(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037326
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ワーク保持ツールの交換支持装置
(51)【国際特許分類】
B30B 15/08 20060101AFI20240312BHJP
B21D 43/05 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B30B15/08 Z
B21D43/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142097
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000100861
【氏名又は名称】アイダエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】仙波 貴章
(72)【発明者】
【氏名】西村 朋弥
(57)【要約】
【課題】 ワーク保持ツールを着脱可能に支持することができると共に、支持している間の脱落を防止することができるワーク保持ツールの交換支持装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車100)は、ワークの搬送アーム40と、ワーク保持ツール50と、を略水平方向に離間させてその係合を解く係合解除動作によってワーク保持ツール50を当該交換台車100に支持させるようにしたものにおいて、前記係合解除動作を、ワーク保持ツール50が載置された載置面112と略一体的な支持部110をベース部130に対して相対移動させることで行わせると共に、この係合解除動作を利用して、ワーク保持ツール50を載置面112との間で挟み込むロック要素(爪部153D)を移動させることにより、ワーク保持ツール50の鉛直方向への移動を規制してロックしつつ支持する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置面に載置した状態で、ワーク保持ツールを着脱可能に支持しているワーク搬送装置と、当該ワーク保持ツールと、を略水平方向に離間させてその係合を解く係合解除動作によって、該ワーク保持ツールを本交換支持装置に支持させるようにしたものにおいて、
前記係合解除動作を、ワーク保持ツールが載置された載置面と略一体的な本交換支持装置の支持部を本交換支持装置のベース部に対して相対移動させることで行わせると共に、
この支持部の相対移動による係合解除動作を利用して、前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを載置面との間で挟み込むロック要素を移動させることにより、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制して、前記ワーク保持ツールをロックしつつ支持することを特徴とするワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項2】
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置可能に構成した載置面を有すると共に、本交換支持装置のベース部に対して横方向に沿って相対移動可能に構成された支持部と、
前記支持部の相対移動を行わせる駆動源と、
前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを前記載置面との間で挟み込むロック要素を備え、前記駆動源による前記支持部の相対移動に連動して前記ロック要素をアンロック位置とロック位置との間で移動させて、アンロック状態と、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制するロック状態と、を切り替え可能な支持ロック機構と、
を備えたことを特徴とするワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項3】
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置面に載置した状態で、ワーク保持ツールを着脱可能に支持しているワーク搬送装置と、当該ワーク保持ツールと、を略水平方向に離間させてその係合を解く係合解除動作によって該ワーク保持ツールを本交換支持装置に支持させるようにしたものにおいて、
前記ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置可能に構成した載置面を有すると共に、前記係合解除動作のために本交換支持装置のベース部に対して相対移動可能に構成された支持部と、
前記支持部の相対移動を行わせる駆動源と、
前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを前記載置面との間で挟み込むロック要素を備え、前記駆動源による前記支持部の相対移動に連動して前記ロック要素をアンロック位置とロック位置との間で移動させて、アンロック状態と、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制するロック状態と、を切り替え可能な支持ロック機構と、
を備えたことを特徴とするワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項4】
前記支持ロック機構は、
前記支持部の相対移動に連動して当該支持部に一体的な枢軸廻りに揺動される第1リンク部材と、
第1リンク部材の一端にその一端が回転自在に連結される中間リンクと、
前記支持部に一体的な枢軸廻りに揺動可能に支持される第2リンク部材であって、その一端が前記中間リンクの他端に回転自在に連結されると共に、当該第2リンク部材の他端が前記支持部の載置面に向けて所定に突出され該載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを当該載置面との間で挟み込む前記ロック要素として機能する爪部を有する第2リンク部材と、
を含んで構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項5】
前記支持ロック機構は、
本交換支持装置のベース部から立設されると共に、前記ワーク保持ツールの載置面に向けて所定に突出され、該載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを当該載置面との間で挟み込む前記ロック要素として機能する爪部を含んで構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項6】
前記駆動源が、前記載置面から所定に離れたベース部に配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のワーク保持ツールの交換支持装置。
【請求項7】
前記駆動源の可動部の位置を検出することで、前記支持ロック機構の前記アンロック位置と前記ロック位置を検出することを特徴とする請求項2又は3に記載のワーク保持ツールの交換支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールを交換する際に利用され交換後のワーク保持ツールを支持しておくワーク保持ツールの交換支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレスマシン間などにおけるワークの搬送装置として、種々のものが提案されている。
例えば、ワーク搬送方向に略直交する方向に延在されるクロスバーユニットを備えたワーク搬送装置があり、かかる装置では、例えば、ワーク搬送方向を横断するように配設されると共にワーク搬送方向に往復移動されるクロスバーに、真空吸着や磁気吸着などによってワークを保持・解放するワーク保持ツールが取り付けられて構成されている。
【0003】
なお、このようなワーク保持ツールは、ワークのサイズや形状などに応じて複数種類が準備され、段取り中に、ワークに対応して、使用するワーク保持ツールに交換するといった作業が行われている。
【0004】
このようなことから、従来、例えば、ワーク搬送装置の搬送アーム(先端)に支持されているクロスバー等に対して、ワーク保持ツール(以下、ツールホルダとも称する。)を汎用のボールロックジョイントを介して着脱自在に構成し、段取り作業におけるツールホルダの着脱作業を容易かつ迅速化することが行われている。
【0005】
なお、ボールロックジョイントとしては、例えば、ビー・エル・オートテック株式会社のクイックチェンジ(登録商標)などがあり、特許文献1に記載されているような構成を有している。
【0006】
このものは、
図11に示すように、本体装置1が搬送アームの下面に取り付けられ、ツールホルダ11の上面に被係合装置10が取り付けられている。本体装置1と、被係合装置10と、は分離可能に別体で構成され、位置決めピン2と位置決め孔3とを介して、中心軸廻りの位置決めがなされるようになっている。
【0007】
そして、本体装置1の電動モータ4を回転駆動することで、歯車機構5を介してネジ部6を回転させ、これと螺合している移動ロッド7を図において下方向に移動させることで、可動部8によりボール9を外側に押し出すように構成されている。この押し出されたボール9が、被係合装置10の係合部10Aと係合することで、本体装置1(ワーク搬送アーム)と、被係合装置10(ツールホルダ11)と、を装着状態(係合状態)とすることができる。
【0008】
この一方で、移動ロッド7を
図11において上方向に移動させることで、ボール9を内側に退避させて、それにより本体装置1と被係合装置10の係合部10Aとの係合が解かれ、本体装置1(ワーク搬送アーム)と被係合装置10(ツールホルダ11)とを脱離状態(非係合状態)とすることができるように構成されている。これにより、段取り作業におけるツールホルダの着脱作業を容易かつ迅速化に貢献している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-213847号公報
【特許文献2】特開2017-202491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、
図11に示したように、上下方向に沿って本体装置1と被係合装置10(ツールホルダ11)とを移動させて着脱する場合、本体装置1と被係合装置10との上下方向寸法(厚さ)が比較的大きく、ワークの搬送速度の向上延いてはプレス加工のタクトタイムの短縮化を阻害することになる。
【0011】
すなわち、ワーク搬送は、プレスの上型と下型の間に、本体装置1(搬送アームの先端)と、被係合装置10(ツールホルダ11及びワーク)と、を侵入させてワークを解放(或いは受け取る)する作業であるため、上下方向寸法(厚さ)が厚いと、金型(上型或いは下型)との干渉を避けるために、上型と下型の隙間が大きくなるまで侵入を待たなければならず、その分、ワークの搬送速度延いては生産速度を上げることができなくなるといった実情がある。
【0012】
このため、本出願人は、特許文献2において、クロスバーの長手方向(上下方向と略直交する方向、略水平方向)に移動させながら、ツールホルダを着脱するようにした機構を提案した。
【0013】
具体的には、例えば、ツールホルダ側の孔(クロスバーの長手方向に沿って延在される)に挿入可能なピン(クロスバーの長手方向に沿って延在される)が搬送アーム(の先端)に設けられ、これらを係合させることで、ツールホルダを搬送アームに対して着脱可能な機構となる。そして、搬送アーム側には、ピンを進退させてボールを外側に突出させる機構と、ピンを進退駆動するためのエアシリンダ(アクチュエータ)が備えられる。
【0014】
このように、クロスバーの長手方向(水平方向)に沿って移動させてツールホルダを搬送アームに対して着脱する機構とすれば、従来のような汎用のボールロックジョイントを用いた場合に比べ、上下方向寸法である厚さを薄くできるため、金型との干渉を回避でき、ワークの搬送速度の向上に貢献可能である。
【0015】
しかし、一方で、搬送アームから外されたツールホルダを次回の使用に備えて支持しておくための交換台車において、その支持部は、載置されたツールホルダが、次回装着作業時や反転時(使用していたツールホルダを載置した後、次に使うツールホルダを回転させて搬送アームまで持ち来すような場合)などに支持部から落下しないようにロックするためのロック機構が求められるといった実情がある。なお、交換台車は、ワークの形状やサイズに適合させた複数のワーク吸着具を有するツールホルダを着脱可能に支持し、段取り作業時などの搬送アームに対するツールホルダの交換のために、プレスマシンの前後(プレスマシン間など)に搬入される移動式のワーク保持ツールの着脱支持装置の一例である。
【0016】
そして、ロック機構のための駆動源やロック状態検知システムのセンサ部分が支持部(ツールホルダ載置部の近傍)に設けられることが想定される。なお、ロック状態検知システムは、ロック状態を検知して、ロック状態のまま搬送アームがツールホルダを装着してしまって搬送アームや各装置に無理な力が作用し破損などすることなどがないように、装着タイミングを調整するためなどに必要とされる。
【0017】
しかし、交換台車の支持部、特にツールホルダ載置部の近傍にロック機構の駆動源やロック状態検知システムのセンサ部分が設けられると、その駆動源やセンサ部分の分だけ支持部周辺の空間が占有される。
このため、ツールホルダに取り付けられる複数のワーク保持具(吸着カップやスパイダ)の取付位置・姿勢などが制限されるおそれがある。
【0018】
また、交換台車の支持部が回転中心を挟んで反対側にも設けられ、搬送アームがそれまで使用していたツールホルダを載置した後、交換台車が反対側の支持部を回転させ次に使うツールホルダを搬送アームまで持ち来すような場合、回転される部分の先端側にロック機構の駆動源などの重量物が配設されていると、交換台車の支持部の回転駆動部などの大容量化や剛性確保のために構造に高い堅牢性が求められるなど、交換台車の高コスト化、大型化、重量増加などを招くおそれがある。
【0019】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成としながら、ワークを保持するワーク保持ツールを着脱可能に支持することができると共に、支持している間の脱落を防止することができるワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このため、本発明は、
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置面に載置した状態で、ワーク保持ツールを着脱可能に支持しているワーク搬送装置と、当該ワーク保持ツールと、を略水平方向に離間させてその係合を解く係合解除動作によって、該ワーク保持ツールを本交換支持装置に支持させるようにしたものにおいて、
前記係合解除動作を、ワーク保持ツールが載置された載置面と略一体的な本交換支持装置の支持部を本交換支持装置のベース部に対して相対移動させることで行わせると共に、
この支持部の相対移動による係合解除動作を利用して、前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを載置面との間で挟み込むロック要素を移動させることにより、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制して、前記ワーク保持ツールをロックしつつ支持することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置可能に構成した載置面を有すると共に、本交換支持装置のベース部に対して横方向に沿って相対移動可能に構成された支持部と、
前記支持部の相対移動を行わせる駆動源と、
前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを前記載置面との間で挟み込むロック要素を備え、前記駆動源による前記支持部の相対移動に連動して前記ロック要素をアンロック位置とロック位置との間で移動させて、アンロック状態と、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制するロック状態と、を切り替え可能な支持ロック機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、
プレスマシンのワーク搬送のためにワークを保持・解放可能に保持するワーク保持ツールの交換支持装置であって、
ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置面に載置した状態で、ワーク保持ツールを着脱可能に支持しているワーク搬送装置と、当該ワーク保持ツールと、を略水平方向に離間させてその係合を解く係合解除動作によって該ワーク保持ツールを本交換支持装置に支持させるようにしたものにおいて、
前記ワーク保持ツールを略水平面内での移動を規制しつつ載置可能に構成した載置面を有すると共に、前記係合解除動作のために本交換支持装置のベース部に対して相対移動可能に構成された支持部と、
前記支持部の相対移動を行わせる駆動源と、
前記支持部の載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを前記載置面との間で挟み込むロック要素を備え、前記駆動源による前記支持部の相対移動に連動して前記ロック要素をアンロック位置とロック位置との間で移動させて、アンロック状態と、前記載置面の鉛直方向に対する前記ワーク保持ツールの移動を規制するロック状態と、を切り替え可能な支持ロック機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明において、
前記支持ロック機構は、
前記支持部の相対移動に連動して当該支持部に一体的な枢軸廻りに揺動される第1リンク部材と、
第1リンク部材の一端にその一端が回転自在に連結される中間リンクと、
前記支持部に一体的な枢軸廻りに揺動可能に支持される第2リンク部材であって、その一端が前記中間リンクの他端に回転自在に連結されると共に、当該第2リンク部材の他端が前記支持部の載置面に向けて所定に突出され該載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを当該載置面との間で挟み込む前記ロック要素として機能する爪部を有する第2リンク部材と、
を含んで構成されることを特徴とすることができる。
【0024】
本発明において、
前記支持ロック機構は、
本交換支持装置のベース部から立設されると共に、前記ワーク保持ツールの載置面に向けて所定に突出され、該載置面に載置されている前記ワーク保持ツールを当該載置面との間で挟み込む前記ロック要素として機能する爪部を含んで構成されることを特徴とすることができる。
【0025】
本発明において、前記駆動源が、前記載置面から所定に離れたベース部に配設されていることを特徴とすることができる。
【0026】
本発明において、前記駆動源の可動部の位置を検出することで、前記支持ロック機構の前記アンロック位置と前記ロック位置を検出することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成としながら、ワークを保持するワーク保持ツールを着脱可能に支持することができると共に、支持している間の脱落を防止することができるワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る第1の実施の形態に係るワーク保持ツールの交換台車が段取り作業中にプレスマシン間に搬入されている状態を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1からワーク搬送装置、ワーク保持ツール、交換台車を抜き出して拡大して示した斜視図である。
【
図3】(A)は同上実施の形態に係るワーク搬送装置、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向上流側から見た図であり、(B)は(A)の側面図である。
【
図4】同上実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車を抜き出して拡大して示した斜視図である。
【
図5】同上実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向と直交する鉛直面にて切断した断面図(ワーク保持ツールを交換台車に載置したアンロック状態)である。
【
図6】同上実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向と直交する鉛直面にて切断した断面図(交換台車のロック-アンロックの中間状態)である。
【
図7】同上実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向と直交する鉛直面にて切断した断面図(ワーク保持ツールを交換台車に載置した交換台車のロック状態)である。
【
図8】
図7に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車の側面図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向と直交する鉛直面にて切断した断面図(ワーク保持ツールを交換台車に載置したアンロック状態)である。
【
図10】同上実施の形態に係る搬送アーム、ワーク保持ツール、交換台車をワーク搬送方向と直交する鉛直面にて切断した断面図(ワーク保持ツールを交換台車に載置した交換台車のロック状態)である。
【
図11】従来(特許文献1)のボールロックジョイントを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係るワーク保持ツールの交換台車の一例を示す実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
本発明に係るワーク保持ツールの交換台車は、プレス機械(プレスマシン)のワーク搬送装置に着脱可能に支持されるワーク保持ツールを着脱可能に支持しておいて、段取り作業時などに、次回使用するワーク保持ツールをワーク搬送装置に装着する際などに利用されるワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車)の一例である。
【0030】
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る交換台車100は、使用中のワーク保持ツール50を別のワーク保持ツール50‘に交換などする段取り作業などの際に、例えば、
図1に示すように、プレスマシン20とプレスマシン30の間に進入(搬入)され、段取り作業完了後にプレスマシン20とプレスマシン30の間から退避(搬出)される。交換台車100は、自走式の構成とすることもできるし、他の方法により進退させる方式であっても採用可能である。
なお、交換台車100が、本発明に係るワーク保持ツールの交換支持装置の一例に相当する。
【0031】
図2、
図3(A)、
図3(B)に示すように、交換台車100は、その本体ベース101から立設されたベース支持部102に支持され、水平かつワーク搬送方向に略直交する方向に延在しその長軸中心(
図3(B)の符号C)廻りに(
図3(B)の矢印R方向に)回動可能な回動シャフト103を備えて構成されている。
【0032】
回動シャフト103の周囲には、ベース部130が4つ取り付けられている。4つのベース部130は、回動シャフト103の長軸方向に並んで2つと、それらに対して回動シャフト103の回転中心軸を挟んだ反対側に2つ備えられている。
【0033】
このベース部130には、
図5~
図7等に示したように、スライドガイド(直動案内)131等を介して、当該ベース部130に対して、回動シャフト103の長手方向に沿って相対移動可能にスライドベース132が備えられている。スライドベース132は、ベース部130に対して、その長手方向に沿って相対移動可能であり、ベース部130の長手方向に対して水平面内で直交する方向への移動やベース部130から離間する方向への移動は、スライドガイド131等を介して規制されている。
【0034】
このため、スライドベース132に支持されている支持部110は、ベース部130延いては回動シャフト103に対して、その長手方向に沿って相対移動可能に構成され、本実施の形態では、その移動は、駆動源であるアクチュエータ(エアシリンダ等)120の作動によりなされるように構成されている。
【0035】
具体的には、
図4、
図5~
図7等に示すように、アクチュエータ(エアシリンダ等)120はベース部130に略一体的に取り付けられていて、その出力軸121の先端はスライドベース132に連結されている。出力軸121の基端はピストン122に連結され、ピストン122はシリンダ123に摺動自在に嵌挿されている。また、アクチュエータ120は、シリンダ123内の
図5の右側端部にてピストン122を機械的にロックする機能を有している。そして、ピストン122の
図5の左右方向右側のシリンダ容積部分123Bにエアを充填すると、その圧力で、ピストン122延いては出力軸121は
図5の左側に移動し、同時にスライドベース132も
図5の左側に移動する(
図5参照)。
なお、
図5、
図6、
図7においては、スパイダ53及び吸着カップ54についての表示を省略している。
また、本実施の形態において、エアは、エアコンプレッサ等により昇圧された所定の圧力(例えば、0.3~0.8MPa程度)を有する圧縮エア(工場用エア)を指すものとする。但し、エアに限らず、他の気体や油や水などの流体を用いることもできる。
【0036】
また、ピストン122の
図5の左右方向左側のシリンダ容積部分123Aにエアを充填すると、その圧力で、ピストン122延いては出力軸121は
図5の右側に移動し、同時にスライドベース132も
図5の右側に移動する(
図6参照)。
【0037】
そして、このスライドベース132の移動は、支持部110が備えるリンク機構150に作用して、爪部153Dの開閉動作(ロック・アンロック動作)を行う駆動源となっている。
【0038】
本実施の形態では、
図5、
図6等に示すように、支持部110には、第1リンク(ストッパ側リンク)部材151、中間リンク部材152、第2リンク(ロック側リンク)部材153を含んで構成されるリンク機構150が備えられている。
【0039】
当該リンク機構150について説明すると、その長手方向が略垂直方向に配置される第1リンク部材151が枢軸151B廻りに回動(搖動)可能に支持されている。枢軸151Bは支持部110に対して一体的(「固定的」を含む。以下、同じ。)であり、第1リンク部材151の基端部151Aは、ベース部130に対して一体的に取り付けられている解放(アンロック)側ストッパ140と規制(ロック)側ストッパ141との間に位置するように配設されている。
【0040】
この一方、第1リンク部材151の先端部151Cは、略横方向に延伸される中間リンク部材152の一端に枢軸(ジョイント)151Dを介して回転(搖動)可能に連結されている。そして、中間リンク部材152の他端には、第2リンク部材153の基端部153Aが枢軸(ジョイント)152Aを介して回転(搖動)可能に連結されている。中間リンク部材152は、第1リンク部材151の先端部151Cと第2リンク部材153の基端部153Aとに、枢軸151Dと枢軸152Aを介して連結して支持されているのみで、支持部110に対してはフリーな状態で構成されている。
【0041】
第2リンク部材153は、枢軸(ジョイント)153B廻りに回動(搖動)可能に支持されている。枢軸153Bは支持部110に対して一体的であり、第2リンク部材153の先端部153Cには爪部153Dが備えられている。爪部153Dは、先端部153Cから
図6において左側に所定に突出するような形状を有している。
なお、第2リンク部材153の先端部153Cの爪部153Dが、本発明に係るロック要素の一例に相当する。
【0042】
また、支持部110の先端上面(載置面)112は略水平に形成され、その先端上面112には上方に所定に突出する位置決めピン111が備えられている。
【0043】
このような構成の支持部110を備えた交換台車100は、以下のように利用される。
本実施の形態に係るワーク保持ツールの交換台車100は、ワークの形状や大きさを変更する際の段取り作業時などに、プレスマシン20、30の間に搬入される(
図1等参照)。
ワーク搬送装置である搬送アーム40の先端には、ワーク保持ツール50が着脱自在に支持されている(
図2~
図7等参照)。ワーク保持ツール50は、
図3における二点鎖線で示されるワークWを保持して搬送する。
なお、搬送アーム40’については、搬送アーム40と左右対称な構成であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
搬送アーム40は、次のプレス作業のための次型の(別の)ワーク保持ツール50’を装着するために、まず、支持している現型のワーク保持ツール50を取り外す動作を行う。
【0045】
例えば、
図5に示すように、搬送アーム40を、ワーク保持ツール50の位置決め孔52と、交換台車100側の位置決めピン111と、を位置合わせしつつ降下させる。
これにより、
図5に示すように、ワーク保持ツール50は、交換台車100の支持部110の先端上面112に載置される。支持部110は、交換台車100上においてワーク保持ツール50を確実に支持できるように、一のワーク保持ツール50に対して二つ備えられている。
なお、
図5、
図6、
図7においては、既述したように、スパイダ53及び吸着カップ54についての表示を省略している。また、ワーク保持ツール50側に位置決めピンを設け、交換台車100側に位置決め孔を設ける構成とすることもできる。
【0046】
搬送アーム40は、ワーク保持ツール50が支持部材110の先端上面112に載置されると、アクチュエータ41を作動(エア供給)させて、ワーク保持ツール50と、搬送アーム40側のロック機構42と、の係合(ロック)を解く(
図6の状態を参照)。
【0047】
かかる係合が解かれる一方で、
図6に示すように、交換台車100では、アクチュエータ120の作動により、ピストン122がシリンダ123内を
図5における右方向に移動する。これに伴い、スライドベース132延いては支持部110が、スライドガイド131等を介して
図5における右方向に相対移動する。
【0048】
これにより、搬送アーム40とワーク保持ツール50との係合部43、43’が分離される。なお、係合部43、43’は、
図5~
図7に示すように、スライド方向(
図5において左右方向)に延在するピンとピン孔にて構成され、
図5においてワーク保持ツール50を搬送アーム40に対して右方向に相対移動させることで分離される。
【0049】
そして、このとき、第1リンク部材151の枢軸151Bが、ベース部130に対して
図5において右方向に移動する。それに伴い、第1リンク部材151の基端部151Aが解放側ストッパ140に対して当接している状態(
図5の状態)から離間し、規制側ストッパ141に接近しながら当接する(
図6及び
図7参照)。
【0050】
図7の状態は、第1リンク部材151が枢軸151B廻りに回動することで、第1リンク部材151の基端部151Aが規制側ストッパ141に対して当接すると共に、第1リンク部材151は傾斜した状態から略鉛直状態に移行して保持される。
【0051】
この第1リンク部材151の動きに連動して、中間リンク部材152を介して、第2リンク部材153が枢軸153B廻りに回動する。これに伴い、爪部153Dがワーク保持ツール50のベースプレート51を支持部110の載置面112との間に厚さ方向から挟み込むように動作する。その結果、ワーク保持ツール50のベースプレート51が、爪部153Dと支持部110の先端上面112との間でロック(縦方向或いは上下方向における移動を規制)される。また、ベースプレート51は、支持部110の先端上面112に対して、位置決め孔52と位置決めピン111とにより、水平面内の移動が制限される。
ここで、アクチュエータ120のピストン122は、シリンダ123内で機械的にロックされる位置にあるため、ベースプレート51が爪部153Dによりロックされた状態が維持される。ピストン122のロック状態は、外部からの圧力供給による強制解除を行わない限り維持されるので、たとえば、ワーク保持ツール50を支持した交換台車100がプレスマシン20及び30の間から退避した後に、停電等による動力源遮断が発生したとしても、ピストン122はシリンダ123内を移動できない。つまり、ワーク保持ツール50は交換台車100に安定して支持されるため、作業者によるワーク保持ツール50の交換作業における安全性が確保される。
本実施の形態に係るリンク機構150と、位置決め孔52と位置決めピン111とからなる位置決め機構と、により、本発明に係る支持ロック機構の一例が構成される。
【0052】
このような一連の動作により、搬送アーム40からワーク保持ツール50が分離されると共に、ワーク保持ツール50のベースプレート51が支持部110の先端上面112に載置された状態で確実にロックされ、その状態が維持されることになる。
【0053】
続いて、搬送アーム40に、次のプレス作業のための次型のワーク保持ツール50’を装着するために、交換台車100は、回動シャフト103を回転させて、
図3(A)及び
図3(B)において下側にあるワーク保持ツール50’を上方へ持ち来して、搬送アーム40に対面させる。
このとき、ワーク保持ツール50のベースプレート51が支持部110の先端上面112に確実に支持されているので、ワーク保持ツール50が落下等することはない。
【0054】
その後は、上で説明したのと逆の動作により、次型(次のプレス作業の金型)に適合するワーク保持ツール50’を搬送アーム40に装着し、前型(前のプレス作業の金型)に適合するワーク保持ツール50を支持した交換台車100をプレスマシン20及び30の間から退避させて、段取り作業を完了する。
【0055】
このように、本実施の形態によれば、ワーク保持ツール50を支持している搬送アーム40に対して当該ワーク保持ツール50を横方向に(左右方向に或いは水平面内で)離間させてその係合を解くものにおいて、その係合を解く係合解除動作を、アクチュエータ120の動作により交換台車100側の支持部110を移動させることで行わせると共に、この支持部110の移動による係合解除動作を利用して(に連動して)、支持部110の載置面112に載置されているワーク保持ツール50を載置面112に対してロックする支持ロック機構の支持ロック動作を行わせるようにした。つまり、係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源(モータや流体圧シリンダ等のアクチュエータ)を共通化したため、構成の簡略化、小型軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化したので、交換台車100に対する当該駆動源の設置レイアウトの自由度を大幅に向上させることができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を交換台車100に配設しているので、搬送アームの重量増加が抑制される。従って、搬送アームの撓みを抑制でき、搬送速度の向上の実現に貢献可能である。
【0058】
また、本実施の形態によれば、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を支持部110の載置面112から離れた交換台車100のベース部130に配設したので、支持部110の載置面112付近の構成が簡素化される。このため、載置可能なワーク保持ツール50について、複数のワーク保持具(吸着カップ54及びスパイダ53など)の取付位置・姿勢の自由度が増す。これにより、ワークの大きさ・形状に適合するように多種多様に配設されたワーク保持具を備えたワーク保持ツール50であっても交換台車100の支持部110に載置可能である。すなわち、多種多様なワークの搬送に貢献可能な交換台車を提供することができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を支持部110の載置面112から離れた交換台車100のベース部130に配設すると共に、支持ロック機構(例えばリンク機構150の爪部153D)の動きと連動する駆動源の可動部(ピストン等)の位置を検出する位置検出センサ124A、124Bを取り付けたので、交換台車100の支持部110の載置面112付近にロック状態、アンロック状態を検出するセンサやその配線などを設ける必要がない。したがって、支持部110の載置面112付近の構成がより簡素化され、載置可能なワーク保持ツール50の複数のワーク保持具の取付位置・姿勢の自由度をより一層増すことができる。その結果、ワークの大きさ・形状に適合するように多種多様に配設されたワーク保持具を備えたワーク保持ツール50であっても交換台車100の支持部110に載置可能となる。すなわち、多種多様なワークの搬送に貢献可能な交換台車を提供することができる。
なお、ロック状態・アンロック状態検知システムは、ロック状態を検知して、ロック状態のまま搬送アーム40がワーク保持ツール50を装着してしまって搬送アーム40や各装置に無理な力が作用し破損などすることがないように、搬送アーム40に対するワーク保持ツール50の着脱タイミングや搬送アーム40の移動タイミングなどを調整するためなどに利用される。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成としながら、ワークを保持するワーク保持ツールを着脱可能に支持することができると共に、支持している間の脱落を防止するワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車)を提供することができる。
【0061】
ところで、
図7に代表して示したように、中間リンク部材152と略一体的なスプリング収容部152Bと、支持部110の枠などと略一体的な部分110Aと、の間に、コイルスプリングSなどの弾性要素を介装して、中間リンク部材152が、
図7において左方に弾性付勢されている。その結果、振動その他の外乱等が発生し不用意に第2リンク部材153の先端部153Cの爪部153Dが
図7において右方に移動して、ベースプレート51のロックを解除しようとしても、これを防止することができ、より確実なロックの実現に貢献することができる。
【0062】
なお、搬送アーム40のワーク保持ツール50(或いは50’)に対するロック機構42は、特に限定されるものではないが、ここで一例を示しておく。
ロック機構42は、搬送アーム40とワーク保持ツール50との係合部43、43’のピンとピン孔の係合(挿入)が完了した状態で、アクチュエータ41を作動させて、
図5アクチュエータ41の出力部41Aに枢軸(ジョイント)42A1にて回転可能に連結されているリンク部材42Aを
図5において右方向に移動させる。
図5の状態がロック状態を示している。
【0063】
リンク部材42Aは枢軸42A1の反対側にて枢軸(ジョイント)42A2にてリンク部材42Bの端部42B1に回転可能に連結されていると共に、リンク部材42Bは搬送アーム40に対して一体的な枢軸(ジョイント)42B2にて回転可能に支持されている。なお、枢軸42A1は出力部41A、リンク部材42Aを連結するのみで、また、枢軸42A2はリンク部材42A、リンク部材42Bを連結するのみで、搬送アーム40などに対してはフリーな状態で構成されている。
【0064】
リンク部材42Bは、L字形状を有していて、L字の一方の片に相当する端部42B1がリンク部材42Aに連結されていると共に、その折曲部分(中間部分)が枢軸(ジョイント)42B2により回転可能に搬送アーム40に対して支持されている。
【0065】
そして、リンク部材42Aに連結された端部42B1と枢軸42B2を挟んで反対側のロック部分42B3は、ワーク保持ツール50と一体的なストッパ部55に当接されている。
【0066】
これにより、
図5のロック状態では、搬送アーム40とワーク保持ツール50との係合部43、43’のピンとピン孔の係合が完了して搬送アーム40とワーク保持ツール50とが突き当て部44に突き当てられた状態で、ロック部分42B3がストッパ部44を押圧しているため、搬送アーム40とワーク保持ツール50とが相互に分離できない状態で確実にロックされることになる。
この状態で、プレス作業において搬送アーム40はワークを搬送するようになっている。
【0067】
なお、かかるリンク機構42では、枢軸42A1と枢軸42A2を結ぶ直線S1と、枢軸42A2と枢軸42B2を結ぶ直線S2と、が直交するように配置されているため、ロック部分42B3がストッパ部55から離間するような力を受けたとしても、直線S1を通る方向にのみ、その力は伝達されることになる。したがって、リンク部材42Aの枢軸42A1にアクチュエータ41の出力部41Aを退避位置方向(
図5の左方向)へ移動させる力の成分を生じさせることがない。
【0068】
すなわち、本実施の形態において、
図5のロック状態にあるときには、アクチュエータ41の作動により出力部41Aを移動させない限り、ロック部分42B3が突き当て部44から離れることはないため、プレス作業におけるワーク搬送において搬送アーム40とワーク保持ツール50とが確実にロックされており安全である。
【0069】
なお、本実施の形態に係るワーク搬送装置の搬送アーム40は、
図2に示すように、プレスマシン30のコラム31に支持された昇降機構32を介して上下方向に沿って移動可能に支持されていると共に、昇降機構32に関して枢軸32A廻りに回動可能な基端側アーム40Aと、その先端の枢軸40B廻りに回動可能な先端側アーム40Cと、を含んで構成されている。搬送アーム40は、基端側アーム40Aと、その先端の枢軸40B廻りに回動可能な先端側アーム40Cを搖動させることで、先端側アーム40Cの先端に着脱可能に支持されているワーク保持ツール50によりワークを搬送方向に搬送し、昇降機構32によりワークを昇降させることで金型内にワークを取り行ったり置きに行ったりすることが可能に構成されている。但し、本発明に係るワーク搬送装置は、かかる構成に限定されるものではなく、本発明は他の構成によりワークを搬送するワーク搬送装置とする場合にも適用可能である(以下の実施の形態についても同様)。
【0070】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、リンク機構150を利用して、第2リンク153の先端部153Cの爪部153Dがワーク保持ツール50のベースプレート51を支持部110の載置面112との間に厚さ方向から挟み込むように動作して、ワーク保持ツール50のベースプレート51を、爪部153Dと支持部110の先端上面112との間でロック(縦方向或いは上下方向における移動を規制)する例について説明したが、本実施の形態では、
図9、
図10に示したように、リンク機構150を用いない場合の例について説明する。
具体的には、本実施の形態では、交換台車100に代えて、交換台車200を用いる。
【0071】
図9、
図10に示すように、本実施の形態に係る交換台車200では、ベース部130からスライドベース132を貫通して上方に延在するように、ベース部130と略一体的に立設されたロック部材221及び補強要素224を備えたロック機構220が備えられている。補強要素224は、ロック部材221の上方先端222に
図9、
図10において左右方向の力が作用したときに、その力による変形を抑制するための補強要素である。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した部分と同様の要素については同じ符号を付すと共に説明は省略する。
【0072】
本実施の形態に係るロック部材221の上方先端222には、
図9、
図10において左方に向けて(支持部210の載置面112に向けて)、所定に突出した爪部223が備えられている。
【0073】
図9のアンロック状態から、スライドベース132を、アクチュエータ120を介して
図9において右方向にスライドさせると、スライドベース132に略一体的に支持されている支持部210及び支持部210が載置面112に載置(支持)しているワーク保持ツール50が
図9の右方向に移動する。
【0074】
この動作により、ロック部材221の上方先端222の爪部223が、ワーク保持ツール50のベースプレート51を支持部110の載置面112との間で厚さ方向から挟み込むこととなり、ワーク保持ツール50のベースプレート51を、爪部223と支持部110の先端上面112との間でロック(縦方向或いは上下方向における移動を規制)することになる(
図10参照)。
なお、ロック部材221の上方先端222の爪部223が、本発明に係るロック要素の一例に相当する。
【0075】
そして、この逆に、
図10の状態から、スライドベース132を、アクチュエータ120を介して
図10において左方向にスライドさせると、スライドベース132に略一体的に支持されている支持部210及び支持部210が載置面112に載置(支持)しているワーク保持ツール50が
図10の左方向に移動し、ワーク保持ツール50のベースプレート51を支持部110の先端上面112との間でロックしていた爪部223も
図10の左方向に移動し、当該ロックが解かれることになる(
図9参照)。
【0076】
かかる構成の第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様、ワーク保持ツール50を支持(装着)している搬送アーム40に対して当該ワーク保持ツール50を横方向に(左右方向に或いは水平面内で)離間させてその係合を解くものにおいて、その係合を解く係合解除動作を、アクチュエータ120の動作により交換台車200側の支持部210を移動させることで行わせると共に、この支持部210の移動による係合解除動作を利用して、支持部210の載置面112に載置されているワーク保持ツール50を載置面112に対してロックする支持ロック動作を行わせるようにした。つまり、係合解除動作とロック動作を行わせる駆動源(モータや流体圧シリンダ等のアクチュエータ)を共通化したため、構成の簡略化、小型軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0077】
また、本実施の形態によっても、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化したので、交換台車200に対する当該駆動源の設置レイアウトの自由度を大幅に向上させることができる。
【0078】
また、本実施の形態によっても、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を交換台車200に配設しているので、搬送アームの重量増加が抑制される。従って、搬送アームの撓みを抑制でき、搬送速度の向上の実現に貢献可能である。
【0079】
また、本実施の形態によっても、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を、支持部210の載置面112から離れた交換台車200のベース部130に配設したので、支持部210の載置面112付近の構成が簡素化される。このため、載置可能なワーク保持ツール50について、複数のワーク保持具の取付位置・姿勢の自由度が増す。これにより、ワークの大きさ・形状に適合するように多種多様に配設されたワーク保持具を備えたワーク保持ツール50であっても交換台車100の支持部110に載置可能である。すなわち、多種多様なワークの搬送に貢献可能な交換台車を提供することができる。
【0080】
また、本実施の形態によっても、前記係合解除動作と支持ロック動作を行わせる駆動源を共通化し、この駆動源を支持部210の載置面112から離れた交換台車200のベース部130に配設すると共に、支持ロック動作と連動する駆動源の可動部(ピストン)の位置を検出する位置検出センサ124A、124Bを取り付けたので、交換台車200の支持部210の載置面112付近にロック状態、アンロック状態を検出するセンサやその配線などを設ける必要がない。したがって、支持部110の載置面112付近の構成がより簡素化され、載置可能なワーク保持ツール50の複数のワーク保持具の取付位置・姿勢の自由度をより一層増すことができる。その結果、ワークの大きさ・形状に適合するように多種多様に配設されたワーク保持具を備えたワーク保持ツール50であっても交換台車100の支持部210に載置可能となる。すなわち、多種多様なワークの搬送に貢献可能な交換台車を提供することができる。
【0081】
このように、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成としながら、ワークを保持するワーク保持ツールを着脱可能に支持することができると共に、支持している間の脱落を防止するワーク保持ツールの交換支持装置(交換台車)を提供することができる。
【0082】
なお、各実施の形態に係る先端支持面(載置面)112は略水平面である場合に限らず、位置決めピン111と位置決め孔52を省略して鉛直方向に傾斜した載置面とすることで、略水平面内でワーク保持ツール50を移動しつつ支持する構成とすることもできる。
【0083】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0084】
20,30 プレスマシン
40 ワーク搬送装置
50 ワーク保持ツール
51 ベースプレート
52 位置決め孔
100,200 交換台車(ワーク保持ツールの交換支持装置)
101 本体ベース
102 ベース支持部
103 回動シャフト
110,210 支持部
111 位置決めピン
112 先端上面(載置面)
120 駆動源(アクチュエータ等)
121 出力軸
130 ベース部
132 スライドベース
140 解放(アンロック)側ストッパ
141 規制(ロック)側ストッパ
150 リンク機構
151 第1リンク部材(ストッパ側リンク)
151B 枢軸(ジョイント)
151D 枢軸(ジョイント)
152 中間リンク部材
152A 枢軸(ジョイント)
153 第2リンク部材(ロック側リンク)
153B 枢軸(ジョイント)
153D 爪部(ロック要素の一例)
223 爪部(ロック要素の一例)