方に大きく垂下しても、該操作紐の下部を上方に折り返した状態で、取っ手の止め溝に前記操作紐の上方部分を押し込んで該取っ手をその位置に止め置くことにより、前記プーリから垂下する操作紐の長さを短く調節することができるので、美観が向上する。また、前記取っ手は、該取っ手や操作紐等に外力が作用すると、前記知己状態からはずれるので、該操作紐が子供の身体に引っ掛かった絡まったりすることがなく、安全性にも勝れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るスクリーン装置の一部を破断して示す要部縦断正面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図7】
図6の状態から操作紐の操作でスクリーンを上昇させた場合の断面図である。
【
図8】
図7の状態から操作紐の垂下長さを短く調整した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るスクリーン装置の一実施形態について説明する。本実施形態のスクリーン装置は、
図1-
図8に示すように、操作紐1の操作でスクリーン2を上げ下げすることにより、建物開口部3に取り付けられたスクリーン枠4の開口部を開閉する縦開き式のスクリーン装置であって、
図1及び
図6のように、前記スクリーン2を下降させて前記スクリーン枠4の開口部を覆った状態が該スクリーン2の閉状態であり、
図7及び
図8のように、前記スクリーン2を上昇させて前記スクリーン枠4の開口部を開放した状態が該スクリーン2の開状態である。
【0012】
前記スクリーン枠4は、その上端部を水平に延びる巻取ボックス6と、該巻取ボックス6の左側端である第1端から下向きに延びる第1縦枠杆7と、該巻取ボックス6の右側端である第2端から下向きに延びる第2縦枠杆8とを有している。
【0013】
前記巻取ボックス6は、四角い筒形をしていて、その下部に前記スクリーン2を下向きに延出させるための開口部を有し、該巻取ボックス6の内部に、前記スクリーン2の上端部が連結されたスクリーン支持軸10が、水平な第1軸L1を中心に回転自在なるように収容され、前記操作紐1で該スクリーン支持軸10を回転操作することにより、前記スクリーン2が該スクリーン支持軸10に巻き取られて上昇(開放)したり、該スクリーン支持軸10から繰り出されて下降(閉鎖)したりするようになっている。前記巻取ボックス6の第1端には第1エンドキャップ11が取り付けられ、該巻取ボックス6の第2端には第2エンドキャップ12が取り付けられ、前記第1エンドキャップ11は、前記スクリーン支持軸10の一端を回転自在に支持し、前記第2エンドキャップ12の内部には、前記操作紐1の操作力を前記スクリーン支持軸10に回転力として伝達する回転伝達機構13が配設されている。
【0014】
前記スクリーン2は、その左右の側端部を前記第1縦枠杆7及び第2縦枠杆8にガイドされた状態で上下動するものであり、該スクリーン2の左右の側縁部には、スライドファスナーを構成する一対の噛合テープの一方が該側縁部に沿って取り付けられている。この噛合テープ14は、テープ基材14aの端部に多数の務歯14bを並べて取り付けたもので、この噛合テープ14の務歯14bが、
図2に示すように、前記第1縦枠杆7及び第2縦枠杆8の内部にそれぞれ挿入されたインナーレール15のスリット15aに摺動自在に係合しており、それにより、前記スクリーン2に風圧等が作用しても、該スクリーン2の左右側端部が第1縦枠杆7及び第2縦枠杆8から外れないようになっている。また、前記スクリーン2の下端部には、重錘を兼ねる可動桟16が取り付けられ、スクリーン2の閉鎖時に該可動桟16の重さによって前記スクリーン2が下降するように構成されている。
【0015】
前記回転伝達機構13は、
図1、
図3及び
図5から明らかなように、前記第2エンドキャップ12の内部に前記第1軸L1と平行する第2軸L2を中心に回転自在なるように支持された内歯歯車状をなすプーリ20と、該プーリ20の内歯20aに前記第1軸L1上で噛み合う平歯車21とを有し、前記プーリ20には前記操作紐1が巻き掛けられ、前記平歯車21は、前記スクリーン支持軸10の端部に取り付けられ、前記操作紐1で前記プーリ20を回転させると、前記平歯車21が回転することにより前記スクリーン支持軸10が回転するように構成されている。
【0016】
具体的には、前記操作紐1を引き下げると、
図3において、前記プーリ20及び平歯車21(従ってスクリーン支持軸10)が反時計方向に回転して該スクリーン支持軸10がスクリーン2を巻き取るため、
図7に示すように、該スクリーン2が開放され、前記操作紐1を緩めると、前記可動桟16の重さで前記スクリーン2が下降することにより、前記スクリーン支持軸10(従って平歯車21)及びプーリ20が時計方向に回転し、
図6に示すように、前記スクリーン2が閉鎖されると共に、前記操作紐1の操作側部分1Aが上昇する。この場合、前記プーリ20の内歯20aの歯数は前記平歯車21の歯数より多いため、前記スクリーン2を開閉する際の前記平歯車21(従ってスクリーン支持軸10)の回転数は、前記プーリ20の回転数より多くなる。従って、前記プーリ20と平歯車21とは、前記スクリーン支持軸10の回転数を増加させるための変速機構を構成するものであると言うことができる。
【0017】
前記操作紐1は、ボールチェーンからなるもので、可撓性のある一連の線材23に多数のボール24を一定間隔で取り付けることにより形成され、第1端1aとその反対側の第2端1bとを有し、前記プーリ20に、前記第1端1a側の部分が前記操作側部分1Aとして該プーリ20の前方側に垂下し、前記第2端1b側の部分が従動側部分1Bとして前記プーリ20の後方側に垂下するように巻き掛けられ、該操作紐1の前記第1端1aには操作用の取っ手27が取り付けられ、前記操作紐1の前記第2端1bは、前記第2縦枠杆8の内部に導入されている。従って、前記取っ手27を上下動させてスクリーン2を開閉操作する際に、前記操作紐1の前記操作側部分1Aは、前記第2縦枠杆8の外部で前記プーリ20から垂下し、該操作紐1の前記従動側部分1Bは、前記縦枠杆8の内部を上下動する。
【0018】
また、前記第2エンドキャップ12には、前記操作紐1の操作側部分1Aを下方に導出するための導出口が形成されていて、該導出口の口縁に、前記操作紐1の線材23の部分を挿入することによりボール24を係止させることが可能な係止溝が形成されており、前記スクリーン2を開放した状態で前記操作紐1をこの係止溝内に挿入して該係止溝の溝縁にボールを係止させることにより、前記スクリーン2を前記可動桟16の荷重に抗して任意の開放位置に保持することができるように構成されている。
【0019】
前記取っ手27は、片手で握り易い形状であれば、どのような形状をしていても良く、例えば円柱状や多角柱状などとすることができるが、好ましくは、
図6-
図8示したように、上端部27aの直径が下端部27bの直径より小さい円錐台状をなしていることである。
【0020】
前記操作紐1の操作側部分1Aは、前記取っ手27を引き下げて前記スクリーン2を全開にした際に、
図7に示すように前記プーリ20から下方に長く垂下することになるが、この長く垂下する操作側部分1Aが清掃や人の移動の邪魔になったり、美観を損ねたりするのを防止するため、前記取っ手27の側面に、前記操作紐1の長さを調節するための手段としての止め溝28が形成され、
図8に示すように、前記取っ手27を持ち上げることにより前記操作紐1の操作側部分1Aの下端部1Aaを上方に折り返した状態にし、その状態で、前記止め溝28内に前操作紐1の操作側部分1Aの上方部分を押し込んで該取っ手27をその位置(調節位置)に保持させることにより、前記プーリ20から垂下する前記操作紐1の長さを短く調節することができるように構成されている。
【0021】
前記止め溝28は、前記取っ手27の長さ方向全長に渡って形成され、該止め溝28の長さは、前記操作紐1の複数のボール24(好ましくは3-4個のボール)に跨がる長さであり、該止め溝28の溝幅は、前記ボール24のボール幅と同等か又は該ボール幅より僅かに小さく、該止め溝28の深さは、前記取っ手27の横断面の半径より小さい。これにより、前記取っ手27は、前記止め溝28内に圧入された複数のボール24と該止め溝28の溝壁との間の摩擦力により前記調節位置に保持される。このときの保持力は、前記取っ手27に該取っ手27及び前記操作紐1の折り返された下端部1Aaの自重が作用しても該取っ手27が前記操作紐1から外れないが、該取っ手27及び前記操作紐1の下端部1Aaに前記保持力を上回る外力が作用すると該取っ手27が前記操作紐1から容易に外れるような大きさである。このため、前記操作紐1の長さ調節時に該操作紐1の操作側部分1Aが折り返されてループ状になり、その部分に子供等の身体が触れたとしても、前記取っ手27が前記操作紐1から外れて該操作紐1が子供の身体に引っ掛かった絡まったりすることがなく、安全性に勝れる。
【0022】
なお、前記実施形態においては、前記操作紐1としてボールチェーンが使用されているが、該操作紐1は、ボールチェーン以外のものであってもよく、例えば、線材を束ねたり組み合わせたりして形成したロープのような紐であっても構わない。この場合、前記取っ手に形成する止め溝の溝幅は、ロープ状の操作紐の一部を圧入可能な大きさとされる。
また、前記実施形態のスクリーン装置は、防虫ネット等のスクリーン2をスクリーン支持軸10に巻き取ったり該スクリーン支持軸10から繰り出したりすることによって上げ下げする方式のロールスクリーン装置であるが、本発明は、ハニカム構造のスクリーンを吊支する吊支コードをスクリーン支持軸で巻き取ったり該スクリーン支持軸から繰り出したりすることによって前記スクリーンを上げ下げする方式のハニカムスクリーン装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 操作紐
2 スクリーン
10 スクリーン支持軸
20 プーリ
27 取っ手
27a 上端部
27b 下端部
28 止め溝