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  • 特開-捕集フィルタおよび空調装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037267
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】捕集フィルタおよび空調装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20240312BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20240312BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240312BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D46/10 B
B01D46/10 A
F24F8/108 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141980
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宗村 勇武
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BB03
4D019BC20
4D019CB01
4D058JA12
4D058JB25
4D058JB48
4D058KA01
4D058KA23
4D058KB11
4D058KC33
4D058KC37
4D058QA05
4D058TA07
4D058TA08
(57)【要約】
【課題】簡単に着脱が可能でかつ捕集したゴミや埃が飛散することを抑え、利便性と衛生面とに優れた捕集フィルタおよび空調装置を提供する。
【解決手段】空気中の物質を捕獲する濾過部2を備え、1または複数の辺を有して吸気口近傍に着脱自在に取り付けられる捕集フィルタ1であって、濾過部2を水平にして一の辺の中央部分を支点として持ち上げたときの、支点よりも下方に屈曲した濾過部2の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量Yとし、一の辺の長さLに対するたわみ量Yを変形率とした場合に、その変形率が30%以下であることとした。これにより、メンテナンスで捕集フィルタ1を交換する際、捕集フィル1タを取り外したり持ち運んだりしたときに、捕集されたゴミや埃が落下して空気中に飛散してしまうことが抑制されるので、利便性と衛生面とを向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有し空気中の物質を捕獲する濾過部を備え
1または複数の辺を有し吸気口近傍に着脱自在に取り付けられる捕集フィルタであって、
前記濾過部を水平にして一の辺の中央部分を支点として持ち上げたときの、前記支点よりも下方に屈曲した前記濾過部の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量とし、
前記一の辺の長さに対する前記たわみ量を変形率とした場合に、前記変形率が30%以下である捕集フィルタ。
【請求項2】
前記濾過部は繊維性材料からなる請求項1記載の捕集フィルタ。
【請求項3】
前記濾過部の少なくとも外周部に設けられる保持部を備える請求項2記載の捕集フィルタ。
【請求項4】
前記保持部は繊維性材料からなる請求項3記載の捕集フィルタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の捕集フィルタを備えた空調装置であって、
前記捕集フィルタを取り付ける取付部を有する空調装置。
【請求項6】
前記捕集フィルタは使い捨てである請求項5記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置等の吸気口に取り付けて使用する捕集フィルタおよび、捕集フィルタを備える空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調装置は、吸気口から取り入れた空気に対して浄化、加湿、温度調整等を行い室内に放出する。例えば空調装置の一例である空気清浄機においては、空気流を発生させるファンと、本体内に取り入れられた空気に含まれる物質を捕集する集塵フイルタとを有し、集塵フィルタによって浄化された空気を排出するように構成されている。さらに集塵フィルタの上流には、プレフィルタを備えていて、比較的大きな塵埃はこのプレフィルタにて捕集するようになっている。このような空調装置では、空気の浄化性能を維持するために定期的なメンテナンスが必要であり、一般的には2週間~1ヶ月に一度、プレフィルタを本体から取り外して、捕集した塵埃を除去しなければならない(たとえば、特許文献1)。
【0003】
そこで、空調装置におけるメンテナンス性を向上させるため、吸気口に貼り付けて使用することのできるフィルタが提案されている(特許文献2)。このフィルタには粘着剤や両面テープを備えた固定部が設けられていて、固定部を吸気口の外側に貼り付けることで、本体内に流入する空気中の塵埃等を除去することができる。そして、フィルタが汚れてきたら、フィルタを本体から剥がし、新しいものに取り替えるようになっている。これにより、本体内のプレフィルタに付着する塵埃を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-99858号公報
【特許文献2】国際公開第2018/062344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような取替可能なフィルタは、粘着剤で貼り付けているため剥がしにくい。そのため、フィルタを剥がす際にフィルタの捕集面が変形し、せっかく捕集したゴミや埃が舞い上がってしまうおそれがある。この舞い上がった塵埃を吸い込んでしまったり、床に落ちた埃を拾わなければならない等、衛生面や利便性において問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、簡単に着脱が可能でかつ捕集したゴミや埃が飛散することを抑え、利便性と衛生面とに優れた捕集フィルタおよび空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通気性を有し空気中の物質を捕獲する濾過部を備え、
1または複数の辺を有し吸気口近傍に着脱自在に取り付けられる捕集フィルタであって、
前記濾過部を水平にして一の辺の中央部分を支点として持ち上げたときの、前記支点よりも下方に屈曲した前記濾過部の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量とし、
前記一の辺の長さに対する前記たわみ量を変形率とした場合に、前記変形率が30%以下である捕集フィルタである。
【0008】
また、上記捕集フィルタを取り付ける取付部を有する空調装置である。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成することにより、メンテナンスでフィルタを交換する際に、捕集フィルタに捕集されたゴミや埃が落下して空気中に飛散してしまうことが抑制されるので、利便性と衛生面とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の捕集フィルタの構造の一例を示す平面図である。
図2】本実施形態の捕集フィルタにおいて、たわみ量の測定方法を示す図である。
図3】捕集フィルタの変形率と埃の落下量との関係を示すグラフである。
図4】本実施形態の捕集フィルタの構造の他の一例を示す平面図である。
図5】本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の外観図である。
図6】本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の断面構成図である。
図7】本実施形態の空調装置の他の一例である空気清浄機の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、空気中の物質を捕獲する濾過部を備え、1または複数の辺を有して吸気口近傍に着脱自在に取り付けられる捕集フィルタであって、濾過部を水平にして一の辺の中央部分を支点として持ち上げたときの、支点よりも下方に屈曲した濾過部の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量とし、一の辺の長さに対するたわみ量を変形率とした場合に、その変形率が30%以下であることとした。これにより、メンテナンスで捕集フィルタを交換する際、捕集フィルタを取り外したり持ち運んだりしたときに、捕集フィルタに捕集されたゴミや埃が落下して空気中に飛散してしまうことが抑制されるので、利便性と衛生面とを向上させることができる。
【0013】
また、濾過部は繊維性材料から構成されていて、捕集された塵埃は繊維の間に絡まり易い。そのため、使用済みの捕集フィルタを取り替える際に、捕集フィルタから塵埃が落下してしまうことが抑制され、使い勝手に優れる。
【0014】
また、濾過部の少なくとも外周部に保持部を設けることで、濾過部の厚みを薄くしても変形率を30%以下に保持することができる。これにより、捕集フィルタを通過する空気の圧損を抑えることができる。
【0015】
また、保持部は濾過部と同じく繊維性材料から構成されている。これにより、使用済みの捕集フィルタをゴミとして処分する場合に分別の手間を省くことができため、使い勝手に優れる。
【0016】
また、空調装置は、この捕集フィルタを取り付ける取付部を備えて構成されており、空調装置のメンテナンスにおける利便性と衛生面とを向上させることができる。
【0017】
また、捕集フィルタは使い捨てである。メンテナンスの際には使用済みの捕集フィルタを取り外し、新しい捕集フィルタに交換するだけでよいため、空調装置のメンテナンスの手間を軽減することができる。
【実施例0018】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の捕集フィルタの構造の一例を示す平面図である。捕集フィルタ1は、空調装置等の吸気口の近傍に取り付けられて使用されるものであり、空気中の比較的大きな塵埃を捕集し、これにより塵埃が空調装置の内部に侵入することを抑制する。
【0020】
捕集フィルタ1は、4辺を有する矩形状であって、塵埃等を捕集する濾過部2と、濾過部2の外周部および中央部に十字に設けられた保持部3を有している。濾過部2は、通気性を有する例えば不織布などの繊維材料によって構成されており、繊維の間を通過する空気から比較的大きな塵埃を捕集する。濾過部2を繊維材料とすることで、塵埃が繊維の間に絡まるため、濾過部2に付着した塵埃が保持され易い。本実施形態の濾過部2は、厚みが1mm程度のシート状のものを使用しており、濾過部2のみではその形状を保持することが難しいため、濾過部2の外周及び中央部に保持部3を設けている。保持部3は、濾材2よりも高い剛性を有しており、少なくとも濾過部2の外周に保持部3を設けることによって、捕集フィルタ1の形状を保持することができる。
【0021】
また、捕集フィルタ1を構成する辺のうちの一つに示された点Xは、たわみ量を規定するための支点であり、辺の中央部に設定されている。支点Xの詳細については後述する。
【0022】
保持部3は、濾過部2の片面に接着または圧着されて固定されいる。保持部2を片面とすることで、捕集フィルタ1を容易に製造することができる。ただし、捕集フィルタ1の大きさによっては、強度を保持するために濾過部2の両面に保持部3を設けてもよい。
【0023】
保持部3は、捕集フィルタ1を手に持った時にその形状を保持できるようになっていればよく、濾過部2の外周の全てを覆っている必要はない。さらには、濾過部2がある程度の厚み(例えば3mm以上)を有しており、保持部3を設けずとも形状を保持できるのであれば、保持部3を設けなくてもよい。ただし、濾過部2の密度が同等の場合には、厚くなるほど空気の圧損が増加するので、使用される空調装置の動作に影響を与えないように注意を要する。しかしながら、本実施形態のようにシート状の濾過部2であれば特に問題はない。また、必要に応じて本実施形態のように、外周だけでなく中央部にも保持部3を延設することができる。
【0024】
捕集フィルタ1は、塵埃が多量に付着すると目詰まりを起こして吸気口に流入する空気量を低減させてしまうため、定期的なメンテナンスが必要となる。本実施形態の捕集フィルタ1は、いわゆる使い捨てタイプのフィルタであって、メンテナンスの際には吸気口から取り外して新しい捕集フィルタ1に交換するようになっている。メンテナンスの頻度は、取付対象の機器の使用度合いによっても異なるが、例えば数カ月に1度交換される。
【0025】
保持部3は、例えば厚紙などの繊維材料から構成することができる。捕集フィルタ1を構成する濾過部2と保持部3をともに繊維材料で構成することで、使用済みの捕集フィルタ1をゴミとして処分する場合に分別の手間を省くことができる。保持部3は上述のように濾過部2と別部材で構成されるものに限らず、例えば濾過部2の縁を熱処理等によって硬化させることで保持部3を形成してもよい。
【0026】
さらには、濾過部2には抗菌、抗ウィルス、脱臭等の機能を付与してもよい。また、繊維材料を難燃性のものにすれば、捕集フィルタ1が取り付けられる空調装置が暖房機や加湿器のようにヒータ等の熱源を備える場合であっても、安全に使用することができる。
【0027】
また、捕集フィルタ1は、表裏、上下または左右の取付向きによって性能に差異が発生しないように構成されることが好ましい。これにより、吸気口に取り付ける際に向きを考慮する必要がなくなり、取り付けが容易となる。
【0028】
ところで、使用済みの捕集フィルタ1を取り替える際、濾過部2が大きくたわむと、せっかく捕集したゴミや埃が舞い上がってしまうおそれがある。また、取り外した捕集フィルタ1をゴミ箱等に運ぶ際には、持ち歩きの振動によって濾過部2にたわみが発生することもあり、たわみによってゴミや埃が床に落下することが考えられる。そして、舞い上がった塵埃を吸い込んでしまったり、床に落ちた埃を拾わなければならない等、衛生面や利便性において問題が発生する。そのため、捕集フィルタ1は繊維材料から構成されるものの、埃が舞い上がったり落下したリするのを抑えられるような剛性を有する必要がある。
【0029】
そこで、本実施形態においては、上記の問題を低減することのできる捕集フィルタ1として、捕集フィルタ1を持ち上げた際に生じるたわみ量から変形率を算出し、この変形率が所定の値以下であるものとする。変形率が所定の値以下であれば、捕集フィルタ1を持ち上げたり持ち運んだりしたときのたわみが少なく、濾過部2に付着した埃が舞い上がったり落下したリすることが抑えられる。
【0030】
図2は、本実施形態の捕集フィルタにおいて、たわみ量の測定方法を示す図である。濾過部2を水平にした状態で、捕集フィルタ1を構成する辺のうち、一の辺の中央部を摘み、ここを支点Xとして持ち上げる。捕集フィルタ1は柔軟性を有しており、支点よりも下方に屈曲するので、このときの濾過部2‘の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量Yとする。たわみ量Yが捕集フィルタ1の形状に対して大きくなると、取り外しや持ち運びの際に捕集フィルタ1の形状が変化して、埃の落下量が多くなってしまうので、捕集したゴミや埃が空気中に飛散してしまう。
【0031】
図3は、捕集フィルタの変形率と埃の落下量との関係を示すグラフである。あらかじめ埃を付着させた捕集フィルタ1を用意し、捕集フィルタ1の埃が堆積している面を下に向けて上下に10回振動させたときの落下量を計測した。変形率は、捕集フィルタ1の一の辺の長さLに対するたわみ量Yによって求められる(Y/L)。グラフに示すように、変形率が30%を超えると、埃の落下量が急激に増加することが認められる。したがって、捕集フィルタ1は変形率が30%以下であることが最低限必要とされる。さらには、変形率が20%以下になると、落下量を20%以下にまで抑えることができるためより好ましい。変形率は、濾過部2および保持部3の材質や形状、厚み等を適宜設定することにより変えることができる。
【0032】
例えば、濾過部2の厚みを厚くすれば保持部3を設けずとも変形率30%以下を維持することが可能となる。一方で、濾過部2がシート状の場合には、保持部3を適宜設けることで変形率30%以下を維持することができる。
【0033】
ただし、保持部3を設けて変形率を0%とした場合、埃の落下量は少ないが捕集フィルタ1の剛性が高く柔軟性が乏しいこととなり、捕集フィルタ1を処分する際に変形させることが難しくなるおそれがある。よって、保持部3を有する場合には、捕集フィルタ1にはある程度のたわみ量Yが発生する方がよい(変形率は0%よりも大きい)。
【0034】
以上は、4辺を有する矩形状の捕集フィルタ1を例に説明したが、捕集フィルタ1の形状は矩形に限らず、吸気口の形状等に合わせて設計することができる。図4は、本実施形態の捕集フィルタの構造の他の一例を示す平面図であるが、図に示すような円形でもよいし、楕円形でもよい。なお、捕集フィルタ1が円形の場合、たわみ量Yの測定の際の支点Xは外周のどこに置いても構わない。辺は円周全体であり、どこをとってもその中央部となるからである。
【0035】
次に、捕集フィルタ1を取り付けて使用する空調装置の構造について説明する。本実施形態では、空調装置の一例として空気清浄機を例に説明するが、空調装置は空気清浄機に限らず、加湿器、除湿器、暖房機、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0036】
図5は、本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の外観図であり、図6は、本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の断面構成図である。空気清浄機10は、天面パネル11と、正面パネル12と、左右の側面パネル13と、背面パネル(図示せず)と、底枠14を備えている。天面パネル11には、空気清浄機1の動作を指示する各種ボタンを備えた操作部15と、格子状のグリル16を有した吹出口17が設けられている。
【0037】
空気清浄機1の本体部20は、底枠14によって支持されている。本体部20の正面側には、底枠14と正面パネル12との間に正面開口12aが形成されていて、背面側も同様に背面開口が形成されている。また、側面パネル13には下方に設けられた開口により側面開口13aが形成されている。そして、空気清浄機10の底部には、本体部20に空気を導入する吸気口18が形成されており、正面開口12a、背面開口、側面開口13aを通じて流入した空気が吸気口18に取り入れられる。
【0038】
また、図6に示すように空気清浄機10の内部には、空気流方向上流から順に、吸気口18から取り入れられた空気から塵埃を捕集するメッシュ状のプレフィルタ21、プレフィルタ21を通過した物質を捕集する空気浄化部22、吸気口18から吹出口17に至る送風路に送風するファン23が設けられている。
【0039】
さらに吸気口18の下方、つまり空気流方向の上流には、捕集フィルタ1を取り付ける取付部としてのフィルタケース30が設けられている。フィルタケース30は捕集フィルタ1を収容し、本体部20に着脱自在に設けられる。フィルタケース30は正面パネル12側から本体部20に取り付けられ、正面パネル12とともに外装の一部を構成する。
【0040】
空気浄化部22は、吸気口18から本体部20内に取り入れられた空気を浄化するものであり、電気集塵式の集塵装置、HEPAフィルタなどの集塵フィルタ、脱臭フィルタなどを備えて構成することができる。本体部20内に取り入れられた空気は、捕集フィルタ1およびプレフィルタ21を通過する際に比較的大きな埃などが取り除かれており、空気浄化部22では、捕集フィルタ1を通過した粒子や、ウィルスなどの微細な物質を捕集して清浄化し、吹出口17から室内に排出する。
【0041】
捕集フィルタ1は空気流方向の最上流に設けられていて大きな塵埃が付着するため、定期的なメンテナンスが必要となる。プレフィルタ21や空気浄化部22よりもメンテナンス頻度は高い。捕集フィルタ1が設けられていることによって、プレフィルタ21や空気浄化部22に捕集される塵埃が低減されるので、プレフィルタ21や空気浄化部22のメンテナンス頻度を低くすることができ、利便性に優れる。
【0042】
捕集フィルタ1の濾過部2は不織布などの繊維性材料から構成されており、プレフィルタ21に比べ立体的な構造を有している(一般的なプレフィルタの厚みが数十μmであるのに対し、不織布の厚みは1000μm)。これにより、捕集フィルタ1の目詰まりを抑制し、吸気口18に流入する風量を維持することができるため、交換の頻度を低減することができる。また、塵埃が繊維の間に絡まることで、付着した塵埃が保持され易い。そのため、空気清浄機10の運転が停止して空気流が停止した後でも、捕集フィルタ1に付着した塵埃が落下することを抑えられる。
【0043】
本実施形態の捕集フィルタ1は、いわゆる使い捨てタイプのフィルタであるから、メンテナンスの際には、使用済みの捕集フィルタ1を取り外し、新しい捕集フィルタ1に交換するだけでよい。その際、フィルタケース30を引き出して、収容されている使用済みの捕集フィルタ1を取り出して、新しい捕集フィルタ1を装着する。
【0044】
捕集フィルタ1は変形率が30%以下であり、取り出した際のたわみが抑えられることで、捕集フィルタ1の交換時に濾過部2に捕集されたゴミや埃が飛散したり、床に落下したりすることが抑制される。
【0045】
また、捕集フィルタ1を構成する濾過部2と保持部3をともに繊維材料で構成することで、使用済みの捕集フィルタ1を処分する場合に分別の手間を省くことができる。
【0046】
捕集フィルタ1の取付部は、上述のようなフィルタを収容するケース状の部材に限らない。例えば、ケースを用いず捕集フィルタ1を直接スライドして装着するようにしてもよいし、本体部20の捕集フィルタ取付位置に係止片を複数設けて、係止片に捕集フィルタ1が係止されるようにしてもよい。また、吸気口18本体部20の上面に設けられている場合には、吸気口18に捕集フィルタを載置できるように取付部を設けることもできる。
【0047】
さらには、捕集フィルタ1は水平状態に取り付けられるだけでなく、垂直状態(立てた状態)で取り付けられてもよい。図7は、本実施形態の空調装置の他の一例である空気清浄機の外観図であるが、空気清浄機の外装部分にスリット状の溝31を形成して取付部とし、このスリット状の溝31から捕集フィルタ1を挿脱してもよい。
【0048】
以上に説明したように、本発明の捕集フィルタ1は、濾過部2を水平にして一の辺の中央部分を支点Xとして持ち上げたときの、支点Xよりも下方に屈曲した濾過部2の端部における鉛直方向の変位長さをたわみ量Yとし、一の辺の長さに対するたわみ量Yを変形率とした場合に、その変形率が30%以下であることとしたから、メンテナンスで捕集フィルタ1を交換する際、捕集フィルタ1を取り外したり持ち運んだりしたときに、捕集フィルタ1に捕集されたゴミや埃が落下して空気中に飛散してしまうことが抑制されるので、利便性と衛生面とを向上させることができる。
【0049】
また、空調装置は、この捕集フィルタ1を取り付ける取付部を備えて構成されているから、空調装置のメンテナンスにおける利便性と衛生面とを向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 捕集フィルタ
2 濾過部
3 保持部
30 フィルタケース(取付部)
31 溝(取付部)
X 支点
Y たわみ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7