IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧

特開2024-37300混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法
<>
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図1
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図2
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図3
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図4
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図5
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図6
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図7
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図8
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図9
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図10
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図11
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図12
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図13
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図14
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図15
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図16
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図17
  • 特開-混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037300
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142033
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】施設内を移動する移動体に起因して発生する混雑を把握することができる混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法を提供する。
【解決手段】取得部101は、移動体4の位置情報と、カメラ70によって撮像された移動体4を含む移動体4の周辺領域の画像情報とを取得する。生成部102は、画像情報を解析して、周辺領域内にいる人による混雑度の分布を示す混雑度マップを生成する。判定部103は、位置情報と混雑度マップとに基づき、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する。表示部35は、混雑度マップと判定部103の判定結果とを混雑情報として表示する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する混雑情報表示システムであって、
前記移動体の位置情報と、カメラによって撮像された前記移動体を含む前記移動体の周辺領域の画像情報とを取得する取得部と、
前記画像情報を解析して、前記周辺領域内にいる人による混雑度の分布を示す混雑度マップを生成する生成部と、
前記位置情報と前記混雑度マップとに基づき、前記移動体の周辺が前記移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する判定部と、
前記混雑度マップと前記判定部の判定結果とを前記混雑情報として表示する表示部とを備える、混雑情報表示システム。
【請求項2】
前記カメラは、第1カメラと第2カメラとを含み、
前記生成部は、
前記第1カメラによって撮像された第1画像情報および前記第2カメラによって撮像された第2画像情報のいずれにも前記移動体が撮像されている場合、前記第1画像情報と前記第2画像情報とを合成した画像を解析して前記混雑度マップを生成し、
前記第1画像情報および前記第2画像情報のいずれにも前記移動体が撮像されていない場合、過去に撮像された前記第1画像情報の時系列情報および過去に撮像された前記第2画像情報の時系列情報に基づき推定した画像を解析して前記混雑度マップを生成する、請求項1に記載の混雑情報表示システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記混雑度マップにおいて、前記混雑度が所定の混雑度未満となる第1領域と、前記混雑度が前記所定の混雑度以上となる混雑領域と、前記混雑度が前記所定の混雑度未満となる第2領域とがある場合に、前記混雑状態であると判断し、
前記第1領域は、前記移動体を含む領域であり、
前記混雑領域は、前記第1領域よりも前記移動体から遠い領域であって前記移動体を囲む領域であり、
前記第2領域は、前記混雑領域よりも前記移動体から遠い領域であって前記移動体を囲む領域である、請求項1または請求項2に記載の混雑情報表示システム。
【請求項4】
前記移動体の周囲に柵が設けられている場合、前記柵が前記第1領域と前記混雑領域との境界となる、請求項3に記載の混雑情報表示システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記混雑度マップに基づき、混雑度レベルを決定し、
前記混雑度レベルは、第1混雑度レベルと、前記第1混雑度レベルよりも前記周辺領域が混雑していることを示す第2混雑度レベルと、前記第2混雑度レベルよりも前記周辺領域が混雑していることを示す第3混雑度レベルとを含み、
前記表示部は、決定された前記混雑度レベルをさらに表示する、請求項3に記載の混雑情報表示システム。
【請求項6】
前記判定部は、将来の前記混雑度レベルを予測し、
前記表示部は、予測した将来の前記混雑度レベルをさらに表示し、
前記第2混雑度レベルは、前記第1混雑度レベルよりも前記第1領域が狭く、
前記第3混雑度レベルは、前記第2混雑度レベルよりも前記混雑領域が広く、
前記判定部は、前記第1混雑度レベルから前記第2混雑度レベルに前記混雑度レベルが変化した場合に、将来の前記混雑度レベルが前記第3混雑度レベルとなることを予測する、請求項5に記載の混雑情報表示システム。
【請求項7】
施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する混雑情報表示方法であって、
前記移動体の位置情報と、カメラによって撮像された前記移動体を含む前記移動体の周辺領域の画像情報とを取得するステップと、
前記画像情報を解析して、前記周辺領域内にいる人による混雑度を示す混雑度マップを生成するステップと、
前記位置情報と前記混雑度マップとに基づき、前記移動体の周辺が前記移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定するステップと、
前記混雑度マップと前記判定するステップの判定結果とを前記混雑情報として表示するステップとを備える、混雑情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設などの施設では、着ぐるみを着たマスコットキャラクタあるいは子供を乗せて移動する子供用電車などが施設の利用客を楽しませている。施設の管理者は、マスコットキャラクタ等と利用客とが衝突しないように、あるいは混雑により他の利用客の迷惑にならないように、利用客の安全の確保、利用客の通行の誘導等を行っている。
【0003】
しかしながら、想定以上にマスコットキャラクタ等のまわりに利用客が集まった場合、人員不足によって、施設管理者による利用客の安全確保および円滑な通行の確保が行き届かなくなる。こうした事態を防ぐため、施設管理者は、施設内の混雑状態を把握する必要がある。
【0004】
自動で混雑度を算出して表示する手法として、一定面積内の利用客等の数を算出し、これに基づき利用客等の密度を算出する方法がある。たとえば、特開2017-152964号公報(特許文献1)には、監視対象となる各区域の混雑度を算出する監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-152964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような方法では施設内の混雑度を把握することはできるものの、その混雑原因までは特定することができない。このため、利用客を楽しませるマスコットキャラクタのような移動体に起因して移動体の周辺が混雑しているのか否かが分からないので、利用客の安全確保および円滑な通行の確保のために、施設管理者の人員確保あるいは人員追加が必要なのかどうかの判断がつかなかった。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施設内を移動する移動体に起因して混雑が発生しているか否かを把握することができる混雑情報表示システムおよび混雑情報表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る混雑情報表示システムは、施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示するシステムである。混雑情報表示システムは、取得部と、生成部と、判定部と、表示部とを備える。取得部は、移動体の位置情報と、カメラによって撮像された移動体を含む移動体の周辺領域の画像情報とを取得する。生成部は、画像情報を解析して、周辺領域内にいる人による混雑度の分布を示す混雑度マップを生成する。判定部は、位置情報と混雑度マップとに基づき、移動体の周辺が移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する。表示部は、混雑度マップと判定部の判定結果とを混雑情報として表示する。
【0009】
本開示に係る混雑情報表示方法は、施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する方法である。混雑情報表示方法は、移動体の位置情報と、カメラによって撮像された移動体を含む移動体の周辺領域の画像情報とを取得するステップと、画像情報を解析して、周辺領域内にいる人による混雑度を示す混雑度マップを生成するステップと、位置情報と混雑度マップとに基づき、移動体の周辺が移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定するステップと、混雑度マップと判定するステップの判定結果とを混雑情報として表示するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、施設内を移動する移動体に起因して混雑が発生しているか否かを把握することができる。これにより、施設の利用客の安全確保および円滑な通行の確保のために、適切に施設管理者を配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に従う混雑情報表示システムの全体構成図である。
図2】混雑情報表示システムのハードウェア構成を示す図である。
図3】施設内のフロアを天井から見た平面図を模式的に示す図である。
図4】カメラによる移動体の撮像状況を説明するための図である。
図5】混雑情報表示システムによる混雑情報の表示例を示す図である。
図6】混雑情報表示システムの機能ブロック図である。
図7】メイン処理のフローチャートである。
図8】混雑原因判定処理のフローチャートである。
図9】移動体に起因して混雑している混雑状態について説明するための図である。
図10】移動体に起因して混雑している混雑状態ではない状態について説明するための図である。
図11】移動体の周辺に柵がある場合の混雑度マップを説明するための図である。
図12】移動体が壁に近い場合の混雑度マップを説明するための図である。
図13】誘導員による誘導があった場合の混雑度マップを説明するための図である。
図14】混雑度レベル判定処理のフローチャートである。
図15】混雑度レベルの変化を説明するための図である。
図16】混雑度マップ生成処理のフローチャートである。
図17】複数のカメラにより撮像された画像に基づき合成される画像を説明するための図である。
図18】複数のカメラにより撮像された時系列の画像に基づき推定される画像を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本開示の実施の形態に従う混雑情報表示システム100の全体構成図である。図1に示すように、混雑情報表示システム100は、サーバ10と、位置監視装置20と、端末30と、複数の無線通信機72と、複数のカメラ70とを備える。
【0014】
混雑情報表示システム100は、施設内を移動する移動体4の周辺の混雑情報を表示するシステムである。本実施の形態では、施設の一例としてショッピングセンター内の混雑情報を表示する場合を例として説明する。本施設(ショッピングセンター)には、施設を管理する施設管理者が駐在している。
【0015】
移動体4は、たとえば、着ぐるみを着たマスコットキャラクタである。このようなマスコットキャラクタは、施設の利用客(人5)を楽しませ、マスコットキャラクタの周囲には人だかりができる。施設管理者は、マスコットキャラクタと利用客とが衝突しないように、あるいは混雑により他の利用客の迷惑にならないように、利用客の安全の確保、利用客の通行の誘導等を行っている。
【0016】
しかしながら、想定以上に利用客が集まった場合、施設管理者の人員が不足し、利用客の安全確保および円滑な通行の確保できなくなる。このため、本実施の形態においては、施設管理者が施設内の混雑状態を精度よく把握できるように構成している。
【0017】
なお、施設の利用客を楽しませる移動体4は、マスコットキャラクタに限らず、大道芸人等であってもよい。また、移動体4は、子供を乗せて移動する子供用電車であってもよい。この場合、子供を乗せて移動する子供用電車の周囲を、子供の親または子供用電車に乗っていない子供たちが取り囲んで一緒に移動する。なお、移動体4は、移動可能な物体であって施設の利用客の注意を引くようなものであればどのようなものであってもよい。
【0018】
利用客は、図1で示される人5である。人5は、ベビーカーあるいはショッピングカートを押す人を含む。また、本実施の形態においては、「移動体4」は、施設の利用客を楽しませるマスコットキャラクタ等を指し示すものとし、施設の利用客は移動体4には含まれないものとする。
【0019】
サーバ10、位置監視装置20および端末30は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して互いに通信可能に構成されている。施設内には、複数の無線通信機72および複数のカメラ70が設置されており、これらによって、施設内の移動体4および利用客(人5)の現在位置が計測可能に構成されている。
【0020】
移動体4は、無線通信機62を備える。無線通信機62は、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」が登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、移動体4の位置を検出するための信号を発信する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格等に従う通信方式を用いてもよい。または、無線通信機62は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、移動体4を識別するためのID(Identification)等を示す信号等を位置監視装置20へ送信する。
【0021】
複数の無線通信機72および複数のカメラ70は、例えば、施設の天井45に適当な距離をおいて設置される。複数の無線通信機72は、移動体4の無線通信機62と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、移動体4の無線通信機62から発生される信号を受信するとともに、その受信強度を検知する。無線通信機72における受信強度から、施設内における移動体4の位置を測定することができる。無線通信機72は、移動体4の無線通信機62から受信した信号の受信強度を位置監視装置20へ出力する。
【0022】
カメラ70は、施設内を撮像し、撮像した画像情報を位置監視装置20へ出力する。撮像した画像情報には、移動体4および利用客(人5)の画像が含まれている。なお、無線通信機72およびカメラ70は、壁に設置されてもよい。
【0023】
位置監視装置20には、天井45に設置された複数の無線通信機72およびカメラ70が通信接続されている。位置監視装置20は、屋内位置情報装置および監視カメラ装置を含むように構成してもよい。この場合、屋内位置情報装置は、複数の無線通信機72からの情報に基づき移動体4の位置情報を管理する。監視カメラ装置は、複数のカメラ70により撮像した画像の画像情報を管理する。
【0024】
位置監視装置20は、屋内位置情報装置および監視カメラ装置を含んで構成されるものであってもよいし、屋内位置情報装置および監視カメラ装置のいずれかを含んで構成されるものであってもよい。
【0025】
位置監視装置20(屋内位置情報装置)は、無線通信機72において受信される信号の受信強度を無線通信機72から受信し、各無線通信機72における受信強度から、施設内における移動体4の位置を測定する。
【0026】
また、位置監視装置20(監視カメラ装置)は、カメラ70によって撮像された画像の画像情報を蓄積している。位置監視装置20(監視カメラ装置)は、位置監視装置20(屋内位置情報装置)から移動体4の位置情報を取得し、当該位置情報に基づき、移動体4を撮像しているカメラ70あるいは移動体4周辺にあるカメラ70を特定する。
【0027】
位置監視装置20は、移動体4の位置情報および特定したカメラ70により撮像された画像の画像情報を、通信網NWを経由してサーバ10へ送信する。なお、無線通信機72からの情報を用いずに、カメラ70の画像情報を用いて移動体4の位置を特定するように構成してもよい。
【0028】
サーバ10は、移動体4周辺の混雑情報を生成する。施設管理者は、生成された混雑情報を端末30の表示部35において確認することができる。
【0029】
端末30は、通信網NWを介して、サーバ10と通信可能に接続されている。端末30は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、たとえば、スマートフォンまたはタブレットである。端末30は、施設管理者等によって利用され得る。なお、端末30は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0030】
端末30は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末30は、サーバ10にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。あるいは、インストールされた専用のアプリケーションソフトウェアを用いて端末30からサーバ10にアクセスするようにしてもよい。
【0031】
図2は、混雑情報表示システム100のハードウェア構成を示す図である。上述のように、混雑情報表示システム100は、サーバ10と、位置監視装置20と、端末30と、複数の無線通信機72と、複数のカメラ70とを備える。
【0032】
サーバ10は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ11と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)12と、プロセッサ11によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)13と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)14と、通信IF(Interface)15とを含む。各構成要素は、相互にデータバス16によって接続されている。
【0033】
通信IF15は、位置監視装置20および端末30と、サーバ10との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD14は、各種データを格納する。なお、サーバ10は、HDD14の代わりに、または、HDD14とともに他の不揮発性記憶装置を備えていてもよい。
【0034】
位置監視装置20は、主たる構成要素として、プロセッサ21、ROM22、RAM23、HDD24、および通信IF25を含む。各構成要素は、相互にデータバス26によって接続されている。通信IF25は、サーバ10、無線通信機72およびカメラ70との間で通信を行なうためのインターフェイスである。HDD24は、移動体4の位置情報、施設の情報、カメラ70により撮像された画像の画像情報等を記憶する。
【0035】
なお、図2には、プロセッサ11,21,31の各々がプログラムを実行することによって必要な処理が提供される構成例を示したが、これらの提供される処理の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いて実装してもよい。
【0036】
端末30は、主たる構成要素として、プロセッサ31、ROM32、RAM33、入力部34、表示部35、通信IF36、およびHDD38を含む。各構成要素は、相互にデータバス37によって接続されている。入力部34は、ユーザ(たとえば、施設管理者)からの入力を受け付ける。表示部35は、プロセッサ11での処理結果を表示する。入力部34と表示部35とを一体化したタッチパネルディスプレイを採用してもよい。通信IF36は、サーバ10との間で通信を行なうためのインターフェイスである。HDD38は、インストールされたアプリケーションソフトウェア等を記憶する。
【0037】
位置監視装置20は、移動体4および人5を監視する。位置監視装置20には、天井45に設置された複数の無線通信機72およびカメラ70が通信接続されている。複数の無線通信機72およびカメラ70は、天井45に適当な距離をおいて設置され、施設内に存在する移動体4,人5の位置を検知するために用いられる。移動体4が所持する無線通信機62は、無線通信機72と同様に、BLE通信規格またはUWB通信規格等に従う通信方式を用いて、移動体4の位置を検出するための信号を発信する。
【0038】
無線通信機72は、移動体4が所持する無線通信機62と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、無線通信機62から発生される信号を受信するとともに、その受信強度を検知する。無線通信機72は、無線通信機62から受信した信号の受信強度を位置監視装置20へ出力する。カメラ70は、施設内を撮像し、撮像画像(動画像)を位置監視装置20へ出力する。撮像画像には、施設内にいる移動体4および人5の画像が含まれている。
【0039】
位置監視装置20は、無線通信機72において受信される信号の受信強度を無線通信機72から受信し、各無線通信機72における受信強度から施設内における移動体4の位置を測定する。
【0040】
位置監視装置20は、移動体4の位置情報に基づき、移動体4を撮像しているカメラ70あるいは移動体4周辺にあるカメラ70を特定する。位置監視装置20は、移動体4の位置情報および特定したカメラ70により撮像された画像の画像情報を、通信網NWを経由してサーバ10へ送信する。
【0041】
図3は、施設内のフロアを天井から見た平面図を模式的に示す図である。図3の画面91には、施設内のフロア(本例では、ショッピングセンターの3階)を天井から見た平面図(フロアマップ)が模式的に示されている。
【0042】
図3に示すように、施設には、複数の出入口、複数の店舗、店舗倉庫、買い物客(利用客)が通行するための買物客通路、従業員が通行するための従業員通路、機械室、休憩室、化粧室(Toilet)、エレベータEV1~4、駐車場および駐車場への通路が設けられている。
【0043】
施設管理人は、端末30の表示部35に本フロアマップを表示させて、これを閲覧可能である。画面91には、買物客通路(以下、単に「通路」とも称する)上に3つの移動体4a~4cが存在することが示されている。本実施の形態では、移動体4a~4cを「移動体4」と総称する。
【0044】
フロアマップは、サーバ10のHDD14に記憶されている。サーバ10は、位置監視装置20から移動体4a~4cの位置情報を取得する。サーバ10は、HDD14から読み出したフロアマップに移動体4a~4cの位置情報を重ね合わせた(プロットした)画像を表示情報として生成する。生成された表示情報は、端末30の表示部35で表示することができる。
【0045】
図4は、カメラ70による移動体4(移動体4a~4c)の撮像状況を説明するための図である。施設の天井または壁には複数のカメラ70(カメラ70a~70e等)が設置されている。本実施の形態では、カメラ70a~70eを「カメラ70」と総称する。図4には、施設に設置された複数のカメラ70のうちの一部が示されている。
【0046】
図4の画面92に示すように、移動体4aは、カメラ70aが撮像可能な範囲内に存在している。移動体4bは、カメラ70bが撮像可能な範囲内に存在している。移動体4cは、カメラ70cが撮像可能な範囲内に存在している。カメラ70d,70eが撮像可能な範囲内には移動体4は存在しない。
【0047】
位置監視装置20は、移動体4aを撮像するカメラとしてカメラ70aを特定する。位置監視装置20は、移動体4bを撮像するカメラとしてカメラ70bを特定する。位置監視装置20は、移動体4cを撮像するカメラとしてカメラ70cを特定する。
【0048】
位置監視装置20は、サーバ10に対して、移動体4a~4cの位置情報およびカメラ70a~70cが撮像した画像の画像情報を送信する。なお、図16図18を用いて後述するが、1つの移動体4が複数のカメラ70によって撮像されている場合は、当該複数のカメラにより撮像された画像をサーバ10に送信する。また、移動体4がカメラ70に撮像されていない場合であっても、カメラ70の近辺に移動体4が存在する場合は、当該カメラにより撮像された画像をサーバ10に送信することがある。
【0049】
図5は、混雑情報表示システム100による混雑情報の表示例を示す図である。図5の画面93には、移動体4の位置情報、混雑度マップおよび後述する判定部103が判定した判定結果等が示されている。混雑度マップおよび判定部103の判定結果等の詳細については、図6以降の図を用いて後述する。
【0050】
カメラ70aは、移動体4aおよび移動体4a周辺にいる複数の人5を撮像している。混雑度マップG1は、カメラ70aが撮像した画像情報に基づき生成されたものである。判定部103は、複数の人5によって移動体4aに起因した混雑が発生したものと判断し、その混雑度レベルが混雑度レベルAであると判断している。詳細は後述するが、混雑度レベルC、B、Aの順に混雑度が高いことを意味する。
【0051】
画面上には、移動体に起因して混雑が発生したこと、および、混雑度レベルが混雑度レベルAであることを示す確認メッセージが表示されている。このケースについては、後述の図9を用いて詳細に説明する。
【0052】
カメラ70bは、移動体4bおよび移動体4b周辺にいる複数の人5を撮像している。混雑度マップG2は、カメラ70bが撮像した画像情報に基づき生成されたものである。判定部103は、複数の人5によって移動体4bに起因した混雑が発生していないものと判断している。
【0053】
画面上には、移動体に起因した混雑が発生していないことを示すメッセージが表示されている。このケースについては、後述の図10を用いて詳細に説明する。
【0054】
カメラ70cは、移動体4cおよび移動体4c周辺にいる複数の人5を撮像している。混雑度マップG3は、カメラ70cが撮像した画像情報に基づき生成されたものである。判定部103は、複数の人5によって移動体4cに起因した混雑が発生したものと判断し、その混雑度レベルが混雑度レベルBであると判断している。さらに、判定部103は、その混雑度レベルが混雑度レベルBから混雑度レベルCに変化することを予測している。
【0055】
画面上には、移動体に起因して混雑が発生したこと、および、混雑度レベルが混雑度レベルBであり、その後、混雑度レベルCに変化することを予測する確認メッセージが表示されている。このケースについては、後述の図15を用いて詳細に説明する。
【0056】
図6は、混雑情報表示システム100の機能ブロック図である。混雑情報表示システム100は、少なくとも、カメラ特定部110と、取得部101と、生成部102と、判定部103と、表示情報生成部104と、表示部35とを備える。
【0057】
以下、フローチャートを用いて各機能について説明する。図7は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、混雑情報表示システム100が実行する。メイン処理は、所定周期(たとえば、10msec)ごとに起動するようにすればよい。以下、「ステップ」を、単に「S」とも称する。
【0058】
メイン処理が開始すると、カメラ特定部110は、S101において、位置監視装置20が特定した移動体4の位置情報から、移動体4が撮像されたカメラ70を特定する。HDD24は、フロアマップにおける各カメラ70の撮影範囲を特定可能なカメラ範囲マップを記録している。カメラ特定部110は、移動体4の位置情報とカメラ範囲マップとを照合して、移動体4を撮像しているカメラ70を特定する。なお、移動体4が撮像されていない場合であっても、移動体4周辺にあるカメラ70を特定することがある。
【0059】
取得部101は、S102において、移動体4の位置情報と、特定されたカメラ70の画像情報とを取得する。特定されたカメラ70からは、移動体4を含む移動体4の周辺領域の画像情報が取得される。複数のカメラ70によって移動体4が撮像されている場合は、当該複数のカメラからの画像情報が取得される。
【0060】
生成部102は、S103において、混雑度マップ生成処理を実行する。ここで、生成部102は、取得した画像情報を解析して、混雑度マップを生成する。混雑度マップは、周辺領域内にいる人による混雑度の分布を示すマップである。詳しくは、図16のフローチャート等を用いて後述する。
【0061】
判定部103は、S104において、混雑原因判定処理を実行する。ここで、判定部103は、移動体4の位置情報と混雑度マップとに基づき、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する。詳しくは、図8のフローチャート等を用いて後述する。
【0062】
判定部103は、S105において、混雑度レベル判定処理を実行する。ここで、判定部103は、混雑度マップに基づき、混雑度のレベルをA~Cの3段階で判定するとともに、将来的な混雑度のレベルも予測する。詳しくは、図14のフローチャート等を用いて後述する。
【0063】
表示情報生成部104は、S106において、端末30の表示部35に表示するための表示情報を生成する。具体的には、表示情報生成部104は、S103で生成部102が生成した混雑度マップ、S104,S105の判定部103の判定結果等を混雑情報として取得する。また、表示情報生成部104は、HDD14に記憶された施設のフロアマップの情報等を取得する。表示情報生成部104は、取得した情報に基づき、表示部35に表示する表示情報を生成する。
【0064】
サーバ10は、S107において、通信網NWを介して、表示情報を端末30の表示部35に出力し、メイン処理を終了する。表示部35は、表示情報生成部104が生成した表示情報を表示する。表示部35での表示例については、図5を用いて説明した通りである。図5の例では、フロアマップ上に、移動体4(4a~4c)、混雑度マップG1~G3および判定部103の判定結果等が表示されている。
【0065】
以上のように構成することで、施設管理者は、施設内を移動する移動体4に起因して混雑が発生しているか否かを把握することができる。また、フロアマップ上の混雑度マップを確認しながら、移動体4周辺の利用客(人5)の誘導が必要か等の判断を行うことができる。これにより、施設の利用客の安全確保および円滑な通行の確保のために、適切に施設管理者を配置することが可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態では、位置監視装置20とサーバ10を別体として構成されているが、これに限定されず、一つのサーバ装置として構成してもよい。また、サーバ10の処理を上述の監視カメラ装置が実行するようにしてもよい。この場合、混雑情報表示システム100は、複数の無線通信機72と接続する屋内位置情報装置と、複数のカメラ70と接続する監視カメラ装置と、表示部35を備える端末30とを備える。
【0067】
この場合、屋内位置情報装置は、移動体4の位置情報を特定する。監視カメラ装置は、移動体4の位置情報に基づき、移動体4を撮像しているカメラ70を特定する。監視カメラ装置は、カメラ70の撮影範囲を特定可能なカメラ範囲マップを記録している。監視カメラ装置は、移動体4の位置情報とカメラ範囲マップとを照合して、移動体4を撮像しているカメラ70を特定する。監視カメラ装置は、移動体4の位置情報および特定したカメラ70により撮像された画像の画像情報から、混雑度マップを生成するとともに、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する。これらの情報は、表示部35で確認することができる。
【0068】
次に、混雑原因推定処理について、図8のフローチャートおよび図9図10に示す具体例を用いて説明する。図8は、混雑原因推定処理のフローチャートである。
【0069】
判定部103は、混雑度マップにおいて、図9に示すような、第1領域と混雑領域と第2領域とがある場合に、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判断する。
【0070】
第1領域は、混雑度マップにおいて、混雑度が混雑度Ct未満となる領域であって、移動体4を含む領域である。混雑領域は、混雑度が混雑度Ct以上となる領域であって、第1領域よりも移動体4から遠い領域であって、かつ、移動体4を囲む領域である。第2領域は、混雑度が混雑度Ct未満となる領域であって、混雑領域よりも移動体4から遠い領域であって、かつ、移動体4を囲む領域である。
【0071】
図8に戻り、混雑原因推定処理が開始すると、判定部103は、S301において、混雑度のピークが混雑度Ct以上である場合(YESの判定)に、S302に処理を進める。一方、判定部103は、S301において、混雑度のピークが混雑度Ct以上でない場合(NOの判定)に、S302に処理を進める。
【0072】
判定部103は、S302において、混雑度マップにおいて、第1領域、混雑領域および第2領域が存在すると判定した場合(YESの判定)に、S303に処理を進め、第1領域、混雑領域および第2領域が存在すると判定しなった場合(NOの判定)に、S304に処理を進める。
【0073】
判定部103は、S303において、移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判定し、混雑原因推定処理を終了する。判定部103は、S304において、移動体4に起因して混雑している混雑状態でないと判定し、混雑原因推定処理を終了する。
【0074】
以下、図9図10を用いて詳細に説明する。図9は、移動体4に起因して混雑している混雑状態について説明するための図である。図9の右側に示された混雑度マップG1は、図5においてカメラ70aによって撮像された画像の画像情報に基づき生成された混雑度マップと同じものである。図9の左側のグラフは、移動体4からの距離と混雑度との関係を模式的に示すグラフである。
【0075】
カメラ70aから取得した画像は、移動体4の周囲に複数の人5がいる様子が撮影された画像である。サーバ10は、公知の画像解析技術を用いて、画像から複数の人5の各々が存在する領域を抽出する。そして、サーバ10は、上述の、フロアマップにおける各カメラ70の撮影範囲を特定可能なカメラ範囲マップを用いて、複数の人5の各々の位置を特定する。
【0076】
生成部102は、移動体4の周辺領域を設定する。移動体4の周辺領域とは、移動体4を中心とした領域であって、混雑度マップの生成対象となる領域である。たとえば、移動体4を中心とした半径10mの領域を周辺領域と設定してもよいし、予め定められた大きさの範囲を周辺領域として設定してもよい。生成部102は、周辺領域内に存在する人5の位置情報を取得する。
【0077】
生成部102は、周辺領域内を複数のブロックに分割し、各ブロック内に存在する人5の混雑度を算出する。ここで、「混雑度」とは、各ブロックにおいて1平方メートルあたりに存在する人5の人数を示す。あるいは、ブロックの面積に対する複数の人5が存在する領域の面積の比率を「混雑度」と定義してもよい。
【0078】
混雑度マップにおいて、混雑度は5段階に分類されて表示される。混雑度は、5段階の色で表され、混雑度が高いほどブロックが濃い色で表示され、混雑度が低いほどブロックが薄い色で表示される。
【0079】
本例においては、壁W1と壁W2との間の通路上に移動体4が存在し、移動体4を取り囲むように複数の人5が存在している。混雑度マップG1において、移動体4を中心としてドーナツ上に人5が取り囲んでいることが示されている。混雑度マップG1では、移動体4から距離が離れると混雑度が徐々に高くなり、移動体4からの距離が距離D1になったときに混雑度がピークになる。さらに距離が離れると、混雑度が徐々に低くなる。
【0080】
移動体4からの距離と混雑度との関係を模式的にグラフに示すと、移動体4からの距離が遠くなるにつれて混雑度が上昇し、混雑度が混雑度Ctに達する。その後、さらに移動体4からの距離が遠くなるにつれて混雑度が上昇して、距離D1において混雑度がピークとなる混雑度C1に達する。その後、移動体4からの距離が遠くなるにつれて混雑度が下降し、混雑度Ctに達する。その後、移動体4からの距離が遠くなるにつれて混雑度が下降する。
【0081】
ここで、混雑度Ctは、人の通行が可能か否かを分ける境界値を示す混雑度である。混雑度が混雑度Ct以上となる領域においては、混雑のためその領域を人が通り抜けることができない。混雑度が混雑度Ct未満となる領域においては、その領域を人が通り抜けることができる。
【0082】
本グラフにおいて、混雑度が混雑度Ct以上となる領域を「混雑領域」と定義する。また、混雑領域より移動体4に近い領域を第1領域、混雑領域より移動体4に遠い領域を第2領域と定義する。本例において、混雑度が混雑度Ct以上となる領域の幅は混雑幅H1である。本例において、混雑度レベルは、混雑度レベルAと判定される(詳細は後述)。
【0083】
これを混雑度マップG1に当てはめると、移動体4を含む円形の領域が第1領域となり、その外側のドーナツ型の領域が混雑領域となり、その外側であって周辺領域内の領域が第2領域となる。
【0084】
判定部103は、混雑度マップにおいて、混雑度が混雑度Ct未満となる第1領域と、混雑度が混雑度Ct以上となる混雑領域と、混雑度が混雑度Ct未満となる第2領域とがある場合に、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判断する。
【0085】
ここで、混雑領域は、図9の例のように必ずしも円形のドーナツ型になるとは限らず、楕円型であってもよいし、一部が欠けた「C」のような形状であってもよい。混雑領域は、第1領域の外側かつ第2領域の内側であって、移動体4を囲むような形状であればどのような形状であってもよい。また、図9に示したように、実際には、混雑度マップにおける混雑度にはばらつきがあるため、グラフのように、混雑度を平滑化した後に、第1領域と、混雑領域と、第2領域との境界を定めるようにすればよい。
【0086】
本実施の形態のように構成することで、移動体4(マスコットキャラクタ等)を見るために、移動体4から少し離れて人5(利用客)が周りを取り囲んでいること、すなわち、移動体4が原因で人5が集まっているという因果関係が把握可能となる。そして、移動体4を取り囲む人5による混雑度が所定度合い(混雑度Ct)以上であれば、移動体4が原因で集まっている人5によって混雑が発生していると判断することができる。このようにして、施設内を移動する移動体4に起因して混雑が発生しているか否かを把握することができた場合、施設管理者は、移動体4に起因する混雑に対して対応が必要かどうかを判断することができる。これにより、施設の利用客の安全確保および円滑な通行の確保のために、適切に施設管理者を配置することが可能となる。
【0087】
図10は、移動体4に起因して混雑している混雑状態ではない状態について説明するための図である。図10の右側に示された混雑度マップG2は、図5においてカメラ70bによって撮像された画像の画像情報に基づき生成された混雑度マップと同じものである。図10の左側のグラフは、移動体4からの距離と混雑度との関係を模式的に示すグラフである。
【0088】
カメラ70bから取得した画像は、移動体4の周囲に複数の人5がいる様子が撮影された画像である。生成部102は、図9で説明した方法により、複数の人5の各々の位置を特定する。
【0089】
生成部102は、移動体4の周辺領域を設定する。ここでは、図9と同様に、移動体4を中心とした半径10mの領域を周辺領域と設定している。生成部102は、周辺領域内に存在する人5の位置情報を取得する。生成部102は、周辺領域内を複数のブロックに分割し、各ブロック内に存在する人5の混雑度を算出する。
【0090】
本例においては、壁W1と壁W2との間の通路上に移動体4が存在し、移動体4の周囲には複数の人5が存在している。ただし、図9の例と違うのは、移動体4からの距離と混雑度との関係を模式的に示したグラフに示すように、移動体4の周囲の混雑度と、移動体4からの距離との間に相関関係がない。本グラフに示すように、混雑度は、移動体4からの距離にかかわらず、混雑度Ct未満である。
【0091】
判定部103は、混雑度マップにおいて、第1領域と混雑領域と第2領域とがあると判断しなかった場合、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態ではないと判断する。
【0092】
図10の例では、移動体4の周辺には複数の人5がいる。しかしながら、図9の例と異なり、移動体4を取り囲むように人5が集まっていない(ドーナツ型のピークが存在しない)。この場合、周辺領域がある程度混雑していた場合(単に、買い物をする客によって混雑しているような場合)であっても、移動体4の存在と関連性がないため、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であるとは判断しない。
【0093】
移動体4に起因する混雑であれば、移動体4を取り囲んで人5が集まる、移動体4とともに人5が移動する、あるいは、徐々に人5が増えてきて危険な状態が発生するなどの状況が想定される。しかしながら、移動体4に起因する混雑が発生していない(単に施設内が混雑している等)のであれば、混雑度が所定度合い(混雑度Ct)未満であればその中を通り抜けできるし、移動体4(マスコットキャラクタ等)を見るために集まった人5を通行人の邪魔にならないように誘導する等の対応も必要がない。
【0094】
たとえば、図9の例と図10の例とで、周辺領域内にいる人5の人数が同じであった場合、従来技術では、両者ともに「混雑している」と判断する。その一方、本実施の形態では、前者においては、移動体4に起因した混雑が発生していると判断し、後者においては、移動体4に起因した混雑が発生していないと判断する。本実施の形態のように構成することで、施設の利用客の安全確保および円滑な通行の確保のために、より精度よく施設管理者を配置することが可能となる。
【0095】
図11は、移動体4の周辺に柵がある場合の混雑度マップを説明するための図である。図9の例と同様に、移動体4の周囲には複数の人5が集まっているが、図9の場合と異なり、移動体4の周囲には柵L1が設置されている。
【0096】
この場合、移動体から柵L1までの領域は人5が立ち入ることができない。そして、柵L1に近接して人5が集まる。このように、移動体4の周囲に柵L1が設けられている場合、柵L1が第1領域と混雑領域との境界となる。
【0097】
混雑度マップG4に示されるように、柵L1の内側の領域が第1領域となり、柵L1の外側の領域が混雑領域となり、さらにその外側が第2領域となる。グラフに示すように、移動体4から距離Da離れた柵L1が設置された位置が混雑度のピークとなっている。そして、さらに距離が離れると混雑度が徐々に低下していき、混雑度Ct未満となる。
【0098】
このような場合においても、混雑度マップG4において、第1領域と混雑領域と第2領域とが存在するため、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判断される。
【0099】
図12は、移動体4が壁に近い場合の混雑度マップを説明するための図である。図12の左側に示された混雑度マップG3は、図5においてカメラ70cによって撮像された画像の画像情報に基づき生成された混雑度マップと同じものである。
【0100】
移動体4は、左側の図のように壁W1と壁W2との間の通路を移動しているものとする。そして、右側の図のように、移動体4が壁W3の近くまで移動したとする。この場合、混雑度マップG5のようになり、混雑領域はドーナツ型にはならない。
【0101】
ただし、この場合であっても、移動体を含んだ第1領域が存在し、その外側に混雑領域が存在し、さらにその外側に第2領域が存在するため、移動体4の周辺が移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判断される。
【0102】
図13は、誘導員(施設管理者)による誘導があった場合の混雑度マップを説明するための図である。たとえば、図10の例のように、周辺領域内が全て混雑度Ct未満であると、この領域を人が通り抜けすることができる。このため、施設管理人により人5を誘導する必要がない。
【0103】
しかしながら、図9の例のように、混雑領域が存在する場合は、少なくともこの領域を人が通り抜けることができない。特に、混雑領域が通路いっぱいに広がるような場合は、通路を通れなくなってしまう。
【0104】
このような場合、施設管理人によってラインL2から壁W2までの間にいる人5を、ラインL2より壁W1側の方に誘導する。このような誘導を行うことで、他の利用客が通行可能となる。図5のように、レイアウトマップ上に混雑度マップを表示することで、これを見た施設管理人が、どのように誘導を行うべきか、誘導にどの程度の人員が必要かを検討することができる。
【0105】
次に、混雑度レベル判定処理を図14図15を用いて説明する。図14は、混雑度レベル判定処理のフローチャートである。図15は、混雑度レベルの変化を説明するための図である。
【0106】
判定部103は、混雑度マップに基づき、混雑度レベルを決定する。図14に示すように、混雑度レベルは、混雑度レベルA(混雑:小)と、混雑度レベルB(混雑:中)と、混雑度レベルC(混雑:大)とを含む。混雑度レベルBは、混雑度レベルAよりも周辺領域が混雑していることを示す。混雑度レベルCは、混雑度レベルBよりも周辺領域が混雑していることを示す。
【0107】
混雑度レベルは、混雑度レベル判定表に基づき決定される。混雑度レベル判定処理が開始すると、判定部103は、混雑幅が混雑幅HA1未満かつピーク位置がピーク位置DA1以上である場合(S401でYES)において、混雑度レベルを混雑度レベルAに設定し(S402)、処理をS406に進める。
【0108】
ここで、図9で示した混雑度マップG1において、混雑幅は混雑幅H1であり、ピーク位置はピーク位置D1である。混雑幅H1は混雑幅HA1未満、かつ、ピーク位置D1はピーク位置DA1以上である。このため、混雑度マップG1において、混雑度レベルが混雑度レベルAに設定される。
【0109】
一方、判定部103は、混雑幅が混雑幅HA1未満かつピーク位置がピーク位置DA1以上ではなく(S401でNO)、混雑幅が混雑幅HA1未満かつピーク位置がピーク位置DA1未満である場合(S403でYES)に、混雑度レベルを混雑度レベルBに設定し(S404)、処理をS406に進める。
【0110】
判定部103は、混雑幅が混雑幅HA1未満かつピーク位置がピーク位置DA1未満ではない場合(S403でNO:この場合、混雑幅はHA1以上である)、混雑度レベルを混雑度レベルCに設定し(S405)、処理をS406に進める。
【0111】
図15の右側に示された混雑度マップG3は、図5においてカメラ70cによって撮像された画像の画像情報に基づき生成された混雑度マップと同じものである。混雑度マップG3は、図9に示した混雑度マップG1(混雑度レベルA)よりも混雑した状態である。
【0112】
混雑度マップG3は、混雑度マップG1よりも第1領域が狭くなっている。また、混雑度マップG3のピーク位置D2は、混雑度マップG1のピーク位置D1よりも小さくなっている。混雑度マップG3における混雑幅は、混雑幅H2である。
【0113】
混雑幅H2は混雑幅HA1未満、かつ、ピーク位置D2はピーク位置DA1未満である。このため、混雑度マップG3において、混雑度レベルが混雑度レベルBに設定される。
【0114】
さらに混雑してきた場合、混雑幅が広がっていく。混雑幅H2よりも広い混雑幅H3まで混雑幅が広がったとする。混雑幅H3は混雑幅HA1以上である。この場合、混雑度レベルが混雑度レベルCに設定される。混雑度レベルBは、混雑度レベルAよりも第1領域が狭く、混雑度レベルCは、混雑度レベルBよりも混雑領域が広い。
【0115】
図14に戻る。判定部103は、将来の混雑度レベルを予測する。判定部103は、S406において、混雑度レベルAから混雑度レベルBに混雑度レベルが変化したと判断した場合(YESの判定)に、将来の混雑度レベルが混雑度レベルCとなることを予測し、混雑度レベル判定処理を終了する。
【0116】
一方、判定部103は、S406において、混雑度レベルAから混雑度レベルBに混雑度レベルが変化したと判断しなかった場合(NOの判定)は、そのまま混雑度レベル判定処理を終了する。図5に示したように、表示部35は、決定された混雑度レベルおよび予測した将来の混雑度レベルを表示する。
【0117】
混雑度レベルAよりも混雑度レベルBの方がピーク位置が移動体4に近づく(第1領域が狭くなる)のは、次の理由による。最初、人5は、移動体4(マスコットキャラクタ、大道芸人等)の周囲を遠巻きに取り囲んで、ドーナツ状の混雑領域が形成される。そして、徐々に人が増えてくると、場所が狭くなるためにドーナツ状の混雑領域が自然と移動体4に近づく、あるいは、混雑してくると大道芸人(移動体4)や施設管理者等は、他の通行人の通行の邪魔にならないように、移動体4に近づくように人5(利用客)に指示するからである。
【0118】
このように、指示によって、混雑度レベルが混雑度レベルAから混雑度レベルBに変化したような場合(第1領域が狭くなる場合)、さらなる混雑が予想されるため、判定部103は、将来的に、混雑度レベルが混雑度レベルBから混雑度レベルCに変化すると予測するようにしている。人5の数が増えるため、混雑度レベルBよりも混雑度レベルCの方が混雑幅が広くなる。
【0119】
以上のように、混雑度に応じて混雑度レベルが分類されこれが表示することで、施設管理者は、直感的に混雑状況を把握することができ、その混雑度レベルに応じて迅速な対応をすることができる。また、予測された将来の混雑度レベルが表示されることで、大きな混雑に備えて適切な数の施設管理者を割当てることができる。
【0120】
なお、移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かの判定方法、混雑度レベルの判定方法、および将来的な混雑度レベルの予測方法は、上記において説明したものに限らない。
【0121】
本実施の形態においては、第1領域、混雑領域、第2領域が存在した場合に、移動体4に起因して混雑している混雑状態であると判断した。しかし、混雑度と移動体4の距離との関係において、図9に示したような形状の分布を有する場合に、混雑状態であると判断するようにしてもよい。あるいは、予め、混雑状態であると判断するための分布(判定基準となる混雑度分布)が規定され、当該混雑度分布に形状が類似する場合は、混雑状態であると判断するようにしてもよい。
【0122】
また、混雑度レベル別に基準となる混雑度分布を規定しておき、混雑度レベルAに対応する混雑度分布に形状が類似する場合に、混雑度レベルAと判定するようにしてもよい。混雑度レベルB,Cに関しても同様である。また、混雑度レベル判定表に示したような、判定方法に限らず、たとえば、周辺領域内に存在する人5の人数、混雑度ピークの大きさ等の基準も含めて判定するようにしてもよい。
【0123】
また、将来の混雑度レベルの予想についても、たとえば、周辺領域内に存在する人5の人数の時系列情報に基づき予測するようにしてもよい(たとえば、周辺領域内に存在する人5の人数が増加傾向にあれば、将来的にさらに人5の人数が増加すると判断する等)。混雑度レベルは、A~Cの3段階に限らず、4段階以上に分類するようにしてもよい。
【0124】
また、図14の混雑度レベル判定表において、混雑度マップにおいて、混雑度が最も大きいブロックを抽出し(ドーナツ上に複数抽出される)、抽出されたブロックと移動体4との距離の平均値をピーク位置と規定してもよい。また、混雑幅は、第1領域と混雑領域との境界線から、混雑領域と第2領域の境界線までの距離に基づき決定してもよい。
【0125】
また、図14の混雑度レベル判定表において、「混雑幅」の代わりに「混雑領域の面積」を使用し、「ピーク位置」の代わりに「第1領域の面積」を使用してもよい。この場合、混雑領域の面積がX1未満、かつ、第1領域の面積はY1以上である場合に、混雑度レベルが混雑度レベルAに設定される。混雑領域の面積がX1未満かつ第1領域の面積がY1未満である場合に、混雑度レベルを混雑度レベルBに設定する。そうでない場合(混雑領域の面積がX1以上)に、混雑度レベルを混雑度レベルCに設定する。つまり、第1領域の面積がY1より小さくなると混雑度レベルはAからBになり、次に、混雑領域の面積がX1以上になると混雑度レベルはBからCになる。
【0126】
次に、図16図18を用いて、混雑度マップ生成処理について説明する。図16は、混雑度マップ生成処理のフローチャートである。図17は、複数のカメラ70により撮像された画像に基づき合成される画像を説明するための図である。図18は、複数のカメラ70により撮像された時系列の画像に基づき推定される画像を説明するための図である。
【0127】
カメラ70は、カメラAとカメラBとを含むものとする。本例においては、移動体4が、カメラAおよびカメラBの一方または双方によって撮像されている場面またはカメラAおよびカメラBのいずれにも撮像されていない場面について説明する。
【0128】
生成部102は、カメラAによって撮像された画像情報AおよびカメラBによって撮像された画像情報Bのいずれにも移動体4が撮像されている場合、画像情報Aと画像情報Bとのいずれかの画像情報あるいは双方を合成した画像情報を解析して混雑度マップを生成する。生成部102は、画像情報Aおよび画像情報Bのいずれにも移動体4が撮像されていない場合、過去に撮像された画像情報Aの時系列情報および過去に撮像された画像情報Bの時系列情報に基づき推定した画像情報を解析して混雑度マップを生成する。以下、詳細に説明する。
【0129】
図16に示すように、混雑度マップ生成処理が開始すると、生成部102は、周辺領域全てが撮像されている完全な画像情報がある場合(S201でYES)、完全な画像情報を対象画像情報に設定し(S202)、処理をS209に進める。生成部102は、S209において、対象画像情報を解析して混雑度マップを生成し、混雑度マップ生成処理を終了する。
【0130】
たとえば、図9で示したように、周辺領域(壁によって撮像できない領域を除く)がカメラAによって全て撮像されている場合は、カメラAから取得した画像を解析して、図9のような混雑度マップG1が生成される。
【0131】
図16に戻る。生成部102は、周辺領域全てが撮像されている完全な画像情報がない場合(S201でNO)、合成可能な複数の画像情報がある場合(S203でYES)に、処理をS204に進める。生成部102は、S204において、複数の画像情報を合成して合成画像情報を生成し、処理をS205に進める。生成部102は、S205において、合成画像情報を対象画像情報に設定し、S209において、対象画像情報を解析して混雑度マップを生成する。
【0132】
図17を用いて具体的に説明する。位置監視装置20は、移動体4を撮像するカメラ70を特定し、特定したカメラ70から取得した画像に基づき混雑度マップを生成する。図17は、移動体4を撮像するカメラ70が複数ある場合について説明するものである。ここでは、移動体4を撮像するカメラ70は2台あり、これらをカメラA、カメラBと称する。
【0133】
一方のカメラ70によって、図9で示したような周辺領域の全てが撮像されている場合は、そのカメラ70から取得した画像を用いて混雑度マップを生成すればよい。しかしながら、図17に示したように、カメラAにおいて移動体4の右側にいる人5の一部が撮像されておらず、カメラBにおいて移動体4の左側にいる人5の一部が撮像されていないケースがある。
【0134】
このまま混雑度マップを生成した場合、カメラAから取得した画像情報に基づいて生成した混雑度マップGaは右側が欠落した状態となり、カメラBから取得した画像情報に基づいて生成した混雑度マップGbは左側が欠落した状態となる。
【0135】
本例では、公知の技術を用いて、周辺領域の全てが入るように、カメラAから取得した画像情報とカメラBから取得した画像情報とを合成する。その結果、周辺領域の全てを含んだ混雑度マップGcが生成される。
【0136】
図16に戻る。生成部102は、合成可能な複数の画像情報がない場合(S203でNO)に、過去の画像情報を取得し(S206)、処理をS207に進める。生成部102は、S207において、画像情報を推定し、処理をS208に進める。生成部102は、S208において、推定した画像情報を対象画像情報に設定し、S209において、対象画像情報を解析して混雑度マップを生成する。
【0137】
図18を用いて具体的に説明する。図17の例においては、カメラAの画像とカメラBの画像とを合成することで、周辺領域の全てを含む画像を合成することができる。しかしながら、カメラAとカメラBとの距離が離れているために、双方の画像を合成したとしても、周辺領域の全てを含む画像を合成できない場合もある。以下、図18を用いてこのようなケースについて説明する。
【0138】
図18は、複数のカメラ70により撮像された時系列の画像に基づき推定される画像を説明するための図である。図18には、カメラA,Bから取得された画像により生成される混雑度マップの時間変化を示した図が示されている。
【0139】
図18に示すように、時間T1において、移動体4は位置P1におり、カメラAから周辺領域の全てを含む画像が取得される。カメラBには移動体4は撮像されていない。この場合、カメラAから取得された画像に基づき混雑度マップを生成すればよい。
【0140】
移動体4は右に移動していく。時間T2において、移動体4は位置P2におり、カメラAから周辺領域の全てを含む画像が取得することができない。また、カメラA,Bから取得した画像を合成しても、周辺領域の全てを含む混雑度マップを生成することができない。
【0141】
時間T3において、移動体4は位置P3におり、カメラA,Bいずれのカメラにも移動体4は撮像されていない。時間T4において、移動体4は位置P4におり、カメラBによって移動体4が撮像されているが、カメラA,Bから取得した画像を合成しても、周辺領域の全てを含む混雑度マップを生成することができない。
【0142】
時間T5において、移動体4は位置P5におり、カメラBから周辺領域の全てを含む画像が取得される。カメラAには移動体4は撮像されていない。この場合、カメラBから取得された画像に基づき混雑度マップを生成することができる。
【0143】
実施の形態においては、カメラA,Bから取得した画像を合成しても、周辺領域の全てを含む混雑度マップを生成することができない場合は、過去に取得または生成された周辺領域の全てを含む画像を使用する。
【0144】
時間T1においては、カメラAから取得された画像により生成される混雑度マップGa1が、時間T1における混雑度マップGa1となる。
【0145】
時間T2においては、カメラA,Bからでは混雑度マップが生成されないため、時間T1においてカメラAから取得した画像を時間T2において取得した画像として使用する。その際、人5の位置情報は、P12=P2-P1の距離分移動させる補正を行う。これにより、時間T2における混雑度マップGc2は、時間T1における混雑度マップGc1をP12移動させた混雑度マップとなる。
【0146】
時間T3,T4においても同様である。時間T3における混雑度マップGc3は、時間T2における混雑度マップGc2をP23(=P3-P2)移動させた混雑度マップとなる。時間T4における混雑度マップGc4は、時間T3における混雑度マップGc3をP34(=P4-P3)移動させた混雑度マップとなる。
【0147】
時間T5においては、カメラBから取得された画像により生成される混雑度マップGb5が、時間T5における混雑度マップGc5となる。
【0148】
このように、カメラA,Bのいずれかで完全な混雑度マップ(周辺領域の全てを含む混雑度マップ)を生成できる場合は、いずれかのカメラからの画像を用いて混雑度マップを生成する。カメラA,Bの画像を合成して完全な混雑度マップを生成できる場合は、両方のカメラからの画像を用いて混雑度マップを生成する。
【0149】
カメラA,Bの画像を合成しても完全な混雑度マップを生成できない場合は、カメラA,Bにより過去に撮像された画像の時系列情報に基づき混雑度マップを生成する。その際、カメラA,Bにより過去に撮像された画像の時系列情報に基づいて、移動体4の位置情報の推移から将来の移動体4の位置情報を予測し、複数の人5の位置情報の推移から将来の複数の人5の位置情報を予測してもよい。
【0150】
このようにすれば、たとえば、時間T1の混雑度マップGa1(Gc1)よりも時間T5の混雑度マップGb5(Gc5)の方が混雑度が高いような場合、時間T5よりも先の時間において、混雑度マップGb5(Gc5)よりもさらに混雑した混雑度マップを予測することができる。
【0151】
なお、本実施の形態では、カメラA,Bから取得した画像から画像を合成または予測し、本画像に基づき完全な混雑度マップを生成するようにした。しかし、これに限らず、次のようにしてもよい。まず、カメラAから取得した画像に基づき混雑度マップA、カメラBから取得した画像に基づき混雑度マップBを生成する。そして、混雑度マップA,Bを合成または予測することで、完全な混雑度マップを生成するようにしてもよい。
【0152】
以上のように、複数のカメラによって撮像された画像情報を合成して周辺領域の全てを含む画像情報を生成し、あるいは、複数のカメラによって撮像された画像情報の時系列情報に基づき周辺領域の全てを含む画像情報を予測することで、1つのカメラによって周辺領域の全てを含む画像情報が撮影されなかった場合であっても、精度よく混雑度マップを生成することができる。これにより、施設内を移動する移動体4に起因して混雑が発生しているか否かを精度よく把握することができる。
【0153】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0154】
(付記1)
施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する混雑情報表示システムであって、
前記移動体の位置情報と、カメラによって撮像された前記移動体を含む前記移動体の周辺領域の画像情報とを取得する取得部と、
前記画像情報を解析して、前記周辺領域内にいる人による混雑度の分布を示す混雑度マップを生成する生成部と、
前記位置情報と前記混雑度マップとに基づき、前記移動体の周辺が前記移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定する判定部と、
前記混雑度マップと前記判定部の判定結果とを前記混雑情報として表示する表示部とを備える、混雑情報表示システム。
【0155】
(付記2)
前記カメラは、第1カメラと第2カメラとを含み、
前記生成部は、
前記第1カメラによって撮像された第1画像情報および前記第2カメラによって撮像された第2画像情報のいずれにも前記移動体が撮像されている場合、前記第1画像情報と前記第2画像情報とを合成した画像を解析して前記混雑度マップを生成し、
前記第1画像情報および前記第2画像情報のいずれにも前記移動体が撮像されていない場合、過去に撮像された前記第1画像情報の時系列情報および過去に撮像された前記第2画像情報の時系列情報に基づき推定した画像を解析して前記混雑度マップを生成する、付記1に記載の混雑情報表示システム。
【0156】
(付記3)
前記判定部は、前記混雑度マップにおいて、前記混雑度が所定の混雑度未満となる第1領域と、前記混雑度が前記所定の混雑度以上となる混雑領域と、前記混雑度が前記所定の混雑度未満となる第2領域とがある場合に、前記混雑状態であると判断し、
前記第1領域は、前記移動体を含む領域であり、
前記混雑領域は、前記第1領域よりも前記移動体から遠い領域であって前記移動体を囲む領域であり、
前記第2領域は、前記混雑領域よりも前記移動体から遠い領域であって前記移動体を囲む領域である、付記1または付記2に記載の混雑情報表示システム。
【0157】
(付記4)
前記移動体の周囲に柵が設けられている場合、前記柵が前記第1領域と前記混雑領域との境界となる、付記1~3のいずれかに記載の混雑情報表示システム。
【0158】
(付記5)
前記判定部は、前記混雑度マップに基づき、混雑度レベルを決定し、
前記混雑度レベルは、第1混雑度レベルと、前記第1混雑度レベルよりも前記周辺領域が混雑していることを示す第2混雑度レベルと、前記第2混雑度レベルよりも前記周辺領域が混雑していることを示す第3混雑度レベルとを含み、
前記表示部は、決定された前記混雑度レベルをさらに表示する、付記1~4のいずれかに記載の混雑情報表示システム。
【0159】
(付記6)
前記判定部は、将来の前記混雑度レベルを予測し、
前記表示部は、予測した将来の前記混雑度レベルをさらに表示し、
前記第2混雑度レベルは、前記第1混雑度レベルよりも前記第1領域が狭く、
前記第3混雑度レベルは、前記第2混雑度レベルよりも前記混雑領域が広く、
前記判定部は、前記第1混雑度レベルから前記第2混雑度レベルに前記混雑度レベルが変化した場合に、将来の前記混雑度レベルが前記第3混雑度レベルとなることを予測する、付記1~5のいずれかに記載の混雑情報表示システム。
【0160】
(付記7)
施設内を移動する移動体の周辺の混雑情報を表示する混雑情報表示方法であって、
前記移動体の位置情報と、カメラによって撮像された前記移動体を含む前記移動体の周辺領域の画像情報とを取得するステップと、
前記画像情報を解析して、前記周辺領域内にいる人による混雑度を示す混雑度マップを生成するステップと、
前記位置情報と前記混雑度マップとに基づき、前記移動体の周辺が前記移動体に起因して混雑している混雑状態であるか否かを判定するステップと、
前記混雑度マップと前記判定するステップの判定結果とを前記混雑情報として表示するステップとを備える、混雑情報表示方法。
【0161】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0162】
4,4a~c 移動体、5 人、10 サーバ、11,21,31 プロセッサ、12,22,32 ROM、13,23,33 RAM、14,24,38 HDD、15,25,36 通信IF、16,26,37 データバス、20 位置監視装置、30 端末装置、34 入力部、35 表示部、45 天井、72 無線通信機、70 カメラ、91 画面、100 混雑情報表示システム、101 取得部、102 生成部、103 判定部、104 表示情報生成部、NW 通信網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18