(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037243
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】可変動弁装置
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
F01L13/00 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141935
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】尾関 久志
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AB05
3G018AB18
3G018BA12
3G018CA19
3G018DA14
3G018DA18
3G018DA29
3G018DA51
3G018DA57
3G018DA68
3G018DA69
3G018FA03
3G018GA14
3G018GA17
(57)【要約】
【課題】エンジンの大型化を抑えると共に部品の共通化を図ることができる。
【解決手段】シリンダヘッド(23)には、複数の気筒(29)が並んだ所定方向の中央にカムチェーン(31)が設置され、所定方向の両側壁を窪ませて点火プラグ(19)が設置されている。シリンダヘッドの可変動弁装置(40)には、所定方向に延びるロッカーシャフト(46)と、ロッカーシャフトに支持された複数のロッカーアーム(51a、51b)と、一方のロッカーアームのピン穴に設置された連結ピン(61)と、他方のロッカーアームのピン穴に設置された戻しピン(62)と、連結ピンに戻しピンを他方側に押し込ませる押圧部材(63)と、戻しピンに連結ピンを一方側に押し戻させる反発部材(64)と、が気筒毎に設けられている。連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が、平面視にて所定方向に対する直交方向で点火プラグから外れている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒が並んだ所定方向の中央にカムチェーンが設置され、所定方向の両側の外壁を凹状に窪ませて点火プラグが設置されたシリンダヘッドのバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、
前記シリンダヘッド内にて所定方向に沿って延びるロッカーシャフトと、
前記ロッカーシャフトに揺動可能に支持された複数のロッカーアームと、
所定方向の一方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された連結ピンと、
所定方向の他方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された戻しピンと、
前記連結ピンに前記戻しピンを他方側に向けて押し込ませる押圧部材と、
前記戻しピンに前記連結ピンを一方側に向けて押し戻させる反発部材と、を気筒毎に備え、
前記連結ピン、前記戻しピン、前記押圧部材、前記反発部材が、平面視にて所定方向に対する直交方向で前記点火プラグから外れていることを特徴とする可変動弁装置。
【請求項2】
前記一方寄りのロッカーアームは高速ロッカーアームであり、前記他方寄りのロッカーアームは低速ロッカーアームであり、
前記低速ロッカーアームの作用点側は二股に分岐して一対の吸気バルブが連結され、
前記低速ロッカーアームの長手方向に延びる中心線が気筒中心を通り、当該中心線を基準にして前記低速ロッカーアームの一対の分岐部が対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変動弁装置。
【請求項3】
前記高速ロッカーアームが前記低速ロッカーアームよりも前記カムチェーン側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の可変動弁装置。
【請求項4】
前記高速ロッカーアームの長手方向に延びる中心線上に前記吸気バルブのステムエンドが位置していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の可変動弁装置。
【請求項5】
前記複数のロッカーアームの長手方向に延びる中心線を基準にして前記複数のロッカーアームが対称に形成されており、
前記一方寄りのロッカーアームの力点側にはローラが支持されており、当該ローラの支持箇所と前記連結ピンの支持箇所が略同幅であり、
前記他方寄りのロッカーアームの力点側にはローラが支持されており、当該ローラの支持箇所と前記戻しピンの支持箇所が略同幅であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変動弁装置。
【請求項6】
前記複数の気筒は一対の気筒であり、
前記押圧部材は油圧で作動する一対の油圧ピストンであり、
前記一対の油圧ピストンが前記カムチェーンを挟んで対称的に設置され、
前記一対の油圧ピストンから等距離の位置に、当該一対の油圧ピストンに作動油を供給するオイルコントロールバルブが設置され、
前記カムチェーンと前記一対の油圧ピストンの間には、前記オイルコントロールバルブから前記一対の油圧ピストンに向かうオイル通路が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変動弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可変動弁装置として複数のロッカーアームを連結させてバルブ動作を切り替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の可変動弁装置には一対のロッカーアームが隣接して設置されており、一方のロッカーアームのピン穴に連結ピンが設置されている。連結ピンの一部が他方のロッカーアームのピン穴に押し込まれることで、一対のロッカーアームが連結されて一対のバルブが同時に作動される。連結ピンの一部が他方のロッカーアームのピン穴から抜け出すことで、一対のロッカーアームの連結状態が解除されて片側のバルブだけが作動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の他方のロッカーアームは、ピン穴に連結ピンを押し返すためのスプリングピンが設置されて大型化している。複数の気筒の並び方向の中央にカムチェーンが設置され、気筒の並び方向の外方に点火プラグが設置される多気筒エンジンでは、カムチェーンと点火プラグの間のスペースを広く確保することが難しい。このため、特許文献1のロッカーアームを採用する場合にはエンジンを大型化する必要がある。また、ロッカーアーム内にスプリングピンが設置されていると、カムチェーンを挟んだ両気筒で同一のロッカーアームを使用できず部品の共通化を図ることができない。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、エンジンの大型化を抑えると共に部品の共通化を図ることができる可変動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の可変動弁装置は、複数の気筒が並んだ所定方向の中央にカムチェーンが設置され、所定方向の両側の外壁を凹状に窪ませて点火プラグが設置されたシリンダヘッドのバルブ動作を変更可能な可変動弁装置であって、前記シリンダヘッド内にて所定方向に沿って延びるロッカーシャフトと、前記ロッカーシャフトに揺動可能に支持された複数のロッカーアームと、所定方向の一方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された連結ピンと、所定方向の他方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された戻しピンと、前記連結ピンに前記戻しピンを他方側に向けて押し込ませる押圧部材と、前記戻しピンに前記連結ピンを一方側に向けて押し戻させる反発部材と、を気筒毎に備え、前記連結ピン、前記戻しピン、前記押圧部材、前記反発部材が、平面視にて所定方向に対する直交方向で前記点火プラグから外れている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の可変動弁装置によれば、押圧部材によって連結ピンを介して戻しピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームのピン穴から他方寄りのロッカーアームのピン穴に連結ピンが部分的に入り込んで複数のロッカーアームが連結される。反発部材によって戻しピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されると、他方寄りのロッカーアームのピン穴から連結ピンが抜け出して複数のロッカーアームの連結が解除される。シリンダヘッドの凹状の窪みから外れたスペースに連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が設置されることで、部品レイアウトの自由度が向上すると共にエンジンの大型化を抑えることができる。さらに、複数の気筒で同じロッカーアームを用いて部品の共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例のエンジン及び車体フレームの左側面図である。
【
図2】本実施例のシリンダヘッド内の斜視図である。
【
図4】本実施例のシリンダヘッド内の上面図である。
【
図5】実施例の作動通路及びショートカット通路の模式図である。
【
図6】本実施例の可変動弁装置の連結動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の可変動弁装置は、複数の気筒が並んだ所定方向の中央にカムチェーンが設置され、所定方向の両側の外壁を凹状に窪ませて点火プラグが設置されたシリンダヘッドに設けられている。このシリンダヘッドにて可変動弁装置はバルブ動作を変更している。可変動弁装置には、ロッカーシャフト、複数のロッカーアーム、連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が気筒毎に設けられている。ロッカーシャフトはシリンダヘッド内にて所定方向に沿って延びており、ロッカーシャフトには複数のロッカーアームが揺動可能に支持されている。所定方向の一方寄りのロッカーアームのピン穴に連結ピンが設置され、所定方向の他方寄りのロッカーアームのピン穴に戻しピンが設置されている。押圧部材によって連結ピンを介して戻しピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームのピン穴から他方寄りのロッカーアームのピン穴に連結ピンが部分的に入り込んで複数のロッカーアームが連結される。反発部材によって戻しピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されると、他方寄りのロッカーアームのピン穴から連結ピンが抜け出して複数のロッカーアームの連結が解除される。連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が、平面視にて所定方向に対する直交方向で点火プラグから外れることで、部品レイアウトの自由度が向上すると共にエンジンの大型化を抑えることができる。さらに、複数の気筒で同じロッカーアームを用いて部品の共通化を図ることができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。
図1は本実施例のエンジン及び車体フレームの左側面図である。
図2は、本実施例のシリンダヘッド内の斜視図である。
図3は、本実施例の可変動弁装置の斜視図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。また、以下の説明では、シリンダヘッドの左右方向の中央側を一方側とし、シリンダヘッドの左右方向の外側を他方側として説明する。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両は、クレードル型の車体フレーム10にエンジン20や電装系等の各種部品を搭載して構成されている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11の上部から後方に延びた後に下方に屈曲したメインチューブ12と、ヘッドパイプ11の下部から下方に延びた後に後方に屈曲したダウンチューブ13とを有している。メインチューブ12の下端部にダウンチューブ13の後端部が接合されて車体フレーム10の内側にエンジン20の設置空間が形成されている。メインチューブ12によってエンジン20の後側が支持され、ダウンチューブ13によってエンジン20の前側及び下側が支持されている。
【0012】
エンジン20は、並列2気筒エンジンであり、クランクケース21と、クランクケース21上に設けられたシリンダ22と、シリンダ22上に設けられたシリンダヘッド23と、シリンダヘッド23上に設けられたシリンダヘッドカバー24とを有している。クランクケース21の左側面には、マグネト(不図示)を側方から覆うマグネトカバー25が取り付けられている。マグネトカバー25の後方には、ドライブスプロケット(不図示)を側方から覆うスプロケットカバー26が取り付けられている。クランクケース21の右側面にはクラッチ(不図示)を側方から覆うクラッチカバー(不図示)が取り付けられている。
【0013】
エンジン20の前方には、エンジン20の冷却水を放熱するラジエータ15が設置されている。シリンダヘッドカバー24の外面には、可変動弁装置40への油圧を制御するオイルコントロールバルブ16が設置されている。オイルコントロールバルブ16にはクランクケース21のメインギャラリから外部配管17を通じてオイルが供給されている。シリンダヘッド23及びシリンダヘッドカバー24の内側には動弁室が形成されている。動弁室には、油圧によって吸気バルブ33(
図3参照)及び排気バルブ34(
図3参照)のバルブ動作を変化させる可変動弁装置40(
図3参照)が搭載されている。
【0014】
図2に示すように、エンジン20は4バルブの2気筒エンジンであり、一対の気筒29(
図4参照)の中間にカムチェーン31が設置されている。カムチェーン31はカムスプロケット32に巻き掛けられており、カムスプロケット32を挟んで左右の気筒29毎に可変動弁装置40が設置されている。可変動弁装置40には、カムスプロケット32と一体に回転するカムシャフト41が設けられている。シリンダヘッド23内には気筒29毎にカムハウジング42a、42bが左右方向(所定方向)に離間して設置されており、このカムハウジング42a、42bとシリンダヘッド23の合わせ面によってカムシャフト41が回転可能に支持されている。
【0015】
シリンダヘッド23内には、カムシャフト41の後側に4つの吸気バルブ33(
図3参照)が設置され、カムシャフト41の前側に4つの排気バルブ34が設置されている。吸気バルブ33は弁バネ35(
図3参照)によって閉弁方向に押し付けられており、排気バルブ34は弁バネ36によって閉弁方向に押し付けられている。カムシャフト41の外周面には低速カム43、高速カム44、排気カム45(いずれも
図3参照)が形成されている。各カム43-45はベース円の一部からカム山が突き出した板状に形成されている。低速カム43よりも高速カム44のバルブリフト量が大きくなるように、低速カム43よりも高速カム44のカム山が高くなっている。
【0016】
カムハウジング42a、42bの対向部分には吸気側のロッカーシャフト46及び排気側のロッカーシャフト47が支持されている。吸気側のロッカーシャフト46及び排気側のロッカーシャフト47はカムシャフト41よりも上方に位置しており、吸気側のロッカーシャフト46及び排気側のロッカーシャフト47がカムシャフト41と平行に延在している。また、シリンダヘッド23の左右の側壁が凹状に窪んでおり、シリンダヘッド23の窪み28には一対のプラグカバー18が設置されている。シリンダヘッド23の後側には可変動弁装置40にオイルを供給するオイルコントロールバルブ16が設置されている。
【0017】
カムハウジング42a、42bの上面に上部ハウジング70が両持ち支持されている。上部ハウジング70は、前後に延びるハウジング固定部71a、71bと、左右に延びる第1-第3のブリッジ部72-74と、によってラダー形状に形成されている。第1のブリッジ部72は吸気側のロッカーシャフト46に沿って延びており、第2のブリッジ部73はカムシャフト41に沿って延びており、第3のブリッジ部74は排気側のロッカーシャフト47(
図3参照)に沿って延びている。上部ハウジング70の各ブリッジ部72-74から動弁部品の必要な箇所に潤滑油が供給されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、吸気側のロッカーシャフト46には2種類のロッカーアーム51a、51bが揺動可能に支持され(
図3ではそれぞれ1つのみ図示)、排気側のロッカーシャフト47にはロッカーアーム52が揺動可能に支持されている(
図3では1つのみ図示)。吸気側のロッカーアーム51a及び排気側のロッカーアーム52は、力点と作用点を持ったシーソー状に形成されているが、吸気側のロッカーアーム51bはロッカーアーム51aの力点になるように形成されている。吸気側のロッカーアーム51a及び排気側のロッカーアーム52の左右両端は二股に分かれている。
【0019】
吸気側のロッカーアーム51aの一端には低速カム43に転接するローラ53aが回転可能に支持され、ロッカーアーム51aの二股に分かれた他端には一対の吸気バルブ33が連結されている。吸気側のロッカーアーム51bの一端には高速カム44に転接するローラ53bが回転可能に支持されており、ロッカーアーム51bの他端には吸気バルブ33は連結されていない。排気側のロッカーアーム52の一端には排気カム45に転接するローラ54が回転可能に支持され、ロッカーアーム52の二股に分かれた他端には一対の排気バルブ34が連結されている。ロッカーアーム51a、51bは連結可能に形成されている。
【0020】
エンジンの低回転時及び中回転時には、ロッカーアーム51a、51bが連結されていない。このため、低速カム43によってロッカーアーム51aが揺動され、高速カム44によってロッカーアーム51bが揺動される。ロッカーアーム51aには一対の吸気バルブ33が連結されているため、低速カム43の回転に応じて一対の吸気バルブ33が動かされる。低速カム43のカム山が低いため、一対の吸気バルブ33のバルブリフト量が低くなっている。なお、ロッカーアーム51bには吸気バルブ33が連結されていないため、高速カム44の回転に応じてロッカーアーム51bが空振りしている。
【0021】
エンジンの高回転時には、ロッカーアーム51a、51bが連結されている。このため、高速カム44によってロッカーアーム51a、51bが一体的に揺動される。ロッカーアーム51bにはロッカーアーム51aを介して一対の吸気バルブ33が連結されているため、高速カム44の回転に応じて一対の吸気バルブ33が動かされる。高速カム44のカム山が高いため、一対の吸気バルブ33のバルブリフト量が高くなっている。このように、ロッカーアーム51a、51bの連結状態が切り替わることによって、吸気バルブ33を動かす低速カム43と高速カム44が切り替えられている。
【0022】
各可変動弁装置40には、油圧によってロッカーアーム51a、51bの連結状態及び非連結状態を切り替える切替機構が設けられている。シリンダヘッド23の左右方向(所定方向)の一方寄り(中央寄り)のロッカーアーム51bのピン穴に連結ピン61が設置され、シリンダヘッド23の左右方向の他方寄り(外側寄り)のロッカーアーム51aのピン穴に戻しピン62が設置されている。ロッカーアーム51bよりも一方側に油圧ピストン(押圧部材)63が設置され、ロッカーアーム51aよりも他方側にバネ付きのスプリングピン(反発部材)64が設置されている。
【0023】
油圧ピストン63は連結ピン61に戻しピン62を他方側に向けて押し込ませ、スプリングピン64は戻しピン62に連結ピン61を一方側に向けて押し戻させている。油圧ピストン63によって連結ピン61が押し込まれることで、ロッカーアーム51bのピン穴からロッカーアーム51aのピン穴に連結ピン61の一部が入り込んでロッカーアーム51a、51bが連結される。スプリングピン64によって戻しピン62を介して連結ピン61が押し戻されることで、ロッカーアーム51aのピン穴から連結ピン61の一部が抜け出してロッカーアーム51a、51bの連結が解除される。
【0024】
ところで、シリンダヘッド23には、左右の気筒29(
図4参照)が並んだ左右方向の中央にカムチェーン31が設置され、左右方向の両外壁を凹状に窪ませて点火プラグ19(
図4参照)が設置されている。このようなシリンダヘッド23では、カムチェーン31と点火プラグ19の間のスペースが狭くなって、カムシャフト41の左右のカムが左右の気筒29の中央側(カムチェーン31側)に寄せられている。このため、通常は、左気筒29用の各ロッカーアームと右気筒29用の各ロッカーアームが左右反転した形状に形成されるため、部品毎に金型を用意しなければならずコストが増加する。
【0025】
特に、各気筒の一対のロッカーアームが連結ピンを介して連結される構成として、片方のロッカーアームの有底のピン穴にスプリングピンが設置されている構成が考えられる。しかしながら、このようなロッカーアームでは左右の気筒でピン穴が左右逆向きに開口することになり、左右の気筒でロッカーアームを共通化することができない。そこで、本実施例の可変動弁装置40では、ロッカーアーム51a、51bの形状及び部品レイアウトを工夫して、エンジン20を大型化することなくロッカーアーム51a、51bの共通化を実現している。
【0026】
以下、
図4及び
図5を参照して、可変動弁装置の部品レイアウト及びオイル通路について説明する。
図4は本実施例のシリンダヘッド内の上面図である。
図5は実施例の作動通路及びショートカット通路の模式図である。
【0027】
図4に示すように、シリンダヘッド23内では、吸気側のロッカーシャフト46と排気側のロッカーシャフト47が左右方向(所定方向)に延びている。吸気側のロッカーシャフト46にはロッカーアーム51a、51bが支持され、排気側のロッカーシャフト47にはロッカーアーム52が支持されている。左右方向の外側寄りのロッカーアーム51aは吸気側の低速ロッカーアームであり、左右方向の中央寄りのロッカーアーム51bは吸気側の高速ロッカーアームである。ロッカーアーム51a、51bは、長手方向に延びる中心線C1、C2を基準にして対称に形成されている。
【0028】
より詳細には、ロッカーアーム51aの中心線C1は気筒中心Oを通っており、この中心線C1を基準にしてロッカーアーム51aが対称に形成されている。ロッカーアーム51aの作用点側は二股に分岐しており、ロッカーアーム51aの一対の分岐部57が左右に延びている。一対の分岐部57の長さは同じであり、一対の分岐部57の先端側には一対の吸気バルブ33が連結されている。一対の吸気バルブ33が気筒中心Oを通る中心線C1を基準にして対称的に位置している。このようなレイアウトによって、一対の分岐部57が短く形成されて、気筒29上にロッカーアーム51aがコンパクトに設置されている。
【0029】
ロッカーアーム51aの力点側にはローラ53aが支持されており、ロッカーアーム51aの支点付近には戻しピン62が支持されている。このローラ53aの支持部(支持箇所)38aと戻しピン62の支持部(支持箇所)39aが略同幅に形成されてロッカーアーム51aの幅寸法が抑えられている。ローラ53aの支持部58aと戻しピン62の支持部59aの形状も中心線C1を基準にして対称に形成されている。ロッカーアーム51aの全体が中心線C1を基準にした対称形状になっているため、左右の気筒29で同じロッカーアーム51aが使用可能になって部品の共通化が図られている。
【0030】
また、ロッカーアーム51bの中心線C2は気筒中心Oよりも左右方向の中央側を通っており、この中心線C2を基準にしてロッカーアーム51bが対称に形成されている。ロッカーアーム51bの作用点側のアーム部分が存在せず、ロッカーアーム51bに一対の吸気バルブ33が連結されていない。ロッカーアーム51bがロッカーアーム51aよりもカムチェーン31側に位置し、シリンダヘッド23の凹状の窪み28にロッカーアーム51bが干渉することがない。窪み28の無いカムチェーン31側のスペースを利用して、ロッカーアーム51bが設置されることでエンジン20の大型化が抑えられている。
【0031】
ロッカーアーム51bがロッカーアーム51aに隣接しており、ロッカーアーム51bの中心線C2上に吸気バルブ33のステムエンドが位置している。この場合、ロッカーアーム51bの作用点側のアーム部分が存在しないため、ロッカーアーム51aの作用点側からカムチェーン31側に延びる分岐部57にロッカーアーム51bが干渉することがない。このロッカーアーム51aの分岐部57の前方にロッカーアーム51bが位置付けられ、ロッカーアーム51a、51bがシリンダヘッド23にコンパクトに設置されてエンジン20の大型化が抑えられている。
【0032】
ロッカーアーム51bの力点側にはローラ53bが支持されており、ロッカーアーム51bの支点付近には連結ピン61が支持されている。このローラ53bの支持部(支持箇所)38bと連結ピン61の支持部(支持箇所)39bが略同幅に形成されてロッカーアーム51bの幅寸法が抑えられている。ローラ53bの支持部58bと連結ピン61の支持部59bの形状も中心線C2を基準にして対称に形成されている。ロッカーアーム51bの全体が中心線C2を基準にした対称形状になっているため、左右の気筒29で同じロッカーアーム51bが使用可能になって部品の共通化が図られている。
【0033】
連結ピン61、戻しピン62、油圧ピストン63、スプリングピン64が、前後方向(平面視にて所定方向に対する直交方向)で点火プラグ19から外れている。スプリングピン64がロッカーアーム51aよりも左右方向の外側に設置されても、点火プラグ19が設置される凹状の窪み28にスプリングピン64が干渉することがない。シリンダヘッド23の窪み28によってカムチェーン31と点火プラグ19の間のスペースが広く確保できなくても、窪み28から外れたスペースを利用してスプリングピン64等の部品が設置される。よって、部品レイアウトの自由度が向上すると共にエンジン20の大型化を抑えることができる。
【0034】
シリンダヘッド23の後側では、一対の油圧ピストン63がカムチェーン31を挟んで対称的に設置されている。また、シリンダヘッド23の後壁には、一対の油圧ピストン63に作動油を供給するオイルコントロールバルブ16(
図2参照)が設置されている。オイルコントロールバルブ16の設置位置は一対の油圧ピストン63から等距離であり、カムチェーン31の真後ろに位置している。カムチェーン31と一対の油圧ピストン63の間には、オイルコントロールバルブ16から一対の油圧ピストン63に向かう作動油用のオイル通路が形成されている。
【0035】
カムチェーン31と油圧ピストン63の間には、カムハウジング42aと上部ハウジング70のハウジング固定部71a(
図2参照)が位置している。ハウジング固定部71aの下面にはオイル溝が形成されており、ハウジング固定部71aがカムハウジング42aに固定されることでオイル通路として作動通路85(
図5参照)及びショートカット通路86(
図5参照)が形成される。このように、カムチェーン31を挟んで一対の油圧ピストン63を設置するレイアウトでも、作動通路85及びショートカット通路86を通じて一対の油圧ピストン63に均等に作動油を供給することができる。狭いスペースにオイル通路を形成することでエンジン20の大型化を抑えることができる。
【0036】
図5に示すように、ハウジング固定部71a(
図4参照)では、オイルコントロールバルブ16からカムシャフト41に向かって作動通路85の上流側通路87aが延びており、カムシャフト41から油圧ピストン63に向かって作動通路85の下流側通路87bが延びている。上流側通路87aの下流端と下流側通路87bの上流端はカムシャフト41の外周面において同一円周上に位置付けられている。このカムシャフト41の外周面の円周上には周方向にオイル溝89が形成されている。オイル溝89は上流側通路87aと下流側通路87bと共に油圧ピストン63に対して作動油を供給する作動通路として機能している。
【0037】
オイル溝89を介して上流側通路87aと下流側通路87bが連通している間だけ、オイルコントロールバルブ16から油圧ピストン63にオイルが供給される。このとき、バルブリフトの終了タイミングで上流側通路87aと下流側通路87bが連通し、バルブリフトの開始前までに上流側通路87aと下流側通路87bが分断するようにオイル溝89が形成されている。すなわち、バルブリフトの終了タイミングでオイルコントロールバルブ16から油圧ピストン63にオイルが供給され始め、油圧ピストン63へのオイルの供給がバルブリフトの開始前までに終わるようにオイル溝89が形成されている。
【0038】
バルブリフトの終了タイミングで油圧ピストン63にオイルが供給され始めるため、バルブリフトによってロッカーアーム51a、51bの連結動作が阻害されることがない。また、バルブリフトの開始前にロッカーアーム51a、51bの連結動作が終了するため、バルブリフトの途中でロッカーアーム51a、51bが連結されることがない。よって、カムシャフト41の回転に伴って作動通路85を通じてオイルコントロールバルブ16から油圧ピストン63に断続的にオイルが供給され、連結ピン61を介してロッカーアーム51a、51bをスムーズに連結することができる。
【0039】
また、オイルコントロールバルブ16から油圧ピストン63にショートカット通路86がダイレクトに延びている。ショートカット通路86は、作動通路85よりも短く形成されている。作動通路85から油圧ピストン63にオイルが供給された後に、ショートカット通路86から油圧ピストン63にオイルが供給されるように、油圧ピストン63に対する段階的なオイルの供給構造が形成されている。作動通路85からの断続的なオイルの供給だけでは油圧ピストン63が動いてしまう恐れがあるが、ショートカット通路86からダイレクトにオイルが供給されることで油圧ピストン63が安定的に保持される。
【0040】
図6を参照して、可変動弁装置の連結動作について説明する。
図6は本実施例の可変動弁装置の連結動作の説明図である。また、
図6では説明の便宜上、
図5の符号を適宜用いて説明する。
【0041】
図6(A)に示すように、上部ハウジング70には、ロッカーアーム51bよりも一方側の接続部81aに油圧室82が形成され、ロッカーアーム51aよりも他方側の接続部81bに収容穴83が形成されている。油圧室82には油圧ピストン63が設置されており、収容穴83にはスプリングピン64が設置されている。油圧ピストン63はロッカーアーム51b内の連結ピン61に接触し、スプリングピン64はロッカーアーム51a内の戻しピン62に接触している。油圧ピストン63及びスプリングピン64の中心線が一致しており、部品同士の片当たりによる摩耗が抑えられている。
【0042】
エンジンの低回転時には、オイルコントロールバルブ16から油圧室82にオイルが供給されていない。油圧ピストン63から連結ピン61に押圧力が作用しておらず、スプリングピン64のバネ力が戻しピン62に作用している。戻しピン62がロッカーアーム51aに突き当てられ、戻しピン62が初期位置に位置付けられている。このとき、連結ピン61の他端65がロッカーアーム51a、51bの隙間の非連結位置P1で戻しピン62の一端66に接している。連結ピン61の他端65がロッカーアーム51b外に位置しており、ロッカーアーム51a、51bが分離している。
【0043】
図6(B)に示すように、エンジン回転数が所定回転数以上に増加すると、オイルコントロールバルブ16から油圧室82にオイルが供給され始める。カムシャフト41の回転に伴って、作動通路85の上流側通路87aと下流側通路87bがオイル溝89を通じて間欠的に連通され、作動通路85から油圧ピストン63にオイルが断続的に供給される。このとき、ロッカーアーム51a、51bの連結動作を阻害しないように、吸気バルブ33のバルブリフトの終了タイミングにオイルが供給され始める。このため、作動通路85からのオイルによって油圧ピストン63が進出方向にスムーズに押し出される。
【0044】
油圧ピストン63によって連結ピン61が押し込まれて、連結ピン61によって戻しピン62を介してスプリングピン64が他方側に動かされる。連結ピン61の他端65が非連結位置P1からロッカーアーム51a内の連結位置P2まで他方側に移動される。ロッカーアーム51aのピン穴55aに連結ピン61の一部が入り込むことで、連結ピン61を介してロッカーアーム51a、51bが連結される。油圧ピストン63の移動によってショートカット通路86の下流端が開放されて、ショートカット通路86からの連続的なオイル供給によって油圧ピストン63の位置が保持される。
【0045】
図6(A)に示すように、エンジン回転数が所定回転数未満に低下すると、油圧ピストン63からオイルコントロールバルブ16にオイルが戻される。油圧ピストン63による連結ピン61の押し込みが解除され、スプリングピン64の反発力によって戻しピン62が押し戻されて、戻しピン62によって連結ピン61が一方側に押し戻される。連結ピン61の他端65が連結位置P2から非連結位置P1まで一方側に移動される。そして、ロッカーアーム51aのピン穴55aから連結ピン61の一部が抜け出すことで、ロッカーアーム51a、51bの連結が解除される。
【0046】
以上、本実施例の可変動弁装置40によれば、油圧ピストン63によって連結ピン61を介して戻しピン62が他方側に押し込まれると、ロッカーアーム51bのピン穴からロッカーアーム51aのピン穴に連結ピン61が部分的に入り込んでロッカーアーム51a、51bが連結される。スプリングピン64によって戻しピン62を介して連結ピン61が一方側に押し戻されると、ロッカーアーム51aのピン穴から連結ピン61が抜け出してロッカーアーム51a、51bの連結が解除される。シリンダヘッド23の凹状の窪み28から外れたスペースに連結ピン61、戻しピン62、油圧ピストン63、スプリングピン64が設置されることで、部品レイアウトの自由度が向上すると共にエンジン20の大型化を抑えることができる。さらに、左右の気筒29で同じロッカーアーム51a、51bを用いて部品の共通化を図ることができる。
【0047】
なお、本実施例では、可変動弁装置の吸気側に一対のロッカーアームが備えられているが、可変動弁装置の吸気側に複数のロッカーアームが備えられていればよい。例えば、可変動弁装置の吸気側に3つ以上のロッカーアームが備えられていてもよい。
【0048】
また、本実施例では、押圧部材として油圧ピストンを例示しているが、押圧部材は連結ピンに戻しピンを他方側に向けて押し込ませる部材であればよい。
【0049】
また、本実施例では、反発部材としてスプリングピンを例示しているが、反発部材は戻しピンに連結ピンを一方側に向けて押し戻させる部材であればよい。
【0050】
また、本実施例では、エンジンに一対の気筒が形成されているが、エンジンには3つ以上の気筒が形成されていてもよい。
【0051】
また、本実施例では、連結ピン及び戻しピンにフランジピンが用いられているが、連結ピン及び戻しピンにはストレートピンが用いられていてもよい。
【0052】
また、本実施例では、シーソー式のロッカーアームを例示したが、ロッカーアームの種類は特に限定されず、フィンガーフォロアー式のロッカーアームでもよい。
【0053】
また、本実施例では、複数のロッカーアームが隣接しているが、複数のロッカーアームが離間していてもよい。
【0054】
また、本実施例では、上部ハウジングに作動通路とショートカット通路が形成されているが、シリンダヘッドには油圧ピストンに作動油を供給可能なオイル通路が形成されていればよい。
【0055】
また、本実施例の排気装置は上記の鞍乗型車両のエンジンに限らず、他の乗り物のエンジンに採用されてもよい。また、鞍乗型車両は自動二輪車に限定されず、エンジンが搭載された乗り物であればよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0056】
以上の通り、第1態様は、複数の気筒(29)が並んだ所定方向の中央にカムチェーン(31)が設置され、所定方向の両側の外壁を凹状に窪ませて点火プラグ(19)が設置されたシリンダヘッド(23)のバルブ動作を変更可能な可変動弁装置(40)であって、シリンダヘッド内にて所定方向に沿って延びるロッカーシャフト(46)と、ロッカーシャフトに揺動可能に支持された複数のロッカーアーム(51a、51b)と、所定方向の一方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された連結ピン(61)と、所定方向の他方寄りのロッカーアームのピン穴に設置された戻しピン(62)と、連結ピンに戻しピンを他方側に向けて押し込ませる押圧部材(油圧ピストン63)と、戻しピンに連結ピンを一方側に向けて押し戻させる反発部材(スプリングピン64)と、を気筒毎に備え、連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が、平面視にて所定方向に対する直交方向で点火プラグから外れている。この構成によれば、押圧部材によって連結ピンを介して戻しピンが他方側に押し込まれると、一方寄りのロッカーアームのピン穴から他方寄りのロッカーアームのピン穴に連結ピンが部分的に入り込んで複数のロッカーアームが連結される。反発部材によって戻しピンを介して連結ピンが一方側に押し戻されると、他方寄りのロッカーアームのピン穴から連結ピンが抜け出して複数のロッカーアームの連結が解除される。シリンダヘッドの凹状の窪みから外れたスペースに連結ピン、戻しピン、押圧部材、反発部材が設置されることで、部品レイアウトの自由度が向上すると共にエンジンの大型化を抑えることができる。さらに、複数の気筒で同じロッカーアームを用いて部品の共通化を図ることができる。
【0057】
第2態様は、第1態様において、一方寄りのロッカーアーム(51b)は高速ロッカーアームであり、他方寄りのロッカーアームは低速ロッカーアーム(51a)であり、低速ロッカーアームの作用点側は二股に分岐して一対の吸気バルブ(33)が連結され、低速ロッカーアームの長手方向に延びる中心線(C1)が気筒中心(O)を通り、当該中心線を基準にして低速ロッカーアームの一対の分岐部(57)が対称に形成されている。この構成によれば、一対の吸気バルブが気筒中心を通る高速ロッカーアームの中心線を基準にして対称的に位置している。よって、一対の分岐部が短く形成されて、気筒上にロッカーアームがコンパクトに設置される。
【0058】
第3態様は、第2態様において、高速ロッカーアームが低速ロッカーアームよりもカムチェーン側に位置している。この構成によれば、窪みが無いカムチェーン側に高速ロッカーアームを設置することでエンジンの大型化を抑えることができる。
【0059】
第4態様は、第2態様又は第3態様において、高速ロッカーアームの長手方向に延びる中心線(C2)上に吸気バルブのステムエンドが位置している。この構成によれば、低速ロッカーアームと高速ロッカーアームをコンパクトに設置してエンジンの大型化を抑えることができる。
【0060】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか一態様において、複数のロッカーアームの長手方向に延びる中心線を基準にして複数のロッカーアームが対称に形成されており、一方寄りのロッカーアームの力点側にはローラ(53b)が支持されており、当該ローラの支持箇所(支持部58b)と連結ピンの支持箇所(支持部59b)が略同幅であり、他方寄りのロッカーアームの力点側にはローラ(53a)が支持されており、当該ローラの支持箇所(支持部58a)と戻しピンの支持箇所(支持部58b)が略同幅である。この構成によれば、複数のロッカーアームの幅寸法が抑えられる。複数の気筒で同じロッカーアームが使用可能になって部品の共通化を図ることができる。
【0061】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか一態様において、複数の気筒は一対の気筒であり、押圧部材は油圧で作動する一対の油圧ピストンであり、一対の油圧ピストンがカムチェーンを挟んで対称的に設置され、一対の油圧ピストンから等距離の位置に、当該一対の油圧ピストンに作動油を供給するオイルコントロールバルブが設置され、カムチェーンと一対の油圧ピストンの間には、オイルコントロールバルブから一対の油圧ピストンに向かうオイル通路(作動通路85、ショートカット通路86)が形成されている。この構成によれば、カムチェーンを挟んで一対の油圧ピストンを設置するレイアウトでも、一対の油圧ピストンに対して均等に作動油を供給することができる。狭いスペースにオイル通路を形成することでエンジンの大型化を抑えることができる。
【0062】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0063】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。