(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037316
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142071
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓則
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 昌志
(72)【発明者】
【氏名】平原 篤
(72)【発明者】
【氏名】陸田 優一
(72)【発明者】
【氏名】岡 秀和
(72)【発明者】
【氏名】寺内 謙一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA00
(57)【要約】
【課題】交換可能な搭載物が搭載された建設機械において、搭載物の交換作業を機体や他の構成機器に衝突させることなく少人数で容易に行えるようにする。
【解決手段】建設機械10の旋回フレーム3上の後端部に立設されたカウンターウエイト7に、後端面から前端面に亘り、燃料タンクユニット51の所定の設置位置に向かって延びる下方に凹む溝部70を形成する。また、溝部70の少なくとも後側端部を、カウンターウエイト7の前側から後側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部71に構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を構成するフレームと、
上記フレーム上の所定の設置位置に着脱可能に搭載される搭載物と、
上記フレーム上の外周部に立設された壁状部材とを備えた建設機械であって、
上記壁状部材には、外端面から内端面に亘り、上記搭載物の上記所定の設置位置に向かって延びる下方に凹む溝部が形成され、
上記溝部の少なくとも外側端部は、上記壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部に構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
上記搭載物は、上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させると、上記溝幅拡大部の2つの溝側面に当接して上記搭載物のそれ以上の移動を規制するように、上記搭載物の挿入方向の逆方向に向かって幅が広くなる拡幅部を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
上記溝幅拡大部は、上記壁状部材の内側から外側に向かって溝底面が低くなるように構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械において、
上記拡幅部は、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させると、上記溝幅拡大部の溝底面に当接して上記搭載物のそれ以上の移動を規制するように、上記搭載物の挿入方向の逆方向に向かって下端の高さが低くなるように構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項2に記載の建設機械において、
上記搭載物は、上記拡幅部と、該拡幅部から上記搭載物の挿入方向に向かって延びる上記溝部内を通過可能な一定幅の固定幅部を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項5に記載の建設機械において、
上記壁状部材の内側には、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記搭載物の幅方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導くガイド部材が取り付けられている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項6に記載の建設機械において、
上記ガイド部材は、上記搭載物の挿入方向に延び、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記固定幅部の幅方向の両端にそれぞれ当接することで、上記搭載物の幅方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導く2つの側壁部を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項8】
請求項7に記載の建設機械において、
上記ガイド部材は、上記搭載物の挿入方向に延び、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記固定幅部の下端に当接することで、上記搭載物の上下方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導く底部を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記搭載物は、少なくとも1つの燃料タンク又はバッテリと、該少なくとも1つの燃料タンク又はバッテリを取り囲んで保持する保持部材とを有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記フレーム上の後端部に設けられるカウンターウエイトをさらに備え、
上記壁状部材は、上記カウンターウエイトである
ことを特徴とする建設機械。
【請求項11】
請求項10に記載の建設機械において、
上記フレーム上の上記カウンターウエイトより前側において前後方向に延びて左右方向に間隔を空けて立設された前端部にアタッチメントを接続可能な一対の縦板を備え、
上記搭載物の上記所定の設置位置は、上記一対の縦板に挟まれた空間にある
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンや油圧ショベル等の建設機械は、自動車に比べて多大な動力を要するため、燃料や電力を十分に蓄えられる大型の燃料タンクやバッテリ等を搭載している。また、燃料や電力を補給する供給設備が建設現場にない又は手配が困難であることに備え、燃料タンクやバッテリを交換可能なカートリッジ式に構成することがある。
【0003】
下記の特許文献1には、大型のバッテリを交換可能に構成することにより、作業現場にバッテリ充電設備を設置しなくても電力補給を可能にした建設機械が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載の建設機械では、使用済みのバッテリが収納されたバッテリ筐体をクレーンで吊り上げて取り外し、充電済みのバッテリが収納されたバッテリ筐体をクレーン等で設置することで、作業現場にバッテリ充電設備を設置しなくても電力を補給できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の建設機械では、大型のバッテリ筐体の交換にクレーンを用いているため、荷振れによって機体や他の構成機器に衝突するおそれがある。機体や他の構成機器への衝突を回避しながら精度よく設置位置に設置するには、クレーン作業者の他にバッテリ筐体を降ろす位置を確認する作業者等が必要になり、作業者の数を増やす必要がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、交換可能な搭載物が搭載された建設機械において、搭載物の交換作業を機体や他の構成機器に衝突させることなく少人数で容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、旋回フレーム上の外周部に立設される壁状部材に、外側から内側へ挿入された搭載物を所定の設置位置に導く溝部を形成し、搭載物の挿入口となる溝部の外側端部を、壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなるように構成することとした。
【0009】
具体的には、第1の発明は、底板を構成するフレームと、上記フレーム上の所定の設置位置に着脱可能に搭載される搭載物と、上記フレーム上の外周部に立設された壁状部材とを備えた建設機械であって、上記壁状部材には、外端面から内端面に亘り、上記搭載物の上記所定の設置位置に向かって延びる下方に凹む溝部が形成され、上記溝部の少なくとも外側端部は、上記壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部に構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、底板を構成するフレーム上の外周部に立設される壁状部材に、外端面から内端面に亘り、搭載物の所定の設置位置に向かって延びる下方に凹む溝部を形成している。そのため、壁状部材の外側において溝部に対向するようにクレーン等で搭載物を移動させた後、壁状部材の外側から搭載物を溝部内に挿入して内側へ水平方向に移動させることで、容易に搭載物を所望の設置位置に設置することができる。また、第1の発明では、搭載物の挿入口となる溝部の外側端部を、壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部に構成している。このような構成により、搭載物の挿入口となる溝部の外側端部の溝幅が内側端部よりも広くなる。そのため、壁状部材の外側で搭載物が溝部に対応するように搭載物の位置合わせをする際に、幅方向において多少ずれた位置から内側へ移動させたとしても、搭載物を壁上部材の外側から内側へ移動させる際に溝幅拡大部の2つの溝側面のいずれかに搭載物の側面が当接することにより、搭載物が幅方向における所望の位置に導かれることとなる。つまり、第1の発明によれば、クレーン作業時に建設機械上において搭載物を誘導する作業者が居なくても、搭載物の交換作業を機体や他の構成機器に衝突させることなく少人数の作業者で容易に行うことができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記搭載物は、上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させると、上記溝幅拡大部の2つの溝側面に当接して上記搭載物のそれ以上の移動を規制するように、上記搭載物の挿入方向の逆方向に向かって幅が広くなる拡幅部を有していることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明では、搭載物が設置位置にあるときに、溝部の溝幅拡大部に対応する部分が、溝幅拡大部の2つの溝側面に当接して搭載物のそれ以上の内側への移動を規制するように、挿入方向の逆方向に向かって幅が広くなる拡幅部に構成されている。そのため、搭載物を壁状部材の外側から溝部内に挿入して内側へ移動させることで、所定の設置位置で搭載物の拡幅部が溝幅拡大部の2つの溝側面に当接してそれ以上の内側への移動が規制されるため、搭載物の内外方向の位置決めを自動的に行うことができる。従って、第2の発明によれば、搭載物の設置時に、建設機械上において搭載物を誘導する作業者が居なくても、搭載物の位置決め作業を容易に且つ効率よく行うことができる。そのため、作業時間を短縮することもできる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記溝幅拡大部は、上記壁状部材の内側から外側に向かって溝底面が低くなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明では、壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部を、さらに壁状部材の内側から外側に向かって溝底面が低くなるように構成している。このような構成により、搭載物の挿入口の開口面積がより大きくなるため、搭載物と溝部との位置合わせが容易になり、搭載物を溝部により挿入し易くなる。よって、第3の発明によれば、搭載物の交換作業をより容易に且つ効率よく行うことができ、作業時間を短縮することができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、上記拡幅部は、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させると、上記溝幅拡大部の溝底面に当接して上記搭載物のそれ以上の移動を規制するように、上記搭載物の挿入方向の逆方向に向かって下端の高さが低くなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、搭載物の挿入方向の逆方向に向かって幅が広くなる溝部の拡幅部を、さらに搭載物の挿入方向の逆方向に向かって下端の高さが低くなるように構成している。このような構成により、搭載物を壁状部材の外側から溝部内に挿入して内側へ移動させる際に、所定の設置位置で搭載物の拡幅部が溝幅拡大部の2つの溝側面だけでなく溝底面にも当接してそれ以上の内側への移動がより確実に規制される。つまり、第4の発明によれば、搭載物の設置時に搭載物の内外方向の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0017】
第5の発明は、第2の発明において、上記搭載物は、上記拡幅部と、該拡幅部から上記搭載物の挿入方向に向かって延びる上記溝部内を通過可能な一定幅の固定幅部を有していることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、搭載物は、拡幅部だけでなく固定幅部を有する大型のものである。このような構成により、搭載物が、例えば、燃料タンクやバッテリ等である場合、容量の大きい燃料タンク及びバッテリの搭載が可能になるため、搭載物の交換頻度を低減することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、上記壁状部材の内側には、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記搭載物の幅方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導くガイド部材が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0020】
第6の発明では、壁状部材に搭載物を所定の設置位置に導く溝部を形成するだけでなく、壁状部材の内側にも、搭載物を幅方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材を設けることとした。このような構成によれば、搭載物を壁状部材の外側から溝部内に挿入して内側へ移動させることで、搭載物を幅方向に位置ずれさせることなく所望の設置位置に容易に設置することができる。従って、第6の発明によれば、搭載物を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく精度良く所望の位置に設置することができる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明において、上記ガイド部材は、上記搭載物の挿入方向に延び、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記固定幅部の幅方向の両端にそれぞれ当接することで、上記搭載物の幅方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導く2つの側壁部を有していることを特徴とするものである。
【0022】
第7の発明では、ガイド部材に搭載物の挿入方向に延びる2つの側壁部を設けるだけで、搭載物を幅方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材を容易に構成することができる。
【0023】
第8の発明は、第7の発明において、上記ガイド部材は、上記搭載物の挿入方向に延び、上記搭載物を上記壁状部材の外側から上記溝部内に挿入して上記所定の設置位置まで内側へ移動させる際に、上記固定幅部の下端に当接することで、上記搭載物の上下方向の位置ずれを規制すると共に上記搭載物を上記所定の設置位置に導く底部を有していることを特徴とするものである。
【0024】
第8の発明では、ガイド部材に搭載物の挿入方向に延びる底部をさらに設けることにより、搭載物を上下方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材を容易に構成することができる。
【0025】
第9の発明は、第1~第8のいずれか1つの発明において、上記搭載物は、少なくとも1つの燃料タンク又はバッテリと、該少なくとも1つの燃料タンク又はバッテリを取り囲んで保持する保持部材とを有していることを特徴とするものである。
【0026】
第9の発明では、搭載物が、少なくとも1つの燃料タンク又はバッテリを保持部材によって取り囲んでユニット化したものであるため、クレーン等を用いて複数の燃料タンク又はバッテリを一回の設置作業で搭載することができる。また、燃料タンク又はバッテリを、機体や他の構成機器に衝突させることなく交換することができる。
【0027】
第10の発明は、第1~第8のいずれか1つの発明において、上記フレーム上の後端部に設けられるカウンターウエイトをさらに備え、上記壁状部材は、上記カウンターウエイトであることを特徴とするものである。
【0028】
第10の発明では、搭載物を所定の設置位置に導く溝部をカウンターウエイトに形成することとしている。カウンターウエイトは、重量が重く、比較的頑丈であるため、搭載物の挿入時に搭載物が当接しても損傷し難い。そのため、第10の発明によれば、耐久性に優れた溝部を形成することができる。
【0029】
第11の発明は、第10の発明において、上記フレーム上の上記カウンターウエイトより前側において前後方向に延びて左右方向に間隔を空けて立設された前端部にアタッチメントを接続可能な一対の縦板を備え、上記搭載物の上記所定の設置位置は、上記一対の縦板に挟まれた空間にあることを特徴とするものである。
【0030】
第11の発明では、カウンターウエイトに形成された溝部内に搭載物を後側(外側)から挿入して前側(内側)へ移動させることにより、搭載物をフレーム上に立設した一対の縦板に挟まれた空間に設置することとしている。このような配置構成によれば、建設機械の左側又は右側から衝撃が加えられたとしても、搭載物に衝撃が伝わり難くなる。また、搭載物の後側は、頑丈なカウンターウエイトによって保護されるため、建設機械の後側から衝撃が加えられた場合にも搭載物に衝撃が伝わり難い。よって、第11の発明によれば、搭載物を、建設機械に外部から衝撃が加えられたとしても衝撃が伝わり難い場所に設置することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、旋回フレーム上の外周部に立設される壁状部材に、外側から内側へ挿入された搭載物を所定の設置位置に導く溝部を形成し、搭載物の挿入口となる溝部の外側端部を、壁状部材の内側から外側に向かって溝幅が広くなるように構成することとしたため、搭載物の交換作業を機体や他の構成機器に衝突させることなく少人数で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る建設機械の上部旋回体の機器配置の概要を機械室のガードを取り外した状態で示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る建設機械の駆動系統図である。
【
図5】
図5は、燃料タンクユニットを設置する際の様子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、燃料タンクユニットを設置する際の様子を示す平面図であり、
図6(A)は、燃料タンクユニットが溝部に挿入された状態を示し、
図6(B)は、燃料タンクユニットが設置位置まで至った状態を示す。
【
図7】
図7は、燃料タンクユニットを設置する際の様子を示す縦断面図であり、
図7(A)は、燃料タンクユニットが溝部に挿入された状態を示し、
図7(B)は、燃料タンクユニットが設置位置まで至った状態を示す。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る建設機械の燃料タンクユニットを設置する際の様子を示す平面図であり、
図8(A)は、燃料タンクユニットが溝部に挿入された状態を示し、
図8(B)は、燃料タンクユニットが設置位置まで至った状態を示す。
【
図9】
図9は、実施形態3に係る建設機械の燃料タンクユニットを設置する際の様子を示す平面図であり、
図9(A)は、燃料タンクユニットが溝部に挿入された状態を示し、
図9(B)は、燃料タンクユニットが設置位置まで至った状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0034】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、実施形態1では、本発明に係る建設機械10の一例として油圧ショベルについて説明する。なお、以下の説明では、
図1~
図3に示すように、建設機械10の前後、左右、上下方向を、それぞれ前後、左右、上下方向と言う。
【0035】
図1に示すように、建設機械10は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1上に旋回自在に搭載された上部旋回体2とを備えている。
【0036】
下部走行体1は、走行油圧モータ11aと走行油圧モータ11aによって駆動されるシュー11bとを左右に有するクローラ機構11を有している。左右のシュー11bの走行油圧モータ11aを同方向に回転させると、建設機械10が前進又は後退し、左右のシュー11bの走行油圧モータ11aを逆方向に回転させる又は一方のみを回転させると、建設機械10が回転する。また、下部走行体1は、クローラ機構11の上部略中央に、上部旋回体2を旋回自在に支持する旋回ベアリング12を有している。
【0037】
なお、下部走行体1の走行油圧モータ11aは、上部旋回体2に設けられる後述する油圧回路40のコントロールバルブ43と油圧配管14を介して接続されるが、上部旋回体2の旋回によって油圧配管14がねじれないように、スイベルジョイント13を介して接続されている。スイベルジョイント13は、旋回ベアリング12の略中央(旋回中心)に設けられている。
【0038】
上部旋回体2は、下部走行体1上に旋回可能に設けられた旋回フレーム(フレーム)3と、該旋回フレーム3の前端部に起伏可能に取り付けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、カウンターウエイト7とを備えている。
【0039】
図2及び
図3に示すように、旋回フレーム3は、上部旋回体2の底板を構成する台状の支持部材である。旋回フレーム3の左右方向の中程には、一対の縦板3a,3aが立設されている。一対の縦板3a,3aは、前後方向に延び、左右に間隔を空けて配置され、旋回フレーム3の上に立設されて固定されている。一対の縦板3a,3aは、旋回フレーム3の前端部から後端部に亘る長さに形成されている。このような一対の縦板3a,3aが左右方向の中程に設けられることにより、旋回フレーム3の剛性が高められる。一対の縦板3a,3aの前端部には、アタッチメント4の基端部が揺動可能に取り付けられている。
【0040】
図1に示すように、アタッチメント4は、ブーム4aと、アーム4bと、バケット4cと、油圧シリンダ4d~4fとを備えている。ブーム4aは、基端部が一対の縦板3a,3aの前端部に揺動可能に取り付けられ、油圧シリンダ4dの伸縮に応じて一対の縦板3a,3aに対して揺動する。アーム4bは、基端部がブーム4aの先端部に揺動可能に取り付けられ、油圧シリンダ4eの伸縮に応じてブーム4aに対して揺動する。バケット4cは、アーム4bの先端部に揺動可能に取り付けられ、油圧シリンダ4fの伸縮に応じてアーム4bに対して揺動する。なお、アタッチメント4の構成はこれに限定されない。
【0041】
キャブ5は、運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された箱形の運転室である。
図2及び
図3に示すように、キャブ5は、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように旋回フレーム3上の前部左側に配設されている。
【0042】
機械室6には、油圧回路40に接続される油圧ポンプ41、作動油タンク42及びコントロールバルブ43と、駆動装置50を構成する燃料タンクユニット51、発電ユニット52、電動モータ53及びバッテリ59と、ラジエータ54とが収容されている。
図1に示すように、機械室6は、収容される各構成機器が露出しないようにガード20で覆われている。ガード20は、複数の鋼板からなるパネルで構成されている。なお、
図2及び
図3では、ガード20を省略している。
【0043】
図2及び
図3に示すように、旋回フレーム3上の右側部分(右側の縦板3aより右側の部分)には、前側から後側へ、コントロールバルブ43、作動油タンク42、油圧ポンプ41及び電動モータ53が、この順に設置されている。発電ユニット52は、図示しない架台に固定され、油圧ポンプ41及び電動モータ53の上方に配置されている。
【0044】
旋回フレーム3上の左右方向の中央部には、燃料タンクユニット51が設置されている。燃料タンクユニット51は、前後方向に延び、後端部がカウンターウエイト7に形成された溝部70に嵌まった状態で固定されている。なお、燃料タンクユニット51の詳細な構成及び設置位置については後述する。
【0045】
旋回フレーム3上の左側部分(左側の縦板3aより左側の部分)のキャブ5よりも後側には、ラジエータ54とバッテリ59が設置されている。ラジエータ54は、旋回フレーム3上の左端部に設置され、バッテリ59は、ラジエータ54よりも右側に設置されている。
【0046】
機械室6は、以上のように構成される。なお、油圧回路40に接続される油圧機器のうち、油圧旋回モータ45は、旋回フレーム3上に設置されるが、ガード20で覆われない機械室6の外部に配置されている。油圧旋回モータ45は、旋回フレーム3上の一対の縦板3a,3aの間のスイベルジョイント13の右後方に設置されている。
【0047】
カウンターウエイト7は、旋回フレーム3上の外周部で機械室6の後方に立設されている。具体的には、カウンターウエイト7は、旋回フレーム3の一対の縦板3a,3aの後端部に取り付けられ、機械室6の後方を覆うように設けられている。カウンターウエイト7は、前端部にアタッチメント4が取り付けられる一対の縦板3a,3aの後端部に取り付けられることにより、アタッチメント4との重量バランスを取る。
【0048】
詳細については後述するが、カウンターウエイト7には、外側から内側へ挿入された燃料タンクユニット(搭載物)51を所定の設置位置に導く溝部70が形成されている。また、旋回フレーム3上のカウンターウエイト7の前側であって一対の縦板3a,3aの後端側には、溝部70と共に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導くガイド部材80が設けられている。
【0049】
[駆動系統]
図4に示すように、建設機械10は、各油圧アクチュエータ44(下部走行体1の左右のシュー11bの走行油圧モータ11a、上部旋回体2の油圧旋回モータ45、及びアタッチメント4の油圧シリンダ4d~4f)を作動させるための油圧回路40と、油圧回路40の油圧ポンプ41を駆動する駆動装置50とを備えている。
【0050】
油圧回路40には、油圧ポンプ41と、作動油タンク42と、コントロールバルブ43と、各油圧アクチュエータ44とが接続されている。
【0051】
油圧ポンプ41には、作動油タンク42とコントロールバルブ43とが接続されている。油圧ポンプ41は、電動モータ53によって駆動され、作動油タンク42から作動油を吸入し、コントロールバルブ43に向かって吐出する。コントロールバルブ43は、油圧ポンプ41から吐出された作動油を各油圧アクチュエータ44に分配し、各油圧アクチュエータ44を作動させる。コントロールバルブ43は、各油圧アクチュエータ44に供給される作動油の供給方向及び供給量を制御することにより、下部走行体1を走行させ、上部旋回体2を旋回させ、アタッチメント4のブーム4a,アーム4b及びバケット4cを動作させる。
【0052】
本実施形態1では、駆動装置50は、水素を動力源として油圧ポンプ41を駆動するように構成されている。具体的には、駆動装置50は、燃料タンクユニット51と、発電ユニット52と、電動モータ53と、バッテリ59とを備えている。
【0053】
図5~
図7に示すように、燃料タンクユニット51は、複数の燃料タンク55と、複数の燃料タンク55を取り囲んで保持する保持部材56とを有している。燃料タンク55は、水素ガスが充填された略円筒形状の水素タンクであり、本実施形態1では、4本設けられている。保持部材56は、本実施形態1では、4本の燃料タンク55が内蔵される筐体で構成されている。
図7に示すように、保持部材56は、例えば、鋼板等で形成された複数の燃料タンク55を取り囲むカバー56aと、燃料タンク55をカバー56a内に固定する保持具56bとを有している。なお、
図5では、説明の便宜上、発電ユニット52を省略している。
【0054】
図5に示すように、カバー56aは、直方体形状で前端から後端に亘って幅が一定の固定幅部51aと、固定幅部51aの後端に連続し、前端から後端に向かって幅が広くなる拡幅部51bとを有している。カバー56aの固定幅部51aは、対向する左右の側面の間の距離が前端から後端に亘って一定になるように形成されている。また、
図5に示すように、カバー56aの対向する上面と下面の間の距離も前端から後端に亘って一定になるように形成されていてもよい。カバー56aの拡幅部51bは、対向する2つの側面が、前端から後端に向かって徐々に離れるように傾斜することで、前端から後端に向かって幅が広くなるように構成されている。また、カバー56aの拡幅部51bは、上面は高さが一定の水平面に構成されるが、下面は前端から後端に向かって徐々に下方に位置するように傾斜している。本実施形態1では、
図5~7に示すように、カバー56aは、内部空間に複数の燃料タンク55を上下及び左右にそれぞれ離間して並べて配置できるようにする仕切板や梁を有している。
【0055】
保持具56bは、燃料タンク55をカバー56aに固定することができるものであればいかなるものであってもよい。保持具56bは、カバー56aに作用する衝撃を吸収して燃料タンク55に伝達しないものであってもよい。
【0056】
このような構成により、燃料タンクユニット51は、前端から後端に亘って幅が一定で上面と下面の距離も一定の固定幅部51a(カバー56aの固定幅部51aに対応)と、固定幅部51aの後端に連続し、前端から後端に向かって幅が広くなり、下端の高さが低くなる拡幅部51b(カバー56aの拡幅部51bに対応)とを有することとなる。詳細については後述するが、本実施形態1では、燃料タンクユニット51は、旋回フレーム3上の左右方向の中央部であって、固定幅部51aがカウンターウエイト7の前側、拡幅部51bがカウンターウエイト7に形成される溝部70内にある所定の設置位置(一対の縦板3a,3aに挟まれた空間)に設置されている。
【0057】
図4に示すように、発電ユニット52は、燃料電池ユニット57と、電力変換装置58と、これらを保持する保持部材60(
図2参照)とを有している。燃料電池ユニット57は、燃料タンクユニット51と電力変換装置58とに接続され、燃料タンク55から供給された水素と酸素との化学反応によって発電し、発電した直流電力を電力変換装置58に供給する。電力変換装置58は、燃料電池ユニット57と電動モータ53に接続され、燃料電池ユニット57から供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータ53に供給する。
図2に示すように、保持部材60は、燃料電池ユニット57と電力変換装置58とが内蔵される筐体で構成されている。保持部材60は、例えば、鋼板等で形成されている。なお、
図5では、説明の便宜上、発電ユニット52を省略して示している。
【0058】
電動モータ53は、電力変換装置58と電気的に接続されると共に、油圧ポンプ41を回転駆動するように油圧ポンプ41の回転軸に連結されている。電動モータ53は、電力変換装置58から供給される交流電流によって駆動され、油圧ポンプ41を回転駆動する。油圧ポンプ41の回転駆動により、油圧回路40の作動油が各油圧アクチュエータに供給され、下部走行体1が走行し、上部旋回体2が旋回し、又はアタッチメント4のブーム4a,アーム4b及びバケット4cが動作する。
【0059】
バッテリ59は、発電ユニット52の燃料電池ユニット57に接続されている。バッテリ59は、例えば、低負荷時に燃料電池ユニット57が発電した直流電力の余剰電力を、高負荷時に利用できるように蓄積する。
【0060】
[燃料タンクユニットの設置構造]
建設機械10では、燃料タンクユニット51は、旋回フレーム3上の左右方向の中央部に立設した一対の縦板3a,3aに挟まれた空間にある所定の設置位置において固定解除可能な固定具で固定されることにより、着脱可能に設置されている。建設機械10では、このように燃料タンクユニット51を着脱可能に搭載することにより、使用済みの燃料タンクユニット51と燃料充填済みの燃料タンクユニット51とを交換することで燃料を補給できるようにしている。
【0061】
ところで、複数の燃料タンク55が内蔵された燃料タンクユニット51は、大型であるため、取り外し及び設置にクレーン等が用いられる。そのため、燃料タンクユニット51は、荷振れによって機体や他の構成機器に衝突するおそれがある。機体や他の構成機器への衝突を回避しながら精度よく設置位置に設置するには、クレーン作業者の他に燃料タンクユニット51を降ろす位置を確認する作業者等が必要になり、作業者の数を増やす必要がある。
【0062】
そこで、本実施形態1では、カウンターウエイト(壁状部材)7の燃料タンクユニット51の設置位置に対応する部分に溝部70を形成し、作業者の数を増やさなくても、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側(壁状部材の外側)から溝部70内に挿入して前側(内側)へ移動させることで容易に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に精度良く設置できるようにしている。
【0063】
具体的には、本実施形態1では、燃料タンクユニット51を、旋回フレーム3上の左右方向の中央部に立設した一対の縦板3a,3aに挟まれた空間に設置することとし、カウンターウエイト7の燃料タンクユニット51の設置位置(一対の縦板3a,3aに挟まれた空間)に対応する部分(左右方向の中央部)に、燃料タンクユニット51の固定幅部51aが通過可能な下方に凹む溝部70を形成している。溝部70は、カウンターウエイト7の後端面から前端面に亘り、カウンターウエイト7の後端面から燃料タンクユニット51の所定の設置位置に向かって延び、燃料タンクユニット51が所定の設置位置にあるときにカウンターウエイト7よりも前側の部分(固定幅部51a)が通過可能な溝幅に形成されている。より具体的には、溝部70は、燃料タンクユニット51の出口となる前端(内端)の溝幅が、燃料タンクユニット51の固定幅部51aの幅よりも僅かに大きくなるように形成されている。また、溝部70は、燃料タンクユニット51の出口となる前端(内端)の左側の溝側面が、設置位置にある燃料タンクユニット51の固定幅部51aの左側の側面よりも左側に位置し、右側の溝側面が、設置位置にある燃料タンクユニット51の固定幅部51aの右側の側面よりも右側に位置するように設けられている。なお、溝部70の上方側は解放されている。
【0064】
このような溝部70を上記位置に形成することにより、本実施形態1では、
図5及び
図6に示すように、燃料タンクユニット51の設置時には、クレーン等で燃料タンクユニット51を吊り上げ、カウンターウエイト7の外側において溝部70に対向するように移動させた後、カウンターウエイト7の外側から溝部70内に挿入して内側へ移動させることで、容易に燃料タンクユニット51を所望の設置位置に設置することができる。
【0065】
また、溝部70は、少なくとも後端部(外側端部)が、カウンターウエイト7の前側(内側)から後側(外側)に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部71となるように構成されている。なお、本実施形態1では、溝部70全体が溝幅拡大部71となっている。このように溝部70の少なくとも後端部(外側端部)を溝幅拡大部71に構成することにより、燃料タンクユニット51の挿入口となる溝部70の外側端部の溝幅が内側端部よりも広くなる。そのため、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、幅方向において多少ずれた位置から前側(内側)へ移動させたとしても、燃料タンクユニット51を前側へ移動させる際に溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aのいずれかにカバー56aが当接することにより、燃料タンクユニット51が幅方向における所望の位置に導かれることとなる。
【0066】
また、本実施形態1では、溝部70の溝幅拡大部71は、溝底面71bが前側から後側に向かう程、低くなるように構成されている。そのため、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、下方に多少ずれた位置から前側(内側)へ移動させたとしても、燃料タンクユニット51を前側へ移動させる際に溝幅拡大部71の溝底面71bにカバー56aが当接することにより、燃料タンクユニット51が上下方向における所望の位置に導かれることとなる。
【0067】
また、
図5~
図7に示すように、本実施形態1では、カウンターウエイト7の内側(前側)に、前後方向(燃料タンクユニット51の挿入方向)に延びて燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導くガイド部材80が取り付けられている。ガイド部材80は、本実施形態1では、2本のレール部材81,81によって構成されている。各レール部材81は、延長方向に延びる鉛直板部81aと水平方向に延びる水平板部81bとを有するL型金具によって構成されている。2本のレール部材81,81は、鉛直板部81a,81aの間隔が、溝部70の前端(内端)の溝幅と等しくなり、水平板部81bの上面が溝部70の前端(内端)の溝底面の高さと等しい高さに配置されるように設けられている。
【0068】
このような構成により、本実施形態1では、
図5及び
図6に示すように、クレーン等で燃料タンクユニット51を吊り上げ、カウンターウエイト7の外側から溝部70内に挿入して前側へ移動させる際に、ガイド部材80を構成する2本のレール部材81,81の鉛直板部81a,81a(2つの側壁部)が、燃料タンクユニット51の固定幅部51aの両側面(幅方向の両端)にそれぞれ当接することにより、燃料タンクユニット51の幅方向の位置ずれが規制される。
【0069】
さらに、本実施形態1では、燃料タンクユニット51の拡幅部51bが、燃料タンクユニット51が設置位置にあるときに、溝部70の溝幅拡大部71に対応し、拡幅部51bの両側面(幅方向の両端)が、溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aに当接するように形成されている。具体的には、拡幅部51bの左側面が、前側から後側に向かって左側に位置するように溝幅拡大部71の左側の溝側面71aと同様の角度で前後方向に対して傾斜する傾斜面に構成されると共に、拡幅部51bの右側面が、前側から後側に向かって右側に位置するように溝幅拡大部71の右側の溝側面71aと同様の角度で前後方向に対して傾斜する傾斜面に構成されている。また、拡幅部51bの底面は、前側から後側に向かって高さが低くなる溝幅拡大部71の溝底面71bと同様の角度で水平面に対して傾斜する傾斜面に構成されている。
【0070】
このような構成により、本実施形態1では、
図5及び
図6に示すように、クレーン等で燃料タンクユニット51を吊り上げ、カウンターウエイト7の外側から溝部70内に挿入して所定の設置位置まで前側へ移動させると、燃料タンクユニット51の拡幅部51bが溝部70の溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aと溝底面71bとに当接し、燃料タンクユニット51のそれ以上の前側への移動が規制される。つまり、上記構成によれば、燃料タンクユニット51の前後方向の位置決め作業が容易になる。
【0071】
[燃料タンクユニットの交換方法]
次に、燃料タンクユニット51の交換方法について、
図5~
図7を参照しながら説明する。
【0072】
(取り外し方法)
まず、機械室6のガード20の燃料タンクユニット51(固定幅部51a)の上方に設けられたパネルを開け、使用済みの燃料タンクユニット51に接続されている配管を取り外すと共に、使用済みの燃料タンクユニット51を設置位置に固定する固定具を操作することにより、使用済みの燃料タンクユニット51の固定を解除する。
【0073】
次に、使用済みの燃料タンクユニット51をクレーンのフックに引っ掛け、クレーンを操作して、使用済みの燃料タンクユニット51を真上に引き上げて機械室6の外部へ取り出し、クレーン車の荷台等に降ろす。
【0074】
なお、本実施形態1では、燃料タンクユニット51は、固定幅部51aがガイド部材80の上に載置され、拡幅部51bがカウンターウエイト7の下方に凹む溝部70内に載置されているため、真上に引き上げることで、燃料タンクユニット51を容易に取り外すことができる。
【0075】
以上の手順により、使用済みの燃料タンクユニット51が取り外される。なお、燃料タンクユニット51がガイド部材80に沿って後方側へ移動させることで取り外されてもよい。
【0076】
(設置方法)
まず、
図5に示すように、クレーン車等の荷台に積載された充填済みの燃料タンクユニット51をクレーンのフックに引っ掛け、クレーンを操作して、充填済みの燃料タンクユニット51を吊り上げ、燃料タンクユニット51の前端が、カウンターウエイト7の溝部70に対応する位置に移動させる。
【0077】
次に、
図6(A)及び
図7(A)に示すように、クレーンを操作して、充填済みの燃料タンクユニット51を前側へ移動させ、溝部70内に挿入する。なお、本実施形態1では、溝部70全体が溝幅拡大部71に構成されており、燃料タンクユニット51の挿入口となる溝部70の外側端部の開口面積(溝幅及び溝高さ)が出口の内側端部の開口面積よりも広くなる。そのため、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、幅方向において多少ずれた位置から前側(内側)へ移動させたとしても、燃料タンクユニット51を前側へ移動させる際に、溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aのいずれか及び溝底面71bがカバー56aに当接することにより、燃料タンクユニット51が幅方向及び上下方向における所望の位置(溝部70の前端の2つの溝側面間で溝底上の位置)に導かれることとなる。
【0078】
溝部70内に挿入した充填済みの燃料タンクユニット51をさらに前側へ移動させると、燃料タンクユニット51の固定幅部51aが溝部70を通過し(カウンターウエイト7の前側に至り)、ガイド部材80を構成する2本のレール部材81,81の水平板部81b、81b上に至る。燃料タンクユニット51は、荷振れしても、2本のレール部材81,81の鉛直板部81a,81a(2つの側壁部)が、燃料タンクユニット51の固定幅部51aの左右の両側面(幅方向の両端)にそれぞれ当接することにより、幅方向の位置ずれが規制される。これにより、燃料タンクユニット51は、ガイド部材80により、幅方向に位置ずれすることなく所定の設置位置に導かれる。なお、所定の設置位置に配置された燃料タンクユニット51は、水平板部81bにより支持される。
【0079】
そして、
図6(B)及び
図7(B)に示すように、前側へ移動させている燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至ると、燃料タンクユニット51の拡幅部51bが、溝部70の溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aと溝底面71bとにそれぞれ当接し、燃料タンクユニット51のそれ以上の移動が規制される。これにより、充填済みの燃料タンクユニット51が、所定の設置位置に配置される。
【0080】
充填済みの燃料タンクユニット51を所定の設置位置に配置した後、固定具を操作して充填済みの燃料タンクユニット51を設置位置に固定し、充填済みの燃料タンクユニット51に発電ユニット52(燃料電池ユニット57)と接続する配管を接続する。配管接続後、引っ掛けていたクレーンのフックを取り外すと共に外していた燃料タンクユニット51(固定幅部51a)の上方のパネルを取り付ける。
【0081】
以上の手順により、充填済みの燃料タンクユニット51が設置(搭載)される。
【0082】
-実施形態1の効果-
本実施形態1の建設機械10では、旋回フレーム3上の後側の外周部に立設されるカウンターウエイト(壁状部材)7に、後端面(外端面)から前端面(内端面)に亘り、燃料タンクユニット51の所定の設置位置に向かって延びる下方に凹む溝部70を形成している。そのため、カウンターウエイト7の後側において溝部70に対向するようにクレーン等で燃料タンクユニット51を移動させた後、カウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して前側へ水平方向に移動させることで、容易に燃料タンクユニット51を所望の設置位置に設置することができる。また、本実施形態1の建設機械10では、溝部70全体を、前側から後側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部71に構成している。このような構成により、燃料タンクユニット51の挿入口となる溝部70の外側端部の溝幅が内側端部よりも広くなる。そのため、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、幅方向において多少ずれた位置から前側(内側)へ移動させたとしても、燃料タンクユニット51を後側から前側へ移動させる際に、溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aのいずれかにカバー56aが当接することにより、所望の位置(溝部70の前端の2つの溝側面間の位置)に導かれることとなる。つまり、本実施形態1の建設機械10によれば、クレーン作業時に建設機械10上において燃料タンクユニット51を誘導する作業者が居なくても、燃料タンクユニット51の交換作業を機体や他の構成機器に衝突させることなく少人数の作業者で容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態1の建設機械10では、燃料タンクユニット51が設置位置にあるときに、溝部70の溝幅拡大部71に対応する部分が、溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aに当接して燃料タンクユニット51のそれ以上の前側への移動を規制するように、前側から後側(挿入方向の逆方向)に向かって幅が広くなる拡幅部51bに構成されている。そのため、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して前側へ移動させることで、所定の設置位置で燃料タンクユニット51の拡幅部51bが溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aに当接してそれ以上の前側への移動が規制されるため、燃料タンクユニット51の前後方向(内外方向)の位置決めを自動的に行うことができる。従って、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51の設置時に、建設機械10上において燃料タンクユニット51を誘導する作業者が居なくても、燃料タンクユニット51の位置決め作業を容易に且つ効率よく行うことができる。そのため、作業時間を短縮することもできる。
【0084】
また、本実施形態1の建設機械10では、溝部70の前側から後側に向かって溝幅が広くなる溝幅拡大部71を、さらに前側から後側に向かって溝底面71bが低くなるように構成している。このような構成により、燃料タンクユニット51の挿入口(溝部70の後端)の開口面積がより大きくなるため、燃料タンクユニット51と溝部70との位置合わせが容易になり、燃料タンクユニット51を溝部70により挿入し易くなる。よって、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51の交換作業をより容易に且つ効率よく行うことができ、作業時間を短縮することができる。
【0085】
また、本実施形態1の建設機械10では、前側から後側に向かって幅が広くなる溝部70の拡幅部51bを、さらに前側から後側に向かって下端の高さが低くなるように構成している。このような構成により、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して前側へ移動させる際に、所定の設置位置で燃料タンクユニット51の拡幅部51bが溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aだけでなく溝底面71bにも当接してそれ以上の前側への移動がより確実に規制される。つまり、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51の設置時に燃料タンクユニット51の前後方向(内外方向)の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0086】
また、本実施形態1の建設機械10では、燃料タンクユニット51が、拡幅部51bと、該拡幅部51bから前側(燃料タンクユニット51の挿入方向)に向かって延びる溝部70内を通過可能な一定幅の固定幅部51aを有する大型の搭載物に構成されている。このような構成により、容量の大きい燃料タンク55の搭載が可能になり、燃料タンクユニット51の交換頻度を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態1の建設機械10では、カウンターウエイト7に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く溝部70を形成するだけでなく、カウンターウエイト7の前側にも、燃料タンクユニット51を幅方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材80を設けることとした。このような構成によれば、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して内側へ移動させることで、燃料タンクユニット51を幅方向に位置ずれさせることなく所望の設置位置に容易に設置することができる。従って、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく精度良く所望の位置に設置することができる。
【0088】
また、本実施形態1の建設機械10では、ガイド部材80を、前後方向(燃料タンクユニット51の挿入方向)に延び、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して所定の設置位置まで移動させる際に、固定幅部51aの幅方向の両端にそれぞれ当接することで、燃料タンクユニット51の幅方向の位置ずれを規制すると共に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く2つの側壁部(2つの鉛直板部81a,81a)を有するように構成している。本実施形態1の建設機械10によれば、ガイド部材80に前後方向に延びる2つの側壁部(2つの鉛直板部81a,81a)を設けるだけで、燃料タンクユニット51を幅方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材80を容易に構成することができる。
【0089】
また、本実施形態1の建設機械10では、ガイド部材80を、前後方向(燃料タンクユニット51の挿入方向)に延び、燃料タンクユニット51をカウンターウエイト7の後側から溝部70内に挿入して所定の設置位置まで移動させる際に、固定幅部51aの下端に当接することで、燃料タンクユニット51の上下方向の位置ずれを規制すると共に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く底部(水平板部81b)を有するように構成している。本実施形態1の建設機械10によれば、ガイド部材80に前後方向に延びる底部(水平板部81b)をさらに設けることにより、燃料タンクユニット51を上下方向に位置ずれさせることなく所定の設置位置に導くガイド部材80を容易に構成することができる。また、底部(水平板部81b)は、所定の設置位置に配置された燃料タンクユニット51を支持する機能を持たせることもできる。
【0090】
また、本実施形態1の建設機械10では、着脱自在な搭載物が、4つの燃料タンク55を保持部材56によって取り囲んでユニット化した燃料タンクユニット51であるため、クレーン等を用いて複数の燃料タンク55を一回の設置作業で搭載することができる。また、燃料タンク55を、機体や他の構成機器に衝突させることなく交換することができる。
【0091】
また、本実施形態1の建設機械10では、燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く溝部70をカウンターウエイト7に形成することとしている。カウンターウエイト7は、重量が重く、比較的頑丈であるため、燃料タンクユニット51の挿入時に燃料タンクユニット51が当接しても損傷し難い。そのため、本実施形態1の建設機械10によれば、耐久性に優れた溝部70を形成することができる。
【0092】
また、本実施形態1の建設機械10では、カウンターウエイト7の左右方向の中央部に形成された溝部70内に燃料タンクユニット51を後側(外側)から挿入して前側(内側)へ移動させることにより、燃料タンクユニット51を旋回フレーム3上の左右方向の中央部に立設した一対の縦板3a,3aに挟まれた空間に設置することとしている。このような配置構成によれば、建設機械10の左側又は右側から衝撃が加えられたとしても、燃料タンクユニット51に衝撃が伝わり難くなる。また、燃料タンクユニット51の後側は、頑丈なカウンターウエイト7によって保護されるため、建設機械10の後側から衝撃が加えられた場合にも燃料タンクユニット51に衝撃が伝わり難い。また、前後方向に延びている一対の縦板3a,3aに挟まれた空間は前後方向に延びた形状であり、この空間に前後方向に延びている形状である燃料タンクユニット51を配置するようにしているため、燃料タンクユニット51に効果的に衝撃が伝わり難くすることができる。よって、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を、建設機械10に外部から衝撃が加えられたとしても衝撃が伝わり難い場所に設置することができる。
【0093】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の建設機械10の一部の構成を変更したものである。
【0094】
具体的には、
図8(A)、(B)に示すように、実施形態2では、燃料タンクユニット(搭載物)51は、前端部(搭載物の挿入方向の先端部)が、後側から前側(搭載物の挿入方向)に向かって幅が狭くなる先細部51cに構成されている。先細部51cは、カバー56aの固定幅部51aの前側に後端から前端に向かって幅が狭くなる先細部が形成されることで、固定幅部51aの前側に形成される。つまり、実施形態1の燃料タンクユニット51の前端下方の角部が面取りされた形状となっており、燃料タンクユニット51の前端側方角部が鈍角になる。
【0095】
このような構成によれば、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対して幅方向にずれた位置に配置され、前側へ移動させた燃料タンクユニット51が溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aに当接して所望の位置(溝部70の前端の2つの溝側面間の位置)に導かれる際に、燃料タンクユニット51の鈍角の前端側方角部が溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aに当接するため、前端側方角部が直角の実施形態1に比べて、当接時の衝撃が低減される。また、燃料タンクユニット51の前端側方角部が鈍角のため、燃料タンクユニット51が溝幅拡大部71の溝側面71aに引っ掛かり難く、溝幅拡大部71の溝側面71aによって所望の位置(溝部70の前端の2つの溝側面間の位置)により導かれ易くなる。従って、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51の設置時に、建設機械10上において燃料タンクユニット51を誘導する作業者が居なくても、燃料タンクユニット51の設置作業をより容易に且つ効率よく行うことができる。
【0096】
なお、燃料タンクユニット51の先細部51cは、カバー56aの先細部の下端面を後端から前端に向かって高さが高くなる前上がり形状に形成することにより、下端の高さが後端から前端に向かって高くなることでより先細りの形状となるものであってもよい。つまり、燃料タンクユニット51の前端下方の角部も面取りされて鈍角となっていてもよい。この場合、カウンターウエイト7の外側で燃料タンクユニット51が溝部70に対して下方にずれた位置に配置され、前側へ移動させた燃料タンクユニット51が溝幅拡大部71の溝底面71bに当接して所望の高さ位置に導かれる際に、燃料タンクユニット51の鈍角の前端下方角部が溝幅拡大部71の溝底面71bに当接するため、前端下方角部が直角の実施形態1に比べて、当接時の衝撃が低減される。また、燃料タンクユニット51の前端下方角部が鈍角のため、燃料タンクユニット51が溝幅拡大部71の溝底面71bに引っ掛かり難く、溝幅拡大部71の溝底面71bによって所望の高さ位置(溝部70の前端の溝底上の位置)により導かれ易くなる。
【0097】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の建設機械10の一部の構成を変更したものである。
【0098】
具体的には、
図9に示すように、実施形態3では、燃料タンクユニット(搭載物)51が所定の設置位置にあるときに当接する燃料タンクユニット51の拡幅部51bの両側部(カバー56aの拡幅部51bの2つの側面)と溝部70の溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aとが、扁平な面ではなく、前端から後端に向かって徐々に離れる湾曲面で構成されている。
【0099】
このような構成によれば、前側に移動させている燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至った際に、燃料タンクユニット51の拡幅部51bの両側部が、溝部70の溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aによりぴったりと当接するため、燃料タンクユニット51の前側への移動がより規制される。つまり、上記構成によれば、燃料タンクユニット51の前後方向の位置決めの精度がより向上する。
【0100】
なお、実施形態3において、燃料タンクユニット(搭載物)51が所定の設置位置にあるときに当接する燃料タンクユニット51の拡幅部51bの底部(カバー56aの拡幅部51bの下面)と溝部70の溝幅拡大部71の溝底面71bとを、湾曲面で構成することとしてもよい。
【0101】
このような構成によれば、前側に移動させている燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至った際に、拡幅部51bの側部が溝幅拡大部71の2つの溝側面71a,71aにぴったりと当接するだけでなく、拡幅部51bの底部が溝幅拡大部71の溝底面71bにぴったりと当接するため、燃料タンクユニット51の前側への移動がより規制される。つまり、上記構成によれば、燃料タンクユニット51の前後方向の位置決めの精度がより一層向上する。
【0102】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、本発明に係る搭載物が燃料タンクユニット51である場合について説明したが、搭載物は、クレーン等に吊り下げられて旋回フレーム3上に設置される構成機器であれば、いかなるものであってもよい。例えば、建設機械10が、大型のバッテリを備えるものであれば、バッテリとバッテリを保持する保持部材とを有するバッテリユニットを搭載物とし、使用済みのバッテリユニットを取り外し、充電済みのバッテリユニットを設置する際に、バッテリユニットを外側から挿し通すことによってバッテリユニットを所定の設置位置に導く溝部70を形成し、溝部70の外側端部を溝幅拡大部71に構成することとしてもよい。また、燃料タンクユニット51の燃料タンク55は、水素タンクに限られず、LPガス等の気体燃料が充填されたガスタンクの他、軽油等の液体燃料が充填された液体タンクであってもよい。
【0103】
また、上記各実施形態では、燃料タンクユニット51は、燃料タンク55を4本備えるものであったが、包含する燃料タンク55の本数はこれに限られない。燃料タンクユニット51が包含する燃料タンク55の本数は、3本以下又は5本以上であってもよい。また、上記各実施形態において、燃料タンクユニット51を、例えば、6本の燃料タンク55を包含するものに変更する場合、燃料タンクユニット51の保持部材56のカバー56aの平面形状は変更せずに上下方向の長さを増大し、内部に2本の燃料タンク55を積み増せば、溝部70の形状を変更することなく、同様に燃料タンクユニット51の設置が可能となる。6本以外の本数に変更する場合も同様に、燃料タンクユニット51の保持部材56のカバー56aの平面形状は変更せずに上下方向の長さを増減させればよい。
【0104】
また、上記各実施形態では、溝部70をカウンターウエイト7に形成することとしていたが、溝部70は、カウンターウエイト7に限られない。旋回フレーム3上の外周部に立設された壁状部材に形成されていればよく、機械室6の側方を被うガード20の左側部又は右側部を構成するパネルに溝部70が形成されていてもよい。
【0105】
また、上記各実施形態では、溝部70全体が溝幅拡大部71に構成されていたが、溝部70の少なくとも外側端部が溝幅拡大部71に構成されていればよく、溝部70は、溝幅拡大部71の内側に溝幅が一定の固定溝幅部を有するものであってもよい。固定溝幅部は、溝高さも一定、即ち、溝底面を水平面とするのが好ましい。
【0106】
また、上記各実施形態では、溝幅拡大部71は、前側から後側(壁状部材の内側から外側)に向かう程、溝幅が広くなるだけでなく溝高さも高くなる(溝底面71bが徐々に低くなる)ように構成されていたが、溝幅拡大部71は、前側から後側(壁状部材の内側から外側)に向かう程、溝幅が広くなっていればよく、溝高さは一定であって(溝底面71bが水平面で形成されていて)もよい。その場合、燃料タンクユニット(搭載物)51の拡幅部51bの底部(カバー56aの拡幅部51bの下面)も、前側から後側(壁状部材の内側から外側)に向かう程、下方に位置するように傾斜させず、水平面で構成する。
【0107】
また、上記各実施形態では、保持部材56のカバー56aを鋼板等からなる筐体で構成していたが、燃料タンク55やバッテリを取り囲んで保持することができるものであればいかなるものであってもよく、例えば、鋼材等で形成した籠状フレームであってもよい。
【0108】
また、上記各実施形態では、ガイド部材80を設けていたが、ガイド部材80の一部又は全部を設けないこととしてもよい。さらに、ガイド部材80は、燃料タンクユニット(搭載物)51をカウンターウエイト7の後側(壁状部材の外側)から溝部70内に挿入して所定の設置位置まで移動させる際に、燃料タンクユニット51の幅方向の位置ずれを規制すると共に燃料タンクユニットを所定の設置位置に導けるものであればいかなる形状であってもよい。ガイド部材80は、燃料タンクユニット(搭載物)51をカウンターウエイト7の後側(壁状部材の外側)から溝部70内に挿入して所定の設置位置まで移動させる際に、燃料タンクユニット51の固定幅部51aの幅方向の両端にそれぞれ当接することで、燃料タンクユニット51の幅方向の位置ずれを規制すると共に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く2つの側壁部のみを有するものであってもよい。また、ガイド部材80は、2つの側壁部と2つの側壁部の下端を繋ぐ板状の底部とを有するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明は、建設機械について有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 下部走行体
3 旋回フレーム(フレーム)
7 カウンターウエイト(壁状部材)
10 建設機械
51 燃料タンクユニット(搭載物)
51a 固定幅部
51b 拡幅部
55 燃料タンク
56 保持部材
70 溝部
71 溝幅拡大部
71a 溝側面
71b 溝底面
80 ガイド部材
81a 鉛直板部(側壁部)
81b 水平板部(底部)