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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037227
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】エア噴出機構
(51)【国際特許分類】
   F15B 21/12 20060101AFI20240312BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20240312BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F15B21/12
B05B1/00 Z
B08B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141911
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】511098002
【氏名又は名称】ソネック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130281
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 道幸
(74)【代理人】
【識別番号】100214813
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 幸江
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼林 一行
【テーマコード(参考)】
3B116
3H082
4F033
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB52
3B116BB32
3B116BB88
3H082AA17
3H082DD03
3H082EE20
4F033AA04
4F033BA02
4F033DA01
4F033EA01
4F033GA02
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】
簡易な構造で、圧縮空気の使用量を抑えつつ、効果的な圧縮空気の供給が可能なエア噴出機構を提供することにある。
【解決手段】
筒状で、一端に圧縮空気の入口であるエア流入口を有し、他端に圧縮空気の出口であるエア噴出口を有するケース部と、ケース部の内部に位置し、ケース部のエア流入口との距離が変動し、ケース部の中に入ってケース部の中を通過してエア噴出口から噴出される圧縮空気の度合いを変化させるバルブと、ケース部の内部に位置し、バルブをエア流入口の方向に付勢する弾性部材と、を備え、ケース部のエア噴出口から噴出される圧縮空気が脈動することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を供給するためのエア噴出機構において、
筒状で、一端に該圧縮空気の入口であるエア流入口を有し、他端に該圧縮空気の出口であるエア噴出口を有するケース部と、
該ケース部の内部に位置し、該ケース部の該エア流入口との距離が変動し、該ケース部の中に入って該ケース部の中を通過して該エア噴出口から噴出される該圧縮空気の度合いを変化させるバルブと、
該ケース部の内部に位置し、該バルブを該エア流入口の方向に付勢する弾性部材と、を備え、
該バルブが該エア流入口に近い位置にある状態で、該エア流入口から該圧縮空気が該ケース部の中に侵入しようとすると、侵入する該圧縮空気の力で該バルブが該ケース部の内部方向に押圧されて該ケース部の該エア流入口との距離が拡がり、該ケース部の中に入る該圧縮空気の度合いが増し、
該ケース部の該エア流入口との距離が拡がると、該ケース部の該エア噴出口から噴出される該圧縮空気の度合いが増して該バルブが該エア流入口の側から押圧される力が弱まり、該弾性部材の付勢力により該バルブが該エア流入口に近い位置に戻り、
該バルブの位置の変動が繰り返すことにより、該ケース部の該エア噴出口から噴出される該圧縮空気が脈動することを特徴とするエア噴出機構。
【請求項2】
前記弾性部材が、
前記バルブを前記エア流入口の方向に付勢する第1の弾性部材と、該第1の弾性部材を前記エア噴出口の側から該エア流入口の方向に付勢する第2の弾性部材とからなることを特徴とする請求項1記載のエア噴出機構。
【請求項3】
前記バルブの移動可能距離を任意に定めるバルブ移動距離調整手段を有することを特徴とする請求項1記載のエア噴出機構。
【請求項4】
前記バルブ移動距離調整手段が、前記エア流入口の方向から前記バルブに当接して、該バルブの移動可能距離を任意に定める当接手段であることを特徴とする請求項3記載のエア噴出機構。
【請求項5】
前記バルブの移動可能距離を任意に定めるバルブ移動距離調整手段を有することを特徴とする請求項2記載のエア噴出機構。
【請求項6】
前記バルブ移動距離調整手段が、前記エア流入口の方向から前記バルブに当接して、該バルブの移動可能距離を任意に定める当接手段であることを特徴とする請求項5記載のエア噴出機構。
【請求項7】
前記ケース部が、脈動する前記圧縮空気を必要とする装置の構成物と一体で形成されていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエア噴出機構。
【請求項8】
脈動する前記圧縮空気を必要とする装置に該圧縮空気を供給するためのエアカプラの内部に形成されていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエア噴出機構。
【請求項9】
前記バルブが、前記エア流入口を密封可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエア噴出機構。
【請求項10】
脈動する前記圧縮空気を必要とする装置に該圧縮空気を供給するためのエアカプラの内部に形成されていることを特徴とする請求項9記載のエア噴出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を供給するためのエア噴出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、埃や塵を圧縮空気の噴射によって除去するエアブローが用いられている。そして、エアブローに用いられる圧縮空気の量を抑えるために、各種の方法が提案されている。例えば、特許文献1の間歇エア発生装置は、空気圧源と、トリガ弁を備えたエアーノズルと、空気圧源の出力からエアーノズルに至る通路に設けられたパイロット式開閉弁と、空気圧源の出力に接続された入口ポート及びパイロット式開閉弁に対して間歇的なパイロット圧を供給する出口ポートを有する空気圧発振ユニットとを有する間歇エアブロー装置に於いて、空気圧発振ユニットの入口ポートに至る通路にパイロット式制御弁を設け、トリガ弁が閉じられたときには、開閉弁とエアーノズルとの間の通路に形成される圧力を利用してパイロット式制御弁を閉じることにより、空気圧発振ユニットへの空気圧の供給を遮断する、構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-75377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の間歇エア発生装置は、構造が複雑でまた機械的な部分が多いことから、エアガンに直接装着することは困難で、直接装着できたとしても重量増加や大きさの増加に伴いエアガンを扱いにくくしてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構造で、圧縮空気の使用量を抑えつつ、効果的な圧縮空気の供給が可能なエア噴出機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のエア噴出機構は、筒状で、一端に圧縮空気の入口であるエア流入口を有し、他端に圧縮空気の出口であるエア噴出口を有するケース部と、ケース部の内部に位置し、ケース部のエア流入口との距離が変動し、ケース部の中に入ってケース部の中を通過してエア噴出口から噴出される圧縮空気の度合いを変化させるバルブと、ケース部の内部に位置し、バルブをエア流入口の方向に付勢する弾性部材と、を備え、バルブがエア流入口に近い位置にある状態で、エア流入口から圧縮空気がケース部の中に侵入しようとすると、侵入する圧縮空気の力でバルブがケース部の内部方向に押圧されてケース部のエア流入口との距離が拡がり、ケース部の中に入る圧縮空気の度合いが増し、ケース部のエア流入口との距離が拡がると、ケース部のエア噴出口から噴出される圧縮空気の度合いが増してバルブがエア流入口の側から押圧される力が弱まり、弾性部材の付勢力によりバルブがエア流入口に近い位置に戻り、バルブの位置の変動が繰り返すことにより、ケース部のエア噴出口から噴出される圧縮空気が脈動することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のエア噴出機構は、請求項1記載のエア噴出機構において、弾性部材が、バルブをエア流入口の方向に付勢する第1の弾性部材と、第1の弾性部材をエア噴出口の側からエア流入口の方向に付勢する第2の弾性部材とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載のエア噴出機構は、請求項1記載のエア噴出機構において、バルブの移動可能距離を任意に定めるバルブ移動距離調整手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載のエア噴出機構は、請求項3記載のエア噴出機構において、バルブ移動距離調整手段が、エア流入口の方向からバルブに当接して、バルブの移動可能距離を任意に定める当接手段であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載のエア噴出機構は、請求項2記載のエア噴出機構において、バルブの移動可能距離を任意に定めるバルブ移動距離調整手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載のエア噴出機構は、請求項5記載のエア噴出機構において、バルブ移動距離調整手段が、エア流入口の方向からバルブに当接して、バルブの移動可能距離を任意に定める当接手段であることを特徴とする
【0012】
請求項7記載のエア噴出機構は、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエア噴出機構において、ケース部が、脈動する圧縮空気を必要とする装置の構成物と一体で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載のエア噴出機構は、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエア噴出機構において、脈動する圧縮空気を必要とする装置に圧縮空気を供給するためのエアカプラの内部に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載のエア噴出機構は、請求項1又は請求項2記載のエア噴出機構において、バルブが、エア流入口を密封可能なことを特徴とする。
【0015】
請求項10記載のエア噴出機構は、請求項9記載のエア噴出機構において、脈動する圧縮空気を必要とする装置に圧縮空気を供給するためのエアカプラの内部に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願の発明によれば、簡易な構造で、圧縮空気の使用量を抑えつつ、効果的な圧縮空気の供給が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るエア噴出機構の一例を縦断面で示す説明図である。
図2】同エア噴出機構の用いたカプラの外観を示す説明図である。
図3】同エア噴出機構の用いたカプラの使用例を示す説明図である。
図4】同エア噴出機構の動作を示す説明図である。
図5】同エア噴出機構の動作を示す説明図である。
図6】同エア噴出機構の動作の様子をグラフで示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明に係るエア噴出機構の一例を縦断面で示す説明図である。図2は、同エア噴出機構の用いたカプラの外観を示す説明図である。図3は、同エア噴出機構の用いたカプラの使用例を示す説明図である。図4は、同エア噴出機構の動作を示す説明図である。図5は、同エア噴出機構の動作を示す説明図である。図6は、同エア噴出機構の動作の様子をグラフで示す説明図である。
【0019】
本発明に係るエア噴出機構30は、エアガン5等の圧縮空気を必要とする装置に圧縮空気を供給するためのものである。但し、圧縮空気の供給は、単に圧縮空気を必要とする装置に流入される場合だけではなく、後述するように、その装置から外部に向かって圧縮空気が噴き出される場合のように、その装置が圧縮空気を供給する側(直接噴出する側)になる場合も含まれる。
【0020】
エア噴出機構30は、エアガン5等の圧縮空気を必要とする装置に圧縮空気を供給するためのものであるが、その中でも、特に、圧縮空気が脈動することで、従来に比べて特に効果が高くなるものに用いることが好ましいが、例えば、圧縮空気を物に噴射させてその物の表面の異物を除去させるためのエアガン5に限られるものではない。但し、下記の説明では、エアガン5の例で説明する。
【0021】
エアガン5は、ピストル状の形状で、グリップ端部50aから圧縮空気が供給されており、グリップ50を握った状態でトリガ52を引くと、エア噴出部54から圧縮空気が噴射されるものである。エアガン5のグリップ端部50aには、エアカプラ10が装着されている。
【0022】
エアカプラ10は、圧縮空気等の流体配管の接続、切り離しを容易にするための継手で、本実施の形態のエアカプラ10は、エアガン5のグリップ端部50aにねじ込まれ、圧縮空気の供給源からの圧縮空気を供給するためのホースを比較的容易に着脱自在に接続できるようにしている。尚、圧縮空気の供給源は、コンプレッサ等である。このため、エアカプラ10は、一端側であるエアガン5の側には、外周にネジ山が旋設されたボルト部14が形成され、ボルト部14の脇には、エアカプラ10をエアガン5のグリップ端部50aにねじ込み易いようにナット部16が形成されている。エアカプラ10の他端側は、圧縮空気の供給源からの圧縮空気を供給するためのホースを比較的容易に抜き差しできる形状を有しており、本来のカプラとしての機能を有している。
【0023】
エアカプラ10は、このような外形を有するカプラ筐体12を有しているが、軸中心には、貫通穴12bが穿設されて、カプラ筐体12は、略円筒状に形成されている。エアカプラ10の貫通穴12bの内部に、本願発明のエア噴出機構30が設けられている。
【0024】
エア噴出機構30は、ケース部32、バルブ40及び弾性部材42とから構成されている。エア噴出機構30の筐体をなすのがケース部32で、筒状に形成されている。本実施の形態のエアカプラ10では、この筒状の形態のエア噴出機構30が、カプラ筐体12の貫通穴12bに挿嵌されている。
【0025】
エア噴出機構30の基本構成としてのケース部32は、一端に圧縮空気の入口であるエア流入口を有し、他端に圧縮空気の出口であるエア噴出口を有している。本実施の形態のエア噴出機構30では、ケース部32の一端のすぐ外側には、ケース部32と同じ径で、より肉厚の厚いリング状のアジャストナット34が設けられている。そして、アジャストナット34の内側に、略円筒状のアジャストボルト20が螺挿されている。そして、アジャストボルト20のケース部30側の端部の開口が、ケース部32の圧縮空気の入口であるエア流入口20bとなっている(エア流入口20bと反対側の端部が、エアカプラ10自体のカプラ流入口20aである)。
【0026】
また、本実施の形態のエア噴出機構30では、ケース部32の他端の側には、円盤状で、軸中心に貫通した穴を有するキャップ状のストッパー36が嵌め込まれている。ストッパー36の貫通した穴が、圧縮空気の出口であるエア噴出口36aとなっている。
【0027】
エア噴出機構30の基本構成としてのバルブ40は、ケース部32の内部に位置し、ケース部32のエア流入口20bとの距離が変動し、ケース部32の中に入ってケース部32の中を通過してエア噴出口36aから噴出される圧縮空気の度合いを変化させるものである。
【0028】
また、エア噴出機構30の基本構成としての弾性部材42は、ケース部32の内部に位置し、バルブ40をエア流入口20bの方向に付勢するものである。尚、弾性部材42は、付勢力を有し、好ましくは、弾性部材42自体が有する隙間から圧縮空気が通過する形状の物が好ましい。弾性部材42は、具体的には、例えば、スプリングやスポンジや板バネの様なものが考えられる。
【0029】
尚、弾性部材42は、1つの部材で構成させる場合に限られず、複数の弾性部材で構成させることも可能で、本実施の形態では、複数の付勢力を有するもので構成されている。すなわち、本実施の形態では、弾性部材42が、ケース部32の内部で、バルブ40をエア流入口20bの方向に付勢する第1の弾性部材であるスプリング46と、第1の弾性部材(スプリング46)をエア噴出口36aの側からエア流入口20bの方向に付勢する第2の弾性部材であるスプリング44とから構成されている。
【0030】
より具体的には、ケース部32の内側のストッパー36とケース部32との間に、係止溝36bがあり、一端がその係止溝36bに嵌まるように、スプリング44が、エア噴出口36aの方からエア流入口20bに伸びて設けられている。そして、スプリング44の他端には、軸方向に径の異なる部分を有する円筒状のジョイント38が設けられている。ジョイント38の径の細い部分がエア噴出口36aの方向に向いており、この径の細い部分にスプリング44の他端が嵌まり込んでいる。
【0031】
また、ジョイント38のエア流入口20bの側の径の太い部分の内側部分には、段部が設けられ、その段部にスプリング46の一端が係止され、ジョイント38の他端の内側からエア噴出口36aの方向に向かうようにスプリング46が設けられている。
【0032】
スプリング46の他端には、略円柱状のバルブ40が嵌合しており、バルブ40は、スプリング46のみに支えられている状態である。バルブ40は、ケース部32に内部にあって、エア流入口20bの側がエア流入口20bよりも大径で、エア流入口20bを密封させることも可能である。尚、本実施の形態(図1)では、バルブ40のバルブ面40aがエア流入口20bを密封する状態を示しているが、エア噴出機構30の使用方法によっては、バルブ40によってエア流入口20bを密封する必要がない場合もある。バルブ40によってエア流入口20bを密封できる構造にすることで、バルブ40を空気弁のように用いることも可能になる。
【0033】
このような構造のエア噴出機構30が、カプラ筐体12の貫通穴12bに、エア噴出機構30のすべてが納まるように挿嵌されている。そして、エア噴出機構30のエア噴出口36a側が、貫通穴12bの内部の段差に当接し、アジャストナット34の外側の貫通穴12bの内壁にスナップリング22が設けられ、エア噴出機構30が、貫通穴12bの内側に固定されている。
【0034】
カプラ筐体12のアジャストボルト20の外側に、図示しない圧縮空気の供給源からの圧縮空気を供給するためのホースが接続された着脱自在に接続され、エアカプラ10すなわちエアガン5に圧縮空気が供給されることになる。
【0035】
次に、このような構造のエアガン5及びエア噴出機構30の動作を説明する(既に、図示しない圧縮空気の供給源から圧縮空気が供給されている状態で説明する)。まず、図1のバルブ40が、弾性部材42の付勢力でバルブ40がエア流入口20bに近い位置にある状態(図1では、バルブ40のバルブ面40aがエア流入口20bを密封した状態)で、エアガン5のトリガ52を引くと、エア噴出口36aの側がエア流入口20bの側に比べて負圧になり、エア流入口20bから圧縮空気がケース部32の中に侵入しようとする。すると、侵入する圧縮空気の力で弾性部材42の付勢力に抗して、バルブ40がケース部32の内部方向に押圧される。すると、図4に示すように、バルブ40(バルブ面40a)とエア流入口20bとの距離が拡がり、エア流入口20bが開放され、ケース部32の内部に圧縮空気が流入する。ケース部32の内部に入った圧縮空気は、ケース部32を抜けて、エア噴出口36aを通って、エアカプラ10のカプラ噴出口12aから、エアガン5の内部に送られ、エアガン5のエア噴出部54から噴射される。
【0036】
次に、ケース部32の中に入る圧縮空気の度合いが増し、バルブ40のバルブ面40aとエア流入口20bとの距離が拡がると、ケース部32のエア噴出口36aから噴出される圧縮空気の度合いが増してバルブ40がエア流入口20bの側から押圧される力が弱まる。すると、バルブ40が、弾性部材42の付勢力によりエア流入口20bに近い位置に戻る(図5)。
【0037】
バルブ40が、弾性部材42の付勢力によりエア流入口20bに近い位置に戻ると、バルブ面40aが受けるエア流入口20bからの圧縮空気の力を強く受けることになり、再び、図4に示すように、バルブ40(バルブ面40a)とエア流入口20bとの距離が拡がり、エア流入口20bが大きく開放され、ケース部32の内部に圧縮空気が大きく流入する。このように、バルブ40(バルブ面40a)の位置の変動が繰り返すことにより、ケース部32のエア噴出口36aから噴出される圧縮空気が脈動することになる(図6のaに示すエア噴出機構30の噴出される圧縮空気の波形を参照)。特に、エア噴出機構30では、圧縮空気が噴出されている間、脈動を繰り返し、途中で圧縮空気の噴出が途切れないように、弾性部材42の付勢力が調整されている。
【0038】
以上のような構成と動作のエア噴出機構30によれば、簡易な構造で、圧縮空気の使用量を抑えつつ、効果的な圧縮空気の供給が可能である。エア噴出機構30は、圧縮空気の噴出をまったく間歇させたり脈動させたりしない従来の形式に比べ、圧縮空気の使用量を抑えることができる。また、図6に示すように、エア噴出機構30の噴出される圧縮空気の動きaは、圧縮空気の噴出をまったく間歇させたり脈動させたりしない従来の形式の動きcや、従来の特許文献1の間歇エア発生装置で想定される動きbに比べ、単調ではなく、脈動する周波数を高くすることができ、例えば、物の表面の異物を除去させたい場合などには、より効果的に除去が可能である。
【0039】
尚、本実施の形態では、エア噴出機構30をエアガン5に圧縮空気を供給する側のエアカプラ10に設けたが、これに限られるものではなく、例えば、エアガン5とは別体で設けることも可能であり、また、エア噴出部54の側に設けることも可能である。エア噴出機構30は、簡易な構造で小型にすることが可能なため、このように、設ける位置を、比較的自由に定めることができ、また、邪魔になりにくい。
【0040】
さらに、ケース部32を、脈動する圧縮空気を必要とする装置(例えばエアガン5)の構成物(例えばエアガン5の場合、グリップ)と一体で形成されていることも可能で、一体にすることで、エア噴出機構の構造を、より小さくすることも可能になる。
【0041】
尚、弾性部材42の全体的な付勢力、第1の弾性部材であるスプリング46及び第2の弾性部材であるスプリング44の付勢力を変更することで、エア噴出口36aから噴出される圧縮空気の脈動の度合いを任意に設定することが可能である。弾性部材42の全体的な付勢力、第1の弾性部材であるスプリング46及び第2の弾性部材であるスプリング44の付勢力を変更する方法としては、弾性力の異なる部品に置き換えたり、弾性部材42に機械的な負荷を加えたりする方法等が考えられる。
【0042】
また、エア噴出機構に、バルブ40の移動可能距離を任意に定めるバルブ移動距離調整手段を設けることも可能である。このバルブ移動距離調整手段を設けることで、弾性部材42の全体的な付勢力、第1の弾性部材であるスプリング46及び第2の弾性部材であるスプリング44の付勢力を調整し、エア噴出口36aから噴出される圧縮空気の脈動の度合いを任意に設定することが可能となる。
【0043】
バルブ移動距離調整手段の具体的な構造としては、バルブ移動距離調整手段が、エア流入口20bの方向からバルブ40に当接して、バルブ40の移動可能距離を任意に定める当接手段とすることができる。すなわち、本実施の形態は、アジャストボルト20が、バルブ移動距離調整手段で、アジャストボルト20を螺挿させる深さを変えることで、エア流入口20bの方向からバルブ40に当接して、バルブ40の移動可能距離を任意に定めることが可能になる。
【0044】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明によれば、簡易な構造で、圧縮空気の使用量を抑えつつ、効果的な圧縮空気の供給が可能なエア噴出機構を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
5・・・・・エアガン
10・・・・エアカプラ
12・・・・カプラ筐体
12a・・・カプラ噴出口
12b・・・貫通穴
14・・・・ボルト部
16・・・・ナット部
20・・・・アジャストボルト
20a・・・カプラ流入口
20b・・・エア流入口
22・・・・スナップリング
30・・・・エア噴出機構
32・・・・ケース部
34・・・・アジャストナット
36・・・・ストッパー
36a・・・エア噴出口
36b・・・係止溝
38・・・・ジョイント
40・・・・バルブ
40a・・・バルブ面
42・・・・弾性部材
44・・・・スプリング
46・・・・スプリング
50・・・・グリップ
50a・・・グリップ端部
52・・・・トリガ
54・・・・エア噴出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6